JP2006351324A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池と、燃料電池から電気化学反応後の水素および空気を排出する排出部とを備える燃料電池システムにおいて、水素の大気中への排出量を極力低減し、水素の有効利用を図る。
【解決手段】 水素および空気が供給され当該供給された水素と空気中の酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池10と、燃料電池10から電気化学反応後の水素および空気を排出する排出部40とを備える燃料電池システムにおいて、排出部40に設けられ、電圧の印加による水素のポンピング作用により排出部中のガスから水素のみを分離する水素ポンピング部50と、水素ポンピング部50にて分離された水素を燃料電池10の水素供給経路30へ戻す戻し経路55と、水素ポンピング部50に印加する電圧を制御する制御部60とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 水素および空気が供給され当該供給された水素と空気中の酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池10と、燃料電池10から電気化学反応後の水素および空気を排出する排出部40とを備える燃料電池システムにおいて、排出部40に設けられ、電圧の印加による水素のポンピング作用により排出部中のガスから水素のみを分離する水素ポンピング部50と、水素ポンピング部50にて分離された水素を燃料電池10の水素供給経路30へ戻す戻し経路55と、水素ポンピング部50に印加する電圧を制御する制御部60とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、水素と酸素との化学反応により電気エネルギー発生させる燃料電池を備える燃料電池システムに関する。
従来より、この種の一般的な燃料電池システムとしては、供給経路より供給された水素と空気中の酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池と、この燃料電池から電気化学反応後の水素および空気を排出する排出部とを備えたものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
図7は、従来の燃料電池システムの全体構成を示す概略図である。このように、燃料電池システムは、燃料電池10と、燃料電池10に空気を供給する空気供給経路20および水素を供給する水素供給経路30と、燃料電池10から反応後の空気および水素を排出する排出部40とを備えている。
図7において、コンプレッサなどにより空気供給経路20から燃料電池10のカソード側に空気が供給されるとともに、水素ポンプ31により水素供給経路30から燃料電池10のアノード側に水素が供給される。すると、燃料電池10内にて水素と空気中の酸素とが反応し発電がなされる。
燃料電池10のカソード側からは、酸素が消費されて窒素が主成分となった排出空気が排出部40へ排出され、この排出空気は気液分離器23を通りマフラー24を介して大気中へ排出される。
一方、燃料電池10のアノード側からは、発電運転で消費されなかった水素が排出部40へ排出される。このとき、通常運転時には、排出部40における水素放出バルブ34は閉じられており、排出水素は、水素ポンプ31を介して再び水素供給経路30へ循環され、再利用される。
そして、次第に、この排出水素にも窒素などの不純物が混合し、燃料電池10の出力電圧が低下してくると、水素放出バルブ34を開けて、排出水素を大気中へ放出する。このとき、排出水素は、希釈器500にて希釈用空気によって爆発限界(体積濃度4%)以下に希釈されて大気中に放出される。
特開2002−208422号公報
上記したように、従来の燃料電池システムにおいては、排出部40から排出水素を大気中へ放出するために希釈用空気が必要であり、この希釈用空気の量は排出ガス中の水素濃度に比例して多くなる。
ここで、燃料電池10のアノード側だけでなく、希釈用空気として用いられるカソード側からの排出空気中にも水素が混合する場合がある。このカソード側の排出空気への水素の混合については、次の図8に示されるような要因が挙げられる。1つには、図8(a)に示されるように、燃料電池10が濃淡電池として作用する場合である。
燃料電池10は、アノードとカソードとによりプロトン伝導性を有する高分子電解質膜53を挟んでなる基本構成となっているが、水素が供給されるアノード側の水素濃度α1が、カソード側の水素濃度α2よりも大きい場合、この濃度差によってアノードとカソードとの間に起電力が発生する。
そして、この起電力が推進力となって、アノード側の水素が、プロトン状態(H+)にて電解質膜53を通りカソード側へ拡散移動する。そのため、カソード側に水素が発生し、カソード側からの排出空気中に水素が混合する。
また、図8(b)に示されるように、クロスリークによる場合がある。これは、アノード側の圧力P1とカソード側の圧力P2との圧力差によってアノードおよびカソードのどちらか一方から他方へ、水素がそのまま電解質膜53の分子間を透過するものである。
たとえば、車両搭載された燃料電池システムにおいて、車両停止時などに水素供給経路30における水素の供給を停止すると、アノード側である水素供給経路30の圧力P1が、カソード側である空気供給経路20の圧力P2よりも大きくなる。すると、アノード側の水素が、そのまま電解質膜53を通りカソード側へ移動することにより、カソード側からの排出空気中に水素が混合する。
さらには、図8には示さないが、電解質膜53にピンホールが存在する場合も、アノード側の水素が、そのまま電解質膜53を通りカソード側へ移動することにより、カソード側からの排出空気中に水素が混合する。
このように、濃淡電池、クロスリーク、ピンホールといった要因により、希釈用空気として用いられるカソード側の排出空気への水素の混合が生じる。その場合、大気中へ排出する水素を希釈するために空気供給経路20から必要以上の空気を取り込まなければならず、そのための消費電力の増加などが問題になる。
本発明は、上記した問題に鑑みてなされたものであり、水素および空気が供給され当該供給された水素と空気中の酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池と、燃料電池から電気化学反応後の水素および空気を排出する排出部と、を備える燃料電池システムにおいて、水素の大気中への排出量を極力低減し、水素の有効利用を図ることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池(10)と、反応後の水素および空気を排出する排出部(40)とを備える燃料電池システムにおいて、排出部(40)に、電圧の印加による水素のポンピング作用により排出部(40)中のガスから水素のみを分離する水素ポンピング部(50)が設けられ、水素ポンピング部(50)にて分離された水素を燃料電池(10)の水素供給経路(30)へ戻す戻し経路(55)が設けられ、水素ポンピング部(50)に印加する電圧を制御する制御部(60)が設けられていることを第1の特徴とする。
それによれば、排出部(40)には、燃料電池(10)から反応後の水素や空気などのガスが流れるが、制御部(60)によって水素ポンピング部(50)に電圧を印加することにより、この排出部(40)中のガスから実質的に水素のみを分離することができる。分離された水素は、戻し経路(55)を介して燃料電池(10)の水素供給経路(30)へ戻されるため、再利用でき、希釈用空気が実質的に不要となる。
このように、本発明によれば、燃料電池システムにおいて、排出部(40)に排出された水素を再利用できるため、水素の大気中への排出量を極力低減し、水素の有効利用を図ることができる。
ここで、具体的には、水素ポンピング部(50)としては、プロトン伝導膜(53)と、このプロトン伝導膜(53)を挟む第1の電極(51)および第2の電極(52)とを備え、両電極(51、52)に電圧を印加することにより、第1の電極(51)に接した水素をプロトンと電子に分離させ、当該プロトンをプロトン伝導膜(53)を通して第2の電極(52)に移動させて再度水素に戻すものとすることができる。
また、本発明は、上記第1の特徴を有する燃料電池システムにおいて、水素ポンピング部(50)に供給される排出部(40)中のガスの水素濃度を検出する水素濃度検出手段(70)を備え、制御部(60)は、水素濃度検出手段(70)にて求められた水素濃度に基づき、水素ポンピング部(50)に印加する電圧の制御を行うことを第2の特徴とする。
それによれば、排出部(40)中のガスの水素濃度に応じて、水素ポンピング部(50)による適切な水素分離が可能になる。
また、本発明は、上記第1の特徴または第2の特徴を有する燃料電池システムにおいて、燃料電池(10)の温度を検出する電池温度検出手段(72)を備え、制御部(60)は、電池温度検出手段(72)にて求められた燃料電池(10)の温度に基づき、水素ポンピング部(50)に印加する電圧の制御を行うことを第3の特徴とする。
さらに、本発明は、上記第1から第3の特徴を有する燃料電池システムにおいて、燃料電池(10)の電圧を検出する電池電圧検出手段(71)を備え、制御部(60)は、電池電圧検出手段(71)にて求められた燃料電池(10)の電圧に基づき、水素ポンピング部(50)に印加する電圧の制御を行うことを第4の特徴とする。
これら第3および第4の特徴点は、一般に上述した濃淡電池の反応が、燃料電池の低温低効率発電時に発生しやすいことに鑑みたものである。上述した濃淡電池の反応は、燃料電池が低温であるほど、または、出力が低いほど顕著になるため、燃料電池(10)の温度や電圧に基づき、水素ポンピング部(50)に印加する電圧の制御を行うようにすれば、適切な水素分離が可能となる。
また、本発明は、上記水素濃度検出手段(70)を備えるという第2の特徴を有する燃料電池システムにおいて、当該水素濃度検出手段は、排出部(40)に設けられ被水防止構造を有する水素濃度センサ(70)であることを第5の特徴とする。
排出部(40)中のガスに含まれる水によって水素濃度センサ(70)が被水した場合、この被水した状態でたとえば0℃以下の温度となったとき、センサが凍結して作動不能となる恐れがある。
その点、被水防止構造を有するものとすれば、水素濃度センサ(70)が被水せず、また、0℃以下の凍結によるセンサの作動不能を回避し、0℃以下の低温始動時に水素の検出を可能にすることができる。ここで、具体的な被水防止構造としては、バイメタル式や機械式のものを採用できる。
また、本発明は、上記第1の特徴を有する燃料電池システムにおいて、制御部(60)は、水素ポンピング部(50)の濃淡電位を検出し、この検出された濃淡電位に基づき、水素ポンピング部(50)に印加する電圧の制御を行うものであることを第6の特徴とする。
水素ポンピング部(50)の濃淡電位を検出すれば、検出された濃淡電位から水素ポンピング部(50)周囲のガスの水素濃度すなわち水素ポンピング部(50)に供給される排出部(40)中のガスの水素濃度を推定することができる。そのため、上記したような水素濃度検出手段を不要としつつ、水素ポンピング部(50)による適切な水素分離が可能になる。
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各図相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
[構成等]
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池システムの全体構成を示す概略図である。本燃料電池システムは、たとえば燃料電池を電源として走行する電気自動車(燃料電池車両)に適用したものである。
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池システムの全体構成を示す概略図である。本燃料電池システムは、たとえば燃料電池を電源として走行する電気自動車(燃料電池車両)に適用したものである。
本燃料電池システムは、燃料電池10と、燃料電池10に空気を供給する空気供給経路20および水素を供給する水素供給経路30と、燃料電池10から反応後の空気および水素を排出する排出部40とを備えている。
燃料電池10は、水素と酸素との電気化学反応を利用して電力を発生するもので、この燃料電池10は、図示しない車両走行用の電動モータ(負荷)や2次電池等の電気機器に電力を供給するものである。
本実施形態では、燃料電池10として固体高分子電解質型燃料電池を用いており、基本単位となるセルが複数積層されて構成されている。各セルは、電解質膜が一対の電極で挟まれた構成となっている。このような燃料電池10では、以下の水素と酸素の電気化学反応が起こり電気エネルギーが発生する。
(負極側)H2→2H++2e-
(正極側)2H++1/2O2 +2e-→H2O
また、燃料電池システムにおける燃料ガスの供給部として、燃料電池10の酸素極であるアノード電極11(正極)側に空気(酸素)を供給するための空気供給経路20と、燃料電池10の水素極であるカソード電極12(負極)側に水素を供給するための水素供給経路30とが設けられている。
(正極側)2H++1/2O2 +2e-→H2O
また、燃料電池システムにおける燃料ガスの供給部として、燃料電池10の酸素極であるアノード電極11(正極)側に空気(酸素)を供給するための空気供給経路20と、燃料電池10の水素極であるカソード電極12(負極)側に水素を供給するための水素供給経路30とが設けられている。
空気供給経路20には、図示しない空気供給用のコンプレッサなどからなる空気ポンプが設けられており、燃料電池10の通常運転時には空気が導入される。また、水素供給経路30には水素供給用の水素ポンプ31が設けられており、この水素ポンプ31によって通常運転時には図示しない水素供給装置より水素が供給される。
なお、発電ロスを抑制すべく、燃料電池10の内部抵抗を下げるために、燃料電池10内の電解質膜を水分を含んだ状態にしておく必要がある。このため、通常運転時において燃料電池10には加湿された空気および水素が供給される。これにより、燃料電池10内部は湿潤状態で作動することとなる。
また、排出部40は、排出経路21、22、水素循環経路32、水素排出経路33、水素放出バルブ34、気液分離器23、マフラー24を備えて構成されている。なお、図1に示される各経路は、配管等の接続により互いに連結されて構成されている。
排出経路21、22は、燃料電池10のカソード電極11側から、酸素が消費されて窒素が主成分となった排出空気が排出される経路であり、後述する水素ポンピング部50の上流側に位置するポンピング部上流側排出経路21と、下流側に位置するポンピング部下流側排出経路22とからなる。
ポンピング部下流側排出経路22には、気液分離器23が介在設定されており、この気液分離器23によって排出ガス中の水分は分離される。そして、図示しないが、ここで分離された水は、回収され、上述したように燃料電池10へ供給される空気や水素を加湿するために用いられるようになっている。
また、ポンピング部下流側排出経路22において、気液分離器23の下流にはマフラー24が設けられているが、このマフラー24は排気における騒音低減の役割を果たすものである。
水素循環経路32および水素排出経路33は、燃料電池10のアノード電極12側から発電運転で消費されなかった水素が排出される経路である。水素放出バルブ34は、これら水素循環経路32と水素排出経路33との間に介在設定され、閉状態ではこれら両経路32、33を遮断し、開状態ではこれら両経路32、33を連通する。
水素放出バルブ34が閉まっているとき、燃料電池10のアノード電極12側から排出された水素は、水素循環経路32を介して水素ポンプ31によって水素供給経路30へ戻されるようになっている。
一方、水素放出バルブ34が開いているとき、燃料電池10のアノード電極12側から排出された水素は、水素循環経路32から水素排出経路33を通り、水素排出経路33と接続されているポンピング部上流側排出経路21へ流れ込むようになっている。
また、本燃料電池システムにおいては、排出部40においてポンピング部上流側排出経路21とポンピング部下流側排出経路22との間に、上記水素ポンピング部50が介在設定されている。この水素ポンピング部50は、電圧の印加による水素のポンピング作用によりポンピング部上流側排出経路21中のガスから水素のみを分離するものである。
また、本燃料電池システムは、水素ポンピング部50への電圧の印加を行うための制御部60を備えている。この制御部60は、たとえば車両のECUなどからなるものであり、水素ポンピング部50に印加する電圧を制御可能となっている。
さらに、水素ポンピング部50にて分離された水素を燃料電池10の水素供給経路30へ戻す戻し経路55が設けられている。この戻し経路55は、水素ポンピング部50からの水素を水素ポンプ31を介して水素供給経路30に導入できるようになっている。
ここで、図2は、図1中の水素ポンピング部50の概略断面構成を示す図である。本実施形態の水素ポンピング部50は、具体的には、図2に示されるように、プロトン伝導膜53と、このプロトン伝導膜53を挟む第1の電極51および第2の電極52とを備えたものである。
そして、水素ポンピング部50は、制御部60によって両電極51、52間に電圧Vpが印加されることで作動するようになっている。この電圧Vpの印加により、ポンピング部上流側排出経路21にて第1の電極51に接したガス中の水素(H2)は、プロトン(H+)と電子(e-)に分離し、当該プロトンはプロトン伝導膜53を通して第2の電極52に移動し、そこで再度水素に戻る。
そして、水素が除去されたポンピング部上流側排出経路21のガスは、図2中の矢印Aに示されるように、ポンピング部下流側排出経路22へ流れていく。一方、第2の電極52に発生した水素は、図2中の矢印Bに示されるように、戻し経路55を流れ水素供給経路30へと戻されていく。
また、水素ポンピング部50における両電極51、52間に電圧Vpが印加されないとき、すなわち非作動時には、水素ポンピング部50による水素分離はなされず、水素を含むポンピング部上流側排出経路21のガスは、そのまま、図2中の矢印Aに示されるように、ポンピング部下流側排出経路22へ流れていく。
ここで、両電極51、52間に印加される電圧Vpと両電極間51、52に流れる電流すなわちポンピング電圧とポンピング電流との一般的な関係を図3に示す。図3に示されるように、ポンピング電圧を大きくすると、ポンピング電流もほぼ比例して大きくなっていく。
ここで、ポンピング電流は水素移動量に比例する。詳しくは、H2→2H++2e-、の反応により水素分離がなされるため、水素移動量とポンピング電流との関係は、次の関係式で表される。
水素移動量[g]/秒=ポンピング電流[A]/(2×96500)[C]×2[g]
つまり、ポンピング電圧を大きくするにつれて、水素ポンピング部50による水素分離が促進されることになる。
つまり、ポンピング電圧を大きくするにつれて、水素ポンピング部50による水素分離が促進されることになる。
このようなプロトン伝導膜53を第1および第2の電極51、52にて挟んでなる水素ポンピング部50は、上記した固体高分子電解質型燃料電池における一般的なセル構成と同様の構成とすることができる。
具体的には、プロトン伝導膜53は、フッ素系イオン交換樹脂などのイオン導電性を有する高分子電解質膜により構成することができ、一般にパーフルオロスルホン酸膜などが用いられる。
また、第1の電極51および第2の電極52は、燃料電池におけるアノード電極およびカソード電極と同様に、電気化学反応を担う触媒層と集電体として機能する拡散層とにより構成されたものにできる。詳しくは、第1の電極51および第2の電極52ともに、高分子電解質膜であるプロトン伝導膜53側から順に触媒層と拡散層とが積層されたものにできる。
拡散層は、たとえば炭素繊維からなる糸で織成したカーボンペーパーやカーボンフェルト、カーボンクロスなどにより形成されている。
そして、触媒層は、この拡散層の表面に、触媒としての白金または白金と他の金属とからなる合金を塗布してなるものである。塗布は、白金または白金と他の金属とからなる合金を担持したカーボン粉を作製し、このカーボン粉を適当な有機溶剤に分散させてペースト化し、これを印刷する方法などによって行なえる。
また、本燃料電池システムにおいては、ポンピング部上流側排出経路21内において水素排出経路33との接続部と、水素ポンピング部50との間の部位に、水素濃度センサ70が設けられている。
この水素濃度センサ70は、水素ポンピング部50に供給される排出部40中のガスの水素濃度を検出する水素濃度検出手段として構成されている。この水素濃度センサ70は、燃料電池システムの分野において通常用いられる構成のものにでき、たとえば、触媒による水素の燃焼反応を利用して水素濃度を検出するものにできる。
そして、この水素濃度センサ70からの信号は、制御部60に送られるようになっており、制御部60は、水素濃度センサ70にて求められた水素濃度に基づき、水素ポンピング部50に印加する電圧の制御を行うようになっている。
また、本燃料電池システムは、燃料電池10の電圧(出力電位)を検出する電池電圧検出手段としての電圧センサ71および燃料電池10の温度を検出する電池温度検出手段としての温度センサ72を備えている。これら各センサ71、72としては、燃料電池10の電圧や温度に対応した信号を出力する一般的なものを採用することができる。
そして、これら電圧センサ71、温度センサ72からの信号は、それぞれ制御部60に送られるようになっており、制御部60は、それぞれのセンサ71、72にて求められた燃料電池10の電圧や温度に基づき、水素ポンピング部50に印加する電圧の制御を行うようになっている。
このように制御部60は、各センサ70〜72からの信号を受けて水素ポンピング部50の印加電圧(ポンピング電圧)Vpを制御する。また、制御部60は、それ以外にも、上記負荷や2次電池に関する制御や、各種ポンプやバルブの制御など、燃料電池システム全般の各種制御を行うように構成されている。
ここで、上記各センサ70〜72からの信号が制御部60に入力されるが、水素濃度とポンピング電圧、燃料電池10の電圧とポンピング電圧、燃料電池10の温度とポンピング電圧との関係を、それぞれおおよそ直線的な比例関係にあるものとし、制御部60は、得られた上記信号によって、水素濃度、燃料電池10の電圧、燃料電池10の温度に対して一義的にポンピング電圧を決定する。
たとえば、水素濃度とポンピング電圧とでは、水素濃度が大きくなるほどポンピング電圧を比例的に大きくする。ただし、水素濃度が非常に小さくセンサの不感帯となった場合には、ポンピング電圧も0とする。
また、燃料電池10の電圧とポンピング電圧とでは、燃料電池10の電圧が低くなるほどポンピング電圧を比例的に大きくする。また、燃料電池10の温度とポンピング電圧とでは、燃料電池10の温度が低くなるほどポンピング電圧を比例的に大きくする。これらの場合も、ある程度、燃料電池10の電圧や温度が高くなった場合には、しきい値を設けておき、そのしき値以上になったらポンピング電圧を0にする。
本実施形態では、水素濃度信号、燃料電池10の電圧信号および温度信号の3つの信号が、制御部60に入ってくるが、ポンピング電圧の決定は、これら3つの信号のすべてを同時に考慮するのではなく、たとえば、本実施形態においては、排出部40中のガスの水素濃度を知る上で最も直接的な水素濃度信号に基づいてポンピング電圧を決定する。
そして、水素濃度センサ70が故障するなどにより水素濃度信号が制御部に入ってこない場合には、燃料電池10の電圧信号に基づいて本ピング電圧を決定する。さらに、水素濃度信号、燃料電池10の電圧信号の両方が入ってこない場合には、燃料電池10の温度信号に基づいて本ピング電圧を決定する。
このように水素濃度信号を優先し、次に燃料電池10の電圧信号、その次に燃料電池10の温度信号を採用するものとしているが、その優先順は、適宜変更してもよい。
[作動等]
かかる燃料電池システムは、車両のイグニッションスイッチをONすると運転を開始する。まず、各種ポンプが作動し、空気供給経路20および水素供給経路30からそれぞれ空気および水素が燃料電池10のカソード電極11側およびアノード電極12側へ供給され、燃料電池10において発電が行われる。
かかる燃料電池システムは、車両のイグニッションスイッチをONすると運転を開始する。まず、各種ポンプが作動し、空気供給経路20および水素供給経路30からそれぞれ空気および水素が燃料電池10のカソード電極11側およびアノード電極12側へ供給され、燃料電池10において発電が行われる。
このとき、燃料電池10の発電が通常の状態で行われているときは、水素放出バルブ34は閉状態であり、燃料電池10のアノード電極12側から排出された水素は、水素循環経路32、水素供給経路30を介して再び燃料電池10内に循環供給され、燃料ガスとして再利用される。
そして、燃料電池10の発電が続き水素ガスが循環している間は、水素以外の不純物、たとえばカソード電極11からの高分子電解質膜を透過してきた窒素などが消費されずに残留していき、循環ガス中の不純物濃度が徐々に増大する。そのため、燃料電池10の電圧が低下する。
この燃料電池10の電圧低下が電圧センサ71で検知されると、その信号が制御部60へ送られ、制御部60は水素放出バルブ34を開状態とする。すると、燃料電池10のアノード電極12側から排出された水素は、水素循環経路32から水素排出経路33を通り、ポンピング部上流側排出経路21へ流れ込む。
一方、ポンピング部上流側排出経路21における水素ポンピング部50の近傍にて、水素濃度センサ70による水素濃度のモニタがなされており、この水素濃度センサ70からの信号が制御部60に送られている。また、これと並行して電圧センサ71、温度センサ72による燃料電池10の電圧、温度がモニタされており、これらの電圧信号、温度信号がそれぞれ制御部60に送られている。
そして、制御部60は、これら各信号にて求められた水素濃度や燃料電池10の電圧、温度に基づき、水素ポンピング部50に印加する電圧の制御を行うことで、排出部40中のガスの水素濃度や燃料電池10の電圧、温度に応じて、水素ポンピング部50による適切な水素分離を可能としている。
上述したように、燃料電池10における濃淡電池の反応やクロスリーク、ピンホールの発生により、燃料電池10のカソード電極11側からポンピング部上流側排出経路21へ排出されるガス中にも、水素が入り込み、排出部40中のガスにおける水素濃度が上昇する。
また、燃料電池10のアノード電極12側から排出された水素を、水素循環経路32から水素排出経路33を介してポンピング部上流側排出経路21へ排出した場合には、さらに排出部40中のガスにおける水素濃度が大きくなる。
このような排出部40中のガスにおける水素濃度の上昇を検知して、制御部60により水素ポンピング部50を作動させる。それにより、上記図2に示したように、排出部40中のガスに含まれる水素が分離され、戻し経路55から水素ポンプ31を介して水素供給経路30へ戻される。そして、戻された水素は、燃料電池10の燃料ガスとして再利用される。
なお、上述したように、水素ポンピング部50の作動時には、水素が除去されたポンピング部上流側排出経路21のガスは、ポンピング部下流側排出経路22へ流れ、気液分離器23にて処理され、マフラー24から大気中へ排出される。また、水素ポンピング部50の非作動時には、そのまま大気中へ排出しても問題ないレベルの含有水素量を持ったガスが、同じように排気される。
[効果等]
ところで、本実施形態によれば、水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池10と、反応後の水素および空気を排出する排出部40とを備える燃料電池システムにおいて、排出部40に、電圧の印加による水素のポンピング作用により排出部40中のガスから水素のみを分離する水素ポンピング部50が設けられ、水素ポンピング部50にて分離された水素を燃料電池10の水素供給経路30へ戻す戻し経路55が設けられ、水素ポンピング部50に印加する電圧を制御する制御部60が設けられていることを特徴とする燃料電池システムが提供される。
ところで、本実施形態によれば、水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池10と、反応後の水素および空気を排出する排出部40とを備える燃料電池システムにおいて、排出部40に、電圧の印加による水素のポンピング作用により排出部40中のガスから水素のみを分離する水素ポンピング部50が設けられ、水素ポンピング部50にて分離された水素を燃料電池10の水素供給経路30へ戻す戻し経路55が設けられ、水素ポンピング部50に印加する電圧を制御する制御部60が設けられていることを特徴とする燃料電池システムが提供される。
それによれば、水素ポンピング部50により、排出部40中のガスから実質的に水素のみを分離することができ、分離された水素は、戻し経路55を介して水素供給経路30へ戻されるため、再利用できる。そのため、希釈用空気が実質的に不要となり、そもそも、従来のような希釈器も不要となる。
このように、本実施形態によれば、燃料電池システムにおいて、反応後のガスを排出するための排出部40に排出された水素を再利用できるため、水素の大気中への排出量を極力低減し、水素の有効利用を図ることができる。
また、本実施形態の燃料電池システムにおいては、水素ポンピング部50に供給される排出部40中のガスの水素濃度を検出する水素濃度検出手段としての水素濃度センサ70を備え、制御部60は、水素濃度センサ70にて求められた水素濃度に基づき、水素ポンピング部50に印加する電圧の制御を行うことも特徴のひとつである。
たとえば、水素濃度センサ70により求められる水素濃度が大きいほど、排出部40中のガスの水素濃度が大きいことであるから、制御部60によって水素ポンピング部50に印加する電圧を大きくして水素の分離を促進するようにする。
また、水素濃度センサ70により求められる水素濃度が比較的小さい場合は、制御部60によって水素ポンピング部50に印加する電圧を小さくしたり、また、当該水素濃度が問題ないほど小さなレベルである場合は、水素ポンピング部50に電圧を印加しないようにすることで、消費電力等の低減にもつながる。つまり、本実施形態によれば、排出部40中のガスの水素濃度に応じて、水素ポンピング部50による適切な水素分離が可能になる。
また、本実施形態の燃料電池システムにおいては、燃料電池10の温度を検出する電池温度検出手段としての温度センサ72を備え、制御部60は、温度センサ72にて求められた燃料電池10の温度に基づき、水素ポンピング部50に印加する電圧の制御を行うようにしたことも特徴のひとつである。
さらに、本実施形態の燃料電池システムにおいては、燃料電池10の電圧を検出する電池電圧検出手段としての電圧センサ71を備え、制御部60は、電圧センサ71にて求められた燃料電池10の電圧に基づき、水素ポンピング部50に印加する電圧の制御を行うようにしたことも特徴のひとつである。
上述した濃淡電池の反応(図8参照)は、燃料電池が低温であるほど、または、出力が低いほど顕著になる。つまり、燃料電池10の発電が低温で行われるほど、また、出力が低く低効率の発電であるほど、濃淡電池の濃度差が大きくなるため、カソード電極11側へ水素が発生し、排出経路21中のガスの水素濃度が大きくなりやすい。
そこで、温度センサ72にて求められる燃料電池10の温度が低いほど、または、電圧センサ71にて求められる燃料電池10の電圧が低いほど、これらの信号を受けて制御部60は、水素ポンピング部50への印加電圧を大きくし、水素分離を促進させればよい。逆に、燃料電池10の温度や電圧が高い場合には、水素ポンピング部50への印加電圧を小さく、水素分離を抑えることで消費電力の低減等につながる。
また、上記図7に示されるような従来の構成の場合、車両のイグニッションスイッチOFF時は、燃料電池を含めた水素の流通経路が空気に置換され、発電開始時に水素を燃料電池10の各セルに改めて配分する必要があるが、本実施形態の構成の場合、水素ポンピング部50をイグニッションスイッチOFF時も作動状態にしておくと、燃料電池10に対して副次的に水素の循環流が生じるため、各セルへの水素の配分が均一化され、発電始動性の向上が期待できる。
[変形例]
次に、本実施形態の燃料電池システムにおける種々の変形例について、各図を参照して述べる。
次に、本実施形態の燃料電池システムにおける種々の変形例について、各図を参照して述べる。
上述したように、燃料電池システムの運転時において燃料電池10には加湿された空気および水素が供給され、また、カソード電極11側の電気化学反応では水が発生する。そのため、ポンピング部上流側排出経路21内に設けられている水素濃度センサ70は、ポンピング部上流側排出経路21内を流れるガスに含まれる水分により被水し、作動不能となる恐れがある。
たとえば、水素濃度センサ70が被水し、その状態で0℃以下の温度となったとき、センサが凍結して作動不能となりやすい。そこで、水素濃度センサ70を排出部40に設ける場合、被水防止構造とすることが好ましい。
図4は、バイメタル式の被水防止構造を有する水素濃度センサ70の例を示す概略図であり、図5は、機械式の被水防止構造を有する水素濃度センサ70の例を示す概略図である。
図4に示される例では、水素濃度センサ70における被水防止構造は、水素濃度センサ70を被覆するバイメタルよりなる被覆部材70bを備えるものであって、この被覆部材70b自身の温度変化による変形により、被覆部材70bの開閉が行われるようになっている。
具体的には、水素濃度センサ70はたとえば筒状のケース70aに収納されており、そのケース70aにおけるガスの進行方向に開口した開口部に、バイメタルよりなる被覆部材70bが溶接や接着などにより接続されている。
なお、バイメタルとは、一般的に知られているように、線膨張係数の異なる2種類の金属板を貼り合わせたもので、温度の変化とともに、反り、湾曲といった変形が生じるものである。
ここで、排出部40内、本例ではポンピング部上流側排出経路21内に設けられた水素濃度センサ70は、水を含んだガスにさらされやすいが、たとえば0℃程度の低温時では、飽和蒸気圧が非常に小さく当該ガス中に含まれる水はほとんどないため、被水の可能性が小さく、水素濃度センサ70はガスにさらされてもよい。
そして、上記したように燃料電池10における濃淡電池の反応は、むしろ0℃程度の低温で発生しやすいため、水素濃度センサ70によるガスの水素濃度検出は、低温時でこそ必要となり、高温時ではさほど必要はない。
そのため、本例では、被覆部材70bは、図4中の破線に示されるように、被水の可能性が小さく且つ水素検出の必要性が大きい低温時には、水素濃度センサ70を被覆した開状態となっており、被水の可能性が高く且つ水素検出の必要性が小さい高温時には、熱により変形して図4中の実線に示されるように閉状態となる。
高温時における被覆部材70bの閉状態では、水を含んだガスから水素濃度センサ70が遮蔽されているため、水素濃度検出はできないが、水素濃度センサ70は被水しない。また、低温時における被覆部材70bの開状態では、被水の心配はなく、適切に水素濃度検出を行える。
図5に示される例では、水素濃度センサ70における被水防止構造は、水素濃度センサを被覆する被覆部材としてのスライド窓70cを備えるものであって、制御部60からの信号により、スライド窓70cの開閉が機械的に行われるようになっている。
具体的には、水素濃度センサ70はケース70aに収納されており、そのケース70aにおけるガスの進行方向に面した端面には、ガスを導入するためのガス導入孔70dおよびこのガス導入孔70dを開閉するスライド窓70cが設けられている。スライド窓70cは、図5中の上下にスライド可能に取り付けられたもので、図示の状態はスライド窓70cの開状態である。
このスライド窓70cは、駆動部70eによりスライドするようになっている。たとえば、スライド窓70cは、電動式のシャッターのごとく構成されたものにできる。
駆動部70eは、たとえばスプリング式のアクチュエータであり、制御部60により作動制御されるようになっている。また、ポンピング部上流側排出経路21内のガスの温度を検出するためのガス温度センサ70fが設けられている。
このガス温度センサ70fからの信号は制御部60に送られるようになっており、制御部60は、この信号すなわちポンピング部上流側排出経路21内のガスの温度に基づいて、駆動部70eを制御するようになっている。
つまり、被水の可能性が高く且つ水素検出の必要性が小さい高温時には、制御部60は、駆動部70eを介してスライド窓70cを閉状態としてガス導入孔70dを閉じることにより、水を含んだガスから水素濃度センサ70を遮蔽する。そのため、水素濃度センサ70は被水しない。
そして、被水の可能性が小さく且つ水素検出の必要性が大きい高温時には、制御部60は、駆動部70eを介してスライド窓70cを開状態としてガス導入孔70dを開放することにより、水素濃度検出を可能とする。
これら図4、図5に示されるような被水防止構造を有するものとすれば、水素濃度センサ70が被水せず、また、0℃以下の凍結によるセンサの作動不能を回避し、0℃以下の低温始動時に水素の検出を可能にすることができる。
また、本実施形態の燃料電池システムにおいては、制御部60は、水素ポンピング部50の濃淡電位を検出し、この検出された濃淡電位に基づき、水素ポンピング部50に印加する電圧の制御を行うものとしてもよい。
図6は、水素ポンピング部50の濃淡電位を検出する場合の要部構成を示す図である。水素ポンピング部50の両電極51、52間の濃淡電位を測定するための濃淡電位センサ54が設けられている。この濃淡電位センサ54としては通常の電圧計などを採用することができる。
そして、この濃淡電位センサ54からの信号は制御部60に送られるようになっており、制御部60は、この信号から求められる水素ポンピング部50の濃淡電位に基づいて、水素ポンピング部50に印加する電圧を制御するようになっている。
ここで、水素ポンピング部50の濃淡電位が求められれば、濃淡電池において両電極側の濃度比を用いて表した一般的な濃淡電位(起電力)の式から、濃淡電池としての水素ポンピング部50の両電極側の濃度比が求められる。この濃度比すなわち濃淡電位が大きいほど、水素ポンピング部50に供給されるポンピング部上流側排出経路21中のガスの水素濃度が大きいことになる。
すなわち、この図6に示される例では、検出された濃淡電位から水素ポンピング部50に供給される排出部40中のガスの水素濃度を推定することができる。そのため、上記したような水素濃度検出手段を不要としつつ、水素ポンピング部50による適切な水素分離が可能になる。
(他の実施形態)
なお、水素ポンピング部としては、上記図2に示されるようなプロトン伝導膜53を第1の電極51および第2の電極52で挟んでなる構成に限定されず、電圧の印加による水素のポンピング作用により排出部40中のガスから水素のみを分離できるものであるならば、それ以外のものでもよい。
なお、水素ポンピング部としては、上記図2に示されるようなプロトン伝導膜53を第1の電極51および第2の電極52で挟んでなる構成に限定されず、電圧の印加による水素のポンピング作用により排出部40中のガスから水素のみを分離できるものであるならば、それ以外のものでもよい。
また、水素濃度検出手段は、上記した水素濃度センサ70に限定されるものではなく、水素ポンピング部50に供給される排出部40中のガスの水素濃度を検出するものならばかまわない。
また、電池温度検出手段、電池電圧検出手段は、上記温度センサ72、上記電圧センサ71に限定されるものではなく、それぞれ、燃料電池10の温度を検出可能なもの、燃料電池10の出力電圧を検出可能なものであればかまわない。
また、図1に示される燃料電池システムでは、水素濃度検出手段70、電池温度検出手段72、電池電圧検出手段71の3つにより制御部60を介した水素ポンピング部50の印加電圧制御を行っていたが、これら3つの手段のうちいずれか1つのみを備えたものであってもよい。
以上、本発明は、水素および空気が供給され当該供給された水素と空気中の酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池と、燃料電池から電気化学反応後の水素および空気を排出する排出部とを備える燃料電池システムにおいて、排出部に設けられ、電圧の印加による水素のポンピング作用により排出部中のガスから水素のみを分離する水素ポンピング部と、水素ポンピング部にて分離された水素を燃料電池の水素供給経路へ戻す戻し経路と、水素ポンピング部に印加する電圧を制御する制御部とを備えることを要部とするものであり、その他の部分は適宜設計変更が可能である。
10…燃料電池、40…排出部、50…水素ポンピング部、51…第1の電極、
52…第2の電極、53…プロトン伝導膜、55…戻し経路、60…制御部、
70水素濃度検出手段としての水素濃度センサ、
70b…バイメタルよりなる被覆部材、70c…被覆部材としてのスライド窓、
71…電池電圧検出手段としての電圧センサ、
72…電池温度検出手段としての温度センサ。
52…第2の電極、53…プロトン伝導膜、55…戻し経路、60…制御部、
70水素濃度検出手段としての水素濃度センサ、
70b…バイメタルよりなる被覆部材、70c…被覆部材としてのスライド窓、
71…電池電圧検出手段としての電圧センサ、
72…電池温度検出手段としての温度センサ。
Claims (9)
- 水素および空気が供給され当該供給された水素と空気中の酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池(10)と、
前記燃料電池(10)から前記電気化学反応後の水素および空気を排出する排出部(40)と、を備える燃料電池システムにおいて、
前記排出部(40)には、電圧の印加による水素のポンピング作用により前記排出部(40)中のガスから水素のみを分離する水素ポンピング部(50)が設けられており、
前記水素ポンピング部(50)にて分離された水素を前記燃料電池(10)の水素供給経路(30)へ戻す戻し経路(55)が設けられており、
前記水素ポンピング部(50)に印加する電圧を制御する制御部(60)が設けられていることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記水素ポンピング部(50)に供給される前記排出部(40)中のガスの水素濃度を検出する水素濃度検出手段(70)を備え、
前記制御部(60)は、前記水素濃度検出手段(70)にて求められた前記水素濃度に基づき、前記水素ポンピング部(50)に印加する電圧の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記水素濃度検出手段は、前記排出部(40)に設けられ被水防止構造を有する水素濃度センサ(70)であることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記水素濃度センサ(70)における前記被水防止構造は、前記水素濃度センサ(70)を被覆するバイメタルよりなる被覆部材(70b)を備えるものであって、
前記被覆部材(70b)自身の温度変化による変形により、前記被覆部材(70b)の開閉が行われるようになっていることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。 - 前記水素濃度センサ(70)における前記被水防止構造は、前記水素濃度センサを被覆する被覆部材(70c)を備えるものであって、
前記制御部(60)からの信号により、前記被覆部材(70c)の開閉が機械的に行われるようになっていることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池(10)の温度を検出する電池温度検出手段(72)を備え、
前記制御部(60)は、前記電池温度検出手段(72)にて求められた前記燃料電池(10)の温度に基づき、前記水素ポンピング部(50)に印加する電圧の制御を行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池(10)の電圧を検出する電池電圧検出手段(71)を備え、
前記制御部(60)は、前記電池電圧検出手段(71)にて求められた前記燃料電池(10)の電圧に基づき、前記水素ポンピング部(50)に印加する電圧の制御を行うことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の燃料電池システム。 - 前記水素ポンピング部(50)は、プロトン伝導膜(53)と、このプロトン伝導膜(53)を挟む第1の電極(51)および第2の電極(52)とを備えるものであり、
前記両電極(51、52)に電圧を印加することにより、前記第1の電極(51)に接した水素をプロトンと電子に分離させ、当該プロトンを前記プロトン伝導膜(53)を通して前記第2の電極(52)に移動させて再度水素に戻すものであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の燃料電池システム。 - 前記制御部(60)は、前記水素ポンピング部(50)の濃淡電位を検出し、検出された濃淡電位に基づき、前記水素ポンピング部(50)に印加する電圧の制御を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
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-
2005
- 2005-06-15 JP JP2005174988A patent/JP2006351324A/ja not_active Withdrawn
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