JP2006351159A - 光情報記録媒体の製造に適した光硬化性転写円盤シートの製造方法、及び該製造方法により製造された光硬化性転写円盤シート - Google Patents

光情報記録媒体の製造に適した光硬化性転写円盤シートの製造方法、及び該製造方法により製造された光硬化性転写円盤シート Download PDF

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Abstract

【課題】
搬送下の長尺状の光硬化性転写材シートの連続的な処理に適し、打ち抜き加工において打ち抜き深さの精度を達成し、打ち抜き断面の押しつぶしを回避し、且つ、円盤形状の真円の精度をさらに高めた、光硬化性転写円盤シートの製造方法を提供すること。
【解決手段】
搬送下の光硬化性転写材シートの表面に、表面に突出した打ち抜き刃を有するロールを、搬送に同期して回転させて押し当てることによって、前記光硬化性転写材シートを円盤状に打ち抜きする打ち抜き加工を行って光硬化性転写円盤シートを製造する方法であって、
前記ロールの表面の平面展開図における、前記打ち抜き刃の刃先の平面視の形状が、前記光硬化性転写材シートの搬送方向に長い楕円形状を有することを特徴とする製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)等の大容量の文字、音声、動画像等の情報をディジタル信号として記録された及び/又は記録可能な光情報記録媒体の製造に有利に使用される光硬化性転写円盤シート、及びその製造方法に関する。
ディジタル信号として表面にピット形成された記録済み光情報記録媒体として、オーディオ用CD、CD−ROMが広く使用されているが、最近、動画像と記録も可能な両面にピット記録がなされたDVDが、CDの次世代記録媒体として注目され、すでに使用されている。またピット及びグルーブが形成されたユーザが記録可能なCD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW等もすでに使用されるようになっている。
両面読み出しDVDの製造は、従来、一般に信号ビットの凹凸が雄雌反対の凹凸を有するスタンパを用いて、ポリカーボネート樹脂を溶融し、射出成形することにより表面に凹凸を有する透明樹脂基板を作製し、この凹凸表面にアルミニウム等の金属をスパッタリング等により蒸着することによって反射層を形成し、この反射層が形成された透明樹脂基板2枚を反射層を対向させて接着剤で貼り合わせることにより行われていた。
2002年2月10日に次世代光ディスクの統一規格「ブル−レイ・ディスク(Blu-ray Disc)」が提案された。主な仕様は、記録容量:23.3/25/27GB、レーザ波長:405nm(青紫色レーザ)、レンズ開口数(N/A):0.85、ディスク直径:120mm、ディスク厚:1.2mm、トラックピッチ:0.32μm等である。
上記のようにブル−レイ・ディスクでは、溝の幅が狭く、且つピットも小さくなっている。このため読み取りレーザのスポットを小さく絞る必要があるが、スポットを小さくするとディスクの傾きによる影響を大きく受けるようになり、再生しようとするDVDがわずかに曲がっていても再生できなくなる。このような不利を補うため、基板の厚さを薄くし、またレーザ照射側のピット上のカバー層の厚さを0.1mm程度にすることが考えられている。
非特許文献1の68頁に上記要求に合うDVDの製造方法が記載されている。図7を参照しながら説明する。凹凸表面に反射層(又は記録層)76aを有するディスク基板(1.1mm)74aのその反射層上に紫外線硬化樹脂75Aを塗布により設け、凹凸表面に反射層(又は記録層)を有するポリカーボネート製スタンパ74bの上に紫外線硬化樹脂75Bを塗布により設ける。次いで、基板を表裏反転させて、基板とスタンパを貼り付け、スタンパ側から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂75A及び75Bを硬化させる。紫外線硬化樹脂75Bの層からスタンパ74bを除去し、その凹凸面に反射層(又は記録層)76bを形成し、その上にカバー層(厚さ0.1mm程度)77を形成する。
上記の方法において、ディスク基板及びスタンパの表面には、塗布により紫外線硬化樹脂が設けられ、さらにその後基板を表裏反転させて、スタンパと貼り付けている。このように塗布及び反転の複雑な工程を行う必要があり、また反転して基板とスタンパを貼り付けする際、粘チョウな紫外線硬化樹脂同士の接触の際に気泡の発生等の不利があり、良好な貼り付けを行うことができないとの問題がある。さらに、上記紫外線硬化樹脂は硬化時に収縮が大きく、得られる媒体の反り等の変形が目立つとの問題もある。
上記問題点が改良可能なDVD等の光情報記録媒体の製造方法が、特許文献1(WO03/032305A1)に開示されている。ここには、光重合性官能基を有する反応性ポリマーを含み且つ加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる光硬化性転写シートを用いた製造方法が記載されている。即ち、上記紫外線硬化性樹脂の代わりに、固体状の上記光硬化性転写シートを用いて、スタンパに押圧することにより凹凸面を転写して上記問題点が回避できる。
DVD等の光情報記録媒体の上述のような製造方法において使用される光硬化性転写シートとして、長尺剥離シートの面上に、円盤状光硬化性転写層、円盤状剥離シートが順に積層されている光硬化性転写円盤シートが、最近使用されるようになってきた。このような光硬化性転写円盤シートの基本構造の典型的な一例を図6に示す。図6において、長尺剥離シート61の表面上に、円盤状光硬化性転写層62dと円盤状剥離シート63dとの積層体65が積層されて、光硬化性転写円盤シート60が形成されている。積層体65と長尺剥離シート61を貫通して、内孔66が設けられている。円盤状光硬化性転写層62dは、ドーナツ形状の孔のある円盤となっているために、上下の剥離シートを剥離して、DVD等の光情報記録媒体の製造に有利に使用可能なものとなっている。このような光硬化性転写円盤シートは、長尺剥離シートの表面上に、光硬化性転写層及び剥離シートを順に積層した光硬化性転写材シートから、円盤状の打ち抜き加工を行うことによって製造することができる。
特許文献2(特開2004−79052)には、このような打ち抜き加工として、回転するローラーの表面上に環状に延在して設けられた打ち抜き刃による打ち抜き加工、いわゆるロータリーダイカットによる打ち抜き加工を積層シート材に対して使用した光ディスクの製造方法が開示されている。
WO03/032305A1 特開2004−79052 日経エレクトロニクス(NIKKEI ELECTRONICS)、2001.11.5号
光硬化性転写材シートの円盤状の打ち抜き加工は、長尺状の光硬化性転写材シートの搬送下で、連続的に行われることが求められ、さらに高い精度の打ち抜きが要求されている。この高い精度は、2つの点で求められている。まず第1に、光情報記録媒体に求められる性質上、円盤形状が真円に極めて近くなければならず、このために高い精度の真円形状の精度が求められている。次に、円盤状の積層体をシート上に設ける目的から、打ち抜かれる外円は、第1の剥離シートと光硬化性転写層とを打ち抜きつつ、第2の剥離シートは打ち抜かずに残すことができるような打ち抜き(第2の剥離シートをも完全に打ち抜くフルカットと対比して、ハーフカットと呼ばれる)としなければならないために、打ち抜き深さには数μm程度以上のズレは許容されない。すなわち打ち抜き深さの精度が求められている。さらに切断面の積層体が押し潰されることなく、切断前の厚みの積層構造を保つことが求められる。
しかし、本発明者等の検討によれば、特許文献2(特開2004−79052)に開示されているような、いわゆるロータリーダイカットによる打ち抜き加工は、搬送下の長尺状の光硬化性転写材シートを連続的に処理する生産工程に適し、打ち抜き深さの精度を安定して達成し、打ち抜き断面の押しつぶしを回避することが可能である一方で、円盤形状の真円の精度をさらに高めようとした場合に、十分な精度を達成することが困難であることがわかった。
一方で、ロータリーダイカットではない通常の打ち抜き加工、すなわちいわゆるトムソン刃やビクトリア刃による逐次打ち抜き加工は、上述した打ち抜き深さの精度を安定して達成することが容易ではなく、打ち抜き断面を押し潰してしまう傾向もあり、さらに搬送下の長尺シートを連続的に処理する生産工程にはあまり適さない。
したがって、本発明の目的は、搬送下の長尺状の光硬化性転写材シートの連続的な処理に適し、打ち抜き加工において打ち抜き深さの精度を達成し、打ち抜き断面の押しつぶしを回避し、且つ、円盤形状の真円の精度をさらに高めた、光硬化性転写円盤シートの製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記の製造方法により製造され、光情報記録媒体の製造に適した高精度の円盤状積層体が設けられた光硬化性転写円盤シートを提供することにある。
本発明者等は、上記目的が、搬送下の光硬化性転写材シートの表面に、表面に突出した打ち抜き刃を有するロールを、搬送に同期して回転させて押し当てることによって、前記光硬化性転写材シートを円盤状に打ち抜きする打ち抜き加工を行って光硬化性転写円盤シートを製造する方法であって、
前記ロールの表面の平面展開図における、前記打ち抜き刃の刃先の平面視の形状が、前記光硬化性転写材シートの搬送方向に長い楕円形状を有することを特徴とする製造方法によって達成されることを見いだした。
このような製造方法により、円盤形状の真円の精度をさらに高めた、光硬化性転写円盤シートを製造することができる。
本発明者等は、いわゆるロータリーダイカットによる打ち抜きの真円からのズレは、搬送されるシートがカットされる部位で搬送方向に張力を受けた結果、搬送方向に伸長された状態で打ち抜きを受けるためであると考えた。すなわち、作製された円盤状の積層体は、その後に張力を受けない状態となって収縮して、以後の使用に供されるために、ロータリーダイカットの打ち抜き刃の真円形状から期待される真円の精度を満たさない円盤となってしまうと考えられる。そこで、この点に着目して、張力を取り除かれた収縮時に、所望の真円形状となるように、あらかじめ楕円形状の打ち抜き刃(ロールの表面の平面展開図における、打ち抜き刃の刃先の平面視の形状が、光硬化性転写材シートの搬送方向に長い楕円形状を有する打ち抜き刃)を使用してロータリーダイカットを行う本発明に想到したものである。
本発明において、前記楕円形状が、以下の式I:
2/p2 + y2 = r2
(但し、光硬化性転写材シートの搬送方向がx軸、ロールの軸方向がy軸であり、
rは、楕円の短軸半径、
p×rは、楕円の長軸半径であり、且つ、
p>1である)
で表される楕円形状であることが好ましい。また、前記pが、1.1≧p>1 の範囲にあることが好ましい。このように規定された楕円形状を使用することで本発明の好適な実施が可能である。
また、本発明のより好適な実施の態様において、ロールの表面の平面展開図における打ち抜き刃の刃先の平面視の形状が、前記式Iで表される楕円形状である打ち抜き刃は、
楕円形状が、
r=ra、且つ、p=pa (但し、1.1≧pa>1である)
である内刃と、
楕円形状が、
r=rb、且つ、p=pb (但し、1.1≧pb>1である)
である外刃とが、次の条件:
b>ra
を満たし、且つ、2つの楕円の中心が同一となるように配置されてなることが好ましい。
前記paとpbが、pb≧pa の関係にあることが好ましい。内刃と外刃とをこのような関係の楕円形状とすることによって、結果として打ち抜かれる同心円の内円と外円を、それぞれさらに真円形状に近い円とすることができる。
このような関係のpaとpbは、前記paが、1.04≧pa>1.00 の範囲にあり、且つ、
前記pbが、1.10≧pb≧1.04 の範囲にあることが好ましい。この範囲の値とすることにより、過度の張力によるシート材の損傷防止と、シート材の高速搬送による生産効率向上を同時に達成することができる。
また、本発明は、 以下の工程:
A)搬送下の長尺剥離シートの表面上に、光硬化性転写層及び長尺剥離シートを順に積層して、光硬化性転写材シートを形成する工程、
B)該光硬化性転写材シートの表面の幅方向中央の領域に、平面視において外円の内部に同心円状に内円が打ち抜かれるように、前記長尺剥離シートのうちの一方の長尺剥離シート及び前記光硬化性転写層の2層を打ち抜く前記外円の打ち抜きと、該一方の長尺剥離シート、前記光硬化性転写層及び他方の長尺剥離シートの3層を打ち抜く前記内円の打ち抜きを、
搬送される前記光硬化性転写材シートの表面に、内円用打ち抜き刃と外円用打ち抜き刃とを表面に突出して有するロールを、搬送に同期して回転させて押し当てることにより行う工程、
C)打ち抜かれた外円の周囲の2層を剥離し、前記他方の長尺剥離シートの上に、円盤状光硬化性転写層と円盤状剥離シートとの積層体を長手方向に残す工程、
を含む光硬化性転写円盤シートの製造方法であって、
前記内円用打ち抜き刃の刃先の平面視の形状と、前記外円用打ち抜き刃の刃先の平面視の形状とが、前記ロールの表面の平面展開図において、いずれも前記光硬化性転写材シートの搬送方向に長い楕円形状を有し、且つ、2つの楕円の中心が同一となるように配置されていることを特徴とする製造方法にもある。このような製造方法によって光硬化性転写材シートの製造から光硬化性転写円盤シートの製造までを好適に実施することができる。
また、本発明の製造方法においてはさらに、前記打ち抜き刃により打ち抜かれる楕円が、搬送による張力のかからない状態で、真円となるように、前記光硬化性転写材シートの搬送の速度を増減することが好適である。このように搬送速度を調節して、打ち抜き刃の楕円形状と、搬送されるシート、及びロール等を含む装置に対して最適化を行うことにより、極めて真円に近い打ち抜き形状を得ることができる。
また、本発明は上述の製造方法により製造された光硬化性転写円盤シートにもある。
本発明の製造方法は、搬送下の長尺状の光硬化性転写材シートの連続的な処理に適し、打ち抜き加工において打ち抜き深さの精度を達成し、打ち抜き断面の押しつぶしを回避し、且つ、円盤形状の真円の精度をさらに高めて、光硬化性転写円盤シートを製造することができる。トムソン刃等の逐次打ち抜きを使用する場合と比べては、打ち抜き深さ精度と打ち抜き断面の押しつぶしの回避の点で優れ、通常の真円形状の打ち抜き刃によるロータリーダイカットと比べては、円盤形状の真円の精度と、円盤の中心の孔の形状の真円の精度の点で優れている。そのために、得られた光硬化性転写円盤シートは、DVD等の光情報記録媒体に求められる高い厚み精度、均一性、真円精度を備えた円盤状積層体が設けられているために、高精度の光情報記録媒体の製造に特に適したものとなっている。
また、本発明は、上述の優れた特性を有する光硬化性転写円盤シートにもある。
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の製造方法に使用する、表面に突出した打ち抜き刃を有するロール(ロータリーダイカッター)の典型的な一例を説明するための図である。図1の(1−1)は、本発明に使用する打ち抜き刃を備えたロール(ロータリーダイカッター)の一例の上方斜視図である。ロータリーダイカッター10には、打ち抜き刃の内刃15と外刃16とが、ロール表面11から突出して設けられている。表面に突出して設けられたこの打ち抜き刃は、ロールが搬送されるシートに同期して回転することによってシートに押し当てられて、シートに内円と外円とを同時に打ち抜く。打ち抜かれた直後のシート上に生じる打ち抜き円の形状は、シートの滑りが全く無いとすれば、ロール表面11を平面上に展開した展開図上で内刃15と外刃16とが示す形状となる。
図1の(1−2)は、(1−1)の上方斜視図においてロール表面11を展開した平面図である。内刃15と外刃16は、同心円状に配置され、その刃先はいずれもx軸方向に長い楕円形状となっている。(1−2)では、シートの搬送方向がx軸、ロールの軸方向がy軸であり、これは上述の式Iのx軸、y軸に対応している。シートは搬送下の張力を受けて搬送方向に引き延ばされた状態でこのような楕円形状に打ち抜きを受け、そのために、これによって形成された円盤状積層体は、その後に張力が取り除かれて収縮した状態で、極めて真円に近い形状の円盤(及びその内孔)となる。
この図1の(1−2)と比較するために、楕円形状ではなく円形状の刃先の打ち抜き刃をロール表面に備えたロータリーダイカッターのロール表面を平面上に展開した展開図を、一例として図5に示す。展開されたロール表面51上において、内刃55と外刃56は、同心円状に配置され、いずれもその刃先が真円形状をしている。シートは搬送下の張力を受けて搬送方向に引き延ばされた状態でこのような真円形状に打ち抜きを受け、そのために、これによって形成された円盤状積層体は、その後に張力が取り除かれて収縮した状態で、y軸方向に長い楕円形状の円盤(及びその内孔)となってしまい、高精度の真円を達成することができない。
図1の(1−3)は、(1−1)の上方斜視図において、B−B’を含みロールの軸に垂直な断面における断面図である。楕円形状の刃先の打ち抜き刃(内刃15a、内刃15b、外刃16a、外刃16b)は、いずれもロール表面11に垂直な針状突起として(1−3)に示されている。内刃15a、15bは、光硬化性転写材シートに対していわゆるフルカットの打ち抜きを行い、外刃16a、16bはいわゆるハーフカットの打ち抜きを行う(後述する)。そのために、打ち抜き刃の外刃の高さは、打ち抜かずに残す長尺剥離シート層の厚みに相当する分だけ、内刃の高さよりも低く設けられている。
図2は、上述したロータリーダイカッターが搬送下のシートに対して使用される流れを説明する断面図である。ダイロール20は、図1の(1−3)のように軸方向に対して垂直な断面図で示されており、ロール表面21には、打ち抜き刃(内刃25a、内刃25b、外刃26a、外刃26b)が突出して設けられている。矢印の方向に搬送されるシート29は、アンビルロール22によりダイロール20の表面に押し当てられている。アンビルニップロール23は、アンビルロール22にシート29を押し当てることでアンビルロール22と搬送下のシートとの滑りを抑制している。ダイロール20はアンビルロール22と同期しつつ、搬送方向に張力を受けつつ搬送されるシートを、打ち抜き刃によって打ち抜いてゆく。搬送されるシートは、ダイロールと接触する付近ではできるだけ伸長しないように張力をかけない設計とすることが望ましいと考えられるが、現実の搬送では張力をかけることは不可避である。そこで、本発明においては、楕円形状の打ち抜き刃(楕円形状の刃先の打ち抜き刃)で打ち抜くことにより、伸長したシートに対する打ち抜きに対応している。
本発明の製造方法においてはさらに、打ち抜き刃により打ち抜かれる楕円が、搬送による張力のかからない状態で、真円となるように、前記光硬化性転写材シートの搬送の速度を増減することが好適である。このように搬送速度を調節して、打ち抜き刃の刃先の楕円形状と、搬送されるシート、及びロール等を含む装置に対して最適化を行うことにより、極めて真円に近い打ち抜き形状を得ることができる。
本発明者等のさらに進んだ知見によれば、打ち抜き刃が搬送ロールと同期して回転する一方で、シートが搬送ロールとの間にすべりを生じつつ搬送されるために、打ち抜き刃がシートと接触する予定位置がずれることも起こると考えられる。このことは、真円形状のロータリーダイカットの打ち抜き刃を使用した場合に、期待される真円の精度を満たさない円盤を生じる別な要因となっていると思われる。上述の搬送速度調節による最適化は、このような要因を加味して、総合的に真円精度を向上させるために役立っていると考えられる。
図3は、本発明の製造方法によって光硬化性転写材シートから光硬化性転写円盤シートを製造する流れの一例を説明した説明図である。最初に、図示しない工程により、長尺剥離シート31、光硬化性転写層32、及び長尺剥離シート33とを積層して、光硬化性転写材シート(図3の(3−1))を形成する。次に、シートに張力をかけた搬送下で、ロール表面に楕円形状に設けられた打ち抜き刃を使用したロータリーダイカットによる打ち抜き加工を行って、内円38と外円39とが同心円状に打ち抜かれたシート(図3の(3−2))を作製する(工程D)。内円38は、長尺剥離シート31、光硬化性転写層32、及び長尺剥離シート33の3層を貫通している(フルカット、全抜き)。一方、外円39は、光硬化性転写層32及び長尺剥離シート33の2層までを貫通している(ハーフカット、半抜き)。この内円の内部にあたる3層からなる円柱をカス部分として除去し、また外円の周囲部分もカス部分として剥離して除去する(工程E)。内円内部の円柱の除去は、打ち抜きと同時に行うこともできる。これによって内孔36を有して、円盤状光硬化層32dと円盤状剥離シート33dとからなる積層体35が、長尺剥離シート31上に形成される(図3の(3−3))。搬送の張力による伸長から解放された状態の積層体は、極めて真円に近い円盤形状であり、極めて真円に近い形状の内円とを有している。図3の(3−4)には、図3の(3−3)のシートをC−C’を含む断面で切断した横断面図が示されている。長尺剥離シート31の表面上に、円盤状光硬化性転写層32dと円盤状剥離シート33dとの積層体35が積層されて、光硬化性転写円盤シート30が形成されている。積層体35と長尺剥離シート31を貫通して、内孔36が設けられている。
すなわち、本発明は、以下の工程:
A)搬送下の長尺剥離シートの表面上に、光硬化性転写層及び長尺剥離シートを順に積層して、光硬化性転写材シートを形成する工程、
B)該光硬化性転写材シートの表面の幅方向中央の領域に、平面視において外円の内部に同心円状に内円が打ち抜かれるように、前記長尺剥離シートのうちの一方の長尺剥離シート及び前記光硬化性転写層の2層を打ち抜く前記外円の打ち抜きと、該一方の長尺剥離シート、前記光硬化性転写層及び他方の長尺剥離シートの3層を打ち抜く前記内円の打ち抜きを、
搬送される前記光硬化性転写材シートの表面に、内円用打ち抜き刃と外円用打ち抜き刃とを表面に突出して有するロールを、搬送に同期して回転させて押し当てることにより行う工程、
C)打ち抜かれた外円の周囲の2層を剥離し、前記他方の長尺剥離シートの上に、円盤状光硬化性転写層と円盤状剥離シートとの積層体を長手方向に残す工程、
を含む光硬化性転写円盤シートの製造方法であって、
前記内円用打ち抜き刃の刃先の平面視の形状と、前記外円用打ち抜き刃の刃先の平面視の形状とが、前記ロールの表面の平面展開図において、いずれも前記光硬化性転写材シートの搬送方向に長い楕円形状を有し、且つ、2つの楕円の中心が同一となるように配置されていることを特徴とする製造方法にもある。
図4は、ロール表面の展開図上で示された打ち抜き刃の刃先の楕円形状を説明するための図である。楕円形状は、以下の式I:
2/p2 + y2 = r2
(但し、光硬化性転写材シートの搬送方向がx軸、ロールの軸方向がy軸であり、
rは、楕円の短軸半径、
p×rは、楕円の長軸半径であり、且つ、
p>1である)
で表される形状となっている。前記pが、1.1≧p>1 の範囲にあることが好ましい。このように規定された楕円形状を使用することで本発明の好適な実施が可能である。この範囲にpが収まるように実施することで、シートを無理に伸長して円盤積層体を損なうことなく実施することができる。
本発明の好適な実施の態様においては、上述したような内刃(内円用打ち抜き刃)と外刃(外円用打ち抜き刃)の両方の打ち抜き刃が、ロール表面上に設けられている。すなわち、刃先の楕円形状が、
r=ra、且つ、p=pa (但し、1.1≧pa>1である)
である内刃と、刃先の楕円形状が、
r=rb、且つ、p=pb (但し、1.1≧pb>1である)
である外刃とが、次の条件:
b>ra
を満たし、且つ、2つの楕円の中心が同一となるように配置されて設けられている(図1の(1−1)参照)。
aとpbとは、独立して変更することができるが、pb≧pa の関係にあることが好ましい。内刃と外刃とをこのような関係の楕円形状とすることによって、結果として打ち抜かれる同心円の内円と外円を、それぞれさらに真円形状に近い円とすることができる。
また、このような関係のpaとpbは、前記paが、1.04≧pa>1.00 の範囲にあり、且つ、
前記pbが、1.10≧pb≧1.04 の範囲にあることが好ましい。本発明の知見に基づけば、生産効率向上のためのシート材の搬送の高速化は、シート材にかかる張力の増大を伴い、その結果、paとpbは、より大きな値をとることになる。しかし、過度の張力はシート材を損傷するために好ましくない。すなわち、paとpbを上記範囲の値とすることにより、過度の張力によるシート材の損傷防止と、シート材の高速搬送による生産効率向上を同時に達成することができる。そしてこの範囲のpaとpbとして設けられた内刃及び外刃に対して、シート材の搬送速度をさらに調節することにより本発明の好適な実施が可能となる。
本発明において、打ち抜き刃(内刃及び外刃)は、ロール表面から突出して設けられていればよく、好ましくは楕円形状の全周にわたって、ロール表面から垂直に突出している。しかし、この突出の角度を変えてることで切れ味を変えることもできる。打ち抜き刃の高さは、打ち抜くシートの厚みに従って変更することが好ましい。上述した好適な実施の態様においては、打ち抜き刃の外刃はハーフカットを行い、内刃はフルカットを行うために、外刃の高さは、打ち抜かずに残す長尺剥離シート層の厚みに相当する分だけ、内刃の高さよりも低く設けられている。打ち抜き刃は、ロータリーダイカッターとして使用される一般的な材質のものを使用することができ、例えば鋼、鋼合金、特にステンレス、及びセラミック等が好ましい。
本発明の製造方法によって処理される光硬化性転写材シート、さらに光硬化性転写円盤シートにおいて使用されている光硬化性転写層、及び長尺剥離シートの材料等について以下に説明する。
円盤状光硬化性転写層の材料、すなわち光硬化性転写層の材料は、光情報記録媒体の作製にあたって、スタンパの凹凸表面を押圧することにより精確に転写できるものであって、光照射(可視光照射、紫外線照射を含む放射線照射)によって硬化可能な層とすることができる材料であれば使用することができる。さらに、加圧により変形し易い層であるとともに、反応性ポリマーを僅かに架橋させることにより転写層のしみ出し、層厚変動が抑えられた層を形成可能な材料であれば好適に使用できる。
また、硬化後の円盤状光硬化性転写層の材料は、情報の高密度化のため、再生レーザにより読み取りが容易なように380〜420nmの波長領域の光透過率が70%以上であることが好ましい。特に、380〜420nmの波長領域の光透過率が80%以上であることが好ましい。従って、この光硬化性転写材シート用いて作製される本発明の光情報記録媒体は380〜420nmの波長のレーザを用いてピット信号を再生する方法に有利に使用することができる。
このような材料としては、光硬化性組成物を挙げることができ、このような光硬化性組成物は、一般に、光重合性官能基を有する重合性化合物(モノマー及び/又はオリゴマー)、光重合開始剤、添加剤等を含んで使用される。光重合性の官能基として、エチレン性二重結合(好ましくはアクリロイル基又はメタクリロイル基)を有する重合性化合物が好ましい。
上記光重合性官能基を有する重合性モノマーとしては、例えばアルキルアクリレート(例、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート)及び/又はアルキルメタクリレート(例、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート)を挙げることができる。
上記重合性モノマーは、光重合性官能基を一般に1〜50モル%、特に5〜30モル%含むことが好ましい。この光重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基が好ましく、特にアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
上述の光硬化性組成物は、更に光重合性官能基を有する反応性希釈剤を含むことが好ましい。反応性希釈剤としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエトキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジプロポキシジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス〔(メタ)アクリロキシエチル〕イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー類、ポリオール化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ビスフェノールAポリエトキシジオール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオール類、前記ポリオール類とコハク酸、マレイン酸、イタコン酸、アジピン酸、水添ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の多塩基酸又はこれらの酸無水物類との反応物であるポリエステルポリオール類、前記ポリオール類とε−カプロラクトンとの反応物であるポリカプロラクトンポリオール類、前記ポリオール類と前記、多塩基酸又はこれらの酸無水物類のε−カプロラクトンとの反応物、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオール等)と有機ポリイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4'−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2',4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)と水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメチロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等)の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応物であるビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマー類等を挙げることができる。これら光重合可能な官能基を有する化合物は1種又は2種以上、混合して使用することができる。
光重合開始剤としては、公知のどのような光重合開始剤でも使用することができるが、配合後の貯蔵安定性の良いものが望ましい。このような光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系、ベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、その他特殊なものとしては、メチルフェニルグリオキシレートなどが使用できる。特に好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾフェノン等が挙げられる。これら光重合開始剤は、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸のごとき安息香酸系又は、第3級アミン系などの公知慣用の光重合促進剤の1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。また、光重合開始剤のみの1種または2種以上の混合で使用することができる。光硬化性組成物中に、光重合開始剤を一般に0.1〜20質量%、特に1〜10質量%含むことが好ましい。
光重合開始剤のうち、アセトフェノン系重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1など、ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンッゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどが使用できる。
アセトフェノン系重合開始剤としては、特に、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1が好ましい。ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチルが好ましい。また、第3級アミン系の光重合促進剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルなどが使用できる。特に好ましくは、光重合促進剤としては、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
上記光重合性化合物:光重合開始剤の質量比は、一般に、40〜100:0.1〜10、特に60〜100:1〜10の範囲が好ましい。
光硬化性転写層はガラス転移温度が20℃以下で、透過率70%以上を満たすように光硬化性組成物を設計することが好ましい。ガラス転移温度を20℃以下とすることにより、得られる光硬化性転写層がスタンパの凹凸面に圧着されたとき、常温においてもその凹凸面に緊密に追随できる可撓性を有することができる。特に、ガラス転移温度が15℃〜−50℃、特に15℃〜−10℃の範囲にすることにより追随性が優れている。ガラス転移温度が高すぎると、貼り付け時に高圧力及び高圧力が必要となり作業性の低下につながり、また低すぎると、硬化後の十分な硬度が得られなくなる。このために、上記光重合可能な官能基を有する化合物及び光重合開始剤に加えて、所望により後述の熱可塑性樹脂及び他の添加剤を添加することが好ましい。
他の添加剤として、シランカップリング剤(接着促進剤)を添加することができる。このシランカップリング剤としてはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどがあり、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらシランカップリング剤の添加量は、上記反応性ポリマー100質量部に対し通常0.01〜5質量部で十分である。
また同様に接着性を向上させる目的でエポキシ基含有化合物を添加することができる。エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル;1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル;アクリルグリシジルエーテル;2−エチルヘキシルグリシジルエーテル;フェニルグリシジルエーテル;フェノールグリシジルエーテル;p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル;アジピン酸ジグリシジルエステル;o−フタル酸ジグリシジルエステル;グリシジルメタクリレート;ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、エポキシ基を含有した分子量が数百から数千のオリゴマーや重量平均分子量が数千から数十万のポリマーを添加することによっても同様の効果が得られる。これらエポキシ基含有化合物の添加量は上記反応性ポリマー100質量部に対し0.1〜20質量部で十分で、上記エポキシ基含有化合物の少なくとも1種を単独で又は混合して添加することができる。
さらに他の添加剤として、加工性や貼り合わせ等の加工性向上の目的で炭化水素樹脂を添加することができる。この場合、添加される炭化水素樹脂は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでも差支えない。天然樹脂系ではロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネンなどのテルペン系樹脂のほか、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コーバル、シェラックを用いても差支えない。一方、合成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂を用いることができる。フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
アクリル樹脂も添加することができる。例えば、アルキルアクリレート(例、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート)及び/又はアルキルメタクリレート(例、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート)から得られる単独重合体又は共重合体を挙げることができる。またこれらのモノマーと、他の共重合可能なモノマーとの共重合体も挙げることができる。特に、光硬化時の反応性や硬化後の耐久性、透明性の点からポリメチルメタクリレート(PMMA)が好ましい。
上記炭化水素樹脂等のポリマーの添加量は適宜選択されるが、上記反応性ポリマー100質量部に対して1〜20質量部が好ましく、より好ましくは5〜15質量部である。
以上の添加剤の他、光硬化性の組成物には紫外線吸収剤、老化防止剤、染料、加工助剤等を少量含んでいてもよい。また、場合によってはシリカゲル、炭酸カルシウム、シリコン共重合体の微粒子等の添加剤を少量含んでもよい。
好適な実施の一態様として、光硬化性組成物中に含まれる光重合性化合物が、活性水素を有する官能基を有し、同時に光硬化性組成物中に、活性水素を有する官能基と反応性を有する基を少なくとも2個有する化合物が含まれることが好ましい。このような光硬化性組成物を材料として使用した場合には、転写層を有するシートの処理中或いは保存中に、これらが相互に反応して僅かに架橋し、転写層の粘度を上昇させる。これにより、転写層のしみ出し、層厚変動が大きく抑えることができる。
上記活性水素を有する官能基及び光重合性官能基を有する化合物としては、例えばアルキルアクリレート(例、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート)及び/又はアルキルメタクリレート(例、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート)から得られる単独重合体又は共重合体(即ちアクリル樹脂)であって、且つ、主鎖又は側鎖に光重合性官能基及び活性水素を有する官能基を有するものを挙げることができる。従って、このような反応性の化合物(反応性ポリマー)は、例えば、上記1種以上の(メタ)アクリレートと、ヒドロキシル基等の官能基を有する(メタ)アクリレート(例、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)とを共重合させ、得られた重合体とイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートなどの、重合体の官能基と反応し且つ光重合性基を有する化合物と反応させることにより得ることができる。その際、ヒドロキシル基が残るようにイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートの量を調節して使用することにより、活性水素を有する官能基としてヒドロキシル基及び光重合性官能基を有する反応性ポリマーが得られる。
或いは上記において、ヒドロキシル基の代わりにアミノ基を有する(メタ)アクリレート(例、2−アミノエチル(メタ)アクリレート)を用いることにより活性水素を有する官能基としてアミノ基を有する、光重合性官能基含有反応性ポリマーを得ることができる。同様に、活性水素を有する官能基としてカルボキシル基等を有する、光重合性官能基含有反応性ポリマーも得ることができる。
また、上記のようにイソシアナトアルキル(メタ)アクリレート等を用いてウレタン結合を介して光重合性基を形成しているが、他の方法、例えばカルボン酸を含むアクリル樹脂を形成し、このカルボン酸にエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(例、グリシジル(メタ)アクリレート)を反応させて光重合性基を形成することもできる。
前記光重合性官能基をウレタン結合を介して有するアクリル樹脂が特に好ましい。
上記活性水素を有する官能基と反応性を有する基を少なくとも2個有する化合物としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物等を挙げることができるが、常温でも高い反応性を有するイソシアネート化合物が使い易く好ましい。
少なくとも2官能性のイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4’−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2’,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを挙げることができる。またトリメチロールプロパンのTDI付加体等の3官能以上のイソシアネート化合物も使用することができる。これらの中でトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加体が好ましい。
上述の活性水素を有する官能基と反応性を有する基を少なくとも2個有する化合物は、光硬化性組成物中に0.2〜4質量%、特に0.2〜2質量%の範囲で含まれていることが好ましい。転写層のしみ出しを防止するために適当な架橋がもたらされると共に、基板やスタンパの凹凸の良好な転写性も維持される。上記化合物と反応性ポリマーとの反応は、転写層形成後、徐々に進行し、常温(一般に25℃)、24時間でかなり反応している。転写層形成用の塗布液を調製した後、塗布するまでの間にも反応は進行するものと考えられる。転写層を形成後、シート巻き物に巻き取る前にある程度硬化させることが好ましいので、必要に応じて、転写層を形成時、或いはその後、シート巻き物の状態で巻き取る前の間に加熱して反応を促進させても良い。
光硬化性転写層は、上述のような光硬化性の材料組成物を、所望により添加剤と共に均一に混合し、押出機、ロール等で混練した後、カレンダー、ロール、Tダイ押出、インフレーション等の製膜法により所定の形状に製膜し、長尺剥離シート上に積層して用いることができる。所望により支持体を用いることができ、この場合には支持体上に製膜する。好適な態様には、支持体として長尺剥離シートを使用して、この長尺剥離シート上に直接に成膜することにより積層する。特に好ましい本発明の光硬化性接着剤の製膜方法は、各構成成分を良溶媒に均一に混合溶解し、この溶液をシリコーンやフッ素樹脂を精密にコートしたセパレーターにフローコート法、ロールコート法、グラビアロール法、マイヤバー法、リップダイコート法等により支持体(長尺剥離シート)上に塗工し、溶媒を乾燥することにより製膜する方法である。
光硬化性転写層の厚さは一般に1〜1200μmの範囲、好ましくは5〜500μmの範囲である。特に5〜300μmの範囲(好ましくは150μm以下)が好ましい。1μmより薄いと封止性が劣り、透明樹脂基板の凸凹を埋め切れない場合が生じる。一方、1000μmより厚いと記録媒体の厚みが増し、記録媒体の収納、アッセンブリー等に問題が生じるおそれがあり、更に光線透過に影響を与えるおそれもある。光情報記録媒体の多層化のためには、上述の範囲で小さな厚みとすることが有利である。
このような円盤状光硬化性転写層は、膜厚精度を精密に制御したフィルム状で提供することができるため、基板及びスタンパとの貼り合わせを容易にかつ精度良くおこなうことが可能である。また、この貼り合わせは、圧着ロールや簡易プレスなどの簡便な方法で20〜100℃で仮圧着した後、光により常温、1〜数十秒で硬化できる上、本接着剤特有の自着力によりその積層体にズレや剥離が起き難いため、光硬化まで自由にハンドリングができるという特徴を有している。
円盤状光硬化性転写層を硬化する場合は、光源として紫外〜可視領域に発光する多くのものが採用でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザ光等が挙げられる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって一概には決められないが、数秒〜数分程度である。また、硬化促進のために、予め円盤状光硬化性転写層を30〜80℃に加温し、これに紫外線を照射してもよい。
長尺剥離シートの材料としては、ガラス転移温度が50℃以上の透明の有機樹脂が好ましく、このような材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の有機樹脂を主成分とする透明樹脂基板を用いることができる。これら中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートが好適に用いることができる。厚さは10〜200μmが好ましく、特に20〜100μmが好ましい。
また、本発明の光硬化性転写円盤シートは、上述した製造方法により製造することができる。
以下の実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
<光硬化性転写材シートの作製>
(ポリマー1の作製)
ポリマー配合1
メチルメタクリレート 74質量部
n−ブチルメタクリレート 13質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 13質量部
AIBN 1.2質量部
トルエン 70質量部
酢酸エチル 30質量部
上記の配合の混合物を、穏やかに撹拌しながら、70℃に加熱して重合を開始させ、この温度で8時間撹拌し、側鎖にヒドロキシル基を有するヒドロキシル基を有するポリマー1(アクリル樹脂)を得た。固形分を36質量%に調製した(ポリマー溶液1)。
得られたポリマー1は、Tgが100℃であり、重量平均分子量が110000であった。
組成物配合1
ポリマー溶液1 100質量部
ヘキサンジオールジアクリレート(KS−HDDA) 110質量部
ジイソシアネート(BXX5627、東洋インキ製造(株)製) 1質量部
イルガキュア651(チバガイギー(株)製) 1質量部
ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ) 0.05質量部
上記配合の混合物を均一に溶解、混練して、光重合性組成物を得た。
(光硬化性転写材シートの作製)
第1の長尺剥離シートとして用意した離型フィルム(幅200mm、長さ300m、厚さ50μm;商品名No.23、藤森工業(株)製)の面上に、全面塗布して、乾燥厚さ20±2μmの光硬化性転写層を形成した。シートの反対側に、第2の長尺剥離シートとして用意した離型フィルム(幅200mm、長さ300m、厚さ38μm;商品名No.33、藤森工業(株)製)を貼付した。これらの操作は搬送下で連続的に行った。
<光硬化性転写円盤シートの作製>
次に、上記のように作製された光硬化性転写材シートを、ダイロールマシンSRD−W350(ソルテック工業(株)製)を使用して、ロータリーダイカットにより円盤状の打ち抜き加工を行った。打ち抜き加工は、ラインスピード5m/minで流れる光硬化性転写材シートを、第1の長尺剥離シート側から、ダイロールのロール表面に同心円状に設けられた楕円形状の内刃(式Iにおいて、r=11mm、a=1.01)と外刃(式Iにおいて、r=60mm、a=1.05)とを接触させることにより行った。外刃の高さは内刃の高さより38μm低く設けた。同心円の中心が、光硬化性転写材シートの幅方向の中央部で、長手方向に125mmの間隔で位置するように打ち抜きを行った。ラインスピードは、速度を変えつつ試験的な打ち抜きを数回行い、真円に近い形状が得られる速度となるように微調整した。内円の打ち抜きは、第1の長尺剥離シート、光硬化性転写層及び第2の長尺剥離シートの3層全てを全て打ち抜く(フルカット、全抜き)ように行い、外円の打ち抜きは、第1の長尺剥離シート及び光硬化性転写層の2層を打ち抜いて最後の1層に相当する第2の長尺剥離シートは打ち抜かずに残す(ハーフカット、部分抜き)ように行った。フルカットされた内円の内側部分はカス部分として完全に除去し、ハーフカットされた外円の周囲部分もまた、カス部分として剥離して除去した。こうして、長尺剥離シートの表面の幅方向中央部の領域に、円盤状光硬化性転写層とその上に設けられた円盤状剥離シートとの積層体が、長手方向に設けられてなる光硬化性転写円盤シートを、楕円形状の刃を使用したロータリーダイカットにより作成した。
[比較例1]
<光硬化性転写材シートの作製>
実施例1と同様に光硬化性転写材シートを作製した。
<光硬化性転写円盤シートの作製>
作製された光硬化性転写材シートを、トムソン刃(塚谷刃物(株)製)を使用して円盤状の打ち抜き加工を行った。打ち抜き加工は、上記実施例1と同じ光硬化性転写材シートを切断して作成して枚葉シート(幅200mm、長さ600mm)を用意し、これに対して行った。上記実施例1と同じく第1の長尺剥離シート側から、円状の内刃(直径22mm)と円状の外刃(直径120mm)とで、内円と外円が同心円状になるように打ち抜くことにより行った。外刃の高さは内刃の高さより38μm低く設けた。実施例1と同様に、同心円の中心が、光硬化性転写材シートの幅方向の中央部で、長手方向に125mmの間隔で位置するように打ち抜きを行った。また、実施例1と同様に、内円の打ち抜きは、フルカット(全抜き)により行い、外円の打ち抜きは、ハーフカット(部分抜き)により行った。生じたカス部分は、実施例1と同様に除去した。こうして、長尺剥離シートの表面の幅方向中央部の領域に、円盤状光硬化性転写層とその上に設けられた円盤状剥離シートとの積層体が、長手方向に設けられてなる光硬化性転写円盤シートを、トムソン刃を使用した逐次打ち抜きにより作成した。
[比較例2]
<光硬化性転写材シートの作製>
実施例1と同様に光硬化性転写材シートを作製した。
作製された光硬化性転写材シートを、実施例1と同様に、ダイロールマシンSRD−W350(ソルテック工業(株)製)を使用して、ロータリーダイカットにより円盤状の打ち抜き加工を行った。但し、実施例1とは異なり、楕円形状ではなく円形状の内刃(直径22mm)及び外刃(直径120mm)を使用した。また、速度を変えた試験的打ち抜きによるラインスピードの微調整は、行わなかった。こうして、長尺剥離シートの表面の幅方向中央部の領域に、円盤状光硬化性転写層とその上に設けられた円盤状剥離シートとの積層体が、長手方向に設けられてなる光硬化性転写円盤シートを、円形状の刃を使用したロータリーダイカットにより作成した。
[評価方法と結果]
実施例1、比較例1及び比較例2で作製した光硬化性転写円盤シートの上の円盤について、打ち抜き断面の外観精度、打ち抜きの高さ精度、打ち抜きの真円精度を評価した。評価はx−yステージを備えた光学顕微鏡下の観察によって以下のように行った。
打ち抜き断面の外観精度の評価: 光硬化性転写円盤の積層体が押し潰され、光硬化性材料が積層体からはみ出てしまった状態の断面を×と評価し、光硬化性転写円盤の積層体が押し潰されることなく積層構造を保ったまま切断された状態の断面を○と評価した。
打ち抜きの高さ精度の評価: 意図通りの打ち抜きの深さが達成されて、内円の打ち抜きがフルカット(全抜き)となり、外円の打ち抜きがハーフカット(部分抜き)となっているものを、高さ精度が○であると評価し、打ち抜きの深さにばらつきが生じて所望のハーフカットとフルカットにならなかったものを、高さ精度が×であると評価した。
打ち抜きの真円精度の評価: 外刃により外円として打ち抜かれた円盤の円周、及び内刃により内円として打ち抜かれた円盤の内孔の円周のそれぞれについて、光硬化性転写材シートの搬送方向(x軸方向)とロールの軸方向(y軸方向)との2方向の直径の長さを光学顕微鏡下で測定した。そして、外円又は内円のどちらか一方でも、y軸方向の直径に対してx軸方向の直径の長さが、1%以上異なっているものは真円から遠い形状であるとして、打ち抜きの真円精度を×と評価した。外円及び内円の両方で、y軸方向に対するx軸方向の直径の長さが1%未満であるものは真円に近い形状であるとして、打ち抜きの真円精度を○と評価した。
得られた評価を次の表に示す。
Figure 2006351159
実施例1の光硬化性転写円盤シートの上の円盤は、その断面においては積層体構造が保たれ、フルカットとハーフカットは所望通りに行われ、さらに極めて真円に近い平面形状を有するものであった。これに対して、比較例1の円盤は、平面形状としては真円に近い状態が得られたものの、断面の積層体構造は切断時に押し潰されて切断面からは光硬化性材料がはみ出た部分が生じており、また打ち抜きの深さが一様ではなく、フルカットとハーフカットの形成が所望通りに行われない場合があった。また、比較例2の円盤は、断面の積層体構造が保たれ、フルカットとハーフカットも所望通りに行われていたものの、平面形状は真円から遠く、楕円に近いものとなっていた。
すなわち、トムソン刃による打ち抜きは断面の積層体の保持や打ち抜きの高さ精度で問題があり、円形状の打ち抜き刃によるロータリーダイカットでは真円精度に問題があるが、本発明の楕円形状の打ち抜き刃によるロータリーダイカットによる方法では、その全てについて優れた打ち抜きが可能であることがわかった。
本発明の製造方法に使用されるロータリーダイカッターの一例の説明図である。 本発明において、ロータリーダイカッターが搬送下のシートに対して使用される流れの一例を説明する断面図である。 本発明の製造方法によって光硬化性転写材シートから光硬化性転写円盤シートを製造する流れの一例の説明図である。 本発明の製造方法に使用される打ち抜き刃の刃先の楕円形状の説明図である。 円形状の刃先の打ち抜き刃を説明する展開図である。 光硬化性転写円盤シートの基本構造の典型的な一例の説明図である。 日経エレクトロニクスに記載の光情報記録媒体の製造方法の手順を示す断面図である。
符号の説明
10 ロータリーダイカッター
11 ロール表面
15 打ち抜き刃の内刃
15a 打ち抜き刃の内刃
15b 打ち抜き刃の内刃
16 打ち抜き刃の外刃
16a 打ち抜き刃の外刃
16b 打ち抜き刃の外刃
20 ダイロール
21 ロール表面
22 アンビルロール
25 打ち抜き刃の内刃
25a 打ち抜き刃の内刃
25b 打ち抜き刃の内刃
26 打ち抜き刃の外刃
26a 打ち抜き刃の外刃
26b 打ち抜き刃の外刃
29 搬送されるシート
31 長尺剥離シート
32 光硬化性転写層
32d 円盤状光硬化層
33 長尺剥離シート
33d 円盤状剥離シート
35 積層体
36 内孔
38 内円
39 外円
51 展開されたロール表面
55 内刃
56 外刃
60 光硬化性転写円盤シート
61 長尺剥離シート
62d 円盤状光硬化性転写層
63d 円盤状剥離シート
65 積層体
66 内孔
74a ディスク基板
74b スタンパ
75A 紫外線硬化樹脂
75B 紫外線硬化樹脂
76a 反射層(記録層)
76b 反射層(記録層)
77 カバー層

Claims (9)

  1. 搬送下の光硬化性転写材シートの表面に、表面に突出した打ち抜き刃を有するロールを、搬送に同期して回転させて押し当てることによって、前記光硬化性転写材シートを円盤状に打ち抜きする打ち抜き加工を行って光硬化性転写円盤シートを製造する方法であって、
    前記ロールの表面の平面展開図における、前記打ち抜き刃の刃先の平面視の形状が、前記光硬化性転写材シートの搬送方向に長い楕円形状を有することを特徴とする製造方法。
  2. 前記楕円形状が、以下の式I:
    2/p2 + y2 = r2
    (但し、光硬化性転写材シートの搬送方向がx軸、ロールの軸方向がy軸であり、
    rは、楕円の短軸半径、
    p×rは、楕円の長軸半径であり、且つ、
    p>1である)
    で表される楕円形状である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記pが、1.1≧p>1 の範囲にある、請求項2に記載の製造方法。
  4. ロールの表面の平面展開図における打ち抜き刃の刃先の平面視の形状が、前記式Iで表される楕円形状である打ち抜き刃は、
    楕円形状が、
    r=ra、且つ、p=pa (但し、1.1≧pa>1である)
    である内刃と、
    楕円形状が、
    r=rb、且つ、p=pb (但し、1.1≧pb>1である)
    である外刃とが、次の条件:
    b>ra
    を満たし、且つ、2つの楕円の中心が同一となるように配置されてなる、請求項2に記載の製造方法。
  5. 前記paとpbが、pb≧pa の関係にある、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記paが、1.04≧pa>1.00 の範囲にあり、且つ、
    前記pbが、1.10≧pb≧1.04 の範囲にある、請求項4又は請求項5のいずれかの請求項に記載の製造方法。
  7. 以下の工程:
    A)搬送下の長尺剥離シートの表面上に、光硬化性転写層及び長尺剥離シートを順に積層して、光硬化性転写材シートを形成する工程、
    B)該光硬化性転写材シートの表面の幅方向中央の領域に、平面視において外円の内部に同心円状に内円が打ち抜かれるように、前記長尺剥離シートのうちの一方の長尺剥離シート及び前記光硬化性転写層の2層を打ち抜く前記外円の打ち抜きと、該一方の長尺剥離シート、前記光硬化性転写層及び他方の長尺剥離シートの3層を打ち抜く前記内円の打ち抜きを、
    搬送される前記光硬化性転写材シートの表面に、内円用打ち抜き刃と外円用打ち抜き刃とを表面に突出して有するロールを、搬送に同期して回転させて押し当てることにより行う工程、
    C)打ち抜かれた外円の周囲の2層を剥離し、前記他方の長尺剥離シートの上に、円盤状光硬化性転写層と円盤状剥離シートとの積層体を長手方向に残す工程、
    を含む光硬化性転写円盤シートの製造方法であって、
    前記内円用打ち抜き刃の刃先の平面視の形状と、前記外円用打ち抜き刃の刃先の平面視の形状とが、前記ロールの表面の平面展開図において、いずれも前記光硬化性転写材シートの搬送方向に長い楕円形状を有し、且つ、2つの楕円の中心が同一となるように配置されていることを特徴とする製造方法。
  8. 前記打ち抜き刃により打ち抜かれる楕円が、搬送による張力のかからない状態で、真円となるように、前記光硬化性転写材シートの搬送の速度を増減する、請求項1〜7のいずれかの請求項に記載の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかの請求項に記載の製造方法により製造された光硬化性転写円盤シート。
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