図1は、本発明の一実施形態を採用した画像形成装置としてのカラー画像形成装置を示している。本実施形態では、画像形成装置としてタンデム型間接転写方式の電子写真複写装置を用いた例を示すが、本発明が適用可能な画像形成装置はこれに限られず、2成分現像剤による電子写真方式を用いる全ての画像形成装置に適用可能である。
図1において、符号100は複写装置本体を、符号200は複写装置本体100を載置する給紙テーブルを、符号300は複写装置本体100の上部に取り付けられる読取光学系であるスキャナを、符号400はスキャナ300の上部に取り付けられる原稿自動搬送装置であるADFをそれぞれ示している。
複写装置本体100のほぼ中央には、図1において横方向へと伸びる無端ベルト状の中間転写体10が配設されている。中間転写体10は3個の支持ローラ14,15,16に掛け回されており、図1において時計回り方向に回転搬送される。支持ローラ15の左方には、画像転写動作後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配設されている。
各支持ローラ14,15間に掛け渡された中間転写体10の上方には、中間転写体10の搬送方向に沿ってブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4個の画像形成手段18を並設したタンデム画像形成部20が配設されている。タンデム画像形成部20の上方には露光装置21が配設されている。
中間転写体10を介してタンデム画像形成部20と対向する位置には2次転写装置22が配設されている。2次転写装置22は、2個のローラ23間に無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡すことにより構成されており、中間転写体10を介して2次転写ベルト24を支持ローラ16に圧接するように配置され、中間転写体10上の画像をシートに転写する。2次転写装置22は、画像転写後のシートを後述する定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えている。
2次転写装置22の左方には、シート上に転写された画像を定着する定着装置25が配設されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26とこれに圧接された加圧ローラ27とを有している。定着装置25の下方には、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転させるシート反転装置28が、タンデム画像形成部20と平行となるように配設されている。
タンデム画像形成部20において、個々の画像形成手段18は、潜像担持体としてのドラム状の感光体40の回りに帯電装置60、現像装置61、1次転写装置62、感光体クリーニング装置63、図示しない除電装置等を備えている。
現像装置61は、図2に示すように、現像容器65内に現像剤撹拌搬送手段としての補給側撹拌スクリュ66、現像側撹拌スクリュ67、現像剤担持体としての現像ローラ68、ドクターブレード77を有している。補給側撹拌スクリュ66は補給側撹拌室86内に配設されており、現像側撹拌スクリュ67は現像側撹拌室87内に配設されている。補給側撹拌室86の容器外壁には図示しないトナー補給装置からのトナーが補給される図示しない補給口が設けられており、補給側撹拌スクリュ66はトナー補給装置から補給されたトナーと現像容器65内の2成分現像剤とを攪拌搬送し、現像側撹拌スクリュ67は現像容器65内の2成分現像剤を攪拌搬送する。
図3に示すように、補給側撹拌室86と現像側撹拌室87との間には両者を仕切る仕切り板80が配設されている。仕切り板80は、その両端部が現像容器65から離隔しており、この離隔部において補給側撹拌室86と現像側撹拌室87との間で現像剤を受け渡すための開口部が形成されている。現像側撹拌室87内の現像剤は現像ローラ68によって汲み上げられ、ドクターブレード77によって層厚を規制された状態で感光体40との摺擦部に供給される。このとき、現像剤はドクターブレード77によって最も大きな摺擦力を与えられる。図2及び図3において、符号75は複数のトナー濃度センサを示す。
上述の実施形態では、感光体40、帯電装置60、現像装置61、感光体クリーニング装置63をそれぞれ独立して配置する構成としたが、図4に示すように、上述した各構成要素のうち複数のものをプロセスカートリッジ64として一体的に結合し、このプロセスカートリッジ64を複写装置本体100に着脱可能とした構成を採用してもよい。
このようなプロセスカートリッジ64を有する画像形成装置は、感光体40が所定の周速度で回転駆動され、感光体40は回転過程において帯電装置60によりその周面に正または負の所定電位を均一帯電され、次いでスリット露光あるいはレーザービーム走査露光等による露光装置21からの画像露光光を受ける。これにより感光体40の周面に静電潜像が形成され、形成された静電潜像は現像装置61においてトナー像化される。転写動作後の感光体40は、感光体クリーニング装置63により残留トナーを除去されて清浄化された後、図示しない除電装置により除電されて次の画像形成工程に備える。
上述のカラー画像形成装置を用いて画像形成を行う場合の動作を以下に説明する。ADF400の原稿台30上に画像形成すべき原稿をセットした後、若しくはADF400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットしてADF400を閉じた後、オペレータにより図示しないスタートスイッチが押下される。ADF400に原稿をセットした場合にはADF400が原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動させた後に、コンタクトガラス32上に原稿をセットした場合には直ちにスキャナ300が駆動され、スキャナ300内に設けられた第1走行体33及び第2走行体34が作動する。第1走行体33は光源から光を照射すると共に原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射された情報は結像レンズ35を介して読取センサ36に入力され、これにより原稿画像が読み取られる。
また、図示しないスタートスイッチが押下されると、図示しないモータが作動して各支持ローラ14,15,16の何れかが回転駆動されて中間転写体10が回転搬送されると共に、個々の画像形成手段18において感光体40が回転駆動されて各感光体40上にそれぞれブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの単色画像が形成される。形成された単色画像は、中間転写体10の回転搬送に合わせて各1次転写装置62が作動することにより順次中間転写体10上に転写され、中間転写体10上に合成カラー画像が形成される。
一方、図示しないスタートスイッチが押下されると、給紙テーブル200内に配設された給紙ローラ42の1つが選択されて回転駆動され、ペーパーバンク43に設けられた多段の給紙カセット44の1つからシートが給送される。給送されたシートは分離ローラ45で1枚ずつに分離されて給紙路46に送られ、搬送ローラ47により搬送されて複写装置本体100内の給紙路48に送られた後、レジストローラ対49のニップ部で一時停止される。そして、中間転写体10上の合成カラー画像とタイミングを合わせてレジストローラ対49が回転することによりシートは中間転写体10と2次転写装置22との間に向けて送り込まれ、2次転写装置22の作動によりシート上に合成カラー画像が転写される。
画像が転写されたシートは2次転写装置22によって定着装置25へと送られ、定着装置25において熱と圧力とを加えられることにより転写された合成カラー画像がシート上に定着される。画像が定着されたシートは切替爪55に案内されて排出ローラ56に送られ、排出ローラ56によって複写装置本体100外へと排出されて排紙トレイ57上に載置される。または、切替爪55に案内されてシート反転装置28に送られ、反転された後に再び転写位置へと送られて裏面に画像を記録された後に排出ローラ56に送られ、排紙トレイ57上に載置される。一方、画像転写後の中間転写体10は中間転写体クリーニング装置17において表面に付着した残留トナーを除去され、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備えられる。
上述した現像装置61を含む一般的な現像装置内における2成分現像剤(以下、現像剤という)は、撹拌、現像ローラによる汲み上げ等による機械的ストレスを絶えず受け続ける。これはトナーへの帯電付与、現像部へのトナー供給等、電子写真プロセスにおいて必然的なストレスともいえる。さらに、小型化された現像装置ではトナー帯電に要することのできる時間も短時間となるため、現像剤に対して強いストレスを印加することが必要となる。このように機械的ストレスを継続的に与えられた現像剤は、特にその中のトナーが様々な特性の変化を来たす。このトナーの特性変化のうち、特に外添剤の埋没による帯電特性の変化、非静電的付着力の増加は、現像装置の撹拌ストレスとの関係により地肌汚れや補給トナーの飛散に大きく影響を及ぼす。
現像剤の機械的ストレスによる状態変化での帯電特性の変化は、特にトナー補給時に顕著に観察できる。現像剤中に補給されたトナーは、現像剤中に十分に分散されると現像剤中のキャリアを介して現像剤中のトナーと電荷が分配され、現像剤中のトナーと補給されたトナーとはそれぞれの外添剤埋没状態に応じた帯電量分布を取り、一時平衡状態となる。また、この平衡状態は撹拌条件によって変動する。
ここで、トナーの帯電量分布の測定方法について説明する。トナーの帯電量分布の測定方法として、チャージスペクトル法を利用した方法やレーザードップラー速度計を使用した方法等が知られており、何れの測定方法も用いることができるが、本実施形態ではレーザードップラー速度計を使用したトナー粒子帯電量分布測定装置(Eスパートアナライザー:ホソカワミクロン株式会社製)におけるトナーの帯電量分布の測定方法を示す。
先ず、磁石で構成されている現像剤保持台に現像剤を保持させる。次いで、現像剤保持台に保持した現像剤を、エアガン(窒素ガス)により磁性キャリアとトナーとに分離し、トナー粒子のみを測定部に吸引導入する。測定部に吸引導入されたトナーは順次帯電量を計測され、トナーの帯電量分布を得る。本実施形態における測定条件は以下の通りとした。
窒素ガスブロー圧力:0.4kg/cm2G
窒素ガスブロー時間:2sec
窒素ガスブローのインターバル:2sec
現像剤保持台の回転数:150r.p.m.
図5に、トナー補給直後のトナー帯電量の分布図を示す。現像剤中のトナーの帯電量分布ピーク位置をμ0、補給トナーの帯電量分布ピーク位置をμ1で示す。横軸はトナー電荷量Qをトナー粒径Dで除した値であり、縦軸はトナー個数を示している。
帯電量分布ピーク位置とは、最も縦軸の値の頻度が高い位置に対応した横軸の値(Q/D)である。撹拌時間tにおける現像剤中トナーの帯電量分布ピーク位置μ0(t)と補給トナーの帯電量分布ピーク位置μ1(t)とは撹拌が進むに連れて次第に近づき、現像剤中トナーの機械的ストレスによる帯電特性の劣化が生じているとμ0(t)>μ1(t)となった状態で一時併合状態となる。μ0(t)とμ1(t)との差は、現像剤が機械的ストレスにさらされていないほど、または機械的ストレスによる帯電特性の変動が少ない現像剤ほど小さく、1つの分布に重なってしまうためにはっきりとは認識できないが、現像剤中トナーの機械的ストレスによる帯電特性の劣化が大きいほど現像剤中トナーの帯電量分布ピーク位置と補給されたトナーの帯電量分布ピーク位置との差は大きくなり、外添剤が完全に埋没した状態の現像剤で最大となる傾向にある。
図6に、上述した平衡状態の現像剤中トナーの帯電量分布ピーク位置μ’0、補給トナーの帯電量分布ピーク位置μ’1の一例を示す。μ’0は補給されたトナーに電荷を分配し帯電量は減少する。補給トナーはキャリア及び現像剤中トナーから電荷を分配され帯電量が上昇する。
本発明では、以下の劣化トナー試験方法にて測定されるトナー補給後の一時平衡状態となった外力付与現像剤中トナーの帯電量分布ピーク位置をμ’0、補給されたトナーの帯電量分布ピーク位置をμ’1とした。さらに撹拌を続けると、μ0(t)とμ1(t)とはさらに変動し、次第に1つのピークへと収束していく。試験方法は、先ず以下の条件で過度な機械的ストレスを与えることにより簡易的に現像装置内での現像剤状態変化を再現した外力付与現像剤を作製する。
外力付与現像剤の作製にはマグロール撹拌機(リコーエンジニアリング社製)を用いる。マグロール撹拌機とは、ロールミルの容器下部にマグネットが取り付け可能であり、その磁力により容器内の磁性キャリアに対して負荷を与えながら撹拌可能な撹拌装置である。トナー被覆率50%に混合された現像剤をステンレス製のマグロール専用密閉容器に7g投入する。現像剤に負荷を与える磁力を3000ガウスとし、回転数280r.p.m.にて撹拌を行う。このとき、撹拌10分毎に容器内の現像剤を0.1gずつサンプリングして電子顕微鏡にてトナー表面の外添剤存在状態を観察し、外添剤がトナー表面に埋没して観察されなくなる時間まで撹拌を継続する。これにより外力付与現像剤が作製される。
上述の方法により作製された外力付与現像剤6gをマグロール専用密閉容器に投入する。さらに、投入した外力付与現像剤中のトナー量と同量の補給トナーを補給し、磁力による負荷は与えずに回転数280r.p.m.にて撹拌する。このときの単位時間毎の帯電量分布を測定し、帯電量分布ピーク位置を測定する。撹拌時間tにおける外力付与現像剤中トナーの帯電量分布ピーク位置をμ0(t)、補給トナーの帯電量分布ピーク位置をμ1(t)とする。
図7及び図8に、撹拌時間に伴う帯電量分布ピーク位置の変化例を示す。補給トナーの帯電立ち上がり時における挙動と外力付与現像剤中トナーの電荷受け渡し時における帯電量低下が観察できる。各帯電量分布のピーク変動は、補給トナーが十分に分散されると収束されることがわかる。この収束した外力付与現像剤中トナーの帯電量ピーク位置をμ’0、補給トナーの帯電量分布ピーク位置をμ’1とする。
なお、外力付与現像剤中トナーの帯電量分布ピーク位置μ’0と補給トナーの帯電量分布ピーク位置μ’1は現像装置内のトナー帯電量分布挙動を示すものではなく、外力付与現像剤中のトナーと補給されたトナー、すなわち機械的ストレスを受けていないトナーの本質的な帯電特性の関係を表すものと考えられる。また、外力付与現像剤中トナーの帯電量分布ピーク位置μ’0と補給トナーの帯電量分布ピーク位置μ’1の関係は外力付与現像剤中のトナーと補給されたトナーの質量比によって当然変化するものであるが、本発明ではこの質量比により外力付与現像剤中のトナーと補給されたトナー、すなわち機械的ストレスを受けていないトナーの本質的な帯電特性の関係を規定するものである。
本発明に用いられる現像剤は、機械的ストレスによる帯電特性の変動が少ない現像剤であり、μ0(t)とμ1(t)との大小関係が撹拌を継続しても変化しない現像剤である。このような特性を有する現像剤は、必然的に補給トナーの帯電立ち上がりが遅いが、一度補給トナーの帯電が立ち上がると安定した帯電量分布を保つことを特徴とする。一般的な現像剤のμ0(t)とμ1(t)との大小関係が逆転する原因としては、帯電制御剤と樹脂母体の組み合わせによる外添剤の影響等が判明しているが、現像剤の全ての材料構成により規定されると考えられる。
本発明の現像方法及び現像装置に用いられるトナーは、少なくとも樹脂及び着色剤からなる母体粒子と外添剤とから構成される。この場合の樹脂としては、従来からトナー用結着樹脂として使用されてきたものの全てが適用される。具体的には、ポリスチレン、ポリクロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン/p−クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタリン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン/ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/アクリロニトリル/インデン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルブチルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上混合して使用される。これらの製造法は特に限定されず、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合の何れも利用可能である。
着色剤としては、トナー用として周知のものが全て利用できる。黒色の着色剤としては、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等が使用可能である。シアンの着色剤としては、例えばフタロシアニンブルー、メチルレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等が使用可能である。マゼンタの着色剤としては、例えばローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等が使用可能である。イエローの着色剤としては、例えばクロムイエロー、ベンジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジン等が使用可能である。
上述したトナーは、少量の帯電付与剤、例えば染顔料極性制御剤等を含有することが可能である。極性制御剤としては、例えばモノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸及びその塩、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のCo、CrまたはFe等の金属錯体、有機染料、四級アンモニウム塩等がある。帯電付与剤によりμ0(t)及びμ1(t)の変動やその関係は変化することが確認されており、その添加量は上述した樹脂や外添剤の種類、重量比の関係により規定されるものである。
トナー粒子の製造法は混練粉砕法、重合法等が挙げられるが、何れの製造法に限られるものではない。トナー粒子の粒径は3μm〜12μmが好ましい。3μm未満では非静電付着力の影響が大きくなり、現像、転写、クリーニング等のプロセスにおいて安定性が低下する。また12μmより大きい粒径では画質の低下が顕著となる。
外添剤として用いられる無機微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができる。中でも本発明においては、シリカ、酸化チタンの2種が好ましく用いられる。シリカはトナー非静電付着力の低減、母体粒子への埋没抑制から、上記無機微粒子の少なくとも一方は1次平均粒子径が30nm以上150nm以下であることが好ましい。これは、1次平均粒子径が30nmより小さいとユニット内の撹拌により母体粒子への埋没が顕著となり、また150nmより大きいとトナーの流動性不良により補給時の現像剤中へのトナー分散が不均一となり易いためである。酸化チタンは帯電付与剤と同様に、μ0(t)及びμ1(t)の変動やその関係を変化させることが確認されている。従って酸化チタンの遊離成分が多くなることは好ましくなく、付着率としては90%以上が好ましく、95%ではより好ましい。
ここで添加剤付着率の測定方法について説明する。手法は特開平7−199519号公報及び特開2000−122336号公報に開示された方法を参考とし、トナー(5.0g)、活性剤溶液(イオン交換水100ml、活性剤ドライウェル4.4ml)、200ml軟膏瓶、超音波ホモジナイザ、ロート、ろ紙、吸引ポンプ、イオン交換水、乾燥機、乳鉢、乳棒を用意し、事前に添加剤混合後のトナーの蛍光X線測定を行っておく。
手順としては、先ず200ml軟膏瓶に活性剤溶液とトナーとを入れ、蓋をして20回上下に振って混合する。これを1.5〜3時間放置し、放置後に超音波ホモジナイザ(UH−30,24kHz)で1分間照射する。吸引ろ過を行い、イオン交換水で2回洗浄する。トナーを一晩40℃の乾燥機で乾燥させた後にこのトナーを乳鉢で解砕し、蛍光X線測定を行う。なお、付着率は次式によって求めた。この一連の手順を図9に示す。
付着率(%)=(超音波処理後残存添加剤量(部)/超音波処理前残存添加剤量(部))×100
また、上記無機微粒子のうち、少なくとも1種が疎水化処理された疎水性無機微粒子であることが好ましい。疎水化処理剤としては、例えばジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、p−クロルフェニルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルジクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン、オクチルトリクロルシラン、デシルトリクロルシラン、ノニルトリクロルシラン、(4−イソプロピルフェニル)トリクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)トリクロルシラン、ジペンチルジクロルシラン、ジヘキシルジクロルシラン、ジオクチルジクロルシラン、ジノニルジクロルシラン、ジデシルジクロルシラン、ジドデシルジクロルシラン、ジヘキサデシルジクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)オクチルジクロルシラン、ジオクチルジクロルシラン、ジデセニルジクロルシラン、ジノネニルジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシルジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルペンチルジクロルシラン、トリヘキシルクロルシラン、トリオクチルクロルシラン、トリデシルクロルシラン、ジオクチルメチルクロルシラン、オクチルジメチルクロルシラン、(4−イソプロピルフェニル)ジエチルクロルシラン、イソブチルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、トリメトキシ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ジエチルテトラチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等の有機系シラン化合物や、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェン」シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル・メタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル、その他シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤等が挙げられる。中でも有機系シラン化合物で処理することにより、トナーが環境安定性に優れると同時に、外添剤がある程度トナー母体粒子に埋没した後にも非静電的付着力の増加を抑制することができる。また、添加する無機微粒子のうち何れか1種が疎水化処理されていれば効果は得られるが、2種以上が疎水化処理されていればさらなる安定的な効果が得られるので好ましい。
次に、2成分現像剤に用いられる磁性キャリアについて詳細に説明する。磁性キャリアとしては、磁性を有した核体粒子に必要に応じて被覆層を設けたものが広く一般に用いられている。核体粒子としては周知の磁性体が使用され、例えば鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属や、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の合金あるいは化合物等が挙げられる。被覆層に用いられる樹脂としては、ポリオレフィン樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン)、ポリビニル及びポリビニリデン系樹脂(例えばポリスチレン、アクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール)、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂のようなシリコン樹脂またはその変性品(例えばアルキド樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変性品)、フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン)、ポリアミド、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタラート)、ポリウレタン、ポリカーボネート、アミノ樹脂(例えば尿素・ホルムアルデヒド樹脂)、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中でもトナースペントを防止する点で好ましいのは、アクリル樹脂、シリコン樹脂またはその変性品、及びフッ素樹脂であり、特にシリコン樹脂またはその変性品が好ましい。被覆層の形成法としては従来と同様に、磁性体でなる核体粒子の表面に噴霧法、浸漬法等の方法によって樹脂を塗布すればよい。
また、磁性キャリアのキャリア抵抗調整等の目的で被覆層中に微粉末を添加することができる。被覆層中に分散される微粉末は0.01〜5.0μm程度の粒径のものが好ましい。この微粉末は被覆樹脂100重量部に対して2〜30重量部添加されることが好ましく、特に5〜20重量部が好ましい。微粉末としては周知のものが使用され、例えばシリカ、アルミナ、チタニア等の金属酸化物やカーボンブラック等の顔料等が挙げられる。
上述の構成からなる磁性キャリアの体積平均粒径は50μm以下であることが好ましい。体積平均粒径が50μm以下の磁性キャリアを用いることにより単位重量当たりの磁性キャリア表面積が増大し、補給トナーが磁性キャリアと接触する確立を増加させることができる。
ここで、現像剤作成の具体例を説明する。先ず、ポリエステル樹脂A(軟化点106℃、Tg62℃)100部とカーボンブラック7部とをヘンシェルミキサ(三井三池社製)により混合した後に120℃に設定したブスコニーダ(ブス社製)によって溶融混練し、混練物を冷却後にターボミル(ターボ工業社製)を用いた粉砕機によって微粉砕し、風力分級機を用いて分級して体積平均粒径6.69μm、比表面積2.34m2/gのブラック母体トナーAを得た。
上述の母体トナーA100部に対し、シリカとしてTG−810G(CABOT社製、BET比表面積230m2/g)を1.0重量%及びX−24(信越化学社製、粒径50μm)を0.8重量%、チタニアとしてMT−500B(テイカ社製、平均粒径0.03〜0.05μm)を0.5重量%添加し、ヘンシェルミキサで十分混合して電子写真用トナーAを得た。
次に、ポリエステル樹脂A(軟化点106℃、Tg62℃)100部とカーボンブラック7部とサリチル酸の亜鉛化合物1.5部とをヘンシェルミキサ(三井三池社製)により混合した後に120℃に設定したブスコニーダによって溶融混練し、混練物を冷却後にターボミルを用いた粉砕機によって微粉砕し、風力分級機を用いて分級して体積平均粒径6.62μm、比表面積2.35m2/gのブラック母体トナーBを得た。
上述の母体トナーB100部に対し、シリカとしてTG−810G(CABOT社製、BET比表面積230m2/g)を1.0重量%及びAEROSIL RX50(日本アエロジル社製、BET比表面積50m2/g)を1.8重量%、チタニアとしてMT150(テイカ社製、BET比表面積65m2/g)を0.5重量%添加し、ヘンシェルミキサで十分混合して電子写真用トナーBを得た。
トナーA、トナーBをFPC−300CLキャリア(パウダーテック社製、体積平均粒径55μm)と混合し、現像剤A及び現像剤Bを得た。現像剤Aは上述した劣化トナー試験方法においてμ0(t)≧μ1(t)を維持し、現像剤Bはμ0(t)<μ1(t)の平衡状態を経てピーク時における帯電量分布へ収束する結果となった。画像評価にはそれぞれトナー濃度7%に調整された現像剤を上述した現像装置61に投入して評価を行った。
ここで、現像装置61における、現像剤が現像容器65内を移動する局所的な移流速度Vlocal値を現像剤が現像容器65内を1周するときの平均移流速度Vaverage値で除したときの値の調整について説明する。
先ず、現像剤の移流速度の測定方法について説明する。トナーを一定量補給して撹拌したときにおける個々のトナー濃度センサ75の出力を調べると、図10に示すように、ある位置におけるトナー濃度の時間推移が得られるので、平均的な移流速度成分(波形のピーク位置)の移流速度が求められる。これを平均移流速度Vaverageとする。
現像剤が現像容器65内を1周するときの平均移流速度Vaverageは、現像剤の搬送系路長さを1周目から2周目のピークまでの時間で除すことによって求められる。一方、補給側撹拌室86から現像側撹拌室87への受け渡し部(図3参照)における移流速度Vlocalは、補給側撹拌室86の下流部に配設されたトナー濃度センサ75と現像側撹拌室87の上流部に配設されたトナー濃度センサ75の波形ピークの時間差及びセンサ間距離から求められる。その算出結果に基づく現像剤移流速度の模式図を図12に示す。
本実施形態において、現像装置61の受け渡し部の開口部はその開口面積が832mm2(幅32mm×高さ26mm)であり、この開口部に、図11に示すように天井部に補給側撹拌室86と現像側撹拌室87との仕切り板80を延長するような形で板状部材である通過量規制部材78(図3参照)を取り付け、開口面積を狭くすることにより現像容器65内の局所的な移流速度を調整してVlocal/Vaverage値を調整した。
ここで、上述の開口面積を狭くした現像装置61の受け渡し部手前の位置(現像剤が圧密状態になっている場所)での現像剤の挙動について説明する。受け渡し部の開口面積を小さくすると、受け渡し部を通過できる現像剤の量が減るため、補給側撹拌室86の下流側約1/3ほどの位置から現像剤が補給側撹拌室86の天井蓋に接触する状態、すなわち補給側撹拌スクリュ66の周り360度に現像剤が詰まっている状態となる。このとき、以下の2つのことが懸念される。
1つは、補給トナーが分散しきれていない状態で圧密領域に入った場合に、現像剤がパッキングされて分散されずそのまま搬送されてしまうという懸念であり、1つはスクリュが回転しても現像剤の一部(特にスクリュ羽根が掃引しない撹拌室の隅)が不動層を形成して現像剤が循環しないのではないか、という懸念である。長期間装置を作動させない放置後に装置を作動させたとき等、現像剤の嵩密度が小さくなることにより不動層を形成していた現像剤が動くと、現像剤の不均一化及びトナー濃度ムラ等の原因となる。現像剤は可視光を通過させないため、可視光では内部の流動状態を観察することはできない。そこで、特願2005−172863に記載されたX線による可視化技術を用い、現像容器65内部における現像剤の流動状態を確認した。
流動状態の確認には、X線透過画像観察装置H3150(東芝ITコントロール社製)を用い、現像剤の挙動を把握するためのトレーサとしてキャリア粒径とほぼ等しい50μmのタングステン粒子を用いた。タングステンは現像剤内のキャリア(酸化鉄)よりも吸収率が大きいので、透過X線で観察するとその部分だけ周囲より黒く観察される。また、トレーサ粒子は十分に少量であるため、周囲の現像剤粉体と同一の挙動をしていると考えられ、トレーサ粒子の流動状態を観察することで現像剤挙動を可視化することが可能である。特願2005−172863における粉体のスクリュ搬送では、トレーサ粒子と粉体粒子との間に20倍以上の密度の差があっても、ほぼ同一の挙動を示すことが記載されている。
現像剤挙動を観察する箇所に、場の流れを乱さないように注意しながらスパチュラでトレーサを少量補給した。静かに現像剤撹拌室の蓋を閉じて上記装置内に設置し、スクリュを回転させたときの現像剤挙動をX線で可視化した。その結果、圧密領域に突入したトレーサは補給側撹拌室86のトナー補給位置から補給側撹拌室86の中央部付近までの非圧密領域(現像剤レベルがスクリュの軸よりも少し上に位置する程度)と同様に分散がなされていることが判明した。また、不動層も今回検討を行ったスクリュでは生じていないことが確認できた。
また、現像ローラ68内の磁石ローラ体の現像剤汲み上げ極を変更し、現像ローラ68の動トルクを調整した。通常状態である現像ローラ(A)での動トルクは0.61kgf・cm、ドクタ部での摺擦力を低下させた現像ローラ(B)での動トルクは0.42kgf・cmであった。現像ローラ(A)を有する現像装置において、仕切り板80を取り付けない現像装置のVlocal/Vaverage値は1である。仕切り板80による開口面積を184mm2とした現像装置のVlocal/Vaverage値は0.62であった。
そこで、以下に示す表1の組み合わせにおいて、後述する評価1及び評価2を行うことにより画像安定性を確認した。
評価1として、長期画質安定性を評価した。温度20℃湿度50%RH環境、温度30℃湿度80%RH環境、温度10℃湿度30%RH環境にて画像チャート面積5%の連続コピーを行い、1000枚毎に格子状のテストチャートを5枚出力し、10000枚までの各テストチャートのベタ均一性により長期画質安定性を評価した。ベタ均一性はマクベス濃度計にて測定し、面内濃度バラツキと初期画像との比により経時ベタバラツキを評価した。面内バラツキはIDmax−IDminが0以上0.05未満を○、0.05以上0.10未満を△、0.10以上を×とし、許容範囲を0.10未満とした。経時バラツキは初期IDaverageからの変動最大値が0以上0.10未満を○、0.10以上0.20未満を△、0.20以上を×とし、許容範囲を0.10未満とした。さらに各サンプルにおいて地肌汚れを目視にて評価し、目視にて判別できない程度を○、許容範囲内を△、地汚れが顕著であるものは×とした。
評価2として、トナー補給時安定性を評価した。温度10℃湿度30%RH環境において白紙原稿の連続コピーを行い、2000枚、5000枚、10000枚後にそれぞれ黒ベタ画像を20枚ずつ出力し、黒ベタ画像を20枚出力した直後の1枚目の白紙画像について地肌汚れを評価する。地肌汚れの評価は、目視にて判別できない程度を○、許容範囲内を△、地肌汚れが顕著であるものを×とした。各組み合わせにおける評価結果を表2に示す。
以上の結果から、0.6<Vlocal/Vaverage<0.9の関係を満たす領域を有し、外力付与現像剤中におけるトナーの帯電量分布ピーク位置μ0(t)と補給トナーの帯電量分布ピーク位置μ1(t)との関係が、μ0(t)≧μ1(t)を保つ現像装置とすることにより、どのような環境及び条件においても初期使用から長期にわたり良好な高画質で優れた画像安定性を有する現像装置及びプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することができる。