JP2006348845A - 燃料噴射ノズル - Google Patents

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Abstract

【課題】 十分な大きさの燃料噴射角を得ることができる燃料噴射装置に用いられる燃料噴射ノズルを提供する。
【解決手段】 燃料噴射ノズル10の母材となるプレート材5に、大径噴射孔11および小径噴射孔12とを形成し、プレート材5自体を過熱させて大径噴射孔11および小径噴射孔12を通過する燃料油を昇温することにより、燃料油を所望の温度に昇温させて気化効率が高まり、また燃料油の粘度を低下させて燃料油の噴射角を広くすることができる。プレート材5に直径および長さの異なる大径噴射孔11および小径噴射孔12を形成したことにより、大径噴射孔11からは貫通力の強い燃料油が噴射し、また小径噴射孔12からは貫通力が弱く気化しやすい燃料油が噴射するなど、貫通力と気化のしやすさの異なる燃料油を同時に噴射することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、内燃機関の燃焼室に燃料油を供給する燃料噴射装置の先端に取り付けられた燃料噴射ノズルに関する。
エンジン内に燃料油を噴射する燃料噴射装置(以下、インジェクタと呼ぶ)の燃料噴射角は、燃料油の温度が低い時、すなわち燃料油の粘度が高い時には、燃料油の噴射角が狭くなる。燃料油の噴射角が狭くなると、あらかじめ想定していた範囲に燃料油を噴射することができなくなったり、気化を促進させることができなくなるため、燃料油の所望の燃焼状態を得ることができない等の不具合が発生していた。
これを防止するための装置として、たとえば特開平5−5474号公報に記載のものがある。これは、インジェクタに係る燃料油の圧力を一定に調整するプレッシャレギュレータの吸気負圧を受けるチャンバにバキュームスイッチングバルブを接続し、燃料油の粘度が高い時にはバキュームスイッチングバルブを開放してインジェクタにかかる燃料油の圧力を高めることにより、インジェクタから噴射される燃料油の噴射角が狭くなることを防止しようとしていた。
特開平5−5474号公報
しかしながら、このような従来の装置においては、バキュームスイッチングバルブを開放することでインジェクタに係る燃料油の圧力を高めているが、燃料油の圧力変化が小さいため、十分な大きさの燃料噴射角を得ることが困難であるといった問題があった。
そこで本発明はこのような問題点に鑑み、十分な大きさの燃料噴射角を得ることができるインジェクタに用いられる燃料噴射ノズルを提供することを目的とする。
本発明は、内燃機関の燃焼室に噴射した燃料油を供給するための燃料噴射装置の先端に取り付けられた燃料噴射ノズルであって、導電性を有するプレート材に少なくとも2つ以上の異なる直径の噴射孔を形成し、プレート材に電圧を印加することによって発生した熱によって噴射孔を通過する燃料油を昇温するものとした。
燃料油を噴射する噴射孔を形成するプレート材に電圧を印加して加熱するため、燃料油を所望の温度に昇温させて気化効率を高めることができ、また燃料油の粘度を低下させて燃料油の噴射角を広くすることができる。
プレート材に異なる直径の噴射孔を形成したことにより、直径の大きな噴射孔からは貫通力の強い燃料油が噴射され、また直径の小さい噴射孔からは貫通力が弱く気化しやすい燃料油が噴射されるなど、貫通力と気化のしやすさの異なる燃料油を同時に噴射することができる。
次に本発明の実施の形態を実施例により説明する。
図1に、燃料噴射ノズルを燃焼室内に燃料油を噴射するインジェクタに適用した場合のインジェクタ先端部断面を示す。
図示しない燃料ポンプによって加圧された燃料油が、インジェクタ1に供給される。
インジェクタ1は、特に燃料噴射部分においてインジェクタケーシング2によって外周が囲まれている。
インジェクタケーシング2の内部には、燃料ポンプによって加圧された燃料油を蓄える油圧室8が形成され、インジェクタケーシング2の底壁(図1中の下方側)には油圧室8と連通する流量調節孔9が形成されている。
油圧室8には図1中の上下方向に移動可能な針弁3が備えられ、上下に移動させることにより針弁3の先端によって流量調節孔9を塞いだり、開口させたりすることができる。
この針弁3を上下に移動させることによって、油圧室8内から流量調節孔9を通って噴出される燃料油の流量を制御することができる。
インジェクタケーシング2の燃料噴射側には、流量調節孔9を覆うようにしてノズル保持部材4が取り付けられる。
ノズル保持部材4は、流量調節孔9の開口と対向する位置に燃料噴射ノズル10を保持している。
また燃料噴射ノズル10にそれぞれ一端が接続された2本の引き出し電極7a、7bは、その他端がノズル保持部材4の内部を通って外部まで伸びている。
引き出し電極7a、7bに電圧を印加すると、燃料噴射ノズル10が発熱する。
燃料噴射ノズル10は、自身に設けられた噴射孔を通過する燃料油を昇温しながら燃焼室内(図1中におけるインジェクタ1の下方側)に燃料油を噴射するものである。
このように、油圧室8に供給された燃料油は、針弁3の動作によって流量調節孔9から噴出される流量が制御され、流量調節孔9から噴出された燃料油は燃料噴射ノズル10によって昇温されて燃焼室内に噴射される。
次に、燃料噴射ノズルの詳細について説明する。
図2の(a)に、燃料噴射ノズルの上面を示し、図2の(b)に、図2の(a)におけるA−A部断面を示す。
燃料噴射ノズル10は、金属によって構成された薄い円筒形状のプレート材5と、大径噴射孔11および小径噴射孔12とより構成される。
特に図2の(b)に示されるように、プレート材5の上面(図2の(b)中、上側の面)の中央部には、厚みを薄くした薄肉部13が形成される。
また薄肉部13には、プレート材5の上面と下面とをつなぐ大径噴射孔11が形成されている。
さらに薄肉部13の周囲には、プレート材5の上面と下面とをつなぐ複数の小径噴射孔12が形成されている。
大径噴射孔11は、小径噴射孔12よりも孔の直径が大きく、孔の軸方向の長さが短い。
燃料噴射ノズル10は、図1に示すように、薄肉部13が形成された側の面を流量調節孔9側に向けてノズル保持部材4に保持されている。
油圧室8から流量調節孔9を通ってきた燃料油は、プレート材5に形成された大径噴射孔11および小径噴射孔12を通って燃焼室内に噴射される。
次に、燃料噴射ノズル10を通過する燃料油の温度と燃料油の噴射角の関係について説明する。
一般に、燃料油の粘度が高いと、燃料噴射ノズル10から噴射される燃料油の噴射角が狭くなることが公知である。また加熱された燃料油(温度が高い燃料油)は、内部エネルギーが高くなるため、気化しやすくなり、さらにブレイクアップレングス(噴射後の燃料油の流れが乱れ始める長さ)が短くなることも公知である。
したがって、本実施例におけるプレート材5に電圧を印加して燃料噴射ノズル10を加熱した場合と、電圧を印加せず燃料噴射ノズル10を加熱しない場合とでは、燃料油の噴射角が変化する。
なお、燃料噴射ノズル10の加熱時には燃料油の噴射角が広く、非加熱時には燃料油の噴射角は狭くなっている。
また、燃料噴射ノズル10の噴射孔および噴射孔を通過した燃料油の温度上昇は、一般的に下記のようにプレート材5の温度と発熱量、および噴射孔の直径と長さの影響を受ける。
プレート材5の温度が高く、発熱量が高いほうが燃料油は加熱されやすい。
また、噴射孔の直径が小さいほうが燃料油は過熱されやすく、噴射孔が長いほうが燃料油は加熱されやすい。
したがって、直径が大きく噴射孔の長さが短い大径噴射孔11を通る燃料油は、燃料噴射ノズル10の加熱時の温度上昇が少ないため、燃料噴射ノズル10の非加熱時と比べて噴射形体(噴射角、ブレークアップレングス)にあまり変化は見られない。
一方、直径が小さく噴射孔の長さが長い小径噴射孔12を通る燃料油は、燃料噴射ノズル10の加熱時に比較的大きな温度上昇が起きるため、燃料噴射ノズル10の非加熱時と比べて噴射形体が大きく変化する。
次に、噴射孔から噴射される燃料油の量について説明する。
噴射孔の長さが噴射孔の直径に比べて十分に長い場合、噴射孔の圧力損失は摩擦損失と縮小損失と拡大損失とに分けて考えることができる。
まず摩擦損失はレイノルズ数の関数であり、レイノルズ数が2000以下の場合は、摩擦損失はレイノルズ数の逆数に比例する。また、レイノルズ数は次式で示されるように、動粘度の逆数に比例する。
Re=uD/v
ここで、Reをレイノルズ数、uを燃料油の流速、Dを噴射孔の直径、vを燃料油の動粘度とする。
したがって、摩擦損失は動粘度に比例するといえる。
次に、縮小損失と拡大損失であるがこれらの損失は、噴射孔を流れる燃料の密度に比例し、またこの密度が粘度に比例するため、縮小損失と拡大損失も粘度に比例するといえる。
これら3つの損失(摩擦損失、縮小損失、拡大損失)の合計は燃料噴射ノズル10の上流側と下流側の圧力の差、つまり針弁先端部の燃料油の圧力と噴射孔を通過した燃料油の圧力との差に等しくなる。
また、摩擦損失は燃料油の流速に比例し、縮小損失と拡大損失は燃料油の流速の2乗に比例するので、燃料油の温度が上がり、燃料油の動粘度と密度が小さくなる分だけ、圧力損失を一定に保つように噴射孔を通る燃料油の流速が上がる。
このように、噴射孔の長さが噴射孔の直径に比べて十分に長い場合、噴射孔を流れる燃料の流速が上がるので、噴射孔を通る燃料油の流量、すなわち噴射される燃料油の量が増加する。
次に、噴射孔の長さが噴射孔の直径と同程度の場合は、上記のように圧力損失を3つの損失に分けて考えることができず、オリフィス損失として3つをまとめて考えるが、オリフィス損失も噴射孔を通る燃料の密度に比例し、流速の2乗に比例するため、上記の結果と同じく燃料油の温度が上がると、噴射孔を通る燃料油の流速が上がり、結果として噴射孔から噴射される燃料油の量が増加する。
以上の理由により燃料噴射ノズル10の加熱時において、噴射孔の形状によって温度上昇幅に違いが生じ、温度上昇による燃料油の粘度あるいは密度の低下によって流速あるいは流量が増加するため、直径が大きく長さの短い噴射孔(大径噴射孔11)では、燃料油の温度上昇幅が小さく噴射される燃料油の増加量も小さいが、直径が小さく長さの長い噴射孔(小径噴射孔12)では、燃料油の温度上昇幅が大く噴射される燃料油の増加量が大きくなる。
燃料噴射ノズル10の加熱時と非加熱時とにおける燃料油の流量の変化や噴射角の変化について図3の(a)、図3の(b)を用いて説明する。
図3の(a)に、燃料噴射ノズル10の非加熱時における燃料油の噴射状態を示し、図3の(b)に、燃料噴射ノズル10の加熱時における燃料油の噴射状態を示す。
なお図3の(a)および図3の(b)は、インジェクタ1の燃料噴射ノズル10以外の部分については省略してある。
図3の(a)に示すように燃料噴射ノズル10の非加熱時において、大径噴射孔11は圧力損失が小さいので、大径噴射孔11からは貫通力が高い大量の燃焼油が噴射燃料X1として噴射される。
また、小径噴射孔12は圧力損失が大きいので、貫通力の低い少量の燃料油が噴射燃料X2として噴射される。
ここで燃料噴射ノズル10の非加熱時において、大径噴射孔11および小径噴射孔12より噴射される噴射燃料X1と噴射燃料X2とをあわせた燃料油を、噴射燃料Xと呼ぶ。
一方燃料噴射ノズル10の加熱時において、上述のように、小径噴射孔12を通る燃料油の温度上昇幅が大きく、燃料油の粘度がより低下し、燃料油の流速の増加すなわち燃料噴射量が増加するため、小径噴射孔12から噴射される燃料油の増加量は、大径噴射孔11から噴射される燃料の増加量よりも大きくなる。
また小径噴射孔12より噴射される燃料油は、噴射角の拡大や、ブレークアップレングスの減少についての効果が、大径噴射孔11より噴射される燃料油よりも顕著に現れる。
したがって図3の(b)に示すように、燃料噴射ノズル10の非加熱時と比較して噴射角度が広く、ブレークアップレングスが短く、気化しやすい燃料油が小径噴射孔12より噴射燃料Y2として噴射される。また、大径噴射孔11からは、貫通力が高い大量の燃焼油が噴射燃料Y1として噴射される。
ここで燃料噴射ノズル10の加熱時において、大径噴射孔11および小径噴射孔12より噴射される噴射燃料Y1および噴射燃料Y2とをあわせて噴射燃料Yと呼ぶ。
また、燃料噴射ノズル10が非加熱時から過熱時へと変化した時に、小径噴射孔12より噴射される噴射燃料の増加量は、上述のように、大径噴射孔11より噴射される噴射燃料の増加量よりも多くなっている。
次に、インジェクタ1を直噴エンジンに適用した場合について説明する。
図4の(a)に、燃料噴射ノズル10の非加熱時におけるシリンダ内の噴射燃料X1の形状を示し、図4の(b)に、燃料噴射ノズル10の加熱時におけるシリンダ内の噴射燃料Y1の形状を示す。
インジェクタ1は、エンジンの通常状態(インジェクタ1の燃料噴射ノズル10が非加熱状態)の場合に、インジェクタ1から噴射される燃料(噴射燃料X)は、図4の(a)に示すようにピストン20の上面に形成されたキャビティ23に向けられている。
エンジンが通常状態であり、シリンダヘッドの温度が十分に高い場合には、燃焼に必要な十分な量の燃料を気化させることができる。
一方、エンジン始動時のようにシリンダヘッドの温度が低く、燃料が気化しにくいときには、インジェクタ1の燃料噴射ノズル10を加熱することにより、図4の(b)に示すように燃料がエンジンのシリンダ内に噴射燃料Yとして噴射される。
燃料噴射ノズル10の加熱によって、燃料の噴射角が燃料噴射ノズル10の非加熱時と比較して広がり、かつ内部エネルギーも高くなる。また、燃料噴射ノズル10の小径噴射孔12から噴射された気化しやすい噴射燃料Y2を点火プラグ22の周囲に噴射することができるので、点火に必要な燃料の濃度を点火プラグ22の周辺に作り出すことができる。
なお、燃料噴射ノズル10の加熱時と非加熱時とでは、大径噴射孔11および小径噴射孔12から噴射される燃料油の合計噴射量が異なり、燃料噴射ノズル10の加熱時の方が燃料油の噴射量が多くなってしまうため、加熱時と非加熱時とで異なるインジェクタ1の制御が必要となる。
そこで、予め実験によってプレート材5に形成した大径噴射孔11および小径噴射孔12を通過する燃料油の流量を、プレート材5に流す電圧と時間と温度、および燃料油を加圧する圧力と針弁3のリフト量またはリフト時間に応じて計測しておき、エンジン運転時にはプレート材5の温度と燃料の圧力を計測して、予め実験で計測していたデータにもとづいて、プレート材5の温度と燃料油の圧力を針弁3のリフト量およびリフト時間および噴射量に変換して、所望の噴射量を燃焼室に噴射する。
本実施例は以上のように構成され、燃料油を噴射する噴射孔を形成するプレート材5に電圧を印加して加熱するため、燃料油を所望の温度に昇温させて気化効率を高めることができ、また燃料油の粘度を低下させて燃料油の噴射角を広くすることができる。
また従来ではエンジンの低温始動時に通常の運転時に比べて多くの燃料油を噴射していたが、燃料の温度が高ければ噴射後の燃料の気化が促進されるので、エンジンの低温始動時においても、通常よりも多くの燃料油を噴射する必要が少なくなる。
プレート材5に異なる直径の大径噴射孔11および小径噴射孔12を形成したことにより、大径噴射孔11からは貫通力の強い燃料油が噴射し、また小径噴射孔12からは貫通力が弱く気化しやすい燃料油が噴射するなど、貫通力と気化のしやすさの異なる燃料油を同時に噴射することができる。
プレート材5に形成した大径噴射孔11および小径噴射孔12の長さを異なるものとすることにより、孔の長さの長い小径噴射孔12を通過する燃料油は、プレート材5より受け取る熱量が増加するため温度上昇幅が大きく、燃料油の粘度低下が大きくなるため、大径噴射孔11から噴射される燃料油と比較して貫通力が弱く、気化しやすいものとなる。このように、プレート材5に異なる長さの噴射孔(大径噴射孔11、小径噴射孔12)を形成することにより、貫通力と気化のし易さの異なる燃料油を同時に噴射することができる。
さらに、プレート材5の中央部に、孔の直径が大きく長さの長い大径噴射孔11を形成し、大径噴射孔11の周りに孔の直径が小さく長さの短い小径噴射孔12を形成することにより、燃料噴射ノズル10より噴射される燃料油の中央部が貫通力が強く、その周囲が気化しやすい燃料油となる。
このインジェクタ1を、直噴エンジンのシリンダ室内に配置した場合には、燃料噴射ノズル10を過熱したときに、貫通力が強い燃料油をピストン20のキャビティ23へ噴射することができ、また気化しやすい燃料油を点火プラグ22の周囲に向けて噴射することができる。
したがって、エンジンの始動直後などシリンダヘッドの温度が低く燃料油が気化しにくい場合にも、エンジンの点火効率が上昇し、従来のインジェクタに比べて少ない燃料油であっても、所望の点火状態を得ることができる。
また、エンジンが通常状態となり、点火プラグ22に向けて気化しやすい燃料油を噴射する必要の無い場合には、燃料噴射ノズル10の加熱をやめてピストン20のキャビティ23に向けて燃料油を噴射することにより、燃料噴射ノズル10を加熱する電力を消費せずに燃焼に必要な燃料油を気化させることができる。
次に、インジェクタ1の他の適用例として、マルチ・ポイント・インジェクション方式のインジェクタとして用いた場合について説明する。
インジェクタ1の構成は、実施例と同じとする。
図5の(a)に、燃料噴射ノズル10の非加熱時の燃料噴射状態を示し、図5の(b)に、燃料噴射ノズル10の加熱時の燃料噴射状態を示す。
インジェクタ1は、エンジンの通常状態(インジェクタ1の燃料噴射ノズル10が非加熱状態)の場合に、インジェクタ1から噴射される燃料(噴射燃料X)は、図5の(a)に示すようにバルブ21の裏面に向けられている。
エンジンが通常状態であり、バルブ21の温度が十分に高い場合には、燃焼に必要な十分な量の燃料を気化させることができる。
一方、エンジンの始動時のようにバルブ21の温度が低く、燃料が気化しにくいときには、インジェクタ1の燃料噴射ノズル10を加熱することにより、図5の(b)に示すように燃料噴射ノズル10より噴射される燃料油は、噴射燃料Yとしてバルブ21の裏面の広範囲にわたって噴射される。
このように、バルブ21の温度が低く、バルブ21に向けて噴射された燃料油が気化しにくい場合には、図5の(b)に示すように燃料油の噴射角を広げ、燃料と空気とが接触する面積を増大させることによって、燃料油の気化を促進させることができる。
また燃料噴射ノズル10によって燃料油を昇温することより、より一層気化を促進させることができる。
エンジンが定常状態となり、バルブ21の温度が十分に上昇している場合には、インジェクタ1の燃料噴射ノズル10の加熱を停止することにより、加熱に使用させる電力を抑制することができる。
次に、インジェクタの先端に取り付けられている燃料噴射ノズルの変形例について説明する。
噴射孔を通過する燃料油を急速に加熱するためには、噴射孔の直径が小さいほうが好ましい。
実施例のように金属で形成されたプレート材5に噴射孔を形成する場合、形成できる噴射孔は約数十μmが限度であり、数μm以下の噴射孔を形成することは困難であった。そこで本変形例は、燃料噴射ノズルの母材となるプレート材として半導体を用い、エッチングによってより細い噴射孔を形成するものである。
図6に本変形例における燃料噴射ノズル10Aの上面図を示し、図7の(a)〜図7の(c)に、燃料噴射ノズル10Aの製造工程を示す。
なお、図7の(c)は、図6におけるB−B部断面図となっている。
図6に示すように、半導体としてのシリコン30の中央部に、厚みを薄くした薄肉部13Aが形成される。
薄肉部13Aには、燃料噴射ノズル10Aの上面と下面とをつなぐ4つの大径噴射孔11Aが形成されている。
さらに薄肉部13Aの周囲には、燃料噴射ノズル10Aの上面と下面とをつなぐ複数の小径噴射孔12Aが、薄肉部13Aから放射状に形成されている。
大径噴射孔11Aは、小径噴射孔12Aよりも孔の直径が大きく、孔の軸方向の長さが短い。
次に、燃料噴射ノズル10Aの製造工程について説明する。
図7の(a)に示すように、シリコン30の上面に、シリコン30の中央部と対向する位置が開口したマスク材31を、フォトリソグラフィによって形成する。
マスク材31の形成後、アルカリ溶液などを用いてシリコン30に異方性エッチングを施し、厚みの薄い薄肉部13Aを形成する。
薄肉部13Aの形成後、図7の(b)に示すように、大径噴射孔11Aおよび小径噴射孔12Aを形成するためのパターンが施されたマスク材32を、シリコン30の上面に形成する。
マスク材32の形成後、パターンにしたがってDeep−RIE(Reactive Ion Etching)等を用いてエッチングを行う。
パターンに従ったエッチングの後、マスク材32を除去することにより図7の(c)および図6に示される燃料噴射ノズル10Aが形成される。
このように、燃料噴射ノズル10Aの材料として半導体(シリコン30)を用い、半導体の微細加工技術を利用して燃料噴射ノズル10Aに噴射孔を形成することにより、より細かな大径噴射孔11A、小径噴射孔12Aを形成することができ、噴射孔を通過する燃料油をより急速に加熱することができる。
ここで解析ソフトSTAR−CDを用いた流体シミュレーションによると、噴射孔の直径に関しては、噴射孔の長さ、すなわち噴射孔を形成する燃料噴射ノズルの厚さが1mmの時は、噴射孔の直径を5μm程度まで小さくすれば、噴射孔を通過する燃料の温度は燃料噴射ノズルの温度とほぼ同じ温度まで上昇することがわかった。また、20μm程度の直径であっても燃料噴射ノズルの温度を400℃に保った場合、1mmの長さの噴射孔を通過した燃料は、常温から100℃以上まで加熱されることが同様のシミュレーションによって分かった。
なお、上記実施例および変形例において燃料噴射ノズル10、10Aに形成した噴射孔の種類は、2種類以上であってもよい。
インジェクタ先端部断面を示す図である。 燃料噴射ノズルの上面および断面を示す図である。 燃料噴射ノズルの燃料噴射角の変化を示す図である。 燃料噴射ノズルの加熱時および非加熱時の燃料噴射形体を示す図である。 燃料噴射ノズルの加熱時および非加熱時の燃料噴射形体を示す図である。 変形例における燃料噴射ノズルの上面を示す図である。 変形例における燃料噴射ノズルの製造工程を示す図である。
符号の説明
1 インジェクタ
2 インジェクタケーシング
3 針弁
4 ノズル保持部材
5 プレート材
7a、7b 引き出し電極
8 油圧室
9 流量調節孔
10 燃料噴射ノズル
11、11A 大径噴射孔
12、12A 小径噴射孔
13、13A 薄肉部
20 ピストン
21 バルブ
22 点火プラグ
23 キャビティ
30 シリコン
31、32 マスク材
X、X1、X2、Y、Y1、Y2 噴射燃料

Claims (6)

  1. 内燃機関の燃焼室に燃料油を供給する燃料噴射装置の先端に取り付けられた燃料噴射ノズルにおいて、
    プレート材と、
    該プレート材の表裏面を貫通する、複数の異なる直径の噴射孔とを備え、
    前記プレート材は導電性を有し、該プレート材に電力を印加することによって発生した熱によって前記噴射孔を通過する燃料油を昇温することを特徴とする燃料噴射ノズル。
  2. 前記噴射孔は、孔の長さが異なることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射ノズル。
  3. 前記噴射孔のうち、直径が大きな噴射孔を前記プレート材の中央部に配置し、
    直径が小さな噴射孔を前記直径が大きな噴射孔の周辺に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射ノズル。
  4. 前記プレート材の中央部に配置された噴射孔は長さが短く、前記プレート材の中央部に配置された噴射孔の周辺に配置した噴射孔は長さが長いことを特徴とする請求項3に記載の燃料噴射ノズル。
  5. 前記噴射孔のうち、長さの短い噴射孔を前記プレート材の中央部に配置し、
    長さの長い噴射孔を前記長さの短い噴射孔の周辺に配置したことを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射ノズル。
  6. 前記プレート材は、半導体によって形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1に記載の燃料噴射ノズル。
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