JP2006347524A - ラッゲージパネルの開閉装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡易な構造で、ベース部材を保持してラッゲージパネルを前開きすることができるラッゲージパネルの開閉装置を提供する。
【解決手段】 開閉機構11は、ブラケット21とベース部材22との間に設けられた前開きリンク機構23と、ベース部材とラッゲージパネル12との間に設けられた後開きリンク機構24とを備え、前開きリンク機構によりラッゲージパネルを軸17周りに回転させてラッゲージパネルを前開きするとともに、後開きリンク機構によりラッゲージパネルを後開きする。開閉機構は、ベース部材とラッゲージパネルとのロック・アンロック状態を切り替えるロック機構40を備える。そして、前開きリンク機構は、ブラケットに回転自在に支持され、回転駆動される第1リンク26と、一側端部及び他側端部がそれぞれ第1リンク及びベース部材に回転自在に支持された第2リンク27とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ラッゲージパネルの開閉装置に関するものである。
従来、ラッゲージパネルの開閉装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この開閉装置では、車体(8)とラッゲージパネル(4)との間にベース部材(10)が設けられている。そして、車体とベース部材との間にはラッゲージパネルを前開きするための前開きリンク機構(9)が、ベース部材とラッゲージパネルとの間にはこれを後開きするための後開きリンク機構(11)がそれぞれ設けられている。また、ベース部材とラッゲージパネルとの間には、ラッゲージパネルの後開きを助勢するダンパー(31)が設けられている。
このような構成にあって、例えば車体とラッゲージパネルとがロック装置(24)によりロック解除状態(アンロック状態)にあるときにラッゲージパネルの後部を上方に持ち上げると、後開きリンク機構が起き上がってラッゲージパネルが後開きする。この際、ダンパーは、ラッゲージパネルの後開きを助勢する。
一方、車体とラッゲージパネルとがロック装置によりロック状態にあるときに前開きリンク機構を駆動すると、前開きリンク機構はその回転中心周りに起き上がり、その力がベース部材及び後開きリンク機構を介してラッゲージパネルに伝達されて、ラッゲージパネルが前開きする。
特開2001−113953号公報(第1−4図)
ところで、上記した後開きリンク機構には、ラッゲージパネルを後開きする側のダンパーの力が常に加わっており、後開きリンク機構は、起き上がってベース部材を回転させようとしている。従って、ラッゲージパネルの前開き時には、ベース部材は前開きリンク機構及び後開きリンク機構のみで支えられる構造になるため、前開きリンク機構は、後開きリンク機構がベース部材を回転させようとする力を支えるべく、多節(8節)リンクという複雑な構造を有している。
このため、前開きリンク機構のリンクの数が多くなる分、重量の増加及びコストの増大を余儀なくされている。また、前開きリンク機構の搭載スペースも自ずと増大することになる。さらに、前開きリンク機構の動作も複雑で、円滑ではない。
本発明の目的は、簡易な構造で、ベース部材を保持してラッゲージパネルを前開きすることができるラッゲージパネルの開閉装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車体とベース部材との間に設けられた前開きリンク機構と、前記ベース部材とラッゲージパネルとの間に設けられた後開きリンク機構とを備え、前記前開きリンク機構により前記ラッゲージパネルを前記車体に対する回転中心周りに回転させて該ラッゲージパネルを前開きするとともに、前記後開きリンク機構により前記ラッゲージパネルを後開きするラッゲージパネルの開閉装置において、前記ベース部材と前記ラッゲージパネルとのロック・アンロック状態を切り替えるロック手段を備え、前記前開きリンク機構は、前記車体に回転自在に支持され、回転駆動される第1リンクと、一側端部及び他側端部がそれぞれ前記第1リンク及び前記ベース部材に回転自在に支持された第2リンクとを有することを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のラッゲージパネルの開閉装置において、前記ベース部材と前記ラッゲージパネルとの間に、該ラッゲージパネルの後開きを助勢する助勢手段を備えたことを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のラッゲージパネルの開閉装置において、前記ロック手段は、前記ベース部材及び前記ラッゲージパネルのいずれか一方に設けられた被掛止部材と、前記ベース部材及び前記ラッゲージパネルのいずれか他方に設けられ、ケーブルの引き込み及び繰り出しのいずれか一方で前記被掛止部材を掛止するとともに、前記ケーブルの引き込み及び繰り出しのいずれか他方で前記被掛止部材との掛止を解除する掛止部材とを有することを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のラッゲージパネルの開閉装置において、前記ケーブルを繰り出す側に前記掛止部材を付勢する付勢手段を備えたことを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載のラッゲージパネルの開閉装置において、前記ケーブルの引き込み及び繰り出しの際の前記掛止部材の移動を案内するガイド手段を備えたことを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、車体とベース部材との間に設けられた前開きリンク機構と、前記ベース部材とラッゲージパネルとの間に設けられた後開きリンク機構とを備え、前記前開きリンク機構により前記ラッゲージパネルを前記車体に対する回転中心周りに回転させて該ラッゲージパネルを前開きするとともに、前記後開きリンク機構により前記ラッゲージパネルを後開きするラッゲージパネルの開閉装置において、前記前開きリンク機構は、前記車体に回転自在に支持され、回転駆動される第1リンクと、一側端部及び他側端部がそれぞれ前記第1リンク及び前記ベース部材に回転自在に支持された第2リンクとを備え、一側端部及び他側端部がそれぞれ前記第1リンク及び前記ベース部材に回転自在に支持され、前記後開きリンク機構による前記ラッゲージパネルの後開きを規制するとともに前記前開きリンク機構による前記ラッゲージパネルの前開きを助勢する付勢力を発生する付勢手段を備えたことを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のラッゲージパネルの開閉装置において、前記ベース部材と前記ラッゲージパネルとの間に、該ラッゲージパネルの後開きを助勢する助勢手段を備えたことを要旨とする。
以上詳述したように、請求項1又は2に記載の発明によれば、前記ロック手段により前記ベース部材と前記ラッゲージパネルとのロック・アンロック状態が切り替えられる。従って、例えば前記ロック手段により前記ベース部材と前記ラッゲージパネルとをロック状態にすることで、前記ベース部材は前記ラッゲージパネルに堅固に保持される。そして、前記ベース部材を保持する前記ラッゲージパネルは、前記車体、第1及び第2リンク(前開きリンク機構)とともに4節回転連鎖を構成し、前記第1リンクが回転駆動されることで前記車体に対する回転中心周りに回転して前開きする。
このように、前記ロック手段により前記ベース部材の保持を行うことで、前記前開きリンク機構の構造を簡易化することができる。そして、前記前開きリンク機構の構造を簡易化した分、該前開きリンク機構を軽量化することができる。また、前記前開きリンク機構の構造を簡易化した分、該前開きリンク機構に要する搭載スペースも削減することができる。さらに、前記前開きリンク機構のリンクの数を従来例に比べて少なくできることで、装置全体としての部品精度を向上させることができる。
なお、前記ラッゲージパネルを後開きする際には、前記ロック手段により前記ベース部材と前記ラッゲージパネルとをアンロック状態にして、前記ベース部材を前記ラッゲージパネルから解放しておくことで、前記後開きリンク機構の作動に影響はない。
請求項3に記載の発明によれば、前記ロック手段は、前記被掛止部材と、前記ケーブルの引き込み又は繰り出しで前記被掛止部材を掛止し又は前記被掛止部材との掛止を解除する前記掛止部材とで、極めて簡易に構成される。
請求項4に記載の発明によれば、前記掛止部材は、前記付勢手段により前記ケーブルを繰り出す側に付勢されることで、該ケーブルがその繰り出しによって前記掛止部材を作動(被掛止部材への掛止又は被掛止部材との掛止の解除)し得る十分な強度を有していなくても、該掛止部材の作動をより確実に行うことができる。
請求項5に記載の発明によれば、前記ガイド手段により、前記ケーブルの引き込み又は繰り出しの際の前記掛止部材の移動が案内されることで、より確実に前記掛止部材を前記被掛止部材に掛止し又は前記被掛止部材との掛止を解除することができる。
請求項6又は7に記載の発明によれば、前記付勢手段の付勢力により、前記後開きリンク機構による前記ラッゲージパネルの後開きが規制されるとともに前記前開きリンク機構による前記ラッゲージパネルの前開きが助勢される。つまり、前記ラッゲージパネルを前開きする際には、前記ベース部材は、前記付勢手段の付勢力により作動規制される前記後開きリンク機構を介して前記ラッゲージパネルに実質的に一体化される。そして、前記ベース部材と一体化された前記ラッゲージパネルは、前記車体、第1及び第2リンク(前開きリンク機構)とともに4節回転連鎖を構成し、前記第1リンクが回転駆動されることで前記車体に対する回転中心周りに回転して前開きする。このとき、前記付勢手段の付勢力により、前記前開きリンク機構による前記ラッゲージパネルの前開きが助勢される。
このように、前記ラッゲージパネルを前開きする際、前記付勢手段の付勢力により、前記ベース部材が前記ラッゲージパネルに実質的に一体化されることで、前記前開きリンク機構の構造を簡易化することができる。そして、前記前開きリンク機構の構造を簡易化した分、該前開きリンク機構を軽量化することができる。また、前記前開きリンク機構の構造を簡易化した分、該前開きリンク機構に要する搭載スペースも削減することができる。さらに、前記前開きリンク機構のリンクの数を従来例に比べて少なくできることで、装置全体としての部品精度を向上させることができる。
なお、前記ラッゲージパネルを後開きする際には、例えば前記ベース部材を適宜の態様で前記車体に保持させて前記前開きリンク機構とともに前記付勢手段を前記車体に保持させ、前記後開きリンク機構を前記付勢手段の付勢力から解放しておくことで、前記後開きリンク機構の作動に影響はない。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図8は、本発明が適用される自動車などの車両の後尾を模式的に示す平面図である。同図に示されるように、車両後尾には、車両の幅方向両側で対をなして開閉機構11が配設されている。そして、これら開閉機構11には、ラッゲージパネル12が支持されている。このラッゲージパネル12は、上記開閉機構11の作動によって後述の態様で前側及び後側に開閉される。そして、上記ラッゲージパネル12は、例えば前側に開閉されることで、格納自在なルーフパネル(屋根部)の格納スペースを開閉する。あるいは、上記ラッゲージパネル12は、後側に開閉されることで、その下方に形成された荷室スペースを開閉する。
前記ラッゲージパネル12には、アクチュエータ13が搭載されており、各開閉機構11は2重管式のケーブル14を介してこのアクチュエータ13に駆動連結されている。このアクチュエータ13は、両開閉機構11の作動に係る後述の状態を同時に切り替える。
なお、車両後部において、ラッゲージパネル12と車体との間には、これらのロック・アンロック状態を切り替えるロック装置15が設けられている。後述するように、このロック装置15は、前記ラッゲージパネル12を前側に開閉する際にはロック状態にされたままであり、後側に開閉する際にアンロック状態とされる。
次に、前記開閉機構11及びロック装置15について、図1〜図3に従って説明する。なお、図1、図2及び図3は、前記ラッゲージパネル12の全閉状態、後開きでの全開状態及び前開きでの全開状態をそれぞれ示す側面図である。
同図に示されるように、前記ロック装置15は、ラッゲージパネル12に設けられたストライカ16と、軸17により車体に回転自在に支持されたラッチ(キャッチ機構)18とを備えている。上記ロック装置15は、これらストライカ16及びラッチ18の係合が解除されることでアンロック状態とされ、前記ラッゲージパネル12は後側に開閉可能となる(図2参照)。一方、上記ロック装置15は、これらストライカ16及びラッチ18が係合されることでロック状態とされる。この際、前記ラッゲージパネル12は、前記ロック装置15とともに軸17周りに回転することで前側に開閉可能となる(図3参照)。
上記開閉機構11は、車体に固定されたブラケット21と、ベース部材22と、ブラケット21及びベース部材22の間に設けられた前開きリンク機構23と、ベース部材22及び前記ラッゲージパネル12の間に設けられた後開きリンク機構24と、助勢手段としてのダンパー25と、ロック手段としてのロック機構40とを備えている。
上記前開きリンク機構23は、第1リンク26と、第2リンク27とを有している。第1リンク26は、その基端部が軸31により前記ブラケット21に回転自在に支持されている。この第1リンク26の基端部には、軸31を中心とするギヤ部26aが形成されている。このギヤ部26aは、減速機付モータ30の出力軸30aに噛み合わされている。上記第1リンク26は、減速機付モータ30が駆動されることで、軸31周りに回転駆動される。
前記第2リンク27は、一側端部及び他側端部がそれぞれ軸32,33により前記第1リンク26の先端部及び前記ベース部材22に回転自在に支持されている。
前記ベース部材22は、前記前開きリンク機構23を介してブラケット21(車体)に支持されており、例えば図1及び図2で示したラッゲージパネル12の全閉状態や後側に開閉される状態では、車体に保持される態様で静止している(車体によるベース部材22の保持態様については図示省略)。
前記後開きリンク機構24は、リンク28,29を有している。リンク28は、一側端部及び他側端部がそれぞれ軸34,35により前記ベース部材22及び前記ラッゲージパネル12の前部に形成された第1取付部12aに回転自在に支持されている。同様に、リンク29は、一側端部及び他側端部がそれぞれ軸36,37により前記ベース部材22及び前記第1取付部12aに回転自在に支持されている。
つまり、後開きリンク機構24(リンク28,29)は、上記ベース部材22及びラッゲージパネル12(第1取付部12a)とともに4節回転連鎖を構成する。従って、前記ベース部材22が車体に保持されているとき、前記ロック装置15のアンロック状態において、前記ラッゲージパネル12の後部を上方に持ち上げると、後開きリンク機構24が起き上がってラッゲージパネル12が後開きする(図2参照)。このラッゲージパネル12の後開きは、同ラッゲージパネル12の後部を下方に引き下ろすことで閉じられることはいうまでもない。この際、上記ロック装置15は、前記ストライカ16及びラッチ18が係合されることでロック状態とされる(図1参照)。
なお、前記ダンパー25は、一側端部及び他側端部がそれぞれ前記ベース部材22及び前記第1取付部12aに回転自在に支持されている。このダンパー25は、長手方向(軸方向)に付勢力を発生して前記ラッゲージパネル12の後開きを助勢する。
前記ロック機構40は、掛止部材としてのフック41と、被掛止部材としてのピン46とを有している。上記フック41は、前記第1取付部12aの後部側でラッゲージパネル12に形成された第2取付部12bに設けられている。すなわち、図4に図1の一部を拡大して示したように、上記フック41は、本体部42と、フック部43とを有している。そして、上記本体部42には、その長手方向に沿って延びる複数(2つ)の長孔44が形成されている。一方、前記第2取付部12bには、これら長孔44にそれぞれ挿通されるガイドピン45が固着されている。上記フック41は、各長孔44に挿通されたガイドピン45の先端部が潰されることで第2取付部12bに締結されている。このフック41は、長孔44内でのガイドピン45の移動範囲で第2取付部12b(ラッゲージパネル12)に対し移動可能となっている。これら長孔44及びガイドピン45は、フック41の移動を案内するガイド手段を構成している。
前記ピン46は、前記ベース部材22に固着されている。このピン46は、例えばラッゲージパネル12が全閉状態にあるときに、フック41の移動方向で前記フック部43と対向するように配置されている。図4に実線で示したように、フック41が図示左側に移動した状態では、前記フック41は、フック部43がピン46から離隔されることでピン46との掛止が解除されている。従って、この状態では、前記ラッゲージパネル12は、その動作において前記ベース部材22と干渉することはない(アンロック状態)。
一方、図4に2点鎖線で示したように、フック41が図示右側に移動した状態では、前記フック41は、フック部43がピン46に引っ掛けられることでピン46に掛止されている。従って、この状態では、前記ラッゲージパネル12は、前記ベース部材22を保持することでこれと実質的に一体化されている(ロック状態)。
前記フック41には、フック部43とは反対側の端部で前記ケーブル14が連結されている。詳述すると、このケーブル14は、一方のケーブル端末14aが前記第2取付部12b(ラッゲージパネル12)に固定されており、その先端から突出する内部ワイヤ14bの端末14cが上記フック41に固定されている。また、図7に示したように、前記アクチュエータ13は、減速機付モータ50と、その出力軸50aに噛み合わされたセクタギヤ51とを有している。前記ケーブル14は、他方のケーブル端末14dが前記ラッゲージパネル12に固定されており、その先端から突出する前記内部ワイヤ14bの端末14eが上記セクタギヤ51に固定されている。なお、図7では、両開閉機構11(フック41)に個別に連結される2本のケーブル14を併せて図示している。
また、前記フック41には、フック部43側の端部で付勢手段としてのテンションスプリング47が連結されている。すなわち、前記第2取付部12b及びフック部43には、それぞれピン48,49が固着されており、これらピン48,49に前記テンションスプリング47の一端47a及び他端47bが掛止されている。このテンションスプリング47は、上記フック41を、フック部43がピン46から離隔される側(図4の左側)に付勢する。
ここで、例えば前記減速機付モータ50を駆動して、セクタギヤ51を図7において反時計回転方向に回転させたとする。このとき、図7に2点鎖線で示したように、前記内部ワイヤ14bが引き込まれることで、図4に2点鎖線で示したように前記フック41は前記テンションスプリング47に抗して図示右側に移動する。これに伴い、前記フック41は、フック部43がピン46に引っ掛けられることでピン46に掛止される。
一方、前記減速機付モータ50を駆動して、セクタギヤ51を図7において時計回転方向に回転させたとする。このとき、図7に実線で示したように、前記内部ワイヤ14bが繰り出されることで、図4に実線で示したように前記フック41は前記テンションスプリング47に付勢されて図示左側(内部ワイヤ14bを繰り出す側)に移動する。これに伴い、前記フック41は、フック部43がピン46から離隔されることでピン46との掛止が解除される。
次に、本実施形態における動作について総括して説明する。
図1に示したように、ラッゲージパネル12の全閉状態では、前記ロック装置15はロック状態にあり、前記ベース部材22も車体に保持されている。また、前記フック41とピン46との掛止が解除されている、ベース部材22とラッゲージパネル12とのアンロック状態となっている。
この状態で、ストライカ16とラッチ18との係合を解除して前記ロック装置15をアンロック状態とし、前記ラッゲージパネル12の後部を上方に持ち上げると、車体に保持されたベース部材22に対し後開きリンク機構24が起き上がってラッゲージパネル12が図2に示した全開状態まで後開きする。このとき、前記ベース部材22とラッゲージパネル12とがアンロック状態にあることで、前記ベース部材22は前記ラッゲージパネル12から解放されている。従って、ラッゲージパネル12を後開きする際に、これらラッゲージパネル12及びベース部材22が互いに干渉することはなく、前記後開きリンク機構24の作動に影響はない。なお、図5では、後開きでの全開状態(図2の状態)におけるフック41等を拡大して示している。また、上記ラッゲージパネル12の後開きは、同ラッゲージパネル12の後部を下方に引き下ろすことで閉じられる。
一方、図1に示したラッゲージパネル12の全閉状態で、前記減速機付モータ50を駆動してケーブル14(内部ワイヤ14b)を引き込むと、図4に2点鎖線で示したように前記フック41は、フック部43がピン46に引っ掛けられることでピン46に掛止され、ベース部材22とラッゲージパネル12とのロック状態となる。このとき、前記ベース部材22は前記ラッゲージパネル12に堅固に保持される。従って、ダンパー25の力によって、後開きリンク機構24がベース部材22を回転させようとしても、この回転は前記ロック機構40によって阻止される。そして、前記ベース部材22を保持する前記ラッゲージパネル12は、車体、第1及び第2リンク26,27(前開きリンク機構23)とともに4節回転連鎖を構成する。
この状態で、前記減速機付モータ30の駆動により前記第1リンク26が図1において時計回転方向に回転駆動されると、車体に対し前開きリンク機構23が起き上がってラッゲージパネル12が軸17周りに回転し、図3に示した全開状態まで前開きする。なお、図6では、前開きでの全開状態(図3の状態)におけるフック41等を拡大して示している。また、上記ラッゲージパネル12の前開きは、前記減速機付モータ30の駆動により前記第1リンク26が図3において反時計回転方向に回転駆動されることで、車体に対し前開きリンク機構23が倒れラッゲージパネル12が軸17周りに回転して閉じられる。その後、前記減速機付モータ50を駆動してケーブル14(内部ワイヤ14b)を繰り出すと、図4に実線で示したように前記フック41は、前記テンションスプリング47の付勢力にてフック部43がピン46から離隔されることでピン46との掛止が解除される。これにより、ベース部材22とラッゲージパネル12とがアンロック状態となり、図1に示したラッゲージパネル12の全閉状態に復帰する。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、前記ロック機構40により前記ベース部材22と前記ラッゲージパネル12とのロック・アンロック状態が切り替えられる。従って、前記ロック機構40により前記ベース部材22と前記ラッゲージパネル12とをロック状態にすることで、前記ベース部材22は前記ラッゲージパネル12に堅固に保持される。そして、前記ベース部材22を保持する前記ラッゲージパネル12は、前記第1リンク26が回転駆動されることで軸17周りに回転して前開きする。このように、前記ロック機構40により前記ベース部材22の保持を行うことで、前記前開きリンク機構23の構造を簡易化することができる。そして、前記前開きリンク機構23の構造を簡易化した分、前開きリンク機構23を軽量化することができ、コストも削減することができる。また、前記前開きリンク機構23の構造を簡易化した分、前開きリンク機構23に要する搭載スペースも削減することができる。さらに、前記前開きリンク機構23のリンクの数を従来例に比べて少なくできることで、装置全体としての部品精度を向上させることができる。
(2)本実施形態では、前記ロック機構40は、前記ピン46と、前記ケーブル14(内部ワイヤ14b)の引き込み又は繰り出しで前記ピン46を掛止し又はピン46との掛止を解除する前記フック41とで、極めて簡易に構成される。
(3)本実施形態では、前記フック41は、前記テンションスプリング47により前記ケーブル14(内部ワイヤ14b)を繰り出す側に付勢されることで、ケーブル14がその繰り出しによって前記フック41を作動(ピン46との掛止の解除)し得る十分な強度を有していなくても、フック41の作動をより確実に行うことができる。
(4)本実施形態では、前記長孔44及びガイドピン45により、前記ケーブル14の引き込み又は繰り出しの際の前記フック41の移動が案内されることで、より確実に前記フック41を前記ピン46に掛止し又はピン46との掛止を解除することができる。
(5)本実施形態では、荷室スペースを開放して荷物を出し入れするためのラッゲージパネル12の後開きができる。また、格納スペースを開放してルーフパネルを格納するためのラッゲージパネル12の前開きができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態のロック機構40及びその周辺構造を割愛し、前記ラッゲージパネル12の前開き時における前記ベース部材22の保持を、付勢手段としてのサブダンパーステー61にて行うように変更した構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
図9、図10及び図11は、前記ラッゲージパネル12の全閉状態、後開きでの全開状態及び前開きでの全開状態をそれぞれ示す側面図である。同図に示されるように、本実施形態の開閉機構60は、前記ブラケット21、前記ベース部材22、前記前開きリンク機構23、前記後開きリンク機構24及び前記ダンパー25と、伸縮可能なサブダンパーステー61とを備えている。
上記サブダンパーステー61は、例えば高圧ガスを注入したガスピストンの構成を有しており、その一側端部61a及び他側端部61bがそれぞれ前記第1リンク26の長手方向中間部及びベース部材22の後端部に回転自在に支持されている。前記第1リンク26及び前記ベース部材22における上記一側端部61a及び他側端部61bの各連結点は、前記後開きリンク機構24及び前記軸32,33よりも後側(軸17側)に配置されており、上記サブダンパーステー61は、同サブダンパーステー61側で180度未満の角度をなす前記第1及び第2リンク26,27の当該角度を広げる(開く)側の付勢力を発生することで、前記前開きリンク機構23による前記ラッゲージパネル12の前開きを助勢する。
また、上記サブダンパーステー61は、同サブダンパーステー61側で鋭角をなす前記ラッゲージパネル12及び前記ベース部材22の当該角度を狭める(閉じる)側の付勢力を併せて発生することで、前記後開きリンク機構24及びダンパー25による前記ラッゲージパネル12の後開きを規制する。つまり、前記ラッゲージパネル12の後開きに際しては、前記後開きリンク機構24及びダンパー25により前記ラッゲージパネル12及び前記ベース部材22の前記角度が広げられることになるが(図10参照)、図11に示したように、前記ラッゲージパネルの前開きに際しては、上記サブダンパーステー61が当該角度を狭める側の付勢力を発生することで、前記後開きリンク機構24及びダンパー25による前記ラッゲージパネル12の後開きが規制される。
次に、本実施形態における動作について総括して説明する。
図9に示したように、ラッゲージパネル12の全閉状態では、前記ベース部材22は車体に保持されている。従って、前記ベース部材22が車体に対して実質的に固定されることで、前記後開きリンク機構24は、前記サブダンパーステー61の付勢力から解放されている。
この状態で、ストライカ16とラッチ18との係合を解除して前記ロック装置15をアンロック状態とし、前記ラッゲージパネル12の後部を上方に持ち上げると、車体に保持されたベース部材22に対し後開きリンク機構24が起き上がってラッゲージパネル12が図10に示した全開状態まで後開きする。このとき、上記したように、前記後開きリンク機構24は、前記サブダンパーステー61の付勢力から解放されていることでその作動に影響はない。また、上記ラッゲージパネル12の後開きは、同ラッゲージパネル12の後部を下方に引き下ろすことで閉じられる。
一方、図9に示したラッゲージパネル12の全閉状態で、前記ラッゲージパネル12を前開きする際には、前記ベース部材22は車体への保持が解放されるようになっている。このとき、前記ベース部材22は、前記サブダンパーステー61の付勢力により作動規制される前記後開きリンク機構24を介して前記ラッゲージパネル12に実質的に一体化される。従って、ダンパー25の力によって、後開きリンク機構24がベース部材22を軸33周りに回転させようとしても(前記ラッゲージパネル12及び前記ベース部材22の前記角度を広げようとしても)、この回転は前記サブダンパーステー61によって阻止される。そして、前記ベース部材22と一体化された前記ラッゲージパネル12は、車体、第1及び第2リンク26,27(前開きリンク機構23)とともに4節回転連鎖を構成する。
この状態で、前記減速機付モータ30の駆動により前記第1リンク26が図9において時計回転方向に回転駆動されると、車体に対し前開きリンク機構23が起き上がってラッゲージパネル12が軸17周りに回転し、図11に示した全開状態まで前開きする。このとき、前記サブダンパーステー61の付勢力により、前記前開きリンク機構23による前記ラッゲージパネル12の前開きが助勢される。また、上記ラッゲージパネル12の前開きは、前記減速機付モータ30の駆動により前記第1リンク26が図11において反時計回転方向に回転駆動されることで、車体に対し前開きリンク機構23が倒れラッゲージパネル12が軸17周りに回転して閉じられる。そして、前記ベース部材22が車体に保持されて、図9に示したラッゲージパネル12の全閉状態に復帰する。
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態における(5)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、前記ラッゲージパネル12を前開きする際、前記サブダンパーステー61の付勢力により、前記ベース部材22が前記ラッゲージパネル12に実質的に一体化されることで、前記前開きリンク機構23の構造を簡易化することができる。そして、前記前開きリンク機構23の構造を簡易化した分、前開きリンク機構23を軽量化することができ、コストも削減することができる。また、前記前開きリンク機構23の構造を簡易化した分、前開きリンク機構23に要する搭載スペースも削減することができる。さらに、前記前開きリンク機構23のリンクの数を従来例に比べて少なくできることで、装置全体としての部品精度を向上させることができる。
(2)本実施形態では、付勢手段としてピストン式のサブダンパーステー61を採用したことで、例えば同様の付勢力を発生する圧縮コイルスプリングなどに比べてその動作姿勢をより安定化することができる。
(3)本実施形態では、前記前開きリンク機構23のリンクの数を減らしたことで前開きリンク機構23自体の横剛性が低減されるものの、前記サブダンパーステー61の突っ張りによって当該横剛性を維持することができる。
(4)本実施形態では、前記ラッゲージパネル12の前開き後の姿勢保持が可能であるため、前記減速機付モータ30の駆動による作動後の自重落下を防ぐことができ、安全性を向上することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1及び第2取付部12a,12bは、ラッゲージパネル12に一体形成してもよく、ラッゲージパネル12とは別部品となる適宜のブラケットを固着して形成してもよい。
・ロック機構40のフック41は、前記第2取付部12b以外に、前記ラッゲージパネル12の適宜位置に取着してもよい。
・前記実施形態において、フック41をベース部材22に設け、ピン46をラッゲージパネル12に固着してもよい。つまり、ベース部材22に設けたフック41をラッゲージパネル12に設けたピン46に掛止して、これらベース部材22及びラッゲージパネル12をロック状態にする。この場合、フック41にケーブル14を介して連結されるアクチュエータ13は、ベース部材22に設ければよい。
・例えば、ケーブル14の引き込みによってフック41とピン46との掛止を解除し、ケーブル14の繰り出しによってフック41とピン46とを掛止してもよい。
・前記後開きリンク機構24の2本のリンク28,29をロックにして、実質的にベース部材22及びラッゲージパネル12をロック状態としてもよい。あるいは、リンク28,29のいずれか1本とベース部材22とをロックにして、実質的にベース部材22及びラッゲージパネル12をロック状態としてもよい。あるいは、リンク28,29のいずれか1本とラッゲージパネル12(又は適宜のブラケット)とをロックにして、実質的にベース部材22及びラッゲージパネル12をロック状態としてもよい。
・前記実施形態では、ケーブル14の引き込み又は繰り出しによって直線移動するフック41について説明したが、例えばケーブル14の引き込み又は繰り出しによって回転するフックであってもよい。この場合、フックの移動軌跡は、ラッゲージパネル12に対する回転中心によって規定されるため、その移動を案内するためのガイド手段を割愛することができる。
・ケーブル14の引き込み又は繰り出しに伴うフック41の移動の案内は、例えばガイドレールとこれに摺動するスライダとの係合によって行ってもよい。
・ベース部材22及びラッゲージパネル12のロック・アンロック状態を切り替えを、例えばロック装置15に準じたストライカ及びラッチの係合・解除によって行ってもよい。
・例えばプッシュプルケーブルやギヤードケーブルなど、前記ケーブル14がその繰り出しによって前記フック41を作動(ピン46との掛止の解除)し得る十分な強度を有するのであれば、前記テンションスプリング47を割愛してもよい。
・前記第2の実施形態において、前記ベース部材22における上記一側端部61a及び他側端部61bの各支持点の配置は、一例である。この際、サブダンパーステー61の付勢力の作用方向は、上記配置に応じて適宜設定すればよい。
・前記第2の実施形態において、サブダンパーステー61は、オイルを注入したピストンの構成を有していてもよい。
・前記第2の実施形態において、サブダンパーステー61に代えて、同様の付勢力を発生し得る圧縮コイルスプリングなどを採用してもよい。
本発明の第1の実施形態を示す全閉状態の側面図。 同実施形態を示す後開きでの全開状態の側面図。 同実施形態を示す前開きでの全開状態の側面図。 図1の一部を示す拡大図。 図2の一部を示す拡大図。 図3の一部を示す拡大図。 アクチュエータを示す概略図。 車両後尾を概略的に示す平面図。 本発明の第2の実施形態を示す全閉状態の側面図。 同実施形態を示す後開きでの全開状態の側面図。 同実施形態を示す前開きでの全開状態の側面図。
符号の説明
11,60…開閉機構、12…ラッゲージパネル、13…アクチュエータ、14…ケーブル、21…ブラケット、22…ベース部材、23…前開きリンク機構、24…後開きリンク機構、25…助勢手段としてのダンパー、26…第1リンク、27…第2リンク、40…ロック手段としてのロック機構、41…掛止部材としてのフック、44…ガイド手段を構成する長孔、45…ガイド手段を構成するガイドピン、46…被掛止部材としてのピン、47…付勢手段としてのテンションスプリング、61…付勢手段としてのサブダンパーステー、61a…一側端部、61b…他側端部。

Claims (7)

  1. 車体とベース部材との間に設けられた前開きリンク機構と、前記ベース部材とラッゲージパネルとの間に設けられた後開きリンク機構とを備え、前記前開きリンク機構により前記ラッゲージパネルを前記車体に対する回転中心周りに回転させて該ラッゲージパネルを前開きするとともに、前記後開きリンク機構により前記ラッゲージパネルを後開きするラッゲージパネルの開閉装置において、
    前記ベース部材と前記ラッゲージパネルとのロック・アンロック状態を切り替えるロック手段を備え、
    前記前開きリンク機構は、
    前記車体に回転自在に支持され、回転駆動される第1リンクと、
    一側端部及び他側端部がそれぞれ前記第1リンク及び前記ベース部材に回転自在に支持された第2リンクとを有することを特徴とするラッゲージパネルの開閉装置。
  2. 請求項1に記載のラッゲージパネルの開閉装置において、
    前記ベース部材と前記ラッゲージパネルとの間に、該ラッゲージパネルの後開きを助勢する助勢手段を備えたことを特徴とするラッゲージパネルの開閉装置。
  3. 請求項1又は2に記載のラッゲージパネルの開閉装置において、
    前記ロック手段は、
    前記ベース部材及び前記ラッゲージパネルのいずれか一方に設けられた被掛止部材と、
    前記ベース部材及び前記ラッゲージパネルのいずれか他方に設けられ、ケーブルの引き込み及び繰り出しのいずれか一方で前記被掛止部材を掛止するとともに、前記ケーブルの引き込み及び繰り出しのいずれか他方で前記被掛止部材との掛止を解除する掛止部材とを有することを特徴とするラッゲージパネルの開閉装置。
  4. 請求項3に記載のラッゲージパネルの開閉装置において、
    前記ケーブルを繰り出す側に前記掛止部材を付勢する付勢手段を備えたことを特徴とするラッゲージパネルの開閉装置。
  5. 請求項3又は4に記載のラッゲージパネルの開閉装置において、
    前記ケーブルの引き込み及び繰り出しの際の前記掛止部材の移動を案内するガイド手段を備えたことを特徴とするラッゲージパネルの開閉装置。
  6. 車体とベース部材との間に設けられた前開きリンク機構と、前記ベース部材とラッゲージパネルとの間に設けられた後開きリンク機構とを備え、前記前開きリンク機構により前記ラッゲージパネルを前記車体に対する回転中心周りに回転させて該ラッゲージパネルを前開きするとともに、前記後開きリンク機構により前記ラッゲージパネルを後開きするラッゲージパネルの開閉装置において、
    前記前開きリンク機構は、
    前記車体に回転自在に支持され、回転駆動される第1リンクと、
    一側端部及び他側端部がそれぞれ前記第1リンク及び前記ベース部材に回転自在に支持された第2リンクとを備え、
    一側端部及び他側端部がそれぞれ前記第1リンク及び前記ベース部材に回転自在に支持され、前記後開きリンク機構による前記ラッゲージパネルの後開きを規制するとともに前記前開きリンク機構による前記ラッゲージパネルの前開きを助勢する付勢力を発生する付勢手段を備えたことを特徴とするラッゲージパネルの開閉装置。
  7. 請求項6に記載のラッゲージパネルの開閉装置において、
    前記ベース部材と前記ラッゲージパネルとの間に、該ラッゲージパネルの後開きを助勢する助勢手段を備えたことを特徴とするラッゲージパネルの開閉装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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