以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、後述する外枠11と支持枠部としての内枠12とに対して、前面扉としての前面枠セット14を開放し、下皿ユニット13を取り外した状態を示す斜視図である。図3は、パチンコ機10より前面枠セット14を取り外した状態を示す正面図である但し、図2,3では便宜上、後述する遊技盤30面上の遊技領域内の構成を空白で示している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に内枠12が開閉可能に支持されている。内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に開放できるようになっている。
内枠12には、その最下部に下皿ユニット13が取り付けられると共に、下皿ユニット13を除く範囲に対応して前面枠セット14が取り付けられている。また、前面枠セット14は、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。
下皿ユニット13には、ほぼ中央部に球受皿としての下皿15が設けられ、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。なお、符号24はスピーカ249(図2参照)からの音出力口であり、符号25は下皿15内から遊技球を下方へと排出するための球抜きレバーである。
下皿15よりも右方には、手前側に突出して遊技球発射ハンドル(以下単に「ハンドル」という)18が配設されている。また、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。
一方、下皿15の上方において球受皿としての上皿19が設けられている。ここで、上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら発射手段としての遊技球発射装置の方へ導出する球受皿である。なお、上皿19は、前面枠セット14において、ガラス137を支持するガラス枠部と一体的に形成されている。
また、図3において、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。樹脂ベース20の後側には遊技盤30(図4参照)が着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、樹脂ベース20には、前面枠セット14の開放を検知する開放検知センサ22が設けられている。また、図示しないが内枠12の開放を検知する開放検知スイッチも設けられている。
次に、遊技盤30の構成について図4を用いて説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、入球手段としての第1契機対応ユニット(始動口)33、第2契機対応口(スルーゲート)34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設されている。周知の通り前記一般入賞口31、入球手段としての可変入賞装置32、第1契機対応ユニット33に遊技球が入球し、後述する検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞部(入賞装置、入賞口、第1契機対応ユニット33等)に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車27等の各種部材(役物)が配設されている。
第1契機対応ユニット33は、一対の開閉部材33aを備えており、当該開閉部材33aが所定条件の成立に応じて開閉動作するように構成されている。これにより、第1契機対応ユニット33は、遊技球が入球困難な閉状態と、遊技球が入球容易な開状態とに切換り可能となる。第1契機対応ユニット33は、例えば、通常モード時には開閉部材33aが開状態となり規定時間(例えば0.2秒)の経過した場合又は規定個数(例えば1個)の遊技球の入球があった場合に閉状態となる。
可変表示装置ユニット35には、第2契機対応口34の通過をトリガとして普通図柄を変動表示する普通図柄表示装置41と、第1契機対応ユニット33への入賞をトリガとしてLEDを色換え表示(変動表示)する特別表示装置43と、特別表示装置43による変動表示に合わせて装飾図柄を変動表示する装飾図柄表示装置42とが設けられている。
普通図柄表示装置41は、普通図柄として「○」又は「×」を点灯表示可能に構成されており、遊技球が第2契機対応口34を通過する毎に例えば普通図柄を「○」→「×」→「○」→・・・という具合に高速で表示(変動表示)し、その変動表示が「○」図柄で数秒間停止した場合に第1契機対応ユニット33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261により直接的に表示内容が制御される。普通図柄表示装置41による普通図柄の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口34を通過した場合には、その分の普通図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施の形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。しかし、かかる最大保留回数は、これに限定されるものではない。例えば、8回分の普通図柄の変動表示を待機させるべく、最大保留回数を8回に設定することとしてもよい。
なお、普通図柄は、複数のランプの点灯を切り換えることにより変動表示される構成の他、装飾図柄表示装置42(液晶表示装置)の一部で変動表示される構成等であっても良い。保留ランプ44も同様に、装飾図柄表示装置42の一部で表示される構成であっても良い。このように普通図柄の変動表示や変動の保留表示を装飾図柄表示装置42にて行う構成とした場合、主制御装置261が普通図柄に関するコマンドを表示制御装置45に送信して、表示制御装置45が、装飾図柄表示装置42を制御することになる。ただし、この場合でも、主制御装置261にて直接的に制御されるLEDなどを設けておき、このLEDにて第1契機対応ユニット33を開放するか否かの抽選結果を表示し、装飾図柄表示装置42における普通図柄の表示を補助的なものとすることが望ましい。その理由は、後述するように主制御装置261は、封印された基板ボックス263の内部に格納されるためである。すなわち、表示制御装置45に対する不正行為が主制御装置261に対する不正行為よりも容易であることを考えると、主制御装置261によるLEDなどを用いた表示を主として、表示制御装置45による装飾図柄表示装置42を用いた普通図柄表示を補助的なものとすることによって、主制御装置261によるLEDなどを用いた表示によって表示制御装置45に対する不正行為を簡単に発見することができる。
特別表示装置43は、主制御装置261に制御される普通図柄表示装置41の普通図柄の右側方に設けられ、赤、緑、青の発光色を有する三色発光ダイオード(三色LED)で構成されている。この特別表示装置43は、後述する主制御装置261により表示内容が制御される。なお、本実施形態では、この特別表示装置43によって大当たりか否かが確定的に表示されるようになっており、次に示す装飾図柄表示装置42は、特別表示装置43にて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき表示制御装置45が補助的な表示を行うものとなっている。
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置45により表示内容が制御される。装飾図柄表示装置42には、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして装飾図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本実施の形態では、装飾図柄表示装置42(液晶表示装置)は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備える。可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっている。より詳しくは、第1契機対応ユニット33に対し遊技球が入賞すると、特別表示装置43は、3色LEDを赤→緑→青→赤→・・・という具合に高速で色換え表示(変動表示)し、所定時間が経過すると、いずれかの色に決定表示する。高速の色換え表示とは、例えば4msec毎に赤、緑、青を順番に表示するという具合である。このとき赤又は緑で決定表示(例えば数秒間停止)される際に、すなわち大当たり抽選に当選した場合に、特別遊技状態が発生する。ここで赤又は緑が大当たりを示す表示である。特に、赤は、大当たり終了後の遊技モードが後述する高確率モードであることを示す表示(態様)であり、緑は、大当たり終了後の遊技モードが後述する時間短縮モードであることを示す表示(態様)である。そのため、特別表示装置43が3色LEDを赤又は緑で決定表示する場合、これを受けて、装飾図柄表示装置42には、特定の図柄の組み合わせが補助的に表示されることになる。そして、可変入賞装置32の大入賞口が所定の開放状態となり、遊技球が入賞しやすい状態(大当たり状態)になるよう構成されている。より詳しくは、規定時間(例えば29秒)の経過又は規定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンド(特賞状態)として、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数繰り返し開放される。特別表示装置43の変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応ユニット33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留、記憶)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施の形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。しかし、最大保留回数は、これに限定されるものではない。例えば、8回分の変動表示を待機させるべく、最大保留回数を8回に設定することとしてもよい。なお、保留ランプ46は、装飾図柄表示装置42の一部で表示される構成等であっても良い。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール部材としてのレールユニット50が取り付けられており、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成形品にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール構成部(内レール部)51と外レール構成部(外レール取付け部)52とを有する。内レール構成部51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成されている。また、一部(主に左側部)が内レール構成部51に向かい合うようにして外レール構成部52が形成されている。かかる場合、内レール構成部51と外レール構成部52とにより主として誘導レールが構成され、これら各レール構成部51,52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール構成部51,52)により略円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール構成部51及び外レール構成部52によって囲まれる領域のうち、内外レール構成部51,52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。
図3の説明に戻り、前記樹脂ベース20において、窓孔21(遊技盤30)の下方には、遊技球発射装置より発射された直後に遊技球を案内する発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62と一体的に樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置から発射された遊技球が遊技領域まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15に排出される。また、遊技球発射装置には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射される。
なお、図3中の符号67は上皿19に通ずる排出口であり、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される。排出口67には開閉式のシャッタ68が取り付けられている。詳しい図面の開示は省略するが、シャッタ68は、その下辺部に沿って設けられた軸部を軸心として回動可能となるとともに、前面枠セット14を開放した状態(図3の状態)ではバネ等の付勢力によりシャッタ68が排出口67をほぼ閉鎖するようになっている。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(図2参照)によりシャッタ68が押し開けられるようになっている。なお、前面枠セット14の開放状態においては、遊技球は下皿15へ排出されるようになっている。
下皿15に開口した排出口16と、後述する遊技球分配部245の開口部245bとを繋ぐ球通路の途中には、下皿15が球で満タンになっていることを検出するための下皿満タンスイッチ15a(図20参照)が通路底面の一部を形成するように設けられている。球が短期間で多量に払い出されると、上皿19が一杯となった後には下皿15に球が溜まり始める。その後、球が払い出され続けても下皿15の球を抜かないと前記球通路の途中に球が溜まり始めるが、下皿満タンスイッチ15aの設置箇所まで球が溜まるとそれ以降の払出しは後述する払出制御装置311により停止される。
次に、前面枠セット14について図1を参照しつつ説明する。前面枠セット14には前記遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。前面枠セット14には矩形状をなす一対のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されている。加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯する報知手段としてのエラー表示ランプ106とが設けられている。環状電飾部102、中央電飾部103、賞球ランプ105及びエラー表示ランプ106は、後述する音声ランプ制御装置262に電気的に接続され、当該音声ランプ制御装置262によって制御される。
また、窓部101の下方には貸球信号出力手段としての貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されたカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。
また、前面枠セット14の施錠機構は、内枠12の施錠機構と一体的となっており、当該一体となった施錠機構G1(図5等参照)の本体部は内枠12の背面側に設けられている。
次に、パチンコ機10の背面の構成を詳しく説明する。図5はパチンコ機10の背面図であり、図6は内枠12に遊技盤30を組み付けた状態でその構成を示す背面図であり、図7は内枠12を後方より見た斜視図である。
まずはじめに、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
後述するように略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重なる領域に、裏パックユニット203が配置されている。
遊技盤30の中央には可変表示装置ユニット35が配置されている。可変表示装置ユニット35においては、センターフレーム47(図4参照)を背後から覆う樹脂製(例えばABS製)のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして裏枠セット215が取り付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品(例えばABS製)であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収する遊技球回収機構が形成されている。詳しくは、裏枠セット215の下方には、前述した一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応ユニット33(それぞれ図4参照)の遊技盤開口部に対応し、且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、内枠12にやはり樹脂製(例えばポリカーボネイト樹脂製)の排出通路盤217が取り付けられており、該排出通路盤217には、排出球をパチンコ機10外部へ案内する排出通路218が形成されている。従って、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット215の回収通路216を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36(図4参照)も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出する入賞感知機構(入球検出手段)などが設けられている。具体的には、遊技盤30表側の一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32には、カウントスイッチ223が設けられている。カウントスイッチ223は、大当たり状態で可変入賞装置32に入賞した遊技球をカウントするスイッチである。また、第1契機対応ユニット33に対応する位置には第1契機対応ユニット(始動口)スイッチ224が設けられ、第2契機対応口34に対応する位置には第2契機対応口(ゲート)スイッチ225が設けられている。
入賞口スイッチ221及び第2契機対応口(ゲート)スイッチ225は、図示しない電気配線を通じて盤面中継基板226に接続され、さらにこの盤面中継基板226が後述する主基板(主制御装置261)に接続されている。また、カウントスイッチ223は大入賞口中継基板227に接続され、さらにこの大入賞口中継基板227がやはり主基板に接続されている。これに対し、第1契機対応ユニット(始動口)スイッチ224は中継基板を介さずに直接主基板に接続されている。
その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口を開放する大入賞口ソレノイドが設けられ、第1契機対応ユニット33には、開閉部材33aを開閉駆動する第1契機対応ユニット(始動口)ソレノイドが設けられている。なお、図5〜7において符号228は打球槌等を備えるセットハンドルであり、符号229は発射モータである。
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。
その他、内枠12の背面構成において、遊技盤30の右下部には、後述する払出機構より払い出される遊技球を上皿19、下皿15、又は排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。すなわち、遊技球分配部245の開口部245aは上皿19に通じ、開口部245bは下皿15に通じ、開口部245cは排出通路218に通じる構成となっている(図7参照)。
次に、第1制御基板ユニット201を図8を用いて説明する。図8は同ユニット201の斜視図である。
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、この取付台251に主制御装置261及び初期化装置543(基板ボックス263)と、音声ランプ制御装置262(基板ボックス265)とが搭載されている。
主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備している。
また、初期化装置543は、RAM消去スイッチ323が電気的に接続されており、RAM消去スイッチ323が押されたかを検出するとともに、その検出結果を主制御装置261へ送信するRAM消去スイッチ回路543a(図20参照)を具備している。
そして、前記主基板とRAM消去スイッチ回路543aとが透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263(被包手段)に収容されて、主制御装置261及び初期化装置543が一体化されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット264(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
初期化装置543に電気的に接続されるRAM消去スイッチ323は、パチンコ機10を電源投入時の初期状態へ戻す場合に操作されるスイッチである。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入することとしている。なお、RAM消去スイッチ323を基板ボックス263に設けることにより、初期化装置543とRAM消去スイッチ323との間に、信号を発生させる装置などを取付け、主制御装置261を強制的に初期状態にされることを防止できる。後述するように、パチンコ機10の大当たりは、第1契機対応ユニット33への球の入賞タイミングに合わせて保留球格納エリアに格納される大当たり乱数カウンタC1の値に基づき抽選が行われる。よって、第1契機対応ユニット33への入球を検出する第1契機対応ユニットスイッチ224と主制御装置261との間に信号発生装置を取り付ければ、大当たりを不正に発生させることもできるが、少なくとも主制御装置261を強制的に初期状態にされることが防止できるので、不正に大当たりを発生させることを防止できる。
封印手段としての封印ユニット264はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結されるようになっている。封印ユニット264による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、封印ユニット264を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨を容易に発見できる。
また、音声ランプ制御装置262は、例えば主制御装置261(主基板)又は表示制御装置45からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス265に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介して表示制御装置45及び音声ランプ制御装置262に出力されるようになっている。
そして、一方の基板搭載面上に主制御装置261(主基板)と初期化装置543とが収容された基板ボックス263が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面上に音声ランプ制御装置262(音声ランプ制御基板)が収容された基板ボックス265が縦長の向きに配置されるようになっている。特に、主制御装置261(基板ボックス263)は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置262(基板ボックス265)はその奥側に配置される。
次に、第2制御基板ユニット202を図9を用いて説明する。図9は同ユニット202の斜視図である。
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、この取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球(賞球)や貸出球(貸球)の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314を省略することも可能である。
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317,318にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス315(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット319(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。
また、払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。エラー状態の発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、正常状態への復帰が図られるようになっている。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、パチンコ機10の背面から見た背面図を図10に示す。
裏パック351は、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口した貯留手段としてのタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備(遊技機設置島)に設けられた遊技球供給機構から供給される遊技球が逐次補給される。
タンク355の下方には、複数の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。タンクレール356及びケースレール357によって本実施形態における誘導手段が構成される。
ケースレール357の最下流部には払出装置358が連設され、この払出装置358により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。なお、本実施形態おける払出装置358は、後述するように、2つの球払出ユニット400により構成されている。そして、払出装置358より払い出された遊技球は払出樋359を介して上記遊技球分配部245へ導かれる。
払出樋359は、第1導出通路359aと第2導出通路359bとを備えている。ここで、第1導出通路359aは、上記遊技球分配部245の開口部245a,245bと、後述する払出装置358(球払出ユニット400)の払出通路部419,420とを連通するよう構成されている。第2導出通路359bは、上記遊技球分配部245の開口部245cと、払出装置358(球払出ユニット400)の球抜き通路部421,422とを連通するよう構成されている。これにより、払出通路部419,420から導出される遊技球は、第1導出通路359aを介して球受皿としての上皿19や下皿15へと導かれ、球抜き通路部421,422から導出される遊技球は、第2導出通路359bを介して排出通路218へ、ひいては遊技ホールの島設備の所定の排出部へと導かれる。
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板W1(図13等参照)が設置されると共に、詳細な図示は省略するが、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板が設置されている。電源スイッチ基板には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
また、タンク355から払出樋359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネイト樹脂)にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
また、裏パックユニット203のベース部353には、外部中継端子板230用の開口部391が設けられており、裏パックユニット203の固定された状態でも、外部中継端子板230の取外し及び操作が可能となっている。
次に、タンク355、タンクレール356、及びケースレール357について詳細に説明する。
図11に示すように、タンク355は、前後方向よりも左右方向に長く、上方に開口した略箱状に構成されており、その内部に遊技球を貯留するように構成されている。
タンク355の底部には、その左右一側部(本実施形態ではパチンコ機10の背面側から見て左側)において、遊技球をタンクレール356へ導出するための略矩形状の導出口355aが形成されており、当該タンク355の底部は導出口355aへ向けて下方傾斜している。
本実施形態における導出口355aの前後幅(奥行き)は、複数の遊技球を同時に落下させることができるようにタンク355自身の前後幅とほぼ同じ幅となっている。これは、タンクレール356の前後幅がタンク355自身の前後幅とほぼ同じ幅に形成されているためである。従来は、一般的にタンクレールの前後幅がタンク自身の前後幅よりも幅狭に形成されており、導出口の前後幅がタンクレールの前後幅に合わせて設定されていたため、導出口近傍においてはタンク底部(遊技球の流路)の前後幅を導出口に向かって次第に狭めていくような誘導部が設けられている。従って、従来では、導出口近傍において球詰まりを起こしやすくなっていた。その点、本実施形態では、導出口355a近傍においてタンク355の底部(遊技球の流路)の前後幅を狭めていくような誘導部を設ける必要もないため、導出口355a近傍において球詰まりを起こしにくい構成となっている。
次にタンクレール356の構成ついて説明する。タンクレール356は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体361を有している。また、レール本体361の始端部(図11の左側)において球受部を設け、この球受部によりタンク355より落下してきた遊技球が円滑にレール本体361内に取り込まれるような構成としてもよい。
レール本体361には長手方向(左右方向)に延びる3本の仕切壁363が設けられており、この仕切壁363により4列の球通路364が形成されている。仕切壁363により仕切られた4列の球通路364はそれぞれ遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。さらに、各球通路364の底面において、遊技球の誘導性を高めたり球詰まりの抑制を図るための突条や、球詰まりを解消するための開口部を設けるようにしてもよい。
また、レール本体361には、その下流側端部の天井部分を覆うようにして整流板367が配設されている。整流板367の下面には長手方向に延びる図示しない凸部が形成されている。これにより、タンクレール356内を流れる遊技球は最終的には上下に積み重なることなく下流側に流出する。従って、タンクレール356に多量の遊技球群が流れ込んできても、遊技球の噛み込みが抑制され、タンクレール356内における球詰まりが解消されるようになっている。なお、レール本体361が黒色の導電性ポリカーボネイト樹脂により成形されるのに対し、整流板367は透明のポリカーボネイト樹脂により成形されている。整流板367は着脱可能に設けられており、当該整流板367を取り外すことによりタンクレール356内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。また、整流板367は透明樹脂で形成されているため、わざわざ整流板367を取り外さなくとも、タンクレール356内の状況を確認することができ、メンテナンス時等において整流板367を取り外す手間を省くことができる。
次に、ケースレール357について説明する。ケースレール357は、タンクレール356の4列の球通路364に対応して4列の球通路を備えている。これら球通路は、後述する2つの球払出ユニット400に対応するように、2列1組の球通路組が前後に2組配設された構成となっている。より詳しくは、手前側(図11の手前側)に配設される球払出ユニット400に対応する前組の球通路371a,371bと、奥側(図11の奥側)に配設される球払出ユニット400に対応する後組の球通路372a,372bとから構成されている。これら球通路371a等により、タンクレール356から流下してくる遊技球を待機(停留)させ、払出装置358へと個別に導くことができる。なお、各球通路371a等には、当該各球通路371aにおける遊技球の有無を検出する球有無検出手段としての球切れ検出スイッチ357a(図20参照)が設けられている。そして、各球通路371a等内に遊技球が整列した状態で停留している場合には球切れ検出スイッチ357aがオン状態となり、各球通路371a等内に遊技球がなくなると球切れ検出スイッチ357aがオフ状態となる。
次に、払出装置358について図12〜図17を参照して詳細に説明する。図12は払出装置358の正面斜視図であり、図13は球払出ユニット400の背面斜視図であり、図14〜16は球払出ユニット400内の構成を説明するための断面図であり、図17は球払出ユニット400の分解斜視図である。
本実施形態における払出装置358は2つの球払出ユニット400により構成されている。各球払出ユニット400は、例えば透明樹脂等よりなるケース体401によって覆われ、略直方体形状をなしている。
ケース体401は、複数のケース構成部材の連結により構成されている。本実施の形態では、ケース体401は、第1ベース部403と、当該第1ベース部403の前面側(図12の手前側)を覆う第2ベース部404と、当該第2ベース部404の前面側を覆うカバー部405とからなる3層構造となっている。これらケース構成部材403,404,405はネジ等の締結手段により一体に組付けられている。
ケース構成部材403,404,405が組付けられることによって、ケース構成部材403,404,405間には、遊技球が流下する球通路や、払出機構が配設される空間部が形成されている。また、これら球通路や空間部は、ケース構成部材403,404,405から突設されたリブ等が連接されることで形成されている。
より詳しくは、第1ベース部403と第2ベース部404との間にはケース体401内の上下両側に通じる第1球通路407が形成され、当該第1球通路407の側方において第1停留機構408が配設される。同様に、第2ベース部404とカバー部405との間には第2球通路409が形成され、当該第2球通路409の側方に第2停留機構410が配設される。第1球通路407及び第2球通路409は略同一形状をなし、第1停留機構408及び第2停留機構410は略同一構成となっている。従って、各球払出ユニット400は、第1球通路407及び第1停留機構408等よりなる払出機構と、第2球通路409及び第2停留機構410等よりなる払出機構といった、2つの払出機構を備えていることとなる。これら各払出機構が本実施形態における払出手段に相当する。なお、本実施形態では、第1球通路407及び第2球通路409は、断面略四角形の筒状に形成されており、一般的な遊技球の直径が約11mmであることから、所要の隙間が出来るように球通路407,409の一辺の長さは約12mmに設定されている。
また、第1ベース部403及び第2ベース部404間の第1層と、第2ベース部404及びカバー部405間の第2層とにそれぞれ収容された2つの払出機構の各構成部材(球通路407,409や停留機構408,410)の配置構成が略同一の配置構成となっている(図14等参照)。つまり、前後方向と直交する断面である前記第1層の断面形状(直交断面における配置構成)と、前記第2層の断面形状とが略同一となっている。ここでは、各層の断面に沿って球通路が形成されるとともに、当該断面における球通路の非形成領域に停留機構が配置されているため、例えば球通路及び停留機構が前後方向へ交互に並んだ構成よりも、よりコンパクトに集約された構成にでき、球払出ユニット400の薄型化(前後方向への薄型化)を図ることができる。
第1球通路407及び第2球通路409は、それぞれケース体401上面に開口した開口部415,416から左右方向の一方(本実施形態では図14の左方向)に向けて比較的緩やかに下方傾斜した停留通路部417,418と、停留通路部417,418の下流側に連通し略鉛直方向に沿って延びる払出通路部419,420と、当該払出通路部419,420の途中から分岐し下方傾斜した球抜き通路部421,422とから構成されている。そして、ケース体401下面には、払出通路部419,420の開口部419a,420aが形成されるとともに、球抜き通路部421,422の開口部421a,422aが形成されている。
両球払出ユニット400の第1球通路407及び第2球通路409は、それぞれ対応する上記ケースレール357の球通路371a,371b,372a,372bと連通するように配置される。より詳しくは、手前側の球払出ユニット400の第1球通路407は球通路371bと連通し、第2球通路409は球通路371aと連通するようになっている。また、奥側の球払出ユニット400の第1球通路407は球通路372bと連通し、第2球通路409は球通路372aと連通するようになっている。
一方、両球払出ユニット400の下部においては、両球払出ユニット400の払出通路部419,420が払出樋359の第1導出通路359aに連通し、両球払出ユニット400の球抜き通路部421,422が払出樋359の第2導出通路359bと連通するようになっている。
次に、停留手段としての第1停留機構408及び第2停留機構410について詳細に説明する。停留機構408,410は、それぞれ停留通路部417,418の下方、払出通路部419,420の側方(図14の右側)、球抜き通路部421,422の上方に形成される空間部431,432に配設されている。そして、第1停留機構408及び第2停留機構410は、それぞれ独立して駆動可能なように構成されている。
停留機構408,410は、それぞれ制止部材(爪部材)としてのフリッカー433,434と、駆動手段(電気的駆動手段)としてのソレノイド435,436と、両者を連動させるための駆動伝達手段としての駆動伝達部材437,438とから構成されている。
また、ソレノイド435,436は、下方に向けて突出する摺動手段としてのプランジャ441,442を備えている。プランジャ441,442の先端部には、プランジャ441,442と一体的に上下にスライドするスライド部材443,444が取着されている。なお、プランジャ441,442には図示しない弾性部材としてのコイルばねが取着されており、通常時つまりソレノイド435,436の非励磁状態(非作動状態)においては、プランジャ441,442が下方へ押下げられている。そして、ソレノイド435,436が励磁状態(作動状態)となると、プランジャ441,442が上方へ引き上げられる(図16参照)。
フリッカー433,434は、自身に挿通された支軸447により、それぞれ空間部431,432内の払出通路部419,420近傍において回動自在に軸支されている。支軸447は、第2ベース部404を貫通し、両フリッカー433,434に挿通され、第1ベース部403とカバー部405との間に取着されている。
フリッカー433,434は略円弧形状をなし、支軸447より上に位置する先端部は先細りしている。一方、払出通路部419,420の上端部近傍における空間部431,432側の壁部には、開口部451,452が設けられている。そして、フリッカー433,434が回動することにより、フリッカー433,434の先端部が開口部451,452を介して払出通路部419,420内外へ出没する。そして、フリッカー433,434の先端部が払出通路部419,420内へ突出している状態においては遊技球が通過不能となり、それより上流において遊技球が停留されることとなる。フリッカー433,434の先端部が開口部451,452を介して払出通路部419,420内へ突出したフリッカー433,434の変位位置が、本実施形態における規制位置に相当する。また、フリッカー433,434の先端部が払出通路部419,420外へ没したフリッカー433,434の変位位置が、本実施形態における規制解除位置に相当する。
また、フリッカー433,434の下方には、略く字形状をなす駆動伝達部材437,438が配設されている。駆動伝達部材437,438は、自身に挿通された支軸448により、回動自在に軸支されている。支軸448は、上記支軸447と同様に、第2ベース部404を貫通し、両駆動伝達部材437,438に挿通され、第1ベース部403とカバー部405との間に取着されている。
フリッカー433,434の下端部には、係合凹部453,454が形成されており、当該係合凹部453,454に、駆動伝達部材437,438の先端部が係合(遊嵌)される。さらに、係合凹部453,454の奥側(図14の奥側)に設けられた壁部455,456には、図示しない長孔が形成されており、当該長孔に、駆動伝達部材437,438の先端部から奥方へ突出する図示しない係合ピンが挿入されている。これら構成により、駆動伝達部材437,438の動きに連動してフリッカー433,434が回動する。
一方、駆動伝達部材437,438の下後端には係合凹部461が形成されている。係合凹部461には、上記プランジャ441,442に取着されたスライド部材443,444の端部が差し込まれている。このような構成によって、プランジャ441,442の上下動に連動して、駆動伝達部材437,438、ひいてはフリッカー433,434が回動することとなる。
さて、ケース体401の側部には、フリッカー433,434の先端部近傍において、球検出手段としての球検出センサ464が取着されている。より詳しくは、球検出センサ464は、フリッカー433,434の先端部によって停留される最下流側の遊技球の位置(流下制止位置)よりも僅かに下流位置において遊技球を検出できるように配置されている。
図18に示すように、球検出センサ464は、基板465等を内包する略直方体形状の本体部466と、当該本体部466の長手方向略中央部から突設され発光素子467aを内包する発光部467と、当該発光部467と対峙するように本体部466の長手方向の両端部にそれぞれ突設され、受光素子469a,470aを内包する第1受光部469及び第2受光部470とから構成された透過型フォトセンサである。また、受光部469,470と対峙する発光部467の両側にはそれぞれ発光素子467aが発する光を透過させる透孔471a,471bが形成されている。これに対応して、第1受光部469及び第2受光部470には、それぞれ発光部467と対峙する側において発光素子467aからの光を受光するための透孔472,473が設けられている。これにより、発光部467及び第1受光部469、発光部467及び第2受光部470によりそれぞれ払出通路部419,420の遊技球が検出される。
上記構成とすれば、2つの受光部469,470に対応する発光部が1つの発光部467だけですみ、さらには2つの受光部469,470に対応する発光素子も1つの発光素子467aだけですむ。そのため、例えば2つの受光部469,470に対応して2つの発光部を備えた構成や、1つの発光部内に2つの発光素子を備えた構成に比べて、球検出センサ464がよりコンパクトに集約された構成とでき、球検出センサ464のさらなる小型化を図ることができる。
一方、ケース体401の側部には、球検出センサ464が嵌合される取付凹部475と、球検出センサ464を係止するための上下一対の係止爪475a,475bとが設けられている。また、第2ベース部404には、払出通路部419,420間の境界部において、発光部467が嵌め込まれる係合凹部476が設けられている。さらに、第1ベース部403の背面側には、第1受光部469が嵌め込まれる係合凹部477が設けられ、カバー部405の前面側には、第2受光部470が嵌め込まれる係合凹部478が設けられている。そして、各係合凹部476,477,478には、上記球検出センサ464の各透孔471a,471b,472,473に対応して、透孔476a,476b,477a,478aが設けられている。但し、球検出センサ464としては、フォトセンサの中でも、上記各透孔471a,471b,472,473が省略された構成のものを採用することができる。もちろん、これに対応してケース体401の透孔476a,476b,477a,478aも省略できる。
上記構成により、球払出ユニット400は、球検出センサ464の取着状態においても、略直方体形状が維持されるような、突出部分が極力抑えられた構造となっている。また、球検出センサ464の取着状態においては、当該球検出センサ464によって、ケース体401(第1ベース部403からカバー部405まで)が挟持されるようになっており、仮にネジ等の締結部材を用いなくとも、ケース体401が略直方体形状の組付け状態を維持できるようなっている。
また、ケース体401の側部には、球検出センサ464の下方において払出中継基板W1が設けられている。払出中継基板W1は、球検出センサ464とコネクタW1aを介して電気的に接続され、2つのソレノイド435,436とコネクタW1bを介して電気的に接続され、払出制御装置311とコネクタW1cを介して電気的に接続されている。但し、便宜上、各図面において電気配線は省略されている。これにより、球払出ユニット400(ソレノイド435,436)が払出制御装置311からの出力信号に基づいて駆動制御されるようになっている。また、払出制御装置311は、球検出センサ464からの入力信号に基づいて払出個数を計数するように構成されている。
さて、第1球通路407及び第2球通路409における払出通路部419,420と球抜き通路部421,422との分岐点には通路切換え手段としての切換え部材479,480が設けられている。切換え部材479,480は、払出通路部419,420又は球抜き通路部421,422の流路側壁の機能を果たす切換え弁部479a,480aと、当該切換え弁部479a,480aの下端部に一体形成された支軸部479b,480bと、切換え弁部479a,480aの先端側において支軸部479b,480bに平行して設けられた操作部479c,480cとから構成されている。
支軸部479b,480bは、それぞれ第1ベース部403と第2ベース部404との間、第2ベース部404とカバー部405との間に回動可能に軸支されており、当該構成により、切換え部材479,480は支軸部479b,480bを軸心として回動変位するよう構成されている。そして、切換え部材479,480の停止位置によって払出通路部419,420又は球抜き通路部421,422が連通状態となる。
より詳しくは、図14〜図16に示すように、切換え部材479,480は、遊技球を払出通路部419,420に沿って流下させる払出通路開放位置と、遊技球が通過不能なように払出通路部419,420を閉じた状態とするとともに、遊技球を球抜き通路部421,422へ導き当該球抜き通路部421,422に沿って流下させる球抜き通路開放位置とに回動変位する。
また、支軸部479b,480bは、当該支軸部479b,480bが軸支されるために第2ベース部404に設けられた軸孔481を介して連結されるよう構成されている。一方、操作部479c,480cには、それぞれ奥端部において突起部482aが形成され、前端部において前記突起部482aが係合可能な凹部482bが形成されている。そして、第2ベース部404に設けられた長孔483を介して、操作部480c側の突起部482aが、操作部479c側の凹部482bに係合されることにより、操作部479c,480cが連結されている。このような構成により、切換え部材479,480は一体的に回動変位するようになっている。
さらに、操作部479cの突起部482aは、第1ベース部403に設けられた長孔484を介して外部に突出している。一方、操作部480cの前端部は、カバー部405に設けられた長孔485を介して外部に突出している。このような構成により、2つの球払出ユニット400を連結する際には、一方の球払出ユニット400の操作部479cの突起部482aが、他方の球払出ユニット400の操作部480cの凹部482bに係合され、2つの球払出ユニット400の切換え部材479,480が一体的に回動変位できるように構成されている。
さて、カバー部405の前面側には、切換え部材479,480の切換え操作及び上記停留機構408,410の停留解除操作を行うための球抜き操作手段としての操作レバー488が手動操作可能に設けられている。操作レバー488は、ケース体401を貫通するように取着された軸棒489に固定されることより、後述する第1操作位置と第2操作位置との間で回動自在となっている。操作レバー488は、その先端部側が略円弧状となった略扇形状となっている。また、先端部側の回動方向一端部には、上記切換え部材480の操作部480cの前端部が挿入される長孔488aが形成されている。これにより、操作レバー488を回動操作することにより、操作レバー488に連動して切換え部材479,480が回動するようになっている。なお、操作レバー488が第1操作位置にある場合には、切換え部材479,480が上記払出通路開放位置に位置し、操作レバー488が第2操作位置にある場合には、切換え部材479,480が上記球抜き通路開放位置に位置する。
また、操作レバー488の先端部側の回動方向略中央部には、操作レバー488の軸心からの放射方向に沿って延びる略平板状の操作部488bが突設されている。また、図19(a)に示すように、操作レバー488のカバー部405側には略半球状の係止凸部(係合凸部)488cが形成されている。これに対応して、カバー部405の表面には、前記係止凸部488cが係合(嵌入)可能な第1係止凹部490aと第2係止凹部490bが設けられている。そして、操作レバー488が第1操作位置(実線部分)にある場合において、係止凸部488cが第1係止凹部490aに係合し、操作レバー488が第2操作位置(二点鎖線部分)にある場合において、係止凸部488cが第2係止凹部490bに係合するようになっている。これにより、操作レバー488を第1操作位置及び第2操作位置においてそれぞれ係止することができる。ひいては、切換え部材479,480や停留機構408,410等の遊動を規制し、各位置においてより確実に停止させ、位置決めすることができる。
さて、上記軸棒489の奥端部には、第1ベース部403の背面側において、上記操作部488bと略平行するように軸棒489の軸心からの放射方向に沿って延びる連結バー491が取着されている。連結バー491の先端部には、球払出ユニット400が連結される際に、他の球払出ユニット400の上記操作部488bが嵌め込まれる連結孔491aが形成されている。
また、操作レバー488の軸近傍には、一対の規制リブ488d,488eが突設されている。これにより、球払出ユニット400を連結する際には、2つの球払出ユニット400の操作レバー488が同じ回動位置(第1操作位置や第2操作位置等)にある場合、図19(b)に示すように、一方の球払出ユニット400の連結バー491が、他方の球払出ユニット400の一対の規制リブ488d,488e間に嵌り込んだ状態となる。一方、2つの球払出ユニット400の操作レバー488が同じ回動位置(第1操作位置や第2操作位置等)にない場合、つまり上記操作部488bが連結孔491aに挿入されない状態で、両球払出ユニット400が連結されてしまうといった不具合が防止される。より詳しくは、図19(a),(b)を参照しても分かるように、操作部488b及び一対の規制リブ488d,488eの配置構成は、連結バー491を一対の規制リブ488d,488e間に差し込もうとした場合、操作部488bが連結孔491aに挿入される場合を除いては、連結バー491を一対の規制リブ488d,488e間に差し込めないような配置構成となっている。換言すれば、連結バー491を一対の規制リブ488d,488e間に差し込みつつ、操作部488bと規制リブ488dとの間、又は、操作部488bと規制リブ488eとの間へ差し込もうとした場合には、規制リブ488d又は規制リブ488eが邪魔となり、連結バー491を一対の規制リブ488d,488e間に差し込めないような配置構成になっている。
さて、ケース体401内には、各ソレノイド435,436(プランジャ441,442)の下方において、空間部431,432に跨るように作用伝達部材492が配設されている。作用伝達部材492は、上記操作レバー488の動作に連動してプランジャ441,442を動かすための部材である。作用伝達部材492は、第1ベース部403とカバー部405との間に回動可能に軸支される本体部492aと、各プランジャ441,442に対応して本体部492aから突設された操作子492b,492cと、本体部492aのカバー部405側端部近傍において操作子492b,492cと略直交するように突設された突出部492dとから構成されている。
さらに、突出部492dの先端部近傍には、前面側に突出した操作部492eが設けられている。これに対応して、上記カバー部405には、前記操作部492eの移動範囲に対応した長孔493が設けられており、当該長孔493を介して操作部492eがカバー部405の前面側へ突出している。さらに、これに対応して、操作レバー488には、上記長孔488aと反対側の端部近傍において、操作部492eが挿通される長孔488fが形成されている。そして、操作レバー488を回動操作することにより、作用伝達部材492が回動するようになっている。より詳しくは、操作レバー488を第1操作位置から第2操作位置へと回動操作し、作用伝達部材492を回動させることにより、操作子492b,492cがプランジャ441,442を押し上げることとなる。その結果、ソレノイド435,436が励磁された場合と同様に、フリッカー433,434の先端部が払出通路部419,420外へ没した状態となり、遊技球が流下可能な状態となる。
さて、カバー部405の四隅には、それぞれ前方に向けて突出したボス部494が設けられている。さらに、ボス部494の先端には突起部494aが設けられている。一方、第1ベース部403の背面側には、前記ボス部494の突起部494aが嵌入可能な孔部499が第1ベース部403の四隅に設けられている。上記構成により、各球払出ユニット400を図12に示すように連結することができる。また、2つの球払出ユニット400の連結の際には、上述したように、前方の球払出ユニット400の連結バー491が、後方の球払出ユニット400の操作レバー488の一対の規制リブ488d,488e間に嵌り込んだ状態となるとともに、操作部488bが連結孔491aに挿入された状態となる。さらに、前方の球払出ユニット400に設けられた切換え部材479の操作部479cの突起部482aが、後方の球払出ユニット400に設けられた切換え部材480の操作部480cの凹部482bに係合された状態となる。
次に、2つの球払出ユニット400が連結された払出装置358の上記ベース部353への取付構造について説明する。各球払出ユニット400のケース体401には前後方向に貫通した挿通孔495が複数設けられている。これに対応して上記ベース部353側の取付部位496(図17参照)には金属棒497が突設されている。取付けの際には、まず一体となった2つの球払出ユニット400の各挿通孔495に各金属棒497を挿入する。そして、金属棒497の先端にネジ498を螺着することにより、2つの球払出ユニット400が連結された払出装置358が上記ベース部353に固定される。
次に、払出装置358(球払出ユニット400)の払出動作及び球抜き動作について説明する。
通常時、各球払出ユニット400では、操作レバー488が第1操作位置において係止された状態となっている。また、各停留機構408,410は遊技球の流下を規制する規制状態となっている。つまり、ソレノイド435,436はプランジャ441,442が下方へ押下げられた状態となっており、フリッカー433,434の先端部が払出通路部419,420内へ突出した状態となっている。一方、切換え部材479,480は払出通路開放位置にあり、遊技球が払出通路部419,420に沿って流下可能な状態となっている。
そして、払出制御装置311からの払出指令(オン信号)に基づき、ソレノイド435,436が励磁状態(作動状態)となると、プランジャ441,442が引き上げられる。これに連動して、駆動伝達部材437,438は、パチンコ機10の背面側から見て反時計回りに回動し、フリッカー433,434が時計回りに回動する。そして、フリッカー433,434の先端部が払出通路部419,420外へ没した状態となり、フリッカー433,434により制止されていた遊技球が払出通路部419,420に沿って流下し、上皿19や下皿15へと導かれる。このような状態が本実施形態における各停留機構408,410の規制解除状態に相当する。また、球検出センサ464が所定数の遊技球を検出すると、払出制御装置311から停止指令(オフ信号)が出て、再びソレノイド435,436が非励磁状態(非作動状態)となり、各停留機構408,410は上記通常時の状態(規制状態)に戻る。
次に、球払出ユニット400内(フリッカー433,434より上流側)に停留された遊技球の球抜き作業について説明する。球抜き作業は、出荷時における検査終了後やエラー発生時(故障時)等に行われる。本実施形態では、球払出ユニット400が無通電状態でも実行可能である。
遊技球を球抜きするためには、まず、操作レバー488を反時計回り方向へ回動操作する。このように操作すると、係止凸部488cが第1係止凹部490aから外れ、操作レバー488は第1操作位置より反時計回りに回動する。
この操作レバー488の動きに連動して、図15に示すように、切換え部材479,480が球抜き通路開放位置へと反時計回りに回動変位するとともに、作用伝達部材492が時計回りに回動変位する。その結果、作用伝達部材492の操作子492b,492cによりプランジャ441,442を押し上げられる。そして、図16に示すように、ソレノイド435,436が励磁された場合と同様に、フリッカー433,434の先端部が払出通路部419,420外へ没した状態となると、遊技球が流下可能な状態となる。これにより、図14,15に2点鎖線で示した遊技球Bのように、フリッカー433,434により制止されていた遊技球は、図16に示した遊技球Bのように、払出通路部419,420に沿って流下し、切換え部材479,480によって球抜き通路部421,422へ導かれ、当該球抜き通路部421,422及び第2導出通路359bを介して排出通路218へ、ひいては遊技ホールの島設備の所定の排出部などへと導かれる。そして、操作レバー488が第2操作位置に達したところで、係止凸部488cが第2係止凹部490bに係合し、操作レバー488は第2操作位置において係止された状態となる。
なお、図15に示すように、操作レバー488が僅かに回動した状態では、切換え部材479,480の先端部がわずかに払出通路部419,420に突出した状態となるとともに、フリッカー433,434の先端部が払出通路部419,420外へやや没した状態となる。その後、フリッカー433,434の先端部と、当該先端部と対向する払出通路部419,420の壁面との距離H1が、遊技球の直径に相当する距離を越えたところで、遊技球が流下可能な状態となる。また、本実施形態では、前記距離H1が遊技球の直径に相当する距離に達する前(遊技球が流下可能な状態となる前)に、切換え部材479,480の先端部と、当該先端部と対向する払出通路部419,420の壁面との距離H2が遊技球の半径より短い距離に達するように、フリッカー433,434及び切換え部材479,480が連動するようになっている。なお、本実施形態では、切換え部材479,480が球抜き通路開放位置にある場合に上側となる先端部の上角部と払出通路部419,420の壁面との距離を距離H2としている。上記構成により、遊技球の制止が解除されたタイミングでは、すでに遊技球が通路の分岐部分を払出通路部419,420に沿って通過できない状態となる。結果として、切換え部材479,480による遊技球の球噛みを防止することができる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図20は、本パチンコ機10の電気的構造を示したブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、CPU501の内部レジスタの内容やCPU501により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ、各種カウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア503aとを備えている。RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア503aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、各種フラグ、各種カウンタ、I/O等の値を記憶しておくエリアであり、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップエリア503aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア503aへの書き込みは、通常処理(図23参照)によって電源遮断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)のメイン処理(図22参照)において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、その停電信号SK1がCPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、初期化装置543、払出制御装置311、表示制御装置45、特別表示装置43、普通図柄表示装置41、その他スイッチ等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43および普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、表示制御装置45を介して制御される。
初期化装置543には、RAM消去スイッチ回路543aが設けられており、そのRAM消去スイッチ回路543aには、RAM消去スイッチ323が電気的に接続されている。RAM消去スイッチ回路543aはRAM消去スイッチ323が押下された場合に、主制御装置261へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SK2を出力する回路である。パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去スイッチ323が押下されると、主制御装置261と払出制御装置311のRAM503,513(バックアップエリア503a,513a)のデータがそれぞれクリアされる。なお、上述したように、初期化装置543と主制御装置261とは、基板ボックス263に収納されている。
また、払出制御装置311は賞球や貸球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、CPU511の内部レジスタの内容やCPU511により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ、各種カウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア513aとを備えている。RAM513は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア513aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。
作業エリアには、払出制御装置311による賞球の払出許可が設定される払出許可フラグ513bと、主制御装置261から送信されたコマンドを受信した場合に設定されるコマンド受信フラグ513cと、主制御装置261から送信されたコマンドが記憶されるコマンドバッファ513dとが設けられている。
また、図40に示すように、作業エリアには、払出すべき遊技球の球数を記憶するための払出個数記憶エリアが設けられている。この払出個数記憶エリアが本実施形態における払出個数記憶手段を構成する。具体的に、払出個数記憶エリアは、払出すべき遊技球の総数を記憶するための総払出個数記憶エリアA0と、球払出ユニット400の各球通路に対応した払出個数を記憶するための複数の払出個数記憶エリアとが設けられている。より詳しくは、手前側の球払出ユニット400の第2球通路409(以下、第1レーンという)、第1球通路407(以下、第2レーンという)、奥側の球払出ユニット400の第2球通路409(以下、第3レーンという)、第1球通路407(以下、第4レーンという)に対応して、それぞれ第1レーン払出個数記憶エリアA1、第2レーン払出個数記憶エリアA2、第3レーン払出個数記憶エリアA3、第4レーン払出個数記憶エリアA4が設けられている。本実施形態では、後述するように賞球信号としての賞球コマンドや貸球信号を受信した際に当該コマンド等に対応する払出個数を一旦総払出個数記憶エリアA0に設定した後、各レーン払出個数記憶エリアA1〜A4に振分けられて設定される。もちろん、各払出個数記憶エリアA0〜A4に予め払出個数が設定されている場合には、当該払出個数に対し、賞球コマンド等に対応する払出個数を加算した値を、新たな払出個数として設定する。総払出個数記憶エリアA0及び各レーン払出個数記憶エリアA1〜A4によって本実施形態における払出個数記憶手段が構成される。
さらに、作業エリアには、第1〜第4レーンに対応して、後述するように各レーン払出個数記憶エリアA1〜A4に記憶された払出個数の値が0である場合に払出された球数(過剰払出球数)を計数するための第1〜第4レーン用計数カウンタCT1〜CT4が設けられるとともに、前記各レーン用計数カウンタCT1〜CT4によって計数された総数を計数するための総過剰払出球数計数カウンタCT0が設けられている。第1〜第4レーン用計数カウンタCT1〜CT4及び総過剰払出球数計数カウンタCT0によって本実施形態における過剰払出球数計数手段が構成される。
また、作業エリアには、第1〜第4レーン用計数カウンタCT1〜CT4及び総過剰払出球数計数カウンタCT0によって計数された球数(過剰払出球数)を記憶するための第1〜第4レーン用カウンタバッファCB1〜CB4及び総過剰払出球数カウンタバッファCB0が設けられている。第1〜第4レーン用カウンタバッファCB1〜CB4及び総過剰払出球数カウンタバッファCB0によって本実施形態における過剰払出球数記憶手段が構成される。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時のスタックポインタや、各種フラグ、各種カウンタ、各レジスタ、I/O等の値、コマンドバッファ513dにおける記憶ポインタ及び読出ポインタなどを記憶しておくためのエリアであり、電源投入時には、このバックアップエリア513aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア513aへの書き込みはメイン処理(図33参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置261のCPU501と同様、CPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SK1が入力されるように構成されており、その停電信号SK1がCPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
払出許可フラグ513bは、賞球の払出許可を設定するフラグであり、主制御装置261から賞球の払出を許可する特定のコマンドが送信され、その特定のコマンドを受信した場合にオンされ、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされる。本実施形態では、特定のコマンドは、払出制御装置311のRAM513の初期処理の指示をする払出初期化コマンドと、賞球の払出しを指示する払出信号としての賞球コマンドと、主制御装置261が復電された場合に送信される払出復帰コマンドの3つである。
コマンド受信フラグ513cは、払出制御装置311がコマンドを受信したか否かを確認するフラグであり、いずれかのコマンドを受信した場合にオンされ、払出許可フラグ513bと同様に、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされるとともに、後述するコマンド判定処理(図36参照)により受信されたコマンドの判定が行われた場合にオフされる。
コマンドバッファ513dは、主制御装置261から送信されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。リングバッファは所定の記憶領域を有しており、その記憶領域の始端から終端に至るまで規則性をもってコマンドが記憶され、全ての記憶領域にコマンドが記憶された場合には、記憶領域の始端に戻りコマンドが更新されるよう構成されている。よって、コマンドが記憶された場合及びコマンドが読み出された場合に、コマンドバッファ513dにおける記憶ポインタ及び読出ポインタが更新され、その各ポインタに基づきコマンドの記憶と読み出しとが行われる。
払出制御装置311のCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、発射制御装置312、球払出ユニット400、貸球操作部120、球切れ検出スイッチ357a、状態復帰スイッチ321、下皿満タンスイッチ15a、過剰払出球数表示手段としての過剰払出球数表示部D1〜D4などがそれぞれ接続されている。具体的に過剰払出球数表示部D1〜D4は、図5に示すように、第1レーンに対応する第1レーン用過剰払出球数表示部D1、第2レーンに対応する第2レーン用過剰払出球数表示部D2、第3レーンに対応する第3レーン用過剰払出球数表示部D3、第4レーンに対応する第4レーン用過剰払出球数表示部D4から構成され、各レーンから払出された過剰払出球数が表示される。本実施形態では、各過剰払出球数表示部D1〜D4は4つの7セグ表示部から構成されており、「9999」個まで表示できるようになっている。これにより、遊技ホール側の店員が各過剰払出球数表示部D1〜D4に表示された数値を見て過剰払出分を回収することができる。また、過剰払出球数が「10000」個以上となった場合には、ホールコンピュータ等に出力された過剰払出球数データを基に、実際に払出された遊技球の球数と過剰払出分の球数との差分をとることにより、過剰払出分を回収することができる。
発射制御装置312は、発射モータ229による遊技機の発射を許可又は禁止するものであり、発射モータ229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射モータ229が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される(図5等参照)。
表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を制御するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、2つの出力ポート528,529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527の入力には主制御装置261の出力が接続され、入力ポート527の出力には、CPU521、ROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されると共にバスライン530を介して一方の出力ポート528が接続されている。出力ポート528の出力には、音声ランプ制御装置262が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529の出力には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、主制御装置261から送信される表示コマンドに基づいて装飾図柄表示装置42の表示を制御する。なお、主制御装置261は、特別表示装置43にて確定的に大当たりか否かを表示するため、表示コマンドは装飾図柄表示装置42にて補助的な表示を行うために送出される。ROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。ここには後述する各種カウンタの値を格納するカウンタ用バッファが設けられている。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させるものである。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチや、ソレノイド、モータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理(NMI割込み処理)の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理(NMI割込み処理)を正常に実行し完了することができる。
ところで、装飾図柄表示装置(液晶表示装置)42には、図示しない左・中・右の3つの図柄列が設定されており、図柄列毎に図柄(装飾図柄)が変動表示される。本実施の形態では、装飾図柄は、「0」〜「9」の数字を各々付すよう構成されており、数字の昇順又は降順に装飾図柄が表示されて一連の図柄列が構成されている。そして、周期性をもって装飾図柄が上から下へと変動表示されるようになっている。
かかる場合、左図柄列においては、装飾図柄が降順(付された数字が減る順)に表示され、中図柄列及び右図柄列においては、同じく装飾図柄が昇順(付された数字が増える順)に表示される。そして、左図柄列→右図柄列→中図柄列の順に変動表示が停止する。主制御装置261によって大当たりが確定すると、特別表示装置43にてその旨が表示されると共に、補助的に装飾図柄表示装置42上で装飾図柄が大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の装飾図柄の組合せ)となり、大当たりとして特別遊技動画が表示されるようになっている(大当たり状態が開始される)。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
本実施の形態では、主制御装置261内のCPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて抽選(大当たり抽選)を行うこととしている。具体的には、図21に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たりに際し高確率モード(次回大当たりまで継続する)又は時間短縮モード(所定期間終了後には通常モードへ移行する)への移行決定に使用するモード決定カウンタC2と、装飾図柄表示装置42を外れ変動させる際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、装飾図柄表示装置42の変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1,CS2とを用いることとしている。なお、変動種別カウンタCS1,CS2は、変動パターン選択に用いられるのであるが、詳しくは、決定された変動パターンにより、装飾図柄表示装置42における演出及び変動時間が決定されると共に、特別表示装置43の変動時間が決定される。
カウンタC1,C2,C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは定期的に更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される(乱数初期値カウンタCINIを除く)。また、RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜保留第4エリア)とからなる記憶エリアとしての保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、第1契機対応ユニット33への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1及び、モード決定カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しく説明すると、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタであり(値=0〜676)、タイマ割込み毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が第1契機対応ユニット33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率モード(時間短縮モード又は通常モード)と高確率モードとで2種類設定されており、本実施の形態では、低確率モードであれば大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「337,673」であり、高確率モードであれば大当たりとなる乱数の値の数は10で、その値は「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」である。
なお、高確率モードとは、特別表示装置43において「赤」で停止表示されること(装飾図柄表示装置42において予め定められた確変図柄で停止表示されること)によって大当たりになり、その後の大当たり確率が低確率モード時に比べアップした状態をいう。以下の説明では適宜、装飾図柄表示装置42において確変図柄によって大当たりになった場合を「確変大当たり」といい、確変図柄以外の通常図柄によって大当たりになった場合を「通常大当たり」という。また、高確率モードにおいては、大当たり確率(大当たり状態の当選確率)が高められるのであるが、これに加えて、本実施形態では(1)特別表示装置43における変動表示時間を短くする、(2)普通図柄表示装置41における変動表示時間を短くする、(3)第1契機対応ユニット33の開閉処理に関わる規定時間(開放時間)を通常モードに比べて長くする、又は、規定個数(入賞個数)を通常モードに比べて多くする、(4)普通図柄表示装置41において「○」図柄が停止表示される旨の当選結果が得られた場合一回につき行う第1契機対応ユニット33の開閉処理の実行回数を通常モードに比べて多くする、(5)普通図柄表示装置41において「○」図柄が停止表示される確率(当選確率)を通常モード時の当選確率より高くすることが実行される。より具体的には、時間短縮モード時には、第1契機対応ユニット33の開閉部材33aが開状態となり、規定時間(例えば3秒)の経過した場合又は規定個数(例えば3個)の遊技球の入球があった場合に閉状態となる。そして、この開閉処理が2回繰り返し行われる。これによって、第1契機対応ユニット33が頻繁に開放されるようになり、大当たり抽選が連続してなされると共に、玉持ちのよい状態となる。これに限らず、高確率モードとしては、大当たり確率(大当たり状態の当選確率)を高めることに加え、上記(1)〜(5)の構成の任意の組合せ(例えば(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(1)と(2)、(1)と(3)、(1)と(4)、(1)と(5)、(2)と(3)、(2)と(4)、(2)と(5)、(3)と(4)、(3)と(5)、(4)と(5)、(1)と(2)と(3)、(1)と(2)と(4)、(1)と(2)と(5)、(1)と(3)と(4)、(1)と(3)と(5)、(1)と(4)と(5)、(2)と(3)と(4)、(2)と(3)と(5)、(2)と(4)と(5)、(3)と(4)と(5)、(1)と(2)と(3)と(4)、(1)と(2)と(3)と(5)、(1)と(2)と(4)と(5)、(1)と(3)と(4)と(5)、(2)と(3)と(4)と(5))を採用できる。
また、低確率モードのうち時間短縮モードとは、特別表示装置43において「緑」で停止表示されること(装飾図柄表示装置42において予め定められた確変図柄以外の通常図柄で停止表示されること)によって大当たりになり、その後特別表示装置43の変動表示が100回行われる間、大当たり確率は通常モード時と同じ低確率であるが、上記(1)〜(5)が実行される状態、つまり通常モードよりも遊技者に有利な状態をいう。これに限らず、上記(1)〜(4)の構成の少なくとも1つを満たす遊技モードを時間短縮モードとして採用してもよい。例えば(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(1)と(2)、(1)と(3)、(1)と(4)、(1)と(5)、(2)と(3)、(2)と(4)、(2)と(5)、(3)と(4)、(3)と(5)、(4)と(5)、(1)と(2)と(3)、(1)と(2)と(4)、(1)と(2)と(5)、(1)と(3)と(4)、(1)と(3)と(5)、(1)と(4)と(5)、(2)と(3)と(4)、(2)と(3)と(5)、(2)と(4)と(5)、(3)と(4)と(5)、(1)と(2)と(3)と(4)、(1)と(2)と(3)と(5)、(1)と(2)と(4)と(5)、(1)と(3)と(4)と(5)、(2)と(3)と(4)と(5)を採用できる。
また、低確率モードのうち通常モードとは、上記高確率モードでも時間短縮モードでもない通常時の状態をいう。
モード決定カウンタC2は、例えば0〜9の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり9)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、モード決定カウンタC2によって、高確率モードへ移行させるか否かを決定する。具体的には、カウンタの値が「1,3,5,7,9」という奇数であれば高確率モードへの移行を決定し、「0,2,4,6,8」という偶数であれば時間短縮モードへの移行を決定する。なお、ここでは移行という文言を用いたが、もともと高確率モードにある場合にカウンタ値が奇数であれば高確率モードが継続されることになり、もともと時間短縮モードにある場合にカウンタ値が偶数であれば時間短縮モードが継続されることになる。モード決定カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が第1契機対応ユニット33に入賞したタイミングで、RAM503の保留球格納エリアに格納される。
また、リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしており、例えば、C3=0,1が前後外れリーチに該当し、C3=2〜21が前後外れ以外リーチに該当し、C3=22〜238が完全外れに該当する。なお、リーチの抽選は、抽選確率の状態や変動開始時の始動保留球数等に応じて各々個別に設定されるものであってもよい。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が第1契機対応ユニット33に入賞したタイミングで、RAM503の保留球格納エリアに格納される。
また、2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS1を「第1変動種別カウンタ」、CS2を「第2変動種別カウンタ」ともいう。図21中でもこのように表記した。第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、装飾図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。また、第1変動種別カウンタCS1だけで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄とを組み合わせて同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。
変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してCS1,CS2のバッファ値が取得される。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3、変動種別カウンタCS1,CS2の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
また図示は省略するが、普通図柄表示装置41の抽選には普通図柄乱数カウンタC4が用いられる。普通図柄乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。普通図柄乱数カウンタC4は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が左右何れかの第2契機対応口34を通過した時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は通常モード時において149あり、その範囲は「5〜153」である。一方、高確率モード時及び時間短縮モード時においては224あり、その範囲は「5〜228」である。つまり、普通図柄表示装置41における「○」図柄の停止確率が通常モードに比べ高くなる。
次いで、主制御装置261内のCPU501により実行される各制御処理をフローチャート図を参照しながら説明する。かかるCPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停止信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込み処理とNMI割込み処理とを説明し、その後でメイン処理を説明する。
図29は、タイマ割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は主制御装置261のCPU501により例えば2msec毎に実行される。
図29において、先ずステップS601では、各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置261に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチ323を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
その後、ステップS602では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。また、続くステップS603では、大当たり乱数カウンタC1、モード決定カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、モード決定カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、676,9,238)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1,C2,C3の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
その後、ステップS604では、第1契機対応ユニット33への入賞に伴う始動入賞処理を実行する。この始動入賞処理を図30のフローチャートにより説明すると、ステップS701では、遊技球が第1契機対応ユニット33に入賞したか否かを第1契機対応ユニット(始動口)スイッチ224の検出情報により判別する。遊技球が第1契機対応ユニット33に入賞したと判別されると、続くステップS702では、始動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する。第1契機対応ユニット33への入賞があり、且つ始動保留球数N<4であることを条件にステップS703に進み、始動保留球数Nをインクリメントする。
また、続くステップS704では、当落に関わる乱数を取得する。具体的には、前記ステップS603で更新した大当たり乱数カウンタC1、モード決定カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM503の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。そして、始動入賞処理の後、CPU501は本タイマ割込処理を一旦終了する。
図31は、NMI割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は、主制御装置261のCPU501により停電の発生等によるパチンコ機10の電源断時に実行される。このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SK1が停電監視回路542から主制御装置261内のCPU501のNMI端子に出力される。すると、CPU501は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始し、ステップS801において、電源断の発生情報の設定として電源断の発生情報をRAM503のバックアップエリア503aに記憶してNMI割込み処理を終了する。
なお、上記のNMI割込み処理は払出制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込みにより、電源断の発生情報がRAM513のバックアップエリア513aに記憶される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SK1が停電監視回路542から払出制御装置311内のCPU511のNMI端子に出力され、CPU511は実行中の制御を中断して図31のNMI割込み処理を開始する。その内容は上記説明の通りである。
また、図22は、主制御装置261内のCPU501により実行されるメイン処理の一例を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
先ずはじめに、ステップS101では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置262,払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。続くステップS103では、RAMアクセスを許可する。
その後、CPU501内のRAM503に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS104では、RAM消去スイッチ323が押下(ON)されているか否かを判別し、押下されていれば、バックアップデータをクリア(消去)するべく、ステップS113へ移行する。一方、RAM消去スイッチ323が押下されていなければ、続くステップS105で、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。ここで、設定されていなければ、バックアップデータは記憶されていないので、この場合もステップS113へ移行する。バックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されていれば、ステップS106でRAM判定値を算出し、続くステップS107では、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。ここで算出したRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、この場合もステップS113へ移行する。
ステップS113の処理では、サブ側の制御装置となる払出制御装置311(及び音声ランプ制御装置262等)を初期化するために、払出初期化コマンド(及び音声初期化コマンド等)を送信する。その後、RAMの初期化処理(ステップS114等)に移行する。なお、RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時に初期状態に戻したい場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323がONされていれば、RAMの初期化処理(ステップS114等)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(ステップS114等)に移行する。つまり、ステップS114ではRAM503の使用領域を0にクリアし、続くステップS115ではRAM503の初期値を設定する。その後、ステップS112で割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、電源断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS108では、電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS109では、電源断の発生情報をクリアする。ステップS110では、サブ側の制御装置を電源断時の遊技状態に復帰させるコマンドを送信し、ステップS111では、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる。その後、ステップS112で割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
次に、通常処理の流れを図23のフローチャートを参照しながら説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS201〜S207の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS209,ステップS210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
図23において、先ずステップS201では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。例えば、装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動表示に際して変動パターンコマンド、図柄コマンド、決定コマンド等を表示制御装置45に送信する。ここで外部出力処理について、図24を用いて説明する。
まず最初のステップS2001では、図26に示す変動開始処理が直前に実行されたか否かを判断する。具体的には、後述するように変動開始処理にて変動表示の開始を示すフラグ(開始フラグ)をセットするのであるが、ここでは、この開始フラグがセットされているか否かを判断する。また、後述する変動開始処理では、変動時間の情報を含む変動パターン、図柄コマンドがそれぞれ決定されるのであるが、ステップS2001で変動開始の直後であると判断された場合(ステップS2001:YES)には、ステップS2002にて前記開始フラグをリセットした後、ステップS2003にて前記変動パターンコマンドを送信し、ステップS2004にて変動パターンコマンドの送信を示すフラグ(変動パターン送信フラグ)をセットして、ステップS2008へ移行する。一方、変動開始の直後でないと判断された場合(ステップS2001:NO)、ステップS2005へ移行する。
ステップS2005では、前回の処理において変動パターンコマンドを送信したか否かを判断する。この判断は、前記変動パターン送信フラグがセットされているか否かによってなされる。ここで変動パターンコマンドを送信したと判断された場合(ステップS2005:YES)、ステップS2006にて前記変動パターン送信フラグをリセットして、ステップS2007にて図柄コマンドを送信し、ステップS2008へ移行する。一方、変動パターンコマンドを送信していないと判断された場合(ステップS2005:NO)、そのままステップS2008へ移行する。
ステップS2008では、払出制御装置311に対する各種コマンドが設定されているか否かを判別する。コマンドが設定されていると判別された場合(ステップS2008:YES)、ステップS2009にてコマンドを送信し、ステップS2010へ移行する。一方、コマンドが設定されていないと判断された場合(ステップS2008:NO)、そのままステップS2010へ移行する。
ステップS2010では、エラー情報が設定されているか否か、つまり後述するエラー発生フラグの値が1であるか否かを判別する。エラー情報が設定されていると判別された場合(ステップS2010:YES)、ステップS2011にてエラー信号を出力し、ステップS2012へ移行する。従って、エラー情報が設定されている間は、エラー信号が出力され続ける。具体的に、エラー信号は、表示制御装置45や、遊技ホールのホールコンピュータ(外部出力端子などを介して)等へ出力される。これにより、表示制御装置45は、エラー信号を受信している間、装飾図柄表示装置42においてエラー報知を行うとともに、音声ランプ制御装置262に対しエラー信号を出力する。音声ランプ制御装置262は、エラー信号を受信している間、エラー表示ランプ106を点灯させる制御を行う。
一方、エラー情報が設定されていないと判断された場合(ステップS2010:NO)、エラー信号が出力されることなく、そのままステップS2012へ移行する。つまり、エラー情報の設定が解除された場合には、表示制御装置45、ひいては音声ランプ制御装置262に対しエラー信号が出力されなくなり、装飾図柄表示装置42におけるエラー報知や、エラー表示ランプ106の点灯が終了する。
続くステップS2012では、その他の処理を行う。例えば、決定コマンドが設定されている場合は、決定コマンドを送信する。また、ここで第1契機対応ユニット33や可変入賞装置32を駆動するための制御信号も出力される。
上述した外部出力処理によれば、装飾図柄の変動に際し、変動パターンコマンド→図柄コマンドの順で通常処理の都度1つずつ(すなわち、4msec毎に1つずつ)コマンドが送出され、変動時間経過のタイミングで決定コマンドが送出されることになる。
また、変動パターンコマンド、図柄コマンド、決定コマンド等を入力した表示制御装置45は、かかる各種コマンドに基づいて、装飾図柄表示装置42の表示態様を決定し、該表示態様を装飾図柄表示装置42において表示するようになっている。具体的には、変動パターンコマンドに基づいて装飾図柄の変動表示を所定時間行う。なお、本実施形態では、第2変動種別カウンタCS2によってリーチ発生後に最終停止図柄である中図柄が停止するまでの経過時間が決定され、変動種別カウンタCS1,CS2に基づく変動パターンコマンドとして表示制御装置45へ送信される。そして、通常時において、左図柄は変動開始から3秒後に停止表示され、右図柄は変動開始から4秒後に停止表示される構成となっている。したがって、表示制御装置45は、変動パターンコマンドに基づいて変動開始から最終停止表示までの変動時間を把握できる。なお、変動パターンコマンドが、変動開始から最終停止表示までの変動時間を直接的に示すものとして構成してもよい。
さらに、表示制御装置45は、図柄コマンドに基づき停止図柄を決定して、変動時間経過後に表示する。図柄コマンドは、表示制御装置45に停止図柄を決定させるコマンドであり、確変図柄、通常図柄、前後外れ図柄、前後外れ以外図柄、完全外れ図柄という5つの区分を指定するものである。これらの区分は、「1」,「2」,「3」,「4」,「5」という数値で示されて、この内のいずれかの数値が図柄コマンドとして設定されるという具合である。以下、図柄コマンドには、「1」〜「5」のいずれかが設定されるものとして説明を続ける。確変図柄は、1,3,5,7,9の数字が付加された図柄であり、図柄コマンドに確変図柄を示す「1」が設定された場合、表示制御装置45は、これらの図柄のうちの一つを停止図柄として決定する。通常図柄は、0,2,4,6,8の数字が付加された図柄であり、図柄コマンドに通常図柄を示す「2」が設定された場合、表示制御装置45は、これらの図柄のうちの一つを停止図柄として決定する。前後外れ図柄は、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」に対応するものであり、図柄コマンドに前後外れ図柄を示す「3」が設定された場合、表示制御装置45は、後述する前後外れリーチ図柄バッファに格納された図柄を停止図柄として決定する。前後外れ以外図柄は、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」に対応するものであり、図柄コマンドに前後外れ以外図柄を示す「4」が設定された場合、表示制御装置45は、後述する前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納された図柄を停止図柄として決定する。完全外れ図柄は、リーチ発生しない「完全外れ」に対応するものであり、図柄コマンドに完全外れ図柄を示す「5」が設定された場合、表示制御装置45は、後述する完全外れ図柄バッファに格納された図柄を停止図柄として決定する。
なお、本実施形態における上記各コマンドは、2バイト構成からなっており、1バイトずつ2回に分けて送信される。
次に、図23中のステップS202では、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS203では、払出制御装置311から出力されたエラー信号を読み込む。本実施形態では後述する下皿満タンエラー状態、タンク球無しエラー状態、払出しエラー状態に関わるエラー信号が読み込まれる。なお、払出制御装置311からエラー信号が出力されることには、所定の検出手段から出力されたエラー信号が払出制御装置311を通過して主制御装置261へ入力される場合も含まれる。
次に、ステップS204では、エラー発生フラグの値の設定を行う。より詳しくは、ステップS203で受信したエラー信号に基づき、エラー状態が発生している場合には、エラー発生フラグの値に、エラー状態が発生している旨を示す1を設定する。つまり、この「1」という値が、エラー状態が発生している旨を示すエラー情報となる。一方、エラー信号が受信されていない場合には、エラー発生フラグの値に、エラー状態が発生していない旨を示す0を設定する。
その後、ステップS205では、変動処理を実行する。この変動処理により、特別表示装置43が制御されると共に、大当たり判定や装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動パターンの設定などが行われる。但し、変動処理の詳細は後述する。
その後、ステップS206では、大当たり制御処理を実行する。この処理により、大当たりである場合には、可変入賞装置32の開閉制御が所定ラウンド数繰り返し実行される。但し、この大当たり制御処理の詳細は後述する。
また、図23中のステップS207では、普通図柄関連制御処理を行う。詳しくは、普通図柄表示装置41による普通図柄の表示制御、及び、第1契機対応ユニット33の開閉制御を実行する。つまり、遊技球が第2契機対応口34を通過したことを条件に、その都度の普通図柄乱数カウンタC4が取得されると共に普通図柄表示装置41にて普通図柄の抽選が実施され、普通図柄の当たり状態になると第1契機対応ユニット33が規定時間又は規定個数の入球があるまで開放される。なお説明は省略したが、普通図柄乱数カウンタC4も、大当たり乱数カウンタC1、モード決定カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3と同様に、図29に示すタイマ割込処理にて更新されるようになっている。
ここで、ステップS201〜S207の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定ではなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1,CS2についてもランダムに更新することができる。
その後は、ステップS211において、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。バックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されていなければ、ステップS208で、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判別する。そして、既に所定時間が経過していれば、ステップS201へ移行し、上記ステップS201以降の処理を繰り返し実行する。
一方、前回の通常処理の開始から未だに所定時間が経過していなければ、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(ステップS209,ステップS210)。つまり、ステップS209では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。
また、ステップS210では、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する(前記ステップS202と同様)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の変更値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
また、ステップS211の処理において、バックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。ここで、電源断の発生情報が設定されていれば、電源が遮断されたことになるので、電源断時の停電処理としてステップS212以降の処理が行われる。停電処理は、まずステップS212において各割込み処理の発生を禁止し、ステップS213において、CPU501が使用している各レジスタの内容をスタックエリアに退避し、ステップS214において、スタックポインタの値をバックアップエリア503aに記憶する。その後、ステップS215において、電源が遮断されたことを示す電源断通知コマンドを他の制御装置(払出制御装置311等)に対して送信する。そして、ステップS216でRAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。その後、ステップS217でRAMアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
なお、ステップS211の処理は、ステップS201〜S207で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるステップS209,S210の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置261の通常処理において、各処理の終了時に電源断の発生情報を確認しているので、各処理が途中の場合と比較してRAM503のバックアップエリア503aに記憶するデータ量が少なくなり、容易に記憶することができる。また、電源遮断前の状態に復帰する場合には、バックアップエリア503aに記憶されているデータ量が少ないので、容易に復帰させることができ、主制御装置261の処理の負担を軽減することができる。さらに、データの記憶前に割込み処理の発生を禁止(ステップS212)するので、電源が遮断されたときのデータが変更されることを防止でき、電源遮断前の状態を確実に記憶することができる。
次に、前記ステップS205の変動処理を、図25のフローチャートを参照して説明する。
図25において、ステップS301では、今現在、大当たり中であるか否かを判別する。なお、大当たり中には、特別遊技の最中と特別遊技終了後の所定時間とが含まれる。続くステップS302では、特別表示装置43による色換え表示(変動表示)中であるか否かを判別する。そして、大当たり中でなくさらに変動表示中でもない場合、ステップS303に進み、始動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する。このとき、大当たり中であるか、又は始動保留球数Nが0である場合、そのまま本処理を終了する。
また、大当たり中、変動表示中の何れでもなく且つ始動保留球数N>0であれば、ステップS304に進む。ステップS304では、始動保留球数Nから1を減算する。ステップS305では、保留球格納エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
その後、ステップS306では、変動開始処理を実行する。ここで、図26のフローチャートを用いて変動開始処理の詳細を説明する。
まず最初のステップS400では、特別表示装置43における色換え表示(変動表示)を開始する。つまり、ここで変動表示の開始を示すフラグ(開始フラグ)をセットする(前記ステップS2001参照)。特別表示装置43は上述したような3色LEDであり、点灯している色が赤であれば緑、緑であれば青、青であれば赤へ色換えを行う。
続くステップS401では、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する。具体的には、大当たりか否かは大当たり乱数カウンタC1の値とその時々のモードとの関係に基づいて判別され、前述した通り低確率モード(通常モード又は時間短縮モード)では大当たり乱数カウンタC1の数値0〜676のうち「337,673」が当たり値であり、高確率モードでは「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」が当たり値である。ここで大当たりであると判断された場合(ステップS401:YES)、ステップS402へ移行する。一方、大当たりでないと判断された場合(ステップS401:NO)、すなわち外れである場合には、ステップS407へ移行する。
ステップS402では、確変大当たりであるか否かを判断する。本実施形態では、大当たりとなった場合、それぞれ1/2の確率で高確率モード又は時間短縮モードへ移行するように構成されている。具体的には、高確率モードへ移行させるか否かは、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているモード決定カウンタC2の値に基づいて判断される。モード決定カウンタC2の数値0〜9のうち奇数「1,3,5,7,9」ならば高確率モードへの移行が決定し(確変大当たり)、偶数「0,2,4,6,8」ならば時間短縮モードへの移行が決定する(通常大当たり)。ここで確変大当たりであると判断された場合(ステップS402:YES)、ステップS403にて判別情報設定処理を行い、ステップS404にて大当たり変動パターンを決定し、ステップS405にて確変図柄(本実施形態では「1」)を図柄コマンドに設定して、本変動開始処理を終了する。
ステップS403の判別情報設定処理では、大当たり発生フラグの設定処理ルーチン、高確率モード発生フラグの設定処理ルーチン、時間短縮モード発生フラグの設定処理ルーチン、時間短縮モードカウンタの設定処理ルーチンが順次行われる。
上記大当たり発生フラグとは、特別遊技状態としての大当たり状態を発生させるか否かを判別するための状態判別情報であり、本処理では大当たり状態の発生を示す「1」がフラグ値として設定される。
上記高確率モード発生フラグとは、高確率モードを発生させるか否かを判別するための状態判別情報であり、本処理では高確率モードの発生を示す「1」がフラグ値として設定される。
上記時間短縮モード発生フラグとは、時間短縮モードを発生させるか否かを判別するための状態判別情報であり、本処理では時間短縮モードを発生させない旨を示す「0」がフラグ値として設定される。
上記時間短縮モードカウンタとは、時間短縮モードの継続期間(変動表示何回分か)を判別するための回数判別情報であり、本処理では時間短縮モードを発生させないため、「0」がカウンタ値として設定される。
さて、ステップS402で確変大当たりでないと判断された場合(ステップS402:NO)、すなわち通常大当たりである場合には、ステップS406にて判別情報設定処理を行い、ステップS407にて大当たり変動パターンを決定し、ステップS408にて通常図柄(本実施形態では「2」)を図柄コマンドに設定して、本変動開始処理を終了する。
ステップS406の判別情報設定処理では、上記ステップS403と同様に、大当たり発生フラグの設定処理ルーチン、高確率モード発生フラグの設定処理ルーチン、時間短縮モード発生フラグの設定処理ルーチン、時間短縮モードカウンタの設定処理ルーチンが順次行われる。但し、本処理では、上記大当たり発生フラグの値には大当たり状態の発生を示す「1」が設定され、上記高確率モード発生フラグの値には高確率モードを発生しない旨を示す「0」が設定され、上記時間短縮モード発生フラグの値には時間短縮モードの発生を示す「1」が設定され、上記時間短縮モードカウンタの値には時間短縮モードの継続期間を示す「100」が設定される。
上記ステップS404,ステップS407では、大当たり時における変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、装飾図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様を決定する。なお、第1変動種別カウンタCS1の数値とリーチパターンとの関係、第2変動種別カウンタCS2の数値と停止図柄時間との関係は、それぞれにテーブル等により予め規定されている。さらに、上記各種フラグを参酌することにより、高確率モード中や時間短縮モード中においては、各モード用のテーブルが参酌され、適宜、変動時間が短縮されるなどの処理が行われる。また、ステップS405,ステップS408における図柄コマンドは、大当たりの図柄を所定区分で指示するものであり、停止図柄の決定は、後述するように表示制御装置45が行う。具体的には、確変図柄を示す「1」が図柄コマンドに設定されると(ステップS405)、1,3,5,7,9の内のいずれかの数値が付された図柄を表示制御装置45が停止図柄として決定する。一方、通常図柄を示す「2」が図柄コマンドに設定されると(ステップS408)、0,2,4,6,8の内のいずれかの数値が付された図柄を表示制御装置45が停止図柄として決定する。
また、ステップS401にて否定判断された場合に移行するステップS409では、リーチであるか否かを判断する。この判断は、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているリーチ乱数カウンタC3の値に基づいてなされる。上述したように、本実施形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしており、例えば、C3=0,1が前後外れリーチに該当し、C3=2〜21が前後外れ以外リーチに該当し、C3=22〜238が完全外れに該当する。ここでリーチであると判断された場合(ステップS409:YES)、ステップS410へ移行する。一方、リーチでないと判断された場合(ステップS409:NO)、すなわち「完全外れ」である場合には、ステップS415にて外れ変動パターンを決定し、ステップS416にて完全外れ図柄(本実施形態では「5」)を図柄コマンドに設定して、本変動開始処理を終了する。
ステップS410では、前後外れリーチであるか否かを判断する。ここで前後外れリーチであると判断された場合(ステップS410:YES)、ステップS411にて外れ変動パターンを決定し、ステップS412にて前後外れ図柄(本実施形態では「3」)を図柄コマンドに設定して、本変動開始処理を終了する。一方、前後外れリーチでないと判断された場合(ステップS410:NO)、すなわち前後外れ以外リーチである場合には、ステップS413にて外れ変動パターンを決定し、ステップS414にて前後外れ以外図柄(本実施形態では「4」)を図柄コマンドに設定して、本変動開始処理を終了する。
上記ステップS411,ステップS413,ステップS415で外れ変動パターンを決定する際、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいて変動パターンが決定されるのは前記ステップS404等と同様である。もちろん、高確率モード中や時間短縮モード中の処理についても同様である。また、ステップS412,ステップS414,ステップS416における図柄コマンドが外れの図柄の所定区分を指示するものであることも、上記ステップS405等と同様である。具体的には、前後外れ図柄を示す「3」が図柄コマンドに設定されると(ステップS412)、当該図柄コマンドを受信した表示制御装置45は、ワークRAM523の前後外れリーチ図柄バッファに格納されている前後外れリーチに対応する図柄を停止図柄として決定する。前後外れ以外図柄を示す「4」が図柄コマンドに設定されると(ステップS414)、ワークRAM523の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納されている前後外れ以外リーチに対応する図柄を、表示制御装置45が停止図柄として決定する。完全外れ図柄を示す「5」が図柄コマンドに設定されると(ステップS416)、ワークRAM523の完全外れ図柄バッファに格納されている完全外れに対応する図柄を、表示制御装置45が停止図柄として決定する。
図25の説明に戻り、ステップS302がYES、すなわち変動表示中である場合には、ステップS307に進み、変動時間が経過したか否かを判別する。ステップS307で肯定判別された場合に移行するステップS308では、特別表示装置43による決定表示を行う。すなわち、高確率モードへの移行を伴う確変大当たりである場合には赤色を決定表示(例えば数秒間だけ点灯)させ、時間短縮モードへの移行を伴う通常大当たりである場合には緑色を決定表示(例えば数秒間だけ点灯)させ、外れである場合には青色を決定表示(数秒間だけ点灯)させる。繰り返しとなるが、このような特別表示装置43による決定表示が主となる表示であり、装飾図柄表示装置42による装飾図柄の表示は補助的なものとなっている。次のステップS309では、装飾図柄の変動停止を特別表示装置43におけるLEDの変動停止と完全に同調させる決定コマンドを設定し、その後本処理を終了する。一方、ステップS307で否定判別された場合に移行するステップS310では、特別表示装置43のLEDの色換え表示(変動表示)を行う。具体的には、現在の点灯色が赤であれば緑、緑であれば青、青であれば赤への色換えを行う。これによって、変動処理のタイミング、すなわち4ms毎に、特別表示装置43のLEDの色換え表示(変動表示)が実現される。
次に、前記ステップS206の大当たり制御処理を図32のフローチャートを参照して説明する。
図32において、ステップS2101では、大当たり状態の発生中であるか否かを判別する。ここでは、後述する大当たり状態中フラグを参酌することにより判別が行われる。ここで大当たり状態中と判別された場合(ステップS2101:YES)、ステップS2104へ移行する。一方、大当たり状態中でないと判別された場合(ステップS2101:NO)、ステップS2102において大当たり発生時か否かを判別する。ここでは、上記大当たり発生フラグを参酌することにより判別が行われる。ここで大当たり発生時と判別された場合(ステップS2102:YES)はステップS2103へ移行し、大当たり状態中でないと判別された場合(ステップS2102:NO)は、そのまま本処理を終了する。
ステップS2103では開始設定処理を実行する。詳しくは、最大ラウンド数の値(本実施形態では「16」ラウンド)をセットする処理等を行う。その後、後述する高確率モード中フラグのリセット処理ルーチン、後述する時間短縮モード中フラグのリセット処理ルーチン、後述する時間短縮モード中カウンタのリセット処理ルーチン、後述する大当たり中フラグの設定処理ルーチン、上記大当たり発生フラグのリセット処理ルーチンが順次行われる。
上記高確率モード中フラグとは、高確率モードの発生中であるか否かを判別するための状態判別情報であり、大当たり状態終了後に遊技モードの判別を行う場合には、上記高確率モード発生フラグの値ではなく、当該高確率モード中フラグの値を参酌する。上記リセット処理では、一旦、この高確率モード中フラグの値をリセットする(「0」にする)処理を行う。
上記時間短縮モード中フラグとは、時間短縮モードの発生中であるか否かを判別するための状態判別情報であり、大当たり状態終了後に遊技モードの判別を行う場合には、上記時間短縮モード発生フラグの値ではなく、当該時間短縮モード中フラグの値を参酌する。上記リセット処理では、一旦、この時間短縮モード中フラグの値をリセットする(「0」にする)処理を行う。
時間短縮モード中カウンタとは、上記時間短縮モードカウンタと同様に時間短縮モードの継続期間(変動表示何回分か)を判別するための回数判別情報であるが、実際に時間短縮モードの継続期間の終了タイミングを判別する際に参酌されるのは当該時間短縮モード中カウンタの方である。上記リセット処理では、一旦、この時間短縮モード中カウンタの値をリセットする(「0」にする)処理を行う。
上記大当たり中フラグとは、大当たり状態の発生中であるか否かを判別するための状態判別情報であり、本処理では大当たり中を示す「1」がフラグ値として設定される。
また、上記大当たり発生フラグのリセット処理では「0」がフラグ値として設定される。
続いて、ステップS2104では、可変入賞装置32の開閉処理を実行する。より詳しくは、可変入賞装置32の最大開放時間である29秒を経過したか、又は可変入賞装置32に規定個数である10個の遊技球が入賞したかを判別し、これら何れかの条件が成立すると可変入賞装置32を閉状態とする。
ステップS2105では、実行したラウンド数が、事前に設定された上記最大ラウンド数に達したか否かを判別する。ここで、最大ラウンド数に達した旨の判別結果が得られた場合(ステップS2105:YES)、ステップS2106へ移行する。一方、最大ラウンド数に達していない旨の判別結果が得られた場合(ステップS2105:NO)、そのまま本処理を終了する。つまり、実行したラウンド数が、事前に設定された上記最大ラウンド数に達するまで上記開閉処理が繰り返し行われる。
ステップS2106では終了設定処理を行う。より詳しくは、上記高確率モード発生フラグの値を上記高確率モード中フラグの値にセーブ(コピー)する処理、上記時間短縮モード発生フラグの値を上記時間短縮モード中フラグの値にセーブ(コピー)する処理、上記時間短縮モードカウンタの値を上記時間短縮モード中カウンタの値にセーブ(コピー)する処理を順次実行した後、上記高確率モード発生フラグの値をリセットする(「0」にする)処理、上記時間短縮モード発生フラグの値をリセットする(「0」にする)処理、上記時間短縮モードカウンタの値をリセットする(「0」にする)処理を順次実行し、さらに、上記最大ラウンド数として設定された設定値をリセットする処理を実行し、本処理を終了する。従って、この終了設定処理により大当たり終了後の遊技モードの切換設定処理が行われることとなる。
次に、表示制御装置45の処理について説明する。変動パターンコマンド、図柄コマンド、決定コマンド等を入力した表示制御装置45は、かかる各種コマンドに基づいて、装飾図柄表示装置42の表示態様を決定し、該表示態様を装飾図柄表示装置42において表示するようになっている。具体的には、変動パターンコマンドに基づいて装飾図柄の変動表示を所定時間行う。そして、図柄コマンドに基づき停止図柄を決定して、表示する。なお、特別表示装置43の決定表示後、上述したように決定コマンドが表示制御装置45へ送信されるが、この決定コマンドは主となる特別表示装置43と補助的な装飾図柄表示装置42との完全な同期を目的とするものである。つまり、完全な同期を図るという上では上記のように決定コマンドを送信する構成が望ましいが、主制御装置261と表示制御装置45との両方で変動時間を把握する構成であれば、決定コマンドを送信しない構成としてもよい。
本実施の形態では、表示制御装置45内のCPU521は、装飾図柄の表示に際し各種カウンタ情報を用いる。具体的には、図27に示すように、大当たり時装飾図柄カウンタC5と、左列、中列及び右列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、CPU521内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。
大当たり時装飾図柄カウンタC5は、大当たりの際、装飾図柄表示装置42の変動停止時の図柄(大当たり図柄)を決定するものであり、本実施の形態では、装飾図柄表示装置42において装飾図柄は、確変図柄が5通り、通常図柄が5通り設定されている。したがって、大当たり時装飾図柄カウンタC5としては、5個(0〜4)のカウンタ値が用意されている。すなわち、大当たり時装飾図柄カウンタC5は、0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。そして、主制御装置261から送信された図柄コマンドが確変図柄を示す「1」である場合、図示しないテーブル(カウンタ値と装飾図柄とを対応付けるテーブル)に基づいて、例えば、カウンタ値が0であれば1、1であれば3、2であれば5、3であれば7、4であれば9という具合に、確変図柄を決定する。また、図柄コマンドが通常図柄を示す「2」である場合、図示しない別のテーブル(カウンタ値と装飾図柄とを対応付けるテーブル)に基づいて、例えば、カウンタ値が0であれば0、1であれば2、2であれば4、3であれば6、4であれば8という具合に、通常図柄を決定する。この大当たり時装飾図柄カウンタC5は定期的に更新され、表示制御装置45が図柄コマンドを受信するタイミングでカウンタ用バッファから読み出す。なお、本実施の形態では大当たり時装飾図柄カウンタC5はワークRAM523の大当たり時装飾図柄カウンタバッファに格納されるものとしたが、バッファに格納せず、図柄コマンドを受信したタイミングなどでカウンタ値を参照するようにしてもよい。
左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が外れとなった時に左列装飾図柄、中列装飾図柄、右列装飾図柄の停止図柄(外れ図柄)を決定するものであり、各列では10の装飾図柄の何れかが表示されることから、各々に10個(0〜9)のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタCLにより左図柄列の停止図柄が決定され、外れ図柄カウンタCMにより中図柄列の停止図柄が決定され、外れ図柄カウンタCRにより右図柄列の停止図柄が決定される。
本実施の形態では、CPU521に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する構成としている。すなわち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に10減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、ワークRAM523の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。
ここで、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理を詳しく説明する。この処理は、表示制御装置45にて、例えば4msecといった所定時間毎に実行されるものである。
図28に示すように、ステップS501では、左図柄列の外れ図柄カウンタCLの更新時期か否かを判別し、ステップS502では、中図柄列の外れ図柄カウンタCMの更新時期か否かを判別する。なお、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の更新処理で1つずつ順に更新されるように構成する。したがって、前回の更新処理において右図柄列の外れ図柄カウンタCRが更新されている場合、ステップS501で肯定判断されることになる。また、前回の更新処理において左図柄列の外れ図柄カウンタCLが更新されている場合、ステップS502で肯定判断されることになる。そして、左図柄列の更新時期(ステップS501がYES)であればステップS503に進み、左図柄列の外れ図柄カウンタCLを更新する。また、中図柄列の更新時期(ステップS502がYES)であればステップS504に進み、中図柄列の外れ図柄カウンタCMを更新する。さらに、右図柄列の更新時期(ステップS501、S502が共にNO)であればステップS505に進み、右図柄列の外れ図柄カウンタCRを更新する。ステップS503〜S505の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新では、前回のカウンタ値にRレジスタの下位3ビットの値を加算すると共にその加算結果が最大値を超えた場合に10を減算して、その演算結果を、外れ図柄カウンタCL,CM,CRの今回値とする。
上記CL,CM,CRの更新処理によれば、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の更新処理で1つずつ順に更新され、各カウンタ値の更新時期が重なることはない。これにより、更新処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新されるようになっている。
その後、ステップS506では、上記更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせがリーチ図柄の組み合わせになっているか否かを判別し、リーチ図柄の組み合わせである場合、さらにステップS507では、それが前後外れリーチであるか否かを判別する。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れリーチの組み合わせである場合、ステップS508に進み、そのときの外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをワークRAM523の前後外れリーチ図柄バッファに格納する。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れ以外リーチの組み合わせである場合には、ステップS509に進み、そのときの外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをワークRAM523の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納する。
また、リーチ図柄以外の組み合わせである場合、ステップS510では、外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが外れ図柄の組み合わせになっているか否かを判別し、外れ図柄の組み合わせになっていれば、ステップS511に進み、そのときの外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをワークRAM523の外れ図柄バッファに格納する。なお、ステップS506、S510が共にNOの場合は、左・中・右で図柄が揃っている、すなわち大当たりの状態に相当するが、かかる場合、外れ図柄カウンタCL,CM,CRをバッファに格納することなくそのまま本処理を終了する。
上述したように主制御装置261から送信されてくる図柄コマンドに基づいて、表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42に表示する停止図柄を決定する。
具体的には、主制御装置261から送信された図柄コマンドが確変図柄を示す「1」である場合、図示しないテーブル(カウンタ値と装飾図柄とを対応付けるテーブル)に基づいて、例えば、大当たり時装飾図柄カウンタバッファに格納された値が0であれば1、1であれば3、2であれば5、3であれば7、4であれば9という具合に、確変図柄を決定する。また、図柄コマンドが通常図柄を示す「2」である場合、図示しない別のテーブル(カウンタ値と装飾図柄とを対応付けるテーブル)に基づいて、例えば、大当たり時装飾図柄カウンタバッファに格納された値が0であれば0、1であれば2、2であれば4、3であれば6、4であれば8という具合に、通常図柄を決定する。さらにまた、主制御装置261から送信された図柄コマンドが前後外れ図柄を示す「3」である場合、ワークRAM523の前後外れリーチ図柄バッファに格納されている前後外れリーチに対応する図柄を停止図柄として決定する。また、図柄コマンドが前後外れ以外図柄を示す「4」である場合、ワークRAM523の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納されている前後外れ以外リーチに対応する図柄を停止図柄として決定する。さらにまた、図柄コマンドが完全外れ図柄を示す「5」である場合、ワークRAM523の完全外れ図柄バッファに格納されている完全外れに対応する図柄を停止図柄として決定する。
表示制御装置45は、変動パターンコマンドに基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチといった装飾図柄のリーチ種別などの図柄変動態様、および、最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間を決定して、装飾図柄の変動表示を行う。そして、図柄コマンドに基づいて停止図柄を決定し、時間経過を判断して停止図柄を表示する。なお、停止図柄の表示に際し、特別表示装置43の変動停止と装飾図柄表示装置42の変動停止とを完全に同期させたいがために、主制御装置261から決定コマンドが送出される。なお、主制御装置261からの決定コマンドは必ずしも必要ではなく、決定コマンドを送出しない構成としても実施できる。主制御装置261及び表示制御装置45のそれぞれで変動時間が把握されるため、決定コマンドを用いずとも、通常は、完全な同期が実現されるからである。
以上説明したように、本実施の形態では、主制御装置261に直接的に制御される特別表示装置43が大当たりなどの決定表示を主として行い、表示制御装置45に制御される装飾図柄表示装置42は補助的な表示を行うものとなっている。
従来、セルなどを用いて大入賞口を強制的に開放し、大当たりとなっていないにもかかわらず出玉を獲得するというような不正行為が知られている。その場合、表示制御装置45に対し何らかの信号を送り、大当たりとなっていないにもかかわらず、見かけ上、大当たりとなったかのような表示をさせることが考えられる。
これに対して、本実施の形態では、主制御装置261は、厳重に封印された基板ボックス263に格納されているため、表示制御装置45と異なり何らかの不正な信号を送ったりする等の不正行為は困難であり、特別表示装置43のLEDを「赤」又は「緑」の大当たりの態様で不正に点灯させることは困難である。したがって、装飾図柄表示装置42に大当たりとなったかのような表示を行わせることができたとしても、特別表示装置43の点灯態様によって、そのような不正行為が簡単に発見できる。
次に、払出制御装置311内のCPU511により実行される払出制御について説明する。説明の便宜上、まず図34を参照して受信割込み処理を説明し、その後図33を参照してメイン処理を説明する。
図34は、払出制御装置311により実行される受信割込み処理を示すフローチャートである。受信割込み処理は、主制御装置261から送信されるコマンドを払出制御装置311が受信した場合に割り込んで実行される処理である。主制御装置261から送信されたコマンドが受信されたことを払出制御装置311が確認すると、払出制御装置311内のCPU511により実行される他の処理を一端待機させ、受信割込み処理が実行される。受信割込み処理が実行されると、まずステップS3001において主制御装置261から送信されたコマンドをRAM513のコマンドバッファ513dに記憶し、ステップS3002において主制御装置261からコマンドが送信されたことを記憶するためにコマンド受信フラグ513cをオンして、本受信割込み処理を終了する。上述したように、コマンドがコマンドバッファ513dに記憶される場合には、記憶ポインタが参照されて所定の記憶領域に記憶されると共に、次に受信したコマンドを次の記憶領域に記憶させるために記憶ポインタが更新される。
なお、本実施形態では、主制御装置261から送信されるコマンドの受信処理は、そのコマンドが受信されたときに実行される割込処理で行われるものとしたが、例えば、図35に示したタイマ割込処理において、コマンド判定処理(ステップS1001)が行われる前に、コマンドが受信されたか否かを確認し、コマンドが受信されている場合にはそのコマンドをRAM513のコマンドバッファ513dへ記憶してコマンド受信フラグ513cをオンするとともに、コマンドが受信されていない場合にはコマンド判定処理へ移行するものとしてもよい。かかる場合には、所定間隔毎に入出力ポート515のコマンド入力に対応するポートを確認することで、コマンドが受信されたか否かを確認する。
次に、払出制御装置311のメイン処理を図33を参照して説明する。図33は、払出制御装置311のメイン処理を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
先ず始めに、ステップS901では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。そして、ステップS903でRAMアクセスを許可すると共に、ステップS904で外部割込みベクタの設定を行う。
その後、ステップS906では、RAM513のバックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。そして、バックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されていれば、ステップS907でRAM判定値を算出し、続くステップS908で、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
ステップS906で電源断の発生情報が設定されていない場合や、ステップS908でRAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合には、ステップS915以降のRAM513の初期化処理へ移行する。
ステップS915ではRAM513の全領域を0にクリアし、ステップS916ではRAM513の初期値を設定する。その後、ステップS917ではCPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS914へ移行して割込みを許可する。
一方、ステップS906で電源断の発生情報が設定されていること、及びステップS908でRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS909で電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS910で電源断の発生情報をクリアし、ステップS911で賞球の払出を許可する払出許可フラグ513bをクリアする。また、ステップS912では、CPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS913では、使用レジスタをRAM513のバックアップエリア513aから復帰させる。さらに、ステップS914では、割込みを許可する。
ステップS914で割込みが許可された後は、ステップS922の処理において、バックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。ここで、電源断の発生情報が設定されていれば、電源が遮断されたことになるので、電源断時の停電処理としてステップS923以降の処理が行われる。停電処理は、まずステップS923において各割込み処理の発生を禁止し、次のステップS924において後述するコマンド判定処理を実行する。その後、ステップS925でCPU511が使用している各レジスタの内容をスタックエリアに退避し、ステップS926でスタックポインタの値をバックアップエリア513aに記憶し、ステップS927でRAM判定値を算出してバックアップエリア513aに保存し、ステップS928でRAMアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM513のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、ステップS922の処理は、電源投入時に行われる処理の終了後に電源断の発生情報を確認しているので、各処理が途中の場合と比較してRAM513のバックアップエリア513aに記憶するデータ量が少なくなり、容易に記憶することができる。また、電源遮断前の状態に復帰する場合には、バックアップエリア513aに記憶されているデータ量が少ないので、容易に復帰させることができ、払出制御装置311の処理の負担を軽減することができる。
次に、図35のフローチャートを参照して、払出制御装置311のタイマ割込み処理を説明する。このタイマ割込み処理は、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動される。
タイマ割込み処理では、まず、主制御装置261からのコマンドを取得し、そのコマンドの判定処理を行う(ステップS1001)。このコマンド判定処理について図36を参照して以下に説明する。
図36は、払出制御装置311により行われるコマンド判定処理を示すフローチャートである。コマンド判定処理(ステップS924,S1001)では、まず、ステップS1301においてコマンド受信フラグ513cがオンされているか否かを判別する。コマンド受信フラグ513cは、上述した受信割込み処理(図34参照)において主制御装置261から送信されたコマンドを受信したときにオンされる。
ステップS1301においてコマンド受信フラグ513cがオフと判別されれば、新たなコマンドを主制御装置261から受信していないので、そのまま本処理を終了する。一方、ステップS1301でコマンド受信フラグ513cがオンと判別されれば、ステップS1302において、その受信したコマンドをRAM513から読み出し、ステップS1303においてコマンド受信フラグ513cをオフする。ステップS1303においてコマンド受信フラグ513cをオフすることにより、新たにコマンドが受信されるまで、ステップS1302〜ステップS1311の処理をスキップできるので、払出制御装置311の制御を軽減することもできる。
ステップS1304〜ステップS1306の処理でRAM513から読み出されたコマンドの種類が判別される。ステップS1304では主制御装置261から送信されたコマンドが払出初期化コマンドであるか否かが判別され、ステップS1305では払出復帰コマンドであるか否かが判別され、ステップS1306では賞球コマンドであるか否かが判別される。
主制御装置261から送信されたコマンドが払出初期化コマンドであれば、ステップS1307で既に払出許可フラグ513bがオンされているか否かが判別され、払出許可フラグ513bがオフされていれば、電源投入時に主制御装置261からRAM513の初期化が指示されていることになるので、ステップS1308でRAM513のスタックエリア以外となる作業領域(エリア)を0にクリアし、ステップS1309でRAM513の初期値を設定する。その後、ステップS1311で払出許可フラグ513bをオンして、賞球の払出許可が設定される。
上述したように、主制御装置261は、払出初期化コマンドを送信した後に、RAM503の初期化処理を行っており、払出制御装置311は、払出初期化コマンドを受信した後に、RAM513の初期化処理を行っているので、RAM503が初期化されるタイミングと、RAM513が初期化されるタイミングとが略同時期となる。よって、初期化のタイミングがずれることにより、主制御装置261から送信されるコマンドを払出制御装置311が受信したとしても、RAM513が初期化されてしまい、受信したコマンドに対応する制御が行えない等の弊害の発生を防止することができる。また、RAM513が初期化された後に、払出許可フラグ513bをオンするので、賞球の払出許可を確実に設定することができる。
一方、ステップS1307で既に払出許可フラグ513bがオンされていれば、RAM513の作業領域のクリアと、RAM513の初期化処理とを行わずに、本コマンド判定処理を終了する。すなわちステップS1307の処理は、払出許可フラグ513bが設定された状態でRAM513が初期化されることを禁止している。なお、払出初期化コマンドは、電源投入時にRAM消去スイッチ323がオンされている場合のみ送信されるコマンドであるので、払出許可フラグ513bがオンされた状態で受信することはなく、かかる場合には、ノイズなどの影響によって払出制御装置311が払出初期化コマンドとして認識してしまったことが考えられる。よって、払出許可フラグ513bがオンされている状態で、RAM513の作業領域のクリア(ステップS1308)と、RAM513の初期値設定(ステップS1309)を実行すると、賞球が残っている場合に払出されないなどの弊害が生じて遊技者に損失を与えてしまうが、払出許可フラグ513bがオンされている状態で、RAM513が初期化されることを防止しているので、遊技者に損失を与えることを防止できる。
また、主制御装置261から送信されたコマンドが払出復帰コマンドであれば(ステップS1304:NO、ステップS1305:YES)、主制御装置261及び払出制御装置311が電源遮断前の状態に復帰するので、賞球の払出を許可するためにステップS1311で払出許可フラグ513bをオンする。すなわち、電源断の発生情報があり、主制御装置261と払出制御装置311が電源遮断前の状態に復帰した場合には、賞球の払出が許可される。ステップS1311の処理において払出許可フラグ513bがオンされると、コマンドバッファ513dの所定の記憶領域に記憶されたコマンドに基づく処理が終わったことになるので、読出ポインタが次の記憶領域に対応した読出ポインタに更新される。
さらに、主制御装置261から送信されたコマンドが賞球コマンドであれば(ステップS1305:NO、ステップS1306:YES)、ステップS1310において、受信した賞球個数を上記総払出個数記憶エリアA0に記憶された総払出個数に加算して記憶し、賞球の払出を許可するためにステップS1311で払出許可フラグ513bをオンする。また、賞球コマンドが受信された場合には、即座に払出許可が設定されるので、入賞に対して早期に賞球の払出しを行うことができる。ステップS1311の処理において払出許可フラグ513bがオンされると、コマンドバッファ513dの所定の記憶領域に記憶されたコマンドに基づく処理が終わったことになるので、読出ポインタが次の記憶領域に対応した読出ポインタに更新される。
なお、主制御装置261から送信されたコマンドが払出初期化コマンドでもなく(ステップS1304:NO)、払出復帰コマンドでもなく(ステップS1305:NO)、賞球コマンドでもなければ(ステップS1306:NO)、払出許可フラグ513bをオンすることなく、コマンド判定処理を終了する。
ここで、図35のフローチャートに戻って説明する。コマンド判定処理が終わると、ステップS1002において、コマンド判定処理で払出許可フラグ513bがオンされたか否かが判別される。ここで、払出許可フラグ513bがオンされていなければ、そのまま本処理を終了する。これにより、主制御装置261からコマンドが送信される前に賞球の払出しが行われることを防止することができる。
一方、ステップS1002で肯定判定されれば、ステップS1003で発射制御装置312に対して発射許可の設定を行う。
続く、ステップS1004では状態復帰処理を実行する。より詳しくは、状態復帰スイッチ321をチェックして、操作有りと判別された場合に、後述する各種エラー状態判別用フラグのリセット処理が行われる。従って、エラー解消後、状態復帰スイッチ321が押下されると、正常状態への復帰が図られることとなる。
その後、ステップS1005では、下皿15の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する。つまり、上記下皿満タンスイッチ15aからの検出信号の有無を基に下皿15の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時には下皿満タンフラグの値を「1」に設定し、下皿満タンでない場合には下皿満タンフラグの値を「0」に設定する。この下皿満タンフラグ値を基に下皿満タンエラー状態の発生の有無が判別される。
また、ステップS1006では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。すなわち、上記球切れ検出スイッチ357aからの検出信号の有無を基にタンク球無し状態であるか否かを判別し、タンク球無し状態であればタンク球無しフラグの値を「1」に設定し、タンク球無し状態でなければタンク球無しフラグの値を「0」に設定する。このタンク球無しフラグ値を基に下皿満タンエラー状態の発生の有無が判別される。なお、タンク球無し状態とは、タンク355及びタンクレール356における球詰まりの発生により、上述したようにケースレール357において遊技球が存在せず、上記球切れ検出スイッチ357aがオフ状態となった状態である。つまり、タンク球無し状態というものの、実際にはタンク355において球詰まりが発生し、タンク355に遊技球が存在する場合でも、ケースレール357に遊技球が存在しない場合は、この状態に含まれる。
その後、ステップS1007ではエラー出力処理が行われる。より詳しくは、上記下皿満タンフラグ等の各種エラー判別用フラグの値を参酌して、エラー状態が発生している場合には、当該エラー状態に対応するエラー信号を主制御装置261に送信する。加えて、エラー状態が後述する払出しエラー状態の場合、すなわち第1〜第4レーン払出個数記憶エリアA1〜A4のいずれかに記憶された払出個数の値が0にも関わらず、対応するレーンにおいて遊技球の払出しが検出されている場合には、上記各レーン用カウンタバッファCB1〜CB4に記憶された過剰払出球数を基に、対応する過剰払出球数表示部D1〜D4において過剰に払出された球数を表示する。
その後、ステップS1008では、払出個数設定処理を行う。この払出個数設定処理の機能が、特に本実施形態における払出個数設定手段を構成する。詳しくは図37に示すように、先ずステップS1401において各種エラー状態判別用フラグの値を基にエラー状態の発生中であるか否かを判別する。ここで、肯定判別された場合、すなわち何らかのエラー状態が発生している場合には、そのまま本処理を終了する。一方、否定判別された場合には、ステップS1402において上記貸球操作部120から貸球信号(払出信号)を受信しているか否かを判別する。ここで否定判別された場合には、ステップS1404へ移行する。一方、ここで肯定判別された場合にはステップS1403において当該貸球信号に応じた貸球個数(払出個数)を上記総払出個数記憶エリアA0に記憶された総払出個数に加算して記憶し、ステップS1404へ移行する。
ステップS1404では、上記総払出個数記憶エリアA0に記憶された総払出個数の値が0か否かを判別する。ここで肯定判別された場合には、払出すべき遊技球(賞球又は貸球)がないものとみなし、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップS1404で否定判別された場合には、ステップS1405において上記各レーン毎の払出個数の設定処理を行う。より詳しくは、総払出個数記憶エリアA0に記憶された総払出個数を、上記各レーン払出個数記憶エリアA1〜A4に割り振って設定する。例えば総払出個数記憶エリアA0の総払出個数の値が「15」となっている場合には、第1〜第3レーン払出個数記憶エリアA1〜A3に「4」を記憶し、第4レーン払出個数記憶エリアA4の払出個数の値に「3」加算して記憶する。なお、本実施形態では、各レーン払出個数記憶エリアA1〜A4に割り振って設定される払出個数は予めテーブルにより定められている。これに限らず、その都度、演算処理を行い、各レーン払出個数記憶エリアA1〜A4に割り振る払出個数を決定する構成を採用してもよい。
続くステップS1406では、総払出個数記憶エリアA0に記憶された総払出個数から、上記各レーン払出個数記憶エリアA1〜A4に割り振って設定された分の払出個数を減算する処理を行う。ここでは、総払出個数の全てが上記各レーン払出個数記憶エリアA1〜A4に割り振られるため、結果として総払出個数記憶エリアA0に記憶された総払出個数の値は0となる。そして、このステップS1406の後、本処理を終了する。
図35に戻り、ステップS1009ではソレノイド制御処理を行う。このソレノイド制御処理の機能が、特に本実施形態における駆動制御手段を構成する。ステップS1009のソレノイド制御処理においては、図38に示す各レーンのソレノイド制御処理を全レーンについて行う。より詳しくは、先ずステップS1501において各種エラー状態判別用フラグの値を基にエラー状態の発生中であるか否かを判別する。ここで、肯定判別された場合、すなわち何らかのエラー状態が発生している場合には、ステップS1504へ移行する。一方、否定判別された場合には、ステップS1502において、対応するレーンの払出個数記憶エリアA1〜A4に記憶された払出個数の値が0か否かを判別する。
ステップS1502で肯定判別された場合、すなわち対応するレーンにおいて払出すべき遊技球がない場合には、ステップS1504へ移行する。一方、否定判別された場合、すなわち払出すべき遊技球がある場合には、ステップS1503へ移行する。
ステップS1503ではソレノイド435(436)の励磁設定処理を行う。具体的には、ソレノイド制御フラグの値を「1」に設定する。その後、ステップS1505へ移行する。ソレノイド制御フラグは、ソレノイド435(436)の制御状態を判別するためのフラグである。
一方、ステップS1504ではソレノイド435(436)の非励磁設定処理を行う。具体的には、ソレノイド制御フラグの値を「0」に設定する。その後、ステップS1505へ移行する。
ステップS1505では、上記ソレノイド制御フラグの値を基にソレノイド435(436)に対し制御信号を出力する。詳しくは、ソレノイド制御フラグの値が「1」の場合には、ソレノイド435(436)を励磁状態とするべく、当該ソレノイド435(436)に対しオン信号を出力する。一方、ソレノイド制御フラグの値が「0」の場合には、ソレノイド435(436)を非励磁状態とするべく、当該ソレノイド435(436)に対しオフ信号を出力する、つまりオン信号の出力を停止する。
図35に戻り、ステップS1010では払出計数処理を行う。ステップS1010の払出計数処理においては、図39に示す各レーンの払出計数処理を全レーンについて行う。より詳しくは、先ずステップS1601では、球検出センサ464によって、対応するレーンにおいて遊技球が検出されたか否か判別する。ここで否定判別された場合には、そのまま本処理を終了する。一方、肯定判別された場合には、ステップS1602において、対応するレーン払出個数記憶エリアA1〜A4に記憶された払出個数の値が0であるかを判別する。
ステップS1602で肯定判別された場合、すなわち対応するレーンにおいて払出すべき遊技球がない場合には、ステップS1604へ移行する。一方、否定判別された場合、すなわち払出すべき遊技球がある場合には、ステップS1603へ移行する。
ステップS1603では、対応するレーン払出個数記憶エリアA1〜A4に記憶された払出個数から1を減算する減算処理を行い、本処理を終了する。この減算処理の機能が、特に本実施形態における減算手段を構成する。
ステップS1604では、対応する上記レーン用計数カウンタCT1〜CT4の値に1を加算する過剰払出球数計数処理が行われる。つまり、対応するレーン払出個数記憶エリアA1〜A4に記憶された払出個数の値が0である場合に払出された球数(過剰払出球数)が計数される。また、ステップS1603の減算処理の機能や各レーン用計数カウンタCT1〜CT4の機能により本実施形態における球数計数手段が構成される。
続くステップS1605では、上記過剰払出球数計数処理によって計数された球数(過剰払出球数)を上記各レーン用カウンタバッファCB1〜CB4に記憶する過剰払出球数記憶処理を行う。
続くステップS1606では、払出しエラーフラグの値を、払出しエラー状態の発生を示す「1」に設定し、本処理を終了する。この払出しエラーフラグの値を基に払出しエラー状態の発生の有無が判別される。
なお、ステップS1010の払出計数処理においては、さらに各レーン毎の払出計数処理を行った後、各レーン用計数カウンタCT1〜CT4によって計数された総球数を総過剰払出球数計数カウンタCT0に加算する処理や、総過剰払出球数計数カウンタCT0の値を総過剰払出球数カウンタバッファCB0に記憶する処理が行われる。
以上詳述したように、本実施形態では、計数カウンタCT0〜CT4及びカウンタバッファCB0〜CB4を備えることにより、本来払出されるべきではない過剰払出分の遊技球の球数を把握することができる。従って、仮に停留機構408,409などが正常に作動せず、フリッカー433,434が遊技球を制止する位置に戻らない不具合が発生した結果、遊技球が流下しつづけ、払出しが止まらなくなってしまった場合においても、その間に余計に払出された遊技球の球数を把握することができる。ひいては、カウンタバッファCB0〜CB4に記憶された球数、すなわち過剰払出球数表示部D1〜D4に表示された球数に基づき、過剰払出分を回収することも可能となるため、遊技球の過剰な払出しによって遊技ホール側が損失を負うリスクを低減することもできる。
さらに、本実施形態では、各レーンにおいて払出すべき遊技球の球数を個別に記憶して、各レーンにおける払出しを制御するとともに、各レーンに対応して個別に過剰払出球数の計数を行い、過剰払出球数表示部D1〜D4において各レーン毎の過剰払出球数をそれぞれ表示している。結果として、どのレーンの停留機構408,409が正常に機能していないかを的確に把握することができる。
また、本実施形態では、エラー状態が発生した場合、全てのレーンにおいてソレノイド435(436)を非励磁状態とする処理を行う。従って、次なる払出し指令を受けた場合においても、正常に機能しているレーンでも払出しが実行されないようになっている。そのため、仮に所定レーンにおいてフリッカー433,434が元の位置に戻らなくなり、払出しが止まらなくなった場合(払出しエラー状態が発生した場合)においても、他のレーンにおいては払出しを停止させておくことができ、過剰払出分と正規分とが同時に払出されてしまうといった不具合を防止することができる。
以上、本発明は、上記実施の形態には何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の形態で実施できることは言うまでもない。
(a)上記実施形態では、各レーン毎に払出個数を設定し、払出される遊技球を各レーン毎に検出し、各レーン毎に過剰払出分の球数を計数、記憶及び表示する構成となっている。これに限らず、例えば、複数レーンの過剰払出分の球数の合計を1つの表示部において表示する構成としてもよい。加えて、過剰払出分の球数を記憶する段階で複数レーンの過剰払出分の球数の合計を記憶する構成としてもよい。さらに、過剰払出分の球数を計数する際に1つの計数カウンタによって複数レーンの過剰払出分の球数を計数する構成としてもよい。また、各レーン毎に払出個数を設定することなく総払出個数エリアA0のみを設けて、当該総払出個数エリアA0に記憶された払出個数を基に上記減算処理や過剰払出球数計数処理を行う構成としてもよい。加えて、払出される遊技球を各レーン毎ではなく、各レーンが合流した位置より下流側位置、例えば払出樋359において1箇所で検出する構成としてもよい。
(b)上記実施形態では、払出個数記憶エリアA0〜A4に記憶された払出個数から、検出された球数を減算する減算処理により、正規に払出すべき球数を計数する処理をおこなっているが、これに限らず、払出すべき球数を計数する計数手段(計数カウンタ等)を別途備えた構成としてもよい。この場合、正規に払出される球数を加算していくことで払出球数を計数する構成が一例に挙げられる。このような構成では、払出個数記憶エリアA0〜A4とは別に設けた目標値記憶手段としての所定の記憶エリアに、払出信号に応じた球数を目標値として記憶しておくことで、払出個数記憶エリアA0〜A4に記憶すべき払出個数(払出すべき球数)を、前記目標値と、計数カウンタ等によって計数された加算値との差分から算出することができる。また、このような構成では、計数カウンタ等の加算値が、予め記憶された目標値に達した時点で、両者(加算値及び目標値)が共にリセットされることとなる。なお、正規に払出すべき球数を加算して計数する前記計数手段としては、過剰払出球数用の上記計数カウンタCT0〜CT4を共用してもよいし、これとは別に設けてもよい。上記計数カウンタCT0〜CT4を共用した場合には、計数カウンタ等の加算値が、予め記憶された目標値に達した時点で、一旦、加算値がリセットされるが、その後、継続して過剰払出球数の計数が行われることとなる。
(c)上記実施形態における払出装置358(球払出ユニット400)は、フリッカー433,434がソレノイド435,436により駆動される構成となっているが、払出装置358の構成はこれに限られるものではない。例えば、スプロケットが駆動モータにより回転駆動される構成としてもよい。但し、上記実施形態のようなフリッカータイプの場合には、フリッカーが遊技球を制止する位置に戻らなくなると、遊技球が流下しつづけ、払出しが止まらなくなるため、上記実施形態のような構成の方が本発明の効果がより発揮される。
(d)エラー状態を報知する報知手段は上記実施形態のエラー表示ランプ106等に限らず、スピーカなど他の手段であってもよい。
(e)上記実施形態では、2条1ユニットの球払出ユニット400を2つ組付けた払出装置358が採用されているが、払出装置358の構成はこれに限られるものではない。例えば1条1ユニットの球払出ユニットを4つ組付けた構成を採用してもよい。
(f)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機や、それに類する雀球等の各種遊技機として実施することも可能である。
さらに、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機(特に遊技球を遊技媒体として使用するスロットマシン仕様の遊技機)として実施してもよい。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;例えば図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(例えばリール等の回転)した後に識別情報列を確定停止表示する可変表示手段(例えばリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(例えばスタートレバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して又は所定時間経過することにより識別情報の変動が停止され、その停止時に識別情報が特定態様で並んで表示された場合に、遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるよう構成し、さらに球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出しを行う払出装置とを備え、前記投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機」が挙げられる。この種の遊技機の場合、例えば可変表示手段において識別情報が所定態様で並んで表示された場合に、所定の制御手段(主制御装置など)から払出個数設定手段に対し払出信号が出力される。そして、払出個数設定手段は、払出信号の入力に基づき、当該払出信号に対応した遊技球の払出個数を設定する。
10…遊技機としてのパチンコ機、311…払出個数設定手段,駆動制御手段,減算手段を構成する払出制御装置、352…払出機構部、355…貯留手段としてのタンク、356…誘導手段を構成するタンクレール、357…誘導手段を構成するケースレール、358…払出装置、400…球払出ユニット、407…第1球通路、408…払出手段を構成する第1停留機構、409…第2球通路、410…払出手段を構成する第2停留機構、433,434…制止部材としてのフリッカー、435,436…駆動手段としてのソレノイド、464…球検出手段を構成する球検出センサ、A0〜A4…払出個数記憶手段を構成する払出個数記憶エリア、CT0〜CT4…過剰払出球数計数手段を構成する計数カウンタ、CB0〜CB4…過剰払出球数記憶手段を構成するカウンタバッファ、D1〜D4…過剰払出球数表示手段を構成する過剰払出球数表示部。