JP2006344758A - 気相成長装置およびそれを用いた半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Toshiki Tsuboi
俊樹 坪井
Toshinori Okada
俊範 岡田
Masayasu Futagawa
正康 二川
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Abstract

【課題】 均一な薄膜形成が可能な、気相成長装置を実現する。
【解決手段】 本発明のフェースダウン型MOCVD装置は、基板保持部材8が装着可能であるとともに、その基板保持部材8を回転可能なギア付き回転台9を備えている。そして、ギア付き回転台9は、基板保持部材8が挿入される筒状の鍔部27と、その鍔部27を保持する基礎部26とを有しており、鍔部27が、反応管5に設けられた開口部6を越えて、反応管5の内部まで延びているとともに、基礎部26から着脱可能となっている。これにより、基板保持部材8の交換による原料ガス流の乱れを防ぎ、均一な薄膜形成を行うことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、気相成長装置およびそれを用いた半導体装置の製造方法に関するものであり、特に、均一なエピタキシャル成長膜の形成に好適な、気相成長装置およびそれを用いた半導体装置の製造方法に関するものである。
気相成長装置の一種であるMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition :有機金属化学気相蒸着)装置は、化合物半導体の製造において広く利用されている装置である。
MOCVD装置では、有機金属化合物と水素化合物などを含む原料ガスを、反応管内に導入し、反応管内に設置した基板付近で、原料ガスを反応および分解させることにより、基板表面に所定の薄膜を形成する。
MOCVD装置には、この基板の保持方法として、フェースアップ型とフェースダウン型さらには、横置きのバレル型等がある。これら基板の保持形式は、基板の被処理面の方向に基づくものである。例えば、フェースダウン型MOCVD装置は、薄膜形成を行う基板の表面(被処理面)が、下向きに載置される形式のMOCVD装置である。
フェースダウン型MOCVD装置は、表面が下向きに形成されているため、フェースアップ型(薄膜形成を行う基板の表面が上向きに載置される形式)MOCVD装置と比較して、生成物の落下の影響が少ない,加熱された原料ガスが薄膜形成面に効率よく供給される等の利点を有し、良好な薄膜形成を行う上で有利であることが認識されたため、採用される例が増加しつつある。
例えば、特許文献1〜3には、典型的なフェースダウン型MOCVD装置が開示されている。
図8は、従来のフェースダウン型MOCVD装置の主要部の断面図である。
図8に示すように、薄膜形成時には、被処理基板107を保持した基板保持部材108が、ギア付き回転台109に載置される。すなわち、薄膜形成時には、基板保持部材108の載置用フランジ119が、ギア付き回転台109の載置部109aに載置される。このように、薄膜形成時には、基板保持部材108は、ギア付き回転台109に接触しているため、基板保持部材108が、基板保持部材設置穴113から落下することはない。
なお、このとき、被処理基板107の被処理面(下面)が、反応管105に設けられた開口部106より、反応管105の内側(反応管105の内部)に露出されるように、各部品の位置関係が調整される。
また、基板保持部材108はギア付き回転台109に載置されるため、反応管105の開口部106の直径は、基板保持部材108底面の外径よりも大きく設定されている。
ここで、基板保持部材108をギア付き回転台109に載置した状態のときに、基板保持部材108と反応管105との間に形成される隙間106aは、できるだけ少ないことが望ましい。しかし、基板保持部材108の加工精度、および、搬送時の位置ずれによる基板保持部材108の振れ回りなどを考慮して、この隙間106aは、1mm以上となるように設計されることが多い。
基板保持部材108がギア付き回転台109に載置されると、次に、ガス供給口103から反応管105に原料ガス122が導入されるとともに、基板加熱ヒーター114により被処理基板107が加熱される。これにより、被処理基板107表面での、成膜化学反応が促進され、被処理基板107の被処理面上に薄膜が形成される。
なお、薄膜形成時には、図示しない回転機構により被処理基板107を回転させることによって、被処理基板107の処理表面上に形成される薄膜の均一性を向上させるようになっている。
被処理基板107下を通過した原料ガス122は、ガス排出口104から排出される(図8の矢印方向)。
このようにして、被処理基板107への薄膜形成処理が終了する。薄膜形成処理終了後は、上述とは逆の操作により、被処理基板107を反応室102外に取り出す。
このようなフェースダウン型MOCVD装置では、反応管105中を流れる原料ガス122の流速分布および温度が、被処理基板107付近において空間的に均一であり、原料ガス122の流れに渦や乱れが発生しない層流となるようにすることが望ましい。このように原料ガス122の供給方法および温度制御、並びに反応管105を工夫することは、品質の良い優れた結晶成長を実現させるために重要となる。
特開平9−162128号公報(1997年6月20日公開) 特開平11−12085号公報(1999年1月19日公開) 特開2002−175992号公報(2002年12月26日公開)
しかしながら、上記従来の構成では、基板保持部材108と開口部106との間に、隙間106aが形成されてしまうため、原料ガス流の乱れが生じる。その結果、均一な薄膜形成を実現できないという問題を生じる。
図8を用いて、被処理基板107と基板保持部材108とギア付き回転台109近傍における原料ガス122の流れを説明する。図8は、フェースダウン型MOCVD装置における、被処理基板107と基板保持部材108とギア付き回転台109近傍の状態を示す模式断面図である。
反応管105と基板保持部材108との間に隙間106aが形成されていると、反応管105と回転台ベース111との間から、原料ガス122が、反応管105外部に流出したり、反応管105外部のガスが反応管105内部に流入したりする。同様に、基板保持部材108とギア付き回転台109との間に隙間113aが形成されていると、ギア付き回転台109と回転台ベース111との間から、原料ガス122が、反応管105外部に流出したり、反応管105外部のガスが反応管105内部に流入したりする。このため、反応管105内部の原料ガス122の流れに渦や乱れが生じる。その結果、均一な薄膜形成を実現できないという問題を生じる。
従って、隙間106aおよび113aは、できるだけ狭くする必要がある。また、基板保持部材108は、隙間106aおよび113aが、基板保持部材108の周方向において均等である必要がある。つまり、基板保持部材108は、反応管105の開口部106およびと同軸に載置される必要があるということである。
これは、隙間106aおよび113aが周方向によって異なると、これらの隙間106aおよび113aから原料ガス122が、反応管105外部に流出したり、反応管105外部のガスが反応管105内部に流入したりする現象が周方向に不均一に発生する。このため、被処理基板107に成長する結晶膜の特性に、周方向分布が発生してしまう。
なお、基板保持部材108を載置するため設けられたギア付き回転台109の基板保持部材設置穴113の内径は、その内部に基板保持部材108を装着する都合上、基板保持部材108の外径よりも大きく設定されている。
従って、基板保持部材108をギア付き回転台109に載置すると、両者の直径差分の隙間106aおよび113aが必ず発生する。なお、基板保持部材108の加工精度、および、搬送時の位置ずれによる基板保持部材108のふれ回りなどを考慮して、この隙間106aは、1mm以上となるように設計されることが多い。
隙間106aおよび113aを、基板保持部材108の周方向において均等にするためには、基板保持部材108の中心軸を、反応管105の開口部106の中心軸およびギア付き回転台109の開口部の中心軸と一致させる必要がある。また、そのような中心軸を一致させた状態を回転中に維持するためには、基板保持部材108がギア付き回転台109に対して移動しないように両者を固定する必要もある。
ところが、基板保持部材108は、被処理基板107が変わるごとに交換されるため、基板保持部材108が交換されるごとに、隙間106aおよび113aを周方向に均等にすることは困難である。すなわち、基板保持部材108の回転軸と、反応管105の開口部106の中心軸およびギア付き回転台109の開口部の中心軸とを、基板保持部材108の搬送毎に高精度に位置決めすることは困難である。
このように、従来の、被処理基板107と基板保持部材108とを一体として搬送する形式のMOCVD装置では、隙間106aおよび113aが、基板保持部材108の周方向において不均等であることを許容せざるを得なかった。
その結果、従来の、被処理基板と基板保持部材を一体として搬送する形式のMOCVD装置では、被処理基板107の周方向に均一な薄膜形成を実現できないという問題があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、均一な薄膜形成が可能な、気相成長装置および気相成長方法を実現することにある。
本発明の気相成長装置は、上記の課題を解決するために、被処理基板の被処理面を、反応管の内部に露出させた状態で薄膜を形成する気相成長装置であって、被処理基板を保持する基板保持部材と、薄膜形成の原料が供給される反応管と、基板保持部材が装着可能であるとともに、その基板保持部材を回転可能な回転台とを備え、上記回転台は、上記基板保持部材が挿入される筒状の鍔部と、その鍔部を保持する基礎部とを有しており、上記鍔部が、上記反応管に設けられた開口部を越えて、反応管の内部まで延びているとともに、上記基礎部から着脱可能となっていることを特徴としている。
上記の構成によれば、基板保持部材は、被処理基板が変わるごとに交換される交換部材であるのに対し、回転台および反応管は、被処理基板が変わっても交換されない固定部材である。また、上記の構成では、固定部材である回転台は、基板保持部材が挿入される鍔部と、鍔部を保持する基礎部とを有している。
また、上記の構成では、反応管は、開口部を有している。そして特に、上記の構成では、上記鍔部が、反応管内部まで延びた構成となっている。言い換えれば、上記鍔部は、上記開口部が形成された側の反応管の外表面を越えて、反応管内部方向に延びている。これにより、鍔部と基礎部との間、および、鍔部と反応管の開口部との間には、固定部材による隙間が形成される。このような固定部材により形成された隙間は、組み立て時に容易に調整できるため、その隙間の幅は、基板保持部材を交換しても変動しない。従って、基板保持部材の交換による原料ガス流の乱れを防ぎ、均一な薄膜形成を行うことができる。なお、鍔部と基板保持部材との間の隙間は、基板保持部材の交換により、変動する可能性がある。しかしながら、鍔部は反応管内部まで延びた構成であるため、鍔部と基板保持部材との間の隙間が変動したとしても、その隙間から原料ガスが流出することはない。
さらに、上記の構成では、反応管内部まで延びた鍔部が、基礎部から着脱可能となっている。このため、原料ガスに暴露された鍔部の底面に薄膜が形成され、鍔部の底面が汚染されても、鍔部を交換することができる。これにより、鍔部の底面の汚染による原料ガス流の乱れを防ぎ、均一な薄膜形成が可能となる。
上記気相成長装置では、上記基礎部は、上記鍔部との間に形成される隙間が周方向に均一となるように、上記鍔部を保持するようになっていることが好ましい。
上記の構成によれば、上記隙間は、周方向に均一に設定されているため、この隙間に起因する振れ回りを低減することができる。従って、より確実に、均一な薄膜形成が可能となる。
なお、上記基礎部は、上記鍔部との間に形成される隙間が周方向に均一とするには、例えば、基礎部の中心軸と、鍔部の中心軸とを一致させることによって、実現できる。基礎部および鍔部の中心軸は、組立て時に容易に調整できる。
上記気相成長装置では、上記鍔部は、上記基礎部よりも線膨張係数の大きい材料からなるものであることが好ましい。
上記の構成によれば、鍔部は、基礎部よりも線膨張係数の大きい材料から構成されている。このため、薄膜形成時の熱により、基礎部よりも鍔部の膨張が大きくなる。これにより、基礎部の鍔部を保持する部分における、鍔部と基礎部との隙間を、小さくすることができる。このため、この隙間に起因する振れ回りを低減することができる。従って、より確実に、均一な薄膜形成が可能となる。
上記気相成長装置では、上記鍔部および基礎部の材料は、薄膜形成時の温度領域において、上記隙間が、最小となるように選択されたものであることが好ましい。
上記の構成によれば、薄膜形成時の温度領域において、上記隙間が最小となるように、上記鍔部および基礎部の材料が選択される。これにより、薄膜形成時の温度領域において、より確実に、均一な薄膜形成が可能となる。
上記気相成長装置では、上記反応管の内壁面,鍔部の底面,および被処理基板の被処理面が、同一平面上にあるようになっていることが好ましい。
上記の構成によれば、開口部が形成された反応管の内壁面,反応管内まで延びた鍔部の底面,および被処理基板の被処理面が、略同一平面上(略同じ高さ)にある。これにより、この状態で、薄膜形成処理を行うことによって、特に、原料ガス流の乱れを防ぐことができる。従って、より確実に、均一な薄膜形成が可能となる。
上記気相成長装置では、上記基板保持部材における、被処理基板を保持する保持部が、着脱可能となっていることが好ましい。
上記の構成によれば、基板保持部材の被処理基板を保持する保持部が、着脱可能となっている。すなわち、基板保持部材は、上記回転台の鍔部と同様の、着脱可能な保持部を有している。これにより、原料ガスに暴露された保持部の底面に薄膜が形成され、保持部の底面が汚染されても、保持部を交換することができる。これにより、保持部の底面の汚染による原料ガス流の乱れを防ぎ、均一な薄膜形成が可能となる。
上記気相成長装置では、上記保持部の底面の少なくとも一部が、上記反応管の内壁,鍔部の底面,および被処理基板の被処理面と同一平面上にあることが好ましい。
上記の構成によれば、開口部が形成された反応管の内壁面,反応管内まで延びた鍔部の底面,および被処理基板の被処理面に加えて、上記保持部の底面の少なくとも一部が、略同一平面上(略同じ高さ)にある。これにより、この状態で、薄膜形成処理を行うことによって、特に、原料ガス流の乱れを防ぐことができる。従って、より確実に、均一な薄膜形成が可能となる。
上記気相成長装置では、上記鍔部と基礎部との相対的な回転を拘束する回転拘束部を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、回転拘束部を備えているため、回転台を回転させても、鍔部と基礎部との間の隙間を維持することができる。これにより、この隙間に起因する振れ回りを低減することができる。また、被処理基板と鍔部の回転速度差に起因する原料ガスの流れの乱れを無くすことが可能となる。従って、より確実に、均一な薄膜形成が可能となる。
上記気相成長装置では、上記鍔部と上記基礎部との間に形成される隙間が最小となるように、上記鍔部および基礎部の少なくとも一方の温度を調整する温度調整部を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、温度調整部が、上記鍔部と上記基礎部との間に形成される隙間が最小となるように、上記鍔部および基礎部の少なくとも一方の温度を調整する。これにより、鍔部および基礎部の材料に関係なく、上記隙間を最小となるように調整することができる。このため、この隙間に起因する振れ回りを低減することができる。従って、より確実に、均一な薄膜形成が可能となる。
上記気相成長装置では、上記温度調整部は、基礎部の温度を調整することが好ましい。
上記の構成によれば、相対的に線膨張係数の低い基礎部の温度を調整することによって、上記隙間に起因する振れ回りを低減することができる。
本発明の半導体装置の製造方法は、上記いずれかの気相成長装置を用いることを特徴としている。これにより、均一な薄膜が形成された半導体装置を製造することができる。
本発明に係る基板成長装置は、以上のように、上記鍔部が、上記反応管に設けられた開口部を越えて、反応管の内部まで延びているとともに、上記基礎部から着脱可能となっている。これにより、基板保持部材の交換による原料ガス流の乱れを防ぎ、均一な薄膜形成を行うことができるという効果を奏する。さらに、鍔部の底面の汚染による原料ガス流の乱れを防ぎ、均一な薄膜形成が可能となるという効果も奏する。
以下、本発明の実施形態について図1ないし図7に基づいて説明する。なお、本発明は、これに限定されるものではない。
本実施形態の気相成長装置は、被処理基板と基板保持部材との間に形成される隙間を均一とすることによって、均一な薄膜形成を実現するものである。
まず、本実施形態の気相成長装置の全体構造について説明する。
図2は、本実施形態の気相成長装置の模式断面図である。本実施形態の気相成長装置は、図2に示すような、フェースダウン型のMOCVD装置Aである。
本実施形態のMOCVD装置Aは、直方体形状のチャンバ1により構成される反応室2内で、薄膜形成するものである。
MOCVD装置Aは、反応室2内に、反応管5,回転台ベース11,ギア付き回転台(回転台)9を備えている。これらの部材は、反応室2の底面側(下側)から、この順に設けられている。
反応管5は、薄膜形成のための原料ガスを、反応室2内に供給するものである。反応管5は、反応室2を水平方向に連通して設けられている。反応管5の一端はガス供給口3に、他端はガス排出口4に、それぞれ接続されている。すなわち、反応管5は、ガス供給口3とガス排出口4とを連結するものである。なお、反応管5には、被処理基板が配される側(上側)にのみ開口部6が形成されている。また、反応管5の内部は、薄膜形成反応を行う反応領域となる。このため、反応管5は、反応領域と、反応室2とを区切る境界壁となっている。
回転台ベース11は、円環状(リング状)の部材であって、ギア付き回転台9を回転可能に支持するものである。ギア付き回転台9と回転台ベース11との間には、複数の球体10が設けられており、これにより、ギア付き回転台9を回転できるようになっている。球体10は、ギア付き回転台9および回転台ベース11に形成された溝に挟持されることにより、回転台ベース11が回転するようになっている。
ギア付き回転台9は、薄膜形成時に、基板保持部材(後述)を載置するものである。ギア付き回転台9は、円環状の部材であって、外周部に駆動用ギヤ12を有し、中央部にギア付き回転台9を貫通する基板保持部材設置穴13を有する。ギア付き回転台9は、薄膜形成時に、図示しない回転装置により回転動作を行うようになっている。ギア付き回転台9の詳細は、後述する。
なお、反応室2の上方(ギア付き回転台9の上方)には、被処理基板を加熱するための基板加熱ヒーター14が設置されている。
基板加熱ヒーター14は、フランジ15により支持されている。フランジ15は、伸張収縮自在なベローズ16を介して、反応室2を構成するチャンバ1上部に接続されている。フランジ15は、昇降機構17により支持されており、チャンバ1に対し、図2の上下方向(鉛直方向)に移動可能となっている。
このように、基板加熱ヒーター14は、図2の上下方向に移動可能となっており、薄膜形成時には、下方(反応管5の方向)に移動し、図2中では示されていない被処理基板を、被処理面の反対側(裏側)から加熱する。
ここで、本実施形態のMOCVD装置Aにおける薄膜形成処理について説明する。
前述のように、ギア付き回転台9には、基板保持部材を挿入するための、基板保持部材設置穴13が形成されている。基板保持部材設置穴13に、被処理基板を保持した基板保持部材が挿入されることによって、薄膜形成が行われる。
ここで、図3を用いて、基板保持部材について説明する。図3は、本実施形態のフェースダウン型MOCVD装置Aにおける、基板保持部材8の断面図である。
基板保持部材8は、薄膜形成の対象となる被処理基板7を保持するものである。MOCVD装置Aはフェースダウン型であるため、基板保持部材8は、被処理面が下側となるように、被処理基板7を保持する。
基板保持部材8は、上部に、搬送用フランジ18及び載置用フランジ19を有する円筒様形状であって、底面に設けられた基板装着穴20に、被処理基板7を装着する構成となっている。
基板保持部材8の底面の円周上には、基板装着穴20に装着した被処理基板7が落下しないように、複数個(3個以上)の爪(保持部)21が設けられている。爪21は、基板保持部材8の下端部から内側に突出した形状となっている。被処理基板7は、この突出した部分で保持される。
薄膜形成時には、被処理基板7を保持した基板保持部材8の搬送用フランジ18部が、図示しない搬送ハンドにより保持され、反応室2内のギア付き回転台9上方の基板保持部材設置穴13にまで搬送される。より詳細には、搬送ハンドは、搬送用フランジ18と載置用フランジ19と間に入りこみ、搬送用フランジ18を持ち上げることにより、基板保持部材8を搬送する。このようにして搬送される基板保持部材8は、ギア付き回転台9の基板保持部材設置穴13内に設置される。
基板保持部材設置穴13に設置されると、基板保持部材8に保持された被処理基板7の被処理面は、反応管5内部に達する。これにより、反応管5に原料ガス22を供給すると、被処理基板7の被処理面に薄膜が形成される。
薄膜形成処理終了後は、上述とは逆の操作により、被処理基板7を反応室2外に取り出す。
以下、〔実施の形態1〕〜〔実施の形態3〕により、本実施形態のMOCVD装置Aの特徴的構成について説明する。なお、以下の実施の形態では、説明の便宜上、同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記することとする。
〔実施の形態1〕
図1は、本実施形態のMOCVD装置の主要部断面図である。具体的には、図1は、被処理基板7と基板保持部材8とギア付き回転台9近傍の状態を示す模式断面図である。
本実施形態のMOCVD装置は、ギア付き回転台9が着脱可能な鍔部27を備えることによって、原料ガスの乱れを防ぎ、均一な薄膜形成処理を行うことを特徴とするものである。
図1に示すように、ギア付き回転台9は、基礎部(回転台基礎部)26および鍔部(回転台鍔部)27から構成されている。
基礎部26は、環状の部材であって、鍔部27を保持するようになっているとともに、下面(反応管5側の面)には、球体10を挟持するための溝が形成されている。基礎部26の内側は、鍔部27を保持する保持部を形成するため、やや窪んでいる。
鍔部27は、基板保持部材8を挿入する開口となる基板保持部材設置穴13を形成する円筒状の部材である。鍔部27は、基礎部26の開口に挿入され、鍔部27の先端部に設けられたフランジ部が、基礎部26に保持された構成となっている。
なお、反応管5の開口部6には鍔部27が挿入されるため、反応管5の開口部6の直径は、鍔部27の外径よりも大きく設定されている。すなわち、鍔部27は、基礎部26,回転台ベース11,反応管5に形成された開口に挿入された構成ともいえる。すなわち、基礎部26,回転台ベース11,および反応管5には、同径の開口が形成されており、鍔部は、その開口に挿入された構成である。このため、鍔部27の外径は、基礎部26,回転台ベース11,反応管5の開口の直径よりも小さい。
ここで、図8に示した従来のMOCVD装置では、基板保持部材108が交換されるごとに、基板保持部材108と反応管105との隙間106a、および、基板保持部材108とギア付き回転台109との隙間109aおよび113aは、変動してしまう。このため、隙間106aおよび113aが、基板保持部材108の周方向において不均等であることを許容せざるを得なかった。その結果、隙間106aおよび113aから原料ガス122が流出したり、外部からガスが流入したりして、原料ガス112の流れに乱れが生じ、均一な薄膜形成を実現できない。
そこで、本実施形態では、ギア付き回転部材9が、着脱可能な基礎部26および鍔部27を備えているとともに、鍔部27が、反応管5に設けられた開口部6を越えて、反応管6の内部まで延びていることを特徴としている。
これにより、鍔部27の外側には、基礎部26から反応管5にかけて、鉛直方向に隙間Gが形成される。この隙間Gは、組み立て時に容易に調整できるため、その隙間Gの幅は、基板保持部材8を交換しても変動しない。つまり、鍔部27の外側には、周方向に均一な隙間Gが形成される。これにより、基板保持部材8を交換しても、この隙間Gから流出および流入するガスにより、原料ガス22の流れの乱れを防ぎ、均一な薄膜形成を行うことができる。
なお、鍔部27の内側に形成される、鍔部27と基板保持部材8との間の隙間37は、基板保持部材8の交換により、変動する可能性がある。しかしながら、鍔部27は反応管5内部まで延びた構成であるため、鍔部27と基板保持部材8との間の隙間37が変動したとしても、その隙間37から原料ガス22が流出することはない。
また、鍔部27の底面(下部端面)38は、反応管5に暴露されているため、原料ガス22によって、汚染される可能性がある。しかしながら、鍔部27は、基礎部26から着脱可能となっているため、原料ガス22に暴露された鍔部27の底面38に薄膜が形成され、鍔部27の底面38が汚染されても、鍔部27を交換することができる。これにより、鍔部27の底面38の汚染による原料ガス22の流れの乱れを防ぎ、均一な薄膜形成が可能となる。
また、前述のように、基礎部26と鍔部27とが、互いに着脱可能な構成であるため、基礎部26と鍔部27との間には、はめあい公差分の隙間部28が存在する。本実施形態では、ギア付き回転台9の組み立て時に、この隙間部28が均等となるように設定している。例えば、ギア付き回転台9の組み立て時に、基礎部26の中心軸と、鍔部27の中心軸とを一致させている。これにより、鍔部27の載置用フランジ19には、周方向に均一な隙間部28が設定できる。これにより、この隙間部28に起因する振れ回りを低減することができる。従って、より確実に、均一な薄膜形成が可能となる。
ここで、前述した、鍔部27の外側に形成された隙間G(反応管5の開口部6の直径と鍔部27の外径との間に存在する隙間G),および,はめあい公差分の隙間部28は、各材料の線膨張で決定されるため特に限定されるものではない。しかしながら、隙間Gおよび隙間部28は、できるだけ小さいことが望ましい。これは、この隙間Gからの原料ガスの流出および外部からガスの流入を防ぐとともに、この隙間Gおよび隙間部28に起因する振れ回りなどもできる限り小さくするためである。これにより、原料ガス22の流れに乱れを生じさせなくすることが可能である。
そこで、本実施形態では、基礎部26穴側(内側;鍔部27を保持する側)の隙間G寸法は100mmであり公差(+0〜+0.03mm)で設計した。同様に、鍔部27フランジ部外径部分の隙間部28の寸法は、100mm公差(−0.13〜−0.15mm)で設計した。
また、ギア付き回転台9各材料およびその線膨張係数は、特に限定されるものではない。本実施形態では、鍔部27を、基礎部26よりも大きい材料から構成している。本実施形態のMOCVD装置Aの構造上、基礎部26の材料の線膨張係数が小さく、鍔部27の線膨張係数が大きいことが好ましい。基礎部26および鍔部27の材料は、原料ガス22の種類等、薄膜形成条件等により変動するため、特に限定されるものではない。例えば、ギア付き回転台9として使用可能な材料(線質係数:10×E−6/K)は、モリブデン(5.7),アルミナ(8.0),カーボン(4.3),ボロンナイトライド(4.0)等を挙げることができる。これらの材料は、高温での薄膜形成処理を行う場合に有利である。なお、薄膜形成条件によっては、ギア付き回転台9の材料である、SUS系(ステンレス)材料、石英、タングステン等も使用可能である。本実施形態では、ギア付き回転台9の基礎部26にはボロンナイトライド、鍔部27にはアルミナを使用し各部品の設計を行った。
このように、鍔部27が、基礎部26よりも線膨張係数の大きい材料から構成されていると、薄膜形成時の熱により、基礎部26よりも鍔部27の膨張が大きくなる。これにより、基礎部26の鍔部27を保持する部分における、鍔部27と基礎部26との隙間部28を、小さくすることができる。このため、この隙間部28に起因する振れ回りを低減することができる。従って、より確実に、均一な薄膜形成が可能となる。
ここで、基礎部26および鍔部27の材料の組み合わせは、特に限定されるものではない。しかし、薄膜形成時の温度領域において、隙間部28(好ましくはさらに隙間G)が、最小となるように選択されたものであることが好ましい。これにより、薄膜形成時の温度領域において、隙間部28のより確実に、均一な薄膜形成が可能となる。
なお、ギア付き回転台9の基礎部26には、回転させるための回転球10の転動面があるため、回転球10の寿命を考慮すれば、ギア付き回転台9の基礎部26や鍔部27は可能な限り軽量の方が望ましい。
ここで、均一な薄膜形成を行うためには、反応管5内を流れる原料ガス22の流れを均一にすることが重要である。
そこで、本実施形態では、反応管5の開口部6側の内壁面,鍔部27の底面38,および被処理基板7の被処理面が、同一平面上(略同じ高さ)にあるようになっている。これにより、この状態で、薄膜形成処理を行うことによって、特に、原料ガス22の流れの乱れを防ぐことができる。
しかも、図3の基板保持部8の底面は、平坦となっているが、図1の基板保持部8の底面は、被処理基板7の被処理面と同じ高さとなるように、除去部が設けられている。これにより、この状態で、薄膜形成処理を行うことによって、さらに原料ガス22の流れの乱れを防ぐことができる。
なお、基板保持部材8の底面は、被処理基板7の被処理面と同一面にあり、反応管5内部に暴露されている面積が大きく、基板加熱機ヒーターが直上に存在している。このため、汚れ度合いがギア付き回転台9の鍔部27よりも大きい。しかし、図1の基板保持部材8は、ギア付き回転台9の基礎部26および鍔部27とは異なり、被処理基板7を搬送するたび取り出す交換部材である。このため、汚れ具合により、適宜交換することが可能である。
このように、本実施形態では、基板保持部材8が、鍔部27内に設置(より詳細には基板保持部材設置穴13内に設置)された際、被処理基板7の被処理面(下面)は、反応管5に設けられた開口部6より、反応管5の内側に露出し、かつ、被処理基板7の被処理面の高さと、反応管5の開口部6を有する側の内壁高さとが一致するように各部材の位置関係が調整されている。また、被処理基板7の被処理面と、基板保持部材底面24の高さが略一致するよう構成されている。
さらに、鍔部27の鉛直方向の長さは、鍔部27の底面(下部端面)38が被処理基板7の被処理面と同じ高さとなるように設計されている。
従って、被処理基板7の被処理面と、基板保持部材底面24と、鍔部下部端面38の3者の高さが略一致している構成となる。
さらに、これらに加えて、反応管5の開口部6を有する側の内壁高さも一致するように構成されている。
これは、上記3者、もしくは4者の面高さが一致していると、被処理基板7の被処理面近傍での原料ガス22の流れに乱れが生じにくくなるためである。
ここで、本実施形態では、基板加熱ヒーター14により、被処理基板7上に薄膜を成長させるための温度まで、被処理基板7の加熱を行った。このときの被処理基板7の表面温度は1000℃と設定した。このときの各部材の温度は、基礎部26が450℃、鍔部27が470℃であった。なお、計測には熱電対を使用した。
ギア付き回転台9の基礎部26の測定温度は、450℃であった為、線膨張係数を利用し伸び量を計算すると最大公差分を考慮した寸法は100.183mmとなる。同様に鍔部分は100.135mmである。
従って、ギア付き回転台9の基礎部26と鍔部27の組み立て誤差による中心間のズレ量は、基板成長温度時に±9μm以下に抑えることが実現できた。
以上のように、本実施形態では、反応管5の開口部6の直径と鍔部27の外径(外側)の間に存在する隙間の回転振れを最小にすることができ、回転振れに起因する原料ガス22の乱れを発生させることなく安定した結晶成長を行うことができた。
なお、このとき熱による線膨張の影響が鍔部27の底面38にもおよび、この底面38が反応管5内部に突出する事も考えられるが、円筒部先端近傍は、原料ガスが常に供給されており、それにより熱が奪われているため、線膨張による反応管内部への突出はほとんどなく、原料ガスの流れに影響は及ぼさない。
上記の説明では、鍔部27を基礎部26から着脱可能とした構成について説明したが、この鍔部27の構造は、基板保持部材8にも適応可能である。図4は、このような構造を適用した基板保持部材8の断面図である。
以下、分割構造の基板保持部材8について図4を用いて説明する。
図4の基板保持部材8は、被処理基板7を保持する保持部が、着脱可能となっている。
図4の構成では、基板保持部材8が、互いに着脱可能な、基板保持部材基礎部30および内部円筒部31を備えている。図4の基板保持部材8は、ギア付き回転台9の構成に類似している。すなわち、基板保持部材30が基礎部26に対応し、内部円筒部31が鍔部27に対応している。
基板保持部材基礎部30は、内部円筒部31を保持するようになっている。基板保持部材基礎部30は、加工により精度を管理した内部円筒部31を保持する。内部円筒部31は、被処理基板107を保持する。ここでは、図4に示すような、基板保持部材底面部32を、外形フランジ部33の精度管理を行って製作した。このときの各部品の寸法は、保持部材底面部32を80mm公差(0〜+0.02)、外形フランジ部を80mm公差(+0.04〜0.06)で行った。
基板保持部材8の底面部(被処理基板7付近)は、基板加熱ヒーター14直下に存在するため、処理基板温度1,000℃に設定した場合、分割した部品(基板保持部材基礎部30および内部円筒部31)は両者とも温度は800℃であり同一であった。線膨張係数を元に部品温度800℃で材料を選択し、それぞれカーボン(4.3)ボロンナイトライド(4.0)を使用した。
上記の条件にて実際の形状で組み立て、薄膜成長温度設定時の組み立て誤差の計算を行った。線膨張係数を利用し伸び量を計算すると、基板保持部材基礎部30は公差を考慮した伸び量は80.27mmになる。同様に基板保持部材底面部32は80.256mmである。これらを加味し両者部品のクリアランス(隙間)管理を行い設計した結果、組み立て誤差、回転振れ量±2μ以内を実現した。
上記の結果により基板保持部材8の内部円筒部31を適宜交換することにより、薄膜成長時の汚れによる原料ガス22の流れの乱れを最小限に抑え、安定した結晶性の薄膜を得ることができた。なお今回設定した温度は薄膜の成長条件によっても異なるため、成長条件に応じた温度で設計されるものである。
また、図4の構成でも、内部円筒部31は、被処理基板7の被処理面と、基板保持部材基礎部30の底面とが同一平面上になるように、被処理基板7を保持している。このため、薄膜形成時には、基板保持部材基礎部30の底面の少なくとも一部が、反応管5の内壁,鍔部27の底面,および被処理基板7の被処理面と同一平面上に存在することになる。
これにより、この状態で、薄膜形成処理を行うことによって、特に、原料ガス22の流れの乱れを防ぐことができる。従って、より確実に、均一な薄膜形成が可能となる。
このように、図4の基板保持部材8は、被処理基板7を保持する保持部が、着脱可能となっている。すなわち、基板保持部材8は、鍔部27と同様の、着脱可能な保持部を有している。これにより、原料ガスに暴露された保持部の底面に薄膜が形成され、保持部の底面が汚染されても、保持部を交換することができる。これにより、保持部の底面の汚染による原料ガス流の乱れを防ぎ、均一な薄膜形成が可能となる。
〔実施の形態2〕
実施の形態1では、薄膜形成時に、基板加熱ヒーター14により、被処理基板7を加熱する。このため、薄膜形成温度は、略一定である。これは、設定温度が変化すると、各材料の線膨張係数の差に伴い、隙間部28が変化する可能性があるためである。ところが、実際の量産装置などでは、種々の薄膜を異なる設定温度で形成させる必要がある。
そこで、本実施形態では、薄膜形成温度を変化させても、分割された構成部品(基礎部26および鍔部27)の隙間部28が最小、且つ一定に保つために、ギア付き回転台9の基礎部26と鍔部27の温度調節機構(温度調整部)を設けたことを特徴としている。
以下に、温度調節機構を設けた実施形態について、図5を用いて説明する。図5は、本実施形態のMOCVD装置の被処理基板7と基板保持部材8とギア付き回転台9近傍の状態を示す模式断面図である。
図5のMOCVD装置は、ギア付き回転台9の基礎部26の温度調節を行う為、ギア付回転台基礎部26の周方向に、冷却ガス35を導入するガス導入ライン配管34が設置される。また、基礎部26の温度を測定する温度測定用熱電対36も設置されている。
この時の冷却ガス35は、薄膜形成に影響を及ぼさない窒素を用いることが望ましい。これは、薄膜形成時、チャンバ内部は常に窒素が導入されているためである。また、ガス導入ラインは、回転球10よりも外側に設置されており、導入された冷却ガス35は回転球がある為、それ以上内側まで侵入することが出来ない。これにより、冷却ガス35の影響を受けずにギア付き回転台9の基礎部26の温度を、温度測定用熱電対36で正確に計測を行うことが出来る。
同様に鍔部27も温度測定を行う為、熱電対(図示せず)を設置している。なお、熱電対は各分割部品(基礎部26および鍔部27)の温度を正確に計測するため、分割部品と同等数を設置したが、装置構成により正確に分割部品の温度を計測することが可能ならば熱電対の数は同等数でなくても良い。また、冷却ガス35は、使用条件が合えば、不活性ガス(例えばヘリウム・アルゴン等)も用いることができる。
また、図5のMOCVD装置は、ギア付き回転台9の基礎部26を加熱する為の回転台加熱ヒーター45も設置されている。回転台加熱ヒーター45は、ガス導入ライン34よりも内側、ギア付き回転台9の基礎部26の直上、さらに鍔部27近傍に設置することが望ましい。これは、冷却と加熱で分割部品(基礎部26および鍔部27)の温度調節を実施している為で、熱源が近傍にあるほど、分割部品が熱の影響を受けやすく、温度制御が行い易いためである。
上記のように、本実施形態では、分割部品(基礎部26および鍔部27)に加熱機構と冷却機構とを温度調整機構として設けている。このため、この温度調整機構により、鍔部27と基礎部26との間に形成される隙間Gおよび隙間部28の幅が最小となるように、分割部品(鍔部27と基礎部26)の温度制御が可能になる。これにより、薄膜形成温度が変化しても、その影響を受けることなく、組み立て誤差を最小にすることができた。これにより、回転振れによる原料ガスの流れ乱れを、なくすことができ、安定した結晶の薄膜を形成することが可能となった。
このように、本実施形態では、温度調整機構により、鍔部27と基礎部26との間に形成される隙間Gおよび隙間部28の幅が最小となるように、鍔部27および基礎部26の少なくとも一方の温度を調整している。ここでは、相対的に線膨張係数の低い基礎部26の温度を調整している。
これにより、鍔部27および基礎部26の材料に関係なく、隙間Gおよび隙間部28を最小となるように調整することができる。このため、この隙間Gおよび隙間部28に起因する振れ回りを低減することができる。従って、より確実に、均一な薄膜形成が可能となる。
〔実施の形態3〕
実施の形態1および2では、原料ガス22の流れの乱れによる膜質への影響は改善されている。実施の形態1および2のように、ギア付き回転台9が基礎部26および鍔部27を備えていると、基礎部26と鍔部27の組み合わせての回転拘束は、部品そのものの重さと、摩擦係数によって決定される。しかしながら、回転開始時や停止時、定速回転時にも、温度による摩擦係数の変化、静止摩擦力不足により、基礎部26および鍔部27同士が、回転方向にずれてしまうことが発生する可能性がある。
そこで、本実施形態では、基礎部26と鍔部27との相対的な回転を拘束する回転拘束部を備えることを特徴としている。
図6(a)および図6(b)は、回転拘束を設けたギア付き回転台9の基礎部26と鍔部27の側面断面図(図6(b))と上面図(図6(a))である。
本実施形態においては、ギア付回転台9の基礎部26と鍔部27の回転拘束するための、回転拘束ピン(回転拘束部)40を設けている。
具体的には、ギア付回転台9の基礎部26の鍔部27を保持する部分に開けられた穴39に、回転拘束ピン40が挿入され、回転拘束ピン40の外周面と鍔部27に設けられた切欠き部41の外周面44が、隙間43を有して設置されている。隙間43が形成されていると、ギア付回転台9の基礎部26と鍔部27が回転開始時や停止時に回転方向にずれてしまうが、回転拘束ピン外周部42と鍔部27の切欠き部41の外周面44が接触することにより、隙間43以上の回転ずれを防止し、被処理基板7と鍔部27の回転速度差に起因する原料ガスの流れの乱れを無くすことが可能になった。
なお、本実施形態では、回転拘束ピン40の場合のみを記載しているが、回転拘束を行う構成であれば、回転拘束ピンに限定されるものでは無い。例えば、回転するものと回転される物へそれぞれ凹部および凸部を設け、これらを組み合わせても、回転拘束は可能である。
以上のように、本実施形態では、鍔部27と基礎部26との相対的な回転を拘束するため、ギア付き回転台9を回転させても、鍔部27と基礎部26との間の隙間28を維持することができる。これにより、この隙間に起因する振れ回りを低減することができる。また、被処理基板7と鍔部27の回転速度差に起因する原料ガス22の流れの乱れを無くすことが可能となる。従って、より確実に、均一な薄膜形成が可能となる。
なお、本発明の気相成長装置は、図7のような構成とすることも可能である。図7は、ギア付き回転台9の基礎部26と鍔部27を一体構造としたMOCVD装置の主要部断面図である。この構成でも、筒状部23が基板保持部材8の交換による原料ガス流の乱れを防ぎ、均一な薄膜形成を行うことができる。ただし、ギア付き回転台9が一体構造であるため、底面25が汚染された場合、部分的な交換はできない。
以上のように、本発明の気相成長装置は、均一な薄膜形成を行うことができるため、この装置を用いることにより、均一な薄膜が形成された半導体装置を製造することができる。
また、本発明の気相成長装置は、以下のように表現することもできる。
〔1〕反応管もしくは反応領域を区切る境界壁に設けられた開口部を有し、基板を搭載しうる交換可能な基板保持部材を回転させることが出来る構造物を備え、基板を基板保持部材に装着して装置内部に搬入して回転台に載置した後、基板表面と基板保持部材の一部を、前記開口部より、反応管もしくは反応領域を区切る境界壁の内側に露出させた状態で薄膜形成を行う気相成長装置であって、前記回転台は、回転台基礎部と回転台鍔部によって取り外し可能に構成され、基板を基板保持部材に装着して装置内部に搬入して回転台に載置した際に、基板表面と基板保持部材の一部に加えて、回転台鍔部の一部が反応管もしくは反応領域を区切る境界壁の内側に露出することを特徴とする気相成長装置。
この構成では、回転台は、回転台基礎部と回転台鍔部によって取り外し可能に構成されており、原料ガスに由来する生成物により汚れた部品を交換することが可能となり、生成物の汚れ部分のみを交換することができるため、部品のコストダウン、ランニングコストの削減も実施できる。
又、回転台基礎部と回転台鍔部とを分割構造にした為に、部品各々の形状が簡素化されることにより、加工が行い易くなる為、精度管理が容易に行えるようになる。さらにこれまでは複雑な形状の加工は不可能とされていた材料も使用可能になり、材料の選択肢も増えることになった。
〔2〕〔1〕に記載の気相成長装置であって、回転台基礎部と回転台鍔部がそれぞれ線膨張係数の異なる材料で構成されることを特徴とする気相成長装置。
この構成では、回転台基礎部と回転台鍔部がそれぞれ線膨張係数の異なる材料で構成することによって、材料ごとの線膨張係数の差を利用し、薄膜形成の際に部品同士の組み立て誤差を少なくすることが可能になった。それにより、回転振れによる原料ガスの流れの乱れを低減することが可能になった。
〔3〕〔1〕または〔2〕に記載の気相成長装置であって、回転台基礎部と回転台鍔を構成するそれぞれの材料の線膨張係数は、回転台基礎部と回転台鍔が組み立てられた際に発生する隙間を、薄膜形成する際の温度域で、前記隙間が最小となるよう調整することを特徴とする気相成長装置。
この構成では、回転台基礎部と回転台鍔部を構成するそれぞれの材料の線膨張係数は、回転台基礎部と回転台鍔部が組み立てられた際に発生する隙間を、薄膜形成する際の温度域で、前記隙間が最小となるよう調整されるため、部品同士の組み立て誤差を最小にすることが可能になり、回転振れによる原料ガスの流れの乱れを最小にすることが可能になった。
〔4〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の気相成長装置であって、前記回転台基礎部と回転台鍔の温度を、前記隙間が最小となるよう調整する、温度調整機構を有することを特徴とする気相成長装置。
〔5〕〔4〕に記載の温度調整機構は、回転台の温度を測定する温度測定部材と、回転台冷却ガス導入部材と回転台加熱ヒーターの少なくともどちらか一方とを備えることを特徴とする気相成長装置。
これらの構成では、回転台基礎部と回転台鍔部の温度を、前記隙間が最小となるよう調整する、温度調整機構を設け、温度調整機構は、回転台の温度を測定する温度測定部材と、回転台冷却ガス導入部材と回転台加熱ヒーターの少なくともどちらか一方とを備えているため、薄膜形成する際の複数の温度域に対して、部品同士の組み立て誤差を最小にすることが可能になり、回転振れによる原料ガスの流れの乱れを最小にすることが可能になった。
〔6〕〔5〕に記載の気相成長装置であって、回転台冷却ガス導入部材と回転台加熱ヒーターは、回転台を構成する回転台基礎部の温度を調整することを特徴とする気相成長装置。
この構成では、回転台冷却ガス導入部材と回転台加熱ヒーターは、回転台を構成する回転台基礎部の温度を調整するように構成することによって、基板温度の影響を受けやすい回転台鍔部の温度にかかわらず、部品同士の組み立て誤差を最小にすることが可能になり、回転振れによる原料ガスの流れの乱れを最小にすることが可能になった。
〔7〕〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の気相成長装置であって、回転台基礎部と回転台鍔の相対的な回転を拘束する回転拘束部を有することを特徴とする気相成長装置。
この構成では、回転台基礎部と回転台鍔部の相対的な回転を拘束する回転拘束部を有することによって、組み立て時の隙間による両者の回転速度ずれを防止し、基板と回転台鍔部の回転速度差に起因する原料ガスの流れの乱れを無くすことが可能になった。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、例えば、化合物半導体等を製造する気相成長装置として、好適に利用できる。
本発明の実施形態のMOCVD装置の要部構成を示す断面図である。 図1のMOCVD装置の全体構成を示す断面図である。 図1のMOCVD装置における、基板保持部材の断面図である。 図1のMOCVD装置における、他の基板保持部材の断面図である。 本発明の別の実施形態のMOCVD装置の要部構成を示す断面図である。 図6(a)は、本発明のさらに別の実施形態のMOCVD装置における回転拘束を設けたギア付き回転台の上面図であり、図6(b)は同じく側面断面図である。 本発明のさらに別の実施形態のMOCVD装置の要部構成を示す断面図である。 従来のフェースダウン型MOCVD装置の主要部の断面図である。
符号の説明
5 反応管
6 開口部
7 被処理基板
9 ギア付き回転台(回転台)
26 基礎部
27 鍔部
28 隙間部(隙間)
34 ガス導入ライン配管(温度調整部)
38 鍔部の底面
40 回転拘束ピン(回転拘束部)
45 回転台加熱ヒーター(温度調整部)
G 隙間

Claims (11)

  1. 被処理基板の被処理面を、反応管の内部に露出させた状態で薄膜を形成する気相成長装置であって、
    被処理基板を保持する基板保持部材と、
    薄膜形成の原料が供給される反応管と、
    基板保持部材が装着可能であるとともに、その基板保持部材を回転可能な回転台とを備え、
    上記回転台は、上記基板保持部材が挿入される筒状の鍔部と、その鍔部を保持する基礎部とを有しており、
    上記鍔部が、上記反応管に設けられた開口部を越えて、反応管の内部まで延びているとともに、上記基礎部から着脱可能となっていることを特徴とする気相成長装置。
  2. 上記基礎部は、上記鍔部との間に形成される隙間が周方向に均一となるように、上記鍔部を保持するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の気相成長装置。
  3. 上記鍔部は、上記基礎部よりも線膨張係数の大きい材料からなるものであることを特徴とする請求項1に記載の気相成長装置。
  4. 上記鍔部および基礎部の材料は、薄膜形成時の温度領域において、上記隙間が、最小となるように選択されたものであることを特徴とする請求項2に記載の気相成長装置。
  5. 上記反応管の,鍔部の底面,および被処理基板の被処理面が、同一平面上にあるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の気相成長装置。
  6. 上記基板保持部材における、被処理基板を保持する保持部が、着脱可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の気相成長装置。
  7. 上記保持部の底面の少なくとも一部が、上記反応管の内壁,鍔部の底面,および被処理基板の被処理面と同一平面上にあることを特徴とする請求項5に記載の気相成長装置。
  8. 上記鍔部と基礎部との相対的な回転を拘束する回転拘束部を備えることを特徴とする請求項1に記載の気相成長装置。
  9. 上記鍔部と上記基礎部および反応管の開口部との間に形成される隙間が最小となるように、上記鍔部および基礎部の少なくとも一方の温度を調整する温度調整部を備えることを特徴とする請求項3に記載の気相成長装置。
  10. 上記温度調整部は、基礎部の温度を調整することを特徴とする請求項9に記載の気相成長装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の気相成長装置を用いることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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