JP2006343454A - 投射型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光や熱による冷却液の着色で光の透過率を低下することなく液晶パネルを冷却可能な冷却装置を備えた投射型表示装置を提供する。
【解決手段】 投射型表示装置を構成する、高出力の表示光が通過する表示パネルを、冷却液によりその表面を冷却する冷却装置では、当該冷却液は、不凍液と共に、冷却装置構成する材質との接触、及び、表示光の照射にもかかわらず、その透過率が所定の期間内で所望の値に維持される(5年間で透過率が当初の90%以内、又は、毎年後の透過率が当初の2%以内)ように選択された腐食抑制剤を含んでいる。
【選択図】 図2
【解決手段】 投射型表示装置を構成する、高出力の表示光が通過する表示パネルを、冷却液によりその表面を冷却する冷却装置では、当該冷却液は、不凍液と共に、冷却装置構成する材質との接触、及び、表示光の照射にもかかわらず、その透過率が所定の期間内で所望の値に維持される(5年間で透過率が当初の90%以内、又は、毎年後の透過率が当初の2%以内)ように選択された腐食抑制剤を含んでいる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、液晶プロジェクタやプロジェクションテレビなど、液晶パネルを透過した表示光により画像を投射して表示する投射型表示装置に関し、特に、かかる投射型表示装置において、表示光を透過する液晶パネルや偏向板を、循環する液体冷媒(冷却液)を利用して、冷却する液冷装置を備えた投射型表示装置に関する。
近年、光源からの光を、映像を形成する液晶パネルを透過させて投射し、もって、映像を拡大投射する液晶プロジェクタなどの投射型表示装置が広く普及してきている。また、それに伴って、より明るく鮮明な映像を得るための、光源の高出力化や液晶パネルの小型化が著しい。
かかる投射型表示装置内においては、特に、高出力化した光源からの強い光を透過させる液晶パネルやその周辺の偏光板は、この高出力光による過熱により悪影響が予想されることから、通常、装置内に設けられたファンにより冷却風を液晶パネルや偏光板の周辺に供給し、その冷却を図っている。しかしながら、近年における光源の高出力化や液晶パネルの小型化の更なる進展に伴い、かかる空冷式だけではなく、より効率的な冷却効果を得るため、水などの液体冷媒を利用した液冷方式の冷却装置を採用するものも提案されている。
例えば、以下の特許文献1や特許文献2によれば、上記の液晶パネルや偏光板の熱を液体(冷媒液)によって冷却することで、これらの長寿命化を達成する液冷装置が開示されている。
また、かかる液冷装置において使用される不凍液を主成分とする冷却液中には、冷却液を循環させるための駆動ポンプ、放熱部、及び、受熱部などを含めて構成される液冷モジュールの一部において、腐食によって液漏れを起こさないように、当該冷却液に腐食抑制剤を添加する必要があることが、以下の特許文献3に記載されている。
特開平5−107519号公報
特開2002−214596号公報
特開2004−47842号公報
しかしながら、上述した従来技術では、冷却液により液晶パネルや偏光板を冷却することについては述べているものの、高出力光源からの表示光が冷却液中を通過する際、その光や熱によって冷却液に含まれる成分に化学反応を引き起こすこと、更には、このことにより冷却液が着色することについては考慮されてはいなかった。
即ち、上記の従来技術では、高出力の光源からの強い光による冷却液自体の着色には言及がないものの、しかしながら、かかる冷却液の着色により、液晶パネルを通る光の透過率が低下することから、当該冷却液により液晶パネルや偏光板を冷却する場合には、この冷却液の着色によって液晶パネルを通る光の透過率が低下することがないよう、使用する冷却液の成分を選定する必要がある。
そこで、本発明の目的は、液晶パネルあるいは偏光板などを液体冷媒により冷却する液冷モジュールを有し、当該冷却液の一部を光が通過する液晶プロジェクタやプロジェクションテレビなどの投射型表示装置であって、冷却液が光や熱による冷却液の化学反応により着色し、液晶パネルを通る光の透過率の低下することを回避し、あるいは、抑制することの可能な冷却液を用いた冷却装置を備えた投射型表示装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明によれば、まず、表示光が表示パネルを通過する投射型表示装置であって、当該投射型表示装置は、冷却液により前記表示パネルの表面を冷却する冷却装置を備えており、かつ、前記冷却装置において使用される前記冷却液は、少なくとも不凍液と共に、前記冷却装置構成する材質との接触、及び、前記表示光の照射にもかかわらず、前記冷却液が所定の期間内で、前記冷却液の透過率が所定の値内に維持されるように選択された腐食抑制剤を含んでいる投射型表示装置が提供される。
また、本発明によれば、前記に記載の投射型表示装置において、前記腐食抑制剤は、光触媒として光反応を促進させる性質を有する腐食抑制剤を除いた腐食抑制剤であること、又は、可視光に対して光触媒として光反応を促進させる性質を有する腐食抑制剤を除いた腐食抑制剤である。なお、前記冷却液は、光触媒として光反応を阻害する成分を有することが、又は、可視光に対して光触媒として光反応を阻害する成分を有することが好ましい。
また、本発明によれば、前記に記載の投射型表示装置において、前記腐食抑制剤は、感光色素としての性質を有する腐食抑制剤を除いた腐食抑制剤であることが、特に、可視光に対して感光色素としての性質を有する腐食抑制剤を除いた腐食抑制剤であることが好ましく、又は、前記腐食抑制剤は、架橋助剤として作用する性質を有する腐食抑制剤を除いた腐食抑制剤であることが好ましい。
更に、本発明によれば、前記に記載の投射型表示装置において、前記冷却液には、前記所定の期間が5年であり、当該期間内において、前記冷却液の透過率が当初の90%以内に維持されるように選択された腐食抑制剤を含んでいることが、又は、毎年後の透過率が当初の2%以内であるように選択された腐食抑制剤を含んでいることが好ましい。
以上のように、本発明によれば、表示光が通過する液晶パネルを冷却する投射型表示装置において、液体冷媒を使用して効率的に冷却を行なうと共に、当該冷却液が光や熱により変色して光の透過性を低下させ、もって、表示される画像の画質が低下することを抑制できるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、一般に、液晶パネルに表示光を透過させる投射型表示装置に関するものであるが、しかしながら、以下には、その一例として、本発明を、特に、液晶プロジェクタ装置に適用した例について説明する。
まず、図1には、液冷装置を備えた液晶プロジェクタの全体構造の一例が示されている。この図において、符号100は、液晶プロジェクタの筐体を示しており、また、図からも明らかなように、その内部には、発光源である、例えば、メタルハライドランプ112が設けられている。そして、この発光源112からの光は、やはり、上記筐体内の所定の位置に配置された第1レンズアレイ113、第2レンズアレイ114、偏光変換素子115、集光レンズ116などによって、平行光にされて出力される。この平行光は、その後、第1のダイクロイックミラー117に照射し、その一部はこのミラーを透過して、第1のコンデンサレンズ118を通してR(赤)用の液晶パネル101(R)に至る。この液晶パネル101(R)では、その働きにより、光強度が映像信号に基づいて変調され、その後、光合成プリズム119に至る。
一方、上記第1の第クロイックミラー117で反射された光は、第1の反射鏡120の表面で反射され、第2のダイクロイックミラー121に入射する。なお、ここで反射された光は、第2のコンデンサレンズ122を通してG(緑)用の液晶パネル101(G)に導かれ、そこで光強度が変調された後、上記光合成プリズム119に至る。更に、上記の第2の第クロイックミラー121を透過した光は、第2の反射鏡123、リレーレンズ124を通って第3の反射鏡125の表面で反射され、第3のコンデンサレンズ126を通してB(青)用の液晶パネル101(B)に導かれ、そこで光強度が変調された後、上記光合成プリズム119に至る。
その結果、光の3原色であるR、G、B用の液晶パネル101(R)、101(G)、101(B)によってその光強度がそれぞれ変調された光は、上記光合成プリズム119によって合成され、更には、投射レンズを含む投射光学系127によって拡大されて、例えば、図示しないスクリーン上に投射される(図中の細い矢印を参照)。
また、図中の符号131は、その内部には、ファンとそれを回転駆動するためのモータを備えた、所謂、冷却ファンユニットを示している。これにより、図中に白抜きの矢印で示すように、上記液晶プロジェクタの筐体100の一部に開口された空気吸込口134を介して、装置の外部からの空気を筐体内に取り込み、後に説明する放熱ユニット130と共に、R、G、B用の液晶パネルを含めて、装置の各部の制御・駆動を行う電気部品ユニット128などを冷却する。加えて、この取り込まれた空気は、上述したように、近年における表示画面の大型化などに伴って高照度化が著しく、そのため、その発熱が問題となってきている高照度発光源であるメタルハライドランプ112を冷却し、更には、この発光源112に近接して配置される第1レンズアレイ113、第2レンズアレイ114、偏光変換素子115、集光レンズ116などを冷却した後、やはり上記筐体100の一部に開口された空気排出口135を介して、装置の外部へ排出される。
なお、かかる投射型表示装置内においては、特に、高出力化した光源からの強い光を透過させる液晶パネルやその周辺の偏光板は、この高出力光による過熱により悪影響が予想されることから、空冷だけではなく、より効率的な冷却効果を得るため、液体冷媒を利用した液冷方式の冷却装置が採用されている。即ち、上記3原色であるR、G、B用の液晶パネル101(R)、101(G)、101(B)には、それぞれ、以下にその詳細構造を説明するが、液体冷媒の通路が形成されており、上記液晶プロジェクタの筐体100の内部に設けられた電動ポンプ129の働きにより、液体冷媒が、図中の黒の太い矢印で示すように、筐体内に這い回された配管132を介して、R、G、B用の液晶パネル101(R)、101(G)、101(B)、電動ポンプ129、放熱ユニット(ラジエータ)130の順に循環され、もって、所謂、液冷サイクルを形成している。
次に、添付の図2には、上述した3種、即ち、R、G、B用の液晶パネル101(R)、101(G)、101(B)の内の一について、その詳細な内部構造を示す。まず、液晶パネル101の断面を示す図2(a)における符号2は、この液晶パネル101の主な構成要素であり、その表面に多数のトランジスタ駆動素子が形成された、例えば、ガラスからなるTFT基板を示している。また、このTFT基板に対向し、やはり、ガラスからなる対向基板1が配置されており、そして、これらの透明基板2と1の間には、液晶3が封入されており、もって、R、G又はBの3原色の一つとなる液晶パネル101を構成している。
また、図中の符号4及び5は、所謂、保護ガラス板であり、これらの保護ガラス板は、それぞれ、上記液晶パネル101の入射側と出射側に設けられており、その間には、液体冷媒の高抵抗の流路6、7を、それぞれ、形成している。なお、これらの対向基板1、TFT基板2、そして、保護ガラス板4、5を取り囲んで、枠体を形成するケース14が取り付けられており、更に、その上下の縁部には、スリット状に、かつ、その幅(即ち、図2(b)の横方向)を上記流路と同じにして、隣接した高抵抗の流路6、7が連続的に形成されている。そして、このケース14の上端部及び下端部には、バッファー流路を形成する箱状の部材10、11(下方)、17、18(上方)が取り付けられている。即ち、上記図2(a)におけるA−A断面を示す上記図2(b)からも明らかなように、上述した液晶パネル101が形成された領域(以後、「液晶パネル領域」と言う)を含めたパネルの両側面では、対向基板1と保護ガラス板4との間、そして、TFT基板2と保護ガラス板5との間には、その厚さ「d」(図2(b)の紙面に垂直な方向の高さ)が一様で扁平な高抵抗の流路6、7が、それぞれ、形成されている。なお、ここでは図示しないが、保護ガラス板4、5の入射側及び出射側には、それぞれ、偏光膜が形成されている。
なお、この図2(b)では、上記液晶パネル101の内部に形成された流路における液体冷媒の流れが矢印によって示されている。また、これらの図2(a)及び(b)中の符号12、13、19、20は、それぞれ、上記バッファー流路を形成する箱状の部材10、11(下方)、17、18(上方)の略中央部に取り付けられた液体冷媒の導入管を示している。また、図中の符号21に代表される黒塗の部分は、上述した部材を組み立てる際、その間を液密に封止するために挿入された、所謂、オーリングを示している。
ここで、再び、上記図1に戻り、上述した液晶パネル101(R)、101(G)、101(B)は、それぞれ、図示のように、例えば、ゴム製の接続チューブ132により接続されて、もって、電動ポンプ129、放熱ユニット(ラジエータ)130を含んで液冷サイクルを形成している。
次に、上記にその詳細な構成を説明した液晶プロジェクタの液冷装置において、上記した液晶パネル101を冷却するために使用される冷却液(液体冷媒)について、以下に詳細に説明する。
例えば、従来のコンピュータの液冷装置では、冷却液が使用環境や保管環境で凍らないように、不凍液を用いることが一般的である。また、液冷システムの構成部品である、ポンプ、ラジエータ、タンク、循環路、接続チューブなどは、熱伝導性、耐久性、コストおよび加工性などを考慮して、例えば、アルミニウム、銅、鉄などの金属によって製作されるのが一般的である。
しかしながら、この場合、これらの材質の構成部品間を冷却液が循環することから、ある構成部品から溶出した金属イオンにより、他の構成部品の孔食が促進され、そのため、構成部品の一部に穴が空く場合が生じる。例えば、アルミニウム製のラジエータと、銅製の冷却液循環路(配管)とを組み合わせた場合、銅から溶出する銅イオンによりアルミニウムの孔食が促進され、ラジエータ部分から冷却液が漏れてしまうという問題がある。また、接続チューブとして有機系チューブを用いると、当該チューブからハロゲンイオンを含む腐食性イオンが溶出し、アルミニウム製ラジエータの孔食が著しく促進されてしまう。そこで、冷却液には、使用される金属材料に対する腐食抑制剤を添加することが一般的である。
また、コンピュータの液冷装置では、冷却液が液冷システムから漏れた場合、この漏洩を目視できるように、予め、冷却液を着色することが行なわれている。その場合、たとえ、冷却液が光や温度によって化学反応し着色しても、冷却液そのものが着色されていることから、その着色が冷却システム及び冷却システムの適用製品(この場合、コンピュータ)に悪影響を及ぼすことはなかった。
これに対して、本発明が関連する、例えば、液晶プロジェクタやプロジェクションテレビ等、所謂、投射型表示装置の場合には、効率的な冷却が必要とされる液晶パネルや偏光板を、当該冷却液により冷やすことで、これらの表面温度を空冷によるよりも低下することが可能となり、もって、当該液晶パネルや偏光板の長寿命化を図ることが可能となる。しかしながら、かかる液冷方法をそのまま採用した場合、液体冷媒によって冷却する液晶パネルや偏光板を光が通過することから、当該液体冷媒(冷却液)が着色すると、光の透過率が低下してしまい、そのため、装置により表示される画像の画質が低下する。
発明者等による種々の知見によれば、かかる冷却液の着色の原因には、(1)光によって、冷却液に添加される腐食抑制剤が触媒として光反応を促進し、冷却液を着色すること、 (2)光によって、冷却液に添加される腐食抑制剤が感光色素となり、冷却液を着色すること、(3)光や熱によって、冷却液に添加される腐食抑制剤が架橋助剤として働き、冷却液がポリマー化して着色することなどが挙げられる。
そこで、本発明では、特に、液晶プロジェクタやプロジェクションテレビ等、液体冷媒により冷却する対象を光が透過して映像を投射する、所謂、投射型表示装置では、冷却装置を構成する部品の材質、冷却液(液体冷媒)の液量、冷却部にいて加熱される冷却液の液温、透過する光の波長、冷却液を通過する光量、更には、製品である装置の使用期間などから設定される、予め決められた使用期間を経過後の、当該冷却液(液体冷媒)における光の透過率の低下度合いが、表示画像の品質として許容される範囲となるよう、腐食抑制剤が適切に添加され、又は、調合されることが重要であるとの見地から、当該投射型表示装置を構成する冷却装置で使用する冷却液(液体冷媒)を、以下のように選択するものである。
即ち、上記の目的を達成するため、当該冷却装置に用いられる冷却液には、光反応を促進する触媒として働いて冷却液を変色させないこと、あるいは、感光色素として冷却液を変色させないこと、あるいは、変色による光の透過率の低下度合いが、予め決められた期間の後においても、許容範囲内となるよう、腐食抑制剤が添加されて調合されることが重要である。
また、上記の目的を達成するため、当該冷却装置に用いられる冷却液には、光反応を阻害する触媒として働く添加剤が調合されることが重要である。
更に、上記の目的を達成するため、当該冷却装置に用いられる冷却液には、光や熱によって冷却液のポリマー化を引き起こさないよう、架橋助剤としての働きのない腐食抑制剤が添加されて調合されることが重要となる。
なお、ここで、使用される冷却液(液体冷媒)としては、液晶プロジェクタなどの投射型表示装置が、一般的に使用される環境温度や保管される周囲温度を考慮し、当該冷却液(液体冷媒)が凍結しないよう、所謂、不凍液を用いることが好ましい。加えて、近年における環境問題への対応から、この不凍液としては、例えば、プロピレングリコール系の、所謂、環境にやさしい不凍液を用いることが望ましい。一方、このような不凍液を用いる冷却液が接するポンプやラジエータ、タンクや入出力流路ブロック、更には、接続チューブなどの一部などは、熱伝導性、耐久性、コストおよび加工性などを考慮して、アルミニウム、銅、鉄などの金属によって製作されている。なお、接続チューブとしては、有機系のゴムから形成されたチューブを用いるものでもよい。
このとき、冷却液(液体冷媒)としては、これらから溶出されるイオンによって、他の構成要素の腐食が進行しないよう、その抑制効果を持つ、腐食抑制剤を冷却液に添加して用いる。即ち、冷却液が循環中に接触する液冷ユニットの各材質に対して、複数存在する腐食抑制剤から、次の基準を満たすものを1つ以上選択して添加する。
(1)光反応を促進する触媒として働いて冷却液を変色させないこと、あるいは、変色させたとしても、変色による光の透過率の低下度合いが予め決められた期間の後にも許容範囲内となること。
(2)感光色素として冷却液を変色させないこと、あるいは、変色させたとしても、変色による光の透過率の低下度合いが予め決められた期間後に許容範囲内となること。
(3)光や熱により冷却液のポリマー化を助長する働きをする架橋助剤としての働きをしないこと。
ここで、上記の腐食抑制剤は、光反応が可視光によって促進されないようにする抑制剤であってもよい。
なお、ここで、上述した「予め決められた期間」と「変色による光の透過率の低下度合い」との関係については、発明者等の種々の検討に基づき、例えば、当該製品の動作保証期間(例えば、5年間)の経過後、透過率が最初の値の90%程度に抑制することが可能な腐食抑制剤を選択することによれば、当該製品にける表示画像の画質の低下を有効に抑制することが出来ることが分った。あるいは、例えば、毎年(1年間)後の透過率低下率が2%程度又はそれ以下であれば、やはり、上記と同様に、表示画像の画質の低下を有効に抑制することが出来ることが分った。
この場合、測定される光量は、投射型表示装置を、通常、利用する場合に用いられる光量により測定してもよく、また、加熱温度は、同様に、通常の利用時における液温で測定してもよい。更に、透過率の低下を測る光の波長の範囲として、可視光を用いて測定してもよい。
このようにして選択された腐食抑制剤を冷却液に添加することにより、冷却液を表示光が通過する場合でも、表示画質の劣化を抑制することができることから、明るい画像をより長い期間表示できる液冷投射型表示装置を実現することが可能となった。また、着色した冷却液による液晶パネルの汚れも回避できることから、明るい画像を、より長い期間、表示することが可能となった。
なお、本発明は、既述のように、上述した液晶プロジェクタ装置だけに限定されることなく、広く、プロジェクションテレビ等を含め、一般に、液晶パネルに表示光を透過させる投射型表示装置に関するものである。しかしながら、以下には、他の例として、やはり液晶プロジェクタ装置における液体冷媒による冷却装置であって、他の構成になる冷却装置について、添付の図3を参照しながら説明する。
すなわち、図3(a)からも明らかなように、液晶プロジェクタ装置の筐体213の内部には、光源ボックス210、光学系ボックス211、投射レンズ212、そして、R、G、Bの液晶パネルを含む液晶パネルユニット204が設けられると共に、以下に詳述する液冷装置(システム)200が一体に設けられている。なお、かかる構成においても、上記と同様に、光源ボックス210内の光源から発せられた光は、光学系ボックス211を経て、液晶パネルユニット204のR、G、B夫々の液晶パネル部に至り、投射レンズ212を経て、当該プロジェクタ装置の外へ放出され、図示しないスクリーン上に、映像として表示される。なお、液晶パネルユニット204を構成するR、G、Bの液晶パネル部231、232、233は、上記図2に示したとほぼ同様の構造でよい。
このとき、液晶パネルユニット204では、図3(b)に示すように、R、G、B夫々の液晶パネル部231、232、233は、通過する光により熱せられるが、循環する冷却液216により、熱が奪われて、液晶パネルの表面温度上昇が抑えられる。なお、その温度が上昇した冷却液は、チューブ205を通って、タンク201を経由し、更には、ラジエータ部203、タンク202を経由した後、ポンプ201へ送られる。その後、この冷却液は、再び、タンク202、ラジエータ部203、タンク202を経由して、液晶パネル部231、232、233へ送られるという循環を繰り返す。ラジエータ部103では、冷却液からラジエータ部へ熱が移動することで、冷却が行なわれる。なお、このラジエータ部203においては、移動した熱は、冷却ファン206による冷却風により、装置外部の空気中に放出される。
更に、本発明の他の実施例としては、冷却液に、可視光に対して、光反応による変色を阻害する触媒として働く成分を添加することで、変色を抑制するものであってもよい。
100…液晶プロジェクタの筐体、112…発光源、101(R)…R用の液晶パネル、101(G)…G用の液晶パネル、101(B)…B用の液晶パネル、1…対向基板、2…TFT、3…液晶、4、5…保護ガラス板、6、7…流路、129…電動ポンプ、132…配管、130…放熱ユニット(ラジエータ)、131…冷却ファンユニット
Claims (10)
- 表示光が表示パネルを通過する投射型表示装置であって、当該投射型表示装置は、冷却液により前記表示パネルの表面を冷却する冷却装置を備えており、かつ、前記冷却装置において使用される前記冷却液は、少なくとも不凍液と共に、前記冷却装置構成する材質との接触、及び、前記表示光の照射にもかかわらず、前記冷却液が所定の期間内で、前記冷却液の透過率が所定の値内に維持されるように選択された腐食抑制剤を含んでいることを特徴とする投射型表示装置。
- 前記請求項1に記載の投射型表示装置において、前記腐食抑制剤は、光触媒として光反応を促進させる性質を有する腐食抑制剤を除いた腐食抑制剤であることを特徴とする投射型表示装置。
- 前記請求項2に記載の投射型表示装置において、前記腐食抑制剤は、可視光に対して光触媒として光反応を促進させる性質を有する腐食抑制剤を除いた腐食抑制剤であることを特徴とする投射型表示装置。
- 前記請求項1に記載の投射型表示装置において、前記冷却液は、光触媒として光反応を阻害する成分を有することを特徴とする投射型表示装置。
- 前記請求項4に記載の投射型表示装置において、前記冷却液は、可視光に対して光触媒として光反応を阻害する成分を有することを特徴とする投射型表示装置。
- 前記請求項1に記載の投射型表示装置において、前記腐食抑制剤は、感光色素としての性質を有する腐食抑制剤を除いた腐食抑制剤であることを特徴とする投射型表示装置。
- 前記請求項6に記載の投射型表示装置において、前記腐食抑制剤は、可視光に対して感光色素としての性質を有する腐食抑制剤を除いた腐食抑制剤であることを特徴とする投射型表示装置。
- 前記請求項1に記載の投射型表示装置において、前記腐食抑制剤は、架橋助剤として作用する性質を有する腐食抑制剤を除いた腐食抑制剤であることを特徴とする投射型表示装置。
- 前記請求項1に記載の投射型表示装置において、前記冷却液には、前記所定の期間が5年であり、当該期間内において、前記冷却液の透過率が当初の90%以内に維持されるように選択された腐食抑制剤を含んでいることを特徴とする投射型表示装置。
- 前記請求項1に記載の投射型表示装置において、前記冷却液には、毎年後の透過率が当初の2%以内であるように選択された腐食抑制剤を含んでいることを特徴とする投射型表示装置。
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