JP2006342906A - ショックアブソーバ - Google Patents
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Abstract
【課題】旋回時に車体に発生するロールを抑制できる新規なショックアブソーバの提供。
【解決手段】ピストン部材10を車体S側に連結すると共にシリンダ部材20をアクスル部材D側に連結し、前記シリンダ部材20に、前記アクスル部材Dに設けられたタイヤTの接地点に前記車体Sの幅方向への応力が発生したときに、その応力によって当該シリンダ部材20内の流体圧力を変動させて前記車体Sのロールを制御するロール制御機構を備える。これによって、車両Sの旋回時にシリンダ部材20内の圧力が高くなってそのピストン部材10を戻す反力が発生するため、車体Sに発生するロールを効果的に抑制することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】ピストン部材10を車体S側に連結すると共にシリンダ部材20をアクスル部材D側に連結し、前記シリンダ部材20に、前記アクスル部材Dに設けられたタイヤTの接地点に前記車体Sの幅方向への応力が発生したときに、その応力によって当該シリンダ部材20内の流体圧力を変動させて前記車体Sのロールを制御するロール制御機構を備える。これによって、車両Sの旋回時にシリンダ部材20内の圧力が高くなってそのピストン部材10を戻す反力が発生するため、車体Sに発生するロールを効果的に抑制することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自動車の車輪および車軸(アクスル)を支える懸架装置の一部を構成するショックアブソーバに関するものである。
一般に乗用車などの四輪車は、旋回中に車体がロールして外側に車体が傾斜するような現象が発生するが、このような車体のロール現象を抑制するための従来技術としては、例えば、以下の特許文献1に示すような方法が提案されている。
すなわち、この特許文献1に開示されている従来技術は、車輪を車体側に支持連結するサスペンションシステムの左右各油圧シリンダにそれぞれ油路を介して調圧シリンダを接続し、この調圧シリンダによって各油圧シリンダの圧力(減衰力)を調節することで車体のロールを抑制するようにしている。
特開平11−198628号公報
すなわち、この特許文献1に開示されている従来技術は、車輪を車体側に支持連結するサスペンションシステムの左右各油圧シリンダにそれぞれ油路を介して調圧シリンダを接続し、この調圧シリンダによって各油圧シリンダの圧力(減衰力)を調節することで車体のロールを抑制するようにしている。
ところで、このような従来技術は、左右の車輪が同時に逆方向にストロークすることで始めて減衰力が発生する構造となっているため、ロール現象がある程度発生した状態でないとそれを抑制する機能が発揮できない。
また、一般に不整地などを走行する場合は、各車輪は独自に減衰力を発揮する必要がある。
さらに、左右の各油圧シリンダを連通する油路や調圧シリンダが別個必要となり、また、そのための設置スペースを新たに確保しなければならない。
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その目的は、旋回時の車体のロールを効果的に抑制することができる新規なショックアブソーバを提供するものである。
また、一般に不整地などを走行する場合は、各車輪は独自に減衰力を発揮する必要がある。
さらに、左右の各油圧シリンダを連通する油路や調圧シリンダが別個必要となり、また、そのための設置スペースを新たに確保しなければならない。
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その目的は、旋回時の車体のロールを効果的に抑制することができる新規なショックアブソーバを提供するものである。
前記課題を解決するために本発明のショックアブソーバは、
粘性を有する流体が充填されたシリンダ部材内にピストン部材を挿入すると共に、当該ピストン部材を車体側に連結すると共に前記シリンダ部材をアクスル部材側に連結したショックアブソーバにおいて、
前記アクスル部材を前記シリンダ部材に対してキャンバ方向に変位自在に連結すると共に、前記シリンダ部材にこれと連通する追加シリンダ部材を設け、当該追加シリンダ部材内に前記アクスル部材の変位に連動して摺動する追加ピストン部材を備えたことを特徴とするものである。
粘性を有する流体が充填されたシリンダ部材内にピストン部材を挿入すると共に、当該ピストン部材を車体側に連結すると共に前記シリンダ部材をアクスル部材側に連結したショックアブソーバにおいて、
前記アクスル部材を前記シリンダ部材に対してキャンバ方向に変位自在に連結すると共に、前記シリンダ部材にこれと連通する追加シリンダ部材を設け、当該追加シリンダ部材内に前記アクスル部材の変位に連動して摺動する追加ピストン部材を備えたことを特徴とするものである。
これによって、車両の旋回時にシリンダ部材内の流体の圧力が高くなってそのピストン部材を戻すような反力が発生するため、車体に発生するロールを効果的に抑制することができる。
すなわち、車両の旋回時においては、外側のタイヤの接地点には車両幅方向(キャンバ方向)内側へ応力が発生してそれを支持するアクスル部材も同じくキャンバ方向に変位するような応力が加わる。そして、このようなキャンバ方向の応力が発生すると追加ピストン部材が追加シリンダ部材内に押し込まれるように連動してシリンダ部材の内圧が一気に高まってそのシリンダ部材内を摺動するピストン部材を押し上げるな反力が発生するため、そのピストン部材の動きが規制されて車体に発生するロールを効果的に抑制することができる。
すなわち、車両の旋回時においては、外側のタイヤの接地点には車両幅方向(キャンバ方向)内側へ応力が発生してそれを支持するアクスル部材も同じくキャンバ方向に変位するような応力が加わる。そして、このようなキャンバ方向の応力が発生すると追加ピストン部材が追加シリンダ部材内に押し込まれるように連動してシリンダ部材の内圧が一気に高まってそのシリンダ部材内を摺動するピストン部材を押し上げるな反力が発生するため、そのピストン部材の動きが規制されて車体に発生するロールを効果的に抑制することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面を参照しながら詳述する。
図1および図2は、本発明に係るショックアブソーバ100の実施の一形態を示したものであり、図1は、このショックアブソーバ100の取付け状態およびその構造を示す縦断面図、図2は、このショックアブソーバ100の外観斜視図である。
図示するように、このショックアブソーバ100は、車体S側に連結されるピストン部材10と、タイヤTを軸支するアクスル部材D側に連結されたシリンダ部材20とから構成されている。
図1および図2は、本発明に係るショックアブソーバ100の実施の一形態を示したものであり、図1は、このショックアブソーバ100の取付け状態およびその構造を示す縦断面図、図2は、このショックアブソーバ100の外観斜視図である。
図示するように、このショックアブソーバ100は、車体S側に連結されるピストン部材10と、タイヤTを軸支するアクスル部材D側に連結されたシリンダ部材20とから構成されている。
このシリンダ部材20は、筒状をシリンダ本体21内に適度な粘性を有する流体F、例えばダンパオイルなどの液体を封入したものであり、その内部に前記ピストン部材10のピストン本体11が摺動自在に挿入されている。
また、このシリンダ本体21の下端付近には、タイヤT方向に延びる連結部材22が一体的に形成されており、この連結部材22に連結ピン23を介して前記アクスル部材Dがキャンバ方向に揺動自在に軸支されている。
また、このシリンダ本体21の下端付近には、タイヤT方向に延びる連結部材22が一体的に形成されており、この連結部材22に連結ピン23を介して前記アクスル部材Dがキャンバ方向に揺動自在に軸支されている。
一方、ピストン部材10は、このシリンダ本体21内に摺動自在に挿入された円板状のピストン本体11と、車体S側からこのシリンダ本体21の上端を貫通してピストン本体11に接続されるピストンロッド12とから構成されている。
そして、このシリンダ本体21には、少なくとも1つ以上の流路孔(スリット)13が形成されており、ピストン本体11の動きに伴ってシリンダ本体21内の流体Fがこの流路孔13を通過する際に発生する抵抗によって所定の減衰力が発生するようになっている。
そして、このシリンダ本体21には、少なくとも1つ以上の流路孔(スリット)13が形成されており、ピストン本体11の動きに伴ってシリンダ本体21内の流体Fがこの流路孔13を通過する際に発生する抵抗によって所定の減衰力が発生するようになっている。
また、このシリンダ部材20のシリンダ本体21下端付近には、タイヤT方向とその反対方向にそれぞれほぼ水平に延出するように2つの追加シリンダ部材30、40が設けられている。
この追加シリンダ部材30、40は、それぞれ前記シリンダ本体21と連通するように一体成型された筒状の追加シリンダ本体31、41内に、これを塞ぐように円板状の追加ピストン部材32、42をそれぞれ摺動自在に挿入された構造となっており、さらに、これら各追加ピストン部材32、42には、それぞれピストンロッドを兼用する連結ロッド33、43がそれぞれアクスル部材D側に延びるように連結されている。
この追加シリンダ部材30、40は、それぞれ前記シリンダ本体21と連通するように一体成型された筒状の追加シリンダ本体31、41内に、これを塞ぐように円板状の追加ピストン部材32、42をそれぞれ摺動自在に挿入された構造となっており、さらに、これら各追加ピストン部材32、42には、それぞれピストンロッドを兼用する連結ロッド33、43がそれぞれアクスル部材D側に延びるように連結されている。
そして、この連結ロッド33、43の延出端部は、前記連結部材22を上下に挟むように前記アクスル部材D側に連結ピン34、44を介して軸支されている。
すなわち、この追加シリンダ部材30、40内の各追加ピストン部材32、42は、連結部材22の連結ピン23を軸としてアクスル部材Dが前記シリンダ部材20に対してキャンバ方向の揺動(変位)に連動して追加シリンダ本体31、41内をそれぞれ摺動するような構造となっている。
すなわち、この追加シリンダ部材30、40内の各追加ピストン部材32、42は、連結部材22の連結ピン23を軸としてアクスル部材Dが前記シリンダ部材20に対してキャンバ方向の揺動(変位)に連動して追加シリンダ本体31、41内をそれぞれ摺動するような構造となっている。
また、この追加シリンダ部材30、40の各追加ピストン部材32、42は、図3および図4に示すように、それぞれ連結ロッド33、43の先端に一対の金属製円板50,50間に、これより外径がやや大きいリング状のシールラバー51を挟み、それら取付けボルト52で固定した構造となっている。
そして、図3に示すように、このシールラバー51の外周面が追加シリンダ本体31、41の内壁に密着しながら摺動することでその隙間からの流体Fの漏れを防止するようになっている。
また、このシールラバー51の外周面はかまぼこ型に隆起しており、図示するように追加ピストン部材32、42が径方向に多少芯ずれた場合であってもこのシールラバー51の外周面が常に追加シリンダ本体31、41の内壁に密着するようになっている。
そして、図3に示すように、このシールラバー51の外周面が追加シリンダ本体31、41の内壁に密着しながら摺動することでその隙間からの流体Fの漏れを防止するようになっている。
また、このシールラバー51の外周面はかまぼこ型に隆起しており、図示するように追加ピストン部材32、42が径方向に多少芯ずれた場合であってもこのシールラバー51の外周面が常に追加シリンダ本体31、41の内壁に密着するようになっている。
次に、このような構造をした本発明の係るショックアブソーバ100の作用を説明する。
なお、このショックアブソーバ100には、図示しないコイルスプリングなどの緩衝部材が一体(ストラット方式)で設けられており、車体Sを弾性支持すると共に車体Sとアクスル部材D間の変位を吸収して緩和するようになっている。また、図1中Lは、アクスル部材Dの下端側を支持するロアアーム、Bは、シリンダ部材20と車体Sとの衝突を防止するためのバンプストッパである。
なお、このショックアブソーバ100には、図示しないコイルスプリングなどの緩衝部材が一体(ストラット方式)で設けられており、車体Sを弾性支持すると共に車体Sとアクスル部材D間の変位を吸収して緩和するようになっている。また、図1中Lは、アクスル部材Dの下端側を支持するロアアーム、Bは、シリンダ部材20と車体Sとの衝突を防止するためのバンプストッパである。
先ず、直線走行時において車両が路面の凹凸を通過するなどによってタイヤTが車体Sに対して鉛直方向に変位すると、その変位がアクスル部材Dを介してシリンダ部材20に伝達してシリンダ部材20も同様に変位することになるが、このショックアブソーバ100に付設されたコイルスプリングなどの緩衝部材によってそのシリンダ部材20の変位が車体S側に直接伝わることはなく、その変位はこれらの緩衝部材によって吸収される。
また、この緩衝部材の収縮動に伴ってピストン部材10のピストン本体11がシリンダ部材20内を往復動することになるが、その往復動に伴ってその流路孔13を流体Fが通過する際にその流体Fが往復動の抵抗となってその往復動作を減衰する力となるため、その緩衝部材の収縮動が短時間で収斂することになる。
従って、本発明のショックアブソーバ100は、直線走行などの通常走行においては、従来のそれと同様に減衰装置(ダンパ)としての機能を十分に発揮することができる。
従って、本発明のショックアブソーバ100は、直線走行などの通常走行においては、従来のそれと同様に減衰装置(ダンパ)としての機能を十分に発揮することができる。
一方、このような直線走行から車両がカーブにさしかかり、旋回走行状態に入ると遠心力によって車体Sがカーブの外側にふくらむようにロールし始める。
このように車体Sがロールすると、直線走行時には左右両輪にほぼ均一にかかっていた車両の荷重が旋回外周側の車輪に集まるため、図5に示すように、旋回外側の車輪のタイヤ接地面には、車両幅方向内側への力が発生してタイヤTおよびこれを支えるアクスル部材Dの下端側をキャンバ方向に揺動(変位)するような力が発生する。
そして、このようなキャンバ方向への力がタイヤTに作用すると、これと同時に追加シリンダ部材30および40内の追加ピストン部材32、42が連結ロッド33、43を介してそれぞれシリンダ部材20側へ押し込まれるように移動してシリンダ部材20内の圧力を上昇させる。
このように車体Sがロールすると、直線走行時には左右両輪にほぼ均一にかかっていた車両の荷重が旋回外周側の車輪に集まるため、図5に示すように、旋回外側の車輪のタイヤ接地面には、車両幅方向内側への力が発生してタイヤTおよびこれを支えるアクスル部材Dの下端側をキャンバ方向に揺動(変位)するような力が発生する。
そして、このようなキャンバ方向への力がタイヤTに作用すると、これと同時に追加シリンダ部材30および40内の追加ピストン部材32、42が連結ロッド33、43を介してそれぞれシリンダ部材20側へ押し込まれるように移動してシリンダ部材20内の圧力を上昇させる。
すると、シリンダ部材20内のピストン部材10が押し上げられるように作用し、これが反力となってピストン部材10を押し下げるように作用するロール荷重を相殺するようになるため、シリンダ部材20内のピストン部材10の沈み込み量が大幅に少なくなって車体Sのロールを効果的に抑制することができる。
そして、このロール加重によるピストン部材10が押し上げられ力と、内圧上昇によるピストン部材10を押し上げる力である反力がつり合うように各部材を設計すれば、理論上、ロール角を「0」にすることも可能となる。
そして、このロール加重によるピストン部材10が押し上げられ力と、内圧上昇によるピストン部材10を押し上げる力である反力がつり合うように各部材を設計すれば、理論上、ロール角を「0」にすることも可能となる。
例えば、図6に示すように、ロール荷重によるピストンロッド12への入力を「F´」、ピストンロッド12の反力を「Pa」、シリンダ部材20の内圧を「P」、ピストンロッド12の断面積を「a」、旋回時のタイヤ接地面のキャンバ方向の応力を「F」、アクスル部材Dの路面からの高さを「x」、追加シリンダ部材の断面積を「A」、シリンダ部材20に対するアクスル部材Dの変位モーメント「M」、シリンダ部材20とアクスル部材Dとの軸支部から連結ロッド33、43とアクスル部材Dとの軸支部までの各垂直距離をそれぞれ「x´、x´」とすると、
ロール角「0」を満たす条件は、
M=Fx=2APx´…(1:モーメントのつり合い)
F´=Pa…(2:ロッド反力のつり合い)
上記の式(1)、(2)により、
Fx=(2AF´x´)/a
Ax´=Fax/2F´…(3)
となる。
ロール角「0」を満たす条件は、
M=Fx=2APx´…(1:モーメントのつり合い)
F´=Pa…(2:ロッド反力のつり合い)
上記の式(1)、(2)により、
Fx=(2AF´x´)/a
Ax´=Fax/2F´…(3)
となる。
ここで、「F」、「F´」は旋回Gに比例する値であるため、旋回Gによらず上記式(3)の右項は一定となることから、上記式(3)の「A」、「x´」を設定することでロール角「0」とすることが可能となる。
そして、このようなロール角「0」を満たす条件に基づいて、実車の相場値による検証を行った一例を以下に示す。
実車の車輪間の距離を「1500mm」、路面から実車の重心距離を「550mm」、旋回Gを「0.5G」、車体荷重を「500kgf」とすると、
本発明のショックアブソーバ100のピストンロッド10に加わるロール荷重「F´」は、
F´=500×55÷1500×0.5×9.8=898Nとなる。
そして、このようなロール角「0」を満たす条件に基づいて、実車の相場値による検証を行った一例を以下に示す。
実車の車輪間の距離を「1500mm」、路面から実車の重心距離を「550mm」、旋回Gを「0.5G」、車体荷重を「500kgf」とすると、
本発明のショックアブソーバ100のピストンロッド10に加わるロール荷重「F´」は、
F´=500×55÷1500×0.5×9.8=898Nとなる。
一方、タイヤTの接地面にかかるキャンバ方向の応力「F」は、
F=500×0.7(車体荷重の約70%(0.5G旋回時))×9.8=3430Nとなる。
そして、ピストンロッド10の断面積「a」、アクスル部材Dの地上高「x」をそれぞれ、
「a」=314mm2 、「x」=200mm2とすると、
上記(3)式より、
Ax´=(3430×314×200)/(2×898)=120000mm2
となることから、
「x´」を50mmとすると、追加ピストンの断面積「A」を2400mm2=94φとすることで、ロール角「0」を実現することが可能となる。
F=500×0.7(車体荷重の約70%(0.5G旋回時))×9.8=3430Nとなる。
そして、ピストンロッド10の断面積「a」、アクスル部材Dの地上高「x」をそれぞれ、
「a」=314mm2 、「x」=200mm2とすると、
上記(3)式より、
Ax´=(3430×314×200)/(2×898)=120000mm2
となることから、
「x´」を50mmとすると、追加ピストンの断面積「A」を2400mm2=94φとすることで、ロール角「0」を実現することが可能となる。
ところで、本発明のショックアブソーバ100は、旋回時にタイヤTの接地面にかかるキャンバ方向の応力によってシリンダ部材20の内圧を上昇させてロール荷重に抗するような反力を発生させることで旋回時の車体Sのロールを抑制するようにしたものであるが、このような構成をした本発明のショックアブソーバ100は、ロールの発生を許容する代わりにタイヤの接地性を格段に向上させることができる装置としての機能も発揮することが可能となっている。
すなわち、従来のショックアブソーバ構造(サスペンション構造)では、ロールが発生するとタイヤのキャンバ角も傾いてタイヤの接地面が路面に対して垂直に位置しなくなってしまうが、本発明のショックアブソーバ100では、アクスル部材Dがシリンダ部材20に対してキャンバ方向に変位(揺動)自在に連結されていることから、図7に示すようにピストン部材10にロール荷重が加わってシリンダ部材20の内圧が上昇すると、これによって図中矢印に示すように、追加シリンダ部材30、40内の追加ピストン部材32、42が外側に押し出されるように移動し、これに伴ってアクスル部材Dの下端側が車両の外側に移動するように揺動することになる。
これによって、車体Sがロールした場合であっても、常にタイヤTの接地面が路面に対して垂直に位置するようになるため、タイヤTの接地性を格段に向上させることができる。
これによって、車体Sがロールした場合であっても、常にタイヤTの接地面が路面に対して垂直に位置するようになるため、タイヤTの接地性を格段に向上させることができる。
なお、図7は、旋回の外周側のショックアブソーバ100およびタイヤTの動きを示したものであるが、旋回の内周側のショックアブソーバ100およびタイヤTは、これとは反対方向に動作するために、旋回の外周側のタイヤTのみならず、旋回の内周側のタイヤTについても同様に常にタイヤTの接地面を路面に対して垂直に位置させることができることは勿論である。
また、このようにロールの発生を許容する代わりにタイヤTの接地性を格段に向上できる装置として機能させるには、図7に示すようにアクスル部材Dを水平状態からさらにその下端が車体S外側に変位可能に連結すると共に、前述した具体例に示したようにピストン部材10に入力されるロール荷重によりもタイヤT側からの反力を小さくするように各部位を設計することによって容易に達成することができる。
また、本実施の形態では、追加シリンダ部材30、40をタイヤT方向とその反対方向にそれぞれ1つずつ設けた例で示したが、図8や図9に示すように、少なくとも1つあれば本発明の作用・効果を発揮することが可能であり、また、さらに2つ以上設ければ、各追加シリンダ部材30、40のサイズを小さくすることが可能となるため、限られたスペースに対しても容易に適用することができる。
また、図2および図9に示すように、連結ロッド33、43を二股に分岐してアクスル部材Dに軸支することによって一定の方向にのみ荷重を加えることができるため、追加ピストン部材32、42に加わる荷重が一定の向きに偏って追加ピストン部材が32、42こじって流体漏れなどが起こるといった不都合を未然に防止することができる。
また、図2および図9に示すように、連結ロッド33、43を二股に分岐してアクスル部材Dに軸支することによって一定の方向にのみ荷重を加えることができるため、追加ピストン部材32、42に加わる荷重が一定の向きに偏って追加ピストン部材が32、42こじって流体漏れなどが起こるといった不都合を未然に防止することができる。
100 ショックアブソーバ
10 ピストン部材
20 シリンダ部材
30、40 追加シリンダ部材
33、43 連結ロッド
F 流体
D アクスル部材
S 車体
T タイヤ
10 ピストン部材
20 シリンダ部材
30、40 追加シリンダ部材
33、43 連結ロッド
F 流体
D アクスル部材
S 車体
T タイヤ
Claims (8)
- 粘性を有する流体が充填されたシリンダ部材内にピストン部材を挿入すると共に、当該ピストン部材を車体側に連結すると共に前記シリンダ部材をアクスル部材側に連結したショックアブソーバにおいて、
前記シリンダ部材に、前記アクスル部材に設けられたタイヤの接地点に前記車体の幅方向への応力が発生したときに、その応力によって当該シリンダ部材内の流体圧力を変動させて前記車体のロールを制御するロール制御機構を備えたことを特徴とするショックアブソーバ。 - 粘性を有する流体が充填されたシリンダ部材内にピストン部材を挿入すると共に、当該ピストン部材を車体側に連結すると共に前記シリンダ部材をアクスル部材側に連結したショックアブソーバにおいて、
前記アクスル部材を前記シリンダ部材に対してキャンバ方向に変位自在に連結すると共に、前記シリンダ部材にこれと連通する追加シリンダ部材を設け、当該追加シリンダ部材内に前記アクスル部材の変位に連動して摺動する追加ピストン部材を備えたことを特徴とするショックアブソーバ。 - 請求項2に記載のショックアブソーバにおいて、
前記追加シリンダ部材を、前記シリンダ部材の側部から前記アクスル側に延出するように前記シリンダ部材と一体形成したことを特徴とするショックアブソーバ。 - 粘性を有する流体が充填されたシリンダ部材内にピストン部材を挿入すると共に、当該ピストン部材を車体側に連結すると共に前記シリンダ部材をアクスル部材側に連結したショックアブソーバにおいて、
前記アクスル部材を前記シリンダ部材に対してキャンバ方向に変位自在に連結すると共に、前記シリンダ部材に、前記車体がロールしたときに、その応力によって当該シリンダ内の流体圧力を変動させて前記アクスル部材をキャンバ方向に変位させるキャンバ変位機構を備えたことを特徴とするショックアブソーバ。 - 請求項4に記載のショックアブソーバにおいて、
前記キャンバ変位機構は、前記シリンダ部材と連通する追加シリンダ部材と、当該追加シリンダ部材内に摺動自在に挿入され、前記アクスル部材の変位と連動する追加ピストン部材とを備えたことを特徴とするショックアブソーバ。 - 請求項5に記載のショックアブソーバにおいて、
前記キャンバ変位機構の追加シリンダ部材を、前記シリンダ部材の側部から前記タイヤ側に延出するように前記シリンダ部材と一体形成したことを特徴とするショックアブソーバ。 - 請求項2、3、5、6のいずれか1項に記載のショックアブソーバにおいて、
前記追加シリンダ部材と追加ピストン部材をそれぞれ2つ以上備えたことを特徴とするショックアブソーバ。 - 請求項2、3、5、6のいずれか1項に記載のショックアブソーバにおいて、
前記追加ピストン部材と前記アクスル部材間を連結ロッドで連結すると共に、当該連結ロッドの前記アクスル部材側を前記シリンダ部材を挟むように二股に分岐して当該アクスル部材に揺動自在に軸支したことを特徴とするショックアブソーバ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US9132711B2 (en) | 2013-12-18 | 2015-09-15 | Hyundai Motor Company | Vehicle having shock absorber mounting angle variation structure |
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2005
- 2005-06-09 JP JP2005169759A patent/JP2006342906A/ja active Pending
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US9132711B2 (en) | 2013-12-18 | 2015-09-15 | Hyundai Motor Company | Vehicle having shock absorber mounting angle variation structure |
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