JP2006342144A - α−ピロン誘導体類を有効成分とする線維芽細胞産生剤及び皮膚関連の化粧品類、化粧料。 - Google Patents

α−ピロン誘導体類を有効成分とする線維芽細胞産生剤及び皮膚関連の化粧品類、化粧料。 Download PDF

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Abstract

【課題】安全性が高く且つ優れた線維芽細胞産生が作用してコラーゲンを増殖する、α−ピロン誘導体類を有効成分とする、線維芽細胞産生剤、皮膚関連の化粧品類、化粧料を提供する。
【解決手段】α−ピロン誘導体類を有効成分とする線維芽細胞産生剤、皮膚関連の化粧品類に含有させる化粧料。
【選択図】 図5

Description

本発明はアルピニア植物から抽出されるα−ピロン誘導体類を有効成分とする線維芽細胞産生剤及び皮膚関連化粧品類、化粧料に関する。
皮膚の構成は角質、表皮、基底膜、真皮層より構成され真皮層はその中でも最も領域の広い部分を占め、線維芽細胞、コラーゲン、弾性線維、糖タンパク質、プロテオグルカンが複合的に3次元状に広がった不均一の構造をしている。
弾性、潤いのある皮膚は真皮層にある線維芽細胞の産生によるコラーゲンの量やエラスチン、ヒアルロン酸などの作用により、皮膚のハリ、水分保持、顔の表情、弾力性、潤いを持ち、皮膚は外見的にも健康な状態に維持される。
しかし、紫外線や乾燥などの外的なストレスに曝された顔面などの皮膚では、シワ、たるみ、シミなどの目に見える現象が表皮に現れる、紫外線や乾燥など外的ストレスを受けた顔面の頬部の真皮層では、損傷が原因となる多重化など一部では断裂も見られる又加齢によっても現れる。
真皮層の修復、肌表面の諸症状を改善、防止、修復に、皮膚表面に油性クリームや乳液などを塗布し皮膚の水分蒸発量を保持させ、前記皮膚の諸症状を改善しようとするのが一般的である。例えば、種々の高分子蛋白、ムコ多糖類などを添加したクリーム、化粧水、乳液などの塗布によって皮膚表面の角質の改善や保湿を維持させている。しかし真皮層の修復や線維芽細胞の産生作用によるコラーゲンの増殖量を高めることは期待できない。又他には月桃の葉などから抽出した抽出物が有効成分として有用であるとしているが、物質は特定されていない(特許文献1)。又α−ピロン誘導体類を有効成分とするTNFα−産生抑制剤であることが知られている(特許文献2)。しかし線維芽細胞産生剤、皮膚関連の化粧品類、化粧料でのα−ピロン誘導体類は知られていない。
特許公開2000−3390号 特許公開2001−31620号
発明が解決しょうとする課題
本発明は線維芽細胞産生作用によるコラーゲン増殖を有するα−ピロン誘導体類による線維芽細胞産生剤、皮膚関連の化粧品類、化粧料として提供する。
課題を解決するための手段
本発明はアルピニア抽出物に含有されるα−ピロン誘導体類による維芽細胞産生作用がコラーゲン増殖に有用であることを見出し、イオン対抽出によって本発明を完成した。
すなわち、本発明はα−ピロン誘導体類を有効成分とする線維芽細胞産生剤及び皮膚関連の化粧品類、化粧料を提供するものである。
発明の効果
本発明のα−ピロン誘導体類は安全性が高く、且つ優れた線維芽細胞産生作用を示すことでコラーゲンが増殖し、皮膚真皮層のコラーゲン量を高め、コラーゲン量を調製し分解を抑制することから皮膚の老化防止、皮膚損傷、改善し又シワ、たるみを改善予防し、潤い肌が維持できる皮膚関連の化粧品類、化粧料として有用である。
本発明の線維芽細胞産生剤の有効成分であるα−ピロン誘導体類とは、ハナショウガ属・ショウガ科のアルピニアの葉、茎に含有されるカバラクトン類を言い、下記式で示される、5,6−デヒドロカバイン(5,6−dehydrokavain)、7,8−ジヒドロカバイン(7,8−dihydrokavain)、カバイン(kavain)、フラボカバイン(flavokavain)などが挙げられる。
Figure 2006342144
このα−ピロン誘導体類には光学異性体、幾何異性体、回転異性体が存在するが、線維芽細胞産生剤に効果を持つならばこれら混合物類を包含して用いることができる。
アルピニアから抽出され分画抽出として用いるが2種類以上が混合しているα−ピロン誘導体類を用いるのがより好ましい。
本発明において用いられるα−ピロン誘導体類はアルピニアの(ハナショウガ属、ショウガ科)葉、茎を用いる。アルピニアには20種類以上あるが使用する種類には特に限定されないが、アルピニア(Alpinia purpurata,Alpinia magunifica,Alpinia officinarum又はAlpinia conchigerなど)を用いるのが好ましい。
本発明の抽出にはイオン対抽出を用いる、アルピニア中には塩基性物質、酸性物質などが共存しており、極性の程度がいろいろ異なるものが存在する複雑な物質の化合物類から構成されている。これらを従来の水を含む単一の高極性、中極性、低極性溶媒又はこれらの水との混合溶媒で系統的に、分離抽出することは非常に困難である。そこで先ず塩基性物質、酸性物質を多く含む狭雑物質を抽出後、分離除去を容易にすることのでき、
請求項1
のα−ピロン誘導体類を提供できる。
本発明にはイオン対抽出を用い、これには対イオンを加えて塩基性、酸性物質中の電解質の解離を抑えて非電解質とし、狭雑物物質を抽出除去する。このときに抽出溶媒に用いられる、対イオンには陰イオンではアルキル硫酸類、アルキル亜硫酸類を用い、陽イオンでは第1級、第2級、第3級、第4級アミン類を用いる。
本発明の原材料にアルピニアの葉を用いるときのイオン対抽出には対イオンに陰イオン系が好ましく、茎においては陽イオン系がこのましい、用いられる対イオンは陰イオン系、陽イオン系の混合でも良く、又その濃度において特に限定されるものではない。
本発明にイオン対抽出を用いることにより線維芽細胞産生作用を示す、α−ピロン誘体類を効率よく抽出でき、葉、茎に含まれる他の酸性、塩基性の狭雑物質など分離精製時の除去操作を容易にし、且つ生産性の高い収率が得られる。
本発明のα−ピロン誘導体類は線維芽細胞の産生を高め皮膚真皮層に蓄えられるコラーゲンの増殖を促進させ、皮膚のコラーゲン量を増加させることができることにより、線維芽細胞産生剤、皮膚関連の化粧品類、化粧料として使用することができる。
本発明のα−ピロン誘導体類を有効成分とし含有させ化粧剤、皮膚改善、皮膚老化防止剤として使用する場合は、α−ピロン誘導体類に換算して約0.01〜12重量%であるが適宣、好適な配合量に調製することができる。
本発明のα−ピロン誘導体類を皮膚関連剤の化粧品類、化粧料として調製される構成成分としては使用可能なものとして、例えばトコフェロール、フラボン、フラボノール、フラバン、アスコルビン酸等のビタミン誘導体の抗酸化剤、グリセリン、アロエエキス、ホホバ油、シルク末、魚鱗箔、ラベンダーオイル、ラノリン、ワセリン、スクワラン、蛋白加水分解物などの保湿剤、水溶性ビタミン、脂溶性ビタミン、界面活性剤、アルコール類、香料、着色料、レシチン、α−リポ酸類、オリゴ糖、などを例示することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
アルピニアの葉1.0kgに対イオン1mMのペンタンスルホン酸を含むエタノール(ペンタンスルホン酸:エタノール、容量比30:70)で、60℃、5時間にて抽出した。この粗抽出液をろ過し、さらに精密減圧ろ過後、その残渣全量に水を用いて分配し、この抽出溶液を逆相充填剤〔オクタデシルトリクロロシラン〕を充填したカラムクロマトグラフィーに展開して、狭雑物、不純物質を分離溶出させた後、エタノールを移動相溶媒として流し、1フラクション=20mlずつ分取した。フラクション15〜50の溶出部を減圧濃縮し、凍結乾燥装置で処理して、アルピニア誘導体類含有す出物1.9重量%の粉末を得た。
実施例2
アルピニアの茎1.0kgにイオン対1mMのテトラエチルアンモニウム塩を含むエタノール(テトラエチルアンモニウム塩:エタノール、容量比35:65)で、70℃、7時間にて抽出した。この粗抽出液をろ過し、さらに精密減圧ろ過後、その残渣全量に水を用いて分配し、この抽出液を逆相充填剤〔オクタデシルトリクロロシラン〕を充填したカラムクロマトグラフィーに展開して、狭雑物、不純物質を分離溶出させた後、エタノールを移動相溶媒として流し、1フラクション=20mlずつ分取した。フラクシ22〜28の溶出部を減圧濃縮し、凍結乾燥装置で処理して、アルピニアの茎からα−ピロン誘導体類を含有する抽出物0.9重量%の粉末を得た。
実施例3
〔皮膚毒性試験〕
アルピニアの葉及び茎のα−ピロン誘導体類含有抽出物の、葉の抽出部50%、茎の抽出部50%を混合した全量の2%を配合したワセリン軟膏について皮膚毒性試験を実施し、実験系はEP1−100ヒト皮膚3次元モデル(正常ヒト表皮角化細胞)でMTT試験を用いた、対照群に1%トライトンX−100及び市販のシャンプーを用いた。
MTT試験により得られた皮膚細胞の50%生存率曲線を図1、ET−50値は表1に示す基準を用いて、評価解析することにより、以下にET−50値の表2が得られ評価判定した。
Figure 2006342144
Figure 2006342144
MTT試験により得たET−50値は表2に示した結果から対照群シヤンプー(市販品)、1%トライトンX−100はET−50値が6時間であるが、α−ピロン誘導体類のET−50値は25時間であり皮膚毒性に対して非常に安全性の高いことが判明した。
実施例4
アルピニアの葉及び茎から得られたα−ピロン誘導体類を有効成分とする抽出物について線維芽細胞産生作用によるコラーゲンの増殖試験をした。試験方法は以下のとおりである。
塗末試験にはマウスを使用した。これらのマウスは8週令のC57BL6マウスを使用した、マウスは各6匹・4群に分けられ、試験期間は42日間について行い、試験開始時それぞれのマウスの背中を脱毛して、その表皮部位を洗浄してから各群に分け試験を開始し、正常組織群は毎日1回、21日間連続マウスの背中に水を塗末し、SDS処理群は5%SDSを毎日1回、21日間塗末して、21日目に両群ともマウスの背中の部位10mmの皮膚を切除して、フォルマリンに固定し、皮膚組織のコラーゲンアザン染色を行い標本とし試験用の病理切片を作成し、顕微鏡観察用とした。
ワセリン対照群には毎日1回、21日間連続5%SDSをマウスの背中に塗末し、21日目以後、42日目まではワセリンを塗末した。同様にα−ピロン誘導体類実験群についても21日間連続5%SDSを塗末し、21日目以後、42日目まではアルピニアの葉及び茎のα−ピロン誘導体類を含有する抽出物の、葉の抽出部を50%、茎抽出部を50%混合した全量の2%を配合したワセリン軟膏を塗末し試験した。ワセリン対照群、α−ピロン誘導体類実験群についても42日目には前記同様マウスの背中の部位10mmの皮膚を切除して、フォルマリンに固定し、皮膚組織のコラーゲンアザン染色を行い標本とし試験用の病理切片を作成し、顕微鏡観察用とした。
この試験法の塗末試験プロトコールを表3に示した。
表3に塗沫試験プロトコール皮膚標本採取日により、標本を採取し、このときの各群の病理切片の顕微鏡による観察結果を図2、図3、図4、図5、に示す。
Figure 2006342144
各群の顕微鏡の結果、水塗沫正常組織対照群では一定のコラーゲン層、図2が維持され正常な皮膚が形成されているSDS処理群では5%SDS塗沫により、乾燥皮膚が形成され、表皮の扁平化及びコラーゲン層の減少が見られた。ワセリン対照群においてもコラーゲンの減少、図4の傾向か観察されたが、α−ピロン誘導体類実験群をワセリン対照群との比較観察の事実から、α−ピロン誘導体類を塗沫した実験群、図5では線維芽細胞の産生作用によりコラーゲンの増殖していることが観察され、正常組織対照群図2より更に40%もコラーゲン層が増殖促進され、α−ピロン誘導体類は線維芽細胞の産生能を促進することが確認できた。
本発明は皮膚の線維芽細胞の産生能を促進することによって、真皮層のコラーゲンの増殖を促進化する作用を有する、線維芽細胞産生剤である。α−ピロン誘導体類を配合することにより皮膚関連の化粧品類、化粧料に関するものである。
本発明のMTT試験の図である。 正常組織対照群の顕微鏡写真である。 SDS処理群の顕微鏡写真である。 ワセリン対照群の顕微鏡写真である。 α−ピロン誘導体類実験群の顕微鏡写真である。
符号の説明
1 表皮
2 コラーゲン層
3 脂肪

Claims (3)

  1. α−ピロン誘導体類を有効成分とする線維芽細胞産生剤及び皮膚関連の化粧品類、化粧料。
  2. アルピニアの葉、茎からのα−ピロン誘導体類抽出物を特徴とする請求項1記載の線維芽細胞産生剤及び皮膚関連の化粧品類、化粧料。
  3. アルピニアの葉、茎からの抽出がイオン対抽出溶媒を使用して得られる抽出物、α−ピロン誘導体類であることを特徴とする請求項1又は2記載の線維芽細胞産生剤、皮膚関連の化粧品類、化粧料。
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