JP2006340282A - 音声出力機能及び消音機能を有する電子機器 - Google Patents

音声出力機能及び消音機能を有する電子機器 Download PDF

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啓介 小出
Yasutaka Fujii
康隆 藤井
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秀人 更岡
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Abstract

【課題】音声出力機能及び消音機能を有する電子機器において、消音設定時等にて無駄な電力が消費されないようにし、構成の簡素化や低コスト化等に好適な装置を提供する。
【解決手段】 音声増幅装置2を含む音声出力手段3において、その消音の設定が有効とされる場合に、制御手段5によって音声増幅装置2を省電力状態へと移行させる。制御信号S1に従って音声増幅装置2の消音が行われる際に、制御信号S2に従って音声増幅装置2の消費電力が低減される。制御手段5として組み込みコントローラ(Embedded Controller)を用い、制御プログラムの処理に従って音声増幅装置2の消音状態及び消費電力を制御する。省電力機能を有効にする際に発生する音声ノイズの防止に有効であり、また、そのために音声増幅装置2に対する付加回路を必要としない。
【選択図】図1

Description

本発明は、音声増幅回路を備えた音声出力機能及び消音機能を有する電子機器において、消音時に音声増幅回路の消費電力を低減させることで節電を図るための技術に関する。
音声出力機能及び消音機能を備えた電子機器には、音響機器に限らず、サウンドシステムを内蔵したコンピュータ等の情報処理装置や携帯端末装置等が挙げられる。
ユーザが行う音量の変更や消音(ミュート)操作に関して、例えば、オペレーティングシステム(以下、「OS」と略記する。)を搭載したパーソナルコンピュータ等では、設定用プログラム(コントロールパネル等)でオーディオデバイスのプロパティ画面を表示させて、その画面上でマウスやタッチパッド、キーボード等の入力用デバイスを使ってスピーカーの音量変更や消音の有無を装置に対して指示することができる。
装置内で音声信号処理に関与するハードウェアは、例えば、AC’97(米国インテル社が1996年に提唱したサウンド機能を実現するためのLSI規格)のオーディオコーデック(Codec)と、サウスブリッジ内のコントローラ、オーディオアンプ等が挙げられ、オーディオコーデックはコントローラから送られてくる圧縮信号(PCM信号)をアナログ信号に変換した上でオーディオアンプに信号を出力する。そして、該アンプで増幅されたアナログ出力がスピーカーやヘッドフォン等に送られる。
音量変更や消音設定については、オーディオ制御用のソフトウェア(デバイスドライバ)にてオーディオコーデックを制御することで行われ、該コーデックから出力されるアナログオーディオ信号の振幅を調整している。
また、サウンドシステムが使用されない場合の省電力制御機能を有する装置構成として、例えば、ポータブルコンピュータに組み込まれたサウンドシステムの状態を監視し、予め決められた時間を越えて無アクセスの状態が継続した場合にシステムの電源を遮断する構成が知られている(特許文献1参照。)。サウンドコントローラとアンプ及びそれらのパワー制御用のコントローラを備えた構成において、サウンドコントローラのパワーダウンやその解除を制御し、また該制御と同期してアンプのミュート及びミュート解除の制御が行われる。
パーソナルコンピュータ(PC)では、サスペンド(あるいはスタンバイ)と呼ばれる省電力モードでの待機状態があり、この状態では、シャットダウン状態(電源遮断状態)に比べ省電力効果は低いが、システムの起動時間が短く、また当該状態に遷移する直前の状態に即座に復帰できる等の利点が得られる。
また、オーディオコーデックが省電力モードを具備する場合に、使用状況に応じたモード制御により節電効果を得ることが可能である。例えば、AC’97やHD(High Definition)オーディオバスに接続するオーディオコーデック等では、省電力のレベル(消費電力の大小)に応じた幾つかのモードが存在する。尚、「HDオーディオ」とは、米国インテル社が「Intel Developer Forum Spring 2003」2日目の基調講演で、開発コードネーム「Azalia」として開発していると発表し、DVD-AudioやSuper Audio CD(SACD)、ドルビー・デジタル、THXサラウンドEX等で使われている技術をPCで実現し、オーディオビジュアル機器と同等の音質を再現するものとして策定された、192KHz/32ビット対応のマルチチャンネル・オーディオを実現するPCオーディオ規格である。
特開平7−239737号公報
しかしながら、従来の装置にあっては、オーディオアンプの消費電力に関する問題や、省電力機能の設定を行う際に発生する音声ノイズ等の問題を抱えている。
例えば、オーディオアンプが、実際に音声信号を出力しているかどうかに関わらずに動作している場合に、消音の設定がなされた状態では音が出力されていなくても電力が消費される。このような無駄な電力消費は、例えば、バッテリ駆動方式の装置では使用可能時間の短時間化に直結する。
また、サスペンド等の待機状態では、主画面表示用のデバイス(液晶表示パネル等)やCPU(中央演算処理装置)等への電源供給が遮断されるが、主メモリやオーディオ装置(コーデックLSIやアンプ)等は通電されたままになっている。即ち、該状態では音声を出力する必要がないにも関わらず、オーディオアンプが通常と同様に動作しているため、無駄な電力が消費されてしまう。
音声ノイズ等の問題については、例えば、オーディオコーデックを深い省電力モードに入れると、該コーデックに係るIC内のアナログ回路の電源がオン/オフし、その出力に大きなポップノイズ(破裂音的なノイズ)が発生してしまう。同様の現象はオーディオコーデック外部の回路でも発生する場合があり、省電力化を実現するためのモード設定を変更する場合に、ポップノイズの発生を伴う。
尚、この問題を解決する手法として、例えば、オーディオコーデックに具備される「省電力モードを示す信号」を活用し、外付けの専用回路を付設することでポップノイズを発生させないためのミュート制御が挙げられる。
しかしながら、外付け回路を必要とすることは、装置の小型化やコスト低減にとっては不利であり、また、ミュートのタイミングやミューティング期間を自由に設定できるようにするためには回路構成の複雑化を伴う。更にはオーディオドライバの開発に多大な工数を割く必要がある等の問題が残る。
また、オーディオコーデックにおいて「省電力モードを示す信号」については、そのタイミングについて充分な配慮がなされておらず、例えば、音楽再生の直前に、省電力モード解除を示す信号が出されると、その際にポップノイズ防止対策としてミューティング期間を設ける必要が生じ、当該期間が曲頭にかかってしまうと、音楽の出だしが切れる(ミューティング期間に侵食されて最初の音が出ない。)という問題も起こり得る。
以上のように、消音設定時の消費電力に関する問題や、省電力機能を有効に設定する際にアナログ回路で発生する音声ノイズ等の問題に関して、回路構成や制御の複雑化を伴わずに解決することが求められている。
そこで、本発明は、音声出力機能及び消音機能を有する電子機器において、消音設定時等にて無駄な電力が消費されないようにし、構成の簡素化や低コスト化等の実現を課題とする。
本発明は、上記した課題を解決するために、音声増幅装置(アンプ)を含む音声出力手段に関して、その消音の設定が有効とされる場合に、制御手段によって音声増幅装置を省電力状態へと移行させるように構成したものである。
従って、本発明では、消音の設定が行われると、音声増幅装置の消費電力が低減されるので、音声出力を行わないか又は不要である場合に音声増幅装置の動作により無駄な電力が消費されることがない。
本発明によれば、音声出力に関して消音の設定が有効とされる場合に音声増幅装置にて無駄な電力が消費されないようにし、節電効果を奏することができる。
また、待機状態のように、明らかに音声出力を必要としない場合には、当該状態への移行時に制御手段によって音声増幅装置を消音状態に設定した後、音声増幅装置が通電されたままで該装置を省電力状態へと移行させることが望ましい。
制御手段として組み込みコントローラを用いる構成形態では、該組み込みコントローラに係る制御プログラムに従って音声増幅装置に係る消音状態及び消費電力を制御することができるので、音声増幅装置に対して付加的な回路を用いる必要がなく安価であって、装置の小型化や省スペース化に有効である。また、消音のタイミングや消音期間を自由に設定することができ、省電力モードの設定時にポップノイズが発生しないようにすることができる。
組み込みコントローラが、消音の設定や制御に用いるプログラムとのインターフェースを提供する機能を有する形態において、組み込みコントローラから音声増幅装置に送出される制御信号によって消音の設定が有効とされる場合に、該組み込みコントローラから音声増幅装置に送出される制御信号によって該音声増幅装置への通電が行われた状態でその消費電力が低減されるように構成する。つまり、省電力の設定時に音声増幅装置への通電を断たずに、該音声増幅装置が通電された状態でその消費電力を少なくすることができる。
また、消音設定や解除を行うための操作手段による操作情報又は消音設定若しくは解除を示す設定情報が組み込みコントローラに通知されるとともに、該組み込みコントローラから音声増幅装置に送出される制御信号によって消音の設定が有効とされる場合には、該組み込みコントローラから音声増幅装置に送出される制御信号によって該音声増幅装置への通電が行われた状態でその消費電力が低減されるように構成する。これにより、音声増幅装置への通電を断つことなくその消費電力を少なくすることができる。
図1は本発明に係るシステムの基本構成例を示す概念図である。
電子機器1については、例えば、各種の音響機器、コンピュータやPDA(個人情報端末)等の情報処理装置、通信端末装置等へ適用が可能である。
電子機器1は、音声増幅装置2を含む音声出力手段3を備えている。音声ソースからのアナログ信号が音声増幅装置2に供給され、増幅後の出力信号がスピーカーやヘッドフォン、あるいはそれらへの出力端子等を含む音声出力部4に送出される。例えば、オーディオ装置を構成するオーディオコーデックにてデコードされた信号が音声増幅装置2に入力される。
制御手段5は、音声増幅装置2に係る消音状態及び消費電力を制御するものであり、操作情報や、音量レベル、消音等の設定情報に基づいて音量調整(消音を含む。)や省電力の制御を行う。尚、操作情報については、例えば、音声出力に係る消音設定に用いる操作手段からの入力情報が含まれ、また、設定情報には、例えば、設定用プログラムを用いた消音有無の設定情報等が含まれる。
制御手段5から音声増幅装置2に対して送出される制御信号「S1」は、ミュート制御用の信号を示し、消音の有無を指示する信号である。また、制御手段5から音声増幅装置2に対して送出される制御信号「S2」は、省電力制御用の信号を示し、音声増幅装置2を省電力モードで動作させるか否か又は省電力の設定レベルを指示する信号である。
本例では、音声出力手段3に係る消音の設定が有効とされる場合に、制御手段5から音声増幅装置2に対して送出される信号S2により該装置を省電力状態へと移行させる構成となっている。即ち、消音時に無駄な電力が消費されないように、音声増幅装置2が消費電力の少ない省電力状態となる。そして、消音設定の解除時には、音声増幅装置2が省電力状態から元の通常状態に戻され、音声出力手段3の音声出力に支障を来たさない状態となる。
また、オーディオ機能をもつコンピュータ装置等への適用において、サスペンドあるいはスタンバイ等の待機状態への移行時には、制御手段5によって音声増幅装置2を消音状態に設定した後で、音声増幅装置が省電力状態へと移行させることが好ましい。つまり、このような待機状態では、CPU等への電源を落とした状態としているが、オーディオアンプへの通電が行われており(通電を切ることが回路規模増大等に繋がり、小型化や低コスト化等への障害となるため)、その動作に伴う消費電力の無駄が生じる。そこで、待機状態ではオーディオアンプが通電されたままの状態で該アンプを省電力モードへと移行させることにより消費電力を削減することができる。
図2乃至図5は本発明を適用した構成形態の一例を示すものであり、以下では、コンピュータ機器への適用例について説明する。
図2は情報処理装置6のハードウェア構成例の要部を示したものであり、下記の要素を有する(括弧内の数字は各部に付した符号を示す。)。
・CPU(7)
・第一制御部(8)
・メインメモリ(9)
・第二制御部(10)
・第三制御部(11)
・操作手段(12)
・オーディオコーデック(13)
・オーディオアンプ(14)
・スピーカー(15)
・ヘッドフォン(16)。
尚、図には説明の簡略化のため、装置本体部2の表示装置(液晶式ディスプレイ等)や、ハードディスク等の磁気ディスクのドライブ装置、光学式ディスクのドライブ装置(光ディスクや光磁気ディスク等、光学読取式ディスクのドライブ装置)等の補助記憶装置、電源部その他の構成部を省略している。
演算処理手段を構成するCPU7は、各種プログラム(例えば、OSやアプリケーション、ユーティリティ等)に記述される命令を解釈して実行する。
第一制御部(MCH:Memory Control Hub)8は、メモリ制御やシステムバスとのリンク等の役目をもち、AT互換機では「ノースブリッジ」と呼ばれ、CPU7とメインメモリ9や、図示しないグラフィックスカード等が接続される。
また、第二制御部(ICH:I/O Control Hub)10は、デバイスのバスリンク等を行うものであり、AT互換機では「サウスブリッジ」と呼ばれ(別名「PCI to ISA bridge」)、ノースブリッジに繋がっているバス(PCI:Peripheral Component Interconnect bus)を、低速なバス(ISA:Industry Standard Architecture bus等)に橋渡しする役目をもち、ISAコントローラ、IDE(Integrated Drive Electronics)コントローラ、オーディオコーデック13のコントローラ等の回路部が内蔵されている。
第三制御部11は上記制御手段5に相当するものであり、組み込みコントローラ(「Embedded Controller」であり、以下、「EC」と略記する。)が用いられ、例えば、下記に示す3つの機能を備え、携帯型機器等ではマイクロコンピュータが用いられる。
・キーボード制御用のコントローラ
・ACPIに対応した電源管理機能
・プログラム可能(Programmable)なI/Oコントローラ。
尚、ACPI仕様(Advanced Configuration and Power Interface Specification)は、コンピュータのパワーマネージメントをOSで一元管理するための仕様であり、ACPIでは、下記S0乃至S5のシステムステートが定義されている。
・「S0」(動作状態):システムの電源が投入され、OSが動作してソフトウェアが実行されている状態
・「S5」(オフ状態):ソフトウェアの実行が終了し、システムの電源が切断された状態
・「S1〜S4」:スタンバイ状態やサスペンド状態等の待機状態、あるいは、電源は切れているが、作業内容(RAMデータ)等がハードディスク等に保存されていて、データロスト等が発生しない状態(ハイバネーション状態)。
尚、図示しない電源部において、ACアダプタからの商用電源供給、あるいは二次電池や燃料電池等を用いたバッテリパックからの直流電源供給が行われ、ECは、図示しないACアダプタやバッテリパック等の接続や装着の状態を監視したり、バッテリ残量等を含む各種の管理情報を保持している。
上記プログラム可能なI/Oコントローラは後述するユーティリティプログラムとのインターフェースを提供し、ECは、OSやBIOS(Basic Input/Output System)等を含めたシステムとの通信を行うためのインターフェースを有しており、コマンドやデータの送受を行うことができる。尚、本例では、小型化、占有スペースの低減等を考慮して上記3機能を1つのLSIに集約してECにもたせるようにしたが、本発明の適用において機能別に回路部を設ける等、各種実施形態が可能であり、また、ACPI対応ECのインターフェース等をカスタマイズして、上記と同様の機能を実現することもできる。
操作手段12には、キーボード上又は装置本体部に付設された操作釦12aの他、ポインティングデバイス、タッチパッド等が挙げられ、有線式又は無線式を問わず操作入力が可能な一切のデバイスが含まれる。操作手段12による信号はECに送出されて監視される。
オーディオコーデック13は、ICH(第二制御部10)内のコントローラから送られてくる信号をアナログ信号に変換してオーディオアンプ14に送出する。そして、オーディオアンプ14の出力信号は、通常の場合(非消音時)、スピーカー15やヘッドフォン16に送出されて音声が出力される。
オーディオアンプ14は上記音声増幅装置2に相当し、本例では、ECからの制御信号による消音制御及び省電力制御が行われる。
本実施様態例では、ECに以下の機能を持たせている。
(1)オーディオアンプ14にミュートの要求信号又はミュート解除の要求信号(図の「Sa」参照)を送出して消音制御を行う機能
(2)オーディオアンプ14に省電力モードへの移行要求信号又は省電力モード解除の要求信号(図の「Sb」参照)を送出して省電力制御を行う機能
(3)操作入力信号を検出する機能。
先ず、上記(1)に関して、例えば、オーディオアンプ14は外部からの信号制御により、出力音をミュート(消音)することができる機能を有するものとし、ECは、上記信号Saをオーディオアンプ14に送出してその消音設定の有無を制御する。即ち、ECの出力端子とオーディオアンプ14のミュート制御入力端子とを物理的に接続し、上記信号Saをアクティブ(Active)にした場合には、オーディオアンプ14への入力ソースの如何に関係なく、スピーカー15やヘッドフォン16に出力される音がミュートされる。
以下では、上記信号Saを「ミュート制御信号」と呼ぶことにする。尚、オーディオアンプ14がミュート機能を有していない場合には、例えば、オーディオアンプの前段又は後段に半導体スイッチング素子(FET等)を介在させ、該素子を制御することで、電気的に音声信号経路(オーディオパス)を切断し又は切断を解除して元に復帰させる構成形態が挙げられる。
上記(2)については、オーディオアンプ14へのスタンバイ要求又はスタンバイ解除の要求に従って、該アンプの電力状態を制御する。例えば、オーディオアンプ14は、外部からの信号制御により、該アンプを低消費電力モードにする機能を有するものとし、ECは、上記信号Sbをオーディオアンプ14に送出してその消費電力を制御する。即ち、ECの出力端子とオーディオアンプ14の制御入力端子とを物理的に接続し、上記信号Sbをアクティブにした場合に、オーディオアンプ14が低消費電力モードに移行する(アンプ内の必要最小限の回路だけが動作し、消費電力が抑えられた状態とされる。)。
以下では、低消費電力モード(あるいは省電力モード)への移行や解除に係る上記信号Sbを「スタンバイ制御信号」と呼ぶことにする。尚、オーディオアンプ自身を低消費電力モードに移行させる機能を持たない場合には、ECからの制御信号に応じてオーディオアンプへの電源供給を制御し、電源電圧を遮断して消費電力を低減させる構成形態が挙げられる(電源遮断時には不要音等を発生させないようにするための手段を講じる。)。また、本例では、オーディオアンプ14を低消費電力モードに移行させるか又はこれを解除するかの制御を行っているが、必要に応じて省電力のレベルを複数段階に規定して制御することも勿論可能である(例えば、浅い省電力モードでは一部の回路動作を止めることで消費電力を減らし、深い省電力モードでは大半部の回路動作を止めることで最小限の電力が消費されるように構成する等。)。
上記(3)については、例えば、操作手段12の操作釦12aとECとが信号線により接続されていて、ECは、操作釦12aの押下やリリースの状態をその信号の電気的な電圧変化により検知することができる。あるいは、無線式の遠隔操作手段を備えた構成形態では、操作信号が受信部からECに通知される。
図3は上記構成例における信号処理について階層(レイヤ)構造を例示したものであり、上層にソフトウェア階層を示し、その下にハードウェア階層を示している。
ハードウェア階層においては、最下段に示す物理層に、上記操作手段12を構成する操作入力部17とオーディオアンプ14を示しており、その上には、EC11及びオーディオコーデック13が位置し、さらにその上にICH(上記第二制御部10)が位置している。
ソフトウェア階層においては、ドライバ18とその上位のユーティリティプログラム19が示され、また、オーディオドライバ/API(Application Programming Interface)部20と、その上位にOSのオーディオ制御部(あるいは管理部)21が示されている。尚、ユーティリティプログラム19やオーディオ制御部21はアプリケーション層に位置している。
ドライバ18は、ECとOS上で働くユーティリティプログラム19との間で橋渡しを行う役目をもったソフトウェアであり、前記したプログラム可能(Programmable)なI/Oコントローラを利用するために使われる。即ち、ECとユーティリティプログラム19との間で行われるプログラム可能なI/Oコントローラを使った通信は、ドライバ18を経由して行われる仕組みになっている。尚、本発明の適用において、階層間での通信に関して本例と同等の仕組みや機構を用いることが可能であり、また、ドライバ18に限らずDLL(ダイナミックリンクライブラリ)を用いる等、各種形態での実施が可能である。
基本的な処理の流れを、通常動作時(OS動作時)と、サスペンド等の待機時について説明する。
通常動作時、つまり、装置が省電力設定状態でない場合に、ミュート設定が有効とされるとオーディオアンプ14を低消費電力モードへと移行させる。
上記のようにECはオーディオ制御に関して現在の状態が消音状態であるのか又は消音状態が解除されているのかを判断し、判断結果に応じて下記に示す処理を行う。
・消音の場合
(1)ECはオーディオアンプ14にミュート制御信号Saを送出して消音設定を有効化する。
(2)ECはオーディオアンプ14にスタンバイ制御信号Sbを送出して低消費電力モードへと移行させる。
上記(1)は、(2)においてポップノイズを発生させないための事前処置でもあり、(2)で低消費電力モードへと移行すると、この状態ではオーディオアンプ14への通電が行われていてもその消費電力が低減される。
・消音解除の場合
(1)ECはオーディオアンプ14にスタンバイ制御信号Sbを送出して通常の消費電力モードへと復帰させる。
(2)ECはオーディオアンプ14にミュート制御信号Saを送出して消音設定を無効化する。
装置の通常動作時にミュートが解除された状態では、OSのオーディオ制御部21からオーディオドライバ/API部20を介してICH内のコントローラ(AC’97コントローラ等)が制御され、ここからオーディオコーデック13にデジタル信号が送出され、該コーデックでのアナログ変換後にオーディオアンプ14へと信号が送出される。
サスペンド等の待機状態の場合には、音声出力を行う必要がないので当該状態への移行と同時に、ECはオーディオアンプ14にミュート制御信号Saを送出して消音設定を有効化した後、オーディオアンプ14にスタンバイ制御信号Sbを送出して低消費電力モードへと移行させる。これにより、オーディオアンプ14への通電が行われていてもその消費電力を低減させることができる。
尚、ユーザの操作指示を受けた場合や、予め決められた設定時間を越えて装置の操作やデバイスのアクセス等が行われない場合において、サスペンド等の待機状態への移行制御が行われるが、その際にはシステムステートの遷移状況に関する情報が上位層のOS制御部からECに通知されて上記した消音及び省電力化の制御が行われる。
図4は消音釦による音量変更について処理の流れを例示した説明図であり、オーディオアンプ(14)、EC(11)、ユーティリティプログラム(19)、OSのオーディオ制御部(21)の間で行われる通信例を示している。尚、ここでいう「消音釦」には、例えば、上記操作入力部17に設けられる操作釦やキーが挙げられるが、スイッチ類等の操作入力要素の他、同様の機能を有する入力用デバイスによる入力や、複数のキー操作を組み合わせた入力、あるいは、表示画面上の仮想キー(あるいはソフトキー)等による入力等、各種入力形態での操作入力要素を含むものとする。
消音釦の操作により消音設定が有効にされる場合のシーケンスは、下記のようになる。
(A1)消音釦の状態検出(EC)
・ECは、定期的な消音釦の監視(Polling処理)を行い、又は外部割り込みにより消音釦の状態を示す電気信号を受信して読み取る。
(A2)アンプのミュート信号制御(EC→オーディオアンプ)
・ECは、例えば、消音釦の状態(押下又はリリース)を検出すると、消音すべきか、又は消音を解除するかを判断する。そして、オーディオアンプ14に対してミュート制御信号Saを送出して、消音制御を行う。
(A3)消音又は消音解除(オーディオアンプ)
ミュート制御信号Saに従って、消音の設定又は解除がなされる(スピーカー等への出力レベルがハードウェア的に調整される。)。
(A4)アンプのスタンバイ信号制御(EC→オーディオアンプ)
・ECは、オーディオアンプ14に対してスタンバイ制御信号Sbを送出する。
(A5)省電力モード設定又は省電力モード解除(オーディオアンプ)
スタンバイ制御信号Sbに従って、オーディオアンプ14が省電力状態へと移行し又は省電力状態の設定が解除される。
(A6)消音有効又は無効の通知発行(EC)
・ECから消音のオン(有効)又はオフ(無効)を示すメッセージが、ICHやドライバ18を経由してユーティリティプログラム19に対して送信される。
(A7)消音有効又は無効の通知受理(ユーティリティプログラム)
・ユーティリティプログラム19は上記(A6)のメッセージを受信すると、消音するか又は消音を解除するかの要求について判断する。
(A8)消音有効又は無効の通知発行(ユーティリティプログラム)
・ユーティリティプログラム19は、OSのオーディオ制御部21に対して、消音設定又は消音解除を要求する。例えば、汎用的なインターフェース(API)を利用することにより容易に実現することができる。
(A9)消音有効又は無効の通知受理(オーディオ制御部)
・OSのオーディオ制御部21は上記(A8)の要求通知を受信する。
(A10)消音設定情報の更新(オーディオ制御部)
・OSのオーディオ制御部21は、消音の設定情報を変更する(例えば、「サウンドとオーディオデバイスのプロパティ」等で表示される消音情報を更新する。)。
以上のように、消音設定や解除を行うための操作手段12による操作情報がECに通知され、ECからオーディオアンプ14に送出される制御信号Saによって消音の設定が有効とされる場合には、ECからオーディオアンプ14に送出される制御信号Sbによって該アンプの通電が行われた状態でその消費電力が低減される。つまり、消音釦の状態をECが監視するとともに、ECの機能(I/Oコントローラ)を利用したソフトウェア(制御プログラム)に従ってオーディオアンプ14の消音状態及び消費電力が制御され、本例では、ECからICHを経てシステム(上位階層)へとメッセージが通知される。
次に、OSの音量インターフェースを利用した場合のシーケンスについて、図5を用いて説明する。
音量や消音等の設定情報をOSが管理する場合に、例えば、ユーザ操作により設定用プログラムにて設定画面(「サウンドとオーディオデバイスのプロパティ」等)上で消音設定が行われた場合には下記に示す処理が行われる。
(B1)消音設定変更検知(オーディオ制御部)
・OSのオーディオ制御部21はユーザ操作によって消音設定が変更されたことを検知する。
(B2)消音状態変更通知の発行(オーディオ制御部)
・OSのオーディオ制御部21は消音状態が変更されたことをユーティリティプログラム19に知らせるためのメッセージを発行する。
OSによって管理されている消音(音量)変更機構にて消音設定を行うことにより、下記に示す(B3)のメッセージ通知や(B4)の設定情報更新が行われる。
(B3)消音状態変更通知の受信(ユーティリティプログラム)
・ユーティリティプログラム19は、OSのオーディオ制御部21からの音量変更通知(イベント通知)を受信する。
(B4)消音設定情報の更新(オーディオ制御部)
・消音設定の変更に従って、設定用プログラムで管理されている設定情報(消音情報)を更新する。
(B5)消音状態変更通知の発行(ユーティリティプログラム)
・ユーティリティプログラム19は上記(B3)で通知を受信すると、ECに対して消音するか又は消音を解除するかを指示するためにメッセージを送信する。
(B6)消音状態変更通知の受理(EC)
・ECは、ユーティリティプログラム19からドライバ18、ICHを経て上記(B5)のメッセージを受信し、EC内部の管理状態を更新する。
(B7)アンプのミュート信号制御(EC→オーディオアンプ)
・ECは、オーディオアンプ14に対してミュート制御信号Saを送出して、消音又はその解除を行う。
(B8)消音又は消音解除(オーディオアンプ)
ミュート制御信号Saに従って、消音の設定又は解除がなされる(スピーカー等への出力レベルがハードウェア的に調整される。)。
(B9)アンプのスタンバイ信号制御(EC→オーディオアンプ)
・ECは、オーディオアンプ14に対してスタンバイ制御信号Sbを送出する。
(B10)省電力モード設定又は省電力モード解除(オーディオアンプ)
スタンバイ制御信号Sbに従って、オーディオアンプ14を省電力状態へと移行させ又は省電力状態の設定を解除する。つまり、消音時にはオーディオアンプ14が省電力モードになり、消音解除時にオーディオアンプ14に省電力モードの設定が解除されて通常動作に戻る。
以上のように、消音設定や消音解除を示す設定変更情報がECに通知され、ECからオーディオアンプ14に送出される制御信号Saによって消音の設定が有効とされる場合には、ECからオーディオアンプ14に送出される制御信号Sbによって該アンプの通電が行われた状態でその消費電力が低減される。つまり、OSで管理される消音設定状態の変更時にはソフトウェア処理に従ってオーディオアンプ14の消音状態及び消費電力が制御され、OSのオーディオ制御部21から、ユーティリティプログラム19を介してメッセージがECに通知されて、オーディオアンプ14のミュート信号制御及びスタンバイ信号制御が行われる。
ユーザ操作や消音設定の変更等により消音モードとなった場合には、それをアンプ外部、つまり、ECで検知し、オーディオアンプ14を省電力状態にすることにより、無駄な電力消費を抑えることができる。上記した構成例では、ECが、消音の設定や制御に用いるプログラムとのインターフェースを提供する機能を有しており、オーディオアンプ14に係る消音の設定が有効とされる場合に、オーディオアンプ14への通電が行われた状態でその消費電力が低減される。
また、逆に消音モードが解除された場合には、オーディオアンプを省電力状態から通常動作状態に戻し、音声出力に影響を与えないようにする。
コンピュータ機器等では、サスペンドあるいはスタンバイと呼ばれる省電力モードが存在するが、そのような待機状態では、オーディオアンプを強制的に省電力状態へと移行させることによって、無駄な消費電力を削減することができる。
また、省電力の制御に関してオーディオコーデックではなく、ECを用いて省電力の設定又は解除を制御することにより、オーディオコーデック(LSI)内のアナログ回路の動作状態やオン/オフのタイミングが掴めるため、ミュートのタイミングやミューティング期間を自由に設定することができる(オーディオコーデックの外部回路に合わせた調整を行える。)。
ポップノイズを発生させないためのミュート制御に外付けの専用回路を用いる必要がなく、既存のECを利用できるので、小型化やコスト低減等に有効である。また、オーディオコーデックに設けられた省電力信号ピンから「省電力モードを示す信号」を取得する形態では、これに対するオーディオドライバの開発工数を必要とするが、上記したECを用いたシステムではそのような開発負担がなく、基本的には全てのオーディオコーデックに対して適用できるという汎用性を有する。
また、省電力状態の解除を行うタイミングを、音楽再生直前に規定するのではなく、ユーザがミューティング操作(消音又は消音解除)を行う時に省電力の設定を有効又は無効にすることで、ポップノイズ防止対策を充分に講じることができる。例えば、ポップノイズ防止のためのミューティング期間が曲頭にかかってしまった場合の曲の頭切れ等、音楽再生への悪影響を未然に防ぐことができる。
上記に説明した構成により得られる利点について簡単にまとめると以下のようになる。
・消音時にオーディオアンプの省電力化を実現でき、これにより、例えば、バッテリ駆動式装置の使用時間を延ばすことができる。
・サスペンド等の待機状態において、明らかに音出力を必要としておらず、かつ、オーディオアンプが通電されている状態で、該アンプの消費電力を低減することができる。
・OSが管理する消音情報(消音の有無を示す情報)と、実際のミュート又はミュート解除の状態との間で整合性を保つことができる。
・既存のECを用いることができ、付加的なハードウェア(外付け回路等)により実現する構成形態に比して安価であって、また、製品の小型化に有効である。
・省電力モードの設定変更に伴って発生するポップノイズや異音を排除することができる。
本発明の基本構成例を示す概念図である。 装置のハードウェア構成例の要部を示す図である。 信号処理について階層構造を例示した説明図である。 消音釦による音量変更について処理の流れを例示した説明図である。 OSの音量インターフェースを利用した場合の処理の流れを例示した説明図である。
符号の説明
1…音声出力機能及び消音機能を有する電子機器、2…音声増幅装置、3…音声出力手段、5…制御手段、11…組み込みコントローラ、12…操作手段

Claims (5)

  1. 音声増幅装置を含む音声出力手段と、音声増幅装置に係る消音状態及び消費電力を制御するための制御手段を備えた、音声出力機能及び消音機能を有する電子機器において、
    上記音声出力手段に係る消音の設定が有効とされる場合に上記制御手段によって上記音声増幅装置を省電力状態へと移行させる
    ことを特徴とする音声出力機能及び消音機能を有する電子機器。
  2. 請求項1に記載した音声出力機能及び消音機能を有する電子機器において、
    待機状態への移行時には、上記制御手段によって上記音声増幅装置を消音状態に設定した後で上記音声増幅装置が通電されたままで該装置を省電力状態へと移行させる
    ことを特徴とする音声出力機能及び消音機能を有する電子機器。
  3. 請求項1に記載した音声出力機能及び消音機能を有する電子機器において、
    上記制御手段として組み込みコントローラを用いるとともに、該組み込みコントローラに係る制御プログラムに従って上記音声増幅装置に係る消音状態及び消費電力が制御される
    ことを特徴とする音声出力機能及び消音機能を有する電子機器。
  4. 請求項3に記載した音声出力機能及び消音機能を有する電子機器において、
    上記組み込みコントローラが、消音の設定や制御に用いるプログラムとのインターフェースを提供する機能を有し、上記組み込みコントローラから上記音声増幅装置に送出される制御信号によって消音の設定が有効とされる場合に、該組み込みコントローラから上記音声増幅装置に送出される制御信号によって該音声増幅装置への通電が行われた状態でその消費電力が低減される
    ことを特徴とする音声出力機能及び消音機能を有する電子機器。
  5. 請求項3に記載した音声出力機能及び消音機能を有する電子機器において、
    消音設定及び解除を行うための操作手段による操作情報又は消音設定若しくは解除を示す設定情報が上記組み込みコントローラに通知されるとともに、該組み込みコントローラから上記音声増幅装置に送出される制御信号によって消音の設定が有効とされる場合に、該組み込みコントローラから上記音声増幅装置に送出される制御信号によって該音声増幅装置への通電が行われた状態でその消費電力が低減される
    ことを特徴とする音声出力機能及び消音機能を有する電子機器。
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