JP2006339356A - 複合軟磁性粉末およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高密度、高強度、高比抵抗および高飽和磁束密度を有する複合軟磁性材を製造するための複合軟磁性粉末およびその製造方法提供する。
【解決手段】少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されているMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面に、さらにモル比でMgO/SiOの値が1.0〜3.0の範囲内にあるMgO−SiO系複合酸化物膜を被覆してなる複合軟磁性粉末であって、この複合軟磁性粉末は容量比でアルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:1〜3の範囲内の比率で混合して得られたMgOとSiO混合酸化物ゾル溶液を前記Mg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより製造する。
【選択図】 なし

Description

この発明は、少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されてなるMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面にさらにMgO−SiO系複合酸化物膜(好ましくはモル比でMgO/SiOの値が2のフォレストライト)を被覆してなる複合軟磁性粉末に関するものであり、この複合軟磁性粉末を使用して作製した高強度、高磁束密度および高抵抗を有する鉄損の少ない複合軟磁性材に関するものであり、そして、この高強度、高磁束密度および高抵抗を有する鉄損の少ない複合軟磁性材は、低鉄損を必要とする各種電磁気回路部品、例えば、モータ、アクチュエータ、ヨーク、ローター、コア、リアクトルなどの各種電磁気部品の素材として使用することができるものである。
一般に、各種電磁気回路部品に使用される軟磁性材は、鉄損が小さいことが要求されるため、電気抵抗を高くして渦電流損を低減させ、保磁力を小さくしてヒステリシス損を低減させることは一般に知られている。さらに、近年、電磁気回路の小型化、高応答化が求められているところから、磁束密度がより高いことも重要視されている。
かかる高比抵抗を有する軟磁性材料を製造するための原料粉末の一例として鉄粉末の表面に化学的な方法によりMg含有フェライト膜を被覆したMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末が知られており(特許文献1参照)、この化学的な方法によりMg含有フェライト膜を被覆したMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末を低融点ガラス粉末と共に混合して混合粉末を作製し、この混合粉末を圧縮成形し熱処理して圧粉磁性材料などを製造する方法も知られている(特許文献2または3参照)。
特開平11−1702号公報 特開2004−253787号公報 特開2004−297036号公報
しかし、従来のMg含有フェライト膜を被覆したMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末は、鉄粉末の表面にMg含有フェライト膜を化学的方法により被覆するために、プレス成形した圧粉体に高温歪取り焼成を行って得られた複合軟磁性材は、フェライト膜が不安定となり変化して絶縁性が低下すると共に、鉄粉末の表面に対するMg含有フェライト膜の密着性が十分でなく、従来のMg含有フェライト膜を被覆したMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末をプレス成形したのち焼成しても十分な強度の複合軟磁性材を作製することができず、また従来の複合粉末を使用して作製した複合軟磁性材はプレス成形中にMg含有フェライト膜が剥離したり破れるなどして十分な絶縁効果が発揮できず、したがって、十分な高比抵抗が得られないという問題点があった。
本発明者らは、かかる問題点を解決するために、先に、
(a)少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されているMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末、
(b)少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されているMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末であって、前記鉄粉末と前記少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜との界面領域に、鉄粉末の中心部に含まれる硫黄よりも高濃度の硫黄を含む硫黄濃化層を有するMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末、
(c)前記Mg含有酸化膜被覆鉄粉末のMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜に含まれる(Mg,Fe)Oは、結晶質のMgO固溶ウスタイト相である前記(a)または(b)記載のMg含有酸化膜被覆鉄粉末、
(d)前記少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有する前記(a)、(b)または(c)記載のMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末、
(e)前記少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、その最表面が実質的にMgOで構成されている前記(a)、(b)、(c)または(d)記載のMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末、などを発明した。
この先に発明した前記(a)、(b)、(c)、(d)または(e)記載のMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末は、鉄粉末を予め酸化雰囲気中で加熱するなどして酸化処理を施すことにより鉄粉末の表面に酸化鉄膜を形成した鉄粉末(以下、酸化処理鉄粉末という)を作製し、この酸化処理鉄粉末にMg粉末を添加し混合して得られた混合粉末を不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で加熱するなどした後さらに酸化性雰囲気中で加熱する酸化処理を施すことにより得られたものであり、これら先に発明したMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末は、
(イ)一般に知られているMgO−FeO−Fe系の中でで代表される(Mg,Fe)O、(Mg,Fe)などのMg−Fe−O三元系各種酸化物のうちで、少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が鉄粉末の表面に形成され、この少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されたMg含有酸化膜被覆鉄粉末は、従来の鉄粉末の表面にMg含有フェライト膜を形成したMg含有酸化膜被覆鉄粉末に比べて酸化膜の鉄粉末に対する密着性が格段に優れることから、プレス成形中に絶縁皮膜である酸化膜が破壊されて鉄粉末同士が接触することが少なく、プレス成形後に高温歪取り焼成を行っても酸化膜の絶縁性が低下することなく高抵抗を維持することができるので渦電流損失が低くなり、さらに歪取り焼成を行った場合に、より保磁力が低減できることからヒステリシス損失を低く抑えることができ、したがって、低鉄損を有する複合軟磁性材料が得られること、
(ロ)前記Mg含有酸化膜被覆鉄粉末のMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜に含まれる(Mg,Fe)Oは、結晶質のMgO固溶ウスタイト(MgOがウスタイト(FeO)に固溶している物質)であることが一層好ましいこと、
(ハ)前記鉄粉末と少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜との界面領域には、鉄粉末の中心部に不可避不純物として含まれている硫黄よりも高濃度の硫黄を含む硫黄濃化層が形成されること、
(ニ)前記少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有すること、
(ホ)前記鉄粉末の表面に形成されている少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、その最表面に含まれるMgOの量が多いほど好ましく、その最表面は実質的にMgOで構成されていることが最も好ましいこと、などの知見に基づいて成されたものである。
これら先に発明した前記(a)〜(d)のMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末を製造するには、まず、鉄粉末を予め酸化雰囲気中、温度:50〜500℃に加熱して酸化処理することにより鉄粉末の表面に酸化鉄膜を形成した酸化処理鉄粉末を作製し、これらの粉末にMg粉末を添加し混合して得られた混合粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で加熱した後、必要によりさらに酸化性雰囲気中、温度:50〜350℃で加熱したのち酸化処理を施すことにより作製する。
また、先に発明した前記(e)記載の少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の最表面が実質的にMgOで構成されているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、鉄粉末を予め酸化雰囲気中、温度:50〜500℃に加熱して酸化処理することにより鉄粉末の表面に酸化鉄膜を形成した酸化処理鉄粉末を作製し、これらの粉末にMg粉末を一層多く添加し混合して得られた混合粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で加熱した後、さらに酸化性雰囲気中で一層長時間加熱したのち酸化処理を施すことにより得られる。
前述の先に発明した前記(a)〜(e)のMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面に形成されているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜に含まれるMgウスタイトは(Mg,Fe):O=1:1のものだけではなくOが固溶幅を有していても良い。
「堆積膜」という用語は、通常、真空蒸発やスパッタされた皮膜構成原子が例えば基板上に堆積した皮膜を示すが、前記鉄粉末の表面に形成されている少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、酸化鉄膜を有する鉄粉末表面の酸化鉄(Fe−O)とMgが反応を伴って当該鉄粉末表面に堆積した皮膜を示す。そして、この鉄粉末の表面に形成されている少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の膜厚は、圧粉成形した複合軟磁性材の高磁束密度と高比抵抗を得るために、5nm〜500nmの範囲内にあることが好ましい。膜厚が5nmより薄いと圧粉成形した複合軟磁性材の比抵抗が充分でなく渦電流損が増加するので好ましくなく、一方、膜厚が500nmより厚いと圧粉成形した複合軟磁性材の磁束密度が低下して好ましくないからである。さらに好ましい膜厚は5nm〜200nmの範囲内である。
また、先に発明した前記(a)〜(e)のMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面に形成されている少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、前記少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と鉄粉末との界面領域に、鉄粉末の中心部に含まれる硫黄よりも高濃度の硫黄を含む硫黄濃化層を有する。この硫黄濃化層を有することはオージェ電子分光法により硫黄濃度を測定し、これをグラフに表すと、硫黄濃度ピークを示すことから確認することができる。界面領域にこの様な硫黄濃化層を有することにより少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の鉄粉末表面に対する密着性がより一層優れるようになり、圧粉成形時の粉末の変形に堆積膜が追従して被覆の破れを防止することができ、焼成時にも鉄粉末同士の接触結合を防止することができて高抵抗を維持することができ、したがって渦電流損失が低くなる。硫黄濃化層の硫黄は、鉄粉末には不可避不純物として硫黄が含まれており、大部分はこの鉄粉末の表面部分に含まれる硫黄から供給されると考えられている。
前記(a)〜(e)のMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面に形成されている少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、その結晶粒が微細であるほど好ましく、結晶粒径が200nm以下の微細結晶組織を有する事が好ましい。この様な微細結晶組織を有することにより、圧粉成形時の粉末の変形に微結晶Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が追従して被覆の破れを防止することができ、焼成時にも鉄粉末同士の接触結合を防止することができ、また、高温歪取り焼成を行っても酸化物が安定で絶縁性低下が防止でき高抵抗で渦電流損失が低くなる。結晶粒径が200nmより大きいとMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の膜厚が500nmよりも厚くなり圧粉成形した複合軟磁性材の磁束密度が低下するようになるので好ましくない。
また、前記(e)のMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面に形成されている少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、その最表面におけるMgOの含有量が多くなるほど好ましく、実質的にMgOで構成されていることが最も好ましい。最表面が実質的にMgOであると、プレス成形した圧粉体の焼成時にもFeの拡散が防止され鉄粉末同士の接触結合を防止することができ絶縁性低下が防止でき高抵抗で渦電流損失が低くなるからである。
以上、先に発明した(a)〜(e)記載のMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末について詳述したが、この発明は、前記の先に発明した(a)〜(e)記載のMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面に、さらにモル比でMgO/SiOの値が1.0〜3.0の範囲内にあるMgO−SiO系複合酸化物膜を被覆することにより一層圧縮成形性および焼結性を向上させた複合軟磁性粉末およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
すなわち、一般に、MgO−SiO系複合酸化物膜は、電気的絶縁性が高く、さらに比較的軟らかい硬さ(モース硬さ1〜4)を有するとともに、さらに減摩作用や潤滑作用に富むために成形時には潤滑材としても働く作用を有することから、先に発明した(a)〜(e)記載のMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面にさらにMgO−SiO系複合酸化物膜を被覆した複合軟磁性粉末は圧縮成形性が一層向上し、さらにMgO−SiO系複合酸化物膜はMgOよりも融点が低いために、MgO−SiO系複合酸化物膜を前記(a)〜(e)記載のMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末に被覆したこの発明の複合軟磁性粉末は焼結性が一層向上する。
しかがって、この発明は、(1)少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されているMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面に、さらにモル比でMgO/SiOの値が1.0〜3.0の範囲内にあるMgO−SiO系複合酸化物膜を被覆してなる複合軟磁性粉末、
(2)少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されておりかつ前記少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と鉄粉末との界面領域に鉄粉末の中心部に含まれる硫黄よりも高濃度の硫黄を含む硫黄濃化層を有するMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面に、さらにモル比でMgO/SiOの値が1.0〜3.0の範囲内にあるMgO−SiO系複合酸化物膜を被覆してなる複合軟磁性粉末、
(3)前記Mg含有酸化膜被覆鉄粉末のMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜に含まれる(Mg,Fe)Oは、結晶質のMgO固溶ウスタイト相である前記(1)または(2)記載の複合軟磁性粉末、
(4)前記少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有する前記(1)、(2)または(3)記載の複合軟磁性粉末、
(5)前記少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、その最表面が実質的にMgOで構成されている前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の複合軟磁性粉末、に特徴を有するものである。
この発明の前記(1)、(2)、(3)、(4)または(59記載の複合軟磁性粉末は、前記(a)、(b)、(c)、(d)または(e)記載のMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面に容量比でアルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:1〜3の範囲内の比率で混合して得られたMgOとSiOの混合酸化物ゾル溶液を付着させたのち加熱乾燥することにより製造することができる。
したがって、この発明は、
(6)容量比でアルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:1〜3の範囲内の比率で混合して得られたMgOとSiOの混合酸化物ゾル溶液をMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面に付着させたのち加熱乾燥することを特徴とする複合軟磁性粉末の製造方法、に特徴を有するものである。
前記(1)、(2)、(3)、(4)または(5)記載の複合軟磁性粉末を圧縮成形したのち500〜1200℃で焼結することにより高強度、高磁束密度および高抵抗を有する鉄損の少ない複合軟磁性材を製造することができる。したがって、この発明は、
(7)前記(1)、(2)、(3)、(4)または(5)記載の複合軟磁性粉末を圧縮成形したのち500〜1200℃で焼成する複合軟磁性材の製造方法、
(8)前記(7)記載の方法で製造した複合軟磁性材、に特徴を有するものである。
この発明によると、高強度および高抵抗を有し、さらに高磁束密度の複合軟磁性材を提供することができ、電気および電子産業において優れた効果をもたらすものである。
実施例1
原料粉末として、平均粒径:70μmを有し不可避不純物として硫黄を極微量含む純鉄粉末を用意し、さらに、平均粒径:50μmのMg粉末を用意した。
まず、前記純鉄粉末を大気中、温度:220℃、2時間保持の条件で酸化処理することにより表面に酸化鉄膜を有する酸化処理鉄粉末を作製し、この酸化処理鉄粉末に対し先に用意したMg粉末を、酸化処理鉄粉末:Mg粉末=99.8質量%:0.3質量%の割合で添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を温度:650℃、圧力:2.7×10−4MPa、1時間保持したのち、さらに大気中、温度:200℃、1時間保持することにより鉄粉末の表面に堆積膜が被覆されているMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末を作製した。このMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末に形成された堆積膜をX線光電子分光装置により分析を行い、結合エネルギーを解析したところ、少なくとも(Mg,Fe)Oが含まれているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜であることが解った。
このMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末における鉄粉末とMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜との界面領域をオージェ電子分光装置を用いた方法により調べた結果、前記少なくとも(Mg,Fe)Oが含まれているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と鉄粉末との界面領域に、鉄粉末の中心部に含まれる不純物硫黄(バックグラウンド)よりも明らかにオージェ電子分光法でピークをもって硫黄が検出されていることから鉄粉末の中心部に含まれる硫黄よりも高濃度の硫黄を含む硫黄濃化層を有することが解った。さらに、Mg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末における少なくとも(Mg,Fe)Oが含まれているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の組織を電子顕微鏡で観察した結果、その堆積膜の平均厚さは60nm、最大結晶粒径は40nmであることがわかった。
さらに、水と塩酸を添加した前加水分解アルコキシシラン溶液およびマグネシウムアルコキシド溶液を用意し、前加水分解アルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:2の容量比で混合してMgOとSiOの混合酸化物ゾル溶液を作製し、このMgOとSiOの混合酸化物ゾル溶液を先に作製したMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末に対してMgOとSiOの混合酸化物換算で0.2質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することによりMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面に2MgO・SiOからなるMgO−SiO系複合酸化物膜を被覆した本発明複合軟磁性粉末を作製した。
この本発明複合軟磁性粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた板状圧粉体およびリング状圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性材を作製し、得られた板状焼結体からなる複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表1に示した。
従来例1
純鉄粉末の表面にMg含有フェライト層を化学的方法で形成したMg含有フェライト被覆鉄粉末を用意し、このMg含有フェライト被覆鉄粉末にシリコーン樹脂およびMgO粉末をシリコーン樹脂:0.14、MgO:0.06、残部:Mg含有フェライト被覆鉄粉末の割合となるように混合して従来混合粉末を作製し、得られた従来混合粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性粉末を作製した。得られた板状焼結体からなる複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表1に示した。
Figure 2006339356
表1に示される結果から、本発明複合軟磁性粉末で作製した複合軟磁性材は従来複合軟磁性粉末で作製した複合軟磁性材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。

Claims (12)

  1. 少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されているMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面に、さらにモル比でMgO/SiOの値が1.0〜3.0の範囲内にあるMgO−SiO系複合酸化物膜を被覆してなることを特徴とする複合軟磁性粉末。
  2. 少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されておりかつ前記少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と鉄粉末との界面領域に鉄粉末の中心部に含まれる硫黄よりも高濃度の硫黄を含む硫黄濃化層を有するMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面に、さらにモル比でMgO/SiOの値が1.0〜3.0の範囲内にあるMgO−SiO系複合酸化物膜を被覆してなることを特徴とする複合軟磁性粉末。
  3. 前記Mg含有酸化膜被覆鉄粉末のMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜に含まれる(Mg,Fe)Oは、結晶質のMgO固溶ウスタイト相であることを特徴とする請求項1または2記載の複合軟磁性粉末。
  4. 前記少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有することを特徴とする請求項1、2または3記載の複合軟磁性粉末。
  5. 前記少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、その最表面が実質的にMgOで構成されていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の複合軟磁性粉末。
  6. 容量比でアルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:1〜3の範囲内の比率で混合して得られたMgOとSiOの混合酸化物ゾル溶液を請求項1、2、3、4または5記載のMg含有酸化鉄膜被覆鉄粉末の表面に付着させたのち加熱乾燥することを特徴とする複合軟磁性粉末の製造方法。
  7. 請求項1、2、3、4または5記載の複合軟磁性粉末を圧縮成形したのち500〜1200℃で焼成することを特徴とする複合軟磁性材の製造方法。
  8. 請求項1〜7記載の内のいずれかの複合軟磁性粉末を用いて作製した複合軟磁性材。
  9. 鉄粒子相とこの鉄粒子相を包囲する粒界相からなり、前記粒界相には結晶質のMgO固溶ウスタイト相を有するMg−Fe−O三元系酸化物が含まれていることを特徴とする請求項8記載の複合軟磁性材。
  10. 請求項8または9記載の複合軟磁性材からなる電磁気回路部品。
  11. 前記電磁気回路部品は、磁心、電動機コア,発電機コア,ソレノイドコア,イグニッションコア,リアクトル,トランス,チョークコイルコアまたは磁気センサコアであることを特徴とする請求項10記載の電磁気回路部品。
  12. 請求項10または11記載の電磁気回路部品を組み込んだ電気機器。
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