JP2006336228A - 地下空間の構築方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 非開削工法を適用するとともに、多様な規模および形状の地下空間を効率的に構築することのできる地下空間の構築方法を提供すること。
【解決手段】 地中において水平方向に延びる上部導坑1と、その下方に位置して水平方向に延びる下部導坑2とを構築する第一工程と、上部導坑1と下部導坑2を連通させる中間導坑3を構築するとともに、構築予定の地下空間10の外周に止水用の地盤改良体4a,b,cを造成する第二工程と、上部導坑1内から該上部導坑まわりの地盤を掘削し、掘削土を中間導坑3を介して下部導坑2から搬出することを繰り返しながら上部導坑まわりに上部の切拡げ部5を造成する第三工程と、上部の切拡げ部5から下方地盤を掘削することによって下部の切拡げ部6を造成することにより、上部の切拡げ部と下部の切拡げ部とからなる地下空間10を構築する第四工程と、からなる。
【選択図】図5
Description
本発明は、地下空間の構築方法に係り、特に、非開削工法を適用するとともに、多様な規模および形状の地下空間を効率的に構築することのできる地下空間の構築方法に関するものである。
平成13年に施行された、いわゆる大深度地下使用法により、特に首都圏などの市街地においては、40m以深の大深度において施工可能なインフラ施設が明確に定義され、その建設の需要が益々高まっているのが現状である。かかる地下のインフラ施設をはじめとして、地下発電所や居住施設、アミューズメント施設など、地下空間の使用目的は多岐にわたっており、その建設に際しては、地上交通等への影響を可及的に少なくしながら、その建設深度や建設規模/形状の多様性にも柔軟に対応した建設方法/技術の開発が望まれている。この地上交通への影響低減のためには、地上を広範囲にわたって占有し、所定深度まで掘削した後に地下空間を形成する施工方法である開削方法を回避することが必須である。かかる開削工法によれば、地上交通への障害をはじめとして、その用地買収等に起因する工事開始の遅延や買収コストの必要など、多様な問題が生じることとなる。
開削工法によることのない地下空間の構築方法に関しては、従来様々な技術が発明されている。特許文献1,2には、地下空間の構築に際し、地下空間構築位置の両側に立坑を構築し、一方の立坑から複数のシールドマシンを掘進させて小断面シールドトンネルを併設施工することにより外郭形状が環状または矩形の支保工を構築し、該支保工にて包囲された外郭内部を掘削することによって地下空間を造成する発明が開示されている。また、特許文献3には、立坑を構築し、該立坑下端から水平方向に延設するシールドトンネルを構築し、該シールドトンネル下方に土留壁を構築しながら所定深度まで掘削することにより、地下空間を構築する方法にかかる発明が開示されている。さらには、出願人によって開示された特許文献4にかかる発明は、シールドマシン1台置きに複数の先行トンネルを構築後、先行トンネルに反力を取りながらシールドマシンを掘進させることにより、先行トンネル間に後行トンネルを構築し、先行/後行トンネル双方の当接側壁を解体/撤去することにより、大規模な平面状の地下空間を構築するものである。
特許文献1,2,4に開示の地下空間の構築方法では、地下空間の構築に際し、該地下空間に比して小断面のシールドトンネルを多数構築する必要があるため、1台のシールドマシンで施工をおこなう場合には工期の長期化が招来されるし、複数のシールドマシンを使用する場合にはマシン製作コスト、ひいては全体の工事コストの高騰が招来される。また、特許文献3に開示の地下空間の構築方法では、水平方向に延設するシールドトンネルが、地下空間の掘削残土の搬出通路と、地下空間構築に際して必要となる資材の搬入通路を兼ねることとなり、異工種の資材搬入や土砂搬出などが1つのトンネル内を錯綜する場合には各工種の作業量が制限されること、異工種の作業導線が1つのトンネル内で錯綜することによって施工安全性が阻害されるといった問題が招来される。また、特許文献3に開示の地下空間の構築方法では、シールドトンネル下方に併設土留壁を構築し、該土留壁間を掘削することによってこの土留壁間に地下空間が構築されるものであるため、地下空間の規模は水平方向に延設するシールドトンネルの規模に拘束されるといった問題がある。
本発明の地下空間の構築方法は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、非開削工法を適用することによって地上交通等に影響を与えないことは勿論のこと、大断面の地下空間を構築する場合でも多数の小断面トンネルを構築する必要のない地下空間の構築方法を提供することを目的としている。また、地下空間構築用の資材等の搬入ルートと、地下空間構築時の発生残土の搬出ルートを分離させることにより、効率性と施工安全性の高い地下空間の構築方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による地下空間の構築方法は、地中において、上部導坑とその下方に位置する下部導坑とを構築する第一工程と、上部導坑と下部導坑を連通させる中間導坑を構築する第二工程と、上部導坑内から該上部導坑まわりの地盤を掘削し、掘削土を中間導坑を介して下部導坑から搬出することを繰り返しながら上部導坑まわりに上部の切拡げ部を造成する第三工程と、上部の切拡げ部から下方地盤を掘削することによって下部の切拡げ部を造成することにより、上部の切拡げ部と下部の切拡げ部とからなる地下空間を構築する第四工程と、からなることを特徴とする。
本発明は、地下空間が構築される地中エリアにおいて、少なくとも地下水対策を必要としない施工ケースを対象としたものである。水平方向(または略水平方向)に延設する上下2つの導坑はそれぞれ、適宜の掘進機にて、地上から所定深度まで下方斜め方向にアプローチ部を造成しながら少なくとも地下空間構築エリアにおいて水平方向に延設するように造成することもできるし、1つの立坑を予め構築し、上下2つの導坑をそれぞれの造成深度から水平方向に掘進機を掘進させながら造成することもできる。また、さらに、一方の導坑の途中から他方の導坑を分岐させることによって2つの導坑を構築することも可能である。ここで、下部導坑の造成深度は、構築される地下空間の規模に応じて、例えば地下空間の下部付近となるような深度に造成されることが好ましい。後述するように、上部から下部へ向かって地盤を掘り下げていく際に、発生残土を中間導坑を介して下部導坑に落とし込むためである。なお、この掘進機は、面盤が円形や矩形(正方形を含む)のシールドマシンや推進機、TBM(トンネルボーリングマシン)など、地盤の軟硬の程度をはじめとする土質性状などを勘案して適宜の掘進機を使用することができる。また、上下の導坑を造成する掘進機の規模、すなわち、造成される導坑の規模は、同規模であってもよいし(上下を1基のマシンで造成する方法や2基のマシンで造成する場合がある)、各導坑の使用目的や工程に応じた必要規模となるように相互に相違する規模とすることもできる。この工程に応じた必要規模とは、工程に余裕がないケースでは、一度に複数の工種の資機材等の搬入/搬出が錯綜するため、かかる作業を安全におこなうことのできる最低限の大きさ(規模)のことである。また、掘削残土の搬出量によっても導坑の規模が決定されることは勿論のことである。
本発明では、上部導坑は一般に、後述する上部の切拡げ部や下部の切拡げ部を造成するためのマシンや機材の搬入ルート、地下空間の構造躯体を構築する際の機材や資材の搬入や支保工などの搬入/搬出ルート、コンクリートポンプの搬入などに供される。一方、下部導坑は一般に、地下空間を造成する際に発生する残土の地上への搬出に供される。
上部導坑と下部導坑とを並行して、または双方を相前後するように造成した後、双方の導坑を例えば鉛直方向に繋ぐ中間導坑を造成する。例えば、下部導坑内から上向きシールドマシンを掘進させ、上部導坑にて該上向きシールドマシンを回収するような実施例がある。なお、上部導坑が下部導坑に比して小径の場合であって、上向きシールドマシンの規模が上部導坑と同程度となり、上向きシールドマシンを該上部導坑にて十分に回収できないような場合には、上部導坑まわりを予め掘削しておいてマシン回収に十分なスペースを確保しておくのがよい。また、その他の中間導坑の造成方法としては、例えば、上部導坑から下部導坑に向かって掘進機を掘進させる方法や、上部導坑から人力掘削をおこなっていく方法などがある。この中間導坑の基数は、構築される地下空間の規模に応じて単数または複数の中間導坑を造成することができる。
上部導坑と下部導坑とそれらを上下に連通させる所望数の中間導坑を構築した後、上部導坑まわりを徐々に掘削拡幅していきながら地下空間の上方部分(上部の切拡げ部)の造成をおこなう。ここで、地盤掘削に使用されるバックホーなどの機材や所望の資材の搬入は、地上から(場合によっては立坑を経由して)上部導坑が搬入ルートとなる。上部導坑がセグメントシールドの場合には、セグメントを解体してその外周地盤の掘削がおこなわれる。上部導坑まわりの掘削によって発生する残土は、中間導坑を介して下部導坑に落とし込まれ、例えば、下部導坑内に装着されたベルトコンベヤによって地上に搬出される。なお、中間導坑は、下方への掘削に応じて該中間導坑も同程度のレベルまで解体される施工方法のほかに、中間導坑に掘削レベルに応じた複数の掘削土搬入孔を開閉自在に設けておくことにより、上部の切拡げ部から掘削深度が下がっていく段階ごとに、各掘削深度付近の掘削土搬入孔を開いて土砂を中間導坑内に放出し、最終的に中間導坑を解体撤去する施工方法を適用することができる。施工の最終段階まで中間導坑を残置させておくことにより、該中間導坑を上部導坑と下部導坑間を昇降可能な連絡通路として使用することが可能となるからである。
上部導坑まわりの所望規模の掘削によって上部の切拡げ部の造成が完了した後は、地下空間を形成する適宜の本設構造壁体を上部の切拡げ部の壁面に構築するのが好ましい。下部の切拡げ部の掘削造成時の施工安全性の確保と、後で一気に本設壁を構築する際に必要となる支保工や足場の構築を排除できることによる施工効率によるものである。
上部の切拡げ部の造成と、その壁面内における地下空間を構成する本設壁の構築後、所定深度までの掘削をおこなうことによって下部の切拡げ部が造成される。なお、下部の切拡げ部の掘削施工に際し、既に構築された上部の切拡げ部から下方に延設する土留壁(地中連続壁など)を構築することもできる。下部の切拡げ部の壁面に地下空間を構成する本設壁を、既施工の上部の本設壁と連続一体化させながら構築することにより、所望規模の地下空間を構築することができる。
本発明によれば、少なくとも上下に2本の導坑と、双方の導坑間を連通させる所望数の中間導坑を予め構築し、上部導坑は機材や資材の搬入/搬出ルートとし、下部導坑は掘削発生残土の搬出ルートとすることにより、可及的に少ない数量の導坑によって、施工安全性と施工の効率性の双方を高めることが可能となる。特に、上部導坑まわりからの切拡げ掘削と、その際に発生する残土を単に中間導坑から下部導坑へ落とし込むだけで該残土を搬出できるといった構成とすることで、施工効率は従来の地下空間の構築方法に比して格段に向上するとともに、上部導坑と下部導坑との離隔を適宜に調整することで、地下空間の多様な規模にも柔軟に対応することが可能となる。
また、本発明による地下空間の構築方法の他の実施形態は、地下水位以深の地盤内における地下空間の構築方法であって、地中において、上部導坑とその下方に位置する下部導坑とを構築する第一工程と、上部導坑と下部導坑を連通させる中間導坑を構築するとともに、構築予定の地下空間の外周に止水用の地盤改良体を造成する第二工程と、上部導坑内から該上部導坑まわりの地盤を掘削し、掘削土を中間導坑を介して下部導坑から搬出することを繰り返しながら上部導坑まわりに上部の切拡げ部を造成する第三工程と、上部の切拡げ部から下方地盤を掘削することによって下部の切拡げ部を造成することにより、上部の切拡げ部と下部の切拡げ部とからなる地下空間を構築する第四工程と、からなることを特徴とする。
本発明は、地下空間が構築される地中エリアの一部または全部が地下水位以深であって、地下水対策を必要とする施工ケースを対象としたものである。上部導坑と下部導坑を構築する工程は、既述する施工方法と同様である。本発明では、第二工程において、中間導坑の造成と地盤改良体の造成をおこなうものであるが、地盤改良体の造成時期は、各導坑の造成と並行する実施例や各導坑構築後に一気に造成する実施例など、適宜の施工方法を採用できる。ここで、造成される止水用の地盤改良工法やその際に使用される材料は特に限定するものではないが、例えば、水ガラス系薬液を主体として、硬化剤や助剤が添加された薬液を地盤内に注入する薬液注入工法や、セメント系材料を地盤内に注入または地盤と混合撹拌することによって止水壁を造成する工法などが適用できる。ここで、この地盤改良体は、構築予定の地下空間の外周にこの地盤改良体による止水壁が造成されるのが好ましい。そこで、地下空間の上方エリアの地盤改良体の造成は、上部導坑からおこない、地下空間の中間エリアの地盤改良体の造成は中間導坑からおこない、地下空間の下方エリアの地盤改良体の造成は下部導坑からおこなうことにより、より効率的な地盤改良体の造成が実現できる。上部の切拡げ部や下部の切拡げ部の造成に際しては、この止水壁までを掘削することにより、所望の内空規模の掘削の際に硬質の止水壁が障害となることがなく、さらには、必要となる地盤改良材を効率的に使用することで工事コストの低減を図ることができる。
地盤改良体による止水壁にて掘削エリア内への地下水の浸入を防止した後は、既述する施工方法と同様に上部の切拡げ部および下部の切拡げ部の造成や地下空間を構成する本設壁の構築をおこなうことにより、所望規模の地下空間が構築される。
また、本発明による地下空間の構築方法の他の実施形態において、前記上部の切拡げ部がドーム状または半円柱状のいずれかの形状に造成されていることを特徴とする。
本発明は、地下空間の外郭形状のうち、特に、その上部の形状を限定したものであり、上部形状をドーム状や半円柱状とすることにより、地盤のアーチ効果を期待できることで、特に上部導坑まわりに上部の切拡げ部を掘削施工する際の施工安全性を安価に図ることが可能となる。例えば、対象地盤が岩質の場合には、かかる形状とすることで地盤が自立でき、無対策でその後の下方地盤掘削を施工できる場合もあるし、上部の切拡げ部の壁面にモルタルなどを吹き付けるだけで、十分な地盤の支保を実現することもできる。
また、一実施形態として、上部の切拡げ部を例えばドーム状とし、下部の切拡げ部を円柱状とし、該円柱の径をドーム径よりも小さくなるように設定することにより(上部が拡幅したリベット状となる)、ドーム状の壁面内に構築された本設壁が下部の切拡げ部まわりの地盤に載り上がる形態となるため、その後の下部の切拡げ部の掘削に際して、上部の切拡げ部の壁面に構築された本設壁を支保する必要がなくなるというメリットがある。
また、本発明による地下空間の構築方法の他の実施形態は、前記上部の切拡げ部の造成後に、該切拡げ部の壁面にモルタル層またはコンクリート層または鋼製プレート層のいずれかの層が形成され、前記下部の切拡げ部の造成後に、該切拡げ部の壁面にモルタル層またはコンクリート層または鋼製プレート層のいずれかの層が形成されることを特徴とする。
本発明は、地下空間の本設壁として、単にモルタルを吹き付けてなるモルタル層や、所定厚のコンクリート層(鉄筋コンクリートを含む)、鋼製プレートを使用する形態、さらには、それらを適宜組み合わせてなる本設壁とするものである。モルタル層による施工は、周辺地盤が岩などからなる硬質地盤の場合に適用が可能であって、施工コストを安価にできる。また、下部の切拡げ部の壁面における本設壁の構築に際しては、既に、所定深度までの掘削が終了し、土砂の搬出ルートとして不要となった下部導坑も資機材搬入/搬出ルートとして使用することができる。
さらに、本発明による地下空間の構築方法の他の実施形態は、前記地下空間の構築方法において、さらに、前記モルタル層またはコンクリート層または鋼製プレート層のいずれかの層から地盤内に緊張材を打設することを特徴とする。
緊張材の使用は、地盤性状(例えば軟弱地盤など)のために施工安全性を確保する目的と、本設壁に作用する土圧を該緊張材にて負担させることによって本設壁の仕様のランクダウンや壁厚の低減を図る目的、さらには双方を満足させる目的などによって使用されるものである。緊張材としては、岩内に打設されるロックボルトや、軟弱地盤の場合には、周面摩擦型や支圧型などの適宜のグラウンドアンカーが使用できる。
以上の説明から理解できるように、本発明の地下空間の構築方法によれば、少なくとも上下に2本の導坑と、双方の導坑間を連通させる所望数の中間導坑を予め構築し、上部導坑は機材や資材の搬入/搬出ルートとし、下部導坑は掘削発生残土の搬出ルートとすることにより、少ない数量の導坑のみで、施工安全性と施工の効率性の双方を高めることができ、さらには、施工コストを格段に低減することができる。また、本発明の地下空間の構築方法によれば、上部導坑と下部導坑間の離隔を建設される地下空間の規模に応じて調整することにより、掘削時の発生残土を中間導坑を介して下部導坑に落とし込み、下部導坑から場外へ搬出することで、効率的な地下空間の構築を実現することができる。さらに、本発明の地下空間の構築方法によれば、既述する施工方法に加えて地下空間の外周部付近に地盤改良体を造成することにより、地下水位以深における地下空間の構築に際しても、施工安全性を確保しながら安価な施工コストにて地下空間を構築することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、上部導坑と下部導坑を造成する工程を示した図であって、(a)はその縦断図であり、(b)は(a)のb−b矢視図を、図2は、中間導坑を造成する工程を示した図であって、(a)はその縦断図であり、(b)は(a)のb−b矢視図を、図3は、地盤改良体を造成する工程を示した図をそれぞれ示している。図4は、上向きシールドマシンを上部導坑にて受け入れる工程を示した図であって、(a)は上部導坑まわりに受け入れ用エリアを掘削施工した状況を示した図であり、(b)は上向きシールドマシンを受け入れている状況を示した図を、図5は、上部の切拡げ部の造成をおこなっている状況を示した図を、図6は、上部の切拡げ部の壁面に本設壁が構築された状況を示した図をそれぞれ示している。図7は、下部の切拡げ部の造成と、下部の切拡げ部の壁面に本設壁を構築し、グラウンドアンカーを地盤内に打設している状況を示した図を、図8は、地下空間が完成した状況を示した図であって、(a)はその縦断図であり、(b)は、(a)に直交する縦断図をそれぞれ示している。なお、図示する実施形態では、上部導坑および下部導坑をシールドマシンにて造成し、中間導坑を上向きシールドマシンにて造成する方法、および、地下空間の形状が上部がドーム状で下部が円筒状であること、本設壁がRCコンクリートと吹付けモルタル層とグラウンドアンカーとから構成されている形態が示されているが、本発明の地下空間の構築方法や構築される地下空間がかかる実施形態に限定されるものでないことは勿論のことである。また、地下水位以深の施工でないケースについては止水用の地盤改良体の造成が必要でないことは勿論のことである。
図1aでは、まず、図示しない立坑から発進した2基のシールドマシンa1,a2が上下の位置関係で水平方向に地盤G内を掘進しながら小径のシールドトンネルからなる上部導坑1および下部導坑2をそれぞれ構築している状況が図示されている。なお、ここでいう小径とは、構築される地下空間に対する相対的な大きさのことである。なお、図1bは、シールドトンネルの延伸方向に直交する方向の断面図である。原則的には、上下2つのシールドトンネルは鉛直関係になるように造成されるのが望ましい。また、図示する実施形態では、下部導坑径が上部導坑径に比して大径となるように構成されている。かかる双方のトンネル径は、同一であってもよいが、図示する実施形態では、土砂の搬出用としてより大径のトンネルを必要としたことから双方のトンネル径を相違させたものである。
少なくとも地下空間が構築されるエリアに上部導坑1および下部導坑2が造成された後、図2に移行して、双方の導坑を連通させる中間導坑3の造成をおこなう。図示する実施形態では造成される中間導坑は1つであるが、地下空間が縦断方向に長い場合などでは、複数の中間導坑が適宜の間隔を置いて造成されるのが好ましい。図2aでは、中間導坑3が下部導坑2から上向きに掘進する上向きシールドマシンa3によって造成されている状況が示されている。なお、図2bに示すように、本実施形態では、この上向きシールドマシンa3と上部導坑1双方の外径がほぼ同径となるために該上向きシールドマシンa3を確実に上部導坑1にて受け入れることができないため、まず、上部導坑1に近接した位置まで中間導坑3の造成をおこなう。
次に、図3に移行し、地中内に構築される地下空間の外郭付近に地盤改良体を造成する。本発明では止水を目的とすることから、地盤改良材としては、公知の薬液を注入する方法によればよい。地盤改良施工は、その施工深度に応じて上部導坑1内部から地盤改良体4aを造成する工程と、中間導坑3内部から地盤改良体4bを造成する工程と、下部導坑2内部から地盤改良体4cを造成する工程とからなり、かかる深度に応じた地盤改良施工をおこないながら地盤改良体4a〜4cが連続一体化された地盤改良体4を造成することで、効率的で施工精度のよい地盤改良施工が実現できる。止水用の地盤改良体を造成することにより、その内部を掘削する際の施工安全性の確保は勿論のこと、掘削時に周辺地盤から地下水を集積させることによって周辺地盤の圧密沈下等が招来されるなどといった問題も解消することができる。
地盤改良体4a,4b,4cにて以後に構築される地下空間の周囲を確実に包囲して止水施工を施した後、図4に移行して、上向きシールドマシンa3を上部導坑1付近で受け入れる工程に移る。まず、図4aに示すように、上部導坑1まわりを上向きシールドマシンa3を受け入れ可能な範囲まで拡幅掘削して拡幅部5aを造成し、図4bに示すように、上向きシールドマシンa3の受け入れをおこなうことにより、上部導坑1と下部導坑2とを中間導坑3にて連通させることができる。なお、上部導坑1と下部導坑2、および地下空間3はコンクリート製のセグメントから構築されてもよいが、その解体/撤去がコンクリート製セグメントに比して容易な鋼製セグメントから構築されるのが好ましい。
下部導坑2内部に図示しない立坑まで延設するベルトコンベヤ9を設置し、図5に示すように上部の切拡げ部5を順次造成しながら、掘削時の発生残土は中間導坑3を介して下部導坑2内のベルトコンベヤ9上に落とし、立坑側へ搬出させる。なお、上部の切拡げ部5の掘り下げに応じて中間導坑3も順次解体していき、掘削時の土砂の落とし込みが可能となるようにする。なお、ベルトコンベヤによる残土の搬出方式以外にも、下部導坑に立坑まで通じる軌道を設け、該軌道上を残土運搬車が走行する方式などであってもよい(図示略)。
図6は、造成が完了した上部の切拡げ部5の壁面に地下空間の本設壁7が構築された状況を示している。上部の切拡げ部における本設壁7はRCコンクリートにて構築され、上載荷重を確実に支持し得る構造とする。なお、図示する実施形態では、この本設壁7はドーム状に形成されており、したがって、地盤が硬質な場合にはそのアーチ効果が期待できることから本設壁に作用する土圧も軽減され、結果として本設壁の壁厚を薄くできるなどの効果がある。また、かかる形状とすることで、上載荷重による土圧によって部材への応力集中が回避できることから構造の簡素化にも繋がる。また、図示する地下空間の外郭形状は、上部の切拡げ部のドーム径よりも下部の切拡げ部の円筒径が小さくなるように構成されており、したがって、地盤改良体の縮径部41にて本設壁7を支持することが可能となる。
図7は、上部の切拡げ部における本設壁7の構築後、下部の切拡げ部6の掘削造成と、壁面へのモルタルの吹付け、グラウンドアンカーの地盤内への打設を順次おこなっている状況を示したものである。本実施形態では、下部の切拡げ部の本設壁を吹付けモルタル層とグラウンドアンカーの併用としている。これは、対象地盤が比較的硬質で、いわゆる吹付けモルタルとロックボルトとからなるNATM工法をそのまま応用したものである。下部の切拡げ部6の掘り下げに応じて吹付けモルタル層を施工し、さらにグラウンドアンカーを打設しながら所定深度までの掘り下げをおこなっていく。なお、吹付けモルタル層とグラウンドアンカーを併用した構造のほかに、上部のドーム状構造と同様にRCコンクリート造としてもよいし、吹付けモルタル層よりも剛性の高い鋼製プレート層にて構成してもよい。
図8は、完成した地下空間10を示したものであり、地下空間10の内空形状は、その上部がドーム状で下部が円筒状となる形態の地下空間である(図8a)。図8bは、図8aの縦断図であるが、最終的には、シールドマシンa1,a2は地下空間を所定の位置まで掘削した段階で解体/回収するなどし、ベルトコンベヤなどの解体/撤去によって地下空間10が完成することとなる。
上記実施形態に示すように、本発明の地下空間の構築方法によれば、上部導坑と下部導坑との間の離隔、すなわち中間導坑の延長を適宜調整するだけで、大小様々な規模および多様な形状の地下空間にも臨機に対応することができ、また、地下空間の規模が大規模となっても、施工コストを大幅にアップさせることなく、効率的な地下空間の構築を実現することができる。特に、上部導坑は資機材の搬入ルートとして使用し、下部導坑は土砂の搬出ルートとすることで、発生土砂を単に下方へ落とし込むだけで土砂の搬出が可能となり、異工種が1つの導坑に錯綜することもないことから、施工効率は格段に飛躍するものであり、また、高い施工安全性の確保を図ることができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…上部導坑、2…下部導坑、3…中間導坑、3a…土砂搬出口、4、4a,4b.4c…地盤改良体、5…上部の切拡げ部、5a…拡幅部、6…下部の切拡げ部、7…RCコンクリート壁、8a…吹付けモルタル層、8b…グラウンドアンカー、9…ベルトコンベア、10…地下空間、a1,a2…シールドマシン、a3…上向きシールドマシン
Claims (5)
- 地下空間の構築方法であって、
地中において、上部導坑とその下方に位置する下部導坑とを構築する第一工程と、上部導坑と下部導坑を連通させる中間導坑を構築する第二工程と、上部導坑内から該上部導坑まわりの地盤を掘削し、掘削土を中間導坑を介して下部導坑から搬出することを繰り返しながら上部導坑まわりに上部の切拡げ部を造成する第三工程と、上部の切拡げ部から下方地盤を掘削することによって下部の切拡げ部を造成することにより、上部の切拡げ部と下部の切拡げ部とからなる地下空間を構築する第四工程と、からなることを特徴とする地下空間の構築方法。 - 地下水位以深の地盤内における地下空間の構築方法であって、
地中において、上部導坑とその下方に位置する下部導坑とを構築する第一工程と、上部導坑と下部導坑を連通させる中間導坑を構築するとともに、構築予定の地下空間の外周に止水用の地盤改良体を造成する第二工程と、上部導坑内から該上部導坑まわりの地盤を掘削し、掘削土を中間導坑を介して下部導坑から搬出することを繰り返しながら上部導坑まわりに上部の切拡げ部を造成する第三工程と、上部の切拡げ部から下方地盤を掘削することによって下部の切拡げ部を造成することにより、上部の切拡げ部と下部の切拡げ部とからなる地下空間を構築する第四工程と、からなることを特徴とする地下空間の構築方法。 - 前記上部の切拡げ部がドーム状または半円柱状のいずれかの形状に造成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の地下空間の構築方法。
- 前記上部の切拡げ部の造成後に、該切拡げ部の壁面にモルタル層またはコンクリート層または鋼製プレート層またはそれらを組み合わせてなる層のいずれかの層が形成され、前記下部の切拡げ部の造成後に、該切拡げ部の壁面にモルタル層またはコンクリート層または鋼製プレート層またはそれらを組み合わせてなる層のいずれかの層が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の地下空間の構築方法。
- 請求項4に記載の地下空間の構築方法において、さらに、前記モルタル層またはコンクリート層または鋼製プレート層またはそれらを組み合わせてなる層のいずれかの層から地盤内に緊張材を打設することを特徴とする地下空間の構築方法。
Priority Applications (1)
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JP2005159570A JP2006336228A (ja) | 2005-05-31 | 2005-05-31 | 地下空間の構築方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012229590A (ja) * | 2011-04-27 | 2012-11-22 | Taisei Corp | 掘削土砂の搬出方法および掘削土砂の搬出システム |
JP2017524950A (ja) * | 2014-06-13 | 2017-08-31 | ▲長▼江勘▲測▼▲規▼▲劃▼▲設▼▲計▼研究有限▲責▼任公司 | 地下原子力発電所の原子力アイランド空洞群の円形建設レイアウト |
CN113389579A (zh) * | 2021-07-30 | 2021-09-14 | 中铁十一局集团第五工程有限公司 | 一种地下大空间立式罐体的开挖方法 |
-
2005
- 2005-05-31 JP JP2005159570A patent/JP2006336228A/ja not_active Withdrawn
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