JP2006335800A - 高分子フィルムの鹸化処理方法ならびに該鹸化処理方法により処理された高分子フィルム、光学補償フィルム、偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents

高分子フィルムの鹸化処理方法ならびに該鹸化処理方法により処理された高分子フィルム、光学補償フィルム、偏光板、および液晶表示装置 Download PDF

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信 石原
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Abstract

【課題】 高分子フィルムと、接着層や配向膜との密着性を良化させる方法を提供。
【解決手段】 下記条件1でアルカリ鹸化した際に、アルカリ鹸化溶液中へ1.0ppm以上溶出する添加剤を少なくとも一種含有する高分子フィルムの鹸化処理方法であって、 該高分子フィルムを、アルカリ鹸化溶液を用いて、下記式(A)で表されるV値が5〜13となる条件で鹸化する工程を含むことを特徴とする鹸化処理方法。 条件1: 1.6×10-63のフィルムを、55℃に加熱した3NのNaOH 50ml中に、 5分間浸漬する。 式(A): T/10+S+D =V [上記式(A)において、Tは鹸化処理温度(℃)、Sは鹸化処理時間(分)、Dは鹸化溶液のアルカリ規定度(N)である。]
【選択図】 なし

Description

本発明は、高分子フィルムの鹸化処理方法ならびに該鹸化処理方法により処理された高分子フィルム、光学補償フィルム、偏光板、および液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(LCD)は、液晶セルおよび偏光板からなる。偏光板は保護フィルム(保護膜)および偏光膜を有し、例えば、ポリビニルアルコールからなる偏光膜をヨウ素にて染色して延伸を行い、その両面に保護フィルムを貼り付けて形成される。透過型液晶表示装置では、この偏光板が液晶セルの両側に配置されており、さらには1枚以上の光学補償フィルムを配置することもある。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、1枚以上の光学補償フィルム、偏光板の順に配置する。
液晶セルは、液晶性分子、それを封入するための2枚の基板、及び液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、液晶性分子の配向状態の違いで、ON、OFF表示を行い、透過型および反射型のいずれの液晶表示装置にも適用できる、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードが提案されている。
偏光板は、一般に、偏光膜とその両側に設けられた2枚の透明保護膜とからなる。偏光膜は、一般に、ポリビニルアルコールにヨウ素または2色性染料の水溶液を含浸させ、さらにこのフィルムを一軸延伸することより得られる。保護膜にセルロースエステルフィルムを用いた偏光板は、優れた光学特性を有し、広い波長範囲で高い透過率、偏光度を示し、明るさ、コントラストに優れていることから各種画像表示用の偏光板としても多用されている。
このような偏光板、光学補償シート等の光学的機能性を有するシート状材料は光学フィルムと呼ばれているが、光学フィルムの透明支持体として、優れた光透過性、光学的な無配向性で、優れた物理的、機械的性質を有し、且つ温湿度変化に対する寸法変化が少ない等の特性を有するセルロースアセテートフィルムに代表されるセルロースエステルフィルムが用いられる。
偏光板、光学補償シートは、透明支持体のセルロースエステルフィルムに、偏光膜や光学補償層が、接着層や配向膜(通常はポリビニルアルコール)を介して設けられるが、これら接着層や配向膜との密着性を持たせるための1つの手段として、セルロースエステルフィルムをアルカリ水溶液に浸漬処理してその表面を鹸化し親水化する方法(例えば、特許文献1〜4)が知られている。
ところで、LCDの中でも、高い表示品位が必要な用途については、TNモードによる液晶表示装置(90度ねじれネマチック型液晶表示装置)が適している。このTNモードでは、正の誘電率異方性を有するネマチック液晶分子を用い、薄膜トタンジスタにより駆動している。このTNモードは正面から見た場合には優れた表示特性を有するものの、斜め方向から見た場合にコントラストが低下したり、階調表示で明るさが逆転する階調反転が起こることにより、表示特性が悪くなるという視野角特性を有しており、この改良が強く要望されている。
かかる問題を解決するため、横電界を液晶に対して印加する、いわゆるIPSモード(インプレーンスイッチング)による液晶表示装置や、誘電率異方性が負の液晶を垂直配向してパネル内に形成した突起やスリット電極によって配向分割したVA(垂直配向)モードが提案され、実用化されている。近年、これらのパネルはパソコン等のモニター用途に留まらず、TV用途として開発が進められており、それに伴って画面の輝度が大きく向上してきている。このため、これらの動作モードで従来問題とされていなっかった、黒表示時の対角位斜め入射方向での僅かな光漏れが表示品質の低下の原因として顕在化してきた。
このような黒表示時の光漏れは、液晶セルと偏光子との間にある偏光板保護膜として従来用いられてきたトリアセチルセルロースフィルムに面内のレターデーションReがおよそ5nm程度、膜厚方向のレターデーションRthがおよそ50nmあることが原因のひとつとなっていた。そのため、面内のレターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRthがともに小さい高分子フィルムを開発し、偏光板の保護フィルムとして用いることが望まれている。
特開平7−151914公報の段落番号[0025] 特開平8−94838号公報の段落番号[0033] 特開2001−166146号公報の段落番号[0083] 特開2001−188130号公報の段落番号[0042]
上述のように高分子フィルムと、接着層や配向膜との密着性を良化させるために、高分子フィルムをアルカリ溶液に浸漬処理して、フィルム表面を鹸化し親水化する手段が用いられているが、フィルム中に鹸化液への溶出性が大きい添加剤が含まれている場合、鹸化処理によってフィルム中の添加剤が多量に溶出し、鹸化後の高分子フィルムのヘイズが通常よりも上がりやすくなってしまい、そのために該高分子フィルムを偏光板保護フィルムとして用いた偏光板の性能が低下してしまうという問題があることが本発明者らによって明らかとなった。
このように、従来のアルカリ鹸化処理方法では、添加剤が溶出しやすい場合には問題があり、未だ十分に要望に応えた方法がなく、安定に生産性良く作製する方法が望まれている。
したがって、本発明の目的は、高分子フィルムを安定に且つ、添加液の溶出が少ないアルカリ鹸化処理方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、画像表示装置において表示欠陥のない大きい面積の光学シートを提供することであり、これを容易に製造するための表面鹸化セルロースエステルフィルムを提供することである。
さらに、本発明の別の目的は、鹸化後のヘイズが2.0%以下の面内のレターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRthがともに小さい高分子フィルムおよび、それを用いた光学補償フィルム、偏光板を提供し、優れた液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、鹸化液への溶出量の多い添加剤を含有する高分子フィルムを鹸化処理する際に、処理温度、処理時間、鹸化液アルカリ規定度を適宜調節することで、添加剤の鹸化液への溶出とそれに伴うフィルム面状の悪化、ヘイズの上昇を抑制し、偏光板保護フィルムとして好適な高分子フィルムを作製することに成功した。
すなわち本発明は下記構成により達成された。
(1)下記条件1でアルカリ鹸化した際に、アルカリ鹸化溶液中へ1.0ppm以上溶出する添加剤を少なくとも一種含有する高分子フィルムの鹸化処理方法であって、
該高分子フィルムを、アルカリ鹸化溶液を用いて、下記式(A)で表されるV値が5〜13となる条件で鹸化する工程を含むことを特徴とする鹸化処理方法。
条件1:
1.6×10-63のフィルムを、55℃に加熱した3NのNaOH 50ml中に、 5分間浸漬する。
式(A):
T/10+S+D =V
[上記式(A)において、Tは鹸化処理温度(℃)、Sは鹸化処理時間(分)、Dは鹸化溶液のアルカリ規定度(N)である。]
(2)該高分子フィルムが、前記条件1でアルカリ鹸化した際に、鹸化液溶出量が1.0ppmより小さい添加剤を少なくとも1種類含有することを特徴とする上記(1)記載の鹸化処理方法。
(3)前記鹸化処理方法が、
高分子フィルムの鹸化反応を進行させる、アルカリ鹸化溶液による鹸化工程と、
鹸化反応を減速あるいは停止させる希釈工程または中和工程を含むことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の鹸化処理方法。
(4)前記アルカリ鹸化溶液に、界面活性剤を含むことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の鹸化処理方法。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の鹸化処理方法で鹸化処理したことを特徴とする高分子フィルム。
(6)該鹸化処理後の高分子フィルムの少なくとも片面の水の接触角が、50度以下5度以上であることを特徴とする上記(5)に記載の高分子フィルム。
(7)該鹸化処理後の高分子フィルムのヘイズが2.0%以下であることを特徴とする上記(5)または(6)に記載の高分子フィルム。
(8)該鹸化処理後の高分子フィルムの、測定波長590nmにおける面内レターデーション値Reが20nm以下であり、膜厚方向のレターデーション値Rthの絶対値が25nm以下であることを特徴とする上記(5)〜(7)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(9)該高分子フィルムを形成する高分子材料が、アシル置換度が2.50〜3.00のセルロースアシレートからなることを特徴とする上記(5)〜(8)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(10)該セルロースアシレートのアシル置換基が、アセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなることを特徴とする上記(9)記載の高分子フィルム。
(11)上記(5)〜(10)のいずれかに記載の高分子フィルムに、Re(590)が0〜200nmであり、かつ|Rth(590)|が0〜300nmである光学異方性層を有した光学補償フィルム。
[Re(λ)およびRth(λ)は、それぞれ波長λ(nm)における面内レターデーション(nm)および膜厚方向のレターデーション(nm)である。]
(12)前記光学異方性層がディスコティック化合物を含むことを特徴とする上記(11)に記載の光学補償フィルム。
(13)前記光学異方性層が棒状化合物を含むことを特徴とする上記(11)に記載の光学補償フィルム。
(14)前記光学異方性層がポリマーフィルムを含むことを特徴とする上記(11)に記載の光学補償フィルム。
(15)上記(5)〜(10)のいずれかに記載の高分子フィルム、または上記(11)〜(14)のいずれかに記載の光学補償フィルムを、偏光子の保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
(16)上記(5)〜(10)のいずれかに記載の高分子フィルム、上記(11)〜(14)のいずれかに記載の光学補償フィルム、または上記(15)に記載の偏光板を用いたことを特徴とするVAまたはIPS液晶表示装置。
本発明によれば、高分子フィルムが鹸化液溶出量の多い添加剤を含有する場合であっても、高分子フィルムを安定に且つ、添加剤の溶出が少ないアルカリ鹸化処理方法を提供できる。本発明の鹸化処理方法を用いることで、添加剤の鹸化液への溶出のしやすさに制限されることなく、様々な添加剤(例えばレターデーション低下剤、レターデーション上昇剤、波長分散調整剤など)を用いることが可能となり、フィルム処方の自由度が著しく向上し、高分子フィルムの高機能化に貢献できる。
本発明は、鹸化液溶出量の多い添加剤を含有する高分子フィルムの鹸化処理方法に関し、
下記条件1でアルカリ鹸化した際に、アルカリ鹸化溶液中へ1.0ppm以上溶出する添加剤を少なくとも一種含有する高分子フィルムの鹸化処理方法であって、
該高分子フィルムを、アルカリ鹸化溶液を用いて、下記式(A)で表されるV値が5〜13となる条件で鹸化する工程を含む鹸化処理方法である。
条件1:
1.6×10-63のフィルムを、55℃に加熱した3NのNaOH 50ml中に、 5分間浸漬する。
式(A):
T/10+S+D =V
[上記式(A)において、Tは鹸化処理温度(℃)、Sは鹸化処理時間(分)、Dは鹸化溶液のアルカリ規定度(N)である。]
また、本発明のアルカリ鹸化処理方法による処理を行った高分子フィルム(以下、「本発明の高分子フィルム」と称する)は、液晶表示装置の基本的な構成部材である偏光板の透明保護フィルムとしてのぞましく用いることができる。
以下、本発明の高分子フィルムについて詳細に説明する(本発明の鹸化処理方法については後述で詳細に説明する。)。
[フィルムのレターデーション]
本発明の高分子フィルムは、波長590nmにおけるフィルム面内のレターデーションRe(590)が0≦Re(590)≦20であることが好ましい。0≦Re(590)≦15がより好ましく、0≦Re(590)≦10であることがさらに好ましい。
本発明の高分子フィルムは、波長590nmにおけるフィルム膜厚方向のレターデーションRth(590)が|Rth(590)|≦25であることが好ましい。より好ましくは、|Rth(590)|≦23であり、更に好ましくは|Rth(590)|≦20である。
フィルム面内のレターデーションRe(590)およびフィルム膜厚方向のレターデーションRth(590)を上記所望の範囲とするには、ポリマー種および添加剤をコントロールすることにより行うことができる。
(レターデーションの測定)
本明細書において、高分子フィルムの面内のレターデーション値Reは、試料70mm×100mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA21DH、王子計測(株)を用いて、測定波長λnmで、フィルム面に対して垂直な方向(以下、フィルム法線方向ともいう。)から測定した値とする(本明細書において、ReおよびRthは、特に断りの無い限りは、測定波長を590nmにおける値である)。
また、高分子フィルムの膜厚方向のレターデーション値Rthは、上記のRe、遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、及び、遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に自動複屈折計KOBRA 21ADHによって算出した値とする。
また、本明細書では、波長λ(nm)における面内レターデーション(nm)、膜厚方向のレターデーション(nm)をそれぞれ、Re(λ)、Rth(λ)と記すこともある。
なお、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚dを入力することで、KOBRA 21ADHによってnx、ny、nz、を算出することができる。(ここで、nx:フィルム面内の遅相軸方向の屈折率、ny:フィルム面内の進相軸方向の屈折率、nz:フィルム膜厚方向の屈折率である。)
[高分子フィルムの作製方法]
本発明の高分子フィルムは、熱可塑性のポリマー樹脂を熱溶融して製膜しても良いし、ポリマーを均一に溶解した溶液から溶液製膜(ソルベントキャスト法)によって製膜してもよいが、ソルベントキャスト法によってフィルムを作製することが好ましい。以下、ソルベントキャスト法について説明する。
(ソルベントキャスト法によるフィルム作製方法)
ソルベントキャスト法を用いて高分子フィルムを製造するには、まず、フィルム原料のポリマーを適当な有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を調製し、このドープを適当な支持体(好ましくは金属支持体)の上に流延する。その後溶剤を乾燥させ、フィルムがゲル化したところで支持体から剥ぎ取り、さらにフィルムから溶剤を十分に乾燥させて、高分子フィルムを形成する。
(金属支持体)
本発明の高分子フィルムを製造するのに使用されるエンドレスに走行する金属支持体としては、表面がクロムメッキによって鏡面仕上げされたドラムや表面研磨によって鏡面仕上げされたステンレスベルト(バンドといってもよい)が用いられる。表面が平滑な支持体を得るには、不純物の少ない材料を異物等が極力除外された清浄な環境下で充分に研磨して鏡面とする。例えば、特開2000−84960号公報に記載されているように支持体表面の中心線平均粗さRaを1〜3nmとすることで、フィルム表面の荒れやフィルム曇り度(ヘイズ値)が上がらないようにしている。これらの溶液流延製膜法にて成形したフィルムの平滑性は、支持体表面の異物や凹凸が少ないほど良好となる。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、米国特許2367603号、米国特許2492078号、米国特許2492977号、米国特許2492978号、米国特許2607704号、米国特許2739069号、米国特許2739070号、英国特許640731号、英国特許736892号の各明細書、特公昭45−4554号、特公昭49−5614号、特開昭60−176834号、特開昭60−203430号、特開昭62−115035号の各公報に記載がある。ドープは、表面温度が30℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましく用いられ、特には−40〜40℃の金属支持体温度であることが好ましい。また、製膜速度が上げられる点でドラムを用いた方法が好ましく、その場合には金属支持体の温度は0から−40℃とすることが好ましい。
(剥ぎ取り時の残留溶剤量)
フィルムを剥ぎ取るためにはフィルム中の残留溶剤量が60〜300%であることがのぞましい。なお、残留溶剤量は次式で表される。なお、残存揮発分重量はフィルムを120℃で2時間加熱処理したときに、加熱処理前のフィルム重量から加熱処理後のフィルム重量を引いた値である。
残留溶剤量=残存揮発分重量/加熱処理後フィルム重量×100(%)
(製膜速度)
製膜速度は、生産効率の点から20m/min以上であることが好ましく、40m/minがより好ましく、70m/minがさらに好ましい。また、300m/minより速い速度では製造工程が大がかりとなるためメリットが少なく好ましくない。
[高分子フィルムの材質]
本発明の高分子フィルムを形成する材料としては、光学性能、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるポリマーが好ましく、どのような材料を用いても良い。例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーを混合したポリマーも例として挙げられる。また本発明の高分子フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の紫外線硬化型、熱硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、本発明の高分子フィルムを形成する高分子材料としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を好ましく用いることができる。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等が挙げられる。
また、本発明の高分子フィルムを形成する高分子材料としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきたセルロース系ポリマーを好ましく用いることができる。セルロース系ポリマーとしてはセルロースアシレートが好ましく、セルロースアシレートの代表例としては、トリアセチルセルロースが挙げられる。
以下に、本発明において好適なセルロースアシレートについて詳細に説明する。
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明においては特に限定されるものではない。
[セルロースアシレート置換度]
次に上述のセルロースを原料に製造される本発明において好適なセルロースアシレート(以下、本発明のセルロースアシレートと称する)について記載する。本発明のセルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
上述のように本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることがのぞましい。さらには置換度が2.75〜3.00であることがのぞましく、2.85〜3.00であることがよりのぞましい。
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノイルがより好ましい。
本発明の発明者が鋭意検討した結果、上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、アセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合においては、その全置換度が2.50〜3.00の場合にセルロースアシレートフィルムの光学異方性が低下できることがわかった。この場合のより好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、さらにのぞましくは2.65〜3.00である。
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜4.0であることが好ましく、2.0〜3.5であることがさらに好ましく、2.3〜3.3であることが最も好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明のセルロースアシレートの製造時に使用される際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%であることが知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。本発明のこれらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
本発明のセルロースアシレートは置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
[セルロースアシレートへの添加剤]
本発明のセルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、光学的異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの光学的異方性、とくにフィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物を、下記式(I)、(II)をみたす範囲で少なくとも一種含有することがのぞましい。
(I)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
(II)0.01≦A≦30
上記式(I)、(II)は
(I)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−2.0
(II)0.05≦A≦25
であることがよりのぞましく、
(I)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−3.0
(II)0.1≦A≦20
であることがさらにのぞましい。
ここで、Rth(A)はRthを低下させる化合物をA%含有したフィルムのRth(nm)、Rth(0)はRthを低下させる化合物を含有しないフィルムのRth(nm)、Aはフィルム原料ポリマーの重量を100としたときの化合物の重量(%)である。
[セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物の構造的特徴]
セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物について説明する。本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、フィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いて光学的異方性を十分に低下させ、ReがゼロかつRthがゼロに近くなるようにした。このためには光学的異方性を低下させる化合物はセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
(logP値)
本発明のセルロースアシレートフィルムを作製するにあたっては、上述のようにフィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制して光学異方性を低下させる化合物のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物が好ましい。logP値が7を超える化合物は、セルロースアシレートとの相溶性に乏しく、フィルムの白濁や粉吹きを生じやすい。また、logP値が0よりも小さな化合物は親水性が高いために、セルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させる場合がある。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)、Viswanadhan's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989).)、Broto's fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.- Chim.Theor.,19,71(1984).)などが好ましく用いられるが、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen's fragmentation法により判断することが好ましい。
[光学的異方性を低下する化合物の物性]
光学異方性を低下させる化合物は、芳香族基を含有しても良いし、含有しなくても良い。また光学異方性を低下させる化合物は、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることが好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
光学異方性を低下させる化合物は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。また光学異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
光学異方性を低下させる化合物の添加量は、セルロースアシレートの質量に対して0.01〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。
光学異方性を低下させる化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
光学異方性を低下させる化合物を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
光学異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートフィルムの少なくとも一方の側の表面から全膜厚の10%までの部分における該化合物の平均含有率が、該セルロースアシレートフィルムの中央部における該化合物の平均含有率の80−99%であることが好ましい。本発明の化合物の存在量は、例えば、特開平8−57879号公報に記載の赤外吸収スペクトルを用いる方法などにより表面および中心部の化合物量を測定して求めることができる。
以下に本発明で好ましく用いられる、セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物の具体例としては、下記一般式(13)で表される化合物が挙げられるが、本発明はこれら化合物に限定されない。
Figure 2006335800
一般式(13)の化合物について説明する。
上記一般式(13)において、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、R1、R2およびR3の炭素原子数の総和が10以上であることが特に好ましい。R1、R2およびR3は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1ないし25のものが好ましく、6ないし25のものがより好ましく、6ないし20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t-オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシル)が特に好ましい。アリール基としては炭素原子数が6ないし30のものが好ましく、6ないし24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニル)が特に好ましい。
一般式(13)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006335800
Figure 2006335800
Figure 2006335800
iPrはイソプロピル基を表す。
[波長分散調整剤]
セルロースアシレートフィルムの波長分散を低下させる化合物(以下波長分散調整剤ともいう)について説明する。波長分散調整剤としては、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30重量%含むことによってセルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調整することが好ましい。
上述したような、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、化合物自身のRe、Rthの波長分散が短波長側が大きいと想定されるものを用いることによって、セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調製することができる。このためには波長分散を調整する化合物はセルロースアシレートに十分均一に相溶することが要求される。このような化合物の紫外領域の吸収帯範囲は200〜400nmが好ましいが、220〜395nmがより好ましく、240〜390nmがさらに好ましい。
また、近年テレビやノートパソコン、モバイル型携帯端末などの液晶表示装置ではより少ない電力で輝度を高めるに、液晶表示装置に用いられる光学部材の透過率が優れたものが要求されている。その点においては、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物をセルロースアシレートフィルムに添加する場合、分光透過率が優れている要求される。本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることがのぞましい。
上述のような、本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤は揮散性の観点から分子量が250〜1000であることが好ましい。より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
波長分散調整剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
(化合物添加量)
上述した本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤の添加量は、セルロースアシレートの質量に対して0.01ないし30重量%であることが好ましく、0.1ないし20重量%であることがより好ましく、0.2ないし10重量%であることが特に好ましい。
(化合物添加の方法)
またこれら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
またこれら波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
本発明に好ましく用いられる波長分散調整剤の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。
ベンゾトリアゾール系化合物としては一般式(101)で示されるものが本発明の波長分散調整剤として好ましく用いられる。
一般式(101) Q1−Q2−OH
(式中、Q1は含窒素芳香族ヘテロ環基、Q2は芳香族環基を表す。)
1は含窒素芳香族へテロ環基をあらわし、好ましくは5ないし7員の含窒素芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくは5ないし6員の含窒素芳香族ヘテロ環基であり、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデン等の各環基があげられ、更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環、またはトリアジン環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、1,3,5−トリアジンなどの各環が好ましく、特に好ましくは、ベンゾトリアゾール環または1,3,5−トリアジン環である。
1で表される含窒素芳香族ヘテロ環は更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。最も好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどの各環が挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン環、トリアジン環、キノリン環である。
2であらわされる芳香族環基として好ましくは芳香族炭化水素環基であり、より好ましくはナフタレン環基、ベンゼン環基であり、特に好ましくはベンゼン環基である。Q2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの各基が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどの各基が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどの各基が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどの各基が挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどの各基が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどの各基が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシの各基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどの各基が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどの各基が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどの各基が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどの各基が挙げられる。)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどの各基が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどの各基が挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどの各基が挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(101)として好ましくは下記一般式(101−A)で表される化合物である。
一般式(101−A)
Figure 2006335800
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基ととしては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1およびR3として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
2、およびR4として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
5およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
6およびR7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
一般式(101)としてより好ましくは下記一般式(101−B)で表される化合物である。
一般式(101−B)
Figure 2006335800
(式中、R1、R3、R6およびR7は一般式(101−A)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
以下に一般式(101)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006335800
Figure 2006335800
以上例にあげたベンゾトリアゾール系化合物の中でも、分子量が320以下のものを含まずに本発明のセルロースアシレートフィルムを作製した場合、保留性の点で有利であることが確認された。
また本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるベンゾフェノン系化合物としては一般式(102)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(102)
Figure 2006335800
(式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環を表す。XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。)、酸素原子または硫黄原子を表す。)
1およびQ2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
1およびQ2で表される芳香族炭化水素環として好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。最も好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2で表される芳香族ヘテロ環基として好ましくは酸素原子、窒素原子および硫黄原子のどれかひとつを少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環基である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどの各環が挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン環、トリアジン環およびキノリン環である。
1およびQ2であらわされる芳香族環基として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは置換または無置換のベンゼン環である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸基やスルホン酸基、4級アンモニウム塩基を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。)、酸素原子または硫黄原子を表し、Xとして好ましくは、NR(Rとして好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい。)、または酸素原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
置換基Tは、一般式(101)のものと同義である。
一般式(102)として好ましくは下記一般式(102−A)で表される化合物である。
一般式(102−A)
Figure 2006335800
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R3、R4、R5、R6、R8およびR9として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
2として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基、水素原子である。
一般式(102)としてより好ましくは下記一般式(102−B)で表される化合物である。
一般式(102−B)
Figure 2006335800
(式中、R10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。)
10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。
10として好ましくは置換または無置換のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20の置換または無置換のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜12の置換または無置換のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n-ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12の置換または無置換のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
一般式(102)であらわされる化合物は特開平11−12219号公報記載の公知の方法により合成できる。
以下に一般式(102)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006335800
Figure 2006335800
また本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるシアノ基を含む化合物としては一般式(103)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(103)
Figure 2006335800
(式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環を表す。X1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基を表す。)
1およびQ2であらわされる芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。最も好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどの各環が挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン環、トリアジン環およびキノリン環である。
1およびQ2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、置換基Tが好ましい。置換基Tは、一般式(101)のものと同義である。
1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基を表す。X1およびX2で表される置換基は前述の置換基Tを適用することができる。また、X1およびX2で表される置換基は更に他の置換基によって置換されてもよく、X1およびX2はそれぞれが縮環して環構造を形成してもよい。
1およびX2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(-C(=O)OR(Rは 炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
一般式(103)として好ましくは下記一般式(103-A)で表される化合物である。
一般式(103-A)
Figure 2006335800
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。X1およびX2は一般式(103)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基ととしては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R2、R4、R5、R6、R7、R9、およびR10として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
3、およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12アルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(103)としてより好ましくは下記一般式(103-B)で表される化合物である。
一般式(103-B)
Figure 2006335800
(式中、R3およびR8は一般式(103-A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。X3は水素原子、または置換基を表す。)
3は水素原子、または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用でき、また、可能な場合は更に他の置換基で置換されてもよい。X3として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(-C(=O)OR(Rは、炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
一般式(103)として更に好ましくは一般式(103-C)で表される化合物である。
一般式(103-C)
Figure 2006335800
(式中、R3およびR8は一般式(103-A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。R21は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
21として好ましくはR3およびR8が両方水素の場合には、炭素数2〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜12のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基であり、特に好ましくは、n−オクチル基、tert-オクチル基、2−エチルへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基であり、最も好ましくは2−エチルへキシル基である。
21として好ましくはR3およびR8が水素以外の場合には、一般式(103-C)で表される化合物の分子量が300以上になり、かつ炭素数20以下の炭素数のアルキル基が好ましい。
一般式(103)で表される化合物はJounal of American Chemical Society 63巻 3452頁(1941)記載の方法によって合成できる。
以下に一般式(103)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006335800
Figure 2006335800
Figure 2006335800
[マット剤微粒子]
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下がさらに好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行いこれを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
[可塑剤、劣化防止剤、剥離剤]
上記の光学的に異方性を低下する化合物、波長分散調整剤の他に、本発明のセルロースアシレートフィルムには、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
[化合物添加の比率]
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート重量に対して5〜45%であることがのぞましい。より好ましくは10〜40%であり、さらにのぞましくは15〜30%である。これらの化合物としては上述したように、光学異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などであり、分子量としては3000以下がのぞましく、2000以下がよりのぞましく、1000以下がさらにのぞましい。これら化合物の総量が5%未満であると、セルロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある。またこれら化合物の総量が45%を超えると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する( フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。本発明の主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
以上本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としても良いし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としても良く、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
その他、本発明のセルロースアシレート溶液及びフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の特許に開示されており、好ましい態様である。それらは、例えば、特開2000−95876、特開平12−95877、特開平10−324774、特開平8−152514、特開平10−330538、特開平9−95538、特開平9−95557、特開平10−235664、特開平12−63534、特開平11−21379、特開平10−182853、特開平10−278056、特開平10−279702、特開平10−323853、特開平10−237186、特開平11−60807、特開平11−152342、特開平11−292988、特開平11−60752、特開平11−60752などに記載されている。これらの特許によると本発明のセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
[セルロースアシレートフィルムの製造工程]
[溶解工程]
本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
(ドープ溶液の透明度)
本発明のセルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることがのぞましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることがのぞましい。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出した。
[流延、乾燥、巻き取り工程]
次に、本発明のセルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
また、セルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。
以下、上述のセルロースアシレートフィルムを含めた、本発明の高分子フィルムのフィルム特性について説明する。
[フィルムの特性]
(フィルムのガラス転移温度Tg)
本発明の高分子フィルムのガラス転移温度Tgは、80〜165℃である。耐熱性の観点から、Tgが100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、本発明の高分子フィルム試料10mgを、常温から200度まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱量計(DSC2910、T.A.インスツルメント)で熱量測定を行い、ガラス転移温度Tgを算出した。
(フィルムのヘイズ)
本発明の高分子フィルムのヘイズは0.01〜2.0%であることがのぞましい。よりのぞましくは0.05〜1.5%であり、さらにのぞましくは0.1〜1.0%であり、0.1〜0.5%であることが最ものぞましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、本発明の高分子フィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
(フィルムのRe、Rthの湿度依存性)
本発明の高分子フィルムの面内のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthはともに湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、25℃10%RHにおけるRth値と25℃80%RHにおけるRth値の差ΔRth(=Rth10%RH−Rth80%RH)が0〜50nmであることが好ましい。より好ましくは0〜40nmであり、さらに好ましくは0〜35nmである。
(フィルムの平衡含水率)
本発明の高分子フィルムの平衡含水率は、偏光板の保護膜として用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましい。0.1〜3.5%であることがより好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。4%以上の平衡含水率であると、光学補償フィルムの支持体として用いる際にレターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎてしまい好ましくない。
含水率の測定法は、本発明の高分子フィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料重量(g)で除して算出した。
(フィルムの透湿度)
本発明の光学補償シートに用いる高分子フィルムの透湿度は、JIS規格JIS Z 0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることがのぞましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを越えると、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また、本発明の高分子フィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、高分子フィルムの透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、高分子フィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
高分子フィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求めた。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明の高分子フィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後重量−調湿前重量で求めた。
(フィルムの寸度変化)
本発明の高分子フィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率および90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0.5%以下であることがのぞましい。よりのぞましくは0.3%以下であり、さらにのぞましくは0.15%以下である。
具体的な測定方法としては、高分子フィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株))にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100、として寸度変化率を求めた。
(フィルムの弾性率)
本発明の高分子フィルムの弾性率は、200〜500kgf/mm2(1960〜4900N/mm2)であることが好ましい、より好ましくは240〜470kgf/mm2(2350〜4610N/mm2)であり、さらに好ましくは270〜440kgf/mm2(2650〜4315N/mm2)である。具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン製万能引っ張り試験機STM T50BPを用い、23℃・70%雰囲気中、引っ張り速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めた。
(フィルムの光弾性係数)
本発明の高分子フィルムの光弾性係数は、50×10-13cm2/dyne以下であることが好ましい。30×10-13cm2/dyne以下であることがより好ましく、20×10-13cm2/dyne以下であることがさらに好ましい。具体的な測定方法としては、高分子フィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
(フィルム表面の性状)
本発明の高分子フィルムの表面は、JIS B 0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましい。好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.2μm以下である。膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。
(フィルムの保留性)
本発明の高分子フィルムにおいては、フィルムに添加した各種化合物の保留性が要求される。具体的には、本発明の高分子フィルムを80℃/90%RHの条件下に48時間静置した場合のフィルムの質量変化が、0〜5%であることが好ましい。より好ましくは0〜3%であり、さらに好ましくは0〜2%である。
<保留性の評価方法>
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80±5℃、90±10%RHの条件下で48時間放置した。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を計算した。
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
(カール)
本発明の高分子フィルムの幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。本発明の高分子フィルムには後述する表面処理、光学異方性層を塗設する際のラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の塗設や貼合などを長尺で行う際に、本発明の高分子フィルムの幅方向のカール値が前述の範囲外では、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きることがある。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触するために発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、光学補償フィルムの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることがある。又、カールを上述の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
(引裂き強度)
JIS K 7128−2:1998の引裂き試験方法に基ずく引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)が、本発明の高分子フィルムの膜厚が20〜80μmの範囲において、2g以上が好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更には6〜25gである。又、60μm換算で8g以上が好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
(フィルムの残留溶剤量)
本発明の高分子フィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明に用いる透明支持体の残留溶剤量は1.5%以下とすることでカールを抑制できる。1.0%以下であることがより好ましい。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
(フィルムの吸湿膨張係数)
本発明の高分子フィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、本発明の高分子フィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
[用途]
本発明の高分子フィルムは、光学用途、写真感光材料等に適用される。光学用途としては液晶表示装置であることが好ましく、本発明の高分子フィルムを偏光素子の透明保護フィルムとして用いることができる。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも1枚の光学補償シートを配置した構成であることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VAおよびHANが好ましい。本発明の高分子フィルムは、特にVAおよびIPSモードの液晶表示装置への適用が好ましい。
[機能層]
上記のような光学用途に本発明の高分子フィルムを用いる場合、高分子フィルムには各種の機能層を設けることが可能である。機能層としては、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層等が挙げられ、これらの機能層には、界面活性剤、滑り剤、マット剤等を添加することができる。本発明の高分子フィルムに適用できる機能層としては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に記載のものが挙げられる。
また、その他の用途として用いる場合にも、下塗層、バック層等の機能層を高分子フィルムに設けてもよい。
(ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム)
本発明の高分子フィルムは、LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明の高分子フィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを形成して、ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムとして用いることが好ましい。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の54頁〜57頁に詳細に記載されており、本発明の高分子フィルムに適用することができる。
[偏光板]
(偏光板の製造工程)
次に、本発明の偏光板の製造工程について説明する。
本発明における偏光板の製造工程は、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護膜貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程から構成されることが好ましい。染色工程、硬膜工程、延伸工程の順序を任意に変えること、また、いくつかの工程を組み合わせて同時に行っても構わない。また、特許第3331615に記載されているように、硬膜工程の後に水洗することも好ましく行うことができる。
本発明では、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護膜貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程を記載の順序で遂次行うことが特に好ましい。また、前述の工程中あるいは後にオンライン面状検査工程を設けても構わない。
膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709に記載されているように、光学性能の安定化及び、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃以上60℃以下、5秒以上2000秒以下が好ましい。
染色工程は、特開2002−86554に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開平13-290025号に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
二色性分子として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストな偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素は0.05〜20g/l、ヨウ化カリウムは3〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの重量比は1〜2000が好ましい範囲である。染色時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ヨウ素は0.5〜2g/l、ヨウ化カリウムは30〜120g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの重量比は30〜120がよく、染色時間は30〜600秒、液温度は20〜50℃がよい。
また、特許第3145747号に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加しても良い。
硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
架橋剤としては米国再発行特許第232897号に記載のものが使用でき、特許第3357109号に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。
硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加しても良い。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
本発明では、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行うことが好ましく行われる。ホウ酸は1〜100g/l、ヨウ化カリウムは1〜120g/l、塩化亜鉛は0.01〜10g/l、硬膜時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ホウ酸は10〜80g/l、ヨウ化カリウムは5〜100g/l、塩化亜鉛は0.02〜8g/l、硬膜時間は30〜600秒がよく、液温度は20〜50℃がよい。
延伸工程は、米国特許2、454、515などに記載されているような、縦一軸延伸方式、もしくは特開2002−86554に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍以上12倍以下であり、さらに好ましくは3倍以上10倍以下である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開平14-040256号に記載されている(保護膜貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護膜貼合時の偏光子幅の関係は特開平14-040247号に記載されている0.80≦(保護膜貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95とすることも好ましく行うことができる。
乾燥工程は、特開2002−86554で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許第3148513号に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07-325215号や特開平07-325218号に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングすることも好ましく行うことができる。
保護膜貼り合わせ工程は、乾燥工程を出た前述の偏光子の両面を2枚の保護膜で貼合する工程である。貼合直前に接着液を供給し、偏光子と保護膜を重ね合わせるように、一対のロールで貼り合わせる方法が好ましく使用される。また、特開2001−296426及び特開2002−86554に記載されているように、偏光子の延伸に起因するレコードの溝状の凹凸を抑制するため、貼り合わせ時の偏光子の水分率を調整することが好ましい。本発明では0.1%〜30%の水分率が好ましく用いられる。
偏光子と保護膜との接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01乃至5μmが好ましく、0.05乃至3μmが特に好ましい。
また、偏光子と保護膜の接着力を向上させるために、保護膜を表面処理して親水化してから接着することが好ましく行われる。表面処理の方法は特に制限は無いが、アルカリ溶液を用いてケン化する方法を用いることができる。特開平14-267839号に記載されているように保護膜表面の水との接触角は50°以下が好ましい。
(アルカリ鹸化処理)
セルロースアシレートフィルム等の高分子フィルムを偏光板の透明保護フィルムとして用いる場合、アルカリ鹸化処理による表面処理が有効である。この場合、偏光子との密着性を上げる観点から、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が50°以下であることが好ましく、40°以下であることがより好ましく、35°以下であることがさらに好ましい。また、接触角は5°以上であることが好ましい。
接触角は、親疎水性を評価する指標の1つとして用いられる。接触角の測定には、通常の手法を用いることができ、具体的には、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角を求める手法を用いることができる。
以下、本発明におけるアルカリ鹸化処理方法について、セルロースアシレートフィルムを例に説明する。
[アルカリ鹸化処理方法]
本発明のアルカリ鹸化処理方法(表面処理方法)は、アルカリ鹸化溶液を用いてセルロースアシレートフィルムを処理する工程及び、アルカリ鹸化溶液をフィルムから洗い落とす工程を少なくとも含むことからなることが好ましく、セルロースアシレートフィルムをその表面が室温以上の温度でアルカリ鹸化溶液を用いて鹸化処理する工程、セルロースアシレートフィルムの温度を室温以上に維持する工程、そして、アルカリ鹸化溶液をセルロースアシレートフィルムから洗い落とす工程によりアルカリ鹸化処理を実施することがより好ましい。
アルカリ鹸化溶液を用いてセルロースアシレートフィルムを処理する工程は従来公知のいずれの方法のものをもちいてよく、浸漬方法、吹き付け方法、塗布方法等が挙げられる。特に、フィルムの片面のみをムラ無く均一に鹸化処理する場合は、塗布方式が好ましい。塗布の方法としては、後に述べるように従来公知の塗布方法を用いることができる。
アルカリ鹸化溶液をフィルムから洗い落とす工程は、フィルムの温度を室温以上に維持して鹸化反応を進行させた(鹸化工程)後、濃縮したアルカリ剤やフィルム添加物質などの抽出素材を含んだアルカリ鹸化溶液を希釈あるいは中和して鹸化反応を減速あるいは停止する工程と、さらに多量の洗浄液にて洗浄する工程(洗浄工程)とからなる。この工程におけるアルカリ鹸化溶液の希釈あるいは中和工程は、濃縮したアルカリ剤やフィルム添加物質などの抽出素材をフィルム表面に沈殿付着させない為に重要であり、このアルカリ希釈液およびアルカリ中和液の炭酸イオン濃度を3500mg/L以下とすることにより効果的にフィルム表面に沈殿物を付着させないことができる。より好ましくは1000mg/L以下であり、特に好ましくは100mg/L以下である。炭酸イオン濃度を3500mg/L以下とすることによって、鹸化処理したセルロースアシレートフィルムに配向膜を塗設し、ラビング処理を行った後、液晶性分子による光学異方層を設置する際に異物欠陥や配向欠陥を低減することができる。
高濃度のアルカリ鹸化溶液は環境雰囲気のCO2を吸収しやすく、pHを下げるとともに、沈殿物を発生させる原因となる。環境雰囲気のCO2の吸収を抑制するために、アルカリ鹸化溶液の塗布コーターを半密閉構造としたり、乾燥空気、不活性ガスやアルカリ鹸化溶液の有機溶剤飽和蒸気で覆うようにすることがより好ましい。
また、アルカリ希釈液およびアルカリ中和液の塩化物イオン及びカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの多価金属イオンを各々300mg/L以下及び500mg/L以下とすることにより、濃縮したアルカリ剤やフィルム添加物質などの抽出素材をフィルム表面に析出させず、鹸化処理したセルロースアシレートフィルムに配向膜を塗設し、ラビング処理を行った後、液晶性分子による光学異方層を設置した際の光学異方層の密着不良を低減することができる。
アルカリ希釈液あるいは中和液には、後述するように水あるいは水及び有機溶剤からなる液を用いることが好ましいが、用いる水は純水が好ましく、純水として、液中のカルシウム濃度は、0.001〜100mg/Lであることが好ましく、0.001〜50mg/Lであるのが更に好ましく、0.001〜10mg/Lであるのが特に好ましい。マグネシウム濃度は、0.001〜50mg/Lであることが好ましく、0.001〜30mg/Lであるのが更に好ましく、0.001〜10mg/Lであるのが特に好ましい。カルシウムやマグネシウム以外の多価の金属イオン、例えばBe,Sr,Ba,Al,Sn,Pb,Ti,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu(II),Co,Zn,も含まれないことが好ましい。多価金属イオンの濃度は0.002〜150mg/Lであることが好ましい。
セルロースアシレートフィルムのアルカリ鹸化処理方法は、セルロースアシレートフィルムを予め室温以上に加熱する工程、セルロースアシレートフィルムにアルカリ鹸化溶液を塗布する工程、セルロースアシレートフィルムの温度を室温以上に維持する工程、そして、アルカリ鹸化溶液をセルロースアシレートフィルムから洗い落とす工程によりを実施することが好ましく、セルロースアシレートフィルムを搬送しながら、これらの工程及びさらに、その他の工程を実施することが好ましい。
セルロースアシレートフィルムをその表面が室温以上の温度でアルカリ鹸化溶液により鹸化する処理には、塗布する前に予め室温以上に加熱する工程、アルカリ液を予め加温しておく工程、或いはこれらを組み合わせた工程等が挙げられる。塗布する前に予め室温以上に加熱する工程と組み合わせることが好ましい。
セルロースアシレートフィルムを予め室温以上に加熱する工程では、熱風の衝突(吹き付け)による直接加熱、加熱ロールによる接触伝熱、マイクロ波による誘導加熱、あるいは赤外線ヒーターによる輻射熱加熱等が好ましく利用できる。特に加熱ロールによる接触伝熱は、熱伝達効率が高く小さな設置面積で行える点、搬送開始時のフィルム温度の立ち上りが速い点で好ましい。一般の2重ジャケットロールや電磁誘導ロール(トクデン社製)が利用できる。
セルロースアシレートフィルムにアルカリ鹸化溶液を塗布する工程では、ダイコーター(エクストルージョンコーター、スライドコーター)、ロールコーター(順転ロールコーター、逆転ロールコーター、グラビアコーター)、ロッドコーター(細い金属線を巻いたロッド)が好ましく利用できる。塗布方式に関しては、各種文献(例えば、Modern Coating and Drying Technology,Edward Cohen and Edgar B. Gutoff, Edits., VCH Publishers, Inc, 1992)に記載されている。アルカリ鹸化溶液の塗布量は、その後、水洗除去するため廃液処理を考慮して、極力抑制することが望ましく、1〜100cc/m2が好ましく、1〜50cc/m2がより好ましい。少ない塗布量域でも安定に操作できるロッドコーター、グラビアコーター、ブレードコーターが特に好ましい。
また、アルカリ鹸化溶液を塗布し、セルロースアシレートフィルムを鹸化したのち、アルカリ鹸化溶液をセルロースアシレートフィルムから容易に洗い落とすために、アルカリ鹸化溶液はセルロースアシレートフィルムの下面に塗布することが好ましい。
塗布量の変動をセルロースアシレートフィルムの幅方向および塗布時間に対して30%未満に抑制することが好ましい。また、連続塗布方式を採用することもできる。
本発明のアルカリ鹸化処理方法はアルカリ鹸化溶液を塗布した後、鹸化反応が終了するまで、セルロースアシレートフィルムの温度を室温以上に保つことが好ましい。本発明において、室温とは20℃である。
加熱手段は、セルロースアシレートフィルムの片面がアルカリ鹸化溶液により濡れている状態であることを考慮して選択する。塗布の反対面への熱風の衝突(吹き付け)、加熱ロールによる接触伝熱、マイクロ波による誘導加熱、赤外線ヒーターによる輻射熱加熱等が好ましく利用できる。赤外線ヒーターは、非接触、かつ空気の流れを伴わずに加熱できるため、アルカリ鹸化溶液塗布面への影響を最小にできるため好ましい。赤外線ヒーターは、電気式、ガス式、オイル式あるいはスチーム式の遠赤外セラミックヒーターが利用できる。市販の赤外線ヒーター(例えば(株)ノリタケカンパニーリミテド製)を用いてもよい。熱媒体が、オイルまたはスチームを用いるオイル式またはスチーム式の赤外ヒーターは、有機溶剤が共存する雰囲気における防爆の観点で好ましい。鹸化反応中のセルロースアシレートフィルムの温度(鹸化処理温度)は、アルカリ鹸化溶液塗布前に加熱した温度と同じでも異なっていてもよい。また、鹸化反応中に温度を連続的、または段階的に変更してもよい。フィルム温度は、20℃〜150℃、好ましくは25℃〜100℃、更に好ましくは35℃〜80℃である。フィルム温度の検出には、一般に市販されている非接触式の赤外線温度計が利用でき、上記温度範囲に制御するために、加熱手段に対してフィードバック制御を行ってもよい。
アルカリ鹸化溶液を塗布してから洗い落とすまでに上記温度範囲に保持する時間(鹸化処理時間)は、後述する搬送速度にもよるが、1秒〜5分に保つことが好ましく、2〜240秒間保つことがより好ましく、3〜120秒間保つことが特に好ましい。
セルロースアシレートフィルムを搬送しながら各工程処理を実施し、アルカリ鹸化処理を行うことが好ましいが、セルロースアシレートフィルムの搬送速度は、上記アルカリ鹸化溶液の組成と塗布方式の組み合わせによって決定する。一般に、5〜300m/分が好ましく、10〜100m/分がさらに好ましい。
また、セルロースアシレートフィルムを予め室温以上に加熱する工程、あるいは、セルロースアシレートフィルムにアルカリ鹸化溶液を塗布する工程の前に、粉塵を除去するため、並びに膜表面の濡れ性をより均一にするために除電処理、除塵処理あるいは、ウエット処理を実施することもできるこれらの方法は一般に知られている方法を用いることができ、除電方法としては、特開昭62−131500号公報に記載の方法、や除塵方法としては特開平2−43157号公報に記載の方法を挙げることができる。
鹸化工程において、添加剤を含有する高分子フィルムを鹸化処理した場合、添加剤が鹸化液に溶出してしまい、鹸化後のフィルムのヘイズが上昇してしまうなどの問題がある。したがって、鹸化液への溶出性が大きい添加剤を含有する高分子フィルムを鹸化処理する際には、処理温度、処理時間、鹸化液アルカリ規定度などの各種鹸化条件を適宜調節し、添加剤の鹸化液への溶出をできるだけ抑制する必要がある。
特に後述の鹸化液溶出量の測定において鹸化液中への溶出量が1.0ppm以上である添加剤を含有する高分子フィルムを鹸化処理する際には、鹸化工程において処理温度(T:単位 ℃)、処理時間(S:単位 分)、アルカリ規定度(D:単位 N)とすると、以下(A)式のVが 5以上13以下を満たすことが必要であり、より好ましくは5以上10以下であり、特に好ましくは6以上8以下である。この範囲とすることで鹸化後のフィルムのヘイズが2.0%以下でかつ水との接触角が50度以下に抑えることが可能となり偏光板特性の低下を抑制することができる。
Figure 2006335800
上記(A)式を満たす本発明の鹸化処理方法は、鹸化液溶出量の大きい添加剤を含有する高分子フィルムを鹸化する際に有効であり、鹸化液溶出量が10.0ppm以上の添加剤を使用する際などに特に効果的である。また本発明の鹸化処理方法は、高分子フィルムが鹸化液溶出量が1ppm以上の化合物と、鹸化液溶出量が1ppmよりも小さい化合物とをともに含む場合にも有効に用いられる。
(鹸化液溶出量の測定)
サンプルフィルム1.6×10-63を、55℃に加熱した3NのNaOH 50mlの中に5分間浸漬し、フィルムを取り出し後、けん化液中の添加剤量を液体クロマトグラフにより定量することで添加剤の鹸化液溶出量を測定した。
アルカリ鹸化溶液は、水または有機溶剤と水との混合液にアルカリを溶解して調製できる。好ましい有機溶媒は、炭素原子数8以下のアルコール、炭素原子数が6以下のケトン、炭素原子数が6以下のエステル、炭素原子数が8以下の多価アルコールから選ばれる1種または2種以上の有機溶媒である。
有機溶剤については、新版溶剤ポケットブック(オーム社、1994年刊)に記載があり、有機溶剤の具体例としては、一価アルコール(例、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、メトキシメトキシエタノール、フッ素化アルコールなど)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、多価アルコール(例、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)およびエーテル(例、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル)が挙げられる。
特に好ましいものは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンである。
有機溶剤は、セルロースアシレートフィルムを溶解したり膨潤したりしないことが必要である。また、アルカリ鹸化溶液の塗布が容易になるように、表面張力が適度に低い有機溶剤を選択することも望ましく、アルカリ鹸化溶液の表面張力は45mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは20〜40mN/mであり、特に好ましくは20〜35mN/mである。
また、有機溶媒の溶媒中の使用割合は、溶媒の種類、水との混和性(溶解性)、反応温度および反応時間に応じて決定する。短い時間で鹸化反応を完了するためには、高い濃度に溶液を調製することが好ましい。ただし、溶媒濃度が高すぎるとセルロースアシレートフィルム中の成分(可塑剤など)が抽出されたり、フィルムの過度の膨潤が起こる場合があり、適切に選択する。
水と有機溶媒の混合比は、3/97〜85/15質量比が好ましい。より好ましくは5/95〜60/40質量比であり、更に好ましくは15/85〜40/60質量比である。この範囲において、フィルムの光学特性を損なうことなく容易にフィルム全面が均一に鹸化処理される。
また、これらの有機溶剤はアルカリ希釈液及びアルカリ中和液にも有利に用いることができる。その際の水と有機溶媒の混合比は、50/50〜100/0質量比が好ましい。より好ましくは70/30〜97/3質量比であり、更に好ましくは80/20〜95/5質量比である。
アルカリ鹸化溶液のアルカリ剤は、無機アルカリ剤および有機アルカリ剤のいずれも使用できる。低い濃度で鹸化反応をおこすためには強アルカリが好ましい。アルカリ金属の水酸化物(例、NaOH、KOH、LiOH)、アルカリ土類金属の水酸化物、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化アンモニウム、アミン(例、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミ、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルブチルアンモニウムヒドロキシド、パーフルオロトリブチルアミン、トリエチルアミン)、および錯塩の遊離塩基(例、[Pt(NH36](OH)4)が好ましく、アルカリ金属の水酸化物がさらに好ましく、NaOHおよびKOHが最も好ましい。これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて併用することもできる。
アルカリ鹸化溶液のアルカリ剤の濃度は、使用するアルカリ剤の種類、反応温度および反応時間に応じて決定する。短い時間で鹸化反応を完了するためには、高い濃度に溶液を調製することが好ましい。ただし、アルカリ濃度が高すぎるとアルカリ鹸化溶液の安定性が損なわれ、長時間塗布において析出する場合もある。アルカリ鹸化溶液の濃度は0.1〜5規定(N)であることが好ましく、0.5〜5Nであることがさらに好ましく、0.5〜4Nであることが最も好ましい。
鹸化反応に必要なアルカリ塗布量は、セルロースアシレートフィルムの単位面積当りの鹸化反応サイト数に配向膜との密着を発現させるために必要な鹸化深さを乗じた総鹸化サイト数(=理論アルカリ塗布量)が目安となる。鹸化反応の進行にともなってアルカリが消費され反応速度が低下するため、実際には上述の理論アルカリ塗布量の数倍を塗布することが好ましい。具体的には、理論アルカリ塗布量の2〜20倍であることが好ましく、2〜5倍であることがさらに好ましい。
アルカリ鹸化溶液の温度は、反応温度(=セルロースアシレートフィルムの温度)に等しいことが望ましい。使用する有機溶媒の種類によっては、反応温度がアルカリ鹸化溶液の沸点を越える場合もある。この場合、安定な塗布を行うためには、アルカリ鹸化溶液の沸点よりも低い温度であることが好ましく、沸点よりも5℃低い温度であることがさらに好ましく、沸点よりも10℃低い温度であることが最も好ましい。
本発明のアルカリ鹸化方法は、搬送速度に応じて安定な塗布操作が行えるように、アルカリ鹸化溶液の粘度は0.8〜20mPa・sであることが好ましく、より好ましくは1〜15mPa・sである。且つ、アルカリ鹸化溶液の表面張力は前述した通りとすることが好ましく、この範囲において、フィルム表面への濡れ性、フィルム表面に塗布した溶液の保持性、鹸化処理後のフィルム表面からのアルカリ液の除去性が充分に行われる。
また、本発明のアルカリ鹸化方法においてアルカリ鹸化溶液の密度は、0.65〜1.05g/cm3であることが好ましく、0.70〜1.00g/cm3であることがより好ましい、0.75〜0.95g/cm3であることが特に好ましい。0.65g/cm3以下では搬送による風圧による風ムラが生じ、処理の均一性が損なわれる。また、1.05g/cm3以上では、自重により搬送方向に平行な塗布スジが発生しこれもまた処理の均一性が損なわれ、配向膜の厚みムラの原因となる。さらに、本発明のアルカリ鹸化方法のアルカリ鹸化溶液の電気伝導度は後述する洗浄工程での負荷を最小限にするために1〜100mS/cmであることが好ましく、2〜50mS/cmであることがより好ましく、3〜20mS/cmであることが特に好ましい。電気伝導度が1mS/cmよりも小さいと残存する不純物のために輝点故障(異物欠陥)が多く発生したり、光学補償層の密着不良が生じやすくなる。
また、アルカリ鹸化溶液の液特性として、測定波長400nmにおける液の吸光度は2.0未満であることが好ましい。塗布時にセルロースアシレートフィルム中の添加剤を抽出して液の吸光度が上がらないように送液系やコーターの大きさを決定する必要がある。吸光度の高い液を用いると液中に溶け出したセルロースアシレートフィルムの添加剤がセルロースアシレートフィルム上に付着して輝点故障(異物欠陥)の発生原因となる。アルカリ鹸化溶液の吸光度の制御には活性炭を用い、溶出成分を吸着、除去する方法が利用できる。活性炭は、鹸化溶液中の着色成分を除去する機能を有すれば良く、その形態、材質等に制限はない。活性炭を直接アルカリ鹸化溶液槽に入れる方法であったり、鹸化溶液槽と活性炭を充填した浄化装置間に鹸化溶液を循環させる方法であっても構わない。
フィルムの温度を室温以上に維持して、鹸化反応を進行させた後、アルカリ鹸化溶液とセルロースアシレートフィルムとの鹸化反応を減速あるいは停止するには、大きく3つの方法がある。第一の方法は、塗布されたアルカリ鹸化溶液を希釈してアルカリ濃度を下げ、反応速度を低下させる方法であり、第ニの方法は、アルカリ鹸化溶液が塗布されたセルロースアシレートフィルムの温度を下げ、反応速度を低下させる方法であり、第三の方法は、酸性の液(アルカリ中和液)によって中和する方法である。
アルカリ希釈液を用いる方法とアルカリ中和液を用いる方法は既に記載したようにアルカリ鹸化溶液をフィルムから洗い落とす工程の一部でもある。
(1)希釈液を用いる方法
塗布されたアルカリ鹸化溶液を希釈するためには、希釈液(アルカリ希釈液ともいう)を塗布する方法、希釈液を吹き付ける方法、希釈液の入った容器にセルロースアシレートフィルムごと浸漬する方法が採用できる。希釈液を塗布する方法と吹き付ける方法がセルロースアシレートフィルムを連続搬送しながら実施する上で好ましい方法である。希釈液を塗布する方法は、必要最小限の希釈液量を用いて実施できるために最も好ましい。
希釈液の塗布は、既にアルカリ鹸化溶液が塗布されたセルロースアシレートフィルム上に希釈液を再度適用できる連続塗布可能な方式であることが望ましい。塗布は、ダイコーター(エクストルージョンコーター、スライドコーター)、ロールコーター(順転ロールコーター、逆転ロールコーター、グラビアコーター)、ロッドコーター(細い金属線を巻いたロッド)が好ましく利用できる。塗布方式に関しては、各種文献(例えば、Modern Coating and DryingTechnology, Edward Cohen and Edgar B. Gutoff, Edits., VCH Publishers, Inc, 1992)に記載されている。アルカリ鹸化溶液と希釈液とを速やかに混合してアルカリ濃度を低下させるためには、希釈液が塗布される微小領域(塗布ビードと呼ぶこともある)において、流れが層流であるダイコーターよりも、流れが一様とならないロールコーターやロッドコーターが好ましい。
アルカリ希釈液は、アルカリ濃度を低下させること、フィルム添加物質などの抽出素材をフィルムに付着させないことが目的であるため、アルカリ鹸化溶液中のアルカリ剤を溶解する溶媒でなければならない。よって、水または水と有機溶剤との混合液を用いることが好ましく、二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。後述するアルカリ鹸化溶液に用いた有機溶剤が優位に用いることができる。好ましい溶剤は水である。
また、アルカリ希釈液には、フィルム添加物質などの抽出素材をフィルムに付着させないために界面活性剤を含ませることが好ましい。界面活性剤としては特に限定はないが、後述するアルカリ鹸化溶液に用いる界面活性剤を有利に利用できる。さらに、アルカリ希釈液には、後述する消泡剤を含ませることがフィルム表面への微小な気泡の付着を無くし、アルカリ鹸化溶液およびアルカリ希釈液の洗浄がムラ無く均一に行うことができるため、好ましい。
希釈液の塗布量は、アルカリ鹸化溶液の濃度に応じて決定する。塗布ビードにおける流れが層流であるダイコーターの場合、塗布量は、元のアルカリ濃度を1.5〜10倍に希釈することが好ましく、2〜5倍に希釈することがさらに好ましい。ロールコーターやロッドコーターの場合は、塗布ビード内の流動が一様でないため、アルカリ鹸化溶液と希釈液との混合が発生し、この混合した液が再塗布される。したがって、この場合は希釈液の塗布量によって希釈率を特定することができないため、希釈液塗布後のアルカリ濃度を測定する必要がある。ロールコーターやロッドコーターにおいても、塗布量は、元のアルカリ濃度を1.5〜10倍に希釈することが好ましく、2〜5倍に希釈することがさらに好ましい。
(2)中和液を用いる方法
アルカリによる鹸化反応を迅速に停止するため、酸を用いることもできる。少ない量で中和するため、強酸を用いることが好ましい。さらに、水洗の容易さを考慮すると、アルカリと中和反応後に生成する塩が水に対する溶解度が高い酸を選定することが好ましい。塩酸、硝酸、リン酸、クロム酸、スルホン酸、メタンスルホン酸が特に好ましい。
また、アルカリ鹸化液中の炭酸イオン濃度や塩化物イオン濃度が高い場合には、急激な中和反応により沈殿が生じることあり、その場合にはアルカリ中和液中に緩衝性の弱酸を添加することが好ましい。このような弱酸としてはPergamonPress社発行のIONISATION CONSTANTS OF ORGANIC ASIDS IN AQUEOUS SOLUTIONに記載のソルビットやサッカロース、グルコース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、フラクトース、リボース、マンノース及びL−アスコルビン酸などの糖類の他、アルコール類、アルデヒド類、フェノール性水酸基を有する化合物やオキシム類、核酸関連物質などが挙げられる。
塗布されたアルカリ鹸化溶液を酸で中和するためには、酸溶液(アルカリ中和液)を塗布する方法、酸溶液を吹き付ける方法、あるいは酸溶液の入った容器にセルロースアシレートフィルムごと浸漬する方法が採用できる。酸溶液を塗布する方法と吹き付ける方法がセルロースアシレートフィルムを連続搬送しながら実施する上で好ましい。酸溶液を塗布する方法は、必要最小限の酸溶液を用いて実施できるために最も好ましい。
アルカリ中和液の塗布は、既にアルカリ鹸化溶液が塗布されたセルロースアシレートフィルム上に酸溶液を再度適用できる連続塗布可能な方式であることが望ましい。塗布は、ダイコーター(エクストルージョンコーター、スライドコーター)、ロールコーター(順転ロールコーター、逆転ロールコーター、グラビアコーター)、ロッドコーター(細い金属線を巻いたロッド)が好ましく利用できる。塗布方式に関しては、各種文献(例えば、Modern Coating and Drying Technology, Edward Cohen and Edgar B. Gutoff, Edits., VCH Publishers, Inc, 1992)に記載されている。アルカリ鹸化溶液と中和液とを速やかに混合してアルカリ性を低下させるためには、中和液が塗布される微小領域(塗布ビードと呼ぶこともある)において、流れが層流であるダイコーターよりも、流れが一様とならないロールコーターやロッドコーターが好ましい。
アルカリ中和液の塗布量は、アルカリの種類とアルカリ鹸化溶液の濃度に応じて決定する。塗布ビードにおける流れが層流であるダイコーターの場合、中和液の塗布量は、元のアルカリ塗布量の0.1〜5倍であることが好ましく、0.5〜2倍であることがさらに好ましい。ロールコーターやロッドコーターの場合は、塗布ビード内の流動が一様でないため、アルカリ鹸化溶液と中和液との混合が発生し、混合した液が再塗布される。したがって、この場合は中和液の塗布量によって中和率を特定することができないため、中和液塗布後のアルカリ濃度を測定する必要がある。ロールコーターやロッドコーターにおいては、酸溶液塗布後のpHが4〜9になる様に酸溶液の塗布量を決定することが好ましく、6〜8になるように決定することがさらに好ましい。
アルカリ中和液は、アルカリ性を低下させること、フィルム添加物質などの抽出素材をフィルムに付着させないことが目的であるため、中和反応で生じる塩アルカリ鹸化溶液中のアルカリ剤を溶解する溶媒でなければならない。よって、水または水と有機溶剤との混合液を用いることが好ましく、二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。後述するアルカリ鹸化溶液に用いた有機溶剤が有意に用いることができる。好ましい溶剤は水である。
また、アルカリ中和液には、フィルム添加物質などの抽出素材をフィルムに付着させないために界面活性剤を含ませることが好ましい。界面活性剤としては特に限定はないが、後述するアルカリ鹸化溶液に用いる界面活性剤を有利に利用できる。さらに、アルカリ中和液には、後述する緩衝剤を含ませることが洗浄効率を高めるために好ましい。
(3)反応温度を低下させる方法
セルロースアシレートフィルムの温度を降下させて、鹸化反応を停止することもできる。反応を促進させるために室温以上に保たれた状態から、充分に温度低下させることによって実質的に鹸化反応を停止させる。セルロースアシレートフィルムの温度を低下させる手段は、セルロースアシレートフィルムの片面が濡れていることを考慮して決定する。塗布の反対面への冷風の衝突、あるいは、冷却ロールによる接触伝熱等が好ましく採用できる。冷却後のフィルム温度は、5℃〜60℃であることが好ましく、10℃〜50℃であることがさらに好ましく、15℃〜30℃であることが最も好ましい。フィルム温度は、非接触式の赤外線温度計で測定することが好ましい。冷却手段に対してフィーッドバック制御を行い、冷却温度を調節することもできる。
[洗浄工程]
洗浄工程は、アルカリ鹸化溶液と、アルカリ希釈液もしくはアルカリ中和液とを除去するために実施する。これらの中のアルカリ剤、酸、塩、フィルム添加物質などの抽出素材が残っていると、鹸化反応が進行したり、後に塗布する配向膜ならびに液晶性分子層の塗膜形成や液晶分子の配向に影響を及ぼす。
洗浄は、洗浄水を塗布する方法、洗浄水を吹き付ける方法、あるいは、洗浄水の入った容器にセルロースアシレートフィルムごと浸漬する方法で実施できる。洗浄水を塗布する方法と吹き付ける方法が、セルロースアシレートフィルムを連続搬送しながら実施するために好ましい。洗浄水を吹き付ける方法では、噴流によってセルロースアシレートフィルム上の洗浄水とアルカリ性塗布液との乱流混合が得られるために、特に好ましい。
水の吹きつけ方法は、塗布ヘッド(例、ファウンテンコーター、フロッグマウスコーター)を用いる方法、あるいは、空気の加湿や塗装、タンクの自動洗浄に利用されるスプレーノズルを用いる方法で実施できる。塗布方式に関しては、「コーティングのすべて」荒木正義編集、(株)加工技術研究会(1999年)に記載がある。円錐状あるいは扇状のスプレーノズルをセルロースアシレートフィルムの幅方向に配列して、全幅に水流が衝突するように配置することができる。市販のスプレーノズル(例えば、(株)いけうち製、スプレーイングシステムズ社製)を用いてもよい。
水の吹き付け速度は、大きい方が高い乱流混合が得られる。ただし、速度が大きいと、連続搬送するセルロースアシレートフィルムの搬送安定性を損なう場合もある。吹き付けの衝突速度は、50〜1000cm/秒が好ましく、100〜700cm/秒がさらに好ましく、100〜500cm/秒が最も好ましい。
単位時間当たりの水吹き付け量の変動は、搬送されるセルロースアシレートフィルムの長手方向及び幅方向とも30%未満に制御することが好ましい。ただし、セルロースアシレートフィルムの幅方向の両端では、アルカリ鹸化溶液の塗布量や中和に使用した酸溶液の塗布量が多いことがしばしば発生する。塗布量が多い部分の洗浄性を確保するために、幅方向両端の水吹き付け量を増やすこともできる。塗布ヘッドを用いる場合は、両端の流量が多くなるように水が吐出するスリットのクリアランスを広く設定する。また、局所的に両端に水膜を供給するために幅が狭いコーターを別途、設置してもよい。幅が狭いコーターは、複数設置することもできる。スプレーノズルを用いる場合も、両端に局所的に水吹き付けるためのノズルを設置することができる。
水洗で一定量の水を用いる場合、一度に全量適用するよりも数回に分割して適用する回分式洗浄方法が好ましい。すなわち、水の量を幾つかに分けて、セルロースアシレートフィルムの搬送方向にタンデムに設置した複数の水洗手段に供給する。一つの水洗手段と次の水洗手段との間には適当な時間(距離)を設けて、拡散によるアルカリ性塗布液の希釈を進行させる。さらに好ましくは、搬送されるセルロースアシレートフィルムに傾斜を設けるなどして、フィルム上の水がフィルム面に沿って流れる様にすれば、拡散に加えて、流動による混合希釈が得られる。最も好ましい方法としては、水洗手段と水洗手段の間にセルロースアシレートフィルム上の水膜を除去する水切り手段を設けることで、更に水洗希釈効率を高められる。具体的な水切り手段としては、ブレードコーターに用いられるブレード、エアナイフコーターに用いられるエアナイフ、ロッドコーターに用いられるロッド、ロールコーターに用いられるロールが挙げられる。
タンデムに配置された水洗手段の数は、多いほうが有利である。ただし、設置スペースならびに設備コストの観点から、通常は2〜10段、好ましくは2〜5段が使用される。
水切り手段後の水膜厚みは、薄い方が好ましいが、用いる水切り手段の種類によって最低水膜厚みが制限される。ブレード、ロッド、ロールなど、物理的に固体をセルロースアシレートフィルムに接触させる方法においては、例え固体がゴムなどの硬度の低い弾性体であったとしても、フィルム表面にキズを付けたり、弾性体が磨り減ったりするので有限の水膜を潤滑流体として残す必要がある。通常は、数μm以上、好ましくは10μm以上の水膜を潤滑流体として残存させる。
極限まで水膜厚みを減少させられる水切り手段としては、エアナイフが好ましい。充分な風量と風圧を設定することにより、水膜厚みをゼロに近づけることが出来る。ただし、エアの吹出し量が大きすぎると、搬送フィルムのばたつきや片側への片寄りなど、セルロースアシレートフィルムの搬送安定性に影響を及ぼすことがあるので、好ましい範囲が存在する。セルロースアシレートフィルム上の元の水膜厚み、フィルムの搬送速度にもよるが、通常は10〜500m/秒、好ましくは20〜300m/秒、より好ましくは30〜200m/秒の風速を使用する。また、均一に水膜除去を行うためには、セルロースアシレートフィルムの幅方向の風速分布を、通常は10%以内、好ましくは5%以内になるようにエアナイフの吹出し口やエアナイフへの給気方法を調整する。搬送するセルロースアシレートフィルム表面とエアナイフ吹出し口の間隙は、狭い方が水切り能が増すが、セルロースアシレートフィルムと接触して傷付ける可能性が高くなるため、適当な範囲がある。通常は、10μm〜10cm、好ましくは100μm〜5cm、さらに好ましくは500μm〜1cmの間隙をもって、エアナイフを設置する。さらに、エアナイフと対向するように、セルロースアシレートフィルムの水洗面と反対側にバックアップロールを設置することで、間隙の設定が安定するとともに、フィルムのバタツキやシワ、変形などの影響を緩和することができるので好ましい。
洗浄水には、純水を用いることが好ましい。本発明に用いられる純水とは、比電気抵抗が少なくとも0.1MΩ・cm以上であり、特にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属イオンは1mg/L未満、クロルイオン、硝酸イオンなどのアニオンは0.1mg/L未満であることが好ましい。純水は、逆浸透膜、イオン交換樹脂、蒸留などの単体、あるいはそれらの組み合わせによって得ることができる。
洗浄水の温度は、高い方が洗浄能力が上がる。しかし、搬送されるセルロースアシレートフィルム上に水を吹き付ける方法においては、空気と接触する水の面積が大きく、高温ほど蒸発が著しくなるため、周囲の湿度が増し、結露する危険性が高くなる。このため、洗浄水の温度は、通常は5〜90℃、好ましくは20℃〜80℃、さらに好ましくは25℃〜60℃の範囲で設定する。
アルカリ鹸化溶液の成分、または鹸化反応の生成物が水に容易に溶けない場合、水洗工程の前または後に水に不溶な成分を除去するための溶剤洗浄工程を付加しても良い。溶剤洗浄工程は、上に述べた水洗方法、水切り手段を利用することができる。用いる有機溶剤については、後述のアルカリ鹸化溶液に使用できる溶剤のほか、新版溶剤ポケットブック(オーム社、1994年刊)に記載の溶剤を使用することができる。
洗浄工程の次に乾燥工程を実施することもできる。通常は、エアナイフなどの水切り手段で充分に水膜を除去できることが多く、乾燥工程は必要でないことあるが、セルロースアシレートフィルムをロール状に巻き取る前に、好ましい含水率に調整するために加熱乾燥してもよい。逆に、設定された湿度を有する風で調湿することもできる。乾燥風の温度は30〜200℃が好ましく、40〜150℃がより好ましく、50〜120℃が特に好ましい。
[鹸化処理に用いる界面活性剤]
アルカリ鹸化溶液、アルカリ希釈液及びアルカリ中和液の少なくともいずれかに界面活性剤を含有させることが好ましい。特に、アルカリ鹸化溶液に界面活性剤を含有させることが好ましい。界面活性剤を添加することによって、たとえ有機溶媒がフィルム含有物質を抽出したとしてもアルカリ鹸化溶液中に安定に存在させ、後の水洗工程においても抽出物質が析出、固体化を防ぐことができる。
界面活性剤の濃度については、セルロースアシレートフィルムからアルカリ鹸化溶液中に抽出された疎水性添加物を安定に分散できる濃度を設定するのがよい。アルカリ鹸化溶液に使用する有機溶剤がセルロースアシレートフィルムを溶解したり膨潤したりしないとすると、フィルムより抽出される添加物はフィルム表面近傍からのみである。疎水性添加物の抽出量は、本発明で塗布する1〜50cc/m2のアルカリ鹸化溶液塗布量中に、最大でも1質量%と見積もれる。界面活性剤の濃度は、この抽出量の10倍である10質量%添加すれば、充分な分散特性が得られることが分かった。
一方、界面活性剤の種類によっては、水洗工程で充分洗い落とされずに残留すると、後にセルロースアシレートフィルム上に配向膜を塗布する際に、フィルムと配向膜との結合(密着)に支障をきたす場合がある。また、液晶性分子を塗布する際にも液晶性分子の配向を妨げることがあるため、必要以上に添加することは好ましくない。界面活性剤の添加濃度は、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がさらに好ましい。
本発明のアルカリ鹸化方法に好ましく用いられる界面活性剤については、本発明のアルカリ鹸化液に溶解または分散可能なものであれば特に制限はない。非イオン性界面活性剤(ノニオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤)、イオン性界面活性剤(アニオン、カチオン、両性界面活性剤)等のいずれをも好適に用いることができる。界面活性剤の中でも、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤が溶解性と鹸化性能の観点から好ましく用いられる。
これらの界面活性剤は、1種類を単独で添加しても異なるイオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤を1種類以上、またはイオン性と非イオン性を組み合わせて添加してもよい。
以下、本発明に使用しうる界面活性剤について順次説明する。
(アニオン界面活性剤)
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、αオレフィンスルホン酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が好適に挙げられる。
(カチオン界面活性剤)
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、テトラブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体等が挙げられる。
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン類、アルキルアミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類等が挙げられる。
(ノニオン性界面活性剤)
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
これらの具体例を示すと、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレンエチレンアビエチルエーテル、ポリオキシエチレンノニンエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリルモノオレート、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノステアレート、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、ジスチレン化フェノールポリエチレンオキシド付加物、トリベンジルフェノールポリエチレンオキシド付加物、オクチルフェノールポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加物、グリセロールモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤の重量平均分子量は、300〜50,000が好ましく、500〜5,000が特に好ましい。
本発明において、前記ノニオン性界面活性剤の中でも、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
一般式(1):
R1−O(CH2CHR2O)l−(CH2CHR3O)m−(CH2CHR4O)n−R5
一般式(1)中、R1〜R5は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、カルボニル基、カルボキシレート基、スルホニル基、スルホネート基を表す。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、ヘキシル基等が挙げられ、前記アルケニル基の具体例としては、ビニル基、プロペニル基等が挙げられ、前記アルキニル基の具体例としては、アセチル基、プロピニル基等が挙げられ、前記アリール基の具体例としては、フェニル基、4−ヒドロキシフェニル基等が挙げられる。
l,m,nは0以上の整数を表す。但し、l,m,nの総てが0であることはない。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のホモポリマー、エチレングリコール、プロピレングリコールの共重合体等が挙げられる。前記共重合体の比率は、10/90〜90/10がアルカリ水溶液への溶解性の点から好ましい。また、共重合体の中でもグラフトポリマー、ブロックポリマーが、アルカリ鹸化溶液に対する溶解性とアルカリ鹸化処理の容易性の点から好ましい。
(フッ素系界面活性剤)
フッ素系界面活性剤は、分子内にパーフルオロアルキル基を含有する界面活性剤を指す。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型、パーフルオロアルキルベタイン等の両性型、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有ウレタン等の非イオン型が挙げられる。
以上の界面活性剤のうち、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等のポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それらもまた前記界面活性剤に包含される。前記界面活性剤は、一種単独で使用してもよいし、併用により効果を損なわない限りにおいては、2種以上を併用してもよい。
以上の界面活性剤の中で、カチオン性界面活性剤としての前記第4級アンモニウム塩類、ノニオン性界面活性剤としての前記各種のポリエチレングリコール誘導体類、前記各種のポリエチレンオキサイド付加物類等のポリエチレンオキサイド誘導体類、両性界面活性剤としてのベタイン型化合物類も好ましく用いられる。
アルカリ鹸化溶液には、ノニオン活性剤とアニオン活性剤又はノニオン活性剤とカチオン活性剤を共存させて用いることも本発明の効果が高められて好ましい。
これらの界面活性剤のアルカリ鹸化溶液に対する添加量は、好ましくは、0.001〜20質量%であり、より好ましくは、0.01〜10質量%であり、特に好ましくは、0.03〜3質量%である。添加量が、0.001質量%より少ない場合には、界面活性剤の添加効果が得難く、20質量%よりも多い場合には、鹸化性が低下する傾向がある。
[鹸化処理に用いる消泡剤]
アルカリ鹸化溶液及びアルカリ希釈液には消泡剤を含有させることが好ましい。この添加剤は、アルカリ鹸化溶液中には、好ましくは0.001〜5質量%、特に好ましくは0.005〜3質量%の濃度で含有させることができる。
一方、アルカリ希釈液中には、好ましくは0.001〜2質量%、特に好ましくは0.005〜0.5質量%の濃度で含有させることができる。この範囲において、フィルム表面への微小な気泡の付着も無くなり、アルカリ処理による鹸化がムラ無く均一に進行する。
消泡剤としては、ヒマシ油、亜麻仁油等の油脂系、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸系、天然ワックス等の脂肪酸エステル系、ポリオキシアルキレンモノハイドリックアルコール等のアルコール系、ジ−t−アミルフェノキシエタノール、ヘプチルセロソルブ、ノニルセロソルブ、3−ヘプチルカルビトール等のエーテル系、トリブチルフォスフェート、トリス(ブトキシエチル)フォスフェート等の燐酸エステル系、ジアミルアミン等のアミン系、ポリアルキレンアミド、アシレートポリアミド等のアミド系、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸カリウム、羊毛オレイン酸のカルシウム塩等の金属石鹸系、ラウリル硫酸エステルナトリウム等の硫酸エステル系、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン、フロロポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンとポリアルキレンオキサイドとの共重合体等のシリコーンオイル、及びその溶液型、エマルジョン型、ペースト型シリコーンオイル等のシリコーン系の消泡剤が挙げられる。
本発明に用いるアルカリ鹸化溶液には、アルカリ鹸化溶液への界面活性剤、消泡剤の溶解助剤として、上記した有機溶剤以外の有機溶媒を添加することができる。好ましくは水への溶解度を持つ溶媒であれば特に制限はない。例えば、N−フェニルエタノールアミンおよびN−フェニルジエタノールアミン、フッ化アルコール(例えば、CnF2n+1(CH2)kOH(nは3〜8の整数、kは1又は2の整数)、1,2,2,3,3−ヘプタフロロプロパノール、ヘキサフロロブタンジオール、パーフロロシクロヘキサノール等)等を挙げることができる。これらの有機溶剤の含有量は使用液の総重量に対して0.1〜5質量%が好ましい。
[鹸化処理に用いる防黴剤/防菌剤]
本発明に用いるアルカリ鹸化溶液には、更に、防黴剤及び/又は防菌剤を含有させることが好ましい。本発明において使用される防黴剤及び防菌剤は、アルカリ鹸化に悪影響を及ぼさないものであれば何でもよいが、具体的にはチアゾリルベンズイミダゾール系化合物、イソチアゾロン系化合物、クロロフェノール系化合物、ブロモフェノール系化合物、チオシアン酸やイソチアン酸系化合物、酸アジド系化合物、ダイアジンやトリアジン系化合物、チオ尿素系化合物、アルキルグアニジン化合物、4級アンモニウム塩、有機スズや有機亜鉛化合物、シクロヘキシルフェノール系化合物、イミダゾール及びベンズイミダゾール系化合物、スルファミド系化合物、塩素化イソシアヌル酸ナトリウムなどの活性ハロゲン系化合物、キレート剤、亜硫酸化合物、ペニシリンに代表される抗生物質など種々の防バクテリア剤や防黴剤などがある。その他L.E.West,"Water Quality Criteria"Phot.Sci.and Eng.,Vol9 No.6(1965)記載の殺菌剤、特開昭57−8542号、同58−105145号、同59−126533号、同55−111942号、同57−157244号公報記載の各種防黴剤、「防菌防黴の化学」堀口博著・三共出版(昭57)、「防菌防黴技術ハンドブック」日本防菌防黴学会・技報堂(昭61)に記載されているような化学物質などを用いることができ、以下に具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
上記した防黴剤及び/又は防菌剤の添加量は、アルカリ水溶液中に0.01〜50g/Lであることが好ましく、より好ましくは0.05〜20g/Lである。
[鹸化処理に用いるその他の添加剤]
尚、本発明に用いるアルカリ鹸化溶液には、他の添加剤を併用しても良い。例えば、アルカリ液安定化剤(酸化防止剤等)等が挙げられる。尚、本発明においてアルカリ鹸化溶液の添加剤は、これらに限定されるものではない。
[鹸化処理に用いる水]
また、アルカリ鹸化溶液に用いる水としては、日本国水道法(昭和32年法律第177号)及びそれに基づく水質基準に関する省令(昭和53年8月31日厚生省令第56号)、同国温泉法(昭和23年7月10日法律第125号及びその別表)、及び、WHO規定水道水基準によって規定される水中の混入の状態に於ける各元素やミネラル等への影響、等に基づくものが好ましい。
本発明の効果の達成をより確実にするために、上述した水を用いることが好ましく、アルカリ鹸化溶液のカルシウム濃度は、0.001〜400mg/Lであるのが好ましく、0.001〜150mg/Lであるのが更に好ましく、0.001〜10mg/Lであるのが特に好ましい。マグネシウム濃度は、0.001〜400mg/Lであるのが好ましく、0.001〜150mg/Lであるのが更に好ましく、0.001〜10mg/Lであるのが特に好ましい。カルシウムやマグネシウムの他、多価の金属イオンも含まれないことが好ましい。多価金属イオンの濃度は0.002〜1000mg/Lであることが好ましい。一方、アルカリ鹸化溶液に塩化物イオンや炭酸イオンなどのアニオンも含まないことが好ましい。塩化物イオン濃度は0.001〜500mg/Lであることが好ましく、0.001〜300mg/Lであるのが更に好ましく、0.001〜100mg/Lであるのが特に好ましい。また、炭酸イオンも含まれないことが好ましい。炭酸イオン濃度は0.001〜3500mg/Lであることが好ましく、0.001〜1000mg/Lであるのが更に好ましく、0.001〜200mg/Lであるのが特に好ましい。以上の各イオン種とも濃度が低いほど好ましく、下限の0.001mg/Lとは、測定限界以下であることを意味している。これらの濃度範囲において、溶液中の不溶解物の生成が抑えられる。
本発明においては上述した鹸化処理工程の後に連続して機能層の塗設を行うことができる。塗布により片面に鹸化処理を実施し、その上に機能層の塗設を行うことにより、機能層を設けた後にフィルムをロール状に巻き取っても、機能層面とフィルムの反対面との間で貼りついたりすることを防止することができる。
(偏光板張り合わせ)
貼り合わせ後乾燥条件は、特開2002−86554に記載の方法に従うが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特開平07-325220号に記載されているように温湿度管理をした雰囲気でエージングすることも好ましい。
偏光子中の元素含有量は、ヨウ素0.1〜3.0g/m2、ホウ素0.1〜5.0g/m2、カリウム0.1〜2.0g/m2、亜鉛0〜2.0g/m2であることが好ましい。また、カリウム含有量は特開平13-166143号に記載されているように0.2重量%以下であってもよいし、偏光子中の亜鉛含有量を特開平12-035512号に記載されている0.04重量%〜0.5重量%としてもよい。
特許第3323255号に記載されているように、偏光板の寸法安定性をあげるために、染色工程、延伸工程および硬膜工程のいずれかの工程において有機チタン化合物および/または有機ジルコニウム化合物を添加使用し、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を含有することもできる。また、偏光板の色相を調整するために二色性染料を添加しても良い。
<偏光板の特性>
(透過率および偏光度)
本発明の偏光板の好ましい単板透過率は42.5%以上49.5%以下であるが、さらに好ましくは42.8%以上49.0%以下である。式4で定義される偏光度の好ましい範囲は99.900%以上99.999%以下であり、さらに好ましくは99.940%以上99.995%以下である。平行透過率の好ましい範囲は36%以上42%以下であり、直交透過率の好ましい範囲は、0.001%以上0.05%以下である。二色性比の好ましい範囲は48以上1215以下であるが、さらに好ましくは53以上525以下である。
ヨウ素濃度と単板透過率は特開平14-258051号に記載されている範囲であってもよい。
平行透過率は、特開平13-083328号や特開平14-022950号に記載されているように波長依存性が小さくてもよい。偏光板をクロスニコルに配置した場合の光学特性は、特開平13-091736号に記載されている範囲であってもよく、平行透過率と直交透過率の関係は、特開平14-174728号に記載されている範囲内であってもよい。
特開平14-221618号に記載されているように、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の平行透過率の標準偏差が3以下で、且つ、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の(平行透過率/直交透過率)の最小値が300以上であってもよい。
偏光板の波長440nmにおける平行透過率と直交透過率、平行透過率、波長550nmにおける平行透過率と直交透過率、波長610nmにおける平行透過率と直交透過率が、特開平14-258042号や特開平14-258043号に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
偏光板をクロスニコルに配置して波長550nmの光を入射させる場合の、垂直光を入射させた場合と、偏光軸に対して45度の方位から法線に対し40度の角度で入射させた場合の、透過率比やxy色度差を特開平13-166135号や特開平13-166137号に記載された範囲とすることも好ましい。また、特開平10-068817号に記載されているように、クロスニコル配置した偏光板積層体の垂直方向の光透過率(T0)と、積層体の法線から60°傾斜方向の光透過率(T60)との比(T60/T0)を10000以下としたり、特開平14-139625号に記載されているように、偏光板に法線から仰角80度までの任意な角度で自然光を入射させた場合に、その透過スペクトルの520〜640nmの波長範囲において波長域20nm以内における透過光の透過率差を6%以下としたり、特開平08-248201号に記載されている、フィルム上の任意の1cm離れた場所における透過光の輝度差が30%以内とすることも好ましい。
[用途(光学補償フィルム)]
本発明の高分子フィルムは、様々な用途で用いることができるが、高分子フィルムに光学異方性層を設けることによって、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
本発明の高分子フィルムを液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いる場合、使用される液晶表示装置の液晶セルの光学性能や駆動方式に制限されず、光学補償フィルムとして要求される、どのような光学異方性層でも設けることができる。
本発明の光学補償フィルムの光学異方性層は、下記式(iii)をみたす光学異方性層であることが好ましい。
(iii)Re(590)=0〜200(nm)かつ|Rth(590)|=0〜300(nm)
式(iii)は、より好ましくはRe(590)=20〜100(nm)かつ|Rth(590)|=100〜250(nm)であり、更に好ましくはRe(590)=40〜80(nm)かつ|Rth(590)|=150〜230(nm)である。
光学異方性層は、液晶性化合物を含有する組成物から形成してもよいし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成してもよい。液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
ディスコティック液晶性化合物は、重合により固定可能なように、重合性基を有するのが好ましい。重合性基を有するディスコティック液晶性化合物としては、例えば、ディスコティック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させた構造が考えられる。但し、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になることがある。そこで、円盤状コアと重合性基との間に連結基を有する構造が好ましい。即ち、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物は、下記式で表される化合物であることが好ましい。
D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。前記式中の円盤状コア(D)、二価の連結基(L)及び重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)が挙げられる。
(棒状液晶性化合物)
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類の化合物が挙げられる。棒状液晶性化合物としては、上記で例示したような低分子液晶性化合物以外にも、高分子液晶性化合物も用いることができる。
光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用できる重合性棒状液晶性化合物の例としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、国際公開(WO)95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物が挙げられる。
(ポリマーフィルムからなる光学異方性層)
光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステル(例、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸または二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
また、光学異方性層を形成するポリマーフィルムとして、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマー材料を用い、これを溶媒に溶解した溶液を基材に塗布し、溶媒を乾燥させてフィルム化する方法も好ましく用いることができる。この際、上記ポリマーフィルムと基材とを延伸して光学異方性を発現させて光学異方性層として用いる手法も好ましく用いることができ、本発明の高分子フィルムは上記基材として好ましく用いることができる。また、上記ポリマーフィルムを別の基材の上で作製しておき、ポリマーフィルムを基材から剥離させたのちに本発明の高分子フィルムと貼合し、あわせて光学異方性層として用いることも好ましい。この手法ではポリマーフィルムの厚さを薄くすることができ、50μm以下であることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
[用途(液晶表示装置)]
液晶表示装置は、一般的に2枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された2枚の偏光子が配置されたものであり、液晶セルと偏光子との間には少なくとも1枚の光学補償フィルムが配置されていることが望ましい。
本発明の高分子フィルムは、偏光子の保護フィルムとして液晶表示装置に用いることができる。また、上記のように高分子フィルム上に光学異方性層を設けて光学補償フィルムとし、この光学補償フィルムを液晶セルと偏光子との間に配置することによって液晶表示装置に利用することもできる。本発明の高分子フィルムを光学補償フィルムとして用いる場合は、偏光子の透過軸と、高分子フィルムを備えた光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。
なお、本発明の液晶表示装置に用いられる液晶セルの液晶層は、通常は、2枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
(液晶表示装置の種類)
本発明の高分子フィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明の高分子フィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
(TN型液晶表示装置)
本発明の高分子フィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体または偏光板保護フィルムとして用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、従来より知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn. J. Appl. Phys. Vol.36(1997)p.143や、Jpn. J. Appl. Phys. Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。
(STN型液晶表示装置)
本発明の高分子フィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体または偏光板保護フィルムとして用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
(VA型液晶表示装置)
本発明の高分子フィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体または偏光板保護フィルムとして有利に用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムのReレターデーション値を0〜150nmとし、Rthレターデーション値を70〜400nmとすることが好ましい。Reレターデーション値は、20〜70nmであることが更に好ましい。VA型液晶表示装置に2枚の光学補償フィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学補償フィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は150〜400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
(IPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置)
本発明の高分子フィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体、または偏光板の保護フィルムとしても特に有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明の高分子フィルムを用いた偏光板は視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、前記偏光板の保護膜と保護膜と液晶セルの間に配置された光学異方性層のリターデーションの値は、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。またRth値の絶対値|Rth|は、25nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは15nm以下に設定するのが好ましいため、本発明の高分子フィルムが有利に用いられる。
(OCB型液晶表示装置およびHAN型液晶表示装置)
本発明の高分子フィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体または偏光板保護フィルムとして用いてもよい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償フィルムの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999)p.2837)に記載がある。
(反射型液晶表示装置)
本発明の高分子フィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償フィルムまたは偏光板保護フィルムとして用いてもよい。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号、WO9848320号、特許第3022477号の各公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、WO00−65384号に記載がある。
(その他の液晶表示装置)
本発明の高分子フィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体または偏光板保護フィルムとして用いてもよい。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al.,SID 98 Digest 1089 (1998))に記載がある。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の技術思想から逸脱しない限り適宜変更することができ、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
[セルロースアシレートフィルムの作製]
実施例1−1
(セルロースアシレートフィルム101の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
<セルロースアシレート溶液A組成>
セルロースアセテートプロピオネート
(アセチル基置換度:0.12、プロピオニル基置換度:2.75)
100質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 517.6質量部
メタノール(第2溶媒) 77.3質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 0.13質量部
光学的異方性を低下する化合物(A−35) 17.0質量部
波長分散調整剤 (UV−111) 0.5質量部
上記セルロースアシレート溶液Aをバンド流延機を用いて流延し、残留溶剤量約60%でフィルムをバンドから剥離しテンターにより搬送した。
出来あがったセルロースアシレートフィルム101の残留溶剤量は0.15%であり、ロール幅は1000mm、膜厚は80μmであった。
(けん化液溶出量の測定)
サンプルフィルム1.6×10-63を、55℃に加熱した3NのNaOH 50mlの中に5分間浸漬し、フィルムを取り出し後、けん化液中の添加剤量を液体クロマトグラフにより定量することで鹸化液溶出量を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2006335800
Figure 2006335800
(鹸化処理)
作製した本発明のセルロースアシレートフィルム試料101を、表1に記載した1〜8の条件で、水酸化ナトリウム水溶液で鹸化した後、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定(N)の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの表面をアルカリ鹸化した試料101Aを作製した。それぞれの鹸化条件を行なった後のヘイズ、水の接触角の値を表3にまとめた。
さらに、水酸化ナトリウム水溶液中に下記の界面活性剤を水酸化ナトリウム重量に対して15%添加したケン化溶液を用いてケン化した場合のヘイズ、接触角の結果を表4にまとめた。
また、得られたセルロースアシレートフィルム101を条件4で鹸化処理した後のフィルムのレターデーション値を測定した結果を表5に示す。
[界面活性剤]
Figure 2006335800
実施例1−2
(セルロースアシレートフィルム102の作製)
実施例1−1においてセルロースアシレート溶液を以下の組成Bに変えた以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム102を作製した。
<セルロースアシレート溶液B組成>
置換度2.95のセルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 517.6質量部
メタノール(第2溶媒) 77.3質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 0.13質量部
光学的異方性を低下する化合物 (A−19) 11.7質量部
波長分散調整剤 (UV−102) 1.2質量部
クエン酸エステル 0.01質量部
実施例1−3
(セルロースアシレートフィルム103の作製)
実施例1−1においてセルロースアシレート溶液を以下の組成Cに変えた以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム103を作製した。
<セルロースアシレート溶液C組成>
置換度2.96のセルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 517.6質量部
メタノール(第2溶媒) 77.3質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 0.13質量部
光学的異方性を低下する化合物 (A−23) 11.7質量部
波長分散調整剤 (UV−21) 1.8質量部
クエン酸エステル 0.01質量部
実施例1−4
(セルロースアシレートフィルム104の作製)
実施例1−1においてセルロースアシレート溶液を以下の組成Dに変えた以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム104を作製した。
<セルロースアシレート溶液D組成>
置換度2.86のセルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 517.6質量部
メタノール(第2溶媒) 77.3質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 0.13質量部
トリフェニルフォスフェイト(TPP) 5.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP) 5.9質量部
クエン酸エステル 0.01質量部
実施例1−5
(セルロースアシレートフィルム105の作製)
実施例1−1においてセルロースアシレート溶液を以下の組成Eに変えた以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム105を作製した。
<セルロースアシレート溶液E組成>
置換度2.95のセルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 517.6質量部
メタノール(第2溶媒) 77.3質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 0.13質量部
光学的異方性を低下する化合物 (A−19) 25質量部
クエン酸エステル 0.01質量部
上記実施例1−2〜5においても、実施例1−1と同様に、鹸化液溶出量を測定し、表1に記載の鹸化条件で鹸化処理した後のヘイズおよび接触角、さらに界面活性剤を加えた時のヘイズおよび接触角、鹸化条件4で鹸化処理したフィルムのレターデーション値を測定した。これらの結果を表2、表3、表4、表5にそれぞれ示す。
表3,4に示されるように、本発明の好ましいV値内では鹸化液中への溶出が1.0ppm以上ある場合に接触角を低く保ちながらヘイズの上昇を抑える効果がある。また、アルカリ鹸化処理液中に界面活性剤を添加することによりさらにヘイズの上昇を抑えることが出来た。
本発明の鹸化処理方法は、鹸化液中に1.0ppm以上溶出しない添加剤を含む高分子フィルムに対しても用いることができる。
Figure 2006335800
Figure 2006335800
Figure 2006335800
(ヘイズの測定)
フィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
(接触角の測定)
アルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角を求めた。
(レターデーション値の測定)
レターデーション値(Re、Rth)は、試料70mm×100mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA21DH、王子計測(株)を用いて測定した。尚、以下の実施例において、特に断りの無い場合は、測定波長を590nmとした値である。
実施例2
[偏光板作成]
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜(偏光子)を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、実施例1−1において鹸化条件4で界面活性剤を用いて鹸化したセルロースアシレートフィルム101を2組用意して偏光膜を間にしてロール トゥー ロールで貼り合わせ、両面がセルロースアシレートフィルム101によって保護された偏光板101Xを得た。他のフィルム102,103,104、105に関しても同様にそれぞれ偏光板102X、103X、104Xを作成した。
また、フィルム102に関しては、鹸化条件1〜8で界面活性剤を用いずに鹸化したセルロースアシレートフィルムを用い同様に偏光板102XX1〜XX8(それぞれ鹸化条件1〜8に対応)を作成した。
[パネルへの実装評価]
本発明の偏光板101X、102X、103X、104X、105Xを、液晶表示装置のパネルに実装して評価を行った。
実施例3
〔IPSモード〕
<IPS液晶セル用偏光板>
長さ100m、幅180mm、厚さ80μmでReが0nmであるポリカーボネートの両面に165度での寸法変化率(MD/TD)が1.15のポリエステルフィルムをアクリル系粘着層を介し接着し、ロール延伸機にてロール速比0.97の条件で、かつロールの温度を165度とした常温雰囲気で処理してポリカーボネートを収縮させた後、ポリエステルフィルムを剥離した。この位相差板を163度の雰囲気下で幅方向に1.1倍に延伸し光学補償フィルムZ1を得た。
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定し、これらの光学特性を算出したところ、Reが270nm、Nzが0.5であり、遅相軸が長手方向とは直交方向にあることを確認した。
本発明の偏光板101Xの片面に光学補償フィルムZ1の遅相軸と偏光板の吸収軸が一致するように貼合して偏光板一体型光学補償フィルム101Z1を作製した。
<IPSモード液晶セルの作製>
一枚のガラス基板上に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。別に用意した一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行なって配向膜とした。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を3.9μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマチック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
この液晶セルの光源側に実施例2で作製した偏光板を液晶セルの遅相軸と偏光板の吸収軸が一致するように粘着剤により貼り付け、液晶セルの反対側に、対向の偏光板と吸収軸が直交するように上記の偏光板一体型光学補償フィルム101Z1の光学補償フィルム側を液晶セル側にし、粘着剤により貼り付けIPS型液晶表示装置を作成した。
実施例4
〔VAモード〕
(VA用光学補償フィルム)
セルロースアシレートフィルム101を用いて、特開2003−315541号公報の実施例1に記載の方法に準じて光学補償フィルム試料を作製した。2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)と、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル(TFMB)から合成された、重量平均分子量(Mw)7万、△nが約0.04のポリイミドを、溶媒にシクロヘキサノンを用い25wt%に調製した溶液を、セルロースアセテートフィルム101に塗布した。その後100℃で10分熱処理後、160℃で15%縦一軸延伸することにより厚さ6μmのポリイミドフィルムがセルロースアシレートフィルム101に塗布された光学補償フィルムを得た(光学異方性層のRe=69nm、Rth=205nm)。この光学補償フィルムの光学特性は、Re=72nm、Rth=220nm、配向軸のズレ角度は±0.3度以内で、nx>ny>nzの複屈折層を持つ光学補償フィルムZ2であった。
<VA液晶セルの作製>
ポリビニルアルコール3重量%水溶液に、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(カップリング剤)を1重量%添加した。これを、ITO電極付きのガラス基板上にスピンコートし、160℃で熱処理した、垂直配向膜を形成した。2枚のガラス基板を向かい合わせ、セルギャップに、エステル系とエタン系を主成分とする液晶性化合物(Δn:0.06)を注入し、Δnとdとの積が300nmとなる垂直配向液晶セルを作製した。
上記光学補償フィルムZ2の、ポリイミドフィルムを塗布していない側を実施例1−1と同様に鹸化条件4で界面活性剤を含む鹸化溶液を用いてアルカリ鹸化処理した後、ポリビニルアルコール系接着剤で実施例2にて作製した偏光子と接着することにより、直接偏光子と貼り合せた。またアルカリ鹸化処理したフジタックTD80UF(富士写真フイルム株式会社製)を偏光子を挟んで光学補償フィルムZ2と反対側の保護フィルムとして同様に偏光子と貼り合せた。この際光学補償フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸が直交するように貼り合せ偏光板一体型光学補償フィルム101Z2を得た。偏光板一体型光学補償フィルム101Z2の光学補償フィルム側が液晶セル側となるように粘着剤でVA液晶パネルに張り合わせた。なお、液晶セルの反対側には偏光板の吸収軸同士が直交するように偏光板のみ(フジタックTD80UFを両側の保護フィルムとした偏光板)を粘着剤を介してVA液晶パネルに貼り合せVA型液晶表示装置を作成した。
実施例3のIPS液晶セル用偏光板において、偏光板101Xを用いる代わりに偏光板102X〜105X、102XX1〜102XX8のいずれかを用いる以外は同様にして、それぞれの偏光板が用いられたIPS型液晶表示装置を作製した。
また、実施例4のVA用光学補償フィルムにおいて、セルロースアシレートフィルム101の代わりにセルロースアシレートフィルム102〜105のいずれかを用いる以外は同様にして、それぞれのセルロースアシレートフィルムが用いられたVA型液晶表示装置を作製した。
さらに、実施例4のVA用光学補償フィルムにおいて、セルロースアシレートフィルム101の代わりにセルロースアシレートフィルム102を用い、鹸化条件1〜8で界面活性剤を用いずに鹸化する以外は同様にしてVA型液晶表示装置を作製した。
実施例5
(パネル評価)
<作製した液晶表示装置の視野角特性および画像鮮明度の評価>
作成した液晶表示装置の透過率および色味の視野角依存性を測定した。抑角は正面から斜め方向へ10°毎に80°まで、方位角は水平右方向(0°)を基準として10°毎に360°まで測定した。黒表示時の輝度は正面方向から抑角が増すにつれ、漏れ光透過率も上昇し、抑角70°近傍で最大値をとることがわかった。また色味変化も大きくなることもわかった。そこで、正面の黒表示透過率および色味と抑角60°の漏れ光透過率と色味変化を評価することにした。また、正面から見た場合の画像の鮮明度の官能評価を行った。
得られた結果を表6(各種フィルムを用いた鹸化条件4での処理)、表7(フィルム102を用いた鹸化条件1〜8での処理)に示す。
Figure 2006335800
Figure 2006335800
<表示特性の評価>
(視野角特性の評価)
◎:視野角特性差が極めてわずかであり良好
○:視野角特性差が少ない
×:視野角特性差が大きい
(画像鮮明度)
◎:画像がきわめて鮮明
○:画像が鮮明
×:画像にボケあり
Re、Rthの絶対値が20nm以下でない場合には視野角特性が悪いことが分かる。

Claims (16)

  1. 下記条件1でアルカリ鹸化した際に、アルカリ鹸化溶液中へ1.0ppm以上溶出する添加剤を少なくとも一種含有する高分子フィルムの鹸化処理方法であって、
    該高分子フィルムを、アルカリ鹸化溶液を用いて、下記式(A)で表されるV値が5〜13となる条件で鹸化する工程を含むことを特徴とする鹸化処理方法。
    条件1:
    1.6×10-63のフィルムを、55℃に加熱した3NのNaOH 50ml中に、 5分間浸漬する。
    式(A):
    T/10+S+D =V
    [上記式(A)において、Tは鹸化処理温度(℃)、Sは鹸化処理時間(分)、Dは鹸化溶液のアルカリ規定度(N)である。]
  2. 該高分子フィルムが、前記条件1でアルカリ鹸化した際に、鹸化液溶出量が1.0ppmより小さい添加剤を少なくとも1種類含有することを特徴とする請求項1記載の鹸化処理方法。
  3. 前記鹸化処理方法が、
    高分子フィルムの鹸化反応を進行させる、アルカリ鹸化溶液による鹸化工程と、
    鹸化反応を減速あるいは停止させる希釈工程または中和工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の鹸化処理方法。
  4. 前記アルカリ鹸化溶液に、界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鹸化処理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の鹸化処理方法で鹸化処理したことを特徴とする高分子フィルム。
  6. 該鹸化処理後の高分子フィルムの少なくとも片面の水の接触角が、50度以下5度以上であることを特徴とする請求項5に記載の高分子フィルム。
  7. 該鹸化処理後の高分子フィルムのヘイズが2.0%以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の高分子フィルム。
  8. 該鹸化処理後の高分子フィルムの、測定波長590nmにおける面内レターデーション値Reが20nm以下であり、膜厚方向のレターデーション値Rthの絶対値が25nm以下であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の高分子フィルム。
  9. 該高分子フィルムを形成する高分子材料が、アシル置換度が2.50〜3.00のセルロースアシレートからなることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の高分子フィルム。
  10. 該セルロースアシレートのアシル置換基が、アセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなることを特徴とする請求項9記載の高分子フィルム。
  11. 請求項5〜10のいずれかに記載の高分子フィルムに、Re(590)が0〜200nmであり、かつ|Rth(590)|が0〜300nmである光学異方性層を有した光学補償フィルム。
    [Re(λ)およびRth(λ)は、それぞれ波長λ(nm)における面内レターデーション(nm)および膜厚方向のレターデーション(nm)である。]
  12. 前記光学異方性層がディスコティック化合物を含むことを特徴とする請求項11に記載の光学補償フィルム。
  13. 前記光学異方性層が棒状化合物を含むことを特徴とする請求項11に記載の光学補償フィルム。
  14. 前記光学異方性層がポリマーフィルムを含むことを特徴とする請求項11に記載の光学補償フィルム。
  15. 請求項5〜10のいずれかに記載の高分子フィルム、または請求項11〜14のいずれかに記載の光学補償フィルムを、偏光子の保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
  16. 請求項5〜10のいずれかに記載の高分子フィルム、請求項11〜14のいずれかに記載の光学補償フィルム、または請求項15に記載の偏光板を用いたことを特徴とするVAまたはIPS液晶表示装置。
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