JP2006335609A - 窯業製品の加飾方法、及び窯業製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 無機顔料を含有する水系インクを利用して熱転写シートの転写シート面に形成された転写画像を、被転写物に転写して加飾することが可能な窯業製品の加飾方法の提供を課題とするものである。
【解決手段】 加飾方法1は、熱転写シートの転写シート面に、インクジェットプリンタを利用して無機顔料を含有する水系インクを吐出し、転写画像を形成する画像形成工程S2と、仮焼成体を所定の加熱温度で予め加熱する予熱工程S3と、仮焼成体に熱転写シートを貼付する貼付工程S4と、転写画像を仮焼成体の表面に転写する熱転写工程S5と、500℃前後の温度で加熱し、熱転写シートの樹脂層を除去する樹脂除去工程S6と、仮焼成体の表面に釉薬を施す施釉工程S7と、所定の焼成温度で本焼成をする焼成工程S8とを具備する。
【選択図】 図2
【解決手段】 加飾方法1は、熱転写シートの転写シート面に、インクジェットプリンタを利用して無機顔料を含有する水系インクを吐出し、転写画像を形成する画像形成工程S2と、仮焼成体を所定の加熱温度で予め加熱する予熱工程S3と、仮焼成体に熱転写シートを貼付する貼付工程S4と、転写画像を仮焼成体の表面に転写する熱転写工程S5と、500℃前後の温度で加熱し、熱転写シートの樹脂層を除去する樹脂除去工程S6と、仮焼成体の表面に釉薬を施す施釉工程S7と、所定の焼成温度で本焼成をする焼成工程S8とを具備する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、窯業製品の加飾方法、及び窯業製品に関するものであり、特に、インクジェット印刷技術及び熱転写シートを利用して窯業製品の表面に加飾する窯業製品の加飾方法、及び窯業製品に関するものである。
従来から、陶磁器等の窯業製品の表面に種々の図柄や模様(以下、「図柄等」と称す)を加飾する所謂「絵付け」の作業が行われている。具体的に説明すると、多孔質性状を呈する成形体または焼成体の表面に顔料系インクを利用して図柄等を描き、その上から釉薬を施し、所定の焼成温度で焼成を行うことにより、ガラス質の釉薬層の下層に加飾された図柄等が固定される「下絵付け」、本焼成後の釉薬層の上に図柄等を加飾し、本焼成温度よりも低い温度で加熱する「上絵付け」または「イングレーズ」などの作業が主に行われている。
ここで、図柄等を窯業製品に加飾するための手法としては、例えば、絵筆を利用して、成形体または焼成体の表面に直接図柄等を描画する手描きの方法が古来から行われている。しかしながら、手描きによる加飾作業は、一つ一つの窯業製品に対して絵付け作業者が手作業で行う必要があり、当然のことながら、多くの時間を要した。そのため、美術工芸品のような単品で作製するようなもの以外、すなわち、大量生産され、日常的に使用される陶磁器の様な窯業製品には、作業時間や作製コスト等の点で適していない。さらに、写真のような精細な図柄を加飾することは物理的に不可能であった。
これに対し、スクリーン印刷、パッド印刷、銅板転写印刷等の従来から周知の印刷技術を応用し、加飾を行うものも知られている。これによれば、同一の図柄等を短時間で、かつ、大量に窯業製品に加飾することが可能であり、上述のような課題は解消される。ところが、これらの印刷技術を用いる場合、予め図柄等を印刷するための「版(原版)」を作製する工程が新たに必要となる。その結果、係る版を作製するために要する時間、及びコストが従来よりも余計に必要となる。そのため、作業工程の複雑化及び窯業製品の作製コストが嵩むなどの問題が生じることがある。加えて、作製された版は、その後に変更することができず、窯業製品に仕様の変更等が生じた場合、新たに版を作製する必要があり、急なデザインの変更等に対し、迅速に対応することができない場合がある。また、大量生産の窯業製品に利用されるため、オリジナリティを有する窯業製品の作製には適していないことが多い。
一方、近年のパーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、及びスキャナ等の情報家電機器の高機能化及び低価格化に伴って、高精度のデジタル画像の入手及び画像編集・加工技術が簡易に利用可能となっている。さらに、高画質印刷の可能なインクジェットプリンタ等の印刷機器の高機能化も進んでいる。そこで、これらの機器及び各種技術を応用し、例えば、家族の様子が撮像されたオリジナリティの高いデジタル画像を、窯業製品の表面等に加飾する試みもなされている。一例を挙げると、スキャナ等の画像入力機器によって取込まれたデジタル画像を、水溶性高分子を含んで構成され、窯業用として多用されている水貼り転写台紙に出力し、これを窯業製品の表面に水を付けて貼付し、550℃以上で焼成するものなどがある(例えば、特許文献1参照)。また、インクジェット印刷技術を利用し、タイルなどの平面的な窯業製品に対してインクを吐出し、タイル表面に直接印刷を行うものも知られている。
しかしながら、水貼り転写台紙を利用するものは、主に「上絵付け」や「イングレーズ」のような釉薬層の上に水を付けて貼付し、図柄等を転写するものであった。そのため、貼付時の滲み等が生じる可能性があり、水貼り転写台紙に転写画像を出力する際に水系インクを用いることができなかった。さらに、素焼き等の多孔質性状を呈する窯業製品に対して使用する場合でも、インクが窯業製品に吸収され、転写画像が滲んだり、接着性及び防水性の問題から転写画像が窯業製品から剥離するなどの不具合を生じることがあった。そのため、「下絵付け」による加飾に適していなかった。
また、インクジェット印刷技術を利用し、直接印刷を行うものは、上述したタイルのような平面形状を有し、比較的単純な態様の窯業製品にしか印刷することができず、三次元的(立体的)、または複雑な形状を有する窯業製品には使用することは困難であった。そのため、幅広い用途に適用することができなかった。
さらに、インクジェット印刷に使用されるインクに無機顔料を含有させる場合、比重の大きな無機顔料がインク中で沈降する傾向があった。その結果、インクを吐出する吐出部(ノズル部)で、ノズル詰まりが発生して吐出不良が生じ、転写画像の形成が良好に行えない場合があった。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、無機顔料を含有する水系インクによって形成された転写画像を転写し、加飾する窯業製品の加飾方法、及び窯業製品の提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明の窯業製品の加飾方法は、「無機顔料を含有する水系インクを利用し、熱転写シートの転写シート面に所望の転写画像を形成する画像形成工程と、前記転写シート面に形成された前記転写画像を被転写物の被転写面に熱を利用して転写する熱転写工程と、前記転写画像が転写された前記被転写物を500℃以上、1500℃以下の焼成温度で焼成する焼成工程と」を主に具備して構成されている。
ここで、熱転写シートとは、転写シート面に形成された転写画像を熱を利用して被転写面に転写することが可能なものである。被転写面に転写画像を当接させた状態で、熱転写シートの裏面等の周囲から熱を与えることにより、転写画像及び転写シート面の有機体とを被転写面に転写するものである。
また、画像形成工程とは、上述した熱転写シートの転写シート面に手描きやその他手段によって無機顔料を含有する水系インクを利用して、完成品の窯業製品に加飾したい転写画像を形成するものである。なお、後述する熱転写工程によって、転写画像は左右が反対となるため、画像形成工程では欲する画像と左右を逆転させたものを形成する必要がある。
さらに、無機顔料を含む水系インクとは、事後に実施される高温での焼成によって発色可能な無機顔料を含み、特に、下絵付け作業に使用されるものは、転写画像の上面に施釉される釉薬層が形成されても優れた発色性を有することが要求される。ここで、水系インクは、基本的にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、ブラック(K)の四色を有することにより、フルカラーの転写画像を形成することが可能となる。なお、この水系インクに用いられる無機顔料の種類は、既に公知であり、例えば、バナジウム−スズ,バナジウム−ジルコニウム、プラセオジム−ジルコン、ホルミニウムなどの酸化物がY系顔料として使用可能であり、コバルト、コバルト−アルミニウム、コバルト−亜鉛−アルミニウムなどの酸化物がC系顔料として使用可能であり、クロム−鉄、クロム−コバルト−鉄、コバルト−アルミニウム−鉄などの酸化物がK系顔料として知られている。また、特殊な色として、酸化鉄による赤色、コバルト−クロム酸化物等による緑色、亜鉛−クロム−珪素酸化物による茶色等を使用することもできる。また、必要に応じて、フリットと呼ばれるガラス粉体を利用可能である。
また、本発明で使用する水系インクは、混合する無機顔料の分散性、沈降防止性、及び表面張力の調整等のインク性状を安定させるために種々の添加物を添加するものであっても構わない。例えば、従来の無機顔料やセラミックス粉体に利用されている周知の添加剤を利用することが可能であり、アニオン系、カチオン系、及びノニオン系の添加剤の中から、使用する無機顔料の種類や配合量に応じて一種類または複数種類のものを適宜選択して利用することができる。ここで、使用可能な添加剤をさらに具体的に説明すると、ケイ酸塩・ピロリン酸塩・アルキルリン酸塩等の無機塩類、ステアリン酸塩・アルギン酸塩・ナフタレンスルホン酸塩・ポリオキシエチレンソルビタンモノレート・ポリカルボン酸塩・ポリアクリル酸塩・ポリオキシエチレン脂肪酸塩・アルキルベンゼンスルホン酸塩・アルキルスルホコハク酸塩等の有機塩類、メチルセルロース・エチルセルロース等の有機類、シュウ酸・酢酸等の酸類、及び、アンモニア水等のアルカリ類などの種々の分散剤、湿潤剤、界面活性剤、沈降防止剤を例示することができる。なお、これらの添加剤は、インク中の顔料に対し、1wt%以下、さらに好ましくは0.5wt%以下の添加量が望ましい。過剰に添加することにより、水系インクが高粘性化したり、表面張力が低くなり、転写画像の形成に適さなくなる。
加えて、一般に水系インクでは、インク性状を安定させるため、乾燥防止剤が添加されることが多い。この乾燥防止剤は、水と混合可能な親水性を有し、かつ粘性に影響を及ぼさないものが好適である。例えば、エチルアルコール・n−プロピルアルコール・イソプロピルアルコール・n−ブチルアルコール・イソブチルアルコール・エチレングリコール・ジエチレングリコール・チオエチレングリコール・トリエチレングリコール・プロピレングリコール・ポリエチレングリコール等のアルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル・エチレングリコールモノブチレンエーテル・ジエチレングリコールモノエチルエーテル・プロピレングリコールモノエチルエーテル・トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、グリセリン・ジアセトンアルコール・N−メチル2−ピロリドン・2−ピロリドン等の水系溶媒が挙げられる。なお、乾燥防止剤の添加量は、溶媒に対し、0〜50vol%、より好ましくは0〜30vol、さらに好ましくは0〜20vol%の範囲で添加される。
したがって、本発明の窯業製品の加飾方法によれば、熱転写シートのシート転写面に転写画像を形成し、被転写物(仮焼成体等)に該シート転写面を当接した状態で加熱する。なお、熱転写シートのシート転写面は溶融樹脂層(詳細は後述する)によってある程度の粘着性を有している。そのため、特に接着機能を有する媒介を必要としない。これにより、熱転写シートから転写画像が被転写物の被転写面に転写され、無機顔料を含有する水系インクによって形成された転写画像が被転写物の被転写面上に形成される。その後、被転写物を500℃以上、1500℃以下の焼成温度で焼成することにより、転写された転写画像が窯業製品に加飾される。すなわち、従来の水貼り転写台紙のように貼付時に水を使用することがないため、水系インクを用いても転写画像等が滲むなどの不具合を生じることがない。そのため、転写技術を利用した窯業製品の加飾の利用性が高まる。さらに、被転写物は、多孔質性を有する成形体または焼成体であっても良好な転写が可能なため、従来は困難であった「下絵付け」によって加飾される窯業製品に利用することが可能となる。
さらに、本発明にかかる窯業製品の加飾方法は、上記構成に加え、「前記画像形成工程は、インクジェット印刷技術を利用し、前記水系インクを前記熱転写シートの前記熱転写シート面に吐出し、前記転写画像を印刷して形成するインクジェット印刷工程を」具備するものであっても構わない。
したがって、本発明の窯業製品の加飾方法によれば、インクジェット印刷技術を利用して、水系インクが熱転写シートの転写シート面に吐出され、転写画像が形成される。これにより、家庭用のパーソナルコンピュータ及びインクジェットプリンタを利用して転写画像を形成し、出力することが可能となる。さらに、転写画像の変更が必要となった場合でも、パーソナルコンピュータにインストールされた画像加工ソフト等を利用して簡易に変更可能となる。そのため、従来のように、新たに「版」を形成し直す手間及び時間が必要となることがない。その結果、仕様変更に対する迅速な対応をとることができる。加えて、無機顔料を含む水系インクを利用したインクカートリッジを構築し、パーソナルコンピュータやインクジェットプリンタ等は家庭用に普及している汎用の機材を用いることが可能であり、窯業製品の加飾がさらに容易となる。また、通常のインクジェットプリンタのように、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の四色の水系インクを準備することにより、形成する転写画像をフルカラーで構築することが可能となる。その結果、窯業製品に加飾されるデザインとともに色彩を豊かなものとすることが可能となる。
さらに、本発明の窯業製品の加飾方法は、上記構成に加え、「前記無機顔料は、平均粒子径が5nm以上、100nm以下に調製される」ものであっても構わない。
ここで、無機顔料の平均粒子径は、より好ましくは80nm以下であることが望ましい。すなわち、平均粒子径が100nm以上の場合、比重の大きい無機顔料は、水系インク中での沈降速度が速く、インクジェット印刷を行う場合のインクカートリッジの吐出部(ノズル部)やインクが流通する経路部で沈殿が生じ、良好な水系インクの吐出が行えなくなる可能性が高くなる。
また、水系インクに占める無機顔料の混合量は、特に規定するものではないが、吐出部からの吐出が可能な程度で、かつできる限り高濃度のものであることが望ましい。しかしながら、無機顔料を高濃度含有する水系インクは、粘性が高くなり、吐出が良好に行えない可能性が高くなり、吐出部でのインク詰まりも発生しやすい。そのため、1vol%以上、20vol%以下、さらに好ましくは、10vol%以下であることが好適である。ここで、20vol%以上の無機顔料を混合した場合、上記のような、吐出部での不具合が発生する確率が著しく高くなる。また、水系インクは、見掛け粘度が1〜25mPa・s、さらに好ましくは、1〜15mPa・sの範囲の性状を有し、表面張力が10〜60mN/m、さらに好ましくは、20〜50mN/mの範囲の性状を有するものである。ここで、見掛け粘度及び表面張力が上記の範囲内の値でないと、吐出部から真っ直ぐに吐出することができず、転写画像に歪みやかすれなどの不具合が発生する可能性が高い。
したがって、本発明の窯業製品の加飾方法によれば、5nm以上、100nm以下の平均粒子径を有する無機顔料が使用される。これにより、水系インク中の沈降安定性が保持される。そのため、水系インク中の無機顔料の混合比率が一定となる。特に、係る水系インクをインクジェット印刷に用いた場合、ノズル部で発生するノズル詰まり等の不具合を解消することが可能となる。
さらに、本発明にかかる窯業製品の加飾方法は、上記構成に加え、「前記熱転写シートは、50℃以上、250℃以下の転写温度で加熱溶融し、前記被転写面に前記転写画像とともに転写される溶融樹脂層を含んで構成され、前記焼成工程は、前記被転写面に転写された前記溶融樹脂層を酸化雰囲気下で除去する樹脂除去工程を」具備するものであっても構わない。
ここで、50℃以上、250℃以下の転写温度で加熱溶融する溶融樹脂層は、比較的低温で加熱溶融可能な熱可塑性樹脂を使用することが好適である。例えば、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリカーボネート・ポリ塩化ビニル・ポリビニルアルコール・ポリウレタン・ポリエステル・エチレンビニルアルコール・ポリアミド・合成ワックス・天然ワックス等が使用される。熱転写シートは剥離することなくそのまま被転写物に貼付し、貼付したシートの上から金属や耐熱樹脂などで押さえることで密着することができる。さらに、熱転写シートは、一般に薄葉体の形状で構成されるため、転写シート面を支持するための支持台紙(セパレータ)等を有するものであってもよい。なお、支持台紙と熱転写シートとの間には、剥離性を良好とするために、シリコン剥離層やフッ素樹脂剥離層等を形成する必要がある。また、無機顔料を含有する水系インクが利用されるため、水系インクに対する親和性(親水性)を有する必要がある。ここで、熱転写シートの溶融樹脂層は、水系インクの溶媒(主に水)に対する耐性を有するとともに、上述した転写温度によって溶融する特性を有する必要がある。また、乾燥後に無機顔料が剥離することなく、シート転写面に転写画像を鮮明に表示可能なように、水系インクを吸収する多孔性を有するものであることが望ましい。
したがって、本発明の窯業製品の加飾方法によれば、50℃以上、250℃以下の転写温度で転写画像とともに転写される溶融樹脂層を有して熱転写シートが形成されている。さらに、焼成工程の際に、溶融樹脂層を除去する温度(例えば、500℃前後)で所定時間加熱し、被転写物の表面に転写画像のみを残す樹脂除去工程を有している。これにより、溶融樹脂層の除去後に、被転写物及び転写画像の上から釉薬を施し、さらに1000℃程度の焼成温度で本焼成を行うことにより、ガラス質の釉薬層の下に転写画像が加飾された窯業製品を作製することが可能となる。すなわち、熱転写シートを利用し、下絵付けによる加飾を行えるようになる。
なお、本発明にかかる窯業製品の加飾方法は、上記構成に加え、「前記被転写物を予め所定の予熱温度に加熱する予熱工程をさらに具備し、前記貼付工程は、前記予熱工程によって加熱された前記被転写物に対し、前記熱転写シートを貼付する」ものであっても構わない。
したがって、本発明の窯業製品の加飾方法によれば、予熱された状態の被転写物に対し、転写画像が形成された熱転写シートが貼付される。これにより、被転写物から伝達される熱によって、熱転写シートの転写シート面が加熱溶融し、被転写物の被転写面に転写される。すなわち、熱転写シートを貼付後、さらに加熱する必要はなく、熱転写シートの貼付と同時に、該熱転写シートの加熱が実施される。さらに、係る熱によって熱転写シートの一部が加熱溶融することにより、被転写物と熱転写シートとの密着性が良好となる。そのため、従来の水貼り転写台紙の水のような接着機能を有するその他の構成を用意する必要がない。これにより、転写される転写画像がずれるおそれが少なくなる。さらに、従来の水貼り転写台紙では、転写が困難であった多孔質性の窯業製品に対しても適用可能となる。
この場合、前述した予熱工程は、熱転写シートの性状に合わせて50℃以上、250℃以下、さらに好ましくは、50℃以上、200℃以下の加熱温度で加熱溶融する素材を熱転写シートに使用することが特に好適である。これに対し、加熱温度が低く、加熱溶融が十分でない場合、熱転写シートと被転写物との密着性が低くなり、転写画像が被転写物の被転写面に良好に転写されることがない。
一方、本発明の窯業製品は、「上記のいずれか一つに記載の窯業製品の加飾方法を利用し、加飾される窯業製品であって、焼成体と、熱転写シートを利用して前記焼成体に転写された転写画像によって前記焼成体表面に形成された転写画像層と」を具備して主に構成されている。
したがって、本発明の窯業製品によれば、上記の窯業製品の加飾方法を適用することにより、熱転写シートの転写シート面に形成された転写画像を、多孔質性を有する仮焼成体に転写し、さらに再び焼成することにより、転写画像層が形成された窯業製品が得られる。ここで、”焼成体”とは、素焼きのような仮焼成体または焼成された焼成体の双方を示すものとして、本明細書中では以下使用する。
本発明の効果として、熱転写シートを、被転写物に熱の力を利用して貼付して転写画像を転写し、窯業製品に加飾することができる。これにより、従来の水貼り転写台紙のように、転写時に水を必要とすることがなく、転写画像を形成するためのインクに水系インクを使用することが可能となる。さらに、無機顔料を含む水系インクをインクジェット印刷技術を用い、転写シート面に吐出し、所望の転写画像を形成することが可能となる。そのため、オリジナリティのある画像等を加工し、窯業製品の表面に簡易に加飾を施すことができる。さらに、大量に窯業製品を製造する場合でも、従来のような印刷版を構築する必要がないため、見本の作製、デザイン仕様の変更、及び設計変更等があった場合でも、簡易に変更することができる。また、製版に要する製版コストが必要とならず、設計変更時の費用を著しく抑えることが可能となる。
以下、本発明の一実施形態である窯業製品の加飾方法1(以下、単に「加飾方法1」と称す)、及び該加飾方法1によって作製される窯業製品2について、図1及び図2に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の加飾方法1の概要を模式的に示す説明図であり、図2は加飾方法1の各工程の流れを示すフローチャートである。
本実施形態の加飾方法1は、図1に主として示すように、転写シート面3に形成された転写画像4を被転写物に、加熱によって転写可能な熱転写シート5と、画像加工・編集ソフトがインストールされたコンピュータ(図示しない)と接続され、画像編集によってデジタル化された転写画像4を、水系インク10を利用して熱転写シート5の転写シート面3に形成可能なインクジェットプリンタ7と、転写画像4が転写される被転写物に相当する多孔質性状を呈する仮焼成体8とを用いて主に実施される。なお、その他の構成として、転写画像4が転写された仮焼成体8の表面に施される釉薬9、熱転写シート5を貼付する前の仮焼成体8を加熱し、予熱状態にするための予熱炉(図示しない)、及び釉薬9の施釉後に実施される本焼成のための焼成炉(図示しない)が利用される。なお、予熱炉及び焼成炉は、それぞれ独立して設ける必要はなく、一つの炉を使用し、加熱温度(焼成温度)を適宜変更することにより、それぞれの機能を発揮可能なものであっても構わない。
次に、本実施形態の加飾方法1の各工程の処理の流れについて、主に図2に基づいて説明する。始めに、コンピュータ(図示しない)を利用し、インクジェットプリンタ7によって印刷する転写画像4の基となるデジタル画像を準備する。なお、係る画像は、例えば、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像機器によってデジタル画像として撮像されたもの、銀塩写真等をスキャナ等の画像入力機器によって読取り、デジタル変換したもの、予め複数のデジタル画像が収録されたCD−ROMやDVD等の媒体からコンピュータの中に読込んだもの、或いは、インターネット等の通信ネットワークからダウンロードしたもの等のいずれのものであってもよい。すなわち、後述するインクジェットプリンタ7を利用して、熱転写シート5の転写シート面3に転写画像4を形成可能なものであれば良い。
そして、転写することが決定されたデジタル画像を、画像加工・編集ソフトを利用して、作製する窯業製品2の形状や転写位置に合わせて転写サイズの拡大・縮小、回転、変形等の編集処理を行う(画像編集工程S1)。なお、この画像編集工程S1は、出力の際の色合い等の調整を同時に行うものであってもよい。また、以前に係る工程を実施している場合には、画像編集工程S1を省略し、次工程の画像形成工程S2から開始しても構わない。
その後、インクジェットプリンタ7を利用し、加工・編集されたデジタル画像が熱転写シート5の転写シート面3に印刷され、転写画像4が形成される(画像形成工程S2)。ここで、画像形成工程S2が本発明の画像形成工程またはインクジェット印刷工程に相当する。このとき、インクジェットプリンタ7に装着されたインクカートリッジの各吐出部(図示しない)からは、微量ずつ吐出されるように制御された水系インク10が噴射され、転写シート面3に付着する。その結果、全体として転写画像4が形成される。なお、使用される水系インク10は、平均粒子径が80nm以下の無機顔料を含み、また溶媒としての水の他にインク安定性のための種々の添加剤及び乾燥防止剤等を含んで構成されている。このため、吐出部で無機顔料が詰まり、吐出不良を生じたり、インクカートリッジ内で無機顔料が沈降し、水系インク10の分散状態が不均一になることがない。なお、インクカートリッジに充填される水系インク10をCYMKの各色にそれぞれ調製し、コンピュータによって吐出量を制御することにより、転写画像4をフルカラーにすることも可能である。なお、本実施形態では、単色の水系インク10を用いている。
次に、多孔質性状を有する仮焼成体8を、予熱炉(図示しない)などを利用し、所定の加熱温度(ここでは、200℃)で加熱する(予熱工程S3)。なお、係る予熱工程S3は、画像形成工程S2の後に行う必要はなく、前述した画像編集工程S1または画像形成工程S2の間に並行して行うことも勿論可能である。そして、予熱工程S3によって、仮焼成体8の表面は、200℃近い表面温度になる。その後、予熱炉から取出した仮焼成体8の表面に、画像形成工程S2で転写画像4が印刷された転写シート面3が当接するように熱転写シート5を貼付する(貼付工程S4)。このとき、転写シート面3を構成する素材は、温度によって溶融する素材で形成されているため、熱せられた仮焼成体8に貼付されることにより、その一部が溶融する。その結果、溶融によって仮焼成体8と熱転写シート5との間の密着性が高くなり、他に接着媒体を必要とすることなく、係る密着状態を維持することができる。このとき、予熱された仮焼成体8によって熱転写シート5に熱が伝達されるため、仮焼成体8の表面(被転写面に相当)に転写画像4が転写される(熱転写工程S5)。なお、熱転写シート5が支持台紙等に支持されている場合は、当該支持台紙を剥離させる。その結果、仮焼成体8の表面には、転写画像4及び熱転写シート5を構成する熱可塑性樹脂からなる樹脂層12が転写される。ここで、樹脂層12が本発明における溶融樹脂層に相当する。なお、仮焼成体8の代わりに焼成された焼成体を用いるものであっても勿論構わない。
その後、焼成炉(図示しない)の炉内に仮焼成体8を設置し、500℃前後に焼成温度を設定し、加熱する(樹脂除去工程S6)。これにより、転写画像4とともに転写された熱転写シート5の樹脂層12の部分が消失し、仮焼成体8の表面には水系インク10からなる転写画像4のみが残存する。そして、焼成炉から取り出し、表面に釉薬9を掛ける(施釉工程S7)。その後、再び焼成炉の炉内に配し、所定の焼成温度(ここでは、約1250℃)で本焼成を行う(焼成工程S8)。なお、樹脂除去工程S6は、有機質からなる樹脂層12を消失させるために大気下(または、酸化雰囲気下)で行う必要があり、一方、焼成工程S8は、酸化雰囲気下に限られることはなく、種々の雰囲気下で焼成を行うことが可能である。
その後、所定の焼成時間を経過後、焼成炉による焼成を停止し、徐々に室温付近になるまで冷却する。これにより、表面に釉薬9によるガラス質の釉薬層を有し、その下層に転写画像層が形成された窯業製品2が作製される。
以上、説明したように、本実施形態の加飾方法1は、熱転写シート5を利用し、さらに無機顔料を有する水系インク10を利用することにより、従来の印刷技術で必要となる版を作製する必要がなく、オリジナリティの高い転写画像4が加飾された窯業製品2を作製することが可能となる。特に、熱転写シート5を用いることにより、従来の窯業製品の作製に利用される水貼り転写台紙のように、被転写物に対する貼付時に水を使用しなくてもよい。そのため、インクジェットプリンタ7で使用される水系インク10を使用することができる。さらに、予熱工程S3によって、熱転写シート5の一部が溶融し、仮焼成体8との密着性が保持されるため、転写される転写画像4のずれや滲みなどの不具合を生じることがなく、転写画像4を簡易に転写することができる。
以下、本実施形態の加飾方法1を利用した窯業製品2の加飾の具体例について、下記の実施例1乃至実施例5に基づいて説明する。
<インクの調製条件及び特性>
使用無機顔料 : コバルト−アルミニウム酸化物
無機顔料の平均粒子径 : 50 nm
溶媒比 : 水:乾燥防止剤 = 9:1
無機顔料の混合量 : 5.0vol%
混合条件 : ビーズミル装置を利用し、2時間ミル混合
分散剤及び湿潤剤添加量 : 0.3wt%
インク粘度 : 5.3mPa・s(回転粘度計使用)
インク表面張力 : 35mN/m
インクの状態 ; 沈殿及び層分離観察されず(長期間静置後)
<釉薬の組成>
石灰 ・・・・・ 14wt%
カオリン ・・・・・ 9wt%
珪石粉末 ・・・・・ 22wt%
長石粉末 ・・・・・ 55wt%
使用無機顔料 : コバルト−アルミニウム酸化物
無機顔料の平均粒子径 : 50 nm
溶媒比 : 水:乾燥防止剤 = 9:1
無機顔料の混合量 : 5.0vol%
混合条件 : ビーズミル装置を利用し、2時間ミル混合
分散剤及び湿潤剤添加量 : 0.3wt%
インク粘度 : 5.3mPa・s(回転粘度計使用)
インク表面張力 : 35mN/m
インクの状態 ; 沈殿及び層分離観察されず(長期間静置後)
<釉薬の組成>
石灰 ・・・・・ 14wt%
カオリン ・・・・・ 9wt%
珪石粉末 ・・・・・ 22wt%
長石粉末 ・・・・・ 55wt%
調製されたインクを利用し、サーマル式のインクジェットプリンタを利用し、熱転写シートに転写画像を印刷した。このとき、吐出部での吐出不良は観察されず、良好な転写画像が形成された。その後、予め180℃に加熱した多孔質な仮焼成体に相当するマグカップの側面に、熱転写シートを貼付した。そして、転写画像が印刷された箇所を裏面から指などで擦り、熱転写シートをマグカップに密着させた。その後、マグカップを500℃で30min焼成し、熱転写シートの樹脂層を消失させ、さらに上記した組成からなる釉薬を施した後、1250℃で1時間焼成を行った。これにより、無機顔料が剥離することなく良好な転写画像層(青色)が形成された立体形状のマグカップの焼成体(窯業製品2に相当)を得た。
<インクの調製条件及び特性>
実施例1と同様のため、説明を省略。
<釉薬の組成>
石灰 ・・・・・ 12wt%
亜鉛 ・・・・・ 8wt%
カオリン ・・・・・ 8wt%
珪石粉末 ・・・・・ 24wt%
長石粉末 ・・・・・ 48wt%
実施例1と同様のため、説明を省略。
<釉薬の組成>
石灰 ・・・・・ 12wt%
亜鉛 ・・・・・ 8wt%
カオリン ・・・・・ 8wt%
珪石粉末 ・・・・・ 24wt%
長石粉末 ・・・・・ 48wt%
ピエゾ式インクジェットプリンタを利用し、熱転写シートに転写画像を印刷した。このとき、吐出部での印刷不良は観察されず、良好な転写画像が形成された。その後、予め180℃に加熱した多孔質な仮焼成体に相当するタイルに、熱転写シートを貼付した。そして、転写画像が印刷された箇所を裏面から指などで擦り、熱転写シートをタイルに密着させた。その後、タイルを500℃で30min焼成し、熱転写シートの樹脂層を消失させ、さらに上記組成からなる釉薬を施した後、1230℃で1時間焼成を行った。これにより、無機顔料が剥離することなく良好な転写画像層(青色)が形成されたタイルの焼成体(窯業製品2に相当)を得た。
<インクの調製条件及び特性>
使用無機顔料 : コバルト−鉄−アルミニウム酸化物
無機顔料の平均粒子径 : 50 nm
溶媒比 : 水:乾燥防止剤 = 9:1
無機顔料の混合量 : 4.0vol%
混合条件 : ボールミル装置を利用し、3日間ミル混合
分散剤及び湿潤剤添加量 : 0.3wt%
インク粘度 : 4.8mPa・s(回転粘度計使用)
インク表面張力 : 36mN/m
インクの状態 ; 沈殿及び層分離観察されず(長期間静置後)
<釉薬の組成>
石灰 ・・・・・ 14wt%
カオリン ・・・・・ 9wt%
珪石粉末 ・・・・・ 22wt%
長石粉末 ・・・・・ 55wt%
使用無機顔料 : コバルト−鉄−アルミニウム酸化物
無機顔料の平均粒子径 : 50 nm
溶媒比 : 水:乾燥防止剤 = 9:1
無機顔料の混合量 : 4.0vol%
混合条件 : ボールミル装置を利用し、3日間ミル混合
分散剤及び湿潤剤添加量 : 0.3wt%
インク粘度 : 4.8mPa・s(回転粘度計使用)
インク表面張力 : 36mN/m
インクの状態 ; 沈殿及び層分離観察されず(長期間静置後)
<釉薬の組成>
石灰 ・・・・・ 14wt%
カオリン ・・・・・ 9wt%
珪石粉末 ・・・・・ 22wt%
長石粉末 ・・・・・ 55wt%
調製されたインクを利用し、サーマル式のインクジェットプリンタを利用し、熱転写シートに転写画像を印刷した。このとき、吐出部での吐出不良は観察されず、良好な転写画像が形成された。その後、予め180℃に加熱した多孔質な仮焼成体に相当するプレートに、熱転写シートを貼付した。そして、転写画像が印刷された箇所を裏面から指などで擦り、熱転写シートをプレートに密着させた。その後、プレートを500℃で30min焼成し、熱転写シートの樹脂層を消失させ、さらに上記した組成からなる釉薬を施した後、1250℃で1時間焼成を行った。これにより、無機顔料が剥離することなく良好な転写画像層(黒色)が形成されたプレートの焼成体(窯業製品2に相当)を得た。
<インクの調製条件及び特性>
使用無機顔料 : 酸化物鉄
無機顔料の平均粒子径 : 40 nm
溶媒比 : 水:乾燥防止剤 = 9:1
無機顔料の混合量 : 4.5vol%
混合条件 : ボールミル装置を利用し、3日間ミル混合
分散剤及び湿潤剤添加量 : 0.3wt%
インク粘度 : 5.5mPa・s(回転粘度計使用)
インク表面張力 : 35mN/m
インクの状態 ; 沈殿及び層分離観察されず(長期間静置後)
使用無機顔料 : 酸化物鉄
無機顔料の平均粒子径 : 40 nm
溶媒比 : 水:乾燥防止剤 = 9:1
無機顔料の混合量 : 4.5vol%
混合条件 : ボールミル装置を利用し、3日間ミル混合
分散剤及び湿潤剤添加量 : 0.3wt%
インク粘度 : 5.5mPa・s(回転粘度計使用)
インク表面張力 : 35mN/m
インクの状態 ; 沈殿及び層分離観察されず(長期間静置後)
調製されたインクを利用し、サーマル式のインクジェットプリンタを利用し、熱転写シートに転写画像を印刷した。このとき、吐出部での吐出不良は観察されず、良好な転写画像が形成された。その後、予め180℃に加熱した多孔質な仮焼成体に相当するマグカップに、熱転写シートを貼付した。そして、転写画像が印刷された箇所を裏面から指などで擦り、熱転写シートをマグカップに密着させた。その後、1230℃で1時間焼成を行った。これにより、無機顔料が剥離することなく良好な転写画像層(赤色)が形成されたマグカップの焼成体(窯業製品2に相当)を得た。
<インクの調製条件及び特性>
使用無機顔料 : 酸化物ホルミウム
無機顔料の平均粒子径 : 60 nm
溶媒比 : 水:乾燥防止剤 = 9:1
無機顔料の混合量 : 3.5vol%
混合条件 : ボールミル装置を利用し、3日間ミル混合
分散剤及び湿潤剤添加量 : 0.3wt%
インク粘度 : 3.5mPa・s(回転粘度計使用)
インク表面張力 : 34mN/m
インクの状態 ; 沈殿及び層分離観察されず(長期間静置後)
<釉薬の組成>
石灰 ・・・・・ 14wt%
カオリン ・・・・・ 9wt%
珪石粉末 ・・・・・ 22wt%
長石粉末 ・・・・・ 55wt%
使用無機顔料 : 酸化物ホルミウム
無機顔料の平均粒子径 : 60 nm
溶媒比 : 水:乾燥防止剤 = 9:1
無機顔料の混合量 : 3.5vol%
混合条件 : ボールミル装置を利用し、3日間ミル混合
分散剤及び湿潤剤添加量 : 0.3wt%
インク粘度 : 3.5mPa・s(回転粘度計使用)
インク表面張力 : 34mN/m
インクの状態 ; 沈殿及び層分離観察されず(長期間静置後)
<釉薬の組成>
石灰 ・・・・・ 14wt%
カオリン ・・・・・ 9wt%
珪石粉末 ・・・・・ 22wt%
長石粉末 ・・・・・ 55wt%
調製されたインクを利用し、サーマル式のインクジェットプリンタを利用し、熱転写シートに転写画像を印刷した。このとき、吐出部での吐出不良は観察されず、良好な転写画像が形成された。その後、予め180℃に加熱した多孔質な仮焼成体に相当するマグカップに、熱転写シートを貼付した。そして、転写画像が印刷された箇所を裏面から指などで擦り、熱転写シートをマグカップに密着させた。その後、マグカップを500℃で30min焼成し、熱転写シートの樹脂層を消失させ、さらに上記した組成からなる釉薬を施した後、1250℃で1時間焼成を行った。これにより、無機顔料が剥離することなく良好な転写画像層(黄色)が形成されたプレートの焼成体(窯業製品2に相当)を得た。
上記実施例1乃至実施例5に示したように、インクに使用する無機顔料の成分を変更することにより、マグカップ等の窯業製品2に転写される転写画像4の色を変化させることができる。これにより、既存のコンピュータ及びインクジェットプリンタを利用することにより、自分の好きな画像や写真等を熱転写シート5に転写し、窯業製品2の加飾を行うことができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、本実施形態の加飾方法1、及び該加飾方法1によって加飾される窯業製品2において、インクジェットプリンタ7を使用し、熱転写シート5に水系インク10を吐出して転写画像4を形成するものを示したが、これに限定されるものではなく、絵筆等を利用して転写シート面3に水系インク10で直接描画するものであっても構わない。さらに、熱転写シート5に使用される樹脂層12の熱可塑性樹脂素材、焼成温度等の焼成条件は、適宜変更することが可能である。
さらに、加飾する窯業製品2としてマグカップを例示したが、勿論これに限定されるものではなく、その他の食器等に利用される陶磁器などの種々の窯業製品2を、本発明の加飾対象とすることが可能である。特に、熱を利用して、成形体または焼成体の表面に貼付されるため、表面が多孔質性状を有するものであっても構わない。その結果、適用可能な窯業製品2の種類が豊富となり、使用が制限されることがない。
1 加飾方法(窯業製品の加飾方法)
2 窯業製品
3 転写シート面
4 転写画像
5 熱転写シート
7 インクジェットプリンタ
8 成形体(焼成体)
9 釉薬
10 水系インク
12 樹脂層(溶融樹脂層)
S2 画像形成工程(インクジェットプリンタ印刷工程)
S3 予熱工程(加熱工程)
S4 貼付工程
S5 熱転写工程
S6 樹脂除去工程
S8 焼成工程
2 窯業製品
3 転写シート面
4 転写画像
5 熱転写シート
7 インクジェットプリンタ
8 成形体(焼成体)
9 釉薬
10 水系インク
12 樹脂層(溶融樹脂層)
S2 画像形成工程(インクジェットプリンタ印刷工程)
S3 予熱工程(加熱工程)
S4 貼付工程
S5 熱転写工程
S6 樹脂除去工程
S8 焼成工程
Claims (5)
- 無機顔料を含有する水系インクを利用し、熱転写シートの転写シート面に所望の転写画像を形成する画像形成工程と、
前記転写シート面に形成された前記転写画像を被転写物の被転写面に熱を利用して転写する熱転写工程と、
前記転写画像が転写された前記被転写物を500℃以上、1500℃以下の焼成温度で焼成する焼成工程と
を具備することを特徴とする窯業製品の加飾方法。 - 前記画像形成工程は、
インクジェット印刷技術を利用し、前記水系インクを前記熱転写シートの前記熱転写シート面に吐出し、前記転写画像を印刷して形成するインクジェット印刷工程をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の窯業製品の加飾方法。 - 前記無機顔料は、
平均粒子径が5nm以上、100nm以下に調製されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の窯業製品の加飾方法。 - 前記熱転写シートは、
50℃以上、250℃以下の転写温度で加熱溶融し、前記被転写面に前記転写画像とともに転写される溶融樹脂層を含んで構成され、
前記焼成工程は、
前記被転写面に転写された前記溶融樹脂層を酸化雰囲気下で除去する樹脂除去工程をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の窯業製品の加飾方法。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の窯業製品の加飾方法を利用し、加飾される窯業製品であって、
焼成体と、
熱転写シートを利用して前記焼成体に転写された転写画像によって前記焼成体表面に形成された転写画像層と
を具備することを特徴とする窯業製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005162998A JP2006335609A (ja) | 2005-06-02 | 2005-06-02 | 窯業製品の加飾方法、及び窯業製品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005162998A JP2006335609A (ja) | 2005-06-02 | 2005-06-02 | 窯業製品の加飾方法、及び窯業製品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=37556472
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JP2005162998A Pending JP2006335609A (ja) | 2005-06-02 | 2005-06-02 | 窯業製品の加飾方法、及び窯業製品 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008072697A1 (ja) | 2006-12-13 | 2008-06-19 | Mitsubishi Materials Corporation | 接触抵抗の小さい多孔質チタン |
JP2008273808A (ja) * | 2007-04-06 | 2008-11-13 | Inax Corp | 加飾セラミック体、その製造方法及びインクジェット用インク |
JP2009154419A (ja) * | 2007-12-27 | 2009-07-16 | Gifu Prefecture | 窯業用転写紙及び窯業製品の加飾方法 |
JP2010126426A (ja) * | 2008-12-01 | 2010-06-10 | Riso Kagaku Corp | 転写シートセット、及び窯業製品への画像の転写方法 |
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-
2005
- 2005-06-02 JP JP2005162998A patent/JP2006335609A/ja active Pending
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JPWO2015046020A1 (ja) * | 2013-09-27 | 2017-03-09 | セーレン株式会社 | インクジェット用インクセット、それを用いたインクジェットプリント物の製造方法およびインクジェットプリント物 |
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