JP2006332541A - 光加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ウエハの表面を高い均一性で加熱することのできる光加熱装置を提供すること。
【解決手段】 フラッシュランプと、フラッシュランプの光を反射するリフレクタと、ウエハを載置する支持部材とを有し、支持部材上のウエハにフラッシュランプからの光を照射することによりウエハを加熱する光加熱装置において、フラッシュランプの有効発光領域はウエハの表面積よりも大きく、リフレクタの反射面はウエハの表面積よりも大きく、支持部材の支持面はウエハの表面積よりも大きくかつシリコンよりなることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 フラッシュランプと、フラッシュランプの光を反射するリフレクタと、ウエハを載置する支持部材とを有し、支持部材上のウエハにフラッシュランプからの光を照射することによりウエハを加熱する光加熱装置において、フラッシュランプの有効発光領域はウエハの表面積よりも大きく、リフレクタの反射面はウエハの表面積よりも大きく、支持部材の支持面はウエハの表面積よりも大きくかつシリコンよりなることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
この発明は、例えば半導体ウエハなどの被照射物にフラッシュ光を照射することにより熱処理する光加熱装置に関する。
近年、例えば半導体ウエハなどの被照射物を熱処理するための光加熱装置としては、ウエハの表層部分を極めて短時間に所定の温度に加熱することが必要とされている。これは、半導体集積回路の高集積化および微細化のために、例えば20nm以下という極めて浅い表層において熱処理を行うことが要求されており、さらには、被照射物が熱処理過程全体で受ける熱エネルギーの時間積分、いわゆるサーマルバジェットを低減することが要求されているためである。そのような被照射物の加熱源としてフラッシュランプを備えた光加熱装置を用いることが検討されている。
一方、ウエハの1つである半導体ウエハとしては、その口径が100〜200mmのものが主として用いられており、また、その口径が300mmと更に大きなものも用いられるに至っているが、このような大きな被処理面を有する半導体ウエハを、1本のフラッシュランプによって短時間で高い均一性で所定の温度に昇温させることは極めて困難である。
そこで、フラッシュランプランプを用いた光加熱装置を実現するためには、加熱源として、ウエハの大きさに応じた多数のフラッシュランプが等間隔で平行に配列されており、これらのフラッシュランプに共通のリフレクタを備えた光加熱装置を用いればよい。図1に示すように、複数本のフラッシュランプ1が平板状のウエハ3に対して平行に並設されており、更にその背面にはフラッシュランプ1の光をウエハ3に向けて照射するリフレクタ2を備えている。同図において、特開2003−133250号公報に記載されるように、ウエハ3が載置される支持部材4には、一般的にサファイアや石英等の比較的熱伝導率が小さいものが採用される。また、この支持部材4の下には、ウエハ3の予備加熱手段であるヒーター5を備えており、窒化アルミニウムから構成されている。ウエハ3が十分に予備加熱された後、ウエハ3に閃光照射されると、ウエハ3は被照射面が瞬時に反応温度まで昇温し、熱処理されるようになる。
しかし、このような光加熱装置においては、各フラッシュランプから照射された光が重畳された状態で被処理面に対して照射される。ウエハ3の表面に照射された光は熱処理に有効に利用されるが、石英よりなる支持部材4の表面に照射された光は、支持部材4を透過して、窒化アルミニウムよりなるヒーター5の表面の拡散面で、照射された光の波長にもよるが、およそ10%だけがリフレクタ2に向けて反射される。図8に示すように、支持部材が石英ガラスである場合は、フラッシュランプからの光はウエハの全面に照射されるが、周縁部に照射される光は、中央部の照射エネルギーに対して60%程度にまで小さくなるため、ウエハの被処理面全面に必要とされる強度の光が照射されない。したがって、ウエハを被処理面全体にわたって均一性の高い照度分布で加熱することができない、という問題が生ずる。
特開2003−133250
そこで本発明は、光加熱装置における上記の問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、ウエハの表面を高い均一性で加熱することのできる光加熱装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、フラッシュランプと、フラッシュランプの光を反射するリフレクタと、ウエハを載置する支持部材とを有し、支持部材上のウエハにフラッシュランプからの光を照射することによりウエハを加熱する光加熱装置において、フラッシュランプの有効発光領域はウエハの表面積よりも大きく、リフレクタの反射面はウエハの表面積よりも大きく、支持部材の支持面はウエハの表面積よりも大きくかつシリコンよりなることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、フラッシュランプと、フラッシュランプの光を反射するリフレクタと、ウエハを載置する支持部材とを有し、支持部材上のウエハにフラッシュランプからの光を照射することによりウエハを加熱する光加熱装置において、フラッシュランプの有効発光領域はウエハの表面積よりも大きく、リフレクタの反射面はウエハの表面積よりも大きく、支持部材の支持面はウエハの表面積よりも大きくかつ石英ガラスよりなり、その裏側にアルミニウムの膜が設けられていることを特徴とする。
本発明に係る光加熱装置によれば、支持部材の被照射物外周部の表面に照射される光をリフレクタに向けて反射させ、再度ウエハに向けて照射させることにより、ウエハの中央部に照射される光の強度に比べて小さくなっているウエハの周縁部に照射される光を補い、ウエハの周縁部の照射エネルギーを増大させることができる。これより、ウエハの表面を高い均一性で加熱することができる光加熱装置を提供できる。
以下、本発明の光加熱装置の実施形態の構成を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の光加熱装置を閃光放電ランプの管軸の断面方向から見た概略断面図であり、図2は図1の一部を拡大して示した本発明の光加熱装置の概略断面図であり、図3は図1の光加熱装置をリフレクタの上面から見た概略上面図である。ただし、光加熱装置のリフレクタ2側を上面、ヒーター側を下面とする。
光加熱装置は、光源を備えるランプハウス11と、照射物であるウエハ3を備えるチャンバー12から構成される。ランプハウス11は、光源として複数のフラッシュランプ1を平板状のウエハ3に対して平行に並設されるようにして備え、フラッシュランプ1の上面に、フラッシュランプ1の光をウエハ3に向けて反射するリフレクタ2を備えている。フラッシュランプ1は、発光管の内部にガスが封入され、その両端部に電極9が対向して配置され、外周部に巻回されたトリガー電極(図示せず)を備えている。トリガー電極に高電圧を印加して絶縁破壊すると、発光管内に電気が瞬時に流れ、極めて強い光が放出される。また、リフレクタ2は、例えばアルミニウムよりなり、光源を構成する複数のフラッシュランプ1の全体を覆う平面状の底面21とその底面21の縁に傘22を備え、フラッシュランプ1の照射光の均一性向上および背面へ散逸する光の有効利用に寄与するように設計されている。さらに、フラッシュランプ1からウエハ3に照射される照度分布が均一化されるように、リフレクタ2全体を光拡散部23で形成することが好ましい。この光拡散部23は、リフレクタ2をサンドブラスト加工した後に化学研磨を施すフロスト処理によって形成され、また、リフレクタ2がアルミニウム製である場合には、アルマイト処理によって形成されてもよい。これらフラッシュランプ1とリフレクタ2からの光は、ランプハウス11の下面に備えられた例えば石英ガラスからなる前面ガラス6を通してチャンバー12に向けて照射される。
また、チャンバー12は、その上面に、例えば石英ガラスからなるチャンバーガラス7を備えている。ランプユニット11から照射された光は、チャンバーガラス7を通してチャンバー12内部に照射される。チャンバー12内部は、Ar、N2、真空あるいは大気雰囲気など目的に応じて設定されたガス雰囲気に満たされ、ウエハ3、支持部材4およびヒーター5を備えている。ウエハ3を予備加熱するためのヒーター5は、例えば窒化アルミニウムからなり、その内部に熱エネルギーを発生する発熱体が配設されている。また、ヒーター5は、フラッシュランプ1からの強力な光によって酸化されないように、上表面を平板状の支持部材4によって覆われている。支持部材4は、ヒーター5の上面に密接して配置され、さらに支持部材4の上面にウエハ3を載置する。
上記のような光加熱装置によれば、例えば、予めヒーター5により、ウエハ3を予備加熱温度400℃〜500℃程度に昇温させた後、フラッシュランプ1を一斉点灯させて、0.1msec〜10msec程度の時間でウエハ3をおよそ1000℃に昇温させて加熱処理が行われる。このような昇温と降温に伴って、ウエハ3と支持部材4はそれぞれの熱膨張係数に応じて熱膨張および熱収縮するので、支持部材4の上面にウエハ3を密着して載置させているが、熱膨張および熱収縮程度の間隙は許容できるようにされている。
支持部材4は目的に応じて多様な材質を選択可能であり、セラミック、金属、あるいはホーローでコーティングした金属などがある。しかし、被照射物として半導体ウエハを使用する場合は、ウエハ3上に金属粒子が付着または混入することを極力少なくすることが求められている。金属粒子がウエハ3に付着または混入すると、微細なパターンの絶縁部分の耐圧を下げて、絶縁破壊を招くこともある。よって、シリコンよりなるウエハ3が金属汚染されないようにする必要があり、ウエハ3と接する支持部材4はセラミックまたは適当な金属に限定される。
支持部材4の材料としては反射率が高い材料、例えばアルミニウムやロジウム等でその表面が覆われた金属材料があげられる。ウエハ3の材質がシリコンのとき、アルミニウムよりなる支持部材4を用いてウエハ3の表面温度を1000℃以上にさせる照射エネルギーを加えて光加熱処理が行われたとき、アルミニウムの反射率はフラッシュランプの光に対して高いので、照射された光の多くは支持部材4の表面で反射される。しかしながら、アルミニウムにおいては、融点が660℃と低いために、わずかに吸収したエネルギーで支持部材4のアルミニウムの表面が溶融することがあり、また照射を繰り返すことによって、場合によってはアルミニウムが飛散し、ウエハ3に付着することがある。従って、支持部材4の材質にはアルミニウムは不適当である。そこで、本願はウエハ3と同じシリコンを用いること、また、石英ガラスによって表面が覆われた金属を用いることを考えた。このような構造の支持部材4を用いれば、耐熱性も反射特性も良好であり、かつウエハ3への金属汚染の可能性も無くなり、配光分布も改善できることを見出した。また、金属の反射率が劣化した場合でも、支持部材4を交換することにより、容易に反射率を改善することができる。
以下、光の照射プロセスを示すことにより、シリコンよりなるウエハ3を用いたときの表面の配光分布が改善されることを説明する。
図4は、図1に示す光加熱装置において、複数のフラッシュランプ1を並列配置した状態で点灯させたときの発光スペクトルの一例を示したものである。発光管は、酸化チタンを混入させた石英ガラスよりなり、キセノンガスを60kPa封入している。同図において、縦軸はピーク強度を1とした場合のウエハ面の相対的な光強度、横軸は波長(nm)を表している。
図4のフラッシュランプの発光スペクトルに示されるように、図1のような光加熱装置では、光源であるフラッシュランプ1から、およそ全波長にわたって、連続的に光が放射されていることが観測される。
図4のフラッシュランプの発光スペクトルに示されるように、図1のような光加熱装置では、光源であるフラッシュランプ1から、およそ全波長にわたって、連続的に光が放射されていることが観測される。
図5は、図1に示す光加熱装置において、フラッシュランプ1から照射される波長200〜800nmの光に対して、シリコンウエハ3の表面で吸収することのできる光の割合を示したものである。同図において、縦軸はシリコンウエハに入射した光(反射光を除いた光)を1とした場合のシリコンウエハ面の吸収率、横軸は照射される光の波長(nm)を表している。また、(1)はシリコンウエハ3の表層から1μmまでの深さで光加熱処理するときの光の吸収率、(2)は20nmまでの深さで光加熱処理するときの光の吸収率を表している。
図1のような光加熱装置では、シリコンウエハ3は20nm以下という極めて浅い表面において光加熱処理を行うことが要求されているので、シリコンウエハ3の表層のみで、光の吸収率を考えれば良い。図5のシリコンの吸収率に示されるように、シリコンは、光の波長がおよそ290nm以下のときには全ての光を吸収し、光の波長が290nm〜380nmまでのとき、その半分以上の光を吸収し、光の波長が600nm以上のときにはほとんど光を吸収しない。これより、波長がおよそ290nmまでのシリコンウエハ3に入射した光は、その全てがシリコンウエハ3で吸収され、波長290〜380nmまでの光は、その半分以上がシリコンウエハ3で吸収される。波長が600nm以上の光は、半導体シリコンウエハを被処理物とした場合には、その光のほとんどを利用することができないことがわかる。よって、フラッシュランプ1から入射する光のうち、シリコンウエハ3の表面から20nm以下の範囲を光加熱処理するためには、波長がおよそ600nm以下の光がシリコンウエハ3の加熱処理に寄与することが見出された。同様に、シリコンウエハ3の表面から1μm以下の範囲を光加熱処理するためには、図5に示されていないが、波長がおよそ1000nm以下の光がシリコンウエハ3の加熱処理に寄与することが見出された。
図6は、アルミニウム、シリコン及び窒化アルミニウムそれぞれの部材について、波長200〜800nmの光の照射に対して、各部材で反射される光の割合を示したものである。同図において、縦軸は照射された光が全て反射されるときを100(%)とした場合の各部材の反射率、横軸は照射される光の波長(nm)を表している。また、(1)はアルミニウムの反射率、(2)はシリコンの反射率、(3)は窒化アルミニウムの反射率を表している。
同図から、概略、アルミニウムは照射された光の90%を反射し、窒化アルミニウムは照射された光の10%を反射し、シリコンは波長が370nm以下では照射された光の約50%以上を反射し、波長が長くなるにつれて反射率が下がり、波長が800nmでは照射された光の35%が反射されることを読み取ることができる。
同図から、概略、アルミニウムは照射された光の90%を反射し、窒化アルミニウムは照射された光の10%を反射し、シリコンは波長が370nm以下では照射された光の約50%以上を反射し、波長が長くなるにつれて反射率が下がり、波長が800nmでは照射された光の35%が反射されることを読み取ることができる。
本願請求項1に係る発明の光加熱装置は、図2(a)のように、支持部材4の材質をシリコンとした光加熱装置である。図3に示すように、フラッシュランプ1に対して平行に並設されている支持部材4の上表面である支持面は、ウエハ3の表面積(斜線部の面積)よりも大きい。また、フラッシュランプ1の上面に配置され、フラッシュランプ1の光をウエハ3に向けて照射するリフレクタ2の反射面はウエハ3の表面積よりも大きい。さらに、フラッシュランプ1からの光を反射する有効発光領域は、それぞれのフラッシュランプ1の電極9の距離Xを横長さとし、光加熱装置に等間隔で平行に配列されているフラッシュランプ1の最外部に配置されたフラッシュランプ1において、その外側発光管81を端部とする距離Yを横長さとする領域(破線の斜線部)のことをいい、このフラッシュランプ1の有効発光領域は、ウエハ3の表面積より大きい。このような光加熱装置の構造により、支持部材4のウエハ3の外縁部から外方における支持面は、フラッシュランプ1から照射された光を受光している。ここで、例えばウエハ3のシリコンを20nmの深さで光加熱処理する場合、有効に利用される波長は600nmまでとすると、図6に示されるシリコンの反射率より、ウエハ3の光加熱処理に有効に利用される光は、入射される光の波長にもよるが、およそ35%〜65%以上がリフレクタ2に向けて反射されていることが見出された。
さらに、リフレクタ2の反射面は、ウエハ3の表面積より大きいため、支持部材4の支持面から反射された光を受光することができる。また、リフレクタ2はフラッシュランプ1と対向する反射面が平面状となっており、縁に傘22を備えているので、支持部材4の支持面から反射された光を効率よく受光し、さらにリフレクタ2の周縁部に受光した光は光加熱装置の中心部に反射させるようになっている。リフレクタ2はアルミニウムよりなり、図6のアルミニウムの反射率に示されるように、リフレクタ2に受光された、ウエハ3の光加熱処理に有効に利用される波長600nm以下の光のうち、90%は再びウエハ3に向けて反射される。つまり、フラッシュランプ1からウエハ3の外縁部の支持部材4の上面に照射された光の30〜60%が、ウエハ3に向けて再照射される。
このように、ウエハ3の周縁部は、フラッシュランプ1から直接照射される光と、支持部材4の支持面から反射された光を受光するので、ウエハ3の周縁部に照射される光量を増大させることができる。これより、光強度が十分に得られなかったウエハの周縁部の光量を補うことができ、ウエハの表面を高い均一性で加熱することができる。
本願請求項2に係る発明の光加熱装置は、図2(b)に示すように、支持部材4の材質を石英ガラスとして、その下面側に、蒸着によりアルミニウムの膜を設けたものである。このように、支持部材4のウエハ3と接する面の材質を石英ガラスとすることにより、アルミニウムが溶融しても、飛散することがない。すなわち、アルミニウムがウエハ3へ付着および混入することがない。さらに、石英ガラスの下面側にアルミニウムの膜蒸着を設けているので、反射率が高く、効率よくリフレクタ2側に光を反射することができ、ウエハ3の表面の配光分布を改善できる構造になっている。また、石英ガラスの透明度が落ちた場合や、アルミニウムの反射率が劣化した場合にも、支持部材4を交換することにより、容易に反射率を改善することができる。
このような光加熱装置において、シリコンの単結晶からなるウエハ3を、例えば表面から20nm以下の範囲を光加熱処理する場合、先に述べたように、ウエハ3の光加熱処理に寄与するのは、波長がおよそ600nmまでの光である。図3に示すように、フラッシュランプ1に対して平行に並設されている支持部材4の上表面である支持面は、ウエハ3の表面積よりも大きい。また、フラッシュランプ1の上面に配置され、フラッシュランプ1の光をウエハ3に向けて反射するリフレクタ2の反射面はウエハ3の表面積よりも大きい。さらに、フラッシュランプ1の有効発光領域は、ウエハ3の表面積より大きい。このため、支持部材4のウエハ3の外縁部から外方における支持面は、フラッシュランプ1から照射された光を受光する。支持部材4は、石英ガラスよりなり、その裏側にアルミニウムの膜が設けられている。支持部材4の反射率は、石英板の透過による影響は無視できるほど小さいため、アルミニウムの反射率と同様に考えることができる。図6に示されるように、支持部材4の上面に照射されて、ウエハ3の光加熱処理に有効に利用される波長600nm以下の光は、90%以上がリフレクタ2に反射される。
さらに、リフレクタ2の反射面はウエハ3の表面積よりも大きい、すなわち、リフレクタ2は、支持部材4の支持面から反射された光を受光することができる。また、リフレクタ2は、フラッシュランプ1と対向する反射面は平面状となっており、縁に傘22を備えているので、支持部材4の上面から反射された光を効率よく受光し、さらにリフレクタ2の周縁部に受光した光は光加熱装置の中心部に反射させるようになっている。リフレクタ2は、アルミニウムよりなるので、図6のアルミニウムの反射率に示されるように、リフレクタ2に受光されて、ウエハ3の光加熱処理に有効に利用される波長およそ600nm以下の光のうち、90%は再びウエハ3に向けて照射される。つまり、フラッシュランプから支持部材4の上面に照射された光の80%以上が、ウエハ3に向けて再照射される。
このように、ウエハ3の周縁部は、フラッシュランプ1から直接照射される光と、支持部材4の支持面から反射された光を受光するので、ウエハ3の周縁部に照射される光量を増大させることができる。これより、光強度が十分に得られなかったウエハ3の周縁部の光量を補うことができ、ウエハ3の表面を高い均一性で加熱することができる。また、支持部材4の材質を石英ガラスとして、その下面側に蒸着によりアルミニウムの膜を設けた光加熱装置では、ウエハ3の周縁部に照射される光量を局部的に増加させることができる。これより、ウエハ3への照射を繰り返し、フラッシュランプ1の発光管端部に黒化が発生し、ウエハ3の端部の照度が落ちた従来の光加熱装置において、本発明の支持部材に置き換えることで、フラッシュランプ1への入力エネルギーを上げることなく、ウエハ3の周縁部の光量を補うことができる。
次に、本発明の支持部材を備える光加熱装置と、従来の支持部材を備える光加熱装置について、被処理物のウエハ(3)に照射される光の照射エネルギーを検証した。本発明に係る光加熱装置を二つ用い、その一方は、図2(a)のように、シリコンよりなり、直径φ254mmの支持部材(4)を備えた光加熱装置とし、他方は、図2(b)のように、石英ガラスよりなり、その裏側のウエハ(3)にアルミニウムの膜が設けられている直径254mmの支持部材(4)を備えた光加熱装置とした。また、従来技術に係る光加熱装置として、直径φ230mm、石英ガラスよりなる支持部材を備えた光加熱装置を用いた。
実験用装置として、内径φ10mm、外径φ13mm、アーク長250mmの複数のフラッシュランプ(1)と、縦250mm、横250mm、厚さ5mm、光拡散部を備えたアルミニウム製のリフレクタ(2)と、支持部材(4)と同径で、窒化アルミニウムよりなるヒーター(5)とを備えた光加熱装置を作成した。この光加熱装置の支持部材(4)上に直径φ203mm、厚さ700μmのシリコンよりなるウエハ(3)を載置し、光照射エネルギー密度28J/cm2、パルス幅1msecとしてフラッシュランプをウエハ(3)に照射し、ウエハ表面のランプ径方向位置における照射エネルギーをパワーメーターにより測定した。測定結果の光加熱装置のランプ径方向放射照度分布図を図7に示した。同図において、縦軸は石英ガラスの中心照度を100とした場合の相対照射エネルギー、横軸はウエハ表面のランプ径方向位置(mm)とした。
図7より、従来型装置である支持部材(4)が石英ガラスよりなる光加熱装置と比較して、支持部材(4)がシリコンよりなる光加熱装置では、中心からウエハ表面のランプ径方向位置が80mm程度の付近から外方に向かうウエハ(3)の周縁部において、照射エネルギーが向上し、配光分布が改善されているという結果が得られた。これより、ウエハの周縁部の照射される光を補い、ウエハの周縁部の照射エネルギーを増大させ、ウエハの表面を高い均一性で加熱していることが確認された。
支持部材(4)が石英ガラスよりなり、その裏側にアルミニウムの膜が設けられている光加熱装置では、ウエハ(3)の周縁部において、支持部材(4)がシリコンよりなる光加熱装置と比較して、さらに照射エネルギーが高くなるという結果が得られた。これは、アルミニウムの蒸着面はシリコンより反射率が高く、鏡面となっていることから、反射光の指向性が強くなり、ウエハの周縁部により多くの光を再照射することができるためと考えられる。これより、ウエハの周縁部の光量を補い、ウエハの表面を高い均一性で加熱していることが確認された。ウエハの周縁部の照射される光を補い、ウエハの周縁部の照射エネルギーを増大させ、ウエハの表面を高い均一性で加熱していることが確認された。
以上、本願発明の実施例について説明したが、置換可能な構成については上記構成に限定されることなく適宜変更可能である。例えば、発光管材料は種々のガラスを用いることができ、さらには透光性アルミナやサファイアを用いてもよく、ランプ形状や本数も適宜選択することができる。また、フラッシュランプが発光するパルス幅や光照射エネルギー密度も適宜選択することができ、ウエハを加熱する深さも用途によって変えることができる。例えばパワーデバイス用の半導体の場合、加熱する深さは1μm程度となり、吸収率もそれに伴い変化するが、それらは本発明の範囲内である。
1 フラッシュランプ
2 リフレクタ
3 ウエハ
4 支持部材
5 ヒーター
6 前面ガラス
7 チャンバーガラス
8 有効発光領域
9 電極
11 ランプハウス
12 チャンバー
21 底面
22 傘
23 光拡散部
81 外側発光管
2 リフレクタ
3 ウエハ
4 支持部材
5 ヒーター
6 前面ガラス
7 チャンバーガラス
8 有効発光領域
9 電極
11 ランプハウス
12 チャンバー
21 底面
22 傘
23 光拡散部
81 外側発光管
Claims (2)
- フラッシュランプと、フラッシュランプの光を反射するリフレクタと、ウエハを載置する支持部材とを有し、支持部材上のウエハにフラッシュランプからの光を照射することによりウエハを加熱する光加熱装置において、
前記フラッシュランプの有効発光領域はウエハの表面積よりも大きく、前記リフレクタの反射面はウエハの表面積よりも大きく、前記支持部材の支持面はウエハの表面積よりも大きくかつシリコンよりなることを特徴とする光加熱装置。 - フラッシュランプと、フラッシュランプの光を反射するリフレクタと、ウエハを載置する支持部材とを有し、支持部材上のウエハにフラッシュランプからの光を照射することによりウエハを加熱する光加熱装置において、
前記フラッシュランプの有効発光領域はウエハの表面積よりも大きく、前記リフレクタの反射面はウエハの表面積よりも大きく、前記支持部材の支持面はウエハの表面積よりも大きくかつ石英ガラスよりなり、その裏側にアルミニウムの膜が設けられていることを特徴とする光加熱装置。
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