JP2006331922A - 二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】異常時において層電池の発熱を適切に抑制あるいは停止することができる信頼性の高い二次電池を提供する。
【解決手段】電池外層部には溶融温度の低いポリエチレン製(PE)セパレータを用い、電池内部には溶融温度の高いポリプロピレン製(PP)セパレータを用いる。過充電等による発熱時には外部側セパレータからシャットダウン現象が生じ、外部側発電要素から過充電が停止して放電が開始され、その後内部側発電要素においても充電が停止して放電が開始される。電池外部側は冷却が効率よく行われるので、この領域の発熱を早期に停止し温度上昇を抑制しておくことにより、電池内部の放熱性をも向上させることができる。また電池全体で時間をかけて放電するので、放電時の温度上昇率を低減することができる。これにより電池内部及び電池全体の温度上昇を抑制でき、異常な温度上昇により内部短絡が生じる可能性を低減することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、セパレータを介して電極板を積層した電極群及び電解質を有する発電要素を外装部材に収容し封止した二次電池に関する。
セパレータを介して正極板と負極板とを交互に積層した電極群を電解質とともに外装部材で被覆収容して封止し、正極板及び負極板に電極端子を接続して外装部材から導出させた積層型の二次電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような二次電池においては、例えば外部短絡が発生して大電流が流れる等の現象により電池の温度が上昇した場合、セパレータが溶融してセパレータに設けられた微細な孔が閉塞する。これにより、正極板から負極板へのイオンの流れが阻止され、充電が停止される。その結果、過充電が解消し、それ以上の電池の温度の上昇が防止される。シャットダウン現象と言われる現象であり、これにより電池の耐熱性が向上し、二次電池の異常時の信頼性を向上させることができる(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−259859号公報 特開2004−22208号公報
しかしながらシャットダウン現象が起きる場合においても、セパレータが溶融して孔が閉塞され始めてから電池の温度上昇が直ちに停止されるものではないため、電池の温度上昇を十分に抑制できない場合がある。セパレータの溶融が始まった当初から完全にイオンの流れを遮断することは難しいため、及び、放電が終了するまでは電流が流れて発熱が継続されるためである。過充電となった状態からさらに電池の温度が上昇を続けると、電池の温度がセパレータが完全に溶けてしまう温度に達してしまう可能性がある。そのような状態となると、例えばガスが発生する等して電池のシール部が開裂する等の事態が生じる可能性があり好ましくない。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、異常時において、より一層電池の発熱を適切に抑制あるいは停止することができる信頼性の高い二次電池を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明に係る電池は、電極板がセパレータを介して複数積層された電極群を有する二次電池において、二次電池の外部側(外層)に配置されるセパレータとして、二次電池の内部側に配置されるセパレータよりシャットダウン温度の低いセパレータを用いる。
好適には、最も外側に配置されるセパレータは、そのセパレータから電池中心部までの間に配置されるセパレータまでの間に配置されるセパレータの中で最もシャットダウン温度の低いセパレータであることが望ましい。また、その中心部に配置されるセパレータが、電極群を構成するセパレータの中で最もシャットダウン温度の高いセパレータであることが望ましい。
より具体的には、例えば中心部に配置されるセパレータはポリプロピレン製のセパレータであり、外部側(外層部)に配置されるセパレータはポリエチレン製のセパレータあるいはポリエチレン製のセパレータを含む例えば3層等の複数層構成のセパレータである。
このように電池の外部側と内部側でセパレータのシャットダウン温度に差を設け、外部側を低いシャットダウン温度としておくことにより、例えば過充電等により発熱が生じた時に、外部側のセパレータからシャットダウン現象が生じ、外部側の発電要素において先に充電(過充電)が停止して放電が開始され、その後内部側の発電要素においても充電が停止して放電が開始される。電池の外部側は外装部材を介して外気により冷却が効率よく行われる領域なので、この領域(外部領域、外部近傍)の発熱を早い段階で停止して温度上昇を抑えておくことにより、電池内部に蓄積された熱の放熱性を向上させることができる。また、電池全体として段階的に時間をかけて放電を行うことになるので、シャットダウン後の放電状態における温度上昇の割合を低減することができる。その結果、電池全体の温度、また最も温度が高温になると予測される電池内部の温度の上昇を抑制することができ、異常な温度上昇により内部短絡等が生じる可能性を低減することができる。
本発明によれば、異常時において、電池の発熱を、より一層適切に抑制あるいは停止することができる信頼性の高い二次電池を提供することができる。
本発明の一実施形態の二次電池について、図1〜図5を参照して説明する。
本実施形態の二次電池は、平板形状の正極板及び負極板を同じく平板形状のセパレータを介して積層したリチウム系の薄型二次電池(以下、単に薄型電池又は電池と称する。)であり、この薄型電池を所望の数だけ積層し、また並列的に配列することにより、所望の電圧、容量の組電池が構成されるものである。
まず、その薄型電池の構成について図1〜図3を参照して説明する。
図1(A)は、その薄型電池の全体を示す平面図であり、図1(B)は、図1(A)のB−B線における断面図である。
また図2は、その薄型電池の内部を具体的に示す図である。
薄型電池10は、図1に示すように、3枚の正極板101、5枚のセパレータ102、3枚の負極板103、正極端子104、負極端子105、上部電池外装106、下部電池外装107及び図示しない電解質を有する。なお、正極板101、セパレータ102、負極板103の枚数は特定の枚数に限定されず、必要に応じた枚数を選択して構成すればよい。例えば、正極板101、セパレータ102及び負極板103を1枚ずつ有するような構成であってもよい。
正極板101は、図2に示すように、正極端子104に正極リード104cを介して接続される正極側集電体104aと、この正極側集電体104aの両面に形成された正極層104bとを有する。同じく、負極板102は、負極端子105に負極リード105cを介して接続される負極側集電体105aと、この負極側集電体105aの両面に形成された負極層105bとを有する。また、正極板101の正極層104bと負極板102の負極層105bとの各間には、セパレータ102が配置されている。
なお、これら積層された正極板101、セパレータ102及び負極板103を電極群(電極群109(図3参照)))と称し、この電極群と電解質とを合わせて発電要素と称する。
このような正極板101は、リチウム含有複合酸化物に属するLiMnを正極活物質として、炭素系材料に属するカーボンブラックを導電材として、また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を結着剤として採用する。正極活物質と導電材とを混合し、ポリフッ化ビニリデンを溶解させたNメチル−2−ピロリドン(NMP)中に混合した正極活物質と導電材とを均一に分散させてスラリーを作製する。このスラリーを正極側集電体104aとなる厚さ20μmのアルミニウム金属箔上に均一に塗布し、NMPを蒸発させ、ローラープレス機により圧延し、アルミニウム金属箔104a上に正極層104bを作製する。混合されるLiMnとカーボンブラックとポリフッ化ビニリデン(PVDF)との重量比は、75〜85:10〜20:5〜10であり、好ましくは85:10:5乃至75:20:5である。このように作製した正極層104bを所定の大きさ(幅70mm、長さ120mm、厚さ0.18mm)に切断し、正極板102を得る。
正極活物質としては、LiMnのほか、リチウムマンガン複合酸化物(LiMnO、層状構造LiMnO、スピネル構造LiMnO、LiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO)、リチウムマンガンリン酸化合物(LiMnPO)、リチウムバナジウム複合酸化物(LiV)、リチウムチタン複合酸化物(LiTi)、その他のLiM(Mは遷移元素、X、Yは定比及び不定比を含む)などのリチウム複合酸化物を用いることができる。
これらのリチウム複合酸化物は、出力の面ではその平均粒径rが0.1μm<r<1μmであることが好ましく、さらに、0.1<r<0.5μmであることが好ましい。ここで平均粒径とは、50%累積粒径であり、粒度分布図において、それぞれ0μmから積分した体積が50%となった時の粒径である。この測定においては、マイクロトラック粒度分布分析計を用い、レーザー光の散乱により粒子個数n及び粒子1個あたりの直径dを測定する。もちろん他の粒径分析装置を利用することもできる。
また、リチウム複合酸化物の粒子構造は、単結晶乃至単結晶に近い性状である一次粒子であることが好ましい。一次粒子が凝集して形成された二次粒子が含まれる場合もあるが、その含有量は少ないことが好ましく、具体的にはリチウム複合酸化物中の二次粒子の含有量が50%以下であることが好ましい。なお、寿命の面では単結晶であることが好ましい。
正極層104bの厚さは50μm〜150μmであることが好ましく、さらに好ましくは60μm〜120μmであり、最適な厚みは80μmである。これは材料種、粒径、電極組成、空孔率などにより、出力のピーク位置が、ある測定条件のもとでは50〜150μmの間で変化することによる。
また、負極板103は、炭素系材料の属するハードカーボンを負極活物質として、また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を結着剤として採用する。ハードカーボンとポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを90:10の重量比で混合し、これをNメチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させてスラリーを作製する。このスラリーを負極側集電体105aとなる厚さ10μmの銅金属箔上に均一に塗布し、NMPを蒸発させ、ローラープレス機により圧延し、銅金属箔105b上に負極層105bを作製する。このように作製した負極層105bを所定の大きさ(幅70mm、長さ120mm、厚さ0.11mm)に切断し、負極板101を得る。
負極活物質としては、ハードカーボンを初めとする非晶質炭素、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、又は黒鉛などのように正極活物質のリチウムイオンを吸蔵及び放出する材料を用いることができる。
セパレータ102は、図1及び図2に示すように、交互に積層された正極板101と負極板103との各間に介在するように複数具備され、正極板101及び負極板103とともに電極群を構成する。本実施形態の薄型電池10においては、各々3枚の正極板101及び負極板103の各間に5枚のセパレータ102−1〜102−5が具備されている。
各セパレータ102は、例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン等から構成される微多孔性膜で形成され、正極板101と負極板103との短絡を防止するとともに電解質を保持する機能を有する。また、過電流が流れた時に発熱によって膜の空孔が閉塞され電流を遮断する機能をも有する。
そして特に本実施形態の薄型電池10においては、5枚のセパレータ102のうち、外側に配置されるセパレータとして、内側に配置されるセパレータより溶融温度の低いセパレータを配置する。
このような本発明に係るセパレータ102の配置及び構成について、図3を参照して詳細に説明する。
図3は、薄型電池10の電極群109の構成を示す図である。
図3に示すように、薄型電池10の5枚のセパレータをセパレータ102−1〜102−5とすると、薄型電池10においては、最も外側のセパレータ102−1及び102−5としてポリエチレン(PE)で形成されたセパレータを用い、内側のセパレータ102−2〜102−4としてポリプロピレン(PP)で形成されたセパレータを用いる。ポリエチレン(PE)の溶融点は約125℃で、ポリプロピレン(PP)の溶融点は約158℃なので、外側のセパレータ102−1及び102−5が内側のセパレータ102−2〜102−4より溶融温度が低いこととなる。
セパレータをこのように構成することにより、薄型電池10が外部短絡する等して薄型電池10に大電流が流れ薄型電池10の温度が上昇したような場合に、その温度上昇を適切に抑制することができる。すなわち、各セパレータ102−1〜102−5においては、その温度がシャットダウン温度(溶融温度)に達すると溶融が始まり、微細孔が目詰まりを起こし、正極板101と負極板103の間の電流が阻止される。そして、電流が阻止されることにより、充電すなわち過充電が停止される。この際、薄型電池10においては、外側のセパレータ102−1及び102−5の溶融温度が内部のセパレータ102−2〜102−4の溶融温度よりも低いため、外側(最外層)のセパレータ102−1及び102−5から溶融が始まる。その結果、外側のセパレータ102−1及び102−5の過充電が早い段階で停止され、薄型電池10の外層からの薄型電池10外部への放熱が効率よく開始され、薄型電池10の内部から外層部への放熱も促進される。そしてその結果、薄型電池10内部の温度上昇を適切に抑制することができる。
正極端子104は、前述したような正極板101、負極板103及びセパレータ102が積層して構成される電極群109の、各正極板101の正極側集電体104aの端部の正極層非形成領域に正極リード104cを介して接続される。また、負極端子105は、電極群109の各負極板103の負極側集電体105aの端部の負極層非形成領域に負極リード104cを介して接続される。
正極端子104及び負極端子105は各々金属箔製であり、電気化学的に安定した金属材料であればその材料は特に限定されないが、例えば、正極端子104としてはアルミニウムやアルミニウム合金等、負極端子105としてはニッケル、銅又はステンレス等を用いるのが好適である。
上部外装部材106及び下部外装部材107は、このような構成の電極群109及び電解質(すなわち、発電要素)を内部に封止収容する。その際、正極端子104及び負極端子105の各端部が、上部外装部材106と下部外装部材107の間を通過して薄型電池10の周辺部において電池外部に突出するよう、正極端子104及び負極端子105を上部外装部材106と下部外装部材107との間で挟持するように、電極群109、正極端子104及び負極端子105を配置する。すなわち、上部電池外装106及び下部電池外装107によって電極群109、正極端子104の一部及び負極端子105の一部を包み込み、上部外装部材106及び下部外装部材107により形成される空間に電解質を注入した後、上部外装部材106及び下部外装部材107の外周縁を熱融着等の方法により封止する。
なお、外装部材106、107の端部から、正極端子104及び負極端子105が導出するため、これら正極端子104及び負極端子105の厚さ分だけ上部外装部材106と下部外装部材107との接合部に隙間が生じる。そのため、薄型電池10内の封止性を維持するために、正極端子104と上部外装部材106及び下部外装部材107とが接触する部分に、ポリエチレンやポリプロピレンから構成されたシールフィルムを熱融着などの方法により介在させるのが好適である。その際のシールフィルムは、上部外装部材106及び下部外装部材107を構成する樹脂と同系統の樹脂から構成することが熱融着性の点から望ましい。
上部電池外装106及び下部電池外装107は、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂フィルムや、アルミニウムなどの金属箔の両面をポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂でラミネートした樹脂−金属薄膜ラミネート材等、柔軟性を有する材料で形成される。
また、電極群109とともに上部外装部材106及び下部外装部材107により形成される空間に封入される電解質は、有機液体溶媒に過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム等のリチウム塩を溶質とした液体電解質である。有機液体溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DMC)等のエステル系溶媒が好適であるが、これに限定されるものではなく、例えばエステル系溶媒に、γ−ブチラクトン(γ−BL)あるいはジエトシキエタン(DEE)等のエーテル系溶媒その他を混合、調合した有機液体溶媒も用いることもできる。
次に、このような構成の薄型電池10において、実際に外部短絡等により過充電が生じた場合の薄型電池10の状態について、図4及び図5を参照して説明する。
ここでは特に、薄型電池10に過充電、これに伴う薄型電池10の温度上昇、及びセパレータ102の溶融による充電の停止等が生じた場合の薄型電池10の中心部及び外層部の温度変化について説明することにより、薄型電池10の状態について説明する。
図4及び図5は、各々、過充電が生じた場合の薄型電池の温度変化を示す図であり、図4は薄型電池の内部(中心部)の温度変化を示す図であり、図5は薄型電池の外層部の温度変化を示す図である。
図4及び図5において、温度軌跡a及びaは、本実施形態の薄型電池10、すなわち最外層のセパレータ102−1及び102−5として溶融温度が相対的に低いPE製セパレータを用い内部のセパレータ102−2〜102−4として溶融温度が相対的に高いPP製セパレータを用いた薄型電池の内部及び外層部の温度変化を示す。また、温度軌跡b及びbは、比較例1としての、全てのセパレータに溶融温度が相対的に高いPP製セパレータを用いた薄型電池の内部及び外層部の温度変化を示し、温度軌跡c及びcは、比較例2としての、全てのセパレータに溶融温度の相対的に低いPE製セパレータを用いた薄型電池の内部及び外層部の温度変化を示す。
また、図4及び図5において、温度TSPP は、PPセパレータのシャットダウン温度(セパレータの微細孔が塞がって極板間に電流が流れなくなる温度。以下、PPシャットダウン温度と称する)を示し、温度TBPP は、PPセパレータの形状保持限界温度(セパレータが溶融して形状が保持できなくなり極板間に短絡が発生する可能性のある温度)を示す。また、温度TSPE は、PEセパレータのシャットダウン温度(以下、PEシャットダウン温度と称する)を示し、温度TBPE は、PEセパレータの形状保持限界温度を示す。
なお、前述したように、一般的なPP(ポリプロピレン)の溶融温度は約158℃であり、一般的なPE(ポリエチレン)の溶融温度は約125℃である。
まず、本実施形態の薄型電池10における温度変化の状態について説明する。
例えば、ある時刻(経過時間0。以下、単に経過時間を時間と称する)に、前述したように薄型電池10が外部短絡することにより電池に大電流が流れ始めると、電池が発熱し、温度変化aI1(図4)及び温度変化aO1(図5)として示すように、電池の内部及び外層部ともに温度が急激に上昇する。この時、電池の内部と外層部とは、ともに過充電により発熱している状態であり温度差はあまり生じない。
この温度上昇により、例えば時間t1に電池の内部及び外層部の温度がPEシャットダウン温度TSPE に達すると、最外層のセパレータ(PEセパレータ)102−1及び102−5(図3)の溶融が始まり、最外層の極板間の電流が阻止される。これにより、薄型電池10の最外層における充電(過充電)が停止され、この領域(外層)は放電状態に移行する。その結果、図5に温度変化aO2として示すように、薄型電池10の外層部においては、放電による温度上昇はあるものの、薄型電池10の外気による冷却効果もあり、それまでの過充電による温度上昇と比較して温度上昇の割合が急激に緩やかになる。
薄型電池10の内部においては、PP製のセパレータ102−2〜102−4がまだ溶融していないため過充電状態が継続されており、図4に温度変化aI2として示すように、外層の極板間の過充電が停止されたことにより僅かに温度上昇の割合が緩やかにはなっているものの、時間t1までとほぼ同じ割合の急激な温度上昇が続く。
またこれにより、時間t1以降は、外気により冷却される薄型電池10の外層部と過充電による発熱を継続する薄型電池10の内部で温度差も発生する。
薄型電池10の内部がこのような温度上昇を継続し、例えば時刻t3にPPシャットダウン温度TSPP に達すると、内部のセパレータ(PPセパレータ)102−2〜102−4の溶融が始まり、薄型電池10の内部においても極板間の電流が阻止される。これにより薄型電池10の内部においても充電(過充電)が停止され、放電状態に移行する。この時、薄型電池10の外層においては既に時間t1において充電が停止されて放電が始まっているので、その温度は薄型電池10の内部の温度と比較して十分に低い温度となっている。そのため、薄型電池10の内部の放熱は、薄型電池10の外層部を介して薄型電池10の外部へ効率よく行われる。その結果、図4に温度変化aI3として示すように、放電による温度上昇はあるものの、それまでの過充電による温度上昇と比較して温度上昇の割合が急激に緩やかになる。
薄型電池10の外層部においては、時間t3において電池内部の過充電も停止されて電池内部からの発熱(伝熱)もなくなるので、図5に温度変化ao3として示すように、それまでの温度変化ao2以上に緩やかな割合での温度上昇となる。
そして、例えば時間t5において薄型電池10の内部及び外層部ともに放電が終了すると、薄型電池10からの発熱はなくなり、単に外部へ放熱する状態となる。従って、温度変化aI4(図4)及び温度変化aO4(図5)として示すように、電池の内部及び外層部ともに温度が急激に降下する。
次に、全てのセパレータに溶融温度が相対的に高いPP製セパレータを用いた比較例1としての薄型電池において過充電状態が生じた場合における電池の温度変化について説明する。
この場合も、ある時刻(時間0)に薄型電池が外部短絡することにより薄型電池に大電流が流れ始めると、薄型電池が発熱し、温度変化bI1(図4)及び温度変化bO1(図5)として示すように、電池の内部及び外層部ともに温度が急激に上昇する。
比較例1の薄型電池は全てのセパレータがPP製セパレータであるため、過充電による電池の温度上昇はPPシャットダウン温度TSPP に達するまで続く。
そして、例えば時間t2に電池の温度がPPシャットダウン温度TSPP に達すると、薄型電池の全てのセパレータにおいて極板間の電流がシャットダウンされ、薄型電池への充電(過充電)が停止され、薄型電池は放電状態に移行する。
なお、この時間t2は、本実施形態の薄型電池10のように電池の外層において先に過充電が停止されることなく電池全体が過充電による発熱を継続してPPシャットダウン温度TSPP に達する時間なので、本実施形態の薄型電池10において電池内部の温度がPPシャットダウン温度TSPP に達する時間t3より早い時間となる(t1<t2<t3)。
薄型電池が放電状態に移行することにより、温度変化bI2(図4)及び温度変化bO2(図5)として示すように、その温度変化は、それまでの過充電による温度上昇と比較して温度上昇の割合が緩やかな、放電による温度上昇状態となる。この時も、電池の内部と外層部とはともに放電している状態であり温度差はあまり生じない。
ただし、比較例1の薄型電池においては、放電状態となるまでに薄型電池の全体(外層及び内部を含む全体)で過充電を継続していたため充電量及び蓄熱量ともに本実施形態の薄型電池10よりも大きい。そのため、比較例1の場合の温度変化bI2と本実施形態の薄型電池10の場合の温度変化aI3(ともに図4)とで比較して明らかなように、電池全体が放電状態となった以降の電池の温度は、比較例1の方が上昇の割合が大きい。
そして、例えば時間t4において放電が終了すると、薄型電池での発熱はなくなり単に外部へ放熱する状態となる。従って、温度変化bI3(図4)及び温度変化bO3(図5)として示すように、電池の内部及び外層部ともに温度が急激に降下する。
次に、全てのセパレータに溶融温度が相対的に低いPE製セパレータを用いた比較例2としての薄型電池において過充電状態が生じた場合における電池の温度変化について説明する。
この場合も、ある時刻(時間0)に薄型電池が外部短絡することにより薄型電池に大電流が流れ始めると、薄型電池が発熱し、温度変化cI1(図4)及び温度変化cO1(図5)として示すように、電池の内部及び外層部ともに温度が急激に上昇する。
比較例2の薄型電池は全てのセパレータがPE製セパレータであるため、過充電による電池の温度上昇はPEシャットダウン温度TSPE に達するまで続く。
例えば時間t1に電池の温度がPEシャットダウン温度TSPE に達すると、全てのセパレータにおいて極板間の電流が阻止され、すなわち薄型電池への充電(過充電)が停止され、薄型電池は放電状態に移行する。
薄型電池が放電状態に移行することにより、温度変化cI2(図4)及び温度変化cO2(図5)として示すように、その温度変化は、それまでの過充電による温度上昇と比較して温度上昇の割合が緩やかな、放電による温度上昇状態となる。この時も、電池の内部と外層部とはともに放電している状態であり温度差はあまり生じない。
そして、例えば時間t6において放電が終了すると、薄型電池での発熱はなくなり単に外部へ放熱する状態となる。従って、温度変化cI3(図4)及び温度変化cO3(図5)として示すように、電池の内部及び外層部ともに温度が急激に降下する。
このように、最外層に溶融温度が低いPE製セパレータを用い内部に溶融温度が高いPP製セパレータを用いた本実施形態の薄型電池10においては、外部短絡等による過充電が生じた場合に、電池内部に先行して電池外層部の充電が停止し、その後電池内部の充電が停止するように作用する。従って、電池内部がPPシャットダウン温度に達した時には、電池の外層部は既に冷却が進んだ状態となっており、その後の電池内部の放熱を効果的に行うことができる。その結果、電池内部の温度上昇の割合を緩やかにし、温度上昇(ΔT(図4))を少なくすることができる。そしてこれにより、図4から明らかなように、電池内部における最高上昇温度TaImax とPPセパレータ形状保持限界温度TBPP との差(マージン)を、比較例1(比較例1の電池の内部最高上昇温度TbImax とPPセパレータ形状保持限界温度TBPP との差)あるいは比較例2(比較例2の電池の内部最高上昇温度TcImax とPEセパレータ形状保持限界温度TBPE との差)等と比較して広くとることができる。
なお、薄型電池10の外層部については、図5に示すように、電池外層部の最高上昇温度TaOmax とPEセパレータ形状保持限界温度TBPE との差(マージン)は、比較例1(比較例1の電池の外層部最高上昇温度TbOmax とPPセパレータ形状保持限界温度TBPP との差)あるいは比較例2(比較例2の電池の内部最高上昇温度TcOmax とPEセパレータ形状保持限界温度TBPE との差)等とほぼ同じである。すなわち、マージンが大きくなっているものではないが、狭まっているわけではなく何ら障害となるものではない。
従って、本実施形形態の薄型電池10においては、過充電等が生じた場合の発熱の影響を最も受け易い薄型電池10の内部において、セパレータが溶融して形状が保持できなくなり極板間が短絡してしまうという事態に至る可能性が低くなっており、薄型電池10全体としてその信頼性を向上させることができる。
なお、本実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって本発明を何ら限定するものではない。本実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含み、また任意好適な種々の改変が可能である。
例えば、前述した実施形態の薄型電池10においては、最外層のセパレータとしてPEセパレータを用い、最外層以外の内部のセパレータとしてPPセパレータを用いたが、このような構成に限られるものではない。
外層部の一定の範囲についてPEセパレータを用いるような構成や、最も内部の中心部のセパレータのみPPセパレータとして残りのセパレータをPEセパレータとするような構成であってもよい。
また、適用するセパレータの種類は、PPセパレータあるいはPEセパレータに限定されるものではない。任意のシャットダウン温度の異なるセパレータを用いて、適宜電池の内部及び外層部に配置するような構成とすればよい。
また、セパレータに代えて、ゲル電解質又は真性ポリマー電解質等をセパレータとして用いることもできる。
また、セパレータとしては、単層膜にのみ限られず、ポリプロピレン層をポリエチレン層でサンドイッチした三層構造や、ポリオレフィン微多孔膜と有機不織布などを積層したものも用いることができる。セパレータ102を複層化することで、過電流の防止機能、電解質保持機能及びセパレータの形状維持(剛性向上)機能などの諸機能を付与することができる。
最外層のセパレータとして、三層構造のセパレータを用いた場合の電極群の構成例を図6に示す。このような構成の電極群を有する薄型電池においても、本実施形態の薄型電池と同様に、過充電時等の温度上昇を適切に抑制し、信頼性を向上させることができる。
図1は、本発明の一実施形態の薄型電池の構成を示す図であり、図1(A)は平面図であり、図1(B)は図1(A)のB−B線における断面図である。 図2は、図1に示した薄型電池の内部をより詳細に示す図である。 図3は、図1に示した薄型電池の電極群の構成を示す図であり、セパレータの配置を説明すうための図である。 図4は、図1に示した薄型電池及び比較例の薄型電池における過充電時の電池内部の温度変化を示す図である。 図5は、図1に示した薄型電池及び比較例の薄型電池における過充電時の電池外層部の温度変化を示す図である。 図6は、図3に示した電極群の他の構成を示す図である。
符号の説明
10…薄型電池
101…正極板
101a…正極側集電体
101b…正極層
102…セパレータ
103…負極板
103a…負極側集電体
103b…負極層
104…正極端子
104c…正極リード
105…負極端子
105c…負極リード
106…上部外装部材
107…下部外装部材
109…電極群

Claims (5)

  1. 電極板がセパレータを介して複数積層された電極群を有する二次電池であって、
    前記二次電池の外部側に配置されるセパレータは、前記二次電池の内部側に配置されるセパレータよりシャットダウン温度の低いセパレータであること特徴とする二次電池。
  2. 前記電極群を構成する前記セパレータの中で、最も外側に配置されるセパレータは、当該セパレータから前記二次電池の最も内側に配置されるセパレータまでの間に配置されるセパレータの中で、最もシャットダウン温度の低いセパレータであることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記電極群を構成する前記セパレータの中で、最も内側に配置されるセパレータは、当該電極群を構成する前記セパレータの中で、最もシャットダウン温度の高いセパレータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池。
  4. 前記電極群を構成する前記セパレータの中で、少なくとも最も外側に配置されるセパレータは、ポリエチレンにより形成されたセパレータであり、少なくとも最も内側に配置されるセパレータは、ポリプロピレンにより形成されたセパレータであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池。
  5. 前記電極群を構成する前記セパレータの中で、少なくとも最も外側に配置されるセパレータは、ポリエチレンにより形成されたセパレータを含む複数層セパレータであり、少なくとも最も内側に配置されるセパレータは、ポリプロピレンにより形成されたセパレータであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池。
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JP2015026449A (ja) * 2013-07-24 2015-02-05 日立マクセル株式会社 リチウム二次電池装置
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