ところで、上述の特許文献2に開示の調湿装置は、吸着熱交換器に空気を通過させて空気の調湿を行うため、冷媒と空気との間で顕熱の交換もなされる。したがって、調湿装置の調湿能力を制御するために冷媒循環量を調節すると、冷媒と空気との間での顕熱の交換量も変化し、調湿装置で調湿された空気の温度が変化することになる。
ここで、上記調湿装置と空調装置とを併用して同一の室内の空調を行う場合の室内の温度変化について考えてみる。上記理由によって、調湿装置で調湿した空気の温度は、この調湿装置の調湿能力の変化に伴って変化する。このため、調湿装置の調湿能力が変化する際には、室内の温度も変化してしまう。一方、上記空調装置の温調能力は、現時点での室内温度等に基づいて制御されるのが一般的である。このため、調湿装置の調湿能力の変化に伴い室内温度が変化してしまうと、空調装置の温調によって室内温度を速やかに目標の温度に到達させるのが困難となる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、調湿装置と空調装置とで同一室内の空気調和を行う空調システムにおいて、調湿装置の調湿能力の変化時にも室内の温度を速やかに目標温度にできるようにすることである。
第1の発明は、調湿装置(10)及び空調装置(20)を備え、該調湿装置(10)で調湿した空気と該空調装置(20)で温調した空気とを同一の室内に供給する空調システムを前提としている。そして、この空調システムは、上記調湿装置(10)が、容量が可変な圧縮機(53)と、空気の水分を吸着する吸着剤が担持された吸着熱交換器(51,52)とが接続された冷媒回路(50)を有し、上記冷媒回路(50)の冷媒で上記吸着熱交換器(51,52)の吸着剤を加熱し又は冷却して該吸着剤と接触する空気を調湿するように構成され、上記調湿装置(10)の圧縮機(53)の容量を調節して該調湿装置(10)の調湿能力を制御する調湿制御部(41)と、上記調湿装置(10)の圧縮機(53)の容量変化に応じて上記空調装置(20)の温調能力を変更する空調制御部(42)とを備えていることを特徴とするものである。
第1の発明では、調湿装置(10)の冷媒回路(50)に圧縮機(53)及び吸着熱交換器(51,52)が接続され、この冷媒回路(50)で冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その結果、吸着熱交換器(51,52)は、蒸発器又は凝縮器として機能する。この吸着熱交換器(51,52)に担持された吸着剤は、冷媒に蒸発熱を奪われて冷却される、あるいは冷媒に凝縮熱を付与されて加熱される。
空気が吸着熱交換器(51,52)を通過する際に、冷却された吸着剤と接触すると、空気中の水分が吸着剤に吸着される。その結果、調湿装置(10)からは除湿された空気が室内に供給される。また、空気が吸着熱交換器(51,52)を通過する際に、加熱された吸着剤と接触すると、吸着剤から水分が脱着して空気へ放出される。その結果、調湿装置(10)からは加湿された空気が室内に供給される。また、上記圧縮機(53)は容量が可変に構成されている。即ち、調湿制御部(41)によって圧縮機(53)の容量が調節されると、冷媒回路(50)の冷媒循環量が変化し、冷媒の蒸発熱量や凝縮熱量も変化する。その結果、この調湿装置(10)の調湿能力が適宜調節される。一方、空調装置(20)からは所定温度に調節された空気が室内に供給される。
上述したように、調湿装置(10)の調湿能力を調節するために圧縮機(53)の容量を変更すると、それに伴って調湿空気の温度も変化する。したがって、調湿装置(10)から室内へ供給される調湿空気の温度が変化すると、それに起因して室内温度も次第に変化することが予測される。
そこで、空調制御部(41)は調湿装置(10)の圧縮機(53)の容量が変化したときには、近いうちに室内温度も変化するであろうと判断して予め空調装置(20)の温調能力を変化させる。つまり、空調制御部(41)は、調湿装置(10)の圧縮機(53)の容量変化に起因して実際の室内温度が変化してしまう前に空調装置(10)の温調能力を変化させる。
第2の発明は、第1の発明において、調湿装置(10)が、蒸発器となる吸着熱交換器(51,52)で除湿した空気を室内へ供給すると同時に、上記空調装置(20)で冷却した空気を室内へ供給する冷房除湿運転を少なくとも行い、上記空調制御部(42)は、調湿装置(10)の圧縮機(53)の容量が大きくなると空調装置(20)の冷房能力を低下させることを特徴とするものである。
第2の発明では、調湿装置(10)で除湿された空気と、空調装置(20)で冷却した空気とが同一の室内に供給されて冷房除湿運転が行われる。この冷房除湿運転では、調湿装置(10)の吸着熱交換器(51,52)が蒸発器として機能し、冷媒で冷却された吸着剤と空気とが接触する。その結果、空気中の水分が吸着剤に吸着され、この空気が除湿されて室内に供給される。
ここで、例えば調湿制御部(41)が調湿装置(10)の除湿能力を増大させるために圧縮機(53)の容量を大きくした場合、吸着熱交換器(51,52)での冷媒の吸熱量が大きくなり、吸着熱交換器(51,52)での温度低下幅が拡大する。その結果、調湿装置(10)から室内に供給される調湿空気の温度も低下する。そこで、空調制御部(42)は、圧縮機(53)の容量が増大する際に空調装置(20)の冷房能力を低下させ、室内温度が目標温度よりも低い温度に振れてしまうことを抑制する。
一方、例えば調湿制御部(41)が調湿装置(10)の除湿能力を低減させるために圧縮機(53)の容量を小さくした場合、吸着熱交換器(51,52)での冷媒の吸熱量が小さくなり、吸着熱交換器(51,52)での温度低下幅が減少する。その結果、調湿装置(10)から室内に供給される調湿空気の温度が上昇する。そこで、空調制御部(42)は、圧縮機(53)の容量が減少する際に空調装置(20)の冷房能力を増大させ、室内温度が目標温度よりも高い温度に振れてしまうことを抑制する。
第3の発明は、第1の発明において、調湿装置(10)が、凝縮器となる吸着熱交換器(51,52)で加湿した空気を室内へ供給すると同時に、上記空調装置(20)で加熱した空気を室内へ供給する暖房加湿運転を少なくとも行い、上記空調制御部(42)は、調湿装置(10)の圧縮機(53)の容量が大きくなると空調装置(20)の暖房能力を低下させることを特徴とするものである。
第3の発明では、調湿装置(10)で加湿された空気と、空調装置(20)で加熱した空気とが同一の室内に供給されて暖房加湿運転が行われる。この暖房加湿運転では、調湿装置(10)の吸着熱交換器(51,52)が凝縮器として機能し、冷媒で加熱された吸着剤と空気とが接触する。吸着剤に吸着された水分は空気へ放出され、この空気が加湿されて室内に供給される。
ここで、調湿制御部(41)が調湿装置(10)の加湿能力を増大させるために圧縮機(53)の容量を大きくした場合、吸着熱交換器(51,52)での冷媒の放熱量が大きくなり、吸着熱交換器(51,52)での温度上昇幅が増大する。その結果、調湿装置(10)から室内に供給される調湿空気の温度が上昇する。そこで、空調制御部(42)は、圧縮機(53)の容量が増大する際に空調装置(20)の暖房能力を低下させ、室内温度が目標温度よりも低い温度に振れてしまうことを抑制する。
一方、調湿制御部(41)が調湿装置(10)の加湿能力を低減させるために圧縮機(53)の容量を小さくした場合、吸着熱交換器(51,52)での冷媒の放熱量が小さくなり、吸着熱交換器(51,52)での温度上昇幅が減少する。その結果、調湿装置(10)から室内に供給される調湿空気の温度が低下する。そこで、空調制御部(42)は、圧縮機(53)の容量が減少する際に空調装置(20)の冷房能力を増大させ、室内温度が目標温度よりも高い温度に振れてしまうことを抑制する。
第4の発明は、第1の発明において、調湿装置(10)が、凝縮器となる吸着熱交換器(51,52)で加湿した空気を室内へ供給すると同時に、上記空調装置(20)で冷却した空気を室内へ供給する冷房加湿運転を少なくとも行い、上記空調制御部(42)は、調湿装置(10)の圧縮機(53)の容量が大きくなると空調装置(20)の冷房能力を増大させることを特徴とするものである。
第4の発明では、調湿装置(10)で加湿された空気と、空調装置(20)で冷却した空気とが同一の室内に供給されて冷房加湿運転が行われる。ここで、調湿制御部(41)が圧縮機(53)の容量を大きくした結果、調湿空気の温度が上昇する際には、空調制御部(42)が空調装置(20)の冷房能力を増大させる。一方、調湿制御部(41)が圧縮機(53)の容量を小さくした結果、調湿空気の温度が低下する際には、空調制御部(42)が空調装置(20)の冷房能力を低下させる。したがって、室内の温度が目標温度に対して上下に振れてしまうことを抑制できる。
第5の発明は、第1の発明において、調湿装置(10)が、蒸発器となる吸着熱交換器(51,52)で除湿した空気を室内へ供給すると同時に、上記空調装置(20)で加熱した空気を室内へ供給する暖房除湿運転を少なくとも行い、上記空調制御部(42)は、調湿装置(10)の圧縮機(53)の容量が大きくなるに連れて空調装置(20)の暖房能力を増大させることを特徴とするものである。
第5の発明では、調湿装置(10)で除湿された空気と、空調装置(20)で加熱した空気とが同一の室内に供給されて暖房除湿運転が行われる。ここで、調湿制御部(41)が圧縮機(53)の容量を大きくした結果、調湿空気の温度が低下する際には、空調制御部(42)が空調装置(20)の暖房能力を増大させる。一方、調湿制御部(41)が圧縮機(53)の容量を小さくした結果、調湿空気の温度が上昇する際には、空調制御部(42)が空調装置(20)の暖房能力を低下させる。したがって、室内の温度が目標温度に対して上下に振れてしまうことを抑制できる。
第6の発明は、調湿装置(10)及び空調装置(20)を備え、該調湿装置(10)で調湿した空気と該空調装置(20)で温調した空気とを同一の室内に供給する空調システムを前提としている。そして、この空調システムは、上記調湿装置(10)が、吸着剤が担持された吸着部材(111,112)と、該吸着部材(111,112)の吸着剤を加熱又は冷却するための熱源手段(100,153)とを備え、上記吸着部材(111,112)の吸着剤と接触する空気を調湿するように構成され、上記熱源手段(100,153)による吸着剤の加熱能力又は冷却能力を調節して調湿装置(10)の調湿能力を制御する調湿制御部(41)と、上記熱源手段(100,153)の加熱能力又は冷却能力の変化に応じて上記空調装置(20)の温調能力を変更する空調制御部(42)とを備えていることを特徴とするものである。
第6の発明では、調湿装置(10)の吸着部材(111,112)に吸着剤が担持される。この吸着剤は、熱源手段(100,153)によって冷却又は加熱される。
空気が吸着部材(111,112)を通過する際に冷却された吸着剤と接触すると、空気中の水分が吸着剤に吸着される。その結果、調湿装置(10)からは除湿された空気が室内に供給される。また、空気が吸着部材(111,112)を通過する際に加熱された吸着剤と接触すると、吸着剤から水分が脱着して空気へ放出される。その結果、調湿装置(10)からは加湿された空気が室内に供給される。
上記熱源手段(100,153)は、吸着剤の冷却能力や加熱能力が調節可能に構成されている。つまり、熱源手段(100,153)の能力が調節されると、この調湿装置(10)の調湿能力が適宜調節される。一方、空調装置(20)からは所定温度に調節された空気が室内に供給される。
第1の発明と同様に、調湿装置(10)の調湿能力を調節するために熱源手段(100,153)の冷却能力や加熱能力を変更すると、それに伴って調湿空気の温度も変化する。したがって、調湿装置(10)から室内へ供給される調湿空気の温度が変化すると、それに起因して室内温度も次第に変化することが予測される。
そこで、空調制御部(41)は熱源手段(100,153)の冷却能力や加熱能力が変化したときには、近いうちに室内温度も変化するであろうと判断して予め空調装置(20)の温調能力を変化させる。つまり、空調制御部(41)は、調湿装置(10)の熱源手段(100,153)の能力変化に起因して実際の室内温度が変化してしまう前に空調装置(10)の温調能力を変化させる。
本発明では、調湿装置(10)の調湿能力の変更に伴う調湿空気の温度変化を圧縮機(53)の容量変化から判定し、調湿装置(10)の調湿能力の変化に伴う室内温度変化を予め予測して空調装置(20)の温調能力を変更するようにしている。このため、調湿装置(10)の調湿能力が変化して調湿空気の温度が変化したときでも、それに起因する室内温度の変動を抑制することができる。したがって、この空調システムにおいて、調湿装置(10)の調湿能力の変化時にも、室内温度を速やかに目標温度に収束させることができる。
上記第2の発明によれば、この空調システムで室内の除湿と冷房とを同時に行うことができる。また、調湿装置(10)の除湿能力の変更に伴い調湿空気の温度が変化する際にも、空調装置(20)の冷房能力を変更することで、室内の温度を速やかに目標温度に収束させることができる。
上記第3の発明によれば、この空調システムで室内の加湿と暖房とを同時に行うことができる。また、調湿装置(10)の加湿能力の変更に伴い調湿空気の温度が変化する際にも、空調装置(20)の暖房能力を変更することで、室内の温度を速やかに目標温度に収束させることができる。
上記第4の発明によれば、この空調システムで室内の加湿と冷房とを同時に行うことができる。また、調湿装置(10)の加湿能力の変更に伴い調湿空気の温度が変化する際にも、空調装置(20)の冷房能力を変更することで、室内の温度を速やかに目標温度に収束させることができる。
上記第5の発明によれば、この空調システムで室内の除湿と暖房とを同時に行うことができる。また、調湿装置(10)の除湿能力の変更に伴い調湿空気の温度が変化する際にも、空調装置(20)の暖房能力を変更することで、室内の温度を速やかに目標温度に収束させることができる。
また、上記第6の発明では、調湿装置(10)の調湿能力の変更に伴う調湿空気の温度変化を熱源手段(100,153)の冷却能力や加熱能力の変化から判定し、調湿装置(10)の調湿能力の変化に伴う室内温度変化を予め予測して空調装置(20)の温調能力を変更するようにしている。このため、第1の発明と同様、調湿装置(10)の調湿能力が変化して調湿空気の温度が変化したときでも、それに起因する室内温度の変動を抑制することができる。したがって、この空調システムにおいて、調湿装置(10)の調湿能力の変化時にも、室内温度を速やかに目標温度に収束させることができる。
本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態の空調システム(1)は、空気の潜熱を処理する調湿装置(10)と、空気の顕熱を処理する空調装置(20)とを備えている。この空調システム(1)では、調湿装置(10)で処理した空気と、空調装置(20)で処理した空気との双方が同一の室内に供給される。また、この空調システム(1)は、詳細は後述する調湿制御部(41)、空調制御部(42)、及びコントローラ(30)を備えている。
<調湿装置の概略構成>
本実施形態の調湿装置(10)は、除湿した空気を室内へ供給する除湿運転と、加湿した空気を室内へ供給する加湿運転とが可能に構成されている。
図2に示すように、上記調湿装置(10)は、冷媒回路(50)を備えている。この冷媒回路(50)は、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が設けられた閉回路である。この冷媒回路(50)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。
上記冷媒回路(50)において、圧縮機(53)は、その吐出側が四方切換弁(54)の第1のポートに、その吸入側が四方切換弁(54)の第2のポートにそれぞれ接続されている。第1吸着熱交換器(51)の一端は、四方切換弁(54)の第3のポートに接続されている。第1吸着熱交換器(51)の他端は、電動膨張弁(55)を介して第2吸着熱交換器(52)の一端に接続されている。第2吸着熱交換器(52)の他端は、四方切換弁(54)の第4のポートに接続されている。
上記四方切換弁(54)は、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図2(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図2(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
図3に示すように、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)は、何れもクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。これら吸着熱交換器(51,52)は、銅製の伝熱管(58)とアルミニウム製のフィン(57)とを備えている。吸着熱交換器(51,52)に設けられた複数のフィン(57)は、それぞれが長方形板状に形成され、一定の間隔で並べられている。また、伝熱管(58)は、各フィン(57)を貫通するように設けられている。
上記各吸着熱交換器(51,52)では、各フィン(57)の表面に吸着剤が担持されており、フィン(57)の間を通過する空気がフィン(57)の表面の吸着剤と接触する。この吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性の官能基を有する有機高分子材料など、空気中の水蒸気を吸着できるものが用いられる。
また、この調湿装置(10)には、図示しないが空気の温度や湿度を検出する複数のセンサが設けられている。これら複数のセンサは、室外空気の温度を検出する室外温度センサと、室外空気の相対湿度を検出する室外湿度センサと、室内空気の温度を検出する室内温度センサと、室内空気の相対湿度を検出する室内湿度センサとで構成されている。
<空調装置の概略構成>
本実施形態の空調装置(20)は、冷却した空気を室内へ供給する冷房運転と、加熱した空気を室内へ供給する暖房運転とが可能に構成されている。
図4に示すように、上記空調装置(20)は、室内ユニット(21)及び室外ユニット(22)を備えている。上記室内ユニット(21)は室内に配置されている。この室内ユニット(21)には、室内熱交換器(62)が収納されている。一方、上記室外ユニット(22)は室外に配置されている。この室外ユニット(22)には、室外熱交換器(61)、圧縮機(63)、四方切換弁(64)、及び電動膨張弁(65)が収納されている。上記室内ユニット(21)と上記室外ユニット(22)とは、2本の連絡配管(23,24)で互いに接続されている。そして、空調装置(20)には、閉回路である冷媒回路(60)が構成されている。この冷媒回路(60)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。
上記冷媒回路(60)において、圧縮機(63)は、その吐出側が四方切換弁(64)の第1のポートに、その吸入側が四方切換弁(64)の第2のポートにそれぞれ接続されている。室外熱交換器(61)の一端は、四方切換弁(64)の第3のポートに接続されている。室外熱交換器(61)の他端は、電動膨張弁(65)を介して室内熱交換器(62)の一端に接続されている。室内熱交換器(62)の他端は、四方切換弁(64)の第4のポートに接続されている。
上記四方切換弁(64)は、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図4(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図4(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。また、この空調装置(20)には、室内から空調装置(20)への吸込室内空気の温度を検出する吸込温度センサが設けられている。
<調湿制御部、空調制御部、及びコントローラの構成>
図1に示すように、本実施形態の空調システム(1)には、コントローラ(30)、調湿制御部(41)、及び空調制御部(42)が設けられている。
上記コントローラ(30)は、空調装置(20)の制御目標温度となる設定温度Tsと、調湿装置(10)の制御目標湿度となる設定湿度Rsとをそれぞれ入力する入力部を構成している。具体的に、コントローラ(30)には、温度設定部(31)と湿度設定部(32)とが設けられている。
上記温度設定部(31)には、希望の室内温度が入力される。この温度設定部(31)には、この室内温度が設定温度Tsとして設定される。一方、上記湿度設定部(32)には、希望の室内湿度条件が入力される。具体的に、湿度設定部(32)には、「低」「中」「高」の3段階の中から希望の室内湿度条件が選択的に入力される。湿度設定部(32)には、入力された湿度条件に対応する設定湿度Rsが設定される。
上記調湿制御部(41)は、コントローラ(30)に設定された設定湿度Rsを受信する。この調湿制御部(41)は、室内の湿度が上記設定湿度Rsに近づくように調湿装置(10)の調湿能力を調節する。具体的に、この調湿装置(10)の調湿能力は、圧縮機(53)の容量の調節、即ち圧縮機(53)の周波数制御によって調節される。また、調湿制御部(41)には、圧縮機(53)の周波数の変化量を検出し、この周波数変化量を空調制御部(42)に送信する送信部(43)が設けられている。なお、送信部(43)では、設定された任意の時間間隔おきに圧縮機(53)の周波数変化量が算出される。
上記空調制御部(42)は、コントローラ(30)に設定された設定温度Tsを受信する。この空調制御部(42)は、室内の温度が上記設定温度Tsに近づくように空調装置(20)の温調能力を調節する。具体的に、この空調装置(20)の温調能力は、圧縮機(63)の容量、即ち空調装置(20)の冷媒回路(60)の冷媒循環量や、室内熱交換器(62)での蒸発温度や凝縮温度によって調節される。また、空調制御部(42)は、上記送信部(43)から送信された周波数変化量を受信し、この圧縮機(53)の周波数変化に応じて上記空調装置(20)の温調能力を補正して変更する(詳細は後述するものとする)。
−運転動作−
<調湿装置の運転動作>
本実施形態の調湿装置(10)では、除湿運転と加湿運転とが行われる。除湿運転中や加湿運転中の調湿装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)を調湿してから供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外へ排出する。つまり、除湿運転中や加湿運転中の調湿装置(10)は、室内の換気を行っている。また、上記調湿装置(10)は、除湿運転中と加湿運転中の何れにおいても、第1動作と第2動作を所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返す。
上記調湿装置(10)は、除湿運転中であれば第1空気として室外空気(OA)を、第2空気として室内空気(RA)をそれぞれ取り込む。また、上記調湿装置(10)は、加湿運転中であれば第1空気として室内空気(RA)を、第2空気として室外空気(OA)をそれぞれ取り込む。
先ず、第1動作について説明する。第1動作中には、第1吸着熱交換器(51)へ第2空気が、第2吸着熱交換器(52)へ第1空気がそれぞれ送り込まれる。この第1動作では、第1吸着熱交換器(51)についての再生動作と、第2吸着熱交換器(52)についての吸着動作とが行われる。
図2(A)に示すように、第1動作中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第1状態に設定される。圧縮機(53)を運転すると、冷媒回路(50)内で冷媒が循環する。具体的に、圧縮機(53)から吐出された冷媒は、第1吸着熱交換器(51)で放熱して凝縮する。第1吸着熱交換器(51)で凝縮した冷媒は、電動膨張弁(55)を通過する際に減圧され、その後に第2吸着熱交換器(52)で吸熱して蒸発する。第2吸着熱交換器(52)で蒸発した冷媒は、圧縮機(53)へ吸入されて圧縮され、再び圧縮機(53)から吐出される。
このように、第1動作中の冷媒回路(50)では、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となり、第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。第1吸着熱交換器(51)では、フィン(57)表面の吸着剤が伝熱管(58)内の冷媒によって加熱され、加熱された吸着剤から脱離した水分が第2空気に付与される。一方、第2吸着熱交換器(52)では、フィン(57)表面の吸着剤に第1空気中の水分が吸着され、発生した吸着熱が伝熱管(58)内の冷媒に吸熱される。
そして、除湿運転中であれば、第2吸着熱交換器(52)で除湿された第1空気が室内へ供給され、第1吸着熱交換器(51)から脱離した水分が第2空気と共に室外へ排出される。一方、加湿運転中であれば、第1吸着熱交換器(51)で加湿された第2空気が室内へ供給され、第2吸着熱交換器(52)に水分を奪われた第1空気が室外へ排出される。
次に、第2動作について説明する。第2動作中には、第1吸着熱交換器(51)へ第1空気が、第2吸着熱交換器(52)へ第2空気がそれぞれ送り込まれる。この第2動作では、第2吸着熱交換器(52)についての再生動作と、第1吸着熱交換器(51)についての吸着動作とが行われる。
図2(B)に示すように、第2動作中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第2状態に設定される。圧縮機(53)を運転すると、冷媒回路(50)内で冷媒が循環する。具体的に、圧縮機(53)から吐出された冷媒は、第2吸着熱交換器(52)で放熱して凝縮する。第2吸着熱交換器(52)で凝縮した冷媒は、電動膨張弁(55)を通過する際に減圧され、その後に第1吸着熱交換器(51)で吸熱して蒸発する。第1吸着熱交換器(51)で蒸発した冷媒は、圧縮機(53)へ吸入されて圧縮され、再び圧縮機(53)から吐出される。
このように、冷媒回路(50)では、第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となり、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となる。第2吸着熱交換器(52)では、フィン(57)表面の吸着剤が伝熱管(58)内の冷媒によって加熱され、加熱された吸着剤から脱離した水分が第2空気に付与される。一方、第1吸着熱交換器(51)では、フィン(57)表面の吸着剤に第1空気中の水分が吸着され、発生した吸着熱が伝熱管(58)内の冷媒に吸熱される。
そして、除湿運転中であれば、第1吸着熱交換器(51)で除湿された第1空気が室内へ供給され、第2吸着熱交換器(52)から脱離した水分が第2空気と共に室外へ排出される。一方、加湿運転中であれば、第2吸着熱交換器(52)で加湿された第2空気が室内へ供給され、第1吸着熱交換器(51)に水分を奪われた第1空気が室外へ排出される。
<空調装置の運転動作>
本実施形態の空調装置(20)では、冷房運転と暖房運転とが行われる。
空調装置(20)の冷房運転では、図4(A)に示すように、冷媒回路(60)の四方切換弁(64)が第1状態に設定される。圧縮機(63)を運転すると、冷媒回路(60)内で冷媒が循環する。具体的に、圧縮機(63)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(61)で放熱して凝縮する。室外熱交換器(61)で凝縮した冷媒は、電動膨張弁(65)を通過する際に減圧され、その後に室内熱交換器(62)で吸熱して蒸発する。室内熱交換器(62)で蒸発した冷媒は、圧縮機(63)へ吸入されて圧縮され、再び圧縮機(63)から吐出される。
このように、冷媒回路(60)では、室外熱交換器(61)が凝縮器となり、室内熱交換器(62)が蒸発器となる。一方、室内から空調装置(20)に吸い込まれた空気は、蒸発器となる室内熱交換器(62)を通過する。この空気は、室内熱交換器(62)で冷却された後、室内に供給される。
一方、空調装置(20)の暖房運転では、図4(B)に示すように、冷媒回路(60)の四方切換弁(64)が第2状態に設定される。圧縮機(63)を運転すると、冷媒回路(60)内で冷媒が循環する。具体的に、圧縮機(63)から吐出された冷媒は、室内熱交換器(62)で放熱して凝縮する。室内熱交換器(62)で凝縮した冷媒は、電動膨張弁(65)を通過する際に減圧され、その後に室外熱交換器(61)で吸熱して蒸発する。室外熱交換器(61)で蒸発した冷媒は、圧縮機(63)へ吸入されて圧縮され、再び圧縮機(63)から吐出される。
このように、冷媒回路(60)では、室外熱交換器(61)が蒸発器となり、室内熱交換器(62)が凝縮器となる。一方、室内から空調装置(20)に吸い込まれた空気は、凝縮器となる室内熱交換器(62)を通過する。この空気は、室内熱交換器(62)で加熱された後、室内に供給される。
−空調システムの制御動作−
本実施形態の空調システム(1)では、上述した調湿装置(10)の除湿運転又は加湿運転と、上述した空調装置(20)の冷房運転又は暖房運転との組み合わせによって4通りの運転が行われる。具体的に、空調システム(1)では、「冷房除湿運転」、「暖房加湿運転」、「冷房加湿運転」、及び「暖房除湿運転」とが切換可能となっている。
<冷房除湿運転>
冷房除湿運転では、調湿装置(10)が上述の除湿運転を行うと同時に空調装置(20)が上述の冷房運転を行う。
空調装置(20)では、コントローラ(30)に設定された設定温度Tsが空調制御部(42)に受信される。また、空調装置(20)の吸込温度センサで検出された吸込室内温度が空調制御部(42)に受信される。空調制御部(42)は、吸込温度センサの検出温度と上記設定温度との温度差に基づいて、室内の温度が設定温度Tsに近づくように空調装置(20)の冷房能力を制御する。具体的に、この空調装置(20)の冷房能力は、室内熱交換器(62)の冷媒の蒸発温度Teの調節によって行われる。
一方、調湿装置(10)では、コントローラ(30)に設定された設定湿度Rsが調湿制御部(41)に受信される。また、調湿装置(10)の室外温度センサ及び室内温度センサで検出された検出温度、更に室外湿度センサ及び室内湿度センサで検出された検出湿度が、それぞれ調湿制御部(41)に受信される。次に、調湿制御部(41)は、これらの検出温湿度及び設定湿度Rsに基づいて室内の湿度が設定湿度Rsに近づくように調湿装置(10)の除湿能力を制御する。具体的に、この空調装置(20)の除湿能力は、圧縮機(53)の周波数制御によって行われる。即ち、圧縮機(53)の周波数が変化して冷媒回路(50)の冷媒循環量が変化すると、吸着熱交換器(51,52)で冷媒が蒸発熱として奪う吸着剤の吸着熱量も変化する。その結果、吸着剤の吸着能力、即ち空調装置(20)の除湿能力が調節される。
ここで、例えば調湿装置(10)に取り込まれる室外空気(OA)の湿度が高くなると、調湿制御部(41)は、調湿装置(10)の除湿能力を増大させるために圧縮機(53)の周波数を高くする。その結果、吸着熱交換器(51,52)では冷媒の吸熱量が増大し、吸着剤の吸着能力が増大するが、それと同時に、吸着熱交換器(51,52)における空気の温度低下幅も拡大してしまう。このため、調湿装置(10)から室内に供給される調湿空気の温度が低下する。
この際、上記送信部(43)は、圧縮機(53)の周波数の増大変化量Δfを検出し、このΔfを空調制御部(42)へ送信する。その結果、空調制御部(42)は、この周波数の増大変化量Δfに基づいて室内熱交換器(62)の蒸発温度Teを上昇させる補正を行う。その結果、圧縮機(53)の周波数が増大変化する際に、空調装置(20)の冷房能力が減少するため、調湿装置(10)の調湿空気の影響を受けて、室内温度が設定温度Tsより低く振れてしまうのを抑制できる。
逆に、例えば調湿装置(10)に取り込まれる室外空気(OA)の湿度が低くなると、調湿制御部(41)は、調湿装置(10)の除湿能力を減少させるために圧縮機(53)の周波数を低くする。その結果、吸着熱交換器(51,52)では吸着剤の吸着能力が減少するが、それと同時に、吸着熱交換器(51,52)における空気の温度低下幅が減少してしまう。このため、調湿装置(10)から室内に供給される調湿空気の温度が上昇する。
この際、上記送信部(43)は、周波数の減少変化量−Δfを検出し、この−Δfを空調制御部(42)へ送信する。空調制御部(42)は、この周波数の減少変化量−Δfに基づいて室内熱交換器(62)の蒸発温度Teを低下させる補正を行う。その結果、圧縮機(53)の周波数が減少する際に、空調装置(20)の冷房能力が増大するため、調湿装置(10)の調湿空気の影響を受けて、室内温度が設定温度Tsより高く振れてしまうのを抑制できる。
<暖房加湿運転>
暖房加湿運転では、調湿装置(10)が上述の加湿運転を行うと同時に空調装置(20)が上述の暖房運転を行う。
空調装置(20)の暖房能力は、空調制御部(42)が室内熱交換器(62)の冷媒の凝縮温度Tcを調節することで行われる。一方、調湿装置(10)の加湿能力は、圧縮機(53)の周波数制御によって行われる。即ち、圧縮機(53)の周波数が変化して冷媒回路(50)の冷媒循環量が変化すると、吸着熱交換器(51,52)では冷媒から吸着剤へ放出される凝縮熱量も変化する。その結果、吸着剤の再生能力、即ち空調装置(20)の加湿能力が調節される。
ここで、例えば調湿装置(10)に取り込まれる室外空気(OA)の湿度が低くなると、調湿制御部(41)は、調湿装置(10)の加湿能力を増大させるために圧縮機(53)の周波数を高くする。その結果、吸着熱交換器(51,52)での冷媒の放熱量が増大し、吸着剤の再生能力も増大するが、それと同時に、吸着熱交換器(51,52)における空気の温度上昇幅が増大してしまう。このため、調湿装置(10)から室内に供給される調湿空気の温度が上昇する。
この際、上記送信部(43)は、圧縮機(53)の周波数の増大変化量Δfを検出し、このΔfを空調制御部(42)へ送信する。空調制御部(42)は、この周波数の増大変化量Δfに基づいて室内熱交換器(62)の凝縮温度Tcを低下させる補正を行う。その結果、圧縮機(53)の周波数が増大変化する際に、空調装置(20)の暖房能力が減少するため、調湿装置(10)の調湿空気の影響を受けて、室内温度が設定温度Tsより高く振れてしまうのを抑制できる。
逆に、例えば調湿装置(10)に取り込まれる室外空気(OA)の湿度が高くなると、調湿制御部(41)は、調湿装置(10)の加湿能力を減少させるために圧縮機(53)の周波数を低くする。その結果、吸着熱交換器(51,52)では吸着剤の再生能力が減少し、調湿装置(10)から室内に供給される調湿空気の温度が低下する。
この際、上記送信部(43)は、周波数の減少変化量−Δfを検出し、この−Δfを空調制御部(42)へ送信する。空調制御部(42)は、この周波数の減少変化量−Δfに基づいて室内熱交換器(62)の凝縮温度Tcを上昇させる補正を行う。その結果、圧縮機(53)の周波数が減少する際に、空調装置(20)の暖房能力が増大するため、調湿装置(10)の調湿空気の影響を受けて、室内温度が設定温度Tsより低く振れてしまうのを抑制できる。
<冷房加湿運転>
冷房加湿運転では、調湿装置(10)が上述の加湿運転を行うと同時に空調装置(20)が上述の冷房運転を行う。
上述したように、空調装置(20)の冷房能力は、空調制御部(42)が室内熱交換器(62)の冷媒の蒸発温度Teを調節することで行われる。一方、調湿装置(10)の加湿能力は、圧縮機(53)の周波数制御に伴う吸着剤の再生能力の調節によって行われる。
調湿装置(10)に取り込まれる室外空気(OA)の湿度が低くなる場合、調湿制御部(41)は圧縮機(53)の周波数を高くして吸着剤の再生能力を増大させる。この場合、調湿装置(10)の調湿空気の温度が上昇するため、空調制御部(42)は、周波数の増大変化量Δfに基づいて蒸発温度Teを低下させる補正を行う。一方、調湿装置(10)に取り込まれる室外空気(OA)の湿度が高くなる場合、調湿制御部(41)は圧縮機(53)の周波数を低くして吸着剤の再生能力を減少させる。この場合、調湿装置(10)の調湿空気の温度が低下するため、空調制御部(42)は、周波数の減少変化量−Δfに基づいて蒸発温度Teを上昇させる補正を行う。
このように、冷房加湿運転においても、圧縮機(53)の周波数変化に応じて空調装置(20)の冷房能力を変更するため、室内温度が設定温度Tsに対して上下に振れてしまうことを抑制できる。
<暖房除湿運転>
暖房除湿運転では、調湿装置(10)が上述の加湿運転を行うと同時に空調装置(20)が上述の暖房運転を行う。
上述したように、空調装置(20)の暖房能力は、空調制御部(42)が室内熱交換器(62)の冷媒の凝縮温度Tcを調節することで行われる。一方、調湿装置(10)の除湿能力は、圧縮機(53)の周波数制御に伴う吸着剤の吸着能力の調節によって行われる。
調湿装置(10)に取り込まれる室外空気(OA)の湿度が高くなる場合、調湿制御部(41)は圧縮機(53)の周波数を高くして吸着剤の吸着能力を増大させる。この場合、調湿装置(10)の調湿空気の温度が低下するため、空調制御部(42)は、周波数の増大変化量Δfに基づいて凝縮温度Tcを上昇させる補正を行う。一方、調湿装置(10)に取り込まれる室外空気(OA)の湿度が低くなる場合、調湿制御部(41)は圧縮機(53)の周波数を低くして吸着剤の吸着能力を減少させる。この場合、調湿装置(10)の調湿空気の温度が上昇するため、空調制御部(42)は、周波数の減少変化量−Δfに基づいて凝縮温度Tcを低下させる補正を行う。
このように、暖房除湿運転においても、圧縮機(53)の周波数変化に応じて空調装置(20)の暖房能力を変更するため、室内温度が設定温度Tsに対して上下に振れてしまうことを抑制できる。
−実施形態の効果−
上記実施形態では、調湿装置(10)の調湿能力の変更に伴う調湿空気の温度変化を調湿装置(10)の圧縮機(53)の容量変化から判定し、調湿装置(10)の調湿能力の変化に伴う室内温度変化を予め予測して空調装置(20)の温調能力を変更するようにしている。このため、調湿装置(10)の調湿能力が変化して調湿空気の温度が変化したときでも、それに起因する室内温度の変動を抑制することができる。したがって、この空調システム(1)において、調湿装置(10)の調湿能力の変化時にも、室内温度を速やかに目標温度に収束させることができる。
また、上記実施形態によれば、一つの空調システム(1)において、冷房除湿運転、暖房加湿運転、冷房加湿運転、及び暖房除湿運転を切り換えて行うことができる。そして、これらの各運転について、空調制御部(42)は、調湿装置(10)の調湿能力の変化に併せて空調装置(20)の温調能力を変更するようにしている。このため、各運転について、室内の温度を速やかに目標温度に収束させることができる。したがって、この空調システム(1)によって、室内を速やかに快適な温湿度条件とすることができる。
<その他の実施形態>
上記実施形態では、調湿装置(10)が次のように構成されていてもよい。ここでは、調湿装置(10)の変形例について説明する。
−第1変形例−
図5に示すように、第1変形例の調湿装置(10)は、冷媒回路(100)と2つの吸着素子(111,112)とを備えている。冷媒回路(100)は、圧縮機(101)と凝縮器(102)と膨張弁(103)と蒸発器(104)が順に接続された閉回路である。冷媒回路(100)で冷媒を循環させると、蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。この冷媒回路(100)は、熱源手段を構成している。第1吸着素子(111)及び第2吸着素子(112)は、ゼオライト等の吸着剤を備えており、それぞれ吸着部材を構成している。また、各吸着素子(111,112)には多数の空気通路が形成されており、この空気通路を通過する際に空気が吸着剤と接触する。
この調湿装置(10)は、第1動作と第2動作を繰り返す。図5(A)に示すように、第1動作中の調湿装置(10)は、凝縮器(102)で加熱された空気を第1吸着素子(111)へ供給して吸着剤を再生する一方、第2吸着素子(112)に水分を奪われた空気を蒸発器(104)で冷却する。また、図5(B)に示すように、第2動作中の調湿装置(10)は、凝縮器(102)で加熱された空気を第2吸着素子(112)へ供給して吸着剤を再生する一方、第1吸着素子(111)に水分を奪われた空気を蒸発器(104)で冷却する。そして、この調湿装置(10)は、吸着素子(111,112)を通過する際に除湿された空気を室内へ供給する除湿運転と、吸着素子(111,112)を通過する際に加湿された空気を室内へ供給する加湿運転とを切り換えて行う。
この変形例1の調湿装置(10)の除湿運転や加湿運転と、上記実施形態の空調装置(20)の冷房運転や暖房運転とを組み合わせて行う場合にも、上記実施形態と同様にして、空調装置(20)の温調能力を変更することができる。具体的に、この変形例1の空調システム(1)の例えば冷房除湿運転時には、調湿装置(10)の圧縮機(101)の周波数が制御されることで、冷媒回路(100)の冷媒循環量も調節される。その結果、空気から蒸発器(101)への吸熱量も変更され、吸着素子(111)での水分の吸着量も調節される。このため、この調湿装置(10)の調湿能力が変更されとともに、調湿空気の温度も変化する。この際、調湿装置(10)の除湿能力の変化に伴う調湿空気の温度変化を圧縮機(101)の周波数変化に基づいて予測し、空調装置(20)の温調能力を変更することで、調湿装置(10)の調湿能力の変化時にも、室内温度を速やかに目標温度に収束させることができる。
−第2変形例−
図6に示すように、第2変形例の調湿装置(10)は、調湿ユニット(150)を備えている。この調湿ユニット(150)は、ペルチェ素子(153)と一対の吸着フィン(151,152)とを備えている。吸着フィン(151,152)は、いわゆるヒートシンクの表面にゼオライト等の吸着剤を担持させたものである。この吸着フィン(151,152)は、吸着部材を構成している。ペルチェ素子(153)は、その一方の面に第1吸着フィン(151)が、他方の面に第2吸着フィン(152)がそれぞれ接合されている。ペルチェ素子(153)に直流を流すと、2つの吸着フィン(151,152)の一方が吸熱側になって他方が放熱側になる。このペルチェ素子(153)は、熱源手段を構成している。
この調湿装置(10)は、第1動作と第2動作を繰り返す。第1動作中の調湿ユニット(150)は、放熱側となった第1吸着フィン(151)の吸着剤を再生して空気を加湿する一方、吸熱側となった第2吸着フィン(152)の吸着剤に水分を吸着させて空気を除湿する。また、第1動作中の調湿ユニット(150)は、放熱側となった第2吸着フィン(152)の吸着剤を再生して空気を加湿する一方、吸熱側となった第1吸着フィン(151)の吸着剤に水分を吸着させて空気を除湿する。そして、この調湿装置(10)は、調湿ユニット(150)を通過する際に除湿された空気を室内へ供給する除湿運転と、調湿ユニット(150)を通過する際に加湿された空気を室内へ供給する加湿運転とを切り換えて行う。
この変形例2の調湿装置(10)の除湿運転や加湿運転と、上記実施形態の空調装置(20)の冷房運転や暖房運転とを組み合わせて行う場合にも、上記実施形態と同様にして、空調装置(20)の温調能力を変更することができる。具体的に、この変形例2の空調システム(1)の例えば冷房除湿運転時には、調湿装置(10)のペルチェ素子(153)を流れる電流値が変更されることで、第1吸着フィン(151)の吸熱量が調節され、吸着剤の水分の吸着量も調節される。このため、この調湿装置(10)の調湿能力も変更されると同時に、調湿空気の温度も変化する。この場合にも、調湿装置(10)の除湿能力の変化に伴う調湿空気の温度変化を圧縮機(101)の周波数変化に基づいて予測し、空調装置(20)の温調能力を変更することで、調湿装置(10)の調湿能力の変化時にも、室内温度を速やかに目標温度に収束させることができる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。