JP2006329069A - エンジン及び冷却媒体処理装置 - Google Patents

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日出夫 小林
Katsuhiko Arisawa
克彦 蟻沢
Yoshio Yamashita
芳雄 山下
Kunihiko Hayashi
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Abstract

【課題】 潜熱蓄熱材の過熱を抑制することで、潜熱蓄熱材における潜熱の保持及び放出が良好に行われ得るエンジン及び冷却媒体処理装置を提供する。
【解決手段】 潜熱蓄熱材を収容する蓄熱材容器34は、シリンダブロック30に形成されたウォータージャケット33内に配置されている。シリンダブロック30の外側面における、蓄熱材容器34を収容しているウォータージャケット33に対応する位置には、複数の冷却フィン30cが側方に延びるように形成されている。この冷却フィン30cは、ラジエータ44を冷却するためのラジエータファン48の送風先に配置されている。冷却水温が著しく高温になり得るような運転状態にて駆動されるラジエータファン48からの送風によって、蓄熱材容器34の近傍のシリンダブロック30及び冷却水が冷却されることで、蓄熱材容器34内の潜熱蓄熱材の過熱が抑制される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、始動時にシリンダ付近の温度の上昇を促進させ得るように構成されたエンジンに関する。また、本発明は、エンジンを冷却するための冷却媒体を熱的に処理(加熱及び冷却)する冷却媒体処理装置に関する。
エンジンの冷間始動の際に、過冷却状態の潜熱蓄熱材から潜熱を取り出して、当該取り出された潜熱によりシリンダ付近を局部的に加熱し得る装置構成として、下記特許文献1〜5に記載のものが知られている。例えば、特許文献1に記載の装置においては、シリンダを囲むようにシリンダブロックに形成された蓄熱材収容室内に、酢酸ナトリウム3水和物(CH3COONa・3H2O)等からなる潜熱蓄熱材が充填されている。この潜熱蓄熱材は、エンジンの運転中にシリンダブロックからの伝熱により融点(58℃)以上に加熱されることでゲル状となった後に、エンジンの停止中にて融点以下に温度が低下しても、固相に相変化せずにゲル状のまま過冷却状態となることで潜熱を保持し得る物質である。また、蓄熱材収容室内には一対の電極が露出していて、冷間始動時に当該電極間に所定の電圧が印加され得るようになっている。
かかる構成を有する特許文献1に記載の装置によれば、冷間始動時にて上述の電極間に電圧が印加されることで、過冷却状態となっている潜熱蓄熱材に対して電気的な衝撃が与えられる。この電気的な衝撃により、潜熱蓄熱材の過冷却状態が解除されて相変化が開始され、潜熱蓄熱材に保持された潜熱が放出される。この放出された潜熱により、エンジンの暖機が促進される。
特開平11−182393号公報 特開昭63−105278号公報 特開平6−173679号公報 特開平8−5276号公報 特開昭63−105219号公報
しかしながら、上述の特許文献1等に記載の構成においては、エンジンの冷却水温が著しく高温になるような運転状態でエンジンが運転されている場合(例えば、登坂、高速運転時等の高負荷時や渋滞時等)に、潜熱蓄熱材が過熱状態(例えば100℃以上)となることで、潜熱蓄熱材が変質して上述のような潜熱の保持(蓄熱)・放出作用が失われることがあるという問題があった(例えば、特許文献2の第5ページ右上欄第10行〜同ページ左下欄第4行参照)。このような問題が発生する原因としては、過冷却状態を解除する(ゲル状態から固相を生じる)ために必要な、固相の核生成の基となるクラスターが、上述の過熱状態にて破壊されてしまうことが考えられる(例えば、特許文献3の段落[0059]、特許文献4の段落[0005]、特許文献5の第6ページ左上欄第18行〜同ページ右上欄第2行参照)。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、潜熱蓄熱材の過熱を抑制することで、潜熱蓄熱材における潜熱の保持及び放出が良好に行われ得るエンジン及び冷却媒体処理装置を提供することにある。
(1)本発明の対象となるエンジンは、潜熱蓄熱材と、エンジン本体と、発核装置と、を備えている。潜熱蓄熱材は、過冷却状態にて潜熱を保持し得るとともに当該過冷却状態が解除されることで前記潜熱を放出し得る材料である。エンジン本体は、前記シリンダを囲むように配置されていて前記潜熱蓄熱材を収容し得るように構成された蓄熱材収容部を備えている。発核装置は、前記蓄熱材収容部に収容された前記潜熱蓄熱材の過冷却状態を解除し得るように構成されている。
また、本発明の対象となる冷却媒体処理装置は、前記潜熱蓄熱材と、前記蓄熱材収容部を備えた前記エンジン本体と、前記発核装置と、を備えている。
そして、上述の目的を達成するため、本発明の特徴は、前記エンジン本体には、前記シリンダと対応する位置にて外部に露出するように冷却フィンが形成されていて、前記蓄熱材収容部が、前記冷却フィンと前記シリンダとの間に配置されたことにある。
かかる構成においては、暖機運転終了後に、前記エンジン本体の温度が上昇して前記蓄熱材容器内の前記潜熱蓄熱材が融点よりも高温になった場合に、当該潜熱蓄熱材が融解する。ここで、上述のような、エンジンの冷却媒体の温度が著しく高温になり得る厳しい運転状態でエンジンが運転されている場合であっても、前記冷却フィンによって、前記蓄熱材収容部の近傍から熱が外部に放散される。これにより、当該蓄熱材収容部に収容された前記潜熱蓄熱材が過熱されることが抑制され、当該潜熱蓄熱材に潜熱が有効に保持され得る。
(1−2)上述の冷却媒体処理装置の構成において、ラジエータと、ラジエータファンと、をさらに備え、前記冷却フィンが前記ラジエータファンと対向するように当該ラジエータファンの送風先に配置されていてもよい。ここで、前記ラジエータは、内部を空気が通過することにより当該空気と前記冷却媒体との間で熱交換が生じるように構成されている。また、ラジエータファンは、前記ラジエータと前記エンジン本体との間に配置されていて、回転駆動されることによって生じた負圧により前記ラジエータを通過する前記空気の流れを発生させ得るように構成されている。
かかる構成においては、エンジンの冷却媒体の温度が著しく高温になり得るような運転状態にて、前記ラジエータファンが回転駆動される。このラジエータファンは、前記ラジエータと前記エンジン本体との間に配置されている。このラジエータファンが回転駆動されると、当該ラジエータファンから前記エンジン本体に向けて送風がなされるとともに、当該ラジエータファンの前面(前記ラジエータと対向する面)にて負圧が生じ、この負圧によって前記ラジエータに対して吸引送風がなされる。
かかる構成によれば、上述のような厳しい運転状態でエンジンが運転されている場合であっても、前記ラジエータファンから前記エンジン本体に向けての送風によって前記冷却フィンが冷却され、当該冷却フィンによって前記蓄熱材収容部の近傍から熱が外部に効果的に放散される。これにより、当該蓄熱材収容部に収容された前記潜熱蓄熱材の過熱がより効果的に抑制され得る。
(1−3)上述の構成(1−2)の冷却媒体処理装置において、前記エンジン本体がシリンダブロックを備えていて、前記蓄熱材収容部が前記シリンダブロック内に配置され、前記冷却フィンが前記シリンダブロックの外側表面であって前記蓄熱材収容部に対応する位置に形成されていてもよい。
かかる構成によれば、前記蓄熱材収容部が前記シリンダブロック内に配置されているので、当該シリンダブロックの外側表面と前記ラジエータ及び前記ラジエータファンとの間に前記蓄熱材収容部を配置するためのスペースを設ける必要がなくなり、当該冷却媒体処理装置を内蔵する装置の省スペース化(例えば自動車のエンジンルームの省スペース化)が図られ得る。また、前記シリンダブロックの外側表面に前記冷却フィンが形成されているので、前記ラジエータファンからの送風によって当該冷却フィンが効果的に冷却され、以て前記潜熱蓄熱材の過熱がより効果的に抑制され得る。
(1−4)上述の構成(1−3)の冷却媒体処理装置において、前記シリンダブロックには、前記シリンダを囲むように設けられた空間であって当該シリンダブロックを冷却するための冷却媒体の通路を構成するウォータージャケットが形成されていて、前記蓄熱材収容部が前記ウォータージャケット内に配置された蓄熱材容器から構成されていてもよい。
かかる構成によれば、前記蓄熱材容器を前記ウォータージャケット内に収容するという非常に簡略な構成で、良好に潜熱の保持(蓄熱)及び放出が実現され得る。
(1−5)上述の構成(1−4)の冷却媒体処理装置において、前記ウォータージャケットの内壁面と前記蓄熱材容器の外壁面との間に、前記冷却媒体が通過可能な間隙が形成されるように、前記蓄熱材容器が構成されていてもよい。より好適には、当該間隙は、前記蓄熱材容器の側面の外側、頂面の上側、及び底面の外側に形成される。
かかる構成においては、冷間始動の際に前記潜熱蓄熱材から潜熱が放出されると、この熱は前記蓄熱材容器と前記ウォータージャケットとの間隙に充填された前記冷却媒体に伝達され、この冷却媒体に伝達された熱によって前記シリンダブロックが加熱される。また、暖機運転終了後は、前記ウォータージャケットの内壁面と前記蓄熱材容器の外壁面との間隙を前記冷却媒体が通過することで、前記ウォータージャケット内の前記冷却媒体によって、前記シリンダブロックの冷却、及び前記潜熱蓄熱材の過熱防止が行われる。
かかる構成によれば、上述のような厳しい運転状態でエンジンが運転されている場合に、エンジンのサイクル運動によって発生する熱が、シリンダブロックを介して直接的に潜熱蓄熱材に伝達されるのではなく、ウォータージャケット内の冷却媒体を介して間接的に潜熱蓄熱材に伝達される。よって、潜熱蓄熱材の過熱がより効果的に抑制され得る。
(1−6)上述の構成(1−5)の冷却媒体処理装置において、前記シリンダブロックの上端部にて当該シリンダブロックと接続されたシリンダヘッドをさらに備え、そのシリンダヘッドにはシリンダヘッドウォータージャケットが形成されていて、前記シリンダブロックにおける前記ウォータージャケットの底部から当該ウォータージャケット内に前記冷却媒体を供給するための冷却媒体供給口が当該シリンダブロックに形成されていてもよい。
かかる構成によれば、前記冷却媒体供給口から前記ウォータージャケットの底部に供給された前記冷却媒体が、前記ウォータージャケットの内壁面と前記蓄熱材容器の外壁面との間隙を通過して、前記シリンダヘッドウォータージャケットに抜ける。よって、前記ウォータージャケット内における、前記シリンダの高さ方向の全体にわたって、前記冷却媒体が循環し得る。したがって、暖機運転終了後の前記シリンダブロックの冷却、及び前記潜熱蓄熱材の過熱防止が、前記シリンダの高さ方向について可及的に偏りなく良好に行われ得る。
(2)本発明の対象となるエンジンは、過冷却状態にて潜熱を保持し得るとともに当該過冷却状態が解除されることで前記潜熱を放出し得る潜熱蓄熱材と、シリンダを囲むように配置されていて前記潜熱蓄熱材を収容し得るように構成された蓄熱材収容部を備えたシリンダブロックと、前記蓄熱材収容部に収容された前記潜熱蓄熱材の過冷却状態を解除するための発核装置と、を備えている。
そして、上述の目的を達成するため、本発明の特徴は、前記シリンダブロックが、当該シリンダブロックの外側表面であって前記蓄熱材収容部に対応する位置に形成された冷却フィンを備えたことにある。
かかる構成によれば、暖機運転終了後に、前記シリンダブロックの温度が上昇して前記蓄熱材容器内の前記潜熱蓄熱材が融点よりも高温になった場合に、当該潜熱蓄熱材が融解する。ここで、上述のような、エンジンの冷却媒体の温度が著しく高温になり得る厳しい運転状態でエンジンが運転されている場合であっても、前記冷却フィンによって、前記シリンダブロックにおける前記蓄熱材収容部の近傍の部分から熱が外部に放散される。これにより、当該蓄熱材収容部に収容された前記潜熱蓄熱材が過熱されることが抑制され、当該潜熱蓄熱材に潜熱が有効に保持され得る。
(2−2)上述の構成(2)において、前記シリンダブロックには、前記シリンダを囲むように設けられた空間であって当該シリンダブロックを冷却するための冷却媒体の通路を構成するウォータージャケットが形成されていて、前記蓄熱材収容部は、前記ウォータージャケット内に配置された蓄熱材容器から構成されていてもよい。
(2−3)上述の構成(2−2)において、前記ウォータージャケットの内壁面と前記蓄熱材容器の外壁面との間に、前記冷却媒体が通過可能な間隙が形成されるように、前記蓄熱材容器が構成されていてもよい。
(2−4)上述の構成(2−3)において、前記シリンダブロックの上端部にて当該シリンダブロックと接続されたシリンダヘッドをさらに備え、そのシリンダヘッドには、前記ウォータージャケットの上端部から前記冷却媒体が流入し得るように当該ウォータージャケットの前記上端部と接続されたシリンダヘッドウォータージャケットが形成されていて、前記シリンダブロックには、前記ウォータージャケットの底部から当該ウォータージャケット内に前記冷却媒体を供給し得るように形成された冷却媒体供給口が形成されていてもよい。
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について図面を参照しつつ説明する。
<エンジン及び冷却装置の概略構成>
図1は、本発明の一実施形態である、自動車に横置きに搭載される多気筒のエンジン10、及び当該エンジン10を冷却するための冷却装置40の概略構成を示す図である。ここで、図1における左方向は、当該エンジン10等を搭載する自動車の前方に対応するものとする。
図1を参照すると、本実施形態のエンジン10は、シリンダヘッド20と、シリンダブロック30とから構成されている。シリンダヘッド20の下端面とシリンダブロック30の上端面とは、シリンダヘッドガスケット21を介して接合されている。
本実施形態の、冷却水を熱的に処理する(取り扱う)冷却媒体処理装置は、上述のエンジン10と、冷却装置40とから構成されている。この冷却装置40は、ウォーターポンプ41と、冷却水送出路42と、分岐管43a及び43bと、ラジエータ44と、ラジエータ流入管45aと、ラジエータ流出管45bと、ラジエータバイパス管46と、サーモスタット弁装置47と、ラジエータファン48と、から構成されている。
ウォーターポンプ41は、図示しないクランクシャフトと、図示しないプーリー及びVベルトにより連結されていて、エンジン10の回転数に応じた流量でシリンダブロック30に向けて前記冷却水を送出し得るように構成されている。このウォーターポンプ41の送出側は、冷却水送出路42、及び当該冷却水送出路42から分岐した分岐管43a及び43bを介して、シリンダブロック30と接続されている。シリンダブロック30とシリンダヘッド20とは、シリンダヘッドガスケット21に形成された貫通孔21aを介して冷却水が交流可能に構成されている。
<<ラジエータの構成>>
図1に示されているように、エンジン10の前方(図中左方)には、ラジエータ44が配置されている。このラジエータ44は、上下に離間して配置された上部ヘッダタンク44a及び下部ヘッダタンク44bと、これらの上部ヘッダタンク44a及び下部ヘッダタンク44bの間に配置されたラジエータコア44cとを備えている。上部ヘッダタンク44aには、当該上部ヘッダタンク44a内に冷却水を導入するための導入口44a1が形成されている。この導入口44a1とシリンダヘッド20とは、ラジエータ流入管45aによって接続されている。また、下部ヘッダタンク44bには、当該下部ヘッダタンク44b内から冷却水を排出するための導出口44b1が形成されている。この導出口44b1とウォーターポンプ41の吸入側とは、ラジエータ流出管45bによって接続されている。上部ヘッダタンク44aとラジエータコア44cとは、コアプレート44dを介して接続されている。同様に、下部ヘッダタンク44bとラジエータコア44cとは、コアプレート44dを介して接続されている。
図2は、ラジエータ44の正面図である。この図2を参照すると、ラジエータコア44cは、複数のチューブ44e及び冷却フィン44fから構成されている。チューブ44eは、上部ヘッダタンク44aと下部ヘッダタンク44bとを連通させるように配置された扁平状の金属管であり、ラジエータ44の幅方向(図中左右方向)に沿って梯子状に複数配置されている。冷却フィン44fは、隣り合うチューブ44eの間を架け渡すように配置された波形の金属板である。このラジエータコア44cの内部(チューブ44e及び冷却フィン44fで囲まれた開口部)を空気が通過することにより、当該空気とチューブ44e内を下方に(上部ヘッダタンク44aから下部ヘッダタンク44bに向けて)流れ落ちる冷却水との間で熱交換が生じるように、ラジエータ44が構成されている。
<<運転状態に応じた冷却水の循環経路の切り換えのための構成>>
再び図1を参照すると、ラジエータ44とシリンダヘッド20とを接続するラジエータ流入管45aと、ラジエータ44とウォーターポンプ41の吸入側とを接続するラジエータ流出管45bとの間を接続するように、ラジエータ44をバイパスする冷却水流路であるラジエータバイパス管46が形成されている。このラジエータバイパス管46とラジエータ流出管45bとの接続部には、サーモスタット弁装置47が設けられている。このサーモスタット弁装置47は、冷却水温に応じて、ラジエータバイパス管46との接続部よりも下流側(ウォーターポンプ側)のラジエータ流出管45bと、ラジエータバイパス管46との接続部よりも上流側(ラジエータ側)のラジエータ流出管45b及びラジエータバイパス管46との連通状態を変えることで、循環中の冷却水がラジエータ44を通過するか否かを切り換えるように構成されている。
すなわち、サーモスタット弁装置47は、冷却水温が所定の開弁温度(例えば82℃程度)よりも低い場合(例えば暖機運転中)に、ラジエータ側のラジエータ流出管45bとウォーターポンプ側のラジエータ流出管45b及びラジエータバイパス管46との連通を遮断する一方、ウォーターポンプ側のラジエータ流出管45bとラジエータバイパス管46とを連通させることで、冷却水がラジエータ44をバイパスするように構成されている。また、サーモスタット弁装置47は、冷却水温が前記開弁温度以上である場合(例えば暖機運転終了後)に、ラジエータ側のラジエータ流出管45bとウォーターポンプ側のラジエータ流出管45bとを連通させる一方、ラジエータ流出管45bとラジエータバイパス管46との連通を遮断するように構成されている。
<<ラジエータファンの構成>>
ラジエータ44とエンジン10との間(すなわちラジエータ44の背面)には、ラジエータファン48が配置されている。このラジエータファン48は、電動モータ48aと、その電動モータ48aをラジエータ44のコアプレート44dに固定することで当該電動モータ48aを支持するための支持部48bと、前記電動モータ48aの回転軸48a1に固定された回転羽根(vane)48cとから構成されている。電動モータ48aは、図示しない中央制御装置(ECU)によって、冷却水温が所定の高温(例えば95℃)に達した場合、及び冷却水温が著しく高温になり得るような運転状態である場合(例えばエアコン作動中や、車速が所定速度よりも低速である場合)に回転駆動されるようになっている。そして、回転羽根48cが電動モータ48aによって回転されることで、当該回転羽根48cの背面(エンジン10と対向する面)側からエンジン10に向けて後方に送風がなされるとともに、当該回転羽根48cの前面(ラジエータ44と対向する面)側にて生じた負圧によって当該ラジエータ44(上述のラジエータコア44cの内部)に対して吸引送風がなされるように、当該ラジエータファン48が構成されている。
<シリンダヘッド・シリンダブロックの構成の詳細>
シリンダヘッド20には、冷却水の流路であるウォータージャケット20aが形成されている。このウォータージャケット20aは、燃料混合気の通路である吸気ポート20b、及び当該吸気ポート20bを開閉可能に配置された吸気弁22の近傍位置に形成されている。また、ウォータージャケット20aは、燃焼後のガスを排出する通路である排気ポート20c、及び当該排気ポート20cを開閉可能に配置された排気弁23の近傍位置にも形成されている。
シリンダブロック30には、貫通孔であるブロックボア30aが形成されている。このブロックボア30a内には、薄肉円筒形状のシリンダライナ31が挿入されている。このシリンダライナ31の内側の空間によって、ピストン32を往復運動可能に収容するシリンダ30bが形成されている。また、当該シリンダライナ31の内側の円筒面によって、シリンダボア内壁30b1が形成されている。
ブロックボア30aの上部は、ブロックボア30aの下部よりも大径に形成されている。この小径に形成されたブロックボア30aの下部には、シリンダライナ31が嵌め合わされている。そして、大径に形成されたブロックボア30aの上部の内壁面とシリンダライナ31の外壁面との間の空間によって、シリンダブロック30のウォータージャケット33が、シリンダ30bのほぼ上半分を囲むように形成されている。このシリンダブロック30のウォータージャケット33は、シリンダヘッドガスケット21の貫通孔21aを介して、シリンダヘッド20のウォータージャケット20aと連通するように設けられている。
シリンダブロック30のウォータージャケット33の底部に冷却水を供給するための底部接続口30dと、当該ウォータージャケット33の上部に冷却水を供給するための上部接続口30eとが、シリンダブロック30の側面から側方に突出するように形成されている。底部接続口30dには、分岐管43aの端部が接続されている。上部接続口30eには、分岐管43bの端部が接続されている。
シリンダヘッド20のウォータージャケット20aから冷却水をエンジン10の外部に排出するための冷却水排出口30fが、シリンダヘッド20の側面から側方に突出するように形成されている。この冷却水排出口30fには、ラジエータ流入管45aの端部が接続されている。
<<蓄熱材収容部の付近の構成>>
シリンダブロック30のウォータージャケット33内には、蓄熱材収容部としての蓄熱材容器34が収納されている。この蓄熱材容器34は、内部に潜熱蓄熱材を液密的に収容する部材である。ウォータージャケット33の内壁面と蓄熱材容器34の外壁面との間に、冷却水が通過可能な間隙が形成されるように、当該蓄熱材容器34がウォータージャケット33内に配置されている。そして、ラジエータファン48の送風先(後方、すなわち図中右方)に、蓄熱材容器34を収容したシリンダブロック30のウォータージャケット33が位置するように、エンジン10及びラジエータファン48の位置関係が設定されている。また、シリンダブロック30の側面(前面)からラジエータファン48に向けて側方(前方)に延びるように、冷却フィン30cが、当該ラジエータファン48と対向する位置に形成されている。
<<蓄熱材容器及び発核装置の構成>>
図3は、図1に示した蓄熱材容器34の具体的な構成の一例(実施例)を説明するための斜視図である。
蓄熱材容器34は、アルミニウム製の棒状部材からなる骨格34aと、その骨格34aによって支持されたバッグ34bと、そのバッグ34bの上方及び下方の端から延びるように設けられた上下スペーサー34cと、バッグ34bの外側面から外側に延びるように設けられた側方スペーサー34dとから構成されている。また、蓄熱材容器34の側面と対向するように、発核装置35が配置されている。
骨格34aは、第1骨格34a1と、第2骨格34a2と、第3骨格34a3とから構成されている。第1骨格34a1は、平面視にて略瓢箪形状(同一径の複数の円を互いに連結させつつ所定方向に配列した形状)に形成されている。第2骨格34a2は、第1骨格34a1の内側に配置されていて、当該第1骨格34a1と同様の形状に形成されている。すなわち、一対の第1骨格34a1及び第2骨格34a2は同一平面内に配置されていて、両者の間隔が略等しくなるように当該第1骨格34a1及び第2骨格34a2が形成されている。第3骨格34a3は、真っ直ぐな棒状に形成されている。そして、複数対の第1骨格34a1及び第2骨格34a2が上下方向に配列され、すべての第1骨格34a1が上下方向に複数の第3骨格34a3で接続され、すべての第2骨格34a2が上下方向に複数の第3骨格34a3で接続されることにより、骨格34aが形成されている。
バッグ34b内には、潜熱蓄熱材が収容されている。本実施例における潜熱蓄熱材は、酢酸ナトリウム3水和物(CH3COONa・3H2O:融点58℃)からなる。この潜熱蓄熱材は、暖機運転終了時点の冷却水温(すなわち上述の開弁温度:例えば82℃程度)よりも低い融点を有する素材である。また、当該潜熱蓄熱材は、当該融点を超える温度に加熱されることで液相(ゲル相)となった後、融点以下の温度(マイナス20℃〜マイナス30℃程度まで)に冷却されても固相に相変化を起こさず潜熱を保持したまま液相(ゲル相)の状態を保つ特性(すなわち過冷却性)を有し、融点以下の温度にて外部からの刺激により過冷却状態が解除されることで潜熱を放出し得る素材である。
バッグ34bは、潜熱蓄熱材に対する親和性(濡れ性)が悪いフッ素系の合成樹脂から構成されている。このバッグ34bの、発核装置35と対向する部分(後述する図4に示されている厚肉部34b1)の厚さは、充分な剛性を有する2mm程度に形成されている。一方、バッグ34bの、上述の部分以外の部分は、可撓性を示す30〜40μm程度に形成されている。かかる構成のバッグ34bは、骨格34aにおける第1骨格34a1と、第2骨格34a2と、第3骨格34a3とによって囲まれた空間内にて、当該骨格34aによって溶着等により支持されている。上下スペーサー34cは、バッグ34bの上端面及び下端面に溶着されている。側方スペーサー34dは、バッグ34bの側面に溶着されている。これらの上下スペーサー34c及び側方スペーサー34dによって、図1に示されているように、蓄熱材容器34の外壁面(外側面及び底面)とウォータージャケット33の内壁面(内側面及び底面)との間に冷却水が通過可能な間隙が形成されるようになっている。
図4は、図3に示した発核装置35の具体的な構成の一例(実施例)を説明するための断面図である。本実施例における発核装置35は、一対の銀電極である正極35p及び負極35mから構成されている。これらの正極35p及び負極35mは、図示しない電源に接続されていて、その先端部がバッグ34bのうちの厚肉部34b1を貫通して潜熱蓄熱材M中に浸漬されるように配置されている。
<実施形態のエンジンの動作>
まず、上述の構成を有する本実施形態のエンジン10における、冷却水の循環の様子について、図1を参照しつつ説明する。
エンジン10の運転による熱力学的サイクル運動に基づいて、ピストン32がシリンダ30b内で上下に往復運動し、このピストン32の上下運動が図示しないクランクシャフトの回転運動に変換され、このクランクシャフトの回転運動が図示しないプーリー及びVベルトによって伝達されることにより、ウォーターポンプ41が駆動される。これにより、エンジン10の回転数に応じた(単位時間当たりの)流量で、ウォーターポンプ41から冷却水送出路42、及び分岐管43a・43bを介してシリンダブロック30のウォータージャケット33に向けて冷却水が送出される。このウォーターポンプ41における送出圧により、シリンダブロック30のウォータージャケット33内の冷却水は、シリンダヘッドガスケット21の貫通孔21aを介してシリンダヘッド20のウォータージャケット20aに流入する。シリンダヘッド20を経た冷却水は、冷却水排出口30fを介してエンジン10内から排出され、ラジエータ流入管45aに流入する。
ここで、冷却水温が前記開弁温度よりも低い場合(例えば暖機運転中)においては、上述したように、サーモスタット弁装置47によって、ラジエータ側のラジエータ流出管45bと、ウォーターポンプ側のラジエータ流出管45b及びラジエータバイパス管46との連通が遮断される。一方、当該サーモスタット弁装置47によって、ウォーターポンプ側のラジエータ流出管45bとラジエータバイパス管46とが連通される。これにより、シリンダヘッド20の冷却水排出口30fから排出された冷却水は、ラジエータ44をバイパスし、ラジエータバイパス管46を介してウォーターポンプ41の吸入側へ還流する。
すなわち、暖機運転中は、冷却水がラジエータ44によって冷却されず、エンジン10で発生して冷却水に吸収された熱が有効にエンジン10自身の暖機に用いられる。また、ラジエータ44、ラジエータ流入管45a、及びラジエータ流出管45bの内側に存在する冷却水は、冷却装置40内を循環しないので、暖機運転中にてエンジン10と共に昇温すべき冷却水量が少量となり、エンジン10の昇温が早められ、以て暖機が促進される。
一方、冷却水温が前記開弁温度以上である場合(例えば暖機運転終了後)においては、サーモスタット弁装置47によって、ラジエータ側のラジエータ流出管45bとウォーターポンプ側のラジエータ流出管45bとが連通される一方、ラジエータ流出管45bとラジエータバイパス管46との連通が遮断される。これにより、シリンダヘッド20の冷却水排出口30fから排出された冷却水は、ラジエータバイパス管46側に流入することなく、ラジエータ流入管45aを介してラジエータ44に流入し、ラジエータ44にて冷却された後、ラジエータ流出管45bを介してウォーターポンプ41の吸入側へ還流する。
<<潜熱の保持・放出動作>>
暖機運転終了後であって、冷却水が前記開弁温度(82℃程度)よりも高温の状態においては、蓄熱材容器34内に収容されている潜熱蓄熱材(酢酸ナトリウム3水和物:融点58℃)の全量が、ウォータージャケット33内の冷却水によって融点を超える温度に加熱されることでゲル相となる。その後、エンジンが停止されて、シリンダブロック30及びウォータージャケット33内の冷却水が外気温程度にまで低下しても、蓄熱材容器34内の潜熱蓄熱材は、固相に相変化せずゲル相のまま過冷却状態となって潜熱を保持している。
そして、エンジンが再始動される際、図3及び図4に示されている発核装置35によって、蓄熱材容器34内の潜熱蓄熱材の一部に電気的な衝撃が与えられることで、過冷却状態の潜熱蓄熱材Mから潜熱が取り出される(発核動作)。具体的には、本実施例においては、図示しない電源を介して正極35pと負極35mとの間に所定の電圧が印加されることで、電気化学反応により潜熱蓄熱材M内に固相の核が発生する。そして、この固相の核が周囲の過冷却状態のゲル相と接触することで、ゲル相の過冷却状態が順次解除されつつ潜熱が放出される。
再び図1を参照すると、上述のように蓄熱材容器34内の過冷却状態の潜熱蓄熱材から取り出された潜熱は、蓄熱材容器34の周囲のウォータージャケット33内の冷却水に伝達され、当該冷却水からシリンダブロック30の上部に伝達される。これにより、冷間始動時における暖機運転の進行が促進され得る。また、当該潜熱を受け取った冷却水がシリンダヘッド20のウォータージャケット20aに流入することで、シリンダヘッド20の吸気ポート20b及び吸気弁22の近傍位置が加熱される。これにより、冷間始動時において吸気ポート20bの内壁や吸気弁22の表面に気化燃料が凝縮して付着することが可及的に抑制され、以て混合気の空燃比変動が可及的に抑制され得る。
<<実施形態の構成による作用・効果>>
以下、本実施形態の構成による作用・効果を、図面を参照しつつ説明する。
図1を参照すると、本実施形態の構成においては、上述のような、冷却水温が著しく高温になり得るような運転状態にて、シリンダブロック30の外側面(前面)であって蓄熱材容器34を収容しているウォータージャケット33に対応した位置に形成された冷却フィン30cから熱が放散される。また、当該運転状態にて、ラジエータファン48が回転駆動されることで、ラジエータ44が当該ラジエータファン48によって吸引送風されて、ラジエータコア44cの内部を多量の空気が通過し、冷却水がラジエータ44によって良好に冷却される。また、当該ラジエータファン48の回転によって、上述の冷却フィン30cに送風がなされ、冷却フィン30cにおける熱の放散が促進される。よって、蓄熱材容器34内の潜熱蓄熱材が効果的に冷却され、当該潜熱蓄熱材が過熱される(例えば100℃以上に加熱される)ことが抑制され得る。
また、本実施形態の構成によれば、蓄熱材容器34をシリンダブロック30のウォータージャケット33内に単に収容するという非常に簡略な構成で、良好に潜熱の保持(蓄熱)及び放出が実現され得る。
また、本実施形態の構成によれば、蓄熱材容器34に設けられた上下スペーサー34c及び側方スペーサー34d(図3参照)によって、図1に示されているように、蓄熱材容器34の外壁面(外側面及び底面)とウォータージャケット33の内壁面(内側面及び底面)との間に冷却水が介在する。これにより、冷間始動の際に潜熱蓄熱材から潜熱が放出されると、この熱は蓄熱材容器34とウォータージャケット33との間隙に充填された冷却水に伝達される。この冷却水に伝達された熱により、シリンダ30bの高さ方向について可及的に偏りなくシリンダブロック30が加熱され、暖機運転が一層効果的に促進され得る。また、暖機運転終了後は、ウォータージャケット33内における、シリンダ30bの高さ方向の全体にわたって冷却水が循環するので、暖機運転終了後の冷却水によるシリンダブロック30の冷却が良好に行われ得る。さらに、暖機運転終了後であって、上述のような、冷却水温が著しく高温になり得るような運転状態にて、高温となったシリンダブロック30と潜熱蓄熱材とが直接接触することが防止されている。よって、当該潜熱蓄熱材が過熱されることがよりいっそう効果的に抑制され得る。
また、本実施形態の構成によれば、底部接続口30dからシリンダブロック30のウォータージャケット33における底部に供給された冷却水が、当該ウォータージャケット33の内壁面と蓄熱材容器34の外壁面との間隙を通過して、シリンダヘッド20のウォータージャケット20aに抜ける。よって、シリンダブロック30のウォータージャケット33内における、シリンダ30bの高さ方向の全体にわたって冷却水が淀みなく循環し得る。したがって、暖機運転終了後のシリンダブロック30の冷却、潜熱蓄熱材の過熱防止が、シリンダ30bの高さ方向について可及的に偏りなく良好に行われ得る。
<発核装置の変形例の構成>
以下、図3に示した発核装置35の変形例について、図5を用いて説明する。なお、上述の実施形態及び実施例と同一の構成要素については、上述の実施形態における符号と同一の符号を付し、上述の実施形態及び実施例における説明を援用する。
図5(a)は、当該変形例の発核装置35の周辺を拡大した断面図である。発核装置35は、シリンダブロック30の側面上に支持されている。この発核装置35は、蓄熱材容器34内に収容された潜熱蓄熱材に対して機械的な衝撃を与えることによって、潜熱蓄熱材の過冷却状態を解除して当該潜熱蓄熱材から潜熱を取り出し得るように、以下の通りに構成されている。
バッグ34bのうちの、発核装置35と対向する部分である厚肉部34b1(剛体部)には、円形の断面を有する貫通孔34b2が形成されている。この貫通孔34b2における、バッグ34bの内側に向けて開口する内縁部は、側断面視にて略直角に形成されている。そして、貫通孔34b2に対向するように、バッグ34b内に金属製の可動部材35aが収容されている。この可動部材35aは、好ましくは、バネ鋼から構成されている。
この可動部材35aから上述の貫通孔34b2を貫通してバッグ34bの外部に向かって延びるように、接続バー35bが設けられている。この接続バー35bは、シリンダブロック30に形成された貫通孔30tを介してシリンダブロック30の外部に露出するように配置されている。シリンダブロック30における貫通孔30tの近傍と、バッグ34bの厚肉部34b1との間には、合成ゴム製のシール部材34b3が配置されている。このシール部材34b3の略中央部には貫通孔が形成されていて、当該貫通孔と接続バー35bの外側面とが互いに液密的に密着しつつ摺動するように、当該シール部材34b3が構成されている。すなわち、当該シール部材34b3は、接続バー35bの近傍にて潜熱蓄熱材Mがバッグ34bの外部に漏出したり冷却水がバッグ34bの内部に侵入したりすることを抑制し得るように構成されている。
上述の接続バー35bにおける、可動部材35aと接続された端部とは反対側の端部(図中左側の端部)には、金属棒からなるリンク部材35cが連結されている。接続バー35bとリンク部材35cとの連結部35dには、ピン35d1が配置されていて、当該ピン35d1によって接続バー35bとリンク部材35cとが相対的に回転し得るようになっている。接続バー35bの近傍位置には、金属製の支持部35eが配置されている。支持部35eは、シリンダブロック30の外側面上にて固定されている。この支持部35eにより、リンク部材35cは、当該支持部35eの端部である支点35fにて回転可能に支持されている。この接続バー35bを囲むように、コイルスプリング35gが配置されている。このコイルスプリング35gは、その一端がシリンダブロック30の側面と接触していて、その他端がリンク部材35cにおける連結部35dと支点35fとの間の部分を図中左側に付勢するように構成されている。
すなわち、リンク部材35cにおける連結部35dと支点35fとの間の部分がコイルスプリング35gの弾性力によって図中左側に付勢されることで、接続バー35bを介して可動部材35aが図中左側に付勢され、これにより当該可動部材35aが微少量の潜熱蓄熱材Mを挟んで厚肉部34b1により押圧される第1の位置に設定されるように、発核装置35が構成されている。また、発核装置35の非作動時(エンジン停止中や始動後)における可動部材35aの位置(初期状態)が、図5(a)に示されている第1の位置となるように、当該発核装置35が構成されている。さらに、リンク部材35cにおける支点35fよりも図中上方の部分を図中左側に動かして、支点35fを中心としてリンク部材35cを図中反時計回りに回転させることで、接続バー35bを介して可動部材35aが図中右側に移動して、当該可動部材35aが厚肉部34b1から離隔した第2の位置に設定されるように、発核装置35が構成されている。なお、リンク部材35cの、連結部35dと反対側(図中上方)の図示しない端部は、図示しないソレノイドと接続されていて、当該ソレノイドが通電された場合にリンク部材35cの前記上端部が図中左方に移動し得るようになっている。
図5(b)は、図5(a)における可動部材35aの周辺を拡大した断面図である。厚肉部34b1の貫通孔34b2は、可動部材35aの移動方向(図中左右方向)と垂直な面上の円形の断面形状を有するように形成されている。また、可動部材35aの、厚肉部34b1と対向する表面35a1は、上述の可動部材35aの移動方向と平行な中心軸線を有する円錐面状に形成されている。そして、図5(b)に示されているように、可動部材35aが厚肉部34b1に向けて押圧された第1の位置にて、可動部材35aにおける円錐面状の表面35a1が、微少量の潜熱蓄熱材Mを挟んで、厚肉部34b1の貫通孔34b2の内縁部とほぼ線接触するようになっている。
<発核装置の変形例の動作>
かかる構成によれば、エンジンが再始動される際、発核装置35によって、蓄熱材容器34内の潜熱蓄熱材の一部に機械的な衝撃が与えられることで、過冷却状態の潜熱蓄熱材Mから潜熱が取り出される(発核動作)。
具体的には、まず、図示しないエンジンスターターの作動に連動して、上述の図示しないソレノイドに対する通電が行われる。すると、リンク部材35cの、連結部35dと反対側(図5(a)における上方)の図示しない端部が、当該ソレノイドによって図中左方向に付勢される。これにより、可動部材35aが、図5(a)に示されている第1の位置から、厚肉部34b1から離隔した第2の位置へ図中右方向に移動する。その後直ちに上述のソレノイドに対する通電が解除されることで、コイルスプリング35gの弾性力によって可動部材35aが上述の第2の位置から第1の位置へ移動する。これにより、図5(b)に示されているように、可動部材35aにおける円錐面状の表面35a1と厚肉部34b1の貫通孔34b2の内縁部とが衝突する。この表面35a1と貫通孔34b2の内縁部との衝突により、微少量の潜熱蓄熱材Mが、表面35a1と貫通孔34b2の内縁部との間で挟み込まれて強い機械的衝撃を受ける。かかる機械的衝撃により、当該微少量の潜熱蓄熱材Mにおける過冷却状態が解除され、微少量の固相の核が生じる。この微少量の固相の核がその周囲の過冷却状態の潜熱蓄熱材Mと接触することで、当該核の周囲の潜熱蓄熱材Mの過冷却状態が解除されて固相が生じる。このようにして、蓄熱材容器34内の潜熱蓄熱材Mの過冷却状態が順次解除される。
かかる構成においては、図5(b)に示されているように、可動部材35aの、厚肉部34b1と対向する表面35a1が、円錐面状に形成されている。また、当該表面35a1と対向する厚肉部34b1の貫通孔34b2における、バッグ34bの内側に向けて開口する内縁部は、側断面視にて略直角に形成されている。よって、上述の発核動作が行われる際、可動部材35aにおける円錐面状の表面35a1が、微少量の潜熱蓄熱材Mを挟んで、厚肉部34b1の貫通孔34b2の内縁部とほぼ線接触する。この線接触部分の接触面積は非常に小さいため、当該部分には高い圧力が作用する。そして、この線接触部分にて挟まれた微少量の潜熱蓄熱材Mが上述の機械的衝撃を受ける際に、当該微少量の潜熱蓄熱材Mに上述の高い圧力が作用することで、当該微少量の潜熱蓄熱材Mの熱運動が拘束されてゲル相から固相への相転移が高い確率で生じ、固相の核が高い確率で発生する。
本構成によれば、上述の各特許文献に記載の構成とは異なり、今回の冷間始動前のエンジン運転時にて潜熱蓄熱材Mが120℃程度まで加熱された場合であっても、上述の発核動作によって、高い確率で、固相の核の生成及び潜熱の放出が行われることが確認された。さらに、本構成によれば、上述の各特許文献に記載の構成とは異なり、潜熱蓄熱材の固体種結晶や銀電極以外の、金属や合成樹脂等の多彩な材質を用いて発核を行うことが可能である。特に、可動部材35aの材質としてバネ鋼が作用された場合においては、固相の核の生成及び潜熱の放出が確実に行われるという非常に良好な結果を示した。
また、本構成によれば、図5(a)に示されているように、リンク部材35cが、支点35fを揺動中心とするテコとして作用する。これにより、上述の機械的衝撃・圧力を大きくするためにコイルスプリング35gのバネ力を強くしても、電磁ソレノイド等の小さな力でリンク部材35cを揺動させることができ、以てより確実な発核動作が行われ得る。
<他の変形例の示唆>
なお、上述の実施形態・実施例及び変形例は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の実施形態、実施例、及びその代表的な変形例を単に例示したものにすぎないのであって、本発明はもとより上述の実施形態等に何ら限定されるものではなく、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において種々の変形を施すことができることは当然である。以下、上述した変形例以外の変形例について幾つか例示するが、変形例とてこれらに限定されるものではないことはいうまでもない。
(i)潜熱蓄熱材の材質としては、酢酸ナトリウム3水和物(CH3COONa・3H2O)の他、シュウ酸、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン、硫酸ニッケル、硫酸マグネシウム、硫酸銅、硫酸亜鉛、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、及びこれらの水和物や、ナフタレン、パルミチン酸、安息香酸、高純度パラフィン等、及びこれらの混合物等が採用可能である。
(ii)蓄熱材容器34は、シリンダブロック30のウォータージャケット33の一部(例えば下半分)にのみ配置されていてもよい。また、蓄熱材容器34は、複数気筒のうちの特定の気筒におけるシリンダブロック30のウォータージャケット33にのみ配置されていてもよい。また、蓄熱材容器34は、シリンダヘッド20のウォータージャケット20aに配置されていてもよい。
(iii)蓄熱材容器34を省略して、シリンダブロック30のウォータージャケット33の一部を蓄熱材収容部として用いるように構成してもよい。この場合、ウォータージャケット33における、潜熱蓄熱材が収容される部分と冷却水が通過する部分とは、シール部材等により液密的に隔離され得る。
(iv)蓄熱材容器がシリンダブロックの外側を囲むように配置されていて、当該蓄熱材容器の外側表面であってラジエータファンと対向する位置に冷却フィンが形成されていてもよい。
(v)発核装置35の構成も、上述のものに限定されず、上述の実施形態及び変形例にて指摘されたもの以外の種々のものが採用され得る。
(vi)冷却フィン30cは、シリンダブロック30の前面だけでなく、側面や背面に形成されていてもよい。また、エンジンが自動車に縦置きされる場合は、シリンダブロックの前面及び少なくとも一方の側面に冷却フィンが形成される。
(vii)上部接続口30e、及び分岐管43bは省略可能である。
(viii)ラジエータファンが複数個(例えば大型ファンと小型ファン)設けられていて、運転状態に応じて大型ファン及び小型ファンの駆動状態が切り換えられるようにしてもよい。この場合、エンジンを横置きにして、大型ファン及び小型ファンのいずれの送風先にも冷却フィンが形成されていることが好ましい。
(ix)その他、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。
本発明の実施形態に係るエンジンを冷却するための冷却装置の概略構成図である。 図1に示した冷却装置に備えられたラジエータの正面図である。 図1に示した蓄熱材容器の具体的な構成を説明するための斜視図である。 図3に示した発核装置の周辺を拡大した断面図である。 図3に示した発核装置の変形例を示す断面図である。
符号の説明
10…エンジン、 20…シリンダヘッド、 20a…ウォータージャケット、
30…シリンダブロック、 30b…シリンダ、 30c…冷却フィン、
30d…底部接続口、 33…ウォータージャケット、34…蓄熱材容器、
35…発核装置、 40…冷却装置、 44…ラジエータ、
47…サーモスタット弁装置、48…ラジエータファン、M…潜熱蓄熱材

Claims (7)

  1. 始動時にシリンダ付近の温度の上昇を促進させ得るように構成されたエンジンにおいて、
    過冷却状態にて潜熱を保持し得るとともに当該過冷却状態が解除されることで前記潜熱を放出し得る潜熱蓄熱材と、
    前記シリンダと対応する位置にて外部に露出するように形成された冷却フィンと、前記潜熱蓄熱材を収容し得るように構成されていて前記シリンダを囲むように前記冷却フィンと前記シリンダとの間に配置された蓄熱材収容部と、を備えたエンジン本体と、
    前記蓄熱材収容部に収容された前記潜熱蓄熱材の過冷却状態を解除するための発核装置と、
    を備えたことを特徴とするエンジン。
  2. 始動時にシリンダ付近の温度の上昇を促進させ得るように構成されたエンジンにおいて、
    過冷却状態にて潜熱を保持し得るとともに当該過冷却状態が解除されることで前記潜熱を放出し得る潜熱蓄熱材と、
    前記シリンダを囲むように配置されていて前記潜熱蓄熱材を収容し得るように構成された蓄熱材収容部を備えたシリンダブロックと、
    前記蓄熱材収容部に収容された前記潜熱蓄熱材の過冷却状態を解除するための発核装置と、
    を備え、
    前記シリンダブロックは、当該シリンダブロックの外側表面であって前記蓄熱材収容部に対応する位置に形成された冷却フィンを備えたことを特徴とするエンジン。
  3. 請求項2に記載のエンジンであって、
    前記シリンダブロックには、前記シリンダを囲むように設けられた空間であって当該シリンダブロックを冷却するための冷却媒体の通路を構成するウォータージャケットが形成されていて、
    前記蓄熱材収容部は、前記ウォータージャケット内に配置された蓄熱材容器からなることを特徴とするエンジン。
  4. 請求項3に記載のエンジンであって、
    前記ウォータージャケットの内壁面と前記蓄熱材容器の外壁面との間に、前記冷却媒体が通過可能な間隙が形成されるように、前記蓄熱材容器が構成されていることを特徴とするエンジン。
  5. 請求項4に記載のエンジンにおいて、
    前記シリンダブロックの上端部にて当該シリンダブロックと接続されたシリンダヘッドをさらに備え、
    そのシリンダヘッドには、前記ウォータージャケットの上端部から前記冷却媒体が流入し得るように当該ウォータージャケットの前記上端部と接続されたシリンダヘッドウォータージャケットが形成されていて、
    前記シリンダブロックには、前記ウォータージャケットの底部から当該ウォータージャケット内に前記冷却媒体を供給し得る冷却媒体供給口が形成されていることを特徴とするエンジン。
  6. エンジンを冷却するための冷却媒体を熱的に処理する冷却媒体処理装置であって、
    過冷却状態にて潜熱を保持し得るとともに当該過冷却状態が解除されることで前記潜熱を放出し得る潜熱蓄熱材と、
    前記シリンダと対応する位置にて外部に露出するように形成された冷却フィンと、前記潜熱蓄熱材を収容し得るように構成されていて前記シリンダを囲むように前記冷却フィンと前記シリンダとの間に配置された蓄熱材収容部と、を備えたエンジン本体と、
    前記蓄熱材収容部に収容された前記潜熱蓄熱材の過冷却状態を解除するための発核装置と、
    を備えたことを特徴とする冷却媒体処理装置。
  7. 請求項6に記載の冷却媒体処理装置において、
    内部を空気が通過することにより当該空気と前記冷却媒体との間で熱交換が生じるように構成されたラジエータと、
    そのラジエータと前記エンジン本体との間に配置されていて、回転駆動されることによって生じた負圧により前記ラジエータを通過する前記空気の流れを発生させ得るように構成されたラジエータファンと、
    をさらに備え、
    前記冷却フィンは、前記ラジエータファンと対向するように当該ラジエータファンの送風先に配置されていることを特徴とする冷却媒体処理装置。
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