JP2006327487A - 車両制御装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電源経路を遮断しなくても、バッテリの状態やスタータの状態に基づいて、確実にエンジンを再始動してバッテリ上がりを防止することが可能な車両制御装置および方法を提供する。
【解決手段】 バッテリ監視装置10は、エンジン始動時に、電圧センサ16が検出するバッテリ2の出力電圧から電圧降下分を算出し、算出した電圧降下分に基づいてエンジン始動用のスタータの状態も監視する。バッテリ2をエンジンの始動が可能な状態に保つために、エンジンを始動して充電を開始すべき自動始動開始電圧V0を、電圧降下分に基づいて設定するので、適切な電圧を設定することができる。自動始動開始電圧V0の設定は、車載器機に暗電流を供給している状態で行うので、電源経路を遮断しなくても、バッテリの状態やスタータの状態に基づいて、確実にエンジンを再始動してバッテリ上がりを防止することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、バッテリを、エンジン始動が可能な充電状態に維持する制御を行う車両制御装置および方法に関する。
従来から、自動車にはエンジン始動時の電力を供給するためにバッテリが搭載される。エンジン始動時には、スタータに大電流が流れる。ただし、スタータに大電流が流れる時間は短く、走行中などのエンジン運転中に駆動される発電機で充分に充電される。バッテリは、各種車載機器へ電力を供給する電源としても利用され、また、自己放電作用もある。エンジン停止中も動作する車載機器への電力供給や自己放電による暗電流の影響で、エンジンを停止している状態が継続する駐車状態などで長時間放置されると、最悪の場合、エンジンを始動させるだけの電力供給ができなくなり、バッテリ上がりと呼ばれる事態が発生する。
バッテリ上がりを防止する技術としては、たとえば、発電機によって充電されているバッテリの容量と温度とを検出し、温度を考慮して、エンジンの始動に必要な容量に充電されるように制御する車両用充電制御装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。また、バッテリを動力源としてのモータの電源としても使用するハイブリッド車両で、バッテリの劣化度を内部抵抗を検出して判定し、判定した内部抵抗に応じて充電レベルを変更する制御装置も提案されている(たとえば、特許文献2参照。)。さらに、バッテリの出力電圧に応じて、各種付加への通電・遮断を制御してバッテリ上がりを防止する技術も知られている(たとえば、特許文献3、4参照。)。なお、一時的な停車時に、エンジンを停止してしまうアイドルストップを行い、エンジンを再始動して発進する制御を行う車両で、バッテリの雰囲気温度と劣化状態とに基づいて、エンジンを良好に再始動することが困難な場合は、アイドルストップを禁止する技術も提案されている(たとえば、特許文献5参照。)。
長時間のエンジン停止中でもバッテリ上がりを防止するために、バッテリの充電状態の変化をバッテリからの出力電圧に基づいて認識し、出力電圧が閾値よりも低下すると、エンジンを自動的に始動して充電を行うためのエンジン始動装置も開示されている(たとえば、特許文献6参照。)。本件出願人も、エンジン始動時に必要なバッテリ容量を求め、バッテリの容量が減少すると、エンジン始動が可能であれば自動的にエンジンを始動させてバッテリの充電を行う車両制御装置を提案している(たとえば、特許文献7参照。)。
特開平4−185241号公報 特開2001−268708号公報 特許第3570665号公報 特開2004−291720号公報 特開2001−304008号公報 特開2004−124846号公報 特開2005−47342号公報
長時間駐車状態で放置されるような場合に、暗電流の影響でバッテリ上がりが発生するのを防止するためには、特許文献6、7のように、自動的にエンジンを始動し、バッテリを充電する必要がある。これらの特許文献では、バッテリ上がり防止として、次のような制御が行われる。
(1)駐車放置時のバッテリ出力電圧値が所定値以下となるとエンジンを始動し充電を行う。
(2)駐車放置時のバッテリ電圧値がある所定値以下となると、暗電流を消費する負荷に対して、電流供給用の電源経路を遮断する。
しかしながら、(1)の制御では、バッテリ出力電圧値に、バッテリ状態などを考慮していないので、精度が悪く、エンジンを始動することができない可能性がある。また、バッテリ状態のみを考慮しても、スタータにロックなどの異常が発生していると、エンジンを始動することができなくなってしまう。また、(2)の制御では、電源経路を遮断するので、たとえばユーザが車室に入ってエンジンを始動させる場合でも、ドアカーテシや室内イルミネーションなどの照明が点灯しない状態となり、夜間などの始動が困難になってしまう。
本発明の目的は、電源経路を遮断しなくても、バッテリの状態やスタータの状態に基づいて、確実にエンジンを再始動してバッテリ上がりを防止することが可能な車両制御装置および方法を提供することである。
本発明は、運転中のエンジンで駆動される発電機で充電され、エンジン停止中に車載機器に電力を供給するバッテリを備える車両で、バッテリの充電状態を、エンジン始動が可能な状態に維持する制御を行う車両制御装置であって、
バッテリの出力電圧を検出する電圧検出手段と、
バッテリの出力電流を検出する電流検出手段と、
電圧検出手段および電流検出手段の検出結果に基づき、エンジン始動の能力に関するバッテリの状態を監視するバッテリ監視手段と、
エンジン始動時に要する放電電気量よりスタータの状態を監視するスタータ監視手段と、
スタータ監視手段およびバッテリ監視手段の監視結果に基づいて、スタータ駆動時に発生する電圧降下分を算出し、バッテリをエンジンの始動が可能な状態に保つために、エンジンを始動して充電を開始すべき自動始動開始電圧V0を、電圧降下分に基づいて設定する電圧設定手段と、
電圧検出手段によって検出されるバッテリの出力電圧が自動始動開始電圧V0になると、エンジンを自動的に始動させてバッテリを充電させる制御を行う制御手段とを、含むことを特徴とする車両制御装置である。
本発明に従えば、車両制御装置は、運転中のエンジンで駆動される発電機で充電され、エンジン停止中に車載機器に電力を供給するバッテリを備える車両で、バッテリの充電状態を、エンジン始動が可能な状態に維持する制御を行うために、バッテリの出力電圧および出力電流をそれぞれ検出する電圧検出手段および電流検出手段と、バッテリ監視手段と、スタータ監視手段と、電圧設定手段と、制御手段とを含む。バッテリ監視手段は、電圧検出手段および電流検出手段の検出結果に基づき、エンジン始動の能力に関するバッテリの状態を監視するので、バッテリによるエンジン始動の能力を精度よく把握することができる。スタータ監視手段は、エンジン始動時に要する放電電気量よりスタータの状態を監視するので、スタータにロックなどの異常が発生している状態を精度よく把握することができる。電圧設定手段は、スタータ監視手段およびバッテリ監視手段の監視結果に基づいて、バッテリをエンジンの始動が可能な状態に保つために、エンジンを始動して充電を開始すべき自動始動開始電圧V0を、電圧降下分に基づいて設定するので、適切な電圧を設定することができる。制御手段は、電圧検出手段によって検出されるバッテリの出力電圧が自動始動開始電圧V0になると、エンジンを自動的に始動させてバッテリを充電させる制御を行うので、バッテリがエンジン始動可能な状態であるうちにエンジンを始動して充電を行い、エンジン始動可能な状態を確実に維持することができる。電圧設定手段での自動始動開始電圧V0の設定は、車載器機に暗電流を供給している状態で行うので、電源経路を遮断しなくても、バッテリの状態やスタータの状態に基づいて、確実にエンジンを再始動してバッテリ上がりを防止することができる。
また本発明で、前記電圧設定手段は、前記自動始動開始電圧V0として、前記エンジンの始動が不能になるエンジン始動不能電圧を算出し、算出したエンジン始動不能電圧に予め定めるオフセット電圧を加算した電圧を設定することを特徴とする。
本発明に従えば、電圧設定手段が設定する自動始動開始電圧V0は、エンジンの始動が不能になるエンジン始動不能電圧を算出し、算出したエンジン始動不能電圧に予め定めるオフセット電圧を加算した電圧となるので、エンジン始動不能電圧に対してオフセット電圧だけ余裕があり、バッテリの出力電圧が自動始動開始電圧V0であれば、確実にエンジンを始動させることができる。
また本発明で、前記制御手段は、前記バッテリを充電させるためのエンジンの運転中は、エンジンの燃料消費を低減する制御を行うことを特徴とする。
本発明に従えば、制御手段は、バッテリを充電させるためのエンジンの運転中は、エンジンの燃料消費を低減する制御を行うので、燃料を節約して長時間にわたるバッテリの充電を可能とし、駐車状態などでの放置が長期間になっても、バッテリ上がりの状態にならないようにすることができる。
また本発明で、前記バッテリ監視手段は、
前記エンジンの運転中の監視結果、前記スタータ監視手段の監視結果、およびエンジン停止後に前記電圧検出手段が検出する前記バッテリの出力電圧と前記電流検出手段が検出する車両暗電流とに基づいて、バッテリの出力電圧が前記自動始動開始電圧V0に低下するまでの車両放置可能日数を算出し、
エンジン停止後のバッテリ状態監視を、車両放置可能日数を予め定める整数値nで除算した周期で行うことを特徴とする。
本発明に従えば、バッテリ監視手段は、エンジンの運転中の監視結果、スタータ監視手段の監視結果、およびエンジン停止後に電圧検出手段が検出するバッテリの出力電圧と電流検出手段が検出する車両暗電流とに基づいて、バッテリの出力電圧が自動始動開始電圧V0に低下するまでの車両放置可能日数を算出するので、車両放置可能日数を精度よく算出することができる。バッテリ監視手段は、エンジン停止後のバッテリ状態監視を、車両放置可能日数を予め定める整数値nで除算した周期で行うので、バッテリ監視による電力消費を抑制し、かつ確実にバッテリ状態の監視を続けることができる。整数値nを大きくすれば、監視の精度を高め、整数値nを小さくすれば、監視による電力消費を抑制することができる。
また本発明で、前記バッテリ監視手段は、前記エンジン停止後のバッテリ状態監視で、前記電圧検出手段が検出する出力電圧と前記自動始動開始電圧V0との差に対応するように、前記周期を変更することを特徴とする。
本発明に従えば、バッテリ監視手段がエンジン停止後のバッテリ状態監視で、電圧検出手段が検出する出力電圧に応じ、出力電圧と自動始動開始電圧V0との差が大きいうちは監視の周期が長くなるように変更するので、状態監視によるバッテリへの負担を軽減することができる。出力電圧と自動始動開始電圧V0との差が小さくなれば、監視周期を短くして、出力電圧が自動始動開始電圧V0になる時点を精度よく判断して、確実にエンジンを始動させてバッテリの充電を行わせることができる。
また本発明で、前記バッテリ監視手段は、前記エンジン停止後のバッテリ状態監視で、前記電圧検出手段が検出する出力電圧が、前記自動始動開始電圧V0より高く設定される閾値電圧V1以下になると、前記車両放置可能日数を含む情報を、ユーザに対して通知することを特徴とする。
本発明に従えば、バッテリ監視手段は、エンジン停止後のバッテリ状態監視で、電圧検出手段が検出する出力電圧が、自動始動開始電圧V0より高く設定される閾値電圧V1以下になると、車両放置可能日数を含む情報を、ユーザに対して通知するので、ユーザはエンジンが自動的に始動される前に車両放置可能日数を含む情報を知ることができる。
また本発明で、前記バッテリ監視手段は、前記閾値電圧V1を、前記車両放置可能日数が所定日数以上となるように、前記バッテリの状態および前記電流検出手段が検出する車両暗電流に応じて変更することを特徴とする。
本発明に従えば、バッテリ監視手段は、閾値電圧V1を、車両放置可能日数が所定日数以上となるように、バッテリの状態および電流検出手段が検出する車両暗電流に応じて変更するので、ユーザは通知を受けても所定日数以上の車両放置可能日数があることを保証される。
また本発明で、前記制御手段は、前記エンジンを自動的に始動する制御を、前記バッテリ監視手段による前記ユーザに対する通知後、ユーザからのエンジン自動始動開始許可応答が有り、またはユーザからの自動始動開始許可応答がなく前記バッテリの出力電圧が前記自動始動開始電圧V0になっても前記エンジンが始動されない場合に行うことを特徴とする。
本発明に従えば、制御手段は、エンジンを自動的に始動する制御を、バッテリ監視手段によるユーザに対する通知後、ユーザからの自動始動開始許可応答がない場合には、バッテリの出力電圧が自動始動開始電圧V0になってもエンジンが始動されない場合に行うので、ユーザが通知に応答するのを可能な限り待ってから、自動的なエンジン始動を開始する制御を行うことができる。
また本発明で、前記制御手段は、前記バッテリを充電させるためのエンジンの運転を、エンジン始動後、前記電圧検出手段が検出する前記出力電圧が予め定める充電終了電圧V2になるか、またはエンジンの燃料の残量が閾値以下になると、停止するように制御することを特徴とする。
本発明に従えば、制御手段は、バッテリを充電させるためのエンジンの運転を、エンジン始動後、電圧検出手段が検出するバッテリの出力電圧が予め定める充電終了電圧V2になると停止するように制御するので、必要な充電が行われれば、エンジンを停止して燃料の消費を避けることができる。またエンジンの燃料の残量が閾値以下になると、エンジンを停止するように制御するので、燃料不足でエンジンが始動不能になるのを防ぐことができる。バッテリの充電を続けることはできなくなっても、ユーザに通知して、燃料の補給などを促すようにすればよい。
また本発明で、前記制御手段は、前記エンジンの燃料の残量についての閾値を、自車両の現在位置情報、燃料補給施設の位置情報、およびエンジンの燃費情報に基づいて決定することを特徴とする。
本発明に従えば、制御手段は、エンジンの燃料の残量についての閾値を、自車両の現在位置情報、燃料補給施設の位置情報、およびエンジンの燃費情報に基づいて決定するので、自車両がガソリンスタンドなどの燃料補給施設に走行するのに必要な燃料の残量が確保されるように、バッテリの充電のためのエンジンの運転を行うことができる。
また本発明で、前記制御手段は、前記エンジンの燃料の残量が閾値以下になって前記バッテリを充電させるための運転を停止させた後で、ユーザによるエンジンの始動の際に、前記閾値を決定する基となる燃料補給施設の位置情報を通知するように制御することを特徴とする。
本発明に従えば、制御手段は、エンジンの燃料の残量が閾値以下になってバッテリを充電させるための運転を停止させた後で、ユーザによるエンジンの始動の際に、閾値を決定する基となる燃料補給施設の位置情報を通知するように制御するので、ユーザは燃料補給施設まで車両を容易に走行させて燃料を補給することができる。
また本発明で、前記制御手段は、前記充電終了電圧V2を、前記ユーザからの自動開始許可応答で車両放置希望日数が応答される場合、応答された車両放置希望日数に応じて決定することを特徴とする。
本発明に従えば、ユーザが自動開始許可応答の際に車両放置希望日数を応答すれば、制御手段は、充電終了電圧V2を、応答された車両放置希望日数に応じて決定するので、車両放置希望日数の放置が可能な状態にバッテリを充電する制御を行うことができる。
また本発明で、前記制御手段は、前記充電終了電圧V2を、前記ユーザからの自動開始許可応答で車両放置希望日数が応答されない場合、所定日数以上放置可能なように決定することを特徴とする。
本発明に従えば、制御手段は、ユーザからの自動開始許可応答で車両放置希望日数が応答されない場合でも、所定日数以上放置可能なように充電終了電圧を決定するので、所定日数以上の放置が可能な充電を確実に行うことができる。
また本発明で、前記制御手段は、前記エンジンを自動的に始動させる際に、予め定める車載機器への電力供給を停止する制御を行うことを特徴とする。
本発明に従えば、制御手段は、エンジンを自動的に始動させる際に、予め定める車載機器への電力供給を停止する制御を行うので、バッテリの負荷を軽減してエンジンを始動することができる。
また本発明で、前記制御手段は、前記予め定める車載機器から、車室の照明用の機器を除くことを特徴とする。
本発明に従えば、制御手段は、エンジン始動の際に電力供給を停止する車載機器から、車室の照明用の機器を除くので、ドアカーテシや車内イルミネーションなどの照明を点灯しているような場合、消灯しないでバッテリ充電のためのエンジン始動を行うことができる。
また本発明で、前記制御手段は、ユーザが車両へ乗車した場合に、前記バッテリ充電のためのエンジンを始動時の前記車載器機への電力供給の停止を解除し、エンジンの燃料消費を低減する制御を行っていれば、燃料消費低減の制御も解除することを特徴とする。
本発明に従えば、制御手段は、ユーザが車両へ乗車した場合に、バッテリ充電のためのエンジンを始動時の車載器機への電力供給の停止を解除するので、エアコンなどの車載機器への電力供給を行いながらバッテリ充電のためのエンジン始動を行うことができる。ユーザは、車載器機の使用を制限されない。エンジンの燃料消費を低減する制御を行っていれば、燃料消費低減の制御も解除するので、エンジンは走行時と同様に運転され、ユーザが車両の走行を開始することも容易となる。
また本発明で、前記制御手段は、前記バッテリを充電させる制御の実行後に、充電結果を含む予め定める情報を、ユーザに通知するように制御することを特徴とする。
本発明に従えば、制御手段は、バッテリを充電させる制御の実行後に、充電結果を含む予め定める情報を、ユーザに通知するように制御するので、ユーザはバッテリの充電結果などの情報を知ることができる。
さらに本発明は、運転中のエンジンで駆動される発電機で充電され、エンジン停止中に車載機器に電力を供給するバッテリを備える車両で、バッテリの充電状態を、エンジン始動が可能な状態に維持する制御を行う車両制御方法であって、
バッテリの出力電圧とバッテリの出力電流との検出結果に基づき、エンジン始動の能力に関するバッテリの状態を監視して、エンジン始動時に要する放電電気量よりスタータの状態を監視し、
スタータおよびバッテリの監視結果に基づいて、スタータ駆動時に発生する電圧降下分を算出し、バッテリをエンジンの始動が可能な状態に保つために、エンジンを始動して充電を開始すべき自動始動開始電圧V0を、電圧降下分に基づいて設定し、
バッテリの出力電圧が自動始動開始電圧V0になると、エンジンを自動的に始動させてバッテリを充電させる制御を行うことを特徴とする車両制御方法である。
本発明に従えば、車両制御方法は、運転中のエンジンで駆動される発電機で充電され、エンジン停止中に車載機器に電力を供給するバッテリを備える車両で、バッテリの充電状態を、エンジン始動が可能な状態に維持する制御を行うために、バッテリの出力電圧および出力電流をそれぞれ検出する。バッテリの出力電圧および出力電流の検出結果に基づき、エンジン始動の能力に関するバッテリの状態を監視するので、バッテリによるエンジン始動の能力を精度よく把握することができる。エンジン始動時に要する放電電気量よりスタータの状態を監視するので、スタータにロックなどの異常が発生している状態を精度よく把握することができる。スタータおよびバッテリの監視結果に基づいて、バッテリをエンジンの始動が可能な状態に保つために、エンジンを始動して充電を開始すべき自動始動開始電圧V0を、電圧降下分に基づいて設定するので、適切な電圧を設定することができる。バッテリの出力電圧が自動始動開始電圧V0になると、エンジンを自動的に始動させてバッテリを充電させる制御を行うので、バッテリがエンジン始動可能な状態であるうちにエンジンを始動して充電を行い、エンジン始動可能な状態を確実に維持することができる。自動始動開始電圧V0の設定は、車載器機に暗電流を供給している状態で行うので、電源経路を遮断しなくても、バッテリの状態やスタータの状態に基づいて、確実にエンジンを再始動してバッテリ上がりを防止することができる。
本発明によれば、バッテリがエンジン始動可能な状態であるうちにエンジンを始動して充電を行い、エンジン始動可能な状態を確実に維持することができる。エンジンの自動始動開始電圧V0の設定は、車載器機に暗電流を供給している状態で行うので、電源経路を遮断しなくても、バッテリの状態やスタータの状態に基づいて、確実にエンジンを再始動してバッテリ上がりを防止することができる。
また本発明によれば、自動始動開始電圧V0は、エンジン始動不能電圧に対してオフセット電圧だけ余裕があり、バッテリの出力電圧が自動始動開始電圧V0であれば、確実にエンジンを始動させることができる。
また本発明によれば、バッテリを充電させるためのエンジンの運転中は、燃料を節約して長時間にわたるバッテリの充電を可能として、駐車状態などでの放置が長期間になっても、バッテリ上がりの状態になるのを防止することができる。
また本発明によれば、バッテリの出力電圧が自動始動開始電圧V0に低下するまでの車両放置可能日数を精度よく算出することができ、エンジン停止後のバッテリ状態監視を、車両放置可能日数を予め定める整数値nで除算した周期で行い、バッテリ監視による電力消費を抑制し、かつ確実にバッテリ状態の監視を続けることができる。
また本発明によれば、エンジン停止後のバッテリ状態監視で、バッテリの出力電圧と自動始動開始電圧V0との差が大きいうちは監視の周期が長くなるように変更するので、状態監視によるバッテリへの負担を軽減することができる。出力電圧と自動始動開始電圧V0との差が小さくなれば、監視周期を短くして、出力電圧が自動始動開始電圧V0になる時点を精度よく判断して、確実にエンジンを始動させてバッテリの充電を行わせることができる。
また本発明によれば、バッテリの出力電圧が自動始動開始電圧V0より高い閾値電圧V1以下になると、車両放置可能日数を含む情報が通知されるので、ユーザはエンジンが自動的に始動される前に車両放置可能日数等を知ることができる。
また本発明によれば、バッテリの状態および車両暗電流に応じて、閾値電圧V1を車両放置可能日数が所定日数以上となるように変更するので、ユーザは通知を受けても所定日数以上の車両放置可能日数があることを保証される。
また本発明によれば、ユーザに対する通知後、ユーザからの自動始動開始許可応答が有り、またはユーザからの自動始動開始許可応答がなく、かつバッテリの出力電圧が自動始動開始電圧V0になってもエンジンが始動されない場合に、自動的なエンジン始動を開始するので、ユーザが通知に応答するのを可能な限り待つことができる。
また本発明によれば、バッテリを充電させるためのエンジンの運転を、エンジン始動後、バッテリの出力電圧が予め定める充電終了電圧V2になると停止するように制御するので、必要な充電が行われれば、エンジンを停止して燃料の消費を避けることができる。また、エンジンの燃料の残量が閾値以下になるとエンジンを停止するので、燃料不足でエンジンが始動不能になるのを防ぐことができる。
また本発明によれば、自車両がガソリンスタンドなどの燃料補給施設に走行するのに必要な燃料の残量を確保して、バッテリの充電のためのエンジンの運転を行うことができる。
また本発明よれば、エンジンの燃料の残量が閾値以下になってバッテリを充電させるための運転を停止させた後では、ユーザによるエンジンの始動の際に、閾値を決定する基となる燃料補給施設の位置情報を通知するので、ユーザは容易に燃料を補給することができる。
また本発明によれば、ユーザが自動開始許可応答の際に車両放置希望日数を応答すれば、車両放置希望日数の放置が可能な状態にバッテリを充電する制御を行うことができる。
また本発明によれば、ユーザが車両放置希望日数を応答しない場合でも、所定日数以上の放置が可能な充電を確実に行うことができる。
また本発明によれば、エンジンを自動的に始動させる際に、予め定める車載機器への電力供給を停止するので、バッテリの負荷を軽減してエンジンを始動することができる。
また本発明によれば、エンジン始動の際に電力供給を停止する車載機器から、車室の照明用の機器を除くので、ドアカーテシや車内イルミネーションなどの照明を点灯しているような場合、消灯しないでバッテリ充電のためのエンジン始動を行うことができる。
また本発明によれば、ユーザが車両へ乗車した場合に、バッテリ充電のためのエンジンを始動時の車載器機への電力供給の停止を解除するので、エアコンなどの車載機器への電力供給を行いながらバッテリ充電のためのエンジン始動を行うことができる。
また本発明によれば、バッテリを充電させる制御の実行後に、ユーザはバッテリの充電結果などの情報を知ることができる。
さらに本発明によれば、バッテリがエンジン始動可能な状態であるうちにエンジンを始動して充電を行い、エンジン始動可能な状態を確実に維持することができる。エンジンの自動始動開始電圧V0の設定は、車載器機に暗電流を供給している状態で行うので、電源経路を遮断しなくても、バッテリの状態やスタータの状態に基づいて、確実にエンジンを再始動してバッテリ上がりを防止することができる。
図1は、本発明の実施の一形態である車載制御装置であるバッテリ上がり防止装置1の概略的な電気的構成を示す。バッテリ上がり防止装置1は、運転中のエンジンで駆動される発電機で充電され、エンジン停止中に車載機器に電力を供給するバッテリ2を備える車両で、バッテリ2の充電状態を、エンジン始動が可能な状態に維持する制御を行う。
バッテリ2は、たとえば電源ライン3に正電圧出力端子が接続され、車体の接地に負電圧出力端子が接続される。車両には、エンジン制御部4、ナビゲーション装置5、不揮発メモリ6なども搭載され、図示は省略しているけれども、バッテリ2からの電力供給を受ける。
自動車のユーザは、通信送受信装置7を携帯し、バッテリ上がり防止装置1を含む車載機器との間で通信を行うことができる。このような通信送受信装置7は、従来からオプションとして、エンジンのリモートスタートやキーレスエントリなどのセキュリティのために用いられている。通信送受信装置7としては、携帯電話機などを利用することもできる。携帯電話機を利用すれば、携帯電話のサービスエリア内では、ユーザが遠方にいても、確実に通知を行うことができる。また、通知は、電子メールの形態で行うこともできる。
バッテリ2への充電は、発電機を含むオルタネータ8からの発電電力で行われる。発電機は交流発電機であり、オルタネータ8に内蔵するダイオードで直流に整流される。図示を省略しているエンジンによってオルタネータ8の発電機が駆動され、オルタネータ8の出力電圧がバッテリ2の出力電圧よりも高くなると、バッテリ2に対する充電が行われるとともに、電源ライン3を介する車載機器への電源供給も、オルタネータ8の出力によって行われる。ただし、エンジンの始動は、電気モータであるスタータによって行われ、スタータへの電源供給は、バッテリ2のみによって行われる。バッテリ2または発電機による電源供給は、オーディオやエアコンなどの補機類9に対しても行われる。
バッテリ上がり防止装置1は、バッテリ2をスタータの駆動が可能な状態に保つために、バッテリ監視装置10を備える。バッテリ監視装置10は、マイクロコンピュータなどを含み、車両に搭載される電子制御ユニット(以下、Electronic Control Unit から「ECU」と略称する。)の一つであり、プログラム動作などによって、駐車可能日数演算部11、バッテリ状態監視処理部12、電源カット処理部13、通信部14および燃料補正処理部15などが実現される。バッテリ状態監視処理部12には、バッテリ2の出力電圧を検出する電圧検出手段としての電圧センサ16と、バッテリ2の出力電流を検出する電流検出手段ととしての電流センサ17とから、検出出力がそれぞれ入力される。すなわち、バッテリ状態監視処理部12は、電圧センサ16および電流センサ17の検出結果に基づき、エンジン始動の能力に関するバッテリ2の状態を監視するバッテリ監視手段として機能する。
バッテリ状態監視処理部12は、スタータ監視手段、電圧設定手段、および制御手段としても機能する。スタータ監視手段は、エンジン始動時に要する放電電気量よりスタータ状態を監視する。電圧設定手段は、スタータ監視手段およびバッテリ監視手段の監視結果に基づいてスタータ駆動時に発生する電圧降下分を算出し、バッテリ2をエンジンの始動が可能な状態に保つために、エンジン2を始動して充電を開始すべき自動始動開始電圧V0を、電圧降下分より設定する。制御手段は、電圧センサ16によって検出されるバッテリ2の出力電圧が自動始動開始電圧V0になると、エンジンを自動的に始動させてバッテリ2を充電させる制御を行う。
エンジンの始動時に駆動するスタータには、大電力を供給する必要があり、バッテリ2の負担が大きくなる。この負担を軽減するために、スイッチ18が設けられ、エンジン始動の際には、補機類9への電力供給を一時的に停止する電源カットを行うことができる。バッテリ監視装置10に設けられている電源カット処理部13は、スイッチ18を制御して、エンジンの始動時などに補機類9への電源カットを行う。
通信部14は、ユーザが携帯する通信送受信装置7との間での無線通信を行う。通信送受信装置7は、リモートスタート機能として、エンジン制御部4に対する指令にも使用可能である。バッテリ監視装置10では、バッテリ2の状態に関する情報や、バッテリ2の充電のためのエンジン始動の許可を求める通知などを、通信部14を介して通信送受信装置7に転送する。また、後述するように、駐車可能日数演算部11で演算した駐車可能日数などの情報もユーザに通知する。燃料補正処理部15は、エンジンをバッテリ2の充電用に運転する場合に、燃費優先のエンジン制御に切換える。
ECUとしてのバッテリ監視装置10は、LAN(Local Area Network)ライン20を介して、メータECU21、ボディECU22およびセキュリティECU23などの他のECUと接続され、情報通信を行って、制御に必要な情報の取得や他のECUへの指令を行う。制御用の車載LANとしては、たとえばCAN(Controller Area Network)などが用いられる。
図2は、本発明でバッテリ上がりを防止する基本的な考え方を示す。図1のバッテリ状態監視処理部12は、電圧センサ16が検出するバッテリ2の出力電圧を記憶電圧として内部の不揮発メモリに記憶する。不揮発メモリは、内部の電池でバックアップされるRAMや、フラッシュメモリなどのEEPROMで実現される。車載のECUで共有される不揮発メモリ6に記憶することもできる。バッテリ状態監視処理部12は、バッテリ2を、スタータの駆動が可能な状態に保つことを使命としている。スタータは、バッテリ2の出力電圧が始動不能電圧Vz以下になると始動しない。この始動不能電圧Vzは、スタータの規格や仕様等から、予め判っているものとする。ただし、スタータの駆動には大電流が必要となるので、スタータに電力を供給すると、斜線を施して示すような電圧降下が生じる。この電圧降下は、バッテリ正常時よりもバッテリの容量が低下しているバッテリ劣化時の方が大きくなる。したがって、実際にスタータを始動させることができなくなる電圧の上限である始動不能電圧Vzは同一でも、電圧降下分を加えたスタータ始動不能電圧は、バッテリ正常時のスタータ始動不能電圧Vsよりもバッテリ劣化時のスタータ始動不能電圧Vs’の方が高くなる。このために、実際にスタータを駆動する電流を供給する前に、バッテリ2の状態を加味してスタータ始動不能電圧Vs,Vs’を決定する必要がある。
バッテリ2の出力電圧の低下は、エンジンの運転によってバッテリ2に充電が行われない期間にバッテリ2から出力される暗電流によってもたらされる。バッテリ2が暗電流を供給することによって、充電している電気量が放電されるからである。車載器機に追加ユニットがあれば、暗電流は増加する。したがって、イグニッション(IG)スイッチをOFFにしてエンジンを停止した後などに、毎回、電流センサ17の検出する出力電流を暗電流として検出し、最新の暗電流を把握しておく必要がある。
暗電流が同一でも、バッテリ2の容量によって、出力電圧の低下速度が変化する。したがって、バッテリ2の出力電圧の変化を精度よく予測するためには、バッテリ容量および最新の暗電流を把握する必要があり、出力電圧の変化の予測から、出力電圧がスタータ始動不能電圧Vs、Vs’にまで低下する期間が予測され、駐車時放置可能日数などを計算することが可能となる。
図3、図4および図5は、図1のバッテリ監視装置10が行う処理の全体的な手順を示す。この手順は、たとえば、バッテリ監視装置10が繰返して行う制御手順から、サブルーチンとして呼出され、終了すると元の手順に戻るように行われる。バッテリ監視装置10は、エンジンが停止中でも、バッテリ2から動作用の電力が供給されている限り、バッテリ2をエンジン始動可能な状態に保つための監視を継続して行う。継続する監視の動作中に、たとえばユーザが通信送受信装置7またはイグニッションスイッチの操作でエンジンを始動すると、スタート1のステップa1以下の手順が実行される。
ステップa2では、バッテリ状態とスタータ状態とが検出される。図2では、スタータが正常であることを前提としている。しかしながら、スタータは、直流ブラシモータであり、ブラシの摩耗や、回転子が固定子に対して回転しにくくなるロックなどの異常が生じることが考えられる。スタータがロックに近付くと、駆動時に流れる電流が増大する。ステップa3では、スタータ駆動時のバッテリ2の出力電流と、駆動前後の出力電圧の差である電圧降下分とから、エンジンの自動始動開始電圧V0を算出する。このエンジンの自動始動開始電圧V0は、図2に示すスタータ始動不能電圧Vs,Vs’に、オフセット電圧を加算して算出する。すなわち、電圧設定手段としてのバッテリ状態監視処理部12が設定する自動始動開始電圧V0は、スタータによるエンジンの始動が不能になるスタータ始動不能電圧Vs,Vs’を算出し、算出したスタータ始動不能電圧Vs,Vs’に予め定めるオフセット電圧を加算した電圧となるので、スタータ始動不能電圧Vs,Vs’に対してオフセット電圧だけ余裕があり、バッテリ2の出力電圧が自動始動開始電圧V0であれば、確実にエンジンを始動させることができる。
次にステップa4でエンジンが停止すると、ステップa5で、電流センサ17が検出するエンジン停止時のバッテリ2の出力電流として、車両暗電流が検出される。車両暗電流は、不揮発メモリ6やバッテリ監視装置10の内部の不揮発メモリなどに記憶される。次に、ステップa6で、車両暗電流とバッテリ2の劣化の程度とに基づき、1日当りの電圧降下分が算出される。気温などの環境の影響を考慮すれば、精度を高めることができる。1日当りの電圧降下分も、車両暗電流と同様に、不揮発メモリ6などに記憶される。ステップa7では、バッテリ2の出力電圧が自動始動開始電圧V0になるまでの日数として、駐車放置可能日数が算出される。以下、ステップa8からバッテリ状態監視が開始される。
ステップa9では、バッテリ状態監視周期を算出する。この監視周期は、たとえば、駐車放置可能日数を予め定める整数値nで除算して算出する。整数値nは、たとえば4とする。この整数値nを大きくすれば、監視周期が短くなり、バッテリ状態を精度よく監視することができる。ただし、バッテリ状態監視のために電力を消費するので、バッテリ2の容量にとっては負荷となってしまう。整数値nを小さくすれば、バッテリ2の負荷は軽くなるけれども、バッテリ状態監視の頻度が小さくなり、環境の変化などでバッテリ2の出力電圧の低下が予測よりも大きくなるような場合に、出力電圧が自動始動開始電圧V0よりも低下してからしか検知することができなくなり、極端な場合は、エンジンの始動が困難で、バッテリ上がりの状態となってしまうおそれがある。ステップa10では、バッテリ2の劣化通知をユーザに対して行うためのバッテリ劣化通知電圧閾値V1[V]を算出する。バッテリ劣化通知電圧閾値V1は、バッテリ2の出力電圧が自動始動開始電圧V0に達する前に算出される。
ステップa11では、バッテリ状態監視周期になっているか否かを判断する。バッテリ状態監視周期になっていないと判断するときは、その周期よりも短い時間間隔で判断を繰返す。バッテリ状態監視周期になっていると判断するときは、ステップa12で、電圧センサ16からバッテリ電圧を取得する。次に、ステップa13で、バッテリ電圧がバッテリ劣化通知電圧閾値V1以下になっているか否かを判断する。バッテリ電圧がバッテリ劣化通知電圧閾値V1よりも大きいときは、ステップa14で、バッテリ監視周期を更新する。このバッテリ監視周期の更新については後述する。バッテリ監視周期を更新すると、ステップa11に戻る。ステップa13でバッテリ電圧がバッテリ劣化通知電圧閾値V1以下であると判断すると、ステップa15で残存燃料量を取得する。次のステップa16では、エンジンの自動始動閾値である自動始動開始電圧V0、現在のバッテリ電圧、残存燃料量、およびエンジン自動始動実施までの日数をユーザに通知する。さらにステップa17では、ステップa14と同様に、バッテリ監視周期を更新し、図4のスタート2に移行する。
図4のスタート2に続くステップa19では、ユーザからの自動始動開始の許可の応答が有るか否かを判断する。許可がなければ、ステップa20で、バッテリ状態監視周期が到来しているか否かを判断する。バッテリ状態監視周期が到来していなければ、到来するまで待つ。バッテリ監視周期が到来していれば、ステップa21でバッテリ電圧を取得する。ステップa22では、バッテリ電圧が自動始動開始電圧V0以下であるか否かを判断する。バッテリ電圧が自動始動開始電圧V0以下ではないと判断するときは、ステップa23でバッテリ監視周期更新を行い、ステップa20に戻る。ステップa19で、ユーザからの自動始動開始の許可が有ると判断するとき、またはステップa22で、バッテリ電圧が自動始動開始電圧V0以下になっていると判断するときは、ステップa24でエンジン自動始動を行う。バッテリ監視周期が適切であれば、実際にはバッテリ電圧が自動始動開始電圧V0からほとんど低下しない状態で、エンジン自動始動を行うことができる。
次のステップa25では、ユーザから車両放置日数の入力がなされているか否かを判断する。車両放置日数が入力されていれば、その日数分の放置が可能な充電量に対応するバッテリ2の出力電圧として、充電終了電圧である充電電圧V2[V]が算出される。ステップa25で、ユーザから車両放置日数の入力がなされていないと判断するときは、ステップa27で残存燃料の量についての情報を取得し、ステップa28では、燃料の残存量を考慮して、エンジンの運転を停止させる閾値となる充電電圧V2が決定される。ステップa25からステップa28までの手順は、ステップa24でのエンジン自動始動後、短時間で終了する。
ステップa26またはステップa28での充電電圧V2の算出または決定の後は、ステップa29で、燃料噴射量切換え処理を行い、バッテリ充電運転中のエンジンの燃料消費を低減する。次のステップa30では、残存燃料量取得、現在位置情報取得、燃費情報取得、ガソリンスタンド情報取得などを行う。残存燃料量取得は、たとえば図1のメータECUから、燃料の残存量についてのデータを取得する。現在位置情報やガソリンスタンド情報などは、ナビゲーション装置5から取得する。燃費情報は、不揮発メモリ6に他のECUによって記憶されているので、その情報を読取ることによって取得する。ステップa31では、燃料の残存量を確保するために、充電制御終了燃料閾値を演算する。充電制御終了燃料閾値は、車両をガソリンスタンドなどの燃料補給施設まで走行させるだけの燃料を残すために設定される。したがって、現在位置とガソリンスタンドなどの位置との間の距離に応じて変化する。ステップa32では、図1の電源カット処理部13がスイッチ18を制御して、補機類9などの電気設備への電力供給を停止する。以下、図5のスタート3へ移行する。
図5のスタート3では、ステップa40でバッテリ2の出力電圧であるバッテリ電圧を電圧センサ16によって取得する。次のステップa41では、メータECU21などから残存燃料量を取得する。ステップa42では、バッテリ電圧が充電電圧V2以上となっているか否かを判断する。バッテリ電圧が充電電圧V2に達していないときは、ステップa43で、残存燃料の量がステップa31で算出した充電制御終了燃料閾値以下になっているか否かを判断する。残存燃料が閾値を越えていれば、ステップa44でユーザが乗車したか否かを判断する。ユーザの乗車は、たとえばドアの開閉などによって検出する。ユーザによる何らかの操作を検出して、乗車と判断することもできる。ユーザが乗車していないと判断するときは、ステップa40に戻る。ステップa44でユーザ乗車と判断するときは、ステップa45で燃料噴射量切換え処理解除を行い、ステップa24での切換えを元に戻す。
ステップa42でバッテリ電圧が充電電圧V2以上になっていると判断するとき、またはステップa43で残存燃料量が閾値以下となっていると判断するときは、ステップa46でエンジンを自動停止させる。ステップa46またはステップa45の後は、ステップa47で、ステップa32で電力供給停止を行った電気設備への供給停止を解除し、電力供給を行う。次のステップa48では、図1の通信部14からユーザが携帯する通信送受信装置7へ、充電結果を通知する。この充電結果は、充電が正常に終了したか異常があったかなどの情報を含む。次に、ステップa46でのエンジン停止を履歴として記憶しておき、ステップa43などの残存燃料要件によるエンジン停止履歴があるか否かを判断する。この履歴があると、次のエンジン始動時に、ステップa50でユーザによるエンジン始動か否かを判断する。ユーザによるエンジン始動時には、ステップa51でガソリンスタンドの位置を知らせる通知が行われ、ステップa52で元の手順に戻る。ステップa49で残存燃料要件によるエンジン停止履歴がないと判断するとき、またはステップa51でユーザによるエンジン始動ではないと判断するときも、ステップa52で元の手順に戻る。
以上のような手順で、制御手段としてのバッテリ状態監視処理部12は、バッテリ2を充電させるためのエンジンの運転を、エンジン始動後、電圧センサ16が検出するバッテリ2の出力電圧が予め定める充電電圧V2になるか、またはエンジンの燃料の残量が閾値以下になると、停止するように制御する。バッテリ2を充電させるためのエンジンの運転を、エンジン始動後、必要な充電が行われれば、エンジンを停止して燃料の消費を避けることができる。またエンジンの燃料の残量が閾値以下になると、エンジンを停止するように制御するので、燃料不足でエンジンが始動不能になるのを防ぐことができる。バッテリ2の充電を続けることはできなくなっても、ユーザに通知して、燃料の補給などを促すようにすればよい。
図6は、図3および図4のステップa4からステップa23までの手順に従うバッテリ状態監視の例を示す。図3のステップa4でユーザがイグニッションスイッチをOFFにしてエンジンを停止させると、エンジン回転も停止する。エンジン回転が停止してから、ステップa5での車両暗電流検出を行い、車両暗電流に基づいて、ステップa6では1日当りの電圧降下分を算出する。ステップa7ではバッテリ電圧がエンジン自動始動開始電圧V0まで降下するまでの日数を駐車可能日数として算出し、ステップa8のバッテリ状態監視開始を行う。監視周期は、ステップa9で、駐車可能日数を整数値nで除算して決定する。以下、ステップa11で状態監視周期になれば、バッテリ電圧を取得して、日数計算を行い、バッテリ電圧がエンジン自動始動開始電圧V0になる時点を監視する。
すなわち、バッテリ監視手段としてのバッテリ状態監視処理部12は、エンジンの運転中の監視結果、スタータの監視結果、およびエンジン停止後に電圧センサ16が検出するバッテリ2の出力電圧と電流センサ17が検出する車両暗電流とに基づいて、バッテリ2の出力電圧が自動始動開始電圧V0に低下するまでの車両放置可能日数を算出するので、車両放置可能日数を精度よく算出することができる。エンジン停止後のバッテリ状態監視を、車両放置可能日数を予め定める整数値nで除算した周期で行うので、バッテリ監視による電力消費を抑制し、かつ確実にバッテリ状態の監視を続けることができる。整数値nを大きくすれば、監視の精度を高め、整数値nを小さくすれば、監視による電力消費を抑制することができる。したがって、監視周期を決定するために駐車可能日数を除算する整数値nを適切に設定すれば、監視周期は一定でもよい。
ステップa14や、a17、a23のバッテリ監視周期更新では、二点鎖線で囲んで示すように、バッテリ電圧が低ければ、監視周期を短くして、確実にエンジンを始動させるようにすることが好ましい。バッテリ電圧が高いうちは、監視周期は長くてもよい。したがって、エンジン停止後のバッテリ状態監視で、電圧センサ16が検出するバッテリ2の出力電圧と自動始動開始電圧V0との差に対応するように、監視周期を変更するようにすれば、さらに確実なバッテリ監視を行うことができる。バッテリ2出力電圧と自動始動開始電圧V0との差が大きいうちは監視の周期が長くなるようにするので、状態監視によるバッテリ2への負担を軽減することができる。出力電圧と自動始動開始電圧V0との差が小さくなれば、監視周期を短くして、出力電圧が自動始動開始電圧V0になる時点を精度よく判断して、確実にエンジンを始動させてバッテリ2の充電を行わせることができる。
図7は、図3のステップa12からステップa16までの手順に従い、バッテリ電圧がエンジン自動始動開始電圧V0になると予想されるまでに所定日数の余裕があるように、通知を行うための判断基準となる通知電圧閾値V1[V]を設定する例を示す。バッテリ電圧は、バッテリ2の内部抵抗の増大や容量低下などのバッテリ状態の変化や車両暗電流の大きさによって、駐車放置時の電圧低下速度が変化する。そのため、エンジン自動始動前に、ステップa16でユーザに通知する判断の基準となる通知電圧閾値V1を、通知から必ず所定日数、たとえば3日以上確保することができる値に設定する。たとえば実線で示すように、電圧低下速度が破線で示すよりも遅ければ、通知電圧閾値V1をエンジン自動始動開始電圧V0に近く設定することができる。このように、通知電圧閾値V1を、バッテリ状態と車両暗電流に応じて、通知から必ず所定日数以上確保することができる値に設定することによって、バッテリ状態や暗電流によって、通知からエンジン自動始動開始日数がばらつくのを抑制することができる。
バッテリ監視装置10が勝手にエンジン自動始動制御を行うのではなく、エンジン自動始動制御を行う所定日数前に予めユーザへ通知することによって、ユーザがエンジンを始動することができる状態であれば、ユーザがエンジンを始動するように促すことができる。ユーザがどうしてもエンジンを始動することができない婆合いのみ、許可応答に応じてエンジン自動始動制御を実行する。バッテリ電圧が自動始動開始電圧V0に達する前にユーザがエンジンを始動すると、ステップa20からステップa23までのバッテリ状態監視の手順を中断して、ステップa1のエンジン始動に移行することになる。
また、エンジンを自動的に始動する制御は、ステップa16でのユーザに対する通知後、ユーザからの自動開始許可応答がなく、かつステップa22でバッテリの出力電圧が自動始動開始電圧V0になると判断されても、エンジンが始動されない場合に、ステップa24で行うようにしている。このような手順で、ユーザが通知に応答するのを可能な限り待ってから、自動的なエンジン始動を開始する制御を行うことができる。
図8は、図4のステップa29での燃料噴射量切換え処理の例を示す。図1のエンジン制御部4では、エンジン回転速度と燃料供給量との関係を示すマップに従って、エンジンにインジェクタから噴射する燃料の噴射量を制御している。このようなマップでは、代表値の対応関係が示されており、中間の値については補間して求めることができる。通常時のエンジン制御用のマップは、車両の走行を前提として設定されているので、エンジンからの出力は発電機を駆動するのに必要な出力よりも大きくなる。バッテリ2の充電のためのエンジンの運転では、発電機を駆動するのに必要な燃料のみを供給するように、燃料の供給量を、通常時の約70%程度に低減して、燃料の消費量を削減する。燃料補正処理部15は、エンジン制御部4で燃料噴射の制御に用いるマップを切換えて、このように、バッテリ2を充電させるためのエンジンの運転中は、エンジンの燃料消費を低減する制御を行うので、燃料を節約して長時間にわたるバッテリ2の充電が可能となり、駐車状態などでの放置が長期間になっても、バッテリ上がりの状態になることを有効に防止することができる。
図9は、図4のステップa31で充電終了燃料閾値演算を行う考え方を示す。充電終了燃料閾値算出部30は、たとえば図1のバッテリ状態監視処理部12の一つの機能として実現される。充電終了燃料閾値算出部30には、ナビゲーション装置5からガソリンスタンドなど、燃料の補給が可能な施設の位置を示すスタンド情報や、自車両に現在位置である自車位置情報が通知される。不揮発性メモリ6には、実際の燃料消費量と走行距離との実績に基づく平均の燃費情報が記憶されており、充電終了燃料閾値算出部30で読出すことができる。たとえば、自車位置から最寄のスタンドまでの距離が26[km]であり、平均燃費が13[km/L]であるとすれば、充電終了燃料閾値は2[L]確保するようにすればよい。なお、「L」は燃料の体積の単位である「リットル」を表すものとする。平均燃費で走行することに不安があれば、充電終了燃料閾値を、2[L]+オフセット量として、余裕をもたせればよい。
このように、エンジンの燃料の残量についての閾値を、自車両の現在位置情報、燃料補給施設の位置情報、およびエンジンの燃費情報に基づいて決定ので、自車両がガソリンスタンドなどの燃料補給施設に走行するのに必要な燃料の残量が確保されるように、バッテリ2の充電のためのエンジンの運転を行うことができる。
また、図5のステップa43で、エンジンの燃料の残量が閾値以下になって、ステップa46でバッテリを充電させるための運転を停止させた後では、ステップa50でのユーザによるエンジンの始動の際に、ステップa51で閾値を決定する基となる燃料補給施設の位置情報を通知するように制御する。これによって、ユーザは、エンジンの始動の際に、ガソリンスタンドなどの燃料補給施設まで車両を容易に走行させて燃料を補給することができる。
図10は、図4のステップa26で、充電電圧V2[V]を算出する例を示す。ステップa25で、ユーザから車両放置日数入力有りと判断する場合は、入力図3のステップa15で、バッテリ電圧がバッテリ劣化通知電圧閾値V1[V]となった場合に、ステップa16で、ユーザの通信送受信装置7へエンジン自動始動制御が後何日後に開始されるかを通知している。この通知に対して、ユーザは、通信送受信装置7で許可応答を行うとともに、車両放置日数を応答することができる。車両放置日数は、ユーザへの通知日から放置可能な日数である。すなわち、車両放置日数が10日と応答されれば、放置日数を最低でも10日としうる充電電圧V2[V]を目標充電電圧に設定する必要がある。なお、たとえば車両放置日数として大きな数値を入力すれば、無条件に、バッテリ2の最大充電容量までの満充電を行うようにすることも可能であるけれども、充電することにより無駄な燃料消費があるため、満充電を行うか否かはユーザの判断に委ねられる。
目標充電電圧を算出する目標電圧算出部31は、たとえば図1のバッテリ状態監視処理部12の一つの機能として実現される。目標電圧算出部31が目標充電電圧を算出する場合には、不揮発メモリ6などに記憶しておく暗電流による1日当りの電圧降下分を読出し、1日当りの電圧降下分と車両放置日数との積を、バッテリ劣化通知電圧閾値V1に加えて目標の充電電圧V2とする。たとえば、1日当りの電圧降下分が0.04Vであった場合には、後10日放置すること可能にするため、V1[V]+(0.04[V/日]×10[日])=目標電圧V2の演算を行う。充電後に、バッテリ電圧がバッテリ劣化通知電圧閾値V1以下に低下すれば、同様にステップa16の通知が行われる。
図11は、図10のようなユーザからの許可応答がない場合の例を示す。バッテリ電圧がバッテリ劣化通知電圧閾値V1[V]となった場合に、ユーザへエンジン自動始動開始制御を行うことを通知し、後何日後に開始するかを通知しても、ユーザから許可応答があっても放置日数についての入力がない場合、または許可応答自体が得られない場合は、最低でもある所定日数以上車両放置が可能となるように目標の充電電圧V2[V]を設定する。まお、図5のステップa42でバッテリ電圧が充電電圧V2[V]よりも低いと判断する場合に、ステップa43で閾値と比較する残存燃料に関する情報は、バッテリ状態監視処理部12がLANライン20を介してメータECU21から取得することができる。
図12は、図3のステップa2でのバッテリ状態およびスタータ状態を検出する処理のうち、スタータ駆動による充放電電気量検出処理の手順を示す。この手順は、たとえばステップa2の処理から呼出すサブルーチンとしてスタートし、ステップb1ではスタータ駆動か否かを判断する。この判断は、スタータへの通電の有無に基づいて行う。スタータ駆動と判断すると、ステップb2で、電流センサ17が検出するバッテリ2の出力電流に基づく放電電気量算出を開始する。放電電気量は、単位時間毎にバッテリ2の出力電流を積算して算出する。ステップb3では、算出処理開始から所定時間が経過しているか否かを判断する。所定時間が経過していないと判断するときは、ステップb4でエンジンの始動が完了したエンジン完爆の状態となっているか否かを判断する。この判断は、スタータの負荷の変化などから行うことができる。エンジン完爆となっていないと判断するときは、ステップb3に戻る。ステップb4で、エンジン完爆と判断するときは、ステップb5でバッテリ2の出力電流に基づく放電電気量算出を終了し、算出結果の積算値を記憶する。この記憶は、バッテリ監視装置10の内部の不揮発メモリ、または外部の不揮発メモリ6に行う。これらの不揮発メモリには、複数のバッファを設けておき、複数回のエンジン始動に関して放電電気量をそれぞれ記憶しておく。複数のバッファには順番に放電電気量を記憶しておき、最後まで記憶されると、最初のバッファの放電電気量を、新たな放電電気量で上書きするようにすればよい。ステップb6では、バッファに記憶されている放電電気量に基づいて、スタータ駆動に必要な放電電気量を決定する処理を行う。この処理では、バッファに複数の放電電気量が記憶されていれば、その平均値や最大値などを放電電気量として決定することができる。ステップb1でスタータが駆動されないとき、ステップb3で所定時間が経過したとき、またはステップb6が終了すると、ステップb7で算出終了となり、ステップb8で元の手順に戻る。
図13は、図3のステップa2でのバッテリ状態およびスタータ状態を検出する処理のうち、バッテリ容量検出処理の手順を示す。この手順は、たとえばステップa2の処理から、図12の手順に続いて呼出すサブルーチンとしてスタートし、ステップc1でエンジン完爆後所定時間経過か否かが判断される。図12のステップb4でのエンジン完爆の判断がない場合は、その後に所定時間が経過することもありえない。所定時間経過と判断するときは、ステップc2でバッテリ容量検出を開始する。バッテリ容量は、電流センサ17が検出するバッテリ2の出力電流をバッテリ電流として積算して求める。ステップc3では、電圧センサ16が検出するバッテリ2の出力電圧をバッテリ電圧として記憶する。ステップc4では、バッテリ電流の積算値が基準値|Io|以上となるのを待つ。バッテリ電流の積算値≧|Io|となると、ステップc5でバッテリ電圧を記憶する。ステップc6では、バッテリ電圧が1V上昇または下降するのに必要な充電電流積算値または放電電流積算値としてバッテリ容量を算出する。算出したバッテリ容量は、バッテリ監視装置10の内部に設けるバッファに記憶する。ステップc7では、ステップc3およびステップc5でのバッテリ電圧記憶の回数が予め定める整数値N以上となるか否かを判断する。回数がN以上でなければ、ステップc8で、バッテリ容量決定処理を行う。Nは、不揮発メモリ6などに設けるバッファの数であり、ステップc8では、たとえばN回算出されているバッテリ容量の平均値を最終的なバッテリ容量として決定する。ステップc1で所定時間経過していないと判断するとき、またはステップc8の終了後に、ステップc9で算出を終了し、ステップc10でスタータ駆動時の電圧降下値を算出する。スタータ駆動時の電圧降下値は、図2に斜線を施して示す部分に対応している。ステップc10の終了後、ステップc11で元の手順に戻る。
図14は、図12および図13の手順で処理するデータの変化の例を示す。スタータの駆動開始からエンジン完爆までは、図12に示すスタータ駆動による充放電電気量検出に対応する。スタータ駆動を開始すると、バッテリ電流は急激に増大する。エンジン完爆と判断すると、スタータの駆動を停止する。スタータ駆動開始から駆動停止までの期間、バッテリ電流を積算し、この積算値を記憶しておいて、充放電電気量を算出する。
図13に示すバッテリ容量検出の手順は、エンジン完爆の判断後、所定時間To[sec]経過後に開始する。すなわち、スタータ駆動による充放電電気量検出完了からある所定時間経過時に検出を開始する。ステップc3では、開始時点での電圧値記憶Aが得られる。計測開始後、電流積算値が所定値Io[Asec]もしくは−Io[Asec]となった時点であるステップc5で電圧値記憶Bが得られる。電圧値記憶Aと電圧値記憶Bとの差の絶対値をγ[V]とすると、γ[V]=|電圧値記憶A−電圧値記憶B|となる。バッテリ電圧が1[V]低下(上昇)するのにどれだけの電気量が必要かを換算するために、1[V]/γ[V]×Io[Asec]を計算する。この計算値が、1[V]当りに必要な充放電電気量となる。
たとえば、電圧値記憶A=12.1V、電圧値記憶B=12V、閾値Io=100[Asec]とすると、1[V]当りに必要な充放電電気量としてのバッテリ容量は、次のように求めることができる。
バッテリ容量(1[V]当りの充放電電気量)
=1/(|12.1−12|)×100[Asec]
=1000[Asec]
図13のステップc8では、このような演算でN個のバッファの全てにバッテリ容量が記憶されている状態で、たとえば平均値を最終的なバッテリ容量(1V[V]当りに必要な充放電電気量)として決定する処理を行う。ステップc10のスタータ駆動時の電圧降下値算出では、図12で算出するスタータ駆動による充放電電気量算出結果と、図13のステップc8で決定するバッテリ容量とから、スタータ駆動による低下電圧を算出する。この電圧低下は、スタータ駆動による充放電電気量を1[V]当りの充放電電気量で除算して求められる。たとえば、スタータ駆動による充放電電気量=2000[Asec]とし、1[V]当りの充放電電気量=1000[Asec]とすると、スタータ駆動時に発生する電圧低下は、2000[Asec]/1000[Aec/V]=2[V]となる。
図15および図16は、図3のステップa16で行うエンジン自動始動実施までの日数を通知することについて、実施の他の形態として、ステップa5以降に対応する制御手順を示す。この制御手順は、図3〜図5と同様に、バッテリ状態監視処理部12によって実行される。本制御手順で、図3〜図5と同様に行う部分は、重複する説明を省略する。
ステップd1では、イグニッションスイッチをOFFにして、ステップa4のエンジン停止後、所定条件が成立しているか否かを判断する。成立していないと判断すれば、元の処理に戻る。成立していると判断するときは、ステップd2でバッテリ電圧を記憶し、ステップd3では不揮発メモリ6であるEEPROMから放電電気量を読出す。ステップd4では、1日当りの電圧降下値を算出し、ステップd5では駐車可能日数を算出する。ステップd5では、駐車可能日数をユーザに通知する。
ステップd1でイグニッションスイッチOFF後所定条件成立と判断するときは、ステップd2からステップd6までの手順と並行して、ステップd7からの手順も行われる。ステップd7では、駐車時にも作動させる車載機器などのシステムでの放電がないか否かを判断する。放電があるときには、ステップd8で放電電気量をリセットし、ステップd7に戻る。ステップd8で放電なしと判断するときは、ステップd9で、放電電気量算出を開始する。ステップd10では、前回放電電気量を算出してから所定時間が経過しているか否かを判断する。経過していなければ、ステップd7に戻る。ステップd10で所定時間経過と判断するときは、ステップd11で、1日当りの放電電気量を算出する。
1日当りの放電電気量算出では、ステップd1でのイグニッションスイッチOFFの判断後の所定条件成立から、ステップd9からステップd10で、To[sec]間、放電電気量を算出する。算出した放電電気量から、ステップd11では、1日当りの放電電気量を算出する。1日は、86400[sec]であるので、
1日当りの放電電気量=放電電気量×(86400[sec]/To[sec])
となる。たとえば、放電電気量を4[Asec]、Toを3600[sec]とすると、
1日当りの放電電気量=4×(86400/3600)=96[Asec]
となる。
ステップd12ではEEPROMから放電電気量を読出す。ステップd13では、放電電気量の記憶値と算出値との差の絶対値が所定値以上となっているか否かを判断する。もし、不揮発メモリ6としてのEEPROMに1日当りの放電電気量が48[Asec]であれば、96−48=48[Asec]となる。この差は、変動することがあるので、ステップd13では閾値となる所定値をたとえば10[Asec]とする。差が48[Asec]であれば、閾値以上となるので、追加ユニット有りと判断される。したがって、ステップd14で放電電気量が上書きされる。ステップd15では、バッテリ電圧の記憶を行う。
ステップd16では、1日当りの放電電気量から、1日当りの電圧低下値を算出する。この場合は、次のようになる。
1日当りの電圧低下値=96/1000=0.096[V]
ステップd17では、駐車可能日数演算部11が駐車可能日数を算出する。図2に示すスタータ始動不能電圧Vzを6[V]とすると、前述のようなスタータ駆動時に発生する電圧低下が2[V]あれば、最低でも、次回のエンジン始動時までに8[V]のバッテリ電圧を確保しておく必要がある。すなわち、スタータ始動不能電圧Vsは8[V]となる。この8[V]の電圧を確保しておかないと、エンジン始動時にスタータ始動不能となって、いわゆるバッテリ上がりとなる。ここで、エンジン停止後に記憶した電圧値を11[V]とし、車両暗電流による1日当りの電圧低下値を0.048[V]とすると、車両放置可能日数は、次のようになる。
(11[V]−8[V])/0.048[V]=62.5[日]
これを車両放置日数としてユーザに通知する。ただし、前述のような追加ユニットがあった場合などには、車両放置可能日数を再計算する。追加ユニット有りと判断したときの電圧記憶値を10.999[V]とすると、車両放置可能日数の再計算値は、次のようになる。
(10.999[V]−8[V])/0.096[V]=31.23[日]
ステップd18では駐車可能日数通知と追加ユニット有りとを通知する。ステップd6またはステップd18が終了し、またはステップd13で差の絶対値が所定値以上ではないと判断するときは、図16のスタート2へ移行する。
図16は、駐車時にも作動する車載機器についての駐車時作動システムに関する通知の手順を示す。スタート2からステップd20で、駐車時作動システムが作動中であるか否かを判断する。作動中と判断するときは、ステップd21で、放電なしであるか否かを判断する。放電なしの判断のときは、ステップd22でバッテリ電圧を記憶し、ステップd23で駐車可能日数を前述のように算出する。ステップd24では、駐車可能日数通知と駐車時作動システムが作動された旨をユーザに通知する。
ステップd21で放電有りと判断するときは、ステップd25で、放電有り所定時間経過か否かを判断する。所定時間経過でないと判断するときは、ステップd26で、放電積算値が所定値以上になっているか否かを判断する。放電積算値が所定値以上になっていなければステップd21に戻る。ステップd26で放電積算値が所定値以上になっていると判断するときは、ステップd27でバッテリ電圧を記憶し、ステップd28で駐車可能日数を算出する。ステップd29では、駐車可能日数通知と駐車時作動システムにより著しい放電が発生している旨を通知する。
ステップd25で放電有りから所定時間が経過していると判断するときは、所定時間経過までに、ステップd26の判断では放電積算値が所定値以上にはなっていない場合であり、ステップd30でバッテリ電圧を記憶し、ステップd31で駐車可能日数を算出する。ステップd31では、駐車可能日数通知と、駐車時作動システムが長時間作動されている旨を通知する。ステップd20で駐車時作動システムが作動中ではないと判断するとき、またはステップd24、ステップd32、ステップd29が終了すれば、ステップd33で元の手順に戻る。
図17は、図15の制御手順で制御を行う例を示す。ステップd1での所定条件は、たとえば、オルタネータ8からの発電信号がOFFになってオルタネータ8が駆動停止になり、エンジン回転数が0になってエンジン回転無しになり、バッテリ電流が放電無しになることで成立する。この条件成立後、ステップd2からステップd6までの手順で、駐車可能日数がユーザに通知される。ステップd7からステップd10までの手順で任意時間T[sec]が経過した後、ステップd13の判断に従って、EEPROMから読出した放電電気量と算出した放電電気量との差が所定値以上のときのみ、ステップd18で2回目の駐車可能日数ユーザ通知が行われる。
図18、図19および図20は、図16の制御手順が関連する例を示す。1回目と2回目の駐車可能日数ユーザ通知は図17と同様に行う。2回目の通知後、または2回目の通知がない1回目の通知後、駐車作動システムとして、他のECUが起動されて作動すると、ステップd20で作動中と判断される。この判断後、ステップd24、ステップd32またはステップd29での駐車可能日数ユーザ通知がそれぞれ行われる。図18では、駐車可能日数に変化がなければ、通知しなくても良い。
以上のように、車両制御装置としてのバッテリ上がり防止装置1は、運転中のエンジンで駆動される発電機で充電され、エンジン停止中に車載機器に電力を供給するバッテリ2を備える車両で、バッテリ2の充電状態を、エンジン始動が可能な状態に維持する制御を行う。バッテリ監視装置10は、電圧センサ16および電流センサ17の検出結果に基づき、エンジン始動の能力に関するバッテリ2の状態を監視するので、バッテリ2によるエンジン始動の能力を精度よく把握することができる。バッテリ状態監視処理部12は、エンジン始動時に、電圧センサ16が検出するバッテリ2の出力電圧から電圧降下分を算出し、算出した電圧降下分に基づいてエンジン始動用のスタータの状態を監視するので、スタータにロックなどの異常が発生している状態を精度よく把握することができる。バッテリ状態監視処理部12は、スタータおよびバッテリ2の監視結果に基づいて、バッテリ2をエンジンの始動が可能な状態に保つために、エンジンを始動して充電を開始すべき自動始動開始電圧V0を、スタータ状態を加味して設定するので、適切な電圧を設定することができる。バッテリ状態監視処理部12は、電圧センサ16によって検出されるバッテリ2の出力電圧が自動始動開始電圧V0になると、エンジンを自動的に始動させてバッテリ2を充電させる制御を行うので、バッテリ2がエンジン始動可能な状態であるうちにエンジンを始動して充電を行い、エンジン始動可能な状態を確実に維持することができる。自動始動開始電圧V0の設定は、車載器機に暗電流を供給している状態で行うので、電源経路を遮断しなくても、バッテリの状態やスタータの状態に基づいて、確実にエンジンを再始動してバッテリ上がりを防止することができる。
また図3に示すように、バッテリ状態監視処理部12は、エンジン停止後のバッテリ状態監視で、電圧センサ16が検出するバッテリ2の出力電圧が、自動始動開始電圧V0より高く設定される閾値電圧V1以下になると、車両放置可能日数を含む情報を、ユーザに対して通知する。ユーザはエンジンが自動的に始動される前に車両放置可能日数を含む情報を知ることができる。
図6は、この閾値電圧V1を、車両放置可能日数が所定日数以上となるように、バッテリ2の状態および車両暗電流に応じて変更することを示す。このように変更すれば、ユーザは通知を受けても所定日数以上の車両放置可能日数があることを保証される。
また図4のステップa26では、充電終了電圧V2を、ユーザからの自動開始許可応答で車両放置希望日数が応答される場合、応答された車両放置希望日数に応じて決定する。ユーザの希望する日数の放置が可能な充電状態までエンジン自動起動運転が行われる。なお、ユーザからの自動開始許可応答で車両放置希望日数が応答されない場合でも、所定日数以上放置可能なように充電終了電圧V2を決定するので、所定日数以上の放置が可能な充電を確実に行うことができる。
またエンジンを自動的に始動させる際には、電源カット処理部13がスイッチ18を制御して、補機類9としての予め定める車載機器、たとえばエアコンなどへの電力供給を停止する制御を行うことができる。予め定める車載機器への電力供給を停止する制御を行えば、バッテリの負荷を軽減してエンジンを始動することができる。ただし、エンジン始動の際に電力供給を全部停止するのではなく、ボディECU22による制御で、停止する車載機器から、車室の照明用の機器を除くようにするので、ドアカーテシや車内イルミネーションなどの照明を点灯しているような場合、消灯しないでバッテリ充電のためのエンジン始動を行うことができる。
またユーザが車両へ乗車した場合には、バッテリ充電のためのエンジンを始動時の車載器機への電力供給の停止を解除し、エンジンの燃料消費を低減する制御を行っていれば、燃料消費低減の制御も解除する。ユーザが車両へ乗車した場合に、エアコンなどの車載機器への電力供給を行いながらバッテリ充電のためのエンジン始動を行うことができる。ユーザは、車載器機の使用を制限されない。エンジンの燃料消費を低減する制御を行っていれば、燃料消費低減の制御も解除するので、エンジンは走行時と同様に運転され、ユーザが車両の走行を開始することも容易となる。
また、エンジンは、内燃機関ばかりではなく、燃料電池などであっても、本発明を同様に適用することができる。燃料は、液体の場合ばかりではなく、気体であってもよい。
本発明の実施の一形態である車載制御装置であるバッテリ上がり防止装置1の概略的な電気的構成を示すブロック図である。 本発明でバッテリ上がりを防止する基本的な考え方を示す図である。 図1のバッテリ監視装置10が行う処理の全体的な手順の初めの部分を示すフローチャートである。 図1のバッテリ監視装置10が行う処理の全体的な手順の中間の部分を示すフローチャートである。 図1のバッテリ監視装置10が行う処理の全体的な手順の終りの部分を示すフローチャートである。 図3および図4のステップa4からステップa23までの手順に従うバッテリ状態監視の例を示すタイムチャートである。 図3のステップa12からステップa16までの手順に従い、通知電圧閾値V1[V]を設定する例を示すタイムチャートである。 図4のステップa29での燃料噴射量切換え処理の例を示す図表である。 図4のステップa31で充電終了燃料閾値演算を行う考え方を示す図である。 図4のステップa26で、充電電圧V2[V]を算出する例を示す図である。 図10のようなユーザからの許可応答がない場合の例を示す図である。 図3のステップa2でのバッテリ状態およびスタータ状態を検出する処理のうち、スタータ駆動による充放電電気量検出処理の手順を示すフローチャートである。 図3のステップa2でのバッテリ状態およびスタータ状態を検出する処理のうち、バッテリ容量検出処理の手順を示すフローチャートである。 図12および図13の手順で処理するデータの変化の例を示すタイムチャートである。 本発明の実施の他の形態として、図3のステップa5以降に対応する制御手順の前半部分を示すフローチャートである。 本発明の実施の他の形態として、図3のステップa5以降に対応する制御手順の後半部分を示すフローチャートである。 図15の制御手順で制御を行う例を示すタイムチャートである。 図16の制御手順で制御を行う例を示すタイムチャートである。 図16の制御手順で制御を行う例を示すタイムチャートである。 図16の制御手順で制御を行う例を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 バッテリ上がり防止装置
2 バッテリ
4 エンジン制御部
5 ナビゲーション装置
6 不揮発メモリ
7 通信送受信装置
8 オルタネータ
9 補機類
10 バッテリ監視装置
11 駐車可能日数演算部
12 バッテリ状態監視処理部
13 電源カット処理部
14 処理部
15 燃料補正処理部
16 電圧センサ
17 電流センサ
18 スイッチ
21 メータECU
22 ボディECU
30 充電終了燃料閾値算出部
31 目標電圧算出部

Claims (18)

  1. 運転中のエンジンで駆動される発電機で充電され、エンジン停止中に車載機器に電力を供給するバッテリを備える車両で、バッテリの充電状態を、エンジン始動が可能な状態に維持する制御を行う車両制御装置であって、
    バッテリの出力電圧を検出する電圧検出手段と、
    バッテリの出力電流を検出する電流検出手段と、
    電圧検出手段および電流検出手段の検出結果に基づき、エンジン始動の能力に関するバッテリの状態を監視するバッテリ監視手段と、
    エンジン始動時に要する放電電気量よりスタータの状態を監視するスタータ監視手段と、
    スタータ監視手段およびバッテリ監視手段の監視結果に基づいて、スタータ駆動時に発生する電圧降下分を算出し、バッテリをエンジンの始動が可能な状態に保つために、エンジンを始動して充電を開始すべき自動始動開始電圧V0を、電圧降下分に基づいて設定する電圧設定手段と、
    電圧検出手段によって検出されるバッテリの出力電圧が自動始動開始電圧V0になると、エンジンを自動的に始動させてバッテリを充電させる制御を行う制御手段とを、含むことを特徴とする車両制御装置。
  2. 前記電圧設定手段は、前記自動始動開始電圧V0として、前記エンジンの始動が不能になるエンジン始動不能電圧を算出し、算出したエンジン始動不能電圧に予め定めるオフセット電圧を加算した電圧を設定することを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記バッテリを充電させるためのエンジンの運転中は、エンジンの燃料消費を低減する制御を行うことを特徴とする請求項1または2記載の車両制御装置。
  4. 前記バッテリ監視手段は、
    前記エンジンの運転中の監視結果、前記スタータ監視手段の監視結果、およびエンジン停止後に前記電圧検出手段が検出する前記バッテリの出力電圧と前記電流検出手段が検出する車両暗電流とに基づいて、バッテリの出力電圧が前記自動始動開始電圧V0に低下するまでの車両放置可能日数を算出し、
    エンジン停止後のバッテリ状態監視を、車両放置可能日数を予め定める整数値nで除算した周期で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両制御装置。
  5. 前記バッテリ監視手段は、前記エンジン停止後のバッテリ状態監視で、前記電圧検出手段が検出する出力電圧と前記自動始動開始電圧V0との差に対応するように、前記周期を変更することを特徴とする請求項4記載の車両制御装置。
  6. 前記バッテリ監視手段は、前記エンジン停止後のバッテリ状態監視で、前記電圧検出手段が検出する出力電圧が、前記自動始動開始電圧V0より高く設定される閾値電圧V1以下になると、前記車両放置可能日数を含む情報を、ユーザに対して通知することを特徴とする請求項4または5記載の車両制御装置。
  7. 前記バッテリ監視手段は、前記閾値電圧V1を、前記車両放置可能日数が所定日数以上となるように、前記バッテリの状態および前記電流検出手段が検出する車両暗電流に応じて変更することを特徴とする請求項6記載の車両制御装置。
  8. 前記制御手段は、前記エンジンを自動的に始動する制御を、前記バッテリ監視手段による前記ユーザに対する通知後、ユーザからのエンジン自動始動開始許可応答が有り、またはユーザからの自動始動開始許可応答がなく前記バッテリの出力電圧が前記自動始動開始電圧V0になっても前記エンジンが始動されない場合に行うことを特徴とする請求項6または7記載の車両制御装置。
  9. 前記制御手段は、前記バッテリを充電させるためのエンジンの運転を、エンジン始動後、前記電圧検出手段が検出する前記出力電圧が予め定める充電終了電圧V2になるか、またはエンジンの燃料の残量が閾値以下になると、停止するように制御することを特徴とする請求項8記載の車両制御装置。
  10. 前記制御手段は、前記エンジンの燃料の残量についての閾値を、自車両の現在位置情報、燃料補給施設の位置情報、およびエンジンの燃費情報に基づいて決定することを特徴とする請求項9記載の車両制御装置。
  11. 前記制御手段は、前記エンジンの燃料の残量が閾値以下になって前記バッテリを充電させるための運転を停止させた後で、ユーザによるエンジンの始動の際に、前記閾値を決定する基となる燃料補給施設の位置情報を通知するように制御することを特徴とする請求項10記載の車両制御装置。
  12. 前記制御手段は、前記充電終了電圧V2を、前記ユーザからの自動開始許可応答で車両放置希望日数が応答される場合、応答された車両放置希望日数に応じて決定することを特徴とする請求項8〜11のいずれか1つに記載の車両制御装置。
  13. 前記制御手段は、前記充電終了電圧V2を、前記ユーザからの自動開始許可応答で車両放置希望日数が応答されない場合、所定日数以上放置可能なように決定することを特徴とする請求項8〜12のいずれか1つに記載の車両制御装置。
  14. 前記制御手段は、前記エンジンを自動的に始動させる際に、予め定める車載機器への電力供給を停止する制御を行うことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の車両制御装置。
  15. 前記制御手段は、前記予め定める車載機器から、車室の照明用の機器を除くことを特徴とする請求項14記載の車両制御装置。
  16. 前記制御手段は、ユーザが車両へ乗車した場合に、前記バッテリ充電のためのエンジンを始動時の前記車載器機への電力供給の停止を解除し、エンジンの燃料消費を低減する制御を行っていれば、燃料消費低減の制御も解除することを特徴とする請求項14または15記載の車両制御装置。
  17. 前記制御手段は、前記バッテリを充電させる制御の実行後に、充電結果を含む予め定める情報を、ユーザに通知するように制御することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の車両制御装置。
  18. 運転中のエンジンで駆動される発電機で充電され、エンジン停止中に車載機器に電力を供給するバッテリを備える車両で、バッテリの充電状態を、エンジン始動が可能な状態に維持する制御を行う車両制御方法であって、
    バッテリの出力電圧とバッテリの出力電流との検出結果に基づき、エンジン始動の能力に関するバッテリの状態を監視して、エンジン始動時に要する放電電気量よりスタータの状態を監視し、
    スタータおよびバッテリの監視結果に基づいて、スタータ駆動時に発生する電圧降下分を算出し、バッテリをエンジンの始動が可能な状態に保つために、エンジンを始動して充電を開始すべき自動始動開始電圧V0を、電圧降下分に基づいて設定し、
    バッテリの出力電圧が自動始動開始電圧V0になると、エンジンを自動的に始動させてバッテリを充電させる制御を行うことを特徴とする車両制御方法。
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