JP2006326544A - フィルタ枠体およびフィルタユニット - Google Patents

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Taira Omori
平 大森
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Abstract

【課題】
新たにフィルタユニットを使用する際には濾材をフィルタ枠体に容易に取り付けることが可能で、また、洗浄再生する際には濾材をフィルタ枠体から容易に取り外したり再取り付けたりできる、高捕集性能、低圧力損失および長寿命のフィルタ枠体およびフィルタユニットを提供する。
【解決手段】
互いに嵌合可能な上枠と下枠とを備え、その上枠および下枠のそれぞれには、嵌合した際互いに干渉しない位置に複数本の桟が設けられているフィルタ枠体に濾材を取り付け、かつ、その濾材を、フィルタ枠体の上枠および下枠に設けられた桟に交互に通しながらプリーツ形状を形成してフィルタユニットとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気中の微細な粉塵を取り除くために好適に使用されるフィルタユニットおよびフィルタ枠体に関する。
ビル空調や一般オフィスや工場などの空調では、空気中の微細な粉塵を取り除くためにフィルタユニットが設置されている。特に空気中の大きな粉塵を取り除くために粗塵用の濾材およびフィルタユニットが設置されている。粗塵用の濾材として、比較的密度の低い不織布が使用されているが、その濾材は、粉塵を捕集して所定の圧力損失まで上昇したらフィルタ枠体から取り外し、洗浄再生し、再度、フィルタ枠体に取り付け使用される。したがって、従来の粗塵用フィルタユニットは、特許文献1に記載されているような濾材そのものに密度勾配を設けた構造が多く、それを平面パネル状で使用するものがほとんどである。また、より長寿命を達成するために特許文献2に記載のように濾材をプリーツ形状にして濾過面積を多くし、長寿命を図ったフィルタユニットも近年開発されている。しかしながら、このプリーツ形状をなしたフィルタユニットでは、濾材を取り外し、洗浄をするとプリーツの形状が無くなり、再取り付けの際に非常な手間を要するといった問題があった。
特開2004−290929号公報 特開2002−292230号公報
本発明は、かかる問題を解決するため、新たにフィルタユニットを使用する際には濾材をフィルタ枠体に容易に取り付けることが可能で、また、洗浄再生する際には濾材をフィルタ枠体から容易に取り外したり再取り付けたりできる、高捕集性能、低圧力損失および長寿命のフィルタ枠体およびフィルタユニットを提供することを目的するものである。
上記課題を解決するための本発明は、次の(1)〜(6)の構成を有するものである。
(1)互いに嵌合可能な上枠と下枠とを備え、該上枠および下枠のそれぞれには、嵌合した際互いに干渉しない位置に複数本の桟が設けられていることを特徴とするフィルタ枠体。
(2)前記上枠および下枠は、前記桟と平行する一方の枠辺で互いに連結されていることを特徴とする上記(1)に記載のフィルタ枠体。
(3)上記(1)または(2)に記載のフィルタ枠体に濾材が取り付けられており、かつ、該濾材は、フィルタ枠体の上枠および下枠に設けられた桟に交互に接しながらプリーツ形状をなしていることを特徴とするフィルタユニット。
(4)前記濾材はフィルタ枠体に脱着可能に取り付けられていることを特徴とする上記(3)に記載のフィルタユニット。
(5)濾材とフィルタ枠体とを備え、該濾材は該フィルタ枠体に脱着可能に取りつけられてプリーツ形状をなしていることを特徴とするフィルタユニット。
(6)前記濾材は、融点が異なる2種類以上の成分からなる繊維を用いて構成された不織布であり、該繊維は、一方の成分の融点が他方の成分の融点より20℃以上低い低融点成分を含むものであることを特徴とする上記(3)〜(5)のいずれかに記載のフィルタユニット。
本発明によれば、濾材のフィルタ枠体へ取り付けおよび取り外しが容易で、かつ、高い捕集性能と低い圧力損失とさらに長寿命を達成できるフィルタ枠体およびフィルタユニットを得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。
本発明のフィルタ枠体1は、互いに嵌合可能な上枠2と下枠3とを備えたものであり、上枠2および下枠3のそれぞれには、嵌合した際に互いに干渉しないように複数本の桟4、6が設けられている。上枠2および下枠3を形成する材料としては、金属やプラスティックなどが使用可能であり、特に限定するもではないが、繰り返し長期間使用が可能で寸法安定性に優れることからアルミニウムやステンレス等の金属が好ましく使用される。また、桟4、6も同様に材料を限定するものではないが、上枠2および下枠3を形成する素材と同様の素材が好ましい。
また、図1に示すフィルタ枠体1においては、上枠2と下枠3とが前記桟と平行する一方の枠辺で互いに連結されているこのように構成することで、濾材のフィルタ枠体1への取り付けおよび取り外しを容易に行うことが可能である。上枠2と下枠3との連結方法は、特に限定するものではないが、上枠2と下枠3とを連結し、さらに回動可能な状態であれば問題なく使用できる。すなわち、図1に示すように、上枠2と下枠3の連結部7(2箇所)を蝶番で連結したり、図9に示すような掛止部材8を一方の枠(図9の場合、下枠3)に設け、その掛止部材8に他方の枠(図9の場合、下枠2)を引っ掛けるようにして連結すればよい。また、連結部7としては、特にその数を限定するものではなく、フィルタ枠体の大きさや連結部の大きさを勘案し、任意に設定できるものである。
また、本発明のフィルタユニットは、上述したようなフィルタ枠体に濾材が取り付けられてなり、かつ、その濾材は、図2に示すようにフィルタ枠体1の上枠2および下枠3に設けられた桟に交互に接しながらプリーツ形状をなしていることを特徴とする。
ここで、上枠2および下枠3の桟6、4の形状は特に限定するものではないが、その断面形状が丸、楕円、矩形や多角形のものが好ましい。中でも、断面形状が丸や楕円の桟は、濾材5をフィルタ枠体1に取り付ける際に濾材を滑らかに送ることかでき、濾材5を傷つけにくいことから最も好ましい。また、桟4、6が回転可能な状態で設置されてあっても濾材5を滑らかに送ることができるため好ましい。
さらに、フィルタ枠体1に濾材5を把持させる方法としては、特に限定するものではないが、フィルタユニットとして使用されたときに濾過流体である空気の漏れが無いように把持する必要があり、枠辺にクリップなどで把持させることが好ましい。
濾材5は、厚さ方向に密度勾配をつけることが捕集性能の向上と寿命を長くする観点から好ましく、2種以上の繊維で構成された不織布であることも好ましい。また、濾材5として不織布を用いる場合、接着樹脂を含んでなるレジンボンド不織布や熱融着繊維などを含むサーマルボンド不織布や長繊維不織布のスパンボンド不織布などが使用できるが、捕集性能は繊維の表面積に深い関係があるので、接着樹脂などで繊維表面積が低下しないサーマルボンド不織布やスパンボンド不織布がより好ましい。
さらに、濾材5をフィルタ枠体1に取り付ける際には、上述したように濾材5がフィルタ枠体1の上枠2および下枠3に設けられた桟6、4に交互に接しながらプリーツ形状をなすことが必要であるが、そのためには、濾材5に上枠2と下枠3の桟6、4に追従する柔軟性が求められる。この観点から、濾材5は、融点が異なる2種類以上の成分からなる繊維を用いて構成され、かつ、その一方の成分の融点が他方の成分の融点より20℃以上低い低融点成分を含む不織布であることが好ましい。また、不織布の繊維間同士の接着性からも、このような低融点成分を含む繊維を用いて構成される不織布は好ましい。そして、該低融点成分を含む繊維は、低融点成分が表面側に配する芯鞘型の複合繊維であることが、不織布内部で繊維を均一に接着できるのでさらに好ましい。なお、この場合、濾材5は芯鞘型複合繊維のような低融点成分を含む繊維だけで構成されていてもよいが、さらに別の繊維とともに濾材5を構成していてもよい。
そして、濾材として不織布を用いる場合、目付が50〜500g/mの範囲であり、かつ、厚みが1〜30mmの範囲であることが好ましい。目付が、50g/m未満の場合は、繊維本数が少なく、不織布としての密度が低くなり、フィルタとしての捕集性能を得難いものとなる。また500g/mを越える場合は、繊維本数が多くなり過ぎ、フィルタとして圧力損失が高く、使用し難いものとなる。一方、厚みに関して、1mm未満の場合には、フィルタとして使用した際、空気中の粉塵を保持量が少なくなり、非常に短寿命のフィルタをなってしまうという問題が発生し易い。また、30mmを越える場合には、不織布、すなわち濾材が硬くなり、濾材をフィルタ枠体に配置し、上下枠を嵌合せしめプリーツ形状に保持することが困難になるという問題が発生する。
さらに、フィルタユニットには、難燃性を要求される用途が多く、従来は難燃剤を使用し、それを濾材に塗布し難燃性を得ていた。しかし、難燃剤にはダイオキシンなどの環境汚染物質が多く発生し易いものがあり問題となっているので、本発明においては、濾材5の構成繊維をいずれもポリエステル系の繊維とすることが好ましい。この結果、JIS L1091A−1法の区分3合格する濾材とすることできる。
実施例、比較例で示す特性値の測定方法は次の通りである。
A.圧力損失
JIS B9908記載の試験方法形式3の圧力損失試験で風量56m/分のとき測定した差圧とする。
B.捕集効率
JIS B9908記載の試験方法形式3の粒子捕集率試験で風量56m/分のとき測定した粒子捕集率とする。
C.寿命
JIS B9908記載の試験方法形式3の粉塵保持容量試験で風量56m/分のとき測定した粉塵保持容量とする。
D.難燃性
JIS L1091記載のA−1法(45°ミクロバーナー法)を用い、評価した。なお、難燃性とは、JIS L1091記載のA法の区分3合格とする。
E.濾材取り付け性
フィルタ枠体と所定の大きさに切りだした濾材を準備し、濾材をフィルタ枠体に取り付け、フィルタユニットとするまでの時間を測定し、1分以内に作成できるものを○とし、1分を越えるものを×として評価した。
<実施例1>
まず、図1に示すような、上枠と下枠とが蝶番で回動可能に連結されたアルミニウム製フィルタ枠体1を作製した。このフィルタ枠体1の外寸は幅610mm、高さ610mm、奥行き50mmであった。すなわち、下枠3は、図3、図4に示すように、断面形状がコの字型(厚さ1mmで各辺が10mm、50mm、10mm)の長さ610mm、のアルミニウム製部材31および断面形状がL字型(厚さ1mmで各辺が10mm、50mm)の長さ610mmのアルミニウム製部材32を2本ずつ用意し、それぞれが相対するように組合せ、さらにコの字型部材31間に、桟として、直径6mmのアルミニウム製丸棒41を14本幅方向に等間隔に配置した。なお、アルミニウム製丸棒41は、図5に示すように、アルミニウム製部材31の上端から10mmの高さに配置した。一方上枠は、直径4mmの亜鉛丸棒を用い、図6〜図8に示すように、それらが下枠3と嵌合せしめたときに桟4それぞれの中央および外側になるように15本の桟6を形成して構成した。また、高さ方向に関しては、下枠3と嵌合せしめたときに下枠の桟4の位置からさらに30mm低い位置になるようにした。
一方、濾材は、平均繊維長64mm、太さ14.4dtexのポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維(融点:270℃)と、低融点成分を含む繊維としての、平均繊維長64mm、太さ4.4dtexの、芯成分が融点255℃のポリエチレンテレフタレート系ポリエステル、鞘成分が融点150℃のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルからなる芯鞘型複合繊維(鞘成分のポリマー重量は70重量%)とを用い、これらの原綿がともに50重量%になるように混合し、開綿機とカード機を用いて目付70g/mのウェブを得た。次にこのウェブを2枚の穴あき鉄板の間に厚さが5mmになるように配置し、ウェブの厚み方向中心における温度が150℃になる温度で5分間熱処理し、濾材を得た。
そして、得られた濾材を、上記フィルタ枠体にプリーツ状に取り付けるのに必要な寸法(幅608mm、長さ1185mm)に切り出し、その濾材の端部をフィルタ枠体の蝶番を取り付けた辺に漏れの無いように取り付け、上下枠をゆっくりと嵌合し、濾材が実質的にプリーツ形状をなすよう、かつフィルタ枠体と濾材との間から空気が漏れないように取り付け、フィルタユニットを得た。
得られたフィルタユニットは、圧力損失52Pa、捕集効率77%、寿命503g/フィルタユニットであった。また、難燃性に関しては区分3に合格し、問題ないものであった。さらに、濾材取り付け性は、26秒で○であった。
<実施例2>
フィルタ枠体は実施例1と同じものを採用した。また、濾材は、平均繊維長76mm、太さ33dtexのポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維(融点:270℃)と、低融点成分を含む繊維としての、平均繊維長64mm、太さ22dtexの、芯成分が融点255℃のポリエチレンテレフタレート系ポリエステル、鞘成分が融点150℃のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルからなる芯鞘型複合繊維とを用い、これら原綿がともに50重量%になるように混合し、開綿機とカード機を用いて目付300g/mのウェブを得た。次にこのウェブを2枚の穴あき鉄板の間に厚さが15mmになるように配置し、ウェブの厚み方向中心における温度が150℃になる温度で5分間熱処理し、濾材を得た。これらを実施例1と同様に組合せフィルタユニットとした。
得られたフィルタユニットは、圧力損失75Pa、捕集効率86%、寿命484g/フィルタユニットであった。また、難燃性に関しては区分3に合格し、問題ないものであった。さらに、濾材取り付け性は、47秒で○であった。
<比較例1>
上枠を設けず、下枠に29本の桟全てを等間隔に配置した以外は実施例1と同様にフィルタユニットを得た。なお、隣接する桟は、取り付け高さが互いに30mm異なるように配置した。
得られたフィルタユニットは、圧力損失54Pa、捕集効率78%、寿命498g/フィルタユニットであった。また、難燃性に関しては区分3に合格し、問題ないものであった。しかしながら、濾材の取り付け性は、5分以上の時間を要し、×であった。この構成で濾材を脱着可能にすることはできないことが判明した。
<比較例2>
フィルタ枠体の奥行きを18mmとし、各辺の断面形状をコの字型とし、桟を設けなかった以外は実施例1と同じフィルタ枠体とした。濾材は、実施例2記載の濾材を用い、プリーツを形成しなかった以外は実施例2と同様に空気の漏れが無いようにフィルタ枠体に取り付け、フィルタユニットを得た。
得られたフィルタユニットは、圧力損失126Pa、捕集効率67%、寿命342g/フィルタユニットであった。また、難燃性に関しては区分3に合格し、問題ないものであった。しかしながら、濾材取り付け性は、桟が無く、濾材をプリーツ形状となさないので評価しなかった。
本発明は、空気中の微細な粉塵を取り除くために使用するフィルタ、特にビルや工場の空調用に用いられる空調フィルタシステムの粗塵用フィルタ、さらに車両塗装ブースのフィルタ用途などの分野に好適に適用可能である。
本発明の一実施形態に係るフィルタ枠体を模式的に示した概略斜視図である。 本発明の一実施形態に係るフィルタユニットの一部を示した概略断面図である。 図1に示すフィルタ枠体の下枠3を模式的に示した概略斜視図である。 図3に示す下枠3の二点鎖線部上面図である。 図3に示す下枠3の二点鎖線部側面図である。 図1に示すフィルタ枠体の上枠2を模式的に示した概略斜視図である。 図6に示す上枠2の二点鎖線部上面図である。 図6に示す上枠2の二点鎖線部側面図である。 本発明の他の実施形態に係るフィルタ枠体の一部を模式的に示した概略斜視図である。
符号の説明
1・・・フィルタ枠体
2・・・上枠
3・・・下枠
31・・断面がコの字型のアルミニウム製部材
32・・断面がL字型のアルミニウム製部材
4・・・下枠の桟
41・・アルミニウム製丸棒
5・・・濾材
6・・・上枠の桟
7・・・上枠と下枠の連結部
8・・・掛止部材

Claims (6)

  1. 互いに嵌合可能な上枠と下枠とを備え、該上枠および下枠のそれぞれには、嵌合した際互いに干渉しない位置に複数本の桟が設けられていることを特徴とするフィルタ枠体。
  2. 前記上枠および下枠は、前記桟と平行する一方の枠辺で互いに連結されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ枠体。
  3. 請求項1または2に記載のフィルタ枠体に濾材が取り付けられており、かつ、該濾材は、フィルタ枠体の上枠および下枠に設けられた桟に交互に接しながらプリーツ形状をなしていることを特徴とするフィルタユニット。
  4. 前記濾材はフィルタ枠体に脱着可能に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載のフィルタユニット。
  5. 濾材とフィルタ枠体とを備え、該濾材は該フィルタ枠体に脱着可能に取りつけられてプリーツ形状をなしていることを特徴とするフィルタユニット。
  6. 前記濾材は、融点が異なる2種類以上の成分からなる繊維を用いて構成された不織布であり、該繊維は、一方の成分の融点が他方の成分の融点より20℃以上低い低融点成分を含むものであることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のフィルタユニット。
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