JP2006326272A - 空気清浄装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】空気浄化装置において触媒17の臭気分解性能を向上する。
【解決手段】空気浄化装置は、放電により活性化酸素を発生させる各放電板1A、1Bが積層され、各放電板1A、1Bのそれぞれの表面側および裏面側に配設されて、放電により発生する活性化酸素により活性化してそれぞれ空気浄化する触媒シート3を備えている。触媒シート3は、二酸化マンガンと、この二酸化マンガンに固溶している状態でマンガンと価数が異なる助触媒から成る触媒17を備えている。したがって、触媒17が互いに電荷量の異なる元素を有することになるので、触媒17の臭気分解性能を向上することができる。
【選択図】図1
【解決手段】空気浄化装置は、放電により活性化酸素を発生させる各放電板1A、1Bが積層され、各放電板1A、1Bのそれぞれの表面側および裏面側に配設されて、放電により発生する活性化酸素により活性化してそれぞれ空気浄化する触媒シート3を備えている。触媒シート3は、二酸化マンガンと、この二酸化マンガンに固溶している状態でマンガンと価数が異なる助触媒から成る触媒17を備えている。したがって、触媒17が互いに電荷量の異なる元素を有することになるので、触媒17の臭気分解性能を向上することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、触媒を用いて汚染ガスを分解する空気清浄装置に関する。
従来、この種の空気清浄装置において、放電により活性酸素を発生させると共に粉塵に電荷を付与する放電極ブロックと、放電極ブロックよりも下流側に配置されて上記活性酸素で活性化されて臭気物質の酸化分解を促進させる二酸化マンガン(酸化触媒)と、粉塵を捕捉する集塵部とを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−486号公報
本発明者等は、上述の特許文献1に記載の空気清浄装置を用いて実験して、二酸化マンガンの臭気分解性能について調べてみたところ、二酸化マンガンでは、高い臭気分解性能が得られないことが分かった。
これは、活性酸素により二酸化マンガンが十分に活性化されなく、臭気物質の酸化分解が十分に促進されないと考えられる。
本発明は、上記点に鑑み、新規な組成の触媒により、臭気分解性能を向上するようにした空気清浄装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、汚染ガスを分解して脱臭する触媒を有する空気清浄機であって、
前記触媒は、第1の元素を有する主触媒と、この主触媒に固溶している状態で前記第1の元素と価数が異なる第2の元素とからなるものであることを特徴とする。
前記触媒は、第1の元素を有する主触媒と、この主触媒に固溶している状態で前記第1の元素と価数が異なる第2の元素とからなるものであることを特徴とする。
したがって、本発明の触媒は、従来の触媒に比べると、電荷の分布に局所的な偏りが生じている。このため、汚染ガスに対する反応性を向上することができるので、臭気分解性能を高くすることができ、触媒の臭気分解性能を向上することができる。
ここで、請求項2ないし5に記載の発明のように、第2の元素としては、タンタル、銅、ニッケル、タングステンを採用することができる。
例えば、第2の元素としてタンタルを用いる場合には、図10に示すように、タンタルが主触媒に対して6%〜24%のモル比で固溶していれば、良好な臭気分解性能を得ることができる。
なお、図10中においては横軸が固溶比を示し、縦軸が臭気成分の除去率を示している。
また、第2の元素として銅を用いる場合には、図10に示すように、前記銅が主触媒に対して6%〜12%のモル比で固溶している場合には、良好な臭気分解性能を得ることができる。
さらに、第2の元素としてタングステンを用いる場合には、図10に示すように、タングステンが主触媒に対して6%のモル比で固溶していれば、良好な臭気分解性能を得ることができる。
また、第2の元素としてニッケルを用いる場合には、図10に示すように、ニッケルが主触媒に対して3%〜6%のモル比で固溶していれば、良好な臭気分解性能を得ることができる。
ここで、請求項6に記載の発明によれば、前記触媒を担持する担体を備えていれば、触媒のうち汚染ガスに接触する面積が増す。このため、触媒に接触する汚染ガスの量が増えるもで、更に高い臭気分解性能を得ることができる。
また、請求項6に記載の発明では、
前記主触媒は二酸化マンガンで、前記担体が、前記酸化チタンであり、
チタン原子の個数をTiとし、マンガン原子の個数をMnとしたとき、前記酸化チタンおよび前記二酸化マンガンは、1/20(=0.05)<Mn/Ti<1/5(=0.2)の関係を満たす混合比にて混合されていれば、図12から分かるように、更に高い臭気分解性能(すなわち、臭気成分の高い除去率)を得ることができる。
前記主触媒は二酸化マンガンで、前記担体が、前記酸化チタンであり、
チタン原子の個数をTiとし、マンガン原子の個数をMnとしたとき、前記酸化チタンおよび前記二酸化マンガンは、1/20(=0.05)<Mn/Ti<1/5(=0.2)の関係を満たす混合比にて混合されていれば、図12から分かるように、更に高い臭気分解性能(すなわち、臭気成分の高い除去率)を得ることができる。
なお、図12では、縦軸が臭気成分の除去率を示し、横軸がMn/Tiを示している。
また、請求項7に記載の発明では、前記触媒は、前記主触媒および前記第2の元素以外に、前記主触媒に固溶し、かつ前記第1、第2の元素と価数が異なる第3の元素を有しているものであることを特徴とする。
したがって、本発明の触媒は、請求項1に記載の本発明の触媒に比べると、電荷の分布に局所的な偏りが生じている。このため、汚染ガスに対する反応性を向上することができるので、臭気分解性能を高くすることができる。
具体的には、請求項8に記載の発明のように、前記第2、第3の元素のうち一方の元素として3価の元素を用いて、また他方の元素として5価の元素を用いてもよい。
例えば、請求項9に記載の発明のように、一方の元素としてFeを用い、他方の元素としてTaを用いてもよい。また、請求項10に記載の発明のように、TaおよびFeは、1:1〜1:2のモル比で主触媒に固溶しているものを用いてもよい。
さらに、請求項11に記載の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の空気浄化装置において、
放電により空気中の酸素分子を解離して活性化酸素を発生させる複数枚の放電板(1A、1B)を備えており、
前記触媒は、前記放電板の放電により発生する前記活性化酸素に基づいて、活性化するようになっていることを特徴とする。
放電により空気中の酸素分子を解離して活性化酸素を発生させる複数枚の放電板(1A、1B)を備えており、
前記触媒は、前記放電板の放電により発生する前記活性化酸素に基づいて、活性化するようになっていることを特徴とする。
請求項12に記載の発明によれば、放電板の放電により活性化酸素を発生させれば、この活性化酸素により触媒が活性化する。このため、放電板の放電を継続させることにより、触媒の活性化が継続的に行われるので、臭気分解性能を高い状態で持続させることができる。
ところで、複数枚の放電板の放電により、活性化酸素以外にオゾンが発生するので、放電板の下流側では、そのオゾンにより使用者が違和感を感じる可能性がある、
そこで、請求項13に記載の発明では、
前記複数枚の放電板の間の隙間を流れる空気流を発生する送風手段(110)と、
前記複数枚の放電板に対して高電圧を印加する高電圧回路(140)と、
前記放電板の下流側の空気に含まれるオゾンを検出するオゾンセンサ(150)と、を備えており、
前記オゾンセンサの検出に基づいて、前記下流側空気に含まれるオゾン濃度を一定レベル以下にするように前記高電圧回路の出力が制御されるようになっていることを特徴とする。
そこで、請求項13に記載の発明では、
前記複数枚の放電板の間の隙間を流れる空気流を発生する送風手段(110)と、
前記複数枚の放電板に対して高電圧を印加する高電圧回路(140)と、
前記放電板の下流側の空気に含まれるオゾンを検出するオゾンセンサ(150)と、を備えており、
前記オゾンセンサの検出に基づいて、前記下流側空気に含まれるオゾン濃度を一定レベル以下にするように前記高電圧回路の出力が制御されるようになっていることを特徴とする。
したがって、請求項13に記載の発明によれば、下流側空気に含まれるオゾン濃度が一定レベル以下に保たれるので、使用者のオゾンに対する違和感を減らすことができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
図1に本発明に係る車両用空気浄化装置の第1実施形態を示す。図1は車両用空気浄化装置の概略構成を示す模式図である。車両用空気浄化装置は、図1に示すように、ダクト100、シロッコファン110、集塵フィルタ120、積層触媒130、および高圧電源140から構成されている。
図1に本発明に係る車両用空気浄化装置の第1実施形態を示す。図1は車両用空気浄化装置の概略構成を示す模式図である。車両用空気浄化装置は、図1に示すように、ダクト100、シロッコファン110、集塵フィルタ120、積層触媒130、および高圧電源140から構成されている。
ダクト100は、空気吸入口、空気通路、および排出口を形成しており、シロッコファン110は、ダクト100内に車室内空気を吸い込んで集塵フィルタ120および積層触媒130の方向に吹き出す空気流を発生する。集塵フィルタ120は、シロッコファン110から吹き出される空気のうち固形の汚染物質を除去し、積層触媒130は、高圧電源140から電圧が印加されて、集塵フィルタ120を通過する空気に含まれる汚染ガス(例えば、アセトアルデヒト)の酸化を行う。
高圧電源140は、車載イグナイタとイグニションコイルから構成されており、高圧電源140から発生する高電圧は、例えばピーク電圧(図2中符号30参照)で1.7〜5kVのインパルス波形で、ピークの発生頻度は10Hz〜20Hzである。
次に、積層触媒130の具体的構成について図3〜図6を用いて説明する。図3は積層触媒130を示す斜視図、図4は積層触媒130を風上側(すなわち、集塵フィルタ120側)から視た側面図、図5(a)、(b)は積層触媒130を構成する放電板のプリント電極を示す上面図である。
積層触媒130は、図3に示すように、各放電板1A、1B、および各絶縁スぺーサ11を有しており、各放電板1A、1Bは、積層されている。各放電板1A、1Bは、放電板1A、1B、1A、1Bの順に交互に配置されている。
各放電板1A、1Bはそれぞれ可撓性シート部材であり、放電板1Aは、基材1c、および基材1cの表面(図4中上面)および裏面(図4中下面)に沿うように形成される二枚のプリント電極8から構成されている。一方、放電板1Bは、基材1c、および基材1cの表面(図4中上面)および裏面(図4中下面)に沿うように形成される二枚のプリント電極7から構成されている。
ここで、放電板1A、1Bの基材1cとしては、板厚寸法0.3mm以下の絶縁性可撓性シートが用いられ、その材料としては、ポリイミド等の樹脂材料が用いられる。また、基材1cの材料としては、ポリイミドに限らず、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ガラスエポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂のいずれかを用いてもよい。
また、可撓性絶縁性シートとしては、純粋の樹脂材料からなるものに限らず、樹脂材料と無機材料を組み合わせて強度を上げたものでも良い。そのようなものとしてはガラスエポキシ樹脂、や特許第34256706号明細書にあるようにPET樹脂にシリカ結晶を混入したコンポジット素材を用いても良い。
一方、プリント電極7、8は、図5(a)、(b)に示すように、上下方向にて鏡像対称に形成されており、放電板1Aにおいて基材1cの表面側のプリント電極8(図5(b)中にて実線で示す)、および裏面側のプリント電極8(図5(b)中にて鎖線で示す)は、電気的に絶縁されており、表面側のプリント電極8、および裏面側のプリント電極8は、それぞれ、櫛歯状に形成されている。そして、表面側のプリント電極8、および裏面側のプリント電極8は、互いの櫛歯が填り合うように配置されている。
一方、放電板1Bにおいて基材1cの表面側のプリント電極7(図5(a)中にて実線で示す)、および、裏面側のプリント電極7(図5(a)中にて鎖線で示す)は、電気的に絶縁されており、表面側のプリント電極7、および、裏面側のプリント電極7は、それぞれ、櫛歯状に形成されている。そして、表面側のプリント電極7、および裏面側のプリント電極7は、互いの櫛歯が填り合うように配置されている。
ここで、プリント電極7、8として、上述の如く、櫛歯状に形成しているので、プリント電極7、8の外縁を長くすることができる。このため、プリント電極7、8による放電が行われ易くなる。
なお、基材1cの材料としてポリイミド、ガラスエポキシを用いる場合には、銅箔にてプリント電極7、8を形成し、基材1cの材料としてPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いる場合には導電性樹脂塗料(すなわち、導電性インク)でプリント電極7、8を形成する。
また、プリント電極7、8および高圧電源140の間は、リード線5a、5bが接続されており、プリント電極7、8およびリード線5a、5bは、導電性テープにより接着されている。
ここで、放電板1Aにて表面側のプリント電極8に接着されるリード線5aは、図4中図示左側に引き出され、放電板1Bにて裏面側のプリント電極7に接着されるリード線5aは、図4中図示左側に引き出され、双方のリード線5aは、高圧電源140の第1の出力端子に接続される。
一方、放電板1Aにて裏面側のプリント電極8に接着されるリード線5bは、図4中図示右側に引き出され、放電板1Bにて表面側のプリント電極7に接着されるリード線5bは、図4中図示右側に引き出され、双方のリード線5bは、高圧電源140の第2の出力端子に接続される。
以上のように、放電板1A、1Bおよび高圧電源140を接続することにより、表面側のプリント電極8(プリント電極7)および裏面側のプリント電極8(プリント電極7)は異なる極性の電極となる。このため、後述するように、表面側のプリント電極8(プリント電極7)および裏面側のプリント電極8(プリント電極7)の間にて放電現象が生じる。
そして、放電板1A、1Bのうち空隙13を挟んで対向する表面側のプリント電極7、裏面側のプリント電極8は同一極性の電極となる。このため、空隙13の間に電位差が生じなくなる。
また、放電板1Aの表面側および裏面側には、それぞれ触媒シート3が配設されている。すなわち、触媒シート3が表面側のプリント電極8に接するように配設されており、また、触媒シート3が裏面側のプリント電極8に接するように配設されている。
さらに、放電板1Bの表面側および裏面側には、それぞれ触媒シート3が配設されている。すなわち、触媒シート3が表面側のプリント電極7に接するように配設されており、また、触媒シート3が裏面側のプリント電極7に接するように配設されている。
ここで、各触媒シート3は、後述するように、プリント電極7、8の放電により発生する活性化酸素により活性化して、空気中のアセトアルデヒトの酸化、オゾンの分解を行う。
具体的には、各触媒シート3は、図6に示すように、触媒17、触媒17を担持する担体としてのチタニア粒子16(無機系微粒子)、および触媒17およびチタニア粒子16を保持する厚さ0.3mm以下のガラス布15(基材)から構成されている。ガラス布15は、高い通気性を備え、かつ絶縁性の高い通気性絶縁性素材としての役割を果たす。
なお、図6に示す例では、ガラス布15を構成するガラス繊維の表面上にて、チタニア粒子16(担体)が保持固着されている。また、触媒シート3の基材のガラス布としては、カネボウ株式会社のKS1926(厚み0.3mm)、KS1090(厚み0.06mm)が用いられている。なお、KS1926、KS1090は製品番号である。
ここで、触媒17は、マンガン(第1の元素)を有する二酸化マンガン(主触媒)と、この二酸化マンガンに固溶している状態でマンガンと価数が異なる助触媒としての銅(第2の元素)とから成る。そして、図7(c)に示すように、触媒17では、マンガン原子の価数が4+であり、銅原子の価数が3+となり、それぞれの原子が有する電荷量が異なっている。
なお、助触媒としては、二酸化マンガンに固溶できる元素であって、銅以外に、マンガンとのイオン半径差が0.012nm以下であり、また価数が4±1であり、助触媒自身の元素の周囲に配置できる原子数が6であるものを用いることができる。
例えば、助触媒としては、タンタル、タングステン、ニッケル、すず、アンチモン、白金、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ガリウム、ゲルマニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウムのいずれか又はこれらの組み合わせたものを用いてもよい。
一方、チタニア粒子16は、触媒17(触媒)を担持する担体として機能して、触媒17の空気に接する面積を非常に大きくする。
因みに、チタニア粒子16の粒子としては、二酸化チタンの直径は数nmの微粒子で、石原産業製のST−01(製品番号)が用いられる。チタニア粒子のガラス布15、すなわち、ガラス繊維への固着方法は石原産業製のチタニア粒子スラリーSTS−01にガラス布を浸し乾燥することで行われる。固着量は触媒シート3の1cm2あたり、チタン原子モル数が17.4μmolである。
また、チタニア粒子16、および、触媒17は、1/20<Mn/Ti<1/5の関係を満たす混合比にて混合されている。Mnは、酸化マンガン粒子を構成するマンガン原子の個数を表し、Tiは、チタニア粒子を構成するチタン原子の個数を表す。
なお、酸化マンガンの固着方法は、チタニア粒子を固着したガラス布に対し、硝酸マンガン水溶液を所定量滴下し、乾燥後、400℃にて3時間、空気中で加熱しておこなう。
ここで、触媒シート3および放電板1A、1Bの間の接着には、絶縁性両面テープ10が用いられており、絶縁性両面テープ10は、プリント電極7、8の櫛歯状の部分は避けて取り付けられている。
また、絶縁スぺーサ11は、図3に示すように、放電板1A、1Bの間に二つずつ介在されて、放電板1A、1Bの間において図示左右方向の中央部にて空隙13を形成する。
次に、本実施形態の積層触媒130の作動について説明する。先ず、高圧電源140から交流電圧を発生して放電板1A、1Bに印加する。
この交流電圧は、放電板1Aにて表面側のプリント電極7および裏面側のプリント電極7の間に印加される。また、この交流電圧は、放電板1Bにて表面側のプリント電極8および裏面側のプリント電極8の間に印加される。これに伴い、プリント電極7、8の間の沿面放電領域14(図8参照)に沿うように放電が生じる。
すなわち、プリント電極7、8の間において基材1cの沿面に沿うように空気中を電流が流れることになる。
これに伴い、空隙13を通過する車室内空気のうちの酸素分子を解離して活性化酸素、オゾンを発生させる。そして、触媒シート3を構成する各チタニア粒子、および触媒は、活性化酸素により活性化する。
ここで、各チタニア粒子、および各酸化マンガン粒子は、空隙13を通過する空気中の汚染ガスの酸化、オゾンの分解を行う。その後、空隙13を通過する空気は、ダクト100の排出口から車室内に戻される。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
すなわち、本実施形態の車両用空気浄化装置は、放電により空気中の酸素分子を解離して活性化酸素、オゾンをそれぞれ発生させる複数枚の放電板1A、1Bが空隙13を挟んで積層され、複数枚の放電板1A、1Bのそれぞれの表面側および裏面側に配設されて、放電により発生する活性化酸素により活性化してそれぞれ空気浄化する触媒シート3を備えている。
ここで、触媒シート3を構成する触媒17は、二酸化マンガンと、この二酸化マンガンに固溶し、かつマンガンと価数が異なる銅(助触媒)とから成る。
したがって、本実施形態の触媒17は、従来の触媒(二酸化マンガン)に比べると、電荷の分布に局所的な偏りが生じている。このため、汚染ガスの反応性が向上するので、臭気分解性能を向上することができる。
また、本実施形態では、触媒17としては、二酸化マンガン(主触媒)に銅(助触媒)を加えたものであるため、図7(a)に示す従来の触媒(すなわち、助触媒を含まなく、二酸化マンガン(主触媒)からなる触媒)に比べて、結晶構造が不安定化する。したがって、結晶格子欠損の発生による触媒の表面の凹凸が激しくなり、汚染ガスと接触する表面積が増すので、臭気分解性能を向上することができる。
なお、図7(b)は、従来の触媒粒子の外形を示す図であり、図7(d)は、本実施形態の触媒粒子の外形を示す図である。
さらに、本実施形態によれば、触媒シート3の触媒17が、オゾンを分解するので、各放電板1A、1Bがオゾンにより劣化するのを抑制できる。
さらに、本実施形態によれば、触媒17を担持する担体としてのチタニア粒子を用いているので、触媒17が、チタニア粒子の表面に非常に小さい微粒子で塊になることなく、チタニア粒子の表面上において、分散・固着され、空気との接触面積が非常に大きくなっている。このことで、臭いの分解効率が非常に高くなるとともに、オゾンの分解効率も高くなる。
ところで、放電板1A、1Bのうち空隙13を挟んで対向する表面側のプリント電極7、裏面側のプリント電極8は同一極性の電極となり、空隙13の間には電位差が生じない。
仮に、表面側のプリント電極7、裏面側のプリント電極8が異なる極性の電極となるように構成すると、空隙13の間には電位差が生じる。これに伴い、放電板1A、1Bが、振動が原因で接触してプリント電極7、8の間でショートが生じる可能性がある。
これに対して、本実施形態では、上述の如く、表面側のプリント電極7、裏面側のプリント電極8は同一極性の電極となるので、表面側のプリント電極7、裏面側のプリント電極8が接触してもショートが生じることはない。
なお、プリント電極7、8間の寸法(すなわち、空隙13の厚み方向寸法)を十分な大きさに設定すれば、振動等が生じても、表面側のプリント電極7、裏面側のプリント電極8が接触することを防ぐことができるので、表面側のプリント電極7、裏面側のプリント電極8が異なる極性の電極となるように構成してもよい。
また、放電板1A、1Bの基材1cは上述の如く樹脂材料からなるため、実用上充分な強度を保ったまま、板厚寸法を約0.1mmまで薄くすることが出来るので、ダクト100内にて放電板1A、1Bの積層枚数が同じ場合、セラミック系素材の放電板を用いるよりも空隙13を広くすることができ、通風抵抗を減らすことが出来る。
また、放電板1A、1Bの放電により発生したオゾンは触媒17によって分解され、非常に低濃度になるので、放電板1A、1Bの基材1cはオゾンによって劣化することがない。つまり、この触媒17によって、放電板1に樹脂材料を用いることが可能となっている。
次に、本実施形態の積層触媒130における効果を確認するための各実験について用いて説明する。図9は、当該実験で用いられる実験装置を示す斜視図である。
先ず、実験1では、アセトアルデヒトを含む被処理空気流を車両用空気浄化装置に30L/minで通風して、次の(a)〜(e)のそれぞれケース毎にアセトアルデヒトの除去率を調べる。(a)は助触媒としてタンタル(Ta)を採用したケース、(b)は助触媒として銅(Cu)を採用したケース、(c)は助触媒としてニッケル(Ni)を採用したケース、(d)は助触媒としてタングステン(W)を採用したケースであり、(e)は助触媒を用いないケースである。
ここで、(a)〜(d)の各ケースでは、二酸化マンガンに対する助触媒の固溶比が1%〜25%の範囲でそれぞれ異なる触媒を有する複数枚の触媒シート3を用意して、ケース毎に助触媒の固溶比を変化させてアセトアルデヒトの除去率を測定しところ、図10に示す如く、縦軸を除去率、横軸を固溶比とする、除去率の測定データが得られた。
以上のような実験によれば、助触媒を用いる(a)〜(d)の各ケースは、助触媒を用いない(e)のケースに比べて、除去率が高いことが分かった。
具体的には、(a)のケースではタンタルの固溶比が6%〜24%の場合には、アセトアルデヒトの除去率が55%〜76%となり、固溶比が6%〜24%以外の範囲の場合に比べて除去率が高い。(b)のケースでは銅の固溶比が6%〜12%の場合には、アセトアルデヒトの除去率が57%〜67%となり、固溶比が6%〜12%以外の範囲の場合に比べて除去率が高い。
(c)のケースではタンタルの固溶比が6%の場合には、アセトアルデヒトの除去率が59%になり、固溶比が6%以外の範囲の場合に比べて除去率が高い。(d)のケースではニッケルの固溶比が3%〜6%の場合には、固溶比が3%〜6%以外の範囲の場合に比べて除去率が高い。
なお、(a)のタングステンのケースでの最高除去率が76%であり、(b)の銅のケースでの最高除去率が67%であり、(c)のニッケルのケースでの最高除去率が59%であり、(d)のタングステンのケースでの最高除去率が63%である(図11参照)。
ここで、固溶比とは、二酸化マンガンに対して固溶している助触媒のモル比である。また、車両用空気浄化装置の上流側のアセトアルデヒトの濃度をC1とし、車両用空気浄化装置の下流側のアセトアルデヒトの濃度をC2とすると、除去率(%)は、100×(1−C2/C1)で表すことができる。
また、実験2では、二酸化マンガンに対する助触媒(例えば、タンタル)の固溶比を一定(7%)にして、二酸化マンガンおよびチタニア粒子の混合比を変化させてアセトアルデヒトの除去率を調べる。
この実験2では、Mnをマンガン原子の個数とし、Tiをチタン原子の個数としたときに、0<(Mn/Ti)<1の関係を満たす範囲で混合比を変化させたところ、図12に示す如く、縦軸がアセトアルデヒトの除去率、横軸がMn/Tiとする、除去率の測定データが得られた。
この測定データによれば、1/20<(Mn/Ti)<1/5の範囲の混合比の場合には、アセトアルデヒトの除去率が、58%〜74%となり、「1/20<(Mn/Ti)<1/5」以外の範囲の混合比の場合に比べて高いことが分かった。
なお、上述の第1の実施形態では、空気浄化装置としては、ダクト100およびシロッコファン110を備えて空調機とは独立して備えられるものを示したが、これに限らず、空調機と一体化したものであってもよい。この場合、通風手段を備えて空調風を室内に吹き出す室内空調ユニットに積層触媒130を内蔵させることになる。
また、上述の第1の実施形態では、高圧電源140としては、車載イグナイタとイグニションコイルから構成される例について説明したが、これに限らず、高圧電源140としては、車載イグナイタとイグニションコイルとから独立した電子回路を用いるようにしてもよい。
さらに、上述の第1実施形態では、図4に示すように、放電板1A、1Bの電極パターン7、8の上面側、下面側に触媒シート3を配設した例について説明したが、これに限らず、次のようにしてもよい。すなわち、放電板1A、1Bの基材1cの上面(或いは下面)に沿うように電極パターン7、8および触媒シート3が交互に配設するようにしてもよい。
また、上述の第1の実施形態では、担体としてチタニアを用いる例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。すなわち、チタニアに代わりに、珪素およびアルミニウムを主な組成とするゼオライトを用いてもよい。
例えば、MCM−41、日本触媒学会の参照触媒であるJRC−Z−M20,JRC−Z−M10,JRC−Z−HY4.8,JRC−Z−HY5.6などが使用可能である。例えば、ゼオライトのガラス布への固着は、ゼオライトを水に分散させ、その分散液をガラス布になじませ、乾燥させる。これだけでは、ゼオライトがガラス布に充分に強く固着しないが、その後に酸化マンガンを固着させると、酸化マンガンがガラスとゼオライトの間で接着剤のような働きをして、強く固着させることが出来る。
さらに、担体としては、チタニアおよびゼオライト以外に、コージェライト、シリカゲル、およびアルミナなどの無機系粒子を用いてもよい。
なお、上述の第1の実施形態では、触媒シート3の基材として、ガラス布を用いる例について説明したが、これに代えて、通気性の優れた絶縁性素材、例えば、ポリプロピレン不織布を用いるようにしてもよい。このポリプロピレンは細い繊維とすることができるので、これで不織布をつくり、2枚の不織布で触媒、担体を挟み、適当量の接着剤で一枚のシートとする。また、ガラス布の代わりにセラミック繊維をウール状にしたシートを用いるようにしてもよい。
さらに、上述の第1の実施形態では、汚染ガスを触媒により酸化分解するようにした例について説明したが、これに限らず、触媒により酸化以外の作用(例えば、還元)で汚染ガスを分解して脱臭するようにしてもよい。
なお、上述の第1の実施形態では、放電板1A(1B)の基材として、ポリイミド樹脂が用いられる例について説明したが、これに代えて、ポリエチレンテレフタレート、ガラスエポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、グリーンセラミック、紙などを用いてもよい。
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、パターン電極7、8と触媒シート3とが独立して構成されるようにした例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、パターン電極7、8としての機能を兼ね備える導電性触媒シート3を採用する例について説明する。
上述の第1実施形態では、パターン電極7、8と触媒シート3とが独立して構成されるようにした例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、パターン電極7、8としての機能を兼ね備える導電性触媒シート3を採用する例について説明する。
具体的には、図13に示すように、導電性触媒シート3を放電板1A(1B)の基材1c(樹脂等の絶縁性材料からなる)の表面側および裏面側に配設する。
換言すれば、導電性触媒シート3は、上述の第1実施形態のパターン電極7、8を構成することになる。この場合、高圧電源140から高電圧を表面側の触媒シート3と裏面側の触媒シート3の間に印加する。ここで、本実施形態の触媒シート3の基材としては、ガラス布などの絶縁性素材ではなく、導電性の通気性素材、例えば、金属製のメッシュ部材を用いることが必要になる。
本実施形態によれば、触媒シート3がパターン電極の機能を兼ね備えているので、部品点数を減らし、ひいては組立工数を減らすことができるので、製造コストを下げることができる。
因みに、本実施形態の触媒シート3の製法は、上述の第1実施形態の触媒シート3の製法と同じである。
(第3実施形態)
ところで、放電板1A、1Bの表面で発生したオゾンは触媒シート3の触媒によって大部分分解されると共に、臭い・有害ガス成分を酸化無臭無害化するために使用される。
ところで、放電板1A、1Bの表面で発生したオゾンは触媒シート3の触媒によって大部分分解されると共に、臭い・有害ガス成分を酸化無臭無害化するために使用される。
従って、オゾン発生量=(触媒で分解される量)+(酸化に利用される量)+(空気浄化装置下流に流出する量)の関係式が成り立ち、最後の項(空気浄化装置下流に流出する量)だけが小さいほど好ましい。
実験の結果、有害オゾンの流出が少ない割には臭い・有害ガス成分の除去能力が高い動作点が存在することを発見した。この実験では、放電板1A、1Bの基材1cとして0.1mm厚のポリイミド製の板材を採用する。また、銅箔からなるプリント電極7、8を採用し、放電板1A(1B)に印加する電圧としては、図14の如く、周波数10Hz、巾200μsec、ピーク電圧1.5kV〜2kVのインパルスとする場合において、ほぼ最適動作点となることが分かった。なお、図14は、横軸を空気浄化装置の下流側オゾン濃度、縦軸を臭い・有害ガス成分の除去率を示すグラフである。
以上のような条件を用いるため、図15に示すように、放電板1A、1Bの下流側のオゾンの濃度を検出するオゾンセンサ150を備える空気浄化装置を採用して、下流側オゾン濃度を検出し、その検出濃度に基づいて高圧電源140の電圧、または周波数にフィードバックすることで、放電板1A、1Bの下流側のオゾン濃度を一定レベル以下に保ち、かつアセトアルデヒト(汚染ガス)の高い除去率を得ることができる。
(第4実施形態)
上述の各実施形態では、触媒シート3を活性化するために、放電板1A、1Bを用いた例について説明したが、これに代えて、図16に示すように、放電板1A、1Bを用いないで、車両用空気浄化装置を構成してもよい。
上述の各実施形態では、触媒シート3を活性化するために、放電板1A、1Bを用いた例について説明したが、これに代えて、図16に示すように、放電板1A、1Bを用いないで、車両用空気浄化装置を構成してもよい。
(第5実施形態)
上述の各実施形態では、触媒シート3を活性化するために、放電板1A、1Bを用いた例について説明したが、これに代えて、図17に示すように、触媒シート3に加熱して活性化するために、触媒シート3に加熱するための温水ヒータ、電気ヒータなどの熱源を採用してもよい。
上述の各実施形態では、触媒シート3を活性化するために、放電板1A、1Bを用いた例について説明したが、これに代えて、図17に示すように、触媒シート3に加熱して活性化するために、触媒シート3に加熱するための温水ヒータ、電気ヒータなどの熱源を採用してもよい。
(第6実施形態)
上述の実施形態では、高圧電源140から放電板1A(1B)に印加される電圧波形としては、図2に示すようなインパルス波形を用いる例について説明したが、これに代えて、例えば周波数が50Hz〜30kHzである周波数信号であれば、図18(a)〜(g)に示すように、サイン波、矩形波、三角波、山型波が使用可能である。矩形波、三角波、山型波が正負片側だけに表れる波形でもよい。また、矩形波、三角波、山型波のそれぞれに直流電圧を重畳した波形を用いてもよい。
上述の実施形態では、高圧電源140から放電板1A(1B)に印加される電圧波形としては、図2に示すようなインパルス波形を用いる例について説明したが、これに代えて、例えば周波数が50Hz〜30kHzである周波数信号であれば、図18(a)〜(g)に示すように、サイン波、矩形波、三角波、山型波が使用可能である。矩形波、三角波、山型波が正負片側だけに表れる波形でもよい。また、矩形波、三角波、山型波のそれぞれに直流電圧を重畳した波形を用いてもよい。
(第7実施形態)
上述の実施形態では、放電板1A(1B)のプリント電極7(8)として、櫛歯状に形成されたものを用いる例について説明したが、これに代えて、プリント電極7(8)としては、図19(a)、(b)、(c)のような形状にしてもよい。
上述の実施形態では、放電板1A(1B)のプリント電極7(8)として、櫛歯状に形成されたものを用いる例について説明したが、これに代えて、プリント電極7(8)としては、図19(a)、(b)、(c)のような形状にしてもよい。
すなわち、図19(a)では、プリント電極7(8)が櫛歯状に形成されて、その櫛歯部分が直線状に成っておらず、波型になっている。図20(b)では、表面側のプリント電極7(8)と裏面側のプリント電極7(8)とが交差しており、図19(c)では、プリント電極7(8)が櫛歯状に形成されその櫛歯部分が枝を有する形状になっている。そして、表面側のプリント電極7(8)の枝と、裏面側のプリント電極7(8)の枝とが交差してよく、また、双方の枝が交差しないようにしてもよい。
なお、図19(a)〜図19(c)では、実線が放電板1A(1B)の表面側のプリント電極7(8)を示し、鎖線が放電板1A(1B)の裏面側のプリント電極7(8)を示す。
(第8実施形態)
ところで、本発明者の実験検討によれば、主触媒として酸化コバルトを採用した場合には、1/80<(Co/Ti)<1/20の混合率の範囲でチタニア粒子および酸化コバルトを混合した混合物を有する触媒シート3を採用した場合には、図20に示すように、放電板1A、1Bへの放電を終了後にて、空気浄化能力(アセトアルデヒトの除去率)が数時間残留し、かつ浄化能力の減衰速度が遅い領域が存在することが分かった。
ところで、本発明者の実験検討によれば、主触媒として酸化コバルトを採用した場合には、1/80<(Co/Ti)<1/20の混合率の範囲でチタニア粒子および酸化コバルトを混合した混合物を有する触媒シート3を採用した場合には、図20に示すように、放電板1A、1Bへの放電を終了後にて、空気浄化能力(アセトアルデヒトの除去率)が数時間残留し、かつ浄化能力の減衰速度が遅い領域が存在することが分かった。
ここで、Coは、コバルト原子の個数を示し、Tiはチタン原子の個数を示す。触媒シート3として、チタニア、酸化コバルト以外の物質を用いる場合にも類似した現象が生じると考えられる。
そこで、図21に示すように、放電板1A、1Bへの高電圧の印加を連続的に行うのではなく、図21に示すように、放電板1A、1Bに高電圧を間欠的に印加する。すなわち、放電板1A、1Bに対して、周期的に電圧印加(ON)、および電圧印加停止(OFF)を繰り返し行う。
この場合、電圧印加停止(OFF)でも、空気の浄化能力が、ある程度、保たれている。このような電圧印加の制御を行うと、電圧の印加を連続的に行う場合に比べて消費電力を1/2にすることができる。さらに、平均空気浄化能力は、電圧の印加を連続的に行う場合の能力の1/2よりも高い能力となるため、エネルギー効率を高めることができる。
なお、図21では、電圧印加時間と電圧印加の停止時間とをそれぞれ100minとしている。
なお、上述の第1〜第3、第5〜第8の実施形態では、放電板1A、1Bの表面側および裏面側の双方にプリント電極7、8を設けるようにした例について説明したが、これに限らず、放電板1A、1Bの表面側だけプリント電極を設けたり、あるいは、放電板1A、1Bの裏面側だけにプリント電極を設けたりするようにしてもよい。
また、上述の第1〜第3、第5〜第8の実施形態では、触媒シート3を放電板1A、1Bの表面側および裏面側の双方に設けるようにした例について説明したが、これに限らず、放電板1A、1Bの表面側だけ触媒シート3を設けたり、あるいは、放電板1A、1Bの裏面側だけに触媒シート3を設けたりするようにしてもよい。
(第9実施形態)
上述の各実施形態では、触媒として、主触媒(例えば、二酸化マンガン)と助触媒とから成るものを用いた例について説明したが、これに代えて、本9実施形態では、触媒として、主触媒および助触媒以外に、助触媒と異なる第2の助触媒を有するものを用いる例について説明する。
上述の各実施形態では、触媒として、主触媒(例えば、二酸化マンガン)と助触媒とから成るものを用いた例について説明したが、これに代えて、本9実施形態では、触媒として、主触媒および助触媒以外に、助触媒と異なる第2の助触媒を有するものを用いる例について説明する。
本実施形態では、主触媒として、二酸化マンガンを用いて、助触媒として、Ta(第2の元素)を用いる。第2の助触媒として、主触媒のMn(4価)と価数が異なる元素(第3の元素)としてのFe(3価)を用いる。Feは、Taとともに、図22に示すように、二酸化マンガンに固溶している。
ここで、Ta(5価)、Mn(4価)、Fe(3価)はそれぞれ価数が異なり、上述の第1実施形態で用いる触媒(すなわち、主触媒および助触媒のみからなる触媒)に比べると、電荷の分布に局所的な偏りが生じている。このため、触媒の汚染ガスに対する反応性が大きなものになる。
また、本実施形態の触媒は、上述の第1実施形態で用いた触媒に第2の助触媒を加えたものになるので、上述の第1実施形態で用いた触媒に比べて、結晶構造が不安定化する。したがって、結晶格子欠損の発生による触媒粒子の凹凸が激しくなり表面積が大きくなるので、汚染ガスとの接触面積が広がる。以上により、汚染ガスの分解効率を向上させることができる。
ここで、TaとFeとの固溶比(Ta:Fe)として、2:1〜1:3の間の異なるモル比を用いて、汚染ガスの除去率を調べた実験結果について図23、図24を参照して説明する。
図23は、トータル固有比を3%、6%、12%、固溶比を2:1、1:1、1:2、1:3としたときの汚染ガスの除去率の実験値を示す図表である。図24は、縦軸を汚染ガスの除去率、横軸を固溶比とし、トータル固有比として3%、6%、12%のいずれかの値を用いたときのグラフを示す。
ここで、トータル固有比は、(助触媒(Ta)のモル数+第2助触媒(Fe)のモル数)/(主触媒のモル数+助触媒(Ta)のモル数+第2助触媒(Fe)のモル数)である。
図24に示すように、トータル固有比が3%の場合において、Ta:Fe=1:1〜1:2の場合には、Ta:Fe=2:1、1:3の場合に比べて、汚染ガスの除去率が高い。もちろん、図22に示すように、Ta:Fe=1:1〜1、1:2の場合には、Fe(第2の助触媒)を用いないでTa(助触媒)のみを用いた場合に比べても、汚染ガスの除去率が高いことはいうもでもない。
また、トータル固有比が6%、12%の場合においても、トータル固有比が3%の場合と同様に、Ta:Fe=1:1〜1:2の場合には、Ta:Fe=2:1、1:3の場合に比べて、汚染ガスの除去率が高い。
以上によれば、二酸化マンガンに対して、1:1〜1:2の間の固溶比(モル比で)でTaとFeとを固溶した触媒を用いれば、より効率的に汚染ガスの除去することが可能になる。
ここで、Ta:Fe=2:1、1:3の場合には、触媒のうち主触媒の結晶構造が保たれなくなり、或いは、触媒のうち酸化活性の低い助触媒の含有率が多くなるため、汚染ガスの除去率が低くなると考えられる。
なお、上述の第9実施形態では、第2の助触媒(第3の元素)として鉄(Fe)を用いた例について説明したが、これに限らず、タンタル、銅、タングステン、ニッケル、すず、アンチモン、白金、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ガリウム、ゲルマニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウムなどを用いても良い。
ここで、第2の助触媒としてFeを用いた場合の汚染ガスの除去率と、AL(アルミニウム)を用いた場合の汚染ガスの除去率の比較について図25を参照して、説明する。
図25に示すように、トータル固有比が3%、5%、12%の全ての場合において、第2の助触媒としてFeを用いた場合には、AL(アルミニウム)を用いた場合に比べると、汚染ガスの除去率が高いことが分かる。
なお、上述の第9実施形態では、チタニア粒子(担体)に対して触媒を担持する方法について記載しなかったが、具体的には、次の第1方法、第2方法、第3方法を用いることができる。
(第1方法)
二酸化マンガン(主触媒)、タンタル(助触媒)および鉄(第2の助触媒)を溶かした溶液を用意し、その溶液をチタニア粒子(担体)に付着させて、400℃で3時間空中で加熱して、乾燥させる。
二酸化マンガン(主触媒)、タンタル(助触媒)および鉄(第2の助触媒)を溶かした溶液を用意し、その溶液をチタニア粒子(担体)に付着させて、400℃で3時間空中で加熱して、乾燥させる。
(第2方法)
二酸化マンガンおよび鉄を溶かした溶液を用意し、その溶液をチタニア粒子に付着させて、常温で乾燥させた後、その担体にタンタルを溶かした溶液を付着させて400℃で3時間空中で加熱して、乾燥させる。
二酸化マンガンおよび鉄を溶かした溶液を用意し、その溶液をチタニア粒子に付着させて、常温で乾燥させた後、その担体にタンタルを溶かした溶液を付着させて400℃で3時間空中で加熱して、乾燥させる。
(第3方法)
二酸化マンガン(主触媒)、および鉄(第2の助触媒)を溶かした溶液を担体に付着させて、400℃で1.5時間空中で加熱して、乾燥させた後、その担体に、タンタル(助触媒)を溶かした溶液を付着させて400℃で1.5時間空中で加熱して、乾燥させる。
二酸化マンガン(主触媒)、および鉄(第2の助触媒)を溶かした溶液を担体に付着させて、400℃で1.5時間空中で加熱して、乾燥させた後、その担体に、タンタル(助触媒)を溶かした溶液を付着させて400℃で1.5時間空中で加熱して、乾燥させる。
以上の第1方法〜第3方法により触媒を担持されたチタニア粒子を用いて、汚染ガスの除去率を比べてみたところ、図26に示すように、トータル固有比を3%〜12%で変化させても、ガスの除去率にさほど変化がないことが分かった。
なお、上述の第1〜第9の実施形態では、空気浄化装置として車両用空気浄化装置を用いた例について説明したが、これに限らず、家庭用空気浄化装置など設置型の空気浄化装置に適用してもよい。
また、本発明の実施の際には、上述の第1〜第9の実施形態のうち、組み合わせて実施可能な実施形態を、組み合わせるようにしてもよい。
1A、1B…放電板、3…触媒シート、17触媒。
Claims (13)
- 汚染ガスを分解して脱臭する触媒を有する空気清浄機であって、
前記触媒は、第1の元素を有する主触媒と、この主触媒に固溶し、かつ前記第1の元素と価数が異なる第2の元素とからなるものであることを特徴とする空気清浄機。 - 前記第2の元素は、タンタルであり、
前記タンタルが前記主触媒に対して6%〜24%のモル比で固溶しているものであることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。 - 前記第2の元素は、銅であり、
前記銅が前記主触媒に対して6%〜12%のモル比で固溶しているものであることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。 - 前記第2の元素は、タングステンであり、
前記タングステンが前記主触媒に対して6%のモル比で固溶しているものであることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。 - 前記第2の元素は、ニッケルであり、
前記ニッケルが前記主触媒に対して3%〜6%のモル比で固溶しているものであることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。 - 前記主触媒は二酸化マンガンで、前記担体が、前記酸化チタンであり、
チタン原子の個数をTiとし、マンガン原子の個数をMnとしたとき、前記酸化チタンおよび前記二酸化マンガンは、1/20<Mn/Ti<1/5の関係を満たす混合比にて混合されていることを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。 - 前記触媒は、前記主触媒および前記第2の元素以外に、前記主触媒に固溶し、かつ前記第1、第2の元素と価数が異なる第3の元素を有しているものであることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
- 前記第2、第3の元素のうち一方が3価の元素であり、他方が5価の元素であることを特徴とする請求項7に記載の空気清浄機。
- 前記第2、第3の元素のうち一方がFeであり、他方がTaであることを特徴とする請求項8に記載の空気清浄機。
- 前記Taおよび前記Feは、1:1〜1:2のモル比で前記主触媒に固溶していることを特徴とする請求項9に記載の空気清浄機。
- 前記触媒を担持する担体を備えていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに空気清浄機。
- 放電により空気中の酸素分子を解離して活性化酸素を発生させる複数枚の放電板(1A、1B)を備えており、
前記触媒は、前記放電板の放電により発生する前記活性化酸素に基づいて、活性化するようになっていることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の空気浄化装置。 - 前記複数枚の放電板は、前記放電により活性化酸素以外にオゾンを発生させるものであり、
前記複数枚の放電板の間の隙間を流れる空気流を発生する送風手段(110)と、
前記複数枚の放電板に対して高電圧を印加する高電圧回路(140)と、
前記放電板の下流側の空気に含まれるオゾンを検出するオゾンセンサ(150)と、を備えており、
前記オゾンセンサの検出に基づいて、前記下流側空気に含まれるオゾン濃度を一定レベル以下にするように前記高電圧回路の出力が制御されるようになっていることを特徴とする請求項12に記載の空気浄化装置。
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Cited By (2)
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WO2010007978A1 (ja) * | 2008-07-14 | 2010-01-21 | 日揮ユニバーサル株式会社 | 脱臭触媒及びこれを用いた脱臭方法並びに該触媒の再生方法 |
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