JP2006324066A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】低温の外部環境において優れた起動性能を有する燃料電池システムを提供する。
【解決手段】正電極及び負電極によって挟まれた電解質膜を含み、電解質膜へ燃料ガス及び酸化剤ガスを供給することによって発電を行う燃料電池スタック10を備え、燃料電池の内部の水分量を示す状態量を測定するためのセンサ26(34,36)を備え、センサ26(34,36)によって状態量を測定し、測定された状態量に基づいて燃料電池の内部の水分量を評価しつつ燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行う。
【選択図】図1
【解決手段】正電極及び負電極によって挟まれた電解質膜を含み、電解質膜へ燃料ガス及び酸化剤ガスを供給することによって発電を行う燃料電池スタック10を備え、燃料電池の内部の水分量を示す状態量を測定するためのセンサ26(34,36)を備え、センサ26(34,36)によって状態量を測定し、測定された状態量に基づいて燃料電池の内部の水分量を評価しつつ燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、低温の外部環境において優れた起動性能を有する燃料電池システムに関する。
水素等の燃料ガスと酸素等の酸化剤ガスとを電解質膜に供給することによって電気エネルギーを得る燃料電池システムでは、電解質膜に高いイオン伝導性を発揮させるために通常の運転時には電解質膜の水分量を適切に調整しておく必要がある。
特許文献1には、燃料電池システムの停止時に外部温度が低下した場合に、燃料電池の内部で水分が凍結してしまうことによる燃料電池の破損を防ぐ技術が開示されている。この文献では、燃料電池システムを停止させる前に、アノード及びカソードにそれぞれ乾燥した燃料ガス又は酸化剤ガスを供給しながら通常の発電時よりも小さい出力電流を取り出す。この処理によって電解質膜を乾燥させた状態で運転を停止させ、燃料電池の内部での水分の凍結を防いでいる。乾燥処理時には、供給されるガスの含有水分量、電気化学反応による生成水分量及び燃料電池スタックから排出される排出水分量とのバランスによって決定される残留水分量を外部温度及び湿度により決定される電解質膜に保持可能な水分量に一致させるための乾燥処理時間を設定し、その乾燥処理時間だけガスに含有される水分を調整する。
特許文献1に記載の技術では、乾燥処理を行う前に予め処理時間を設定しているので、燃料電池システムを停止させる際に乾燥処理を行ったとしても、燃料電池システムを次に始動させる際に凍結を十分に抑制することができなかった。また、燃料電池の内部の水分量をリアルタイムで評価しつつ乾燥処理を行うものではないので、燃料電池の内部の水分量を十分に低減できず再起動時に凍結が起こるおそれ、又は、乾燥処理が必要以上に長くなり過剰に乾燥されるおそれがあった。
本発明は、上記従来技術の課題の少なくとも1つを解決できる燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明は、正電極及び負電極によって挟まれた電解質膜を含み、前記電解質膜へ燃料ガス及び酸化剤ガスを供給することによって発電を行う燃料電池、を備えた燃料電池システムにおいて、前記燃料電池の内部の水分量を測定するためのセンサを備え、前記センサによって測定された水分量に基づいて前記燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行うことを特徴とする。
このとき、前記燃料電池内部の水分量を低減させる低減処理の実行中に、前記センサにより水分量を測定し、測定された水分量に基づいて前記低減処理を行うことが好ましい。
このように、前記燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行う間、リアルタイムで前記燃料電池の内部の水分量を評価しつつ前記燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行うことによって、短い処理時間で水分量を必要十分な程度に適切に調整することができる。
例えば、前記センサを前記燃料電池の出力電圧を測定する電圧センサとして、前記電解質膜の水分量と前記燃料電池の出力電圧との相関関係を示す水分−電圧相関テーブルを参照して、前記電圧センサで測定された出力電圧に基づいて前記電解質膜の現在の水分量を決定し、当該電解質膜の現在の水分量に応じて前記燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行うことが好ましい。
また、例えば、前記センサを前記燃料電池の内部抵抗を測定する抵抗センサとして、前記電解質膜の水分量と前記燃料電池の内部抵抗との相関関係を示す水分−抵抗相関テーブルを参照して、前記抵抗センサで測定された内部抵抗に基づいて前記電解質膜の現在の水分量を決定し、当該電解質膜の現在の水分量に応じて前記燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行うことも好ましい。
燃料電池の出力電圧及び内部抵抗は、燃料電池に含まれる電解質膜の水分量を直接的に示す状態量である。そこで、これらの状態量と電解質膜の水分量との関係を示す相関テーブルを予め用意しておき、燃料電池の出力電圧又は内部抵抗の実測値に基づいて電解質膜の現在の水分量を求めることができる。これにより、現在の水分量を確認しつつ燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行うことができる。したがって、適切な処理時間で燃料電池の内部の水分量を必要十分な程度に適切に調整することができる。その結果、燃料電池を再起動させる際に燃料電池の内部の水分が凍結することを防ぐことができる。
また、例えば、前記センサは前記燃料電池から排出されるガスの水分を測定する水分センサであって、前記水分センサで測定されたガスの水分に基づいて前記燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行うことも好ましい。
燃料電池から排出されるガスの湿度は、燃料電池の内部の水分量を直接的に示す状態量である。そこで、ガスの湿度に基づいて燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行うことができる。これによって、適切な処理時間で燃料電池の内部の水分量を必要十分な程度に適切に調整することができる。したがって、燃料電池を再起動させる際に、燃料電池の内部の水分が凍結することを防ぐことができる。
また、前記電圧センサで測定された出力電圧を前記燃料電池の累積発電時間に応じて補正した補正出力電圧を求め、前記電圧センサで測定された出力電圧の代わりに前記補正出力電圧に基づいて前記電解質膜の現在の水分量を求めることが好適である。
また、前記抵抗センサで測定された内部抵抗を前記燃料電池の累積発電時間に応じて補正した補正内部抵抗を求め、前記抵抗センサで測定された内部抵抗の代わりに前記補正内部抵抗に基づいて前記電解質膜の現在の水分量を求めることも好適である。
燃料電池の出力電圧及び内部抵抗は、燃料電池を使用した累積発電時間による経時的な劣化の影響を受ける。そこで、累積発電時間に応じて、燃料電池の出力電圧及び内部抵抗の実測値を補正した補正値を求め、その補正値に基づいて燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行うことによって、経時的な劣化による影響を補償した過不足の無い処理を行うことが可能となる。
ここで、前記燃料電池の内部の水分量を低減させる処理は、前記燃料電池へ供給されるガスの加湿量の低減、又は、冷媒による前記燃料電池の温度の調整とすることができる。ただし、これらは例示であり、前記燃料電池の内部の水分量を低減させることができる処理であれば適用することができる。
また、前記燃料電池の周辺の外部温度を測定する温度センサを備え、前記温度センサで測定された外部温度から予想される推定温度に基づいて決定される目標水分量以下となるまで前記燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行うことが好適である。具体的には、前記センサにより測定された水分量に基づいて前記燃料電池内部の水分量を低減させる処理を停止する。
推定温度は、燃料電池システムを再起動する時点の温度の予測値である。外部温度の変化が小さいと予想される場合には、燃料電池システムの停止直前における外部温度を推定温度とすることが好適である。また、外部温度の変化が大きいと予想される場合には、外部環境の温度の経時的変化のパターンを示す温度変化パターンテーブルに基づいて、燃料電池システムの停止前の外部温度の経時的な変化パターンに応じて推定温度を決定することも好適である。温度変化パターンテーブルは、燃料電池システムが使用される環境下において外部温度の経時的変化のパターンを予め計測したものである。
一般的に電解質膜の内部に存在する水分は凍結しないとされている。そこで、燃料電池を推定温度において再起動させた後、水分が凍結しない温度まで燃料電池が暖機されるまでに、電解質膜の内部に含有される水分量が電解質膜に含有可能な飽和水分量に到達しないようにすることが好ましい。すなわち、再起動開始時から暖機終了時までの発電によって電解質膜の水分量が飽和水分量に到達しない程度の水分量を目標水分量として、燃料電池を停止させる前に電解質膜の水分量を低減させておくことが好ましい。これによって、低温下において燃料電池を再起動させた場合でも、燃料電池の暖機が終了するまでに電解質膜の水分量が飽和水分量を超えることがなくなり、燃料電池の内部での電解質膜以外の部分において水分が凍結することを防ぐことができる。
本発明によれば、低温の外部環境において優れた起動性能を有する燃料電池システムを提供することができる。
<第1の実施の形態>
本発明の実施の形態における燃料電池システム100は、図1に示すように、燃料電池スタック10、燃料ガスボンベ12、燃料ガス流量調整器14、燃料ガス加湿器16、酸化剤ガスボンベ18、酸化剤ガス流量調整器20、酸化剤ガス加湿器22、冷却剤ポンプ24、電圧センサ26、外部温度センサ30及び制御部32を含んで構成される。燃料電池システム100は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車に適用される。
本発明の実施の形態における燃料電池システム100は、図1に示すように、燃料電池スタック10、燃料ガスボンベ12、燃料ガス流量調整器14、燃料ガス加湿器16、酸化剤ガスボンベ18、酸化剤ガス流量調整器20、酸化剤ガス加湿器22、冷却剤ポンプ24、電圧センサ26、外部温度センサ30及び制御部32を含んで構成される。燃料電池システム100は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車に適用される。
燃料電池スタック10は、単一の燃料電池セルにより、又は、複数の燃料電池セルを直列に積層して構成される。燃料電池セルは、固体高分子等の電解質膜を正電極及び負電極によって挟んだ構造を有する。複数の燃料電池セルを積層する場合には、互いに隣接する燃料電池セルの正電極と負電極とを電気的に接触させるように積層する。この燃料電池セルに対して水素等の燃料ガスと酸素等の酸化剤ガスとを供給すると、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によって電気エネルギーが発生する。この電気エネルギーが燃料電池スタック10の両端の電極から出力される。また、電気化学反応によって水が生成されて電解質膜が加湿される。
燃料電池スタック10には、各燃料電池セルへ燃料ガス及び酸化剤ガスを供給するための燃料ガス流路と酸化剤ガス流路とが設けられる。
燃料電池スタック10の燃料ガス流路には、燃料ガス流量調整器14を介して燃料ガスボンベ12が取り付けられる。燃料ガスは、例えば、水素ガスを含有するガスとされる。燃料ガス流量調整器14は、制御部32から燃料流量制御信号を受けて、燃料電池スタック10に供給される燃料ガスの流量を調整する。さらに、燃料ガス流量調整器14と燃料電池スタック10との間に燃料ガス加湿器16が設けられる。燃料ガス加湿器16は、制御部32からの燃料湿度制御信号を受けて、燃料ガスボンベ12から燃料電池スタック10へと供給される燃料ガスの湿度を調整する。
また、燃料電池スタック10の酸化剤ガス流路には、酸化剤ガス流量調整器20を介して酸化剤ガスボンベ18が取り付けられる。酸化剤ガスは、酸素を含む空気等のガスとされる。酸化剤ガスを空気とする場合には、酸化剤ガスボンベ18を設ける代わりに外気から空気を供給してもよい。酸化剤ガス流量調整器20は、制御部32から酸化剤流量制御信号を受けて、燃料電池スタック10に供給される酸化剤ガスの流量を調整する。さらに、酸化剤ガス流量調整器20と燃料電池スタック10との間に酸化剤ガス加湿器22が設けられる。酸化剤ガス加湿器22は、制御部32からの酸化剤湿度制御信号を受けて、酸化剤ガスボンベ18から燃料電池スタック10へと供給される酸化剤ガスの湿度を調整する。
燃料電池スタック10に供給された燃料ガス及び酸化剤ガスは電気化学反応によって消費される。消費されなかった燃料ガス及び酸化剤ガスは燃料電池スタック10に設けられたガス排出路から排出される。なお、燃料電池スタック10から排出された燃料ガスを燃料電池スタック10へ再度循環させる再循環手段を設けることも好適である。
また、燃料電池スタック10には、燃料電池セルの温度を調整するための冷却剤が燃料電池スタック10内を循環するように冷却剤流路が設けられる。燃料電池スタック10の冷却剤流路の入口には冷却剤ポンプ24が接続される。冷却剤ポンプ24は、制御部32からの冷却剤制御信号を受けて、外部から供給される水やエチレングリコール等の冷却剤を冷却剤制御信号に応じた流量となるように制御して燃料電池スタック10へ供給する。燃料電池スタック10は、冷却剤の供給によって冷却される。冷却剤は、冷却剤流路の出口から燃料電池スタック10の外部へ排出される。
また、燃料電池スタック10には、燃料電池スタック10の出力電圧Voutを測定するための電圧センサ26が設けられる。電圧センサ26は、燃料電池スタック10の外部端子の正極及び負極の間の電圧を測定可能に設置される。電圧センサ26の出力信号は制御部32に入力される。
外部温度センサ30は、燃料電池スタック10を取り巻く外部環境の外部温度Toutを測定する。外部温度センサ30は、外気温を測定するためのセンサであり、車載機器の排熱の影響を受け難い箇所、例えば車両内部への空気取り込み口等、に取り付けられるのが好ましい。外部温度センサ30の出力信号は制御部32に入力される。
制御部32は、燃料電池システム100の制御を統合的に行うために設けられる。制御部32は、CPU、半導体メモリ等を含んでなるマイクロコンピュータで構成することができる。制御部32は、電圧センサ26及び外部温度センサ30から信号を受けて、これらの信号に応じて燃料電池システム100の制御を行う。制御部32による制御は、記憶部に格納及び保持されたテーブルに基づいて行われる。具体的には、制御部32は、セル内の水分量を推定し、推定された水分量に応じてセル内の水分量を低減させるための処理を実行する。
本実施の形態では、電解質膜の水分量Wと燃料電池スタックの出力電圧Voutとの相関関係を示す水分−電圧相関テーブルが用いられる。一般的な燃料電池スタック10では、図2に示すように、電解質膜の水分量Wが増加するにつれて出力電圧Voutが高くなる傾向を示す。
また、本実施の形態では、燃料電池の内部の水分量を低減する処理を行う際の目標となる水分量とされる目標水分量を設定するための目標水分量テーブルが用いられる。一般的に電解質膜の内部に存在する水分は凍結しないとされている。燃料電池を再起動させた場合に、水分が凍結しない温度まで燃料電池が暖機されるまでの間に、燃料電池の発電反応による水分の発生や供給されるガスに含有される水分の供給等によって電解質膜に含有される水分量は増加する。そこで、目標水分量は、燃料電池の暖機が終了するまでの間に増加する電解質膜の水分量を電解質膜の内部に含有可能な飽和水分量から差し引いた値に設定することが好ましい。
燃料電池システム100がおかれた外部温度Toutが低いほど、燃料電池の暖機が終了するまでの時間は長くなる。すなわち、燃料電池の再起動処理において燃料電池の暖機が終了するまでの間に増加する電解質膜の水分量は再起動時の温度が低いほど多くなる。したがって、図3に示すように、燃料電池の再起動を行う時点の推定温度Tpreが低いほど、燃料電池を停止させる時点での電解質膜に含まれる目標水分量Wcは低く設定することが好ましい。
水分−電圧相関テーブル及び目標水分量テーブルは、燃料電池システム100と同等の燃料電池システムを用いて予め測定され、燃料電池システム100の制御部32に設けられた記憶部に格納及び保持される。
次に、燃料電池システム100の制御方法について説明する。本実施の形態における燃料電池システム100の制御は、燃料電池の内部において水分が凍結することを防ぐために燃料電池システム100を停止させる前に行われる。ユーザ等から燃料電池システム100の停止命令を受けると制御部32は図4に示す処理を開始する。
ステップS10では、燃料電池スタック10の出力電圧Voutが測定される。制御部32は、燃料電池システム100を運転状態に維持した状態で、電圧センサ26により測定された燃料電池スタック10の出力電圧Voutを取得する。
ステップS12では、燃料電池システム100を運転状態に維持した状態で、燃料電池スタック10の外部温度Toutが測定される。制御部32は、外部温度センサ30によって測定された燃料電池スタック10の外部温度Toutを取得する。
ステップS14では、測定された出力電圧Voutに基づいて燃料電池の電解質膜が有する現在の水分量Wnが求められる。制御部32は、水分−電圧相関テーブルを参照して、ステップS10で得られた燃料電池スタック10の出力電圧Voutに対応する水分量を現在の燃料電池の電解質膜の水分量Wnとする。
このように、電解質膜の水分量Wと燃料電池スタック10の出力電圧Voutとの相関関係を示す水分−電圧相関テーブルを予め準備しておくことによって、電圧センサ26で測定された出力電圧Voutに基づいて現時点での電解水分量Wnを推定することができる。
また、燃料電池システム100が備える燃料電池は長時間の使用に伴って劣化することが知られている。そこで、測定された出力電圧Voutに基づいて電解質膜の現在の水分量Wnを求める際に燃料電池システム100の劣化を考慮することが好適である。
図5に、燃料電池システム100の累積発電時間に対する燃料電池スタック10の出力電圧Voutの変化を示す。この燃料電池システム100の累積発電時間に対する燃料電池スタック10の出力電圧Voutの変化は、燃料電池システム100と同等の燃料電池システムを用いて予め測定され、制御部32の記憶部に劣化測定テーブルとして格納及び保持することができる。また、燃料電池システム100の累積発電時間に対する燃料電池スタック10の出力電圧Voutの変化は、燃料電池システム100の発電中(使用中)の出力電圧Voutの変化から取得してもよい。
また、制御部32にシステムクロックを内蔵して、燃料電池システム100の累積発電時間を測定可能な構成とする。制御部32は、測定された出力電圧Voutに累積発電時間に応じた劣化分の電圧値ΔVを加算した補正後の出力電圧Vcmpを求める。そして、水分−電圧相関テーブルを参照して、出力電圧Voutの代わりに補正後の出力電圧Vcmpに対応する電解質膜の現在の水分量Wnを求める。
このように、燃料電池スタック10の劣化を考慮して電解質膜の水分量Wnを求めることによって、燃料電池の内部の水分量を低減させる処理をより適切に行うことができる。
また、出力電圧Voutの絶対値を用いるのではなく、図6に示すように、処理の初期の出力電圧Voutからの出力電圧Voutの変化量ΔVtに基づいて現在の電解質膜の水分量Wnを抽出することも好適である。このように変化量ΔVtを用いて電解質膜の水分量Wnを求めることによって、燃料電池スタック10の劣化による出力電圧Voutの絶対値の変化に影響されることなく処理を行うことができる。
ステップS16では、ステップS12で測定された外部温度Toutに基づいて燃料電池システム100を再起動する時点における外部環境の推定温度Tpreが推定される。
燃料電池システム100の停止時と再起動時とにおいて外部環境の温度変化が小さいと予想される場合、ステップS12で測定された外部温度Toutをそのまま推定温度Tpreとすることが好適である。
また、燃料電池システム100の停止時と再起動時とにおいて外部環境の温度変化が大きいと予想される場合、燃料電池システム100の使用環境下における外部温度Toutの経時的変化のパターンを予め測定して温度変化パターンテーブルとして記憶部に格納及び保持しておくことが好適である。この場合、制御部32は、電解質膜の現在の水分量を求める時点より前、又は、処理を開始する時点より前の通常の運転時に外部温度Toutを継続的に取得しておき、外部温度Toutの経時的な履歴に近似する温度変化パターンテーブルを選択して、現時点の外部温度Toutに応じて推定温度Tpreを決定することができる。
ステップS18では、燃料電池の内部の水分量を低減させる処理が必要か否かが判断される。制御部32は、記憶部に予め保持されている目標水分量テーブルを参照して、ステップS16で推定された推定温度Tpreに対応する目標水分量Wcを求める。そして、現時点での電解水分量Wnが推定温度Tpreにおける目標水分量Wcを超えているか否かを判定する。電解水分量Wnが目標水分量Wcを超えている場合にはステップS20に処理を移行させ、電解水分量Wnが目標水分量Wc以下である場合には燃料電池システム100を停止させて処理を終了する。
なお、目標水分量テーブルの代わりに、再起動時の外部温度Toutと再起動時に凍結を生じない初期電圧Voutとの関係を予め目標出力電圧テーブルとして準備しておくことも好適である。この場合、目標水分量Wcと現在の水分量Wnとの比較に代えて、目標水分量Wcに対応する出力電圧Vcと現在の水分量Wnに対応する出力電圧Voutとを比較して処理を行うか否かを判定する。
ステップS20では、燃料電池の内部の水分量を低減させる処理が行われる。処理は幾つかの方法で行うことができる。第1の方法では、制御部32は、燃料ガス加湿器16へ燃料湿度制御信号を送信して、燃料ガスボンベ12から燃料電池スタック10へと供給される燃料ガスの含有水分を現在の運転時よりも低下させる。このとき、制御部32は、燃料ガス流量調整器14へ燃料流量制御信号を送信して、燃料ガスボンベ12からの燃料ガスの供給流量を調整することも好適である。
第2の方法では、制御部32は、酸化剤ガス加湿器22へ酸化剤湿度制御信号を送信して、酸化剤ガスボンベ18から燃料電池スタック10へと供給される酸化剤ガスの含有水分を現在の運転時よりも低下させる。このとき、制御部32は、酸化剤ガス流量調整器20へ酸化剤流量制御信号を送信して、酸化剤ガスボンベ18が取り付けられる。酸化剤ガス流量調整器20は、制御部32から酸化剤流量制御信号からの酸化剤ガスの供給流量を調整することも好適である。
第1の方法及び第2の方法では、燃料電池スタック10へ供給される水分を減少させることによって、電気化学反応による生成水分量及び燃料電池スタックから排出される排出水分量に対するバランスを変化させて燃料電池の内部の水分量を減少させる。
第3の方法では、制御部32は、冷却剤ポンプ24へ冷却剤制御信号を送信して、燃料電池に供給される冷却剤の流量又は温度を調整する。具体的には、冷却剤の流量を現在よりも低下させる、又は、冷却剤の温度を現在よりも上昇させる。これにより、燃料電池スタック10の内部温度Tinが上昇し、電解質膜の飽和水分量が低下する。これによって、電解質膜から放出された水分が排ガスと共に燃料電池の外部に排出されて、燃料電池の内部の水分量が低減される。
このとき、燃料電池システム100に内部温度センサ28を設けておくことも好適である。内部温度センサ28は、燃料電池スタック10の内部温度Tinを測定する。測定された内部温度Tinは制御部32へ送信される。制御部32は、内部温度センサ28によって測定された燃料電池スタック10の内部温度Tinに応じて冷却剤の流量又は温度を調整することが好適である。
なお、第1〜第3の方法を同時に行うことによって燃料電池の内部の水分量を素早く低減させることが可能である。しかしながら、第1の方法、第2の方法、第3の方法を独立に行ってもよいし、適宜組み合わせ行ってもよい。さらに、既存の他の方法を適宜組み合わせて燃料電池の内部の水分量を低減させてもよい。
燃料電池システム100の運転条件を変更することによって、燃料電池の内部の水分量が低減する。すなわち、燃料電池スタック10のガス供給路等に残留する水分が低減されると共に、電解質膜に含有される水分もしだいに低減される。ステップS20において運転条件を変更した後、ステップS10に処理を戻す。ステップS10以降では、燃料電池スタック10の出力電圧Vout及び外部温度Toutが再度測定され、電解質膜の水分量Wnが目標水分量Wc以下となるまで燃料電池の内部の水分量を低減させる処理が続けられる。
以上のように、本実施の形態では、燃料電池の出力電圧を測定することによって、出力電圧と電解質膜の含有水分量との関係に基づいて電解質膜に含有水分量をリアルタイムで評価しながら低減させることができる。したがって、短い処理時間で電解質膜に含まれる水分量を必要十分な目標水分量まで低減させることができる。
また、燃料電池システムを停止させた後に低温下で再起動させる際に、燃料電池の内部の水分が凍結しない温度まで暖機されるまでに電解質膜の水分量が飽和水分量に達することがなくなり、飽和水分量を超えた水分が電解質膜から放出されて燃料電池の内部で凍結することを防ぐことができる。したがって、低温の外部環境において優れた起動性能を有する燃料電池システムを実現することができる。
なお、本実施の形態では、外部温度Toutに基づいて推定温度Tpreを推定し、その推定温度Tpreに応じた目標水分量Wcを決定したが、外部温度Toutに関わらず目標水分量Wcを所定の値に固定してもよい。例えば、燃料電池システム100が使用される環境下において予想される最低の外部温度に応じた目標水分量Wcとする。この場合、外部温度センサ30を設ける必要はなく、ステップS12及びS16の処理も不要となる。
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、燃料電池スタック10の出力電圧の代わりに内部抵抗を用いて処理を行う。
第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、燃料電池スタック10の出力電圧の代わりに内部抵抗を用いて処理を行う。
燃料電池システム102は、図7に示すように、燃料電池スタック10、燃料ガスボンベ12、燃料ガス流量調整器14、燃料ガス加湿器16、酸化剤ガスボンベ18、酸化剤ガス流量調整器20、酸化剤ガス加湿器22、冷却剤ポンプ24、抵抗センサ34、外部温度センサ30及び制御部32を含んで構成される。燃料電池システム102は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車に適用される。
燃料電池システム102は、抵抗センサ34を除いて上記の燃料電池システム100と同様の構成を有する。ここでは、燃料電池システム100との相違点を中心に説明を行う。
燃料電池スタック10には、燃料電池スタック10の内部抵抗Rinを測定するための抵抗センサ34が設けられる。抵抗センサ34は、例えば、既存の高周波重畳型の抵抗センサで構成され、燃料電池スタック10の外部端子の正極及び負極の間の内部抵抗を測定可能に設置される。抵抗センサ34の出力信号は制御部32に入力される。
制御部32は、抵抗センサ34から信号を受けて、信号に応じて燃料電池システム102の制御を行う。制御部32による制御は、記憶部に格納及び保持されたテーブルに基づいて行われる。
本実施の形態では、電解質膜の水分量Wと燃料電池セルの内部抵抗Rinとの相関関係を示す水分−抵抗相関テーブルが用いられる。一般的な燃料電池スタック10では、図8に示すように、電解質膜の水分量Wが増加するにつれて内部抵抗Rinが低くなる傾向を示す。
水分−抵抗相関テーブルは、燃料電池システム102と同等の燃料電池システムを用いて予め測定され、燃料電池システム102の制御部32に設けられた記憶部に格納及び保持される。
次に、燃料電池システム102の制御方法について説明する。燃料電池スタック10の出力電圧の代わりに内部抵抗を用いて燃料電池の内部の水分量を低減させる処理が行われる。本実施の形態における燃料電池システム102の制御は、燃料電池の内部において水分が凍結することを防ぐために燃料電池システム102を停止させる前に行われる。ユーザ等から燃料電池システム102の停止命令を受けると制御部32は図9に示す処理を開始する。
ステップS30では、燃料電池スタック10の内部抵抗Rinが測定される。制御部32は、燃料電池システム102を運転状態に維持した状態で、抵抗センサ34により測定された燃料電池スタック10の内部抵抗Rinを取得する。
ステップS32では、燃料電池システム102を運転状態に維持した状態で、燃料電池スタック10の外部温度Toutが測定される。制御部32は、外部温度センサ30によって測定された燃料電池スタック10の外部温度Toutを取得する。
ステップS34では、測定された内部抵抗Rinに基づいて電解質膜が有する現在の水分量Wnが求められる。制御部32は、記憶部に保持されている水分−抵抗相関テーブルを参照し、ステップS30で得られた燃料電池スタック10の内部抵抗Rinに対応する水分量を現在の電解質膜の水分量Wnとする。
このように、電解質膜の水分量Wと燃料電池セルの内部抵抗Rinとの相関関係を示す水分−抵抗相関テーブルを予め準備しておくことによって、抵抗センサ34で測定された内部抵抗Rinに基づいて現時点での電解水分量Wnを推定することができる。
また、燃料電池システム102が備える燃料電池スタック10は長時間の使用に伴って劣化することが知られている。そこで、燃料電池スタック10の劣化を考慮して電解質膜の水分量Wnを求めることも好適である。図10に、燃料電池システム102の累積発電時間に対する燃料電池スタック10の内部抵抗Rinの変化を示す。この燃料電池システム102の累積発電時間に対する燃料電池スタック10の内部抵抗Rinの変化は、燃料電池システム102と同等の燃料電池システムを用いて予め測定され、制御部32の記憶部に劣化測定テーブルとして格納及び保持される。また、制御部32にシステムクロックを内蔵して、燃料電池システム102の累積発電時間を測定可能な構成とする。制御部32は、測定された内部抵抗Rinから累積発電時間に応じた劣化分の抵抗値ΔRを減算した補正後の内部抵抗Rcmoを求める。そして、内部抵抗Rinの代わりに補正後の内部抵抗Rcmpを用いて現在の電解質膜の水分量Wnを抽出する。なお、燃料電池システム100の累積発電時間に対する燃料電池スタック10の内部抵抗Rinの変化は、燃料電池システム100の発電中(使用中)の内部抵抗Rinの変化から取得してもよい。
また、内部抵抗Rinの絶対値を用いるのではなく、図11に示すように、乾燥処理の初期の内部抵抗Rinからの内部抵抗Rinの変化量ΔRtに基づいて現在の電解質膜の水分量Wnを抽出することも好適である。
ステップS36では、燃料電池システム102を再起動する時点における外部環境の推定温度Tpreが推定される。燃料電池システム102の停止時と再起動時とにおいて外部環境の温度変化が小さい場合、ステップS12で測定された外部温度Toutをそのまま推定温度Tpreとすることが好適である。また、燃料電池システム102の停止時と再起動時とにおいて外部環境の温度変化が大きい場合、第1の実施の形態と同様に、温度変化パターンテーブルを用いることが好適である。
ステップS38では、燃料電池の内部の水分量を低減させる処理が必要か否かが判断される。制御部32は、記憶部に予め保持されている目標水分量テーブルを参照して、ステップS36で推定された推定温度Tpreに対応する目標水分量Wcを求め、現時点での電解水分量Wnが推定温度Tpreにおける目標水分量Wcを超えているか否かを判定する。電解水分量Wnが目標水分量Wcを超えている場合にはステップS40に処理を移行させ、電解水分量Wnが目標水分量Wc以下である場合には燃料電池システム102を停止させて処理を終了する。
なお、目標水分量テーブルの代わりに、再起動時の外部温度Toutと再起動時に凍結を生じない内部抵抗Rinとの関係を予め目標内部抵抗テーブルとして準備しておくことも好適である。この場合、目標水分量Wcと現在の水分量Wnとの比較に代えて、目標水分量Wcに対応する内部抵抗Rcと現在の水分量Wnに対応する内部抵抗Routとを比較して処理を行うか否かを判定する。
ステップS40では、燃料電池の内部の水分量を低減させる処理が行われる。処理は、第1の実施の形態と同様に行うことができる。燃料電池の内部の水分量が低減される状態となるように燃料電池システム102の運転条件を変更した後にステップS30に処理を戻す。ステップS30以降では、燃料電池スタック10の内部抵抗Rin及び外部温度Toutが再度測定され、電解質膜の水分量Wnが目標水分量Wc以下となるまで処理が続けられる。
以上のように、本実施の形態では、燃料電池の内部抵抗を測定することによって、内部抵抗と電解質膜の含有水分量との関係に基づいて電解質膜に含有水分量をリアルタイムで評価しながら低減させることができる。短い処理時間で電解質膜に含まれる水分量を必要十分な目標水分量まで低減させることができる。
また、燃料電池システムを停止させた後に低温下で再起動させる際に、燃料電池の内部の水分が凍結しない温度まで暖機されるまでの間に電解質膜の水分量が飽和水分量に達することがなくなり、飽和水分量を超えた水分が電解質膜から放出されて燃料電池の内部で凍結することを防ぐことができる。したがって、低温の外部環境において優れた起動性能を有する燃料電池システムを実現することができる。
なお、外部温度Toutに基づいて推定温度Tpreを推定し、その推定温度Tpreに応じた目標水分量Wcを決定したが、本実施の形態においても、外部温度Toutに関わらず目標水分量Wcを所定の値に固定してもよい。例えば、燃料電池システム102が使用される環境下において予想される最低の外部温度に応じた目標水分量Wcとする。この場合、外部温度センサ30を設ける必要はなく、ステップS32及びS36の処理も不要となる。
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、燃料電池スタック10から排出されるガスに含まれる水分を検出して処理を行う。
第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、燃料電池スタック10から排出されるガスに含まれる水分を検出して処理を行う。
燃料電池システム104は、図12に示すように、燃料電池スタック10、燃料ガスボンベ12、燃料ガス流量調整器14、燃料ガス加湿器16、酸化剤ガスボンベ18、酸化剤ガス流量調整器20、酸化剤ガス加湿器22、冷却剤ポンプ24、水分センサ36、外部温度センサ30及び制御部32を含んで構成される。燃料電池システム104は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車に適用される。
燃料電池システム104は、水分センサ36を除いて上記の燃料電池システム100と同様の構成を有する。ここでは、燃料電池システム100との相違点を中心に説明を行う。
燃料電池スタック10には、燃料電池スタック10から排出されるガスに含有される水分Woutを測定するための水分センサ36が設けられる。水分センサ36の出力信号は制御部32に入力される。
制御部32は、水分センサ36から信号を受けて、信号に応じて燃料電池システム104の制御を行う。制御部32による制御は、記憶部に格納及び保持されたテーブルに基づいて行われる。
本実施の形態では、電解質膜の水分量Wと排ガスの水分Woutとの相関関係を示す水分−水分相関テーブルが用いられる。一般的な燃料電池スタック10では、図13に示すように、電解質膜の水分量Wが増加するにつれて排ガスの水分Woutが内増加する傾向を示す。
水分−水分相関テーブルは、燃料電池システム104と同等の燃料電池システムを用いて予め測定され、燃料電池システム104の制御部32に設けられた記憶部に格納及び保持される。
次に、燃料電池システム104の制御方法について説明する。燃料電池スタック10の排ガスの水分を検出して燃料電池の内部の水分量を低減させる処理が行われる。本実施の形態における燃料電池システム104の制御は、燃料電池の内部において水分が凍結することを防ぐために燃料電池システム104を停止させる前に行われる。ユーザ等から燃料電池システム104の停止命令を受けると制御部32は図14に示す処理を開始する。
ステップS50では、燃料電池スタック10の排ガスの水分Woutが測定される。制御部32は、燃料電池システム104を運転状態に維持した状態で、水分センサ36により測定された燃料電池スタック10の排ガスの水分Woutを取得する。
ステップS52では、燃料電池システム104を運転状態に維持した状態で、燃料電池スタック10の外部温度Toutが測定される。制御部32は、外部温度センサ30によって測定された燃料電池スタック10の外部温度Toutを取得する。
ステップS54では、測定された排ガスの水分Woutに基づいて電解質膜が有する現在の水分量Wnが求められる。制御部32は、記憶部に保持されている水分−水分相関テーブルを参照し、ステップS30で得られた燃料電池スタック10の排ガスの水分Woutに対応する水分量を現在の電解質膜の水分量Wnとする。
このように、電解質膜の水分量Wと排ガスの水分Woutとの相関関係を示す水分−抵抗相関テーブルを予め準備しておくことによって、水分センサ36で測定された排ガスの水分Woutに基づいて現時点での電解質膜の水分量Wnを推定することができる。
ステップS56では、燃料電池システム104を再起動する時点における外部環境の推定温度Tpreが推定される。燃料電池システム104の停止時と再起動時とにおいて外部環境の温度変化が小さい場合、ステップS52で測定された外部温度Toutをそのまま推定温度Tpreとすることが好適である。また、燃料電池システム104の停止時と再起動時とにおいて外部環境の温度変化が大きい場合、第1の実施の形態と同様に、温度変化パターンテーブルを用いることが好適である。
ステップS58では、燃料電池の内部の水分量を低減させる処理が必要か否かが判断される。制御部32は、記憶部に予め保持されている目標水分量テーブルを参照して、ステップS56で推定された推定温度Tpreに対応する目標水分量Wcを求め、現時点での電解水分量Wnが推定温度Tpreにおける目標水分量Wcを超えているか否かを判定する。電解水分量Wnが目標水分量Wcを超えている場合にはステップS60に処理を移行させ、電解水分量Wnが目標水分量Wc以下である場合には燃料電池システム104を停止させて処理を終了する。
なお、目標水分量テーブルの代わりに、再起動時の外部温度Toutと再起動時に凍結を生じない排ガスの水分Woutとの関係を予め目標排ガス水分テーブルとして準備しておくことも好適である。この場合、目標水分量Wcと現在の水分量Wnとの比較に代えて、目標水分量Wcに対応する排ガスの水分Wecと現在の水分量Wnに対応する排ガスの水分Woutとを比較して処理を行うか否かを判定する。
ステップS60では、燃料電池の内部の水分量を低減させる処理が行われる。処理は、第1の実施の形態と同様に行うことができる。燃料電池の内部の水分量が低減される状態となるように燃料電池システム104の運転条件を変更した後にステップS50に処理を戻す。ステップS50以降では、燃料電池スタック10の排ガスの水分Wout及び外部温度Toutが再度測定され、電解質膜の水分量Wnが目標水分量Wc以下となるまで処理が続けられる。
以上のように、本実施の形態では、燃料電池の排ガスの水分を測定することによって、排ガスの水分Wと電解質膜の含有水分量との関係に基づいて電解質膜に含有水分量をリアルタイムで評価しながら低減させることができる。したがって、必要十分な処理時間で電解質膜に含まれる水分量を目標水分量Wcまで低減させることができる。
また、燃料電池システムを停止させた後に低温下で再起動させる際に、燃料電池の内部の水分が凍結しない温度まで暖機されるまでの間に電解質膜の水分量が飽和水分量に達することがなくなり、飽和水分量を超えた水分が電解質膜から放出されて燃料電池の内部で凍結することを防ぐことができる。したがって、低温の外部環境において優れた起動性能を有する燃料電池システムを実現することができる。
なお、外部温度Toutに基づいて推定温度Tpreを推定し、その推定温度Tpreに応じた目標水分量Wcを決定したが、本実施の形態においても、外部温度Toutに関わらず目標水分量Wcを所定の値に固定してもよい。例えば、燃料電池システム104が使用される環境下において予想される最低の外部温度に応じた目標水分量Wcとする。この場合、外部温度センサ30を設ける必要はなく、ステップS52及びS56の処理も不要となる。
<変形例>
上記第1〜第3の実施の形態において、燃料電池システムの内部の水分量に応じて燃料電池の内部の水分量を低減させる処理の内容を変更することも好適である。
上記第1〜第3の実施の形態において、燃料電池システムの内部の水分量に応じて燃料電池の内部の水分量を低減させる処理の内容を変更することも好適である。
燃料電池の内部の水分量が低減されるにつれて、燃料ガスの含有水分量又は流量を調整する第1の方法、酸化剤ガスの含有水分量又は流量を調整する第2の方法、冷却剤の流量又は温度を調整する第3の方法を切り換えて行うことが好ましい。例えば、燃料電池の内部の水分量が高い状態では、第1〜第3の方法のいずれか2以上を適宜組み合わせて行い、燃料電池の内部の水分量が所定の閾値よりも低くなると第1〜第3の方法のいずれか1つのみに切り換える。
また、燃料電池の内部の水分量が低減されるにつれて、燃料電池の内部の水分量を低減させる処理の条件を緩やかにすることも好適である。例えば、燃料ガスの含有水分量又は流量を調整する第1の方法において、燃料電池の内部の水分量が低減されるにつれて含有水分量を徐々に増加させたり、流量を徐々に増加させたりする。
10 燃料電池スタック、12 燃料ガスボンベ、14 燃料ガス流量調整器、16 燃料ガス加湿器、18 酸化剤ガスボンベ、20 酸化剤ガス流量調整器、22 酸化剤ガス加湿器、24 冷却剤ポンプ、26 電圧センサ、28 内部温度センサ、30 外部温度センサ、32 制御部、34 抵抗センサ、36 水分センサ、100,102,104 燃料電池システム。
Claims (9)
- 正電極及び負電極によって挟まれた電解質膜を含み、前記電解質膜へ燃料ガス及び酸化剤ガスを供給することによって発電を行う燃料電池、を備えた燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池の内部の水分量を示す状態量を測定するためのセンサを備え、
前記センサによって測定された状態量から評価された前記燃料電池の内部の水分量に基づいて前記燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行うことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
前記センサは前記燃料電池の出力電圧を測定する電圧センサであって、
前記電解質膜の水分量と前記燃料電池の出力電圧との相関関係を示す水分−電圧相関テーブルを参照して、前記電圧センサで測定された出力電圧に基づいて前記電解質膜の現在の水分量を決定し、当該電解質膜の現在の水分量に応じて前記燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行うことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
前記センサは前記燃料電池の内部抵抗を測定する抵抗センサであって、
前記電解質膜の水分量と前記燃料電池の内部抵抗との相関関係を示す水分−抵抗相関テーブルを参照して、前記抵抗センサで測定された内部抵抗に基づいて前記電解質膜の現在の水分量を決定し、当該電解質膜の現在の水分量に応じて前記燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行うことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
前記センサは前記燃料電池から排出されるガスの水分を測定する水分センサであって、
前記水分センサで測定されたガスの水分に基づいて前記燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行うことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、
前記電圧センサで測定された出力電圧を前記燃料電池の累積発電時間に応じて補正した補正出力電圧を求め、前記電圧センサで測定された出力電圧の代わりに前記補正出力電圧に基づいて前記電解質膜の現在の水分量を求めることを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項3に記載の燃料電池システムにおいて、
前記抵抗センサで測定された内部抵抗を前記燃料電池の累積発電時間に応じて補正した補正内部抵抗を求め、前記抵抗センサで測定された内部抵抗の代わりに前記補正内部抵抗に基づいて前記電解質膜の現在の水分量を求めることを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1〜6のいずれか1つに記載の燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池の内部の水分量を低減させる処理は、前記燃料電池へ供給されるガスの加湿量の低減、又は、冷媒による前記燃料電池の温度の調整であることを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1〜7のいずれか1つに記載の燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池の周辺の外部温度を測定する温度センサを備え、
前記温度センサで測定された外部温度から予想される推定温度に基づいて決定される目標水分量以下となるまで前記燃料電池の内部の水分量を低減させる処理を行うことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1〜8のいずれか1つに記載の燃料電池システムにおいて、
前記センサにより測定された水分量に基づいて前記燃料電池内部の水分量を低減させる処理を停止することを特徴とする燃料電池システム。
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