JP2006323272A - 画像形成装置用ローラ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐久性及び寸法精度に優れるとともに、効率よく製造することのできる画像形成装置用ローラを提供する。
【解決手段】 円筒状の外周面を有するローラ本体12と、このローラ本体12にその軸心に沿って嵌着され、ローラ本体の両端よりも軸方向外側へ突出して外部の軸受により回転自在に支持される支軸部14とを有する画像形成装置用ローラ10において、ローラ本体12を、アルミニウム材料から構成し、かつその外周面にアルマイト処理を施すとともに、支軸部14をチタン材料から構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を併せ持つ複合機等の画像形成装置に使用される現像ローラ等の、画像形成装置用ローラに関するものである。
この種の画像形成装置には、現像ローラ、感光体ドラム、搬送ローラ、転写ローラ等の、各種ローラが使用されている。これらの画像形成装置用ローラは、一般に、円筒状の外周面を有するローラ本体と、このローラ本体の両端部に装着され、外部のすべり軸受により回転自在に支持される支軸部とを有している。これらの材質としては、ローラを回転駆動させるトルクの軽減等のため、できるだけ軽量なものが好ましい。このため、従来から、画像形成装置用ローラとして、ローラ本体と支軸部をともにアルミニウム合金によって構成したものが知られていた。
しかしながら、アルミニウムは一般の鋼材に比べて耐摩耗性の点で劣るため、この構成による画像形成装置用ローラでは、すべり軸受により回転自在に支持される支軸部が、すべり軸受との摺動によって激しく磨耗するという問題があった。もちろん、すべり軸受の代わりに転がり軸受を使用すれば磨耗の問題は改善されるが、転がり軸受はすべり軸受に比べて高価であるため、転がり軸受の採用はコスト的に問題があった。そこで、特許文献1には、アルミニウム合金製のローラ本体に、そのローラ本体とは異材質の鋼製の支軸部を圧入することによって構成した現像ローラ(の芯金)が開示されている。この構成によれば、ローラ本体を軽量化しながらも、支軸部の耐久性を向上させることが可能であった。
一方、画像形成装置用ローラには、その種類により、外周面にアルマイト処理が施されたアルミニウム合金製のローラ本体を有するものがある(例えば、特許文献2の現像ローラ参照)。この構成によれば、アルマイト処理によってローラ本体の外周面にアルミニウムの酸化皮膜が形成されるため、ローラ本体の外周面の耐食性や電気絶縁性を向上させることが可能であった。
特開2004−206019号公報 特開2004−318092号公報
ここで、前記特許文献1の技術と、前記特許文献2の技術を組み合わせた場合、すなわち、外周面にアルマイト処理が施されたアルミニウム合金製のローラ本体を有する画像形成装置用ローラにおいて、その支軸部を、アルミニウム以外の材質によって構成した場合について考察する。
まず、その製造方法としては、以下のような方法が考えられる。
(a)ローラ本体単体の状態でその外周面を加工し、次にその外周面にアルマイト処理を施した後、最後にローラ本体の両端に支軸部を圧入する。
(b)加工前のローラ本体の両端にあらかじめ支軸部を圧入しておき、次にこのうちの支軸部を支持した状態でローラ本体を回転させながらその外周面を加工した後、最後にローラ本体の外周面にアルマイト処理を施す。
しかしながら、これらの製造方法によって製造された画像形成装置用ローラには、それぞれ以下のような問題点が生じると考えられる。
まず、前記(a)の方法では、最後に支軸部の圧入を行うため、その圧入時に生じるローラ本体と支軸部との軸心のずれを修正できない。このため、振れ公差(ローラ本体と支軸部との軸心のずれ)が大きくなり易い。
一方、前記(b)の方法では、ローラ本体の両端に圧入された支軸部を支持した状態でローラ本体を回転させながらその外周面を加工するため、振れ公差の問題は生じないが、今度はアルマイト処理時に問題が生じる。すなわち、アルマイト処理は、一般に被処理体をアルマイト処理槽(電解液)に浸漬して行うが、支軸部としてアルミニウム以外の金属材料を用いた場合は、通常、支軸部を構成する金属が電解液に溶解してしまうため、電解液に悪影響を及ぼすことになる。この場合において、支軸部を樹脂カバー等でマスキングすればその問題は解消するが、電解液の支軸部への侵入を完全に防止しようとすれば、マスキング作業が煩雑になり、製造効率が悪くなる。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、耐久性及び寸法精度に優れるとともに、効率よく製造することのできる画像形成装置用ローラを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、円筒状の外周面を有するローラ本体と、このローラ本体にその軸心に沿って嵌着され、ローラ本体の両端よりも軸方向外側へ突出して外部の軸受により回転自在に支持される支軸部とを有する画像形成装置用ローラであって、前記ローラ本体は、アルミニウム材料から構成され、かつその外周面にはアルマイト処理が施されているとともに、前記支軸部は、チタン材料から構成されていることを特徴とするものである。
この画像形成装置用ローラによれば、軸受により回転自在に支持される支軸部が、高硬度金属のチタン材料から構成されているため、特に軸受がすべり軸受である場合に、軸受との摺動による支軸部の磨耗を大幅に軽減することができる。また、チタンはアルマイト処理時に電解液に悪影響を与えない安定した金属であることから、ローラ本体のアルマイト処理時に、そのローラ本体に嵌着された支軸部をローラ本体と一緒にアルマイト処理槽に浸漬したとしても、その支軸部にマスキング等の前処理を施しておく必要がないため、効率よくアルマイト処理を行うことができる。さらには、このように支軸部をアルマイト処理の前からローラ本体に嵌着しておけることから、アルマイト処理の前に行われるローラ本体の外周面の加工を、ローラ本体に嵌着された支軸部を支持した状態でローラ本体を回転させながら行うことができるため、ローラ本体の軸心と支軸部の軸心とをほぼ正確に一致させることが可能である。
このような画像形成装置用ローラの用途は特に問わないが、例えば、現像ローラとして使用することが可能である。特に、非接触現像方式の現像装置において使用される現像ローラでは、ローラ本体の外周面に形成されるアルミニウムの酸化皮膜が、現像ローラに印加されるバイアス電圧(ローラ本体の外周面に付着したトナーを、これと対向して配設される感光体ドラム上の静電潜像に円滑に飛翔させるために印加される)のリークを防止するという役割を果たすため、本構成による画像形成装置用ローラは、このような現像ローラに好適に使用することができる。また、前記バイアス電圧は通常、支軸部に印加されるが、支軸部がチタン材料から構成されていれば、アルマイト処理によって外周面に酸化皮膜が形成されることがないため、前記バイアス電圧の印加は良好に行われる。
ここで、前記支軸部は、前記ローラ本体を軸方向に貫通する1個の部材によって構成してもよいが、この支軸部を構成するチタン材料は高価な材料であるため、支軸部は、ローラ本体の一方端と他方端にそれぞれ嵌着される2個の部材によって構成するのが好ましい。これにより、材料の総長さを短くして材料費を節減することができる。また、このような支軸部を前記ローラ本体に嵌着するための手段として、前記ローラ本体に、前記支軸部を圧入するための嵌挿孔を設けてもよい。この場合、前記ローラ本体の一方端と他方端に独立した嵌挿孔を個別に設けてもよいが、この2個の嵌挿孔の軸心を互いに一致させるにはそれなりに高度な技術が必要となる。このため、前記嵌挿孔としては、前記ローラ本体を軸方向に貫通するものがより好ましい。この場合、前記2個の支軸部は、前記ローラ本体の一方端と他方端においてそれぞれ前記嵌挿孔の一部分に圧入すればよい。
また、本発明は、以上のような画像形成装置用ローラの製造方法であって、前記ローラ本体に前記支軸部を嵌着する工程と、このローラ本体に嵌着された支軸部を支持した状態でローラ本体を回転させながらローラ本体の外周面を加工する工程と、この加工後のローラ本体と前記支軸部とをアルマイト処理槽に浸漬することにより、前記ローラ本体の外周面にアルマイト処理を施す工程とを含むことを特徴とするものである。
以上のように、本発明によれば、耐久性及び寸法精度に優れるとともに、効率よく製造することのできる画像形成装置用ローラを提供することができる。
本発明の好ましい実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態にかかる現像ローラを示す図、図2は当該現像ローラが好適に使用される現像装置の一例を示す図、図3は当該現像装置が搭載された画像形成装置の一例を示す図である。
最初に、図3を用いて、画像形成装置の全体構成について説明しておく。本図に示すように、画像形成装置80は、4連タンデム型のフルカラー画像形成装置であり、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色用の画像形成ユニット22K、22Y、22M、22Cから成る画像形成部22と、この画像形成部22の下方に配設される用紙搬送ユニット66と、この用紙搬送ユニット66と前記画像形成部22との間に用紙を送り込む給紙ユニット70と、前記用紙搬送ユニット66の下流側(図3の左方)に配設される定着ユニット76とが、略箱型の本体82に内装されることにより構成されている。
前記各画像形成ユニット22K、22Y、22M、22Cは、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色に応じたトナー容器(トナーカートリッジ)21と、この各トナー容器21の下方に配設される現像装置20と、この現像装置20に対向する感光体ドラム50とを備えている。
前記各感光体ドラム50は、図3において時計方向に回転するように構成されており、この感光体ドラム50の上方には、帯電装置52と、露光装置54がそれぞれ設けられている。そして、感光体ドラム50は、帯電装置52によって外周面が一様に帯電されるとともに、その帯電後の外周面に、図略の原稿画像の読取り装置等から入力された画像データに基づく露光装置54からの光(例えばLED光や半導体レーザ)の照射を受けることにより、その外周面に静電潜像が形成されるようになっている。かかる静電潜像に現像装置20からトナーが供給されることにより、感光体ドラム50の外周面にトナー像が形成される。
前記用紙搬送ユニット66は、前記給紙ユニット70と定着ユニット74との間を橋渡すように設けられた転写ベルト60と、この転写ベルト60を巻き回すためにその両端に設けられた2つの巻回ローラ64(一方が駆動側、他方が従動側)と、この2つの巻回ローラ64の間にあって転写ベルト60を介して前記各感光体ドラム50に圧接するように配設された4つの転写ローラ62とを備えている。
この用紙搬送ユニット66では、反時計方向に回転する転写ベルト60が、給紙ユニット70から供給された用紙を下流側へ(図3の左方へ)搬送するとともに、転写ローラ62が、その用紙を感光体ドラム50に押し付けることにより、各画像形成ユニット22K、22Y、22M、22Cの各感光体ドラム50の外周面に形成された各色のトナー像が順次用紙に転写されるようになっている。
前記給紙ユニット70は、サイズの異なる用紙を選択的にピックアップして前記用紙搬送ユニット66に供給するものであり、サイズ別に用紙を収容する複数の給紙カセット72と、この給紙カセット72に装填された用紙束の最上位の1枚をピップアップして搬送し、前記転写ベルト60の上流側(図3の右方)へ送り出すための複数の搬送ローラ101〜103とを備えている。なお、このうち搬送ローラ103は、画像形成部22における画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取るための役割も果たしている(レジストローラ)。
前記定着ユニット76は、図略のヒータにより加熱される定着ローラ74を有しており、画像形成部22でトナー像が転写された用紙を加熱することによって定着処理を行うものである。そして、この定着ユニット76によってカラー画像が定着された用紙は、複数の搬送ローラ104によって外部に送り出され、本体82の頂部に形成された排出部84へ排出される。
次に、図2を用いて、前記現像装置20について説明する。
図2(a)は現像装置20の断面構造を模式的に示す図、同図(b)は上部の蓋体が取り外された状態の現像装置20を示す斜視図である。本図に示す現像装置20は、磁性キャリアと非磁性のトナーから成る2成分現像剤を用いる場合に好適に使用されるものであり、あらかじめ内部に有するキャリアと、前記トナー容器21(図3)から供給されるトナーとを撹拌させることによってトナーを帯電させ、その帯電したトナーを所定の経路を経由させて前記感光体ドラム50上の静電潜像に飛翔させることにより、トナー像を形成するようにした非接触現像方式の現像装置である。
この現像装置20は、前記トナー容器21(図3)から供給されたトナーをキャリアと混合して撹拌することによりトナーを帯電させる撹拌ミキサ32及びパドルミキサ34と、キャリアを外周面に保持して磁気ブラシを形成する磁気ローラ30と、この磁気ローラ30上の磁気ブラシからトナーの供給を受けてトナー薄層を外周面に形成する現像ローラ10とが、ケース35の内部に所定の位置関係で配設されることにより構成されている。
前記ケース35は、前記現像ローラ10等を内装するケース本体36と、このケース本体36の上部をカバーする蓋体37から構成されている。ケース本体36の内部の前記磁気ローラ30の近傍には、前記磁気ブラシの厚さを制御するための規制ブレード38が設けられている。また、蓋体37には、その上部に位置する前記トナー容器21(図3)からトナーの供給を受けるためのトナー供給孔37aが設けられている。
前記磁気ローラ30は、内部に磁性体を有しており、前記撹拌ミキサ32及びパドルミキサ34によって混合・撹拌された現像剤(トナーとキャリア)の供給を受けると、内部の磁性体に基づく磁力によって外周面にキャリアを吸着して磁気ブラシを形成するとともに、その磁気ブラシにトナーを同伴させる。この磁気ブラシは、前記規制ブレード38によって穂切りされることにより、一定の厚さに形成される。また、磁気ローラ30には、直流電源44による直流バイアスVd2が印加されている。
一方、前記現像ローラ10には、直流電源42による直流バイアスVd1が印加されている。この直流バイアスVd1と前記磁気ローラ30に印加される直流バイアスVd2との電位差|Vd2−Vd1|(以下、電位差Δという)により、前記磁気ローラ30上の磁気ブラシに付着したトナーが現像ローラ10に移り、現像ローラ10の外周面にトナー薄層が形成されるようになっている。なお、このトナー薄層の厚みは、現像剤の抵抗や、現像ローラ10と磁気ローラ30との回転速度差によっても変化するが、前記電位差Δによっても制御することが可能である。電位差Δを大きくすると、トナー薄層が厚くなり、電位差Δを小さくすると薄くなる。この電位差Δの範囲は一般的に100v〜250v程度が適切である。
そして、前記現像ローラ10は、外周面に形成したトナー薄層から、対向する前記感光体ドラム50上に形成された(周囲よりも電位が低下している)静電潜像に選択的にトナーを飛翔させることにより、感光体ドラム50上にトナー像を形成させる。この際、現像ローラ10へのトナーの吸着度を弱めてこのトナーの飛翔を円滑化させるため(現像性を高めるため)、現像ローラ10には、交流電源40による交流バイアスVaが、前記直流バイアスVd1に重畳して印加される。この交流バイアスVaの印加は、トナーの飛散を防ぐため、現像の直前に行われる。なお、ここでは、現像ローラ10についてその機能を中心に説明したが、その具体的形態については本文後段でさらに詳述するものとする。
ここで、現像に使用されずに前記現像ローラ10上に残ったトナーである現像残トナーは、そのまま放置しておくとカブリ等の要因になる。従って、前記電位差Δは定期的に変化するようになっており、これによって現像残トナーが磁気ローラ30上の磁気ブラシに回収されるようになっている。このようにすれば、剥ぎ取りブレードなどの特別な装置を設けることなく、現像残トナーを容易に回収してカブリの発生を抑制し、鮮明な画像を形成することができる。
また、前記磁気ローラ30と現像ローラ10との間のギャップは、0.3〜1.5mm程度に設定するのが好ましい。また、前記現像ローラ10と感光体ドラム50との間のギャップは、150〜400μm程度、より好ましくは200〜300μm程度に設定するとよい。このギャップが150μmより狭い場合は、カブリの要因となるとともに、現像ローラ10に印加された電圧の感光体ドラム50へのリークを発生させ易くなる。一方、400μmより広い場合は、トナーを前記感光体ドラム50に飛翔させることが困難になり、十分な画像濃度を得ることができない。また、選択現像を発生させる要因にもなる。
そしてここで、以上のような現像装置20に用いられる前記現像ローラ10の具体的形態、すなわち、本発明にかかる現像ローラ10の一実施形態について、図1を用いて説明する。
図1(a)は現像ローラ10の全体構成を示す斜視図、同図(b)はその横断面図、同図(c)は縦断面図である。本図に示すように、現像ローラ10は、円筒状の外周面を有するローラ本体12の両端部に、その軸心に沿って支軸部14が圧入・固定されることによって構成されている。
前記ローラ本体12は、アルミニウム合金製のいわゆる三ツ矢管によって構成されている。具体的には、外管12aと、この外管12aの内部に平行に配設される内管12cが、3個のリブ12bによって連結されることによって構成されている。このうち内管12cの内径は、前記支軸部14を圧入可能な寸法に設定されている。このことから、内管12cの中空部は、ローラ本体12を軸方向に貫通するように設けられた、支軸部14を圧入・固定するための孔と言うことができ、以後、本明細書では、この内管12cの中空部のことを嵌挿孔13と呼ぶ。
このローラ本体12の外周面には、所定厚みのアルミニウムの酸化皮膜を形成するためのアルマイト処理が施されている。このようにローラ本体12の外周面にアルミニウムの酸化皮膜を形成するのは、外周面の電気絶縁性を高めることによって、前記のように現像ローラ10に印加される電圧のリークを確実に防止するためである。
前記支軸部14は、前記ローラ本体12とは異材質のチタン合金によって構成されている。この支軸部14は、ローラ本体12の一方端と他方端においてそれぞれ前記嵌挿孔13の一部分に圧入される2本の棒状体によって構成されている(14a、14b)。各支軸部14a、14bは、ローラ本体12の各端部よりも軸方向外側へ突出するような状態で圧入されており、その突出部分が、例えば銅系焼結金属などから成る、外部のすべり軸受(図示省略)によって回転自在に支持されるようになっている。また、支軸部14a、14bのうちいずれか一方は、図略の駆動源によって回転駆動されるとともに、もう一方(従動側)には、前記交流・直流電源40,42によるバイアス電圧が印加されるようになっている。
このような支軸部14を構成するチタン合金は、耐磨耗性に優れた非常に硬い金属であり、また、通常の鋼材と異なり、アルマイト処理時において電解液に溶解することのない安定した金属でもある。(このため、アルマイト処理品を支持するための治具としても使用されている。)従って、支軸部14は、これを回転自在に支持するすべり軸受との摺動によってもほとんど磨耗することがなく、また、前記ローラ本体12がアルマイト処理されるに際しては、何らマスキング等の前処理を施されることなくこのローラ本体12と一緒にアルマイト処理槽に浸漬されたとしても、電解液に悪影響を与えることがない。しかも、支軸部14は、アルマイト処理によってその外周面に酸化皮膜が形成されることがないため(導電性に影響を受けることがないため)、前記バイアス電圧の印加時において導通不良を起こすこともない。
以上のような構成による現像ローラ10の製造方法は、まずアルミニウム合金の押出し加工、または引抜き加工によってローラ本体12を形成する。次に、このローラ本体12の一方端と他方端において、各支軸部14a、14bをそれぞれ嵌挿孔13の一部分に圧入する。そして、この支軸部14を支持した状態でローラ本体12を回転させながらローラ本体12の外周面を加工する。(なお、本実施形態ではさらに、他の組立部品との干渉防止のため、リブ12bの両端部分も、軸方向所定範囲にわたって加工除去する。)このように、支軸部14を支持した状態でローラ本体12を加工することにより、両者の軸心をほぼ正確に一致させることができるため、ローラ本体12と支軸部14との軸心のずれ(振れ公差)を最小限に抑えることが可能となる。これに対し、例えば、あらかじめローラ本体12の外周面を加工・アルマイト処理しておき、最後に支軸部14の圧入を行うというような方法を採ることも可能であるが、このようにすると、支軸部14の圧入時に不可避的に生じる、ローラ本体12と支軸部14との軸心のずれを修正できないため、前記のような方法に比べて振れ公差は大きくなる。しかも、前記現像ローラ10は、一般に振れ公差が0.02mm以下であることが要求されるため、この精度を満足させるには、やはり前記のように、支軸部14の圧入後にローラ本体12を加工する方法の方がより好ましい。
次に、このようにして組立・加工された現像ローラ10を、アルマイト処理槽(電解液)に浸漬してアルマイト処理を行い、ローラ本体12の外周面にアルミニウムの酸化皮膜を形成する。(なお、本実施形態では、ローラ本体12の外管12aと内管12cとの間に形成された空間にも電解液が入り込むため、これに伴って外管12aの内周面やリブ12bの表面、内管12cの外周面にもアルマイト処理が施されることになる。)このアルマイト処理においては、ローラ本体12と一緒に支軸部14もアルマイト処理槽に浸漬されるが、前記のように、支軸部14は電解液に悪影響を与えないチタン合金によって構成されているため、この支軸部14は、マスキング等の前処理を施すことなく、そのままアルマイト処理槽に浸漬することができる。以上の工程によって現像ローラ10が完成する。
以上説明したように、本実施形態の現像ローラ10によれば、すべり軸受により回転自在に支持される支軸部14が、高硬度金属のチタン合金によって構成されているため、すべり軸受との摺動による支軸部14の磨耗を大幅に軽減することができる。また、チタン合金はアルマイト処理時に電解液に悪影響を与えない安定した金属であることから、ローラ本体12のアルマイト処理時に、そのローラ本体12に圧入された支軸部14をローラ本体12と一緒にアルマイト処理槽に浸漬したとしても、その支軸部14にマスキング等の前処理を施しておく必要がないため、効率よくアルマイト処理を行うことができる。さらには、このように支軸部14をアルマイト処理の前からローラ本体12に圧入しておけることから、アルマイト処理の前に行われるローラ本体12の外周面の加工を、その両端に圧入された支軸部14を支持した状態でローラ本体12を回転させながら行うことができるため、両者の軸心をほぼ正確に一致させることが可能である。
なお、本実施形態では、支軸部14は、ローラ本体12の一方端と他方端にそれぞれ圧入される2本の棒状体によって構成したが、これを、ローラ本体12を軸方向に貫通する1本の棒状体によって構成してもよい。ただし、支軸部14を構成するチタン合金は高価な材料であることを考慮すると、本実施形態の方が、材料の総長さが短くて済むため、コスト的には有利である。
また、支軸部14は、ローラ本体12の嵌挿孔13に圧入されることによりローラ本体12に固定されるものとしたが、容易に外れない程度に固定できる手段であればこれに限るものではなく、例えば溶接や接着等によって固定されるものとしてもよい。
また、支軸部14が圧入される嵌挿孔13は、ローラ本体12を軸方向に貫通するように設けたが、前記ローラ本体の一方端と他方端に、独立した(ローラ本体を貫通しない)嵌挿孔13を個別に設けるようにしてもよい。ただし、このような2個の嵌挿孔13の軸心を互いに一致させるにはそれなりに高度な技術が必要となるため、本実施形態の方が、振れ交差をより小さくし易い点で有利である。
さらにまた、ローラ本体12は、外管12aと内管12cが3個のリブ12bによって連結されて成る三ツ矢管によって構成したが、必要な強度が得られればリブ12bは3本でなくてもよい。また、ローラ本体12は、単体の円管から成る通常のパイプによって構成してもよい。この場合、そのパイプの内径を、支軸部14をそのまま圧入し得る寸法に設定してもよいが、このようにするとパイプが厚肉になってローラ本体12の重量が増加することになる。そこで、ローラ本体12の重量の増加を防ぐには、例えば、前記特許文献1と同様に、ローラ本体12を薄肉パイプ状に形成するとともに、支軸部14を、大径部分と小径部分を有する段付きの部材とし、このうちの大径部分を薄肉パイプ状のローラ本体12に圧入するようにすればよい。
また、本実施形態の現像ローラ10と同様の構成は、画像形成装置10に用いられる他のローラ類、例えば感光体ドラム50の素管や搬送ローラ101〜104、転写ローラ62等にも適用可能である。これらに適用すれば、前記と同様に、支軸部14の耐久性向上を達成できるだけでなく、例えば感光体ドラム50においては、その外周面に形成される感光層の膜はがれ防止等の効果を得ることができる。
(a)は本発明の実施の形態にかかる現像ローラの全体構成を示す斜視図、(b)はその一部拡大図である。 (a)は前記現像ローラが好適に使用される現像装置の断面構造を模式的に示す図、(b)は上部の蓋体が取り外された状態の現像装置を示す斜視図である。 前記現像装置が搭載された画像形成装置の全体構成を模式的に示す図である。
符号の説明
10 現像ローラ
12 ローラ本体
13 嵌挿孔
14 支軸部

Claims (4)

  1. 円筒状の外周面を有するローラ本体と、このローラ本体にその軸心に沿って嵌着され、ローラ本体の両端よりも軸方向外側へ突出して外部の軸受により回転自在に支持される支軸部とを有する画像形成装置用ローラであって、
    前記ローラ本体は、アルミニウム材料から構成され、かつその外周面にはアルマイト処理が施されているとともに、
    前記支軸部は、チタン材料から構成されていることを特徴とする画像形成装置用ローラ。
  2. 前記画像形成装置用ローラが現像ローラであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置用ローラ。
  3. 請求項1又は2記載の画像形成装置用ローラにおいて、
    前記ローラ本体には、前記支軸部を圧入するための嵌挿孔が、前記ローラ本体を軸方向に貫通するように設けられ、
    前記支軸部は、前記ローラ本体の一方端と他方端においてそれぞれ前記嵌挿孔の一部分に圧入される2個の部材によって構成されていることを特徴とする画像形成装置用ローラ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置用ローラの製造方法であって、
    前記ローラ本体に前記支軸部を嵌着する工程と、
    このローラ本体に嵌着された支軸部を支持した状態でローラ本体を回転させながらローラ本体の外周面を加工する工程と、
    この加工後のローラ本体と前記支軸部とをアルマイト処理槽に浸漬することにより、前記ローラ本体の外周面にアルマイト処理を施す工程とを含むことを特徴とする画像形成装置用ローラの製造方法。
JP2005148153A 2005-05-20 2005-05-20 画像形成装置用ローラ及びその製造方法 Pending JP2006323272A (ja)

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