JP2006322509A - スラスト軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両のストラット式サスペンション装置で用いられる樹脂製のケースを有するスラスト軸受において、ケース間隙間から転動体側へ泥水等の浸入を防ぐスラスト軸受を提供する。
【解決手段】上ケース3と下ケース4は、それぞれに形成された環状の軌道輪5,6が転動体である玉2を支持するとともに、上ケース3と下ケース4との間にケース間隙70a,70bが形成されている。ケース間隙間70aは、第1内側隙間部21、第2内側隙間部22、及び第3内側隙間部23とを含んでクランク構造として形成され、第1隙間部21には、内側シール部25が形成されている。内側シール部25は、弾性シール部材26、ストッパー部29を含み、外圧によって弾性シール部材26が弾性変形すると、ストッパー部29によってラジアル方向の移動が規制される。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両のストラット式サスペンション装置で用いられるスラスト軸受に関する。
車両のストラット式サスペンション装置においてスラスト玉軸受が用いられている。スラスト玉軸受は、ストラットと車体との間にあって操舵時のストラット軸の揺動運動に追従しながら、両側の車輪を保持する役割を持っている。
図7に車両のサスペンション形式の一つであるストラット式サスペンションの例を示す。図7に示すように、ストラット式サスペンションは、支持メンバー81に装着されて車体の一部を支持するストラット軸83と、そのストラット軸83に組み込まれタイヤ側からの振動や衝撃を吸収するコイルスプリング82と、車体の上部に固定されるスタビライザーサポート84等を含んで構成されている。
このストラット式サスペンションは、その下側が車体側の支持メンバー81に取り付けられ、車体全体を車軸等に対して浮上支持する役割を有する。そして、この支持メンバー81周りには、車軸89とその車軸89に固定され車輪を装着するハブ90と、そのハブ90に固定されるブレーキディスク91と、そのブレーキディスク91に油圧により圧接させるパッドを内部に設けたキャリパボディ92等が配置されている。
図7のP部の内部を示す図8を用いて、従来のスラスト玉軸受101を説明する。スラスト玉軸受101は、樹脂製の上ケース103と、上ケース103に第1軌道輪105と、樹脂製の下ケース104と、下ケース104に第2軌道輪106が形成されている。また第1軌道輪105と第2軌道輪106との間に転動自在に配置された複数個の玉102と、これら玉102を円周方向等配位置に保持する保持器109とを備えている。
このようなスラスト玉軸受101は、2つの環状をなした軌道輪105,106の間に複数の玉102が介装され、第1軌道輪105を支持する上ケース103と、第2軌道輪106を支持する下ケース104との間に相対回転をするためのケース間隙間108が形成されている。
そして、このケース間隙間から転動体へ泥水等が浸入するという問題があった。ところで、スラスト軸受には、金属製の環状板からなるレース部に複数の転動体を支持する軌道面が一体形成され、その軌道面間に転動体が介装されて、一対のレース部が相対回転するものがあるが、このようなスラスト軸受においては、レース部間の隙間からの泥水等の浸入を防ぐために、接触タイプのシールを施している。金属製のレース部を有するスラスト軸受では、シールと摩耗は問題とはならないが、前述の樹脂製のケースを有するスラスト軸受では、この接触タイプのシールでは、摺動部の摩耗が発生し、耐久性に問題がある。
本発明の課題は、車両のストラット式サスペンション装置で用いられる樹脂製のケースを有するスラスト軸受において、ケース間隙間から転動体側へ泥水等の浸入を防ぐスラスト軸受を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記課題を解決するための本発明のスラスト軸受は、コイルばねシートとストラット軸の上端部とで支持され、該ストラット軸に軌道輪の一方が固定されるスラスト軸受であって、
複数の転動体をアキシャル方向から各々支持するとともに転動体の上側軌道面を形成する第1軌道輪及び下側軌道面を形成する第2軌道輪と、該第1軌道輪及び第2軌道輪に対しそれぞれアキシャル方向においてそれぞれの軌道面とは反対側に結合された樹脂製の第1ケースと樹脂製の第2ケースとを備え、
第1ケースと第2ケースとは、上側軌道面及び下側軌道面よりそのラジアル方向内側又は外側の少なくとも一方に突出する形でそれぞれ隙間形成突出部を形成し、それら隙間形成突出部同士が対向形成するケース間隙間をなす一方のケースの隙間形成面に、ケース間隙間を塞ぐ方向に延びた弾性シール部材を備え、
該弾性シール部材は、軸受外空間からの浸入物による外圧が印加されることにより弾性変形して他方のケースの隙間形成面にその先端部が当接してケース間隙間を塞ぐことを特徴とする。
上記構成によれば、ケース間隙間に、軸受外空間からの浸入物による外圧が印加されることにより弾性変形して他方のケースの隙間形成面にその先端部が当接してケース間隙間を塞ぐ弾性シール部材を備えることにより、軸受内部に浸入物が浸入することを防ぐことができる。すなわち浸入物が軸受外空間から浸入してくると、この浸入物の外圧により弾性シール部材が弾性変形をしてケース間隙間を塞ぐことから、浸入物の軸受内部への浸入が防止される。また、軸受外空間からの浸入物がない場合には、弾性シール部材は弾性変形せずに、弾性シール部材の先端部は、ケースにほとんど接触しない状態となるため、ケースと弾性シール部材との接触が必要最小限に抑えられ、ケースや弾性シール部材の摩耗を抑えることができる。
本発明のスラスト軸受においては、弾性シール部材は、ラジアル方向に延びるケース間隙間部において、アキシャル方向上側に延びるように第2ケースに備えられる構造とする。すなわち弾性シール部材の先端部が第1ケース側に向くように、第2ケースに弾性シール部材が固定される構造とする。
上記構成によれば、弾性シール部材は、下側がケースに固定されて上側が弾性変形して第1ケースに当接する態様となるため、軸受外空間からの浸入物が軸受内部に浸入することを効果的に防止することができる。一方、弾性シール部材を下向きとなるように第1ケースに固定した場合、弾性シール部材の先端部が、第2ケースに十分に接していないと、浸入物が弾性シール部材を通過して軸受内部に浸入しやすくなる。もし、浸入物がない状態で弾性シール部材の先端部が、第2ケースに十分に接している構成とすると、ケースや弾性シール部材の摩耗の問題が生じる。したがって弾性シール部材は、第2ケースに上向きとなるように備えられることが望ましい。
弾性シール部材は、先端部に軸受外空間側へ屈曲したリップ部を有する構造とすることができる。このような構造とすることにより、浸入物による外圧によって、弾性シール部材がケースの隙間形成面に当接した場合に、ケース間隙間を遮断して浸入物の軸受内部への浸入を防止することができる。
本発明のスラスト軸受は、弾性シール部材が備えられた領域の、該弾性シール部材の先端部側のケースの隙間形成面に、弾性シール部材が弾性変形した場合に先端部が当接してラジアル方向の変位が規制されるストッパー部が形成されている。
上記構成によれば、浸入物による外圧が強い場合にも、弾性シール部材の先端部がストッパー部によってラジアル方向の変位が規制されるために、弾性シール部材が軸受内部方向に変形しすぎて、浸入物が弾性シール部材によってシールされないということを防ぐことができる。
本発明のスラスト軸受におけるケース間隙間は、ラジアル方向の第1縁が第1軌道輪及び第2軌道輪が形成する転動体配置空間に連通し、第2縁が該転動体配置空間とはアキシャル方向において異なる位置にて軸受外空間に開放し、それら両縁間にてアキシャル方向に屈曲形成されてなる。
上記構成によれば、転動体配置空間に連通したケース間隙間の第1縁と、軸受外空間に連通した第2縁がアキシャル方向において異なる位置に形成されていることから、軸受外空間から軸受内部に泥水や塵埃等が浸入することを防ぐことができる。
またケース間隙間は、第1縁からラジアル方向に延びる第1隙間部と、該第1隙間部の末端から下方に屈曲してアキシャル方向に延びる第2隙間部と、該第2隙間部の末端から屈曲して転動体配置空間からラジアル方向に遠ざかる向きに延びると共に第2ケースのラジアル方向側面に至る第3隙間部とを含んで形成することができる。
上記発明によれば、ケース間隙間をクランク構造とすることにより、軸受外空間から軸受内部に泥水や塵埃等が浸入することをより効果的に防ぐことができる。すなわち第3隙間部よりも転動体配置空間に近い第1隙間部が、アキシャル方向において第3隙間部よりも上方に位置するために、軸受外空間から第3隙間部、第2隙間部を経て第1隙間部へと泥水や塵埃等が浸入しにくくなる。
さらに隙間形成突出部は、転動体配置空間よりもラジアル方向内側に延出する内側隙間形成突出部を有し、
該内側隙間形成突出部において、第1ケース及び第2ケースの各内周面がストラット軸の外周面に接して配置されると共に、第3隙間部は、それら第1ケース及び第2ケースの内周面に開放して形成され、
ラジアル方向において、第1隙間部は第3隙間部よりも長く形成され、第1隙間部に弾性シール部材が備えられた構造とすることができる。
上記構成によれば、軸受外空間から離れた第1隙間部に弾性シール部材を備えることにより、軸受外空間から内周面に開放して形成された第3隙間部を経て転動体配置空間への泥水や塵埃等の浸入をより効果的に防ぐことができる。
一方、隙間形成突出部は、転動体配置空間よりもラジアル方向外側に延出すると共に、ケース外周面を形成する外側隙間形成突出部を有し、
該外側隙間形成突出部において、第3隙間部は、第1隙間部よりもラジアル方向において長く形成され、該第3隙間部に弾性シール部材が備えられた構造とすることができる。
上記のように第3隙間部をラジアル方向において長く形成することにより、第3隙間部に弾性シール部材を備えることができる。外側隙間突出部に形成されたケース間隙間に弾性シール部材を備えることにより、軸受外空間から転動体配置空間への泥水や塵埃等の浸入をより効果的に防ぐことができる。
また本発明のスラスト軸受は、外側隙間形成突出部の第1ケースのラジアル方向の外周末端部に、第2ケースの外周面との間に、第3隙間部に上端が連通し下端が下向きに開放する出口隙間部を形成する外側円筒部が一体化されてなる構造とすることができる。
外側円筒部が第1ケースの外周末端部に一体化して形成されることにより、より効果的に軸受外空間からケース間隙間への泥水や塵埃等の浸入を防ぐことができる。また外側円筒部によりケース間隙間が下向きに開放する出口隙間部を形成するため、ケース間隙間へ泥水や塵埃等の浸入がされにくくなる。
以下図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、ストラット式サスペンション用のスラスト玉軸受1の断面図を示す。スラスト玉軸受1は、図1に示すように、第1ケースである上ケース3と第2ケースである下ケース4を含んで構成されている。上ケース3及び下ケース4には、それぞれ環状の上側軌道輪5と下側軌道輪6が形成され、鋼球からなる複数個の転動体である玉2の上方と下方を、それぞれ上ケース3と下ケース4の環状の上側軌道輪5、下側軌道輪6が支持している。上ケース3と下ケース4は、それぞれ合成樹脂により形成され、鋼材からなる上側軌道輪5、下側軌道輪6をマウント成形により一体化したものである。合成樹脂は、例えば、強化ポリアミド樹脂である。また、これら玉を円周方向等配位置に保持する保持器9を備えている。
上側軌道輪5は、上ケース3に形成された上側第1ストッパー部11によってラジアル方向内側への移動が規制され、さらに上側第2ストッパー部12によってラジアル方向外側への移動が規制されている。
下側軌道輪6は、下ケース4に形成された下側第1ストッパー部13によってラジアル方向外側への移動が規制され、さらに下側第2ストッパー部14によってラジアル方向内側への移動が規制されている。
スラスト玉軸受1には、上側軌道輪5及び下側軌道輪6によって転動体配置空間17が形成されている。上ケース3は、転動体配置空間17から、ラジアル方向内側に突出する形で内側隙間形成突出部3aが形成されており、内側隙間形成突出部3aの内周面7は、ストラット軸83の上端部に嵌合される。
また上ケース3は、ラジアル方向外側に突出する形で外側隙間形成突出部3bが形成されている。外側隙間形成突出部3bのラジアル方向の外周末端部41には、下向きに外側円筒部42が一体化されてなる。外側円筒部42は、軸受外空間からの泥水や塵埃等の浸入を防ぐ機能を有する。
下ケース4は、転動体配置空間17から、ラジアル方向内側に突出する形で内側隙間形成突出部4aが形成されており、内側隙間形成突出部4aの内周面8は、ストラット軸83の上端部に嵌合される。なお、内周面8は、第2ケースのラジアル方向側面に該当する。
また下ケース4は、ラジアル方向外側に突出する形で外側隙間形成突出部4bが形成されている。外側隙間形成突出部4bの外周面45は、上ケース3の外周末端部41に下向きに一体形成された外側円筒部42との間に出口隙間部43を形成する。なお、外周面45は、第2ケースのラジアル方向側面に該当する。
上ケース3と下ケース4は、それぞれに形成された環状の軌道輪5,6が転動体である玉2を支持するとともに、摺動抵抗、回転トルクを低減するために、上ケース3と下ケース4との間にケース間隙間70a,70bが形成され、上ケース3と下ケース4とは、非接触状態とされている。ケース間隙間70a,70bとは、長さdが0.3mm以上0.7mm以下である。すなわち上ケース3と下ケース4とは対向配置されて、ケース間隙間70a,70bが形成されており、このケース間隙間70a,70bによって上ケース3と下ケース4とは、玉2を介して相対回転可能となっている。
転動体配置空間17よりもラジアル方向内側の内側隙間形成突出部3a,4aによって形成された内側ケース間隙間70aについて説明する。内側ケース間隙間70aは、転動体配置空間17からラジアル方向内側に延びる第1内側隙間部21と、第1内側隙間部21の末端から下方に屈曲してアキシャル方向に延びる第2内側隙間部22と、第2内側隙間部22の末端から屈曲して転動体配置空間17からラジアル方向に遠ざかる向きに延びると共に内周面7,8に至る第3内側隙間部23とを含んで形成されている。
すなわち第1内側隙間部21と第3内側隙間部23とが、アキシャル方向において異なる位置に形成され、第3内側隙間部23は、第1内側隙間部21よりもアキシャル方向において下方に位置する。このように第1内側隙間部21、第2内側隙間部22、第3内側隙間部23によってクランク構造が形成されることにより、軸受外空間から転動体配置空間17への泥水や塵埃等の浸入を防ぐことができる。
さらにラジアル方向において、第1内側隙間部21は第3内側隙間部23よりも長く、平坦部として形成され、第1内側隙間部21に内側シール部25が形成されている。内側シール部25は、ケース間隙間70aの軸受外空間に開放された縁よりも転動体配置空間17側の縁に近い領域に形成されている。
図2を用いて内側シール部25について説明する。図の右側が、内周面7側、左側が転動体配置空間17側である。図2(a)に示すように、内側シール部25は、下ケース4のケース間隙間の隙間形成面52に備えられた弾性シール部材26と、上ケース3のケース間隙間の隙間形成面51に形成されたストッパー部29によって構成される。弾性シール部材26は、隙間形成面52に固定されて上ケース3側に延びる本体部27と、その本体部27から軸受外空間側へ屈曲して形成された先端部をなすリップ部28とを備える。弾性シール部材26は、ラジアル方向に延びる第1内側隙間部21において、アキシャル方向上側に延びるように下ケース4に備えられている。弾性シール部材26の本体部27は、下側が幅広に、上側が幅狭く形成されており、上側が弾性変形しやすく構成されている。
弾性シール部材26は、ゴムによって形成され、例えば、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等で形成される。特に、ニトリルゴムは、弾性、耐摩耗性、機械的強度に優れており望ましい。
弾性シール部材26が備えられた領域である内側シール部25は、弾性シール部材26の先端部側である上ケース3の隙間形成面51に、弾性シール部材26が弾性変形した場合に先端部(リップ部28)が当接してラジアル方向の変位が規制されるストッパー部29が形成されている。このストッパー部29は、本実施例において、隙間形成面51が上側に窪んだ凹部として形成されている。
図2(a)は、内側シール部25に泥水や塵埃等が浸入していない場合を示す。この場合、弾性シール部材26は、弾性変形しないで、ケース間隙間を塞ぐ方向に延びている。この状態では、その先端部(リップ部27)は、凹部を形成する上面53aに十分な接触をしていないために、上ケース3と弾性シール部材26の接触による各々の摩耗を最小限に抑えることができる。
図2(b)は、泥水や塵埃等が浸入してきた場合を示す。泥水や塵埃等の浸入物による外圧58によって、弾性シール部材26の本体部27及びリップ部28が弾性変形を起こすが、ストッパー部29を形成する上面53a及び側面54aに当接して、弾性シール部材26のラジアル方向の変位が規制される。
本実施例(図2(a)及び(b))においては、弾性シール部材26の下側が固定されているため、泥水や塵埃等の浸入を効果的に防ぐことができる。比較例として図2(c)に、上側が固定された内側シール部25’の例を示す。このような場合には、下ケース4に形成されたストッパー部(凹部)29’に泥水や塵埃等が溜まることになり、効果的に泥水や塵埃等の浸入を防止することはできない。また下向きの場合は、浸入物が浸入しないようにするためには、浸入物がない場合においても、先端部が下ケース4と接触していなければならない。なぜなら先端部が下ケース4と接触していなければ、侵入物が浸入してきた場合に、先端部と下ケース4との隙間から軸受内部に浸入することになるからである。このように先端部が常に下ケース4と接触する構造とすると、弾性シール部材26と下ケース4との接触による摩耗が問題となる。したがって図2(a)に示すように下ケース4に弾性シール部材26を固定する方が望ましい。
次に、図1に戻って、転動体配置空間17よりもラジアル方向外側の外側隙間形成突出部3b,4bによって形成された外側ケース間隙間70bについて説明する。外側ケース間隙間70bは、転動体配置空間17からラジアル方向外側に延びる第1外側隙間部31と、第1外側隙間部31の末端から下方に屈曲してアキシャル方向に延びる第2外側隙間部32と、第2外側隙間部32の末端から屈曲して転動体配置空間17からラジアル方向に遠ざかる向きに延びる第3外側隙間部33とを含んで形成されている。さらに外側隙間形成突出部4bの外周面45と、上ケース3の外周末端部41に下向きに一体形成された外側円筒部42とによって、第3外側隙間部33の末端から下向きに軸受外空間に開放された出口隙間部43が形成されている。
すなわち第1外側隙間部31と第3外側隙間部33とが、アキシャル方向において異なる位置に形成され、第3外側隙間部33は、第1外側隙間部31よりもアキシャル方向において下方に位置する。さらに第3外側隙間部33の外周端は、外側円筒部42に覆われて、外周端から下向きに出口隙間部43が形成されており、このようなクランク構造が形成されることにより、軸受外空間から転動体配置空間17への泥水や塵埃等の浸入を防ぐことができる。外側円筒部42により、ケース間隙間70bに水等が浸入しにくくなるとともに、出口隙間部43が下向きに形成されているため、水等の浸入をより防ぐ効果が得られる。
図3を用いて外側シール部35について説明する。図の右側が、転動体配置空間17側、左側が外側円筒部42側である。ラジアル方向において、第3外側隙間部33は第1外側隙間部31よりも長く(図1参照)、平坦部として形成され、第3外側隙間部33に外側シール部35が形成されている。外側シール部35は、下ケース4のケース間隙間の隙間形成面52に備えられた弾性シール部材36と、上ケース3のケース間隙間の隙間形成面51に形成されたストッパー部39によって構成される。弾性シール部材36は、隙間形成面52に固定されて上ケース3側に延びる本体部37と、その本体部から軸受外空間側へ屈曲して形成された先端部をなすリップ部38とを備える。詳細は、内側シール部25と同様であるので説明を省略する。
図3(a)は、泥水や塵埃等が浸入していない場合を示す。弾性シール部材36の先端部(リップ部38)は、凹部の上面53bに十分な接触をしていないために、上ケース3と弾性シール部材36の接触による各々の摩耗を最小限に抑えることができる。
泥水や塵埃等が浸入すると、図3(b)に示すように、泥水や塵埃等の浸入物による外圧59によって、弾性シール部材36の本体部37及びリップ部38が弾性変形を起こすが、ストッパー部39に当接して、弾性シール部材36のラジアル方向の変位が規制される。
図4にスラスト玉軸受1の平面図を示す。図4に示すように、同心円状に、すなわち環状に内側シール部25及び外側シール部35が形成されている。
図5に上記構成のスラスト玉軸受1を使用したストラット式サスペンション(図7参照)の上部の内部構造を示す。ストラット式サスペンションは、コイルスプリング82のばね座87を保持するコイルばねシート88と、ストラット軸83の上端部に嵌合されるスラスト玉軸受1と、スラスト玉軸受1の上部で該スラスト玉軸受1を固定するナット86と、これらスラスト玉軸受1を囲むように保持するスタビライザーサポート84等を含んで構成されている。なお、スタビライザーサポート84は、弾性材84aと該弾性材84aの外周周りを覆う外筒部84bとで構成される。
上記スラスト玉軸受1は、スタビライザーサポート84とコイルばねシート88との間に配置される。スタビライザーサポート84は、ストラット軸83に固定され、下面84cがスラスト玉軸受1の上ケース3上に載置される。コイルばねシート88は、外周部88aの下面でサスペンションのコイルスプリング82のばね座57の上端部で支持される円環板状の支持体であり、内周部88bの上面でスラスト玉軸受1の下ケースを支持するようになっている。
上ケース3及び下ケース4の各内周面7,8には、ストラット軸83が嵌合され、ストラット軸83の外周面に内周面7,8が接して配置されている。そして上ケース3は、ストラット軸83に固定されて一体として、下ケース4に対して相対回転する。
図6に内側シール部25の変形例を示す。まず図6(a)は、ストッパー部の変形例を示す。弾性シール部材26のラジアル方向の変形を規制するために、本実施例においては、ストッパー部が突出壁面部61として形成されている。外圧によって弾性変形した弾性シール部材26が、この突出壁面部61に当接することにより、弾性シール部材26のラジアル方向の変形が規制される。以上のように、ストッパー部は、凹部として形成しても、突出部として形成しても、弾性シール部材26のラジアル方向の変形を規制するものであればよい。
図6(b)は、弾性シール部材の変形例を示す。弾性シール部材26’は、本体部27’と先端部28’とが一体として湾曲形状に形成されている。
なお外側シール部35においても、図6(a)、図6(b)と同様の変形が可能である。
以上の上ケース3と下ケース4の対向面によって形成されるケース間隙間70をクランク構造とし、そのケース間隙間70にシール部25,35を形成するのは、スラスト玉軸受1に限定されず、スラストころ軸受等であってもよい。
以上の本発明のスラスト玉軸受1のように、上ケース3と下ケース4の対向面によって形成されるケース間隙間70をクランク構造とし、そのケース間隙間70に弾性シール部材26,36を備えるシール部25,35を形成することにより、外部からの泥水や塵埃等が浸入するのを確実に防止することができる。
スラスト玉軸受の一部断面図。 内側シール部を示す断面図。 外側シール部を示す断面図。 内側シール部及び外側シール部を説明する平面図。 ストラット式サスペンションの要部断面図。 シール部の変形例を示す断面図。 車両のストラット式サスペンションを示す斜視図。 ストラット式サスペンションに使用される従来のスラスト玉軸受の断面図。
符号の説明
1 スラスト玉軸受
3 上ケース
3a 上ケースの内側隙間形成突出部
3b 上ケースの外側隙間形成突出部
4 下ケース
4a 下ケースの内側隙間形成突出部
4b 下ケースの外側隙間形成突出部
17 転動体配置空間
21 第1内側隙間部
22 第2内側隙間部
23 第3内側隙間部
25 内側シール部
26 弾性シール部材
29 ストッパー部
31 第1外側隙間部
32 第2外側隙間部
33 第3外側隙間部
35 外側シール部
36 弾性シール部材
39 ストッパー部
42 外側円筒部
43 出口隙間部
83 ストラット軸

Claims (9)

  1. コイルばねシートとストラット軸の上端部とで支持され、該ストラット軸に軌道輪の一方が固定されるスラスト軸受であって、
    複数の転動体をアキシャル方向から各々支持するとともに前記転動体の上側軌道面を形成する第1軌道輪及び下側軌道面を形成する第2軌道輪と、該第1軌道輪及び第2軌道輪に対しそれぞれアキシャル方向においてそれぞれの軌道面とは反対側に結合された樹脂製の第1ケースと樹脂製の第2ケースとを備え、
    前記第1ケースと前記第2ケースとは、前記上側軌道面及び前記下側軌道面よりそのラジアル方向内側又は外側の少なくとも一方に突出する形でそれぞれ隙間形成突出部を形成し、それら隙間形成突出部同士が対向形成するケース間隙間をなす一方のケースの隙間形成面に、前記ケース間隙間を塞ぐ方向に延びた弾性シール部材を備え、
    該弾性シール部材は、軸受外空間からの浸入物による外圧が印加されることにより弾性変形して他方のケースの隙間形成面にその先端部が当接して前記ケース間隙間を塞ぐことを特徴とするスラスト軸受。
  2. 前記弾性シール部材は、ラジアル方向に延びる前記ケース間隙間部において、アキシャル方向上側に延びるように前記第2ケースに備えられている請求項1に記載のスラスト軸受。
  3. 前記弾性シール部材は、前記先端部に軸受外空間側へ屈曲したリップ部を有する請求項1または2に記載のスラスト軸受。
  4. 前記弾性シール部材が備えられた領域の、該弾性シール部材の前記先端部側のケースの前記隙間形成面に、前記弾性シール部材が弾性変形した場合に前記先端部が当接してラジアル方向の変位が規制されるストッパー部が形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスラスト軸受。
  5. 前記ケース間隙間は、ラジアル方向の第1縁が前記第1軌道輪及び第2軌道輪が形成する転動体配置空間に連通し、第2縁が該転動体配置空間とはアキシャル方向において異なる位置にて軸受外空間に開放し、それら両縁間にてアキシャル方向に屈曲形成されてなる請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスラスト軸受。
  6. 前記ケース間隙間は、前記第1縁からラジアル方向に延びる第1隙間部と、該第1隙間部の末端から下方に屈曲してアキシャル方向に延びる第2隙間部と、該第2隙間部の末端から屈曲して前記転動体配置空間からラジアル方向に遠ざかる向きに延びると共に前記第2ケースのラジアル方向側面に至る第3隙間部とを含んで形成されている請求項5に記載のスラスト軸受。
  7. 前記隙間形成突出部は、前記転動体配置空間よりもラジアル方向内側に延出する内側隙間形成突出部を有し、
    該内側隙間形成突出部において、前記第1ケース及び前記第2ケースの各内周面が前記ストラット軸の外周面に接して配置されると共に、前記第3隙間部は、それら第1ケース及び第2ケースの内周面に開放して形成され、
    ラジアル方向において、前記第1隙間部は前記第3隙間部よりも長く形成され、前記第1隙間部に前記弾性シール部材が備えられた請求項6に記載のスラスト軸受。
  8. 前記隙間形成突出部は、前記転動体配置空間よりもラジアル方向外側に延出すると共に、ケース外周面を形成する外側隙間形成突出部を有し、
    該外側隙間形成突出部において、前記第3隙間部は、前記第1隙間部よりもラジアル方向において長く形成され、該第3隙間部に前記弾性シール部材が備えられた請求項6または7に記載のスラスト軸受。
  9. 前記外側隙間形成突出部の前記第1ケースのラジアル方向の外周末端部に、前記第2ケースの外周面との間に、前記第3隙間部に上端が連通し下端が下向きに開放する出口隙間部を形成する外側円筒部が一体化されてなる請求項8に記載のスラスト軸受。
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