JP2006321903A - 透明延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】環状オレフィン重合体からなる樹脂よりなる機械強度に優れ、且つフィルム平面方向の位相差が均質である透明延伸フィルムの提供。
【解決手段】一般式(1)の環状オレフィン重合体よりなるフィルムを、環状オレフィン重合体のガラス転移温度に対して1〜40℃高い延伸温度条件で延伸倍率1.1〜3倍の範囲に延伸することを特徴とする透明延伸フィルムの製造方法。厚みが10〜300μmでフィルム平面方向の位相差が20〜500nmの物性を有する。
Figure 2006321903

【選択図】 なし

Description

本発明は、環状オレフィン重合体よりなる機械強度に優れ、且つフィルム平面方向の位相差が均質である透明延伸フィルムの製造方法に関するものである。
近年、液晶ディスプレイ、有機EL、PDPなどに代表されるフラットパネルディスプレイは、薄型、軽量である特徴が市場ニーズにマッチし、急速に普及、あるいはその利用範囲を拡大している。これらのフラットパネルディスプレイにおいては、数々の高分子フィルムが用いられており、例えば偏光子保護フィルム、位相差フィルム、視野角補償フィルム、透明電極フィルム、光拡散フィルム、光反射フィルム、電磁波遮蔽フィルム、ディスプレイ表面保護フィルムなどに利用されている。そして、これら高分子フィルムには、ディスプレイの視認性を低下させないよう、非常に高い透明性と優れた表面平滑性および厚み精度が要求されることが一般的である。フラットパネルディスプレイに利用される透明性フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、直鎖状ポリオレフィンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、熱硬化型樹脂フィルムなどを代表例として挙げることができる。
従来、透明性フィルムの機械強度や光学特性を改善あるいは特定の範囲に調節する目的において、フィルムの延伸が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
特開昭2004−90415号公報
特許文献1の提案の方法により、透明性フィルムの機械特性の改善が行われている。
そこで、本発明の目的は機械強度に優れ、且つフィルム平面方向の位相差が均質である透明延伸フィルムの製造方法に関するものである。
本発明者らは、透明性フィルムの機械強度を向上させ、且つ位相差を特定の範囲に均質に制御するため鋭意努力した。透明延伸フィルムは、延伸前の透明性フィルムが均質な特性を有している場合であっても、延伸条件の選択次第によっては延伸後のフィルム特性が不均質化し、高品質な延伸フィルムが得られない場合がある。また、延伸後の透明性フィルムの機械強度や光学特性を改善あるいは特定の範囲に調節する目的においても、延伸条件の選択は重要である。すなわち、延伸後の透明性フィルムの機械強度や光学特性を改善あるいは特定の範囲に調節し、且つ高品質な透明延伸フィルムを得るためには、樹脂および透明性フィルムの特性に応じて延伸条件を最適化する必要がある。
本発明者らは、上記問題に鑑み鋭意検討した結果、特定の環状オレフィン重合体よりなるフィルムを特定の条件下で延伸することにより、上記目的を満たすことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、下記の一般式(1)
Figure 2006321903
(ここで、X及びYは独立にメチレン基、酸素原子、硫黄原子又はテルル原子を表わし、nは0または正の整数を表わす。)
で表わされる繰り返し単位からなる環状オレフィン重合体よりなるフィルムを、延伸倍率1.1〜3倍の範囲に延伸することを特徴とする透明延伸フィルムの製造方法に関するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いる環状オレフィン重合体は一般式(1)で表される重合体であり、一般式(1)中のX及びYは独立にメチレン基、酸素原子、硫黄原子又はテルル原子を表わし、nは0または正の整数を表わす。
一般式(1)で表される環状オレフィン重合体の製造方法としては、一般式(1)で表される重合体が得られる限り如何なる方法でも可能であり、その中でも容易に一般式(1)で表される環状オレフィン重合体が得られることから、ビニルエーテル類と脂環式ジエン類のディールスアルダー反応により製造される重合性モノマーを重合し未水素化重合体を得た後、水素化する方法を用いることが好ましい。
重合性モノマーを得るのに用いられるビニルエーテル類としては、例えばトリシクロデカンビニルエーテルが挙げられ、脂環式ジエン類としては、例えばシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。
ビニルエーテル類と脂環式ジエン類のディールスアルダー反応における脂環式ジエン類のビニルエーテル類に対する仕込みモル比は0.6〜15が好ましく、特に好ましくは1.5〜10である。反応は無溶剤あるいは反応に不活性な溶媒中で行うことが可能であり、該溶媒としては、例えばペンタン、オクタン、ノナン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ハロゲン化アルカン類;ハロゲン化芳香族炭化水素類;カルボン酸エステル類;環状エーテル類;ジアルキルエーテル類等が例示される。また、反応温度は50〜300℃が好ましく、特に好ましくは100〜250℃、更に好ましくは180〜240℃である。反応方法は何ら制限はなく、バッチ反応及び連続反応の何れも用いることができ、その中でも経済性の面から連続反応が好ましい。
本発明で用いる環状オレフィン重合体を製造する際のディールスアルダー反応により製造される重合性モノマーを重合する方法としては、特に制限はなく、その中でもメタセシス開環重合が好ましい。その際に、重合を効率よく行うことが可能であることから、メタセシス開環重合触媒を用いることが好ましく、該メタセシス開環重合触媒としては、公知のものを用いることができ、例えばルテニウム、パラジウム、ロジウム、イリジウム、白金、タングステン、モリブデン、レニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(I)及び周期表1族、2族、3族、4族の金属化合物(II)を併用して用いることができる。
具体的なタングステン、モリブデン、レニウム化合物としては、例えばハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、カルボン酸塩、アセチルアセトナート配位物、酸化物のアセチルアセトナート配位物、アセトニトリル配位物、ヒドリド錯体等が例示され、その中でも高い重合活性が付与できることからハロゲン化物、オキシハロゲン化物等が好ましく、特にWCl、WOCl、MoCl、MoOCl、ReCl、WCl(OC、MoO(acac)、W(OCOR)が好ましく、さらにWCl、MoClが好ましい。
また、具体的な周期表1族、2族、3族、4族の金属化合物としては、例えばn−ブチルリチウム、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、トリメチルガリウム、トリメチルスズ、n−ブチルスズ等が例示され、特にジエチルアルミニウムクロライド、テトラメチルスズ、テトラフェニルスズが好ましい。
金属化合物(I)及び金属化合物(II)の比率は金属原子のモル比として1/1〜1/30が好ましく、特に好ましくは1/2〜1/20の範囲である。また、活性向上剤としてアルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類等を添加してもよい。
メタセシス開環重合の際に分子量調節剤を用いることが可能であり、該分子量調節剤としては、例えばエチレン、1−ヘキセン、1−ヘプテン等のα―オレフィン類が好適に用いられ、これらは2種類以上併用することもできる。分子量調節剤の使用量は重合温度、重合触媒種及び重合触媒の量により適宜選択することが可能であり、その中でも仕込みモノマー1モルあたり0.001から0.5モルが好ましく、特に0.002から0.4モルが好ましい。
メタセシス開環重合に用いられる溶剤としては、例えばペンタン、オクタン、ノナン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ハロゲン化アルカン類;ハロゲン化芳香族炭化水素類;カルボン酸エステル類;環状エーテル類;線状ジアルキルエーテル類等が例示される。
また、メタセシス開環重合の際には、他のモノマーを用い共重合することも可能であり、該他のモノマーとしては、例えば1−ヘキセン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−デセン、トリシクロ[5.2.1.02,6]−8−デセン、トリシクロ[6.2.1.01,8]−9−ウンデセン、トリシクロ[6.2.1.01,8]−4−ウンデセン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−11−ペンタデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−ペンタデカ−4,11−ジエン等が例示され、その中でも1−ヘキセン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン等が好ましく、特に1−ヘキセンが好ましい。
本発明で用いる環状オレフィン重合体を得る際の未水素化重合体の水素化としては、特に制限はなく、その中でも、反応効率よく一般式(1)で表される環状オレフィン重合体が得られることから、水素化触媒を用いることが好ましく、該水素化触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素化触媒を用いることができ、例えばパラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウム等をカーボン、シリカ、アルミナ、チタニアに坦持させた坦持触媒;ナフテン酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトナート、オクテン酸コバルト、チタノセンジクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ルテニウムハイドライドトリフェニルホスフィン等の均一触媒が例示される。また、水素化を促進するために、触媒とともに助触媒を用いることが好ましく、該助触媒としては、例えばトリエチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム類、n−ブチルリチウム等のアルキルリチウム類を使用することができる。
用いる水素化触媒の形態は特に制限はなく、粉末状でも粒状でも問題なく用いることができる。水素化触媒の使用量は水素化するものに対して重量比で0.5〜2ppmが好適に用いられる。また、水素化率は通常60%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは98%以上である。
水素化の際の反応圧力は、常圧〜300気圧が好ましく、特に好ましくは3〜200気圧である。反応温度としては、0〜200℃が好ましく、特に好ましくは20〜180℃である。
水素化溶剤は特に制限はなく、上記の水素化反応条件において水素化されないものであればどのような溶剤を用いても良く、経済性、作業性の点から好ましくはメタセシス開環重合と共通のものを用いるのが好ましい
本発明で使用される環状オレフィン重合体には、発明の主旨を越えない範囲で、その他ポリマー、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、顔料、染料、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等が加えられていてもよい。
本発明における透明延伸フィルムの製造方法は、前期環状オレフィン重合体よりなるフィルムを、特定の延伸倍率で延伸することを特徴とする透明延伸フィルムの製造方法であり、例えば環状オレフィン重合体よりなるフィルムを製造した後、延伸する方法;環状オレフィン重合体よりなるフィルムを製造しながら延伸する方法;等が挙げられる。
本発明におけるフィルムを製造する際の方法としては、例えばキャスティング法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法などの公知公用の方法が挙げられ、その中でもキャスティング法、溶融押出法等が好ましく、特に溶融押出法が好ましい。
キャスティング法に用いられる溶媒類としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン及びこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ;エチルセロソルブ;ブチルセロソルブ;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルフォキシド;ジオキサン;シクロヘキサノン;テトラハイドロフラン;アセトン;酢酸エチル;酢酸メチル;シエチルエーテルなどを用いることができ、成形装置としては、例えばドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターなどが使用できる。
溶融押出法としては、例えばTダイ法、及びインフレーション法等が挙げられ、その中でもTダイ法が好ましい。Tダイ法においては、押出機の温度を溶融樹脂のガラス転移温度よりも70℃から100℃高い温度とすることが好ましく、Tダイ部の温度についても溶融樹脂のガラス転移温度よりも70℃から100℃高い温度とすることが好ましい。また、溶融押出の際に一個又は複数個の冷却ロールにて冷却しフィルムを製造する際には、厚み精度及び平面平滑性に優れる延伸透明性フィルムが製造可能であることから、引き取り速度10〜100m/分で引き取ることが好ましく、特に好ましくは10〜50m/分である。さらに、冷却ロールの中でTダイ側の最も上流位に設置した第一冷却ロールの表面温度は、示差走査熱量計により昇温速度10℃/minで測定した特定の環状オレフィン重合体のガラス転移温度−40℃〜ガラス転移温度+20℃が好ましい。
そして、本発明の製造方法は、得られた特定の環状オレフィン重合体よりなるフィルムを特定の延伸倍率で延伸する製造方法であり、その際の延伸倍率は、1.1〜3倍の範囲であり、好ましくは1.5〜2.5の範囲である。延伸倍率が1.1倍に満たない場合、目的とする範囲の位相差が得られない問題があり、延伸倍率が3倍を超える場合には延伸時にフィルムが破断し易くなるため好ましくない。特に位相差、光線透過率、およびヘイズといった光学特性は厚みに大きく左右されるため、厚みむらは極力小さくすることが好ましい。
本発明における延伸において、延伸方向はその目的により、一軸方向または二軸方向が選ばれる。一軸方向に延伸する場合、延伸方向と直交するフィルム幅方向の長さが延伸前の長さに対して、延伸途中に変化しないよう拘束することが特性の均一な延伸フィルムを得るうえでより好ましい。また、二軸方向に延伸する場合、各軸方向の延伸倍率が異なるように延伸することにより、位相差を発現させ易くすることができる。用いることが可能な一軸延伸方法としては、例えばテンターにより延伸する方法、カレンダーにより圧延して延伸する方法、ロール間で延伸する方法等;ニ軸延伸方法としては、例えばテンターにより延伸する方法、チューブ状に膨らませて延伸する方法など、公知公用の方法が挙げられる。
延伸する際の延伸温度は、透明延伸フィルムが得られる限り如何なる温度でもよく、その中でも示差走査熱量計を用いて測定した重合体のガラス転移温度に対して1〜40℃高い延伸温度条件のもとで延伸することが好ましい。
本発明の製造方法で得られる透明延伸フィルムの平面方向の位相差は20nm〜500nmであることが好ましく、該フィルム平面方向の位相差は、フィルム平面方向の複屈折とフィルム厚みの積より求められるものである。
本発明の製造方法で得られる透明延伸フィルムの厚みは、10〜300μmであることが好ましく、また、光線透過率は85%以上、ヘイズは2%以下であることが好ましい。
本発明の製造方法では、位相差が均質に制御されており、エレクトロニクス分野をはじめとする高度、かつ複雑な機能の求められる用途に用いることができる透明延伸フィルムを提供できる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本実施例は何ら本発明を制限するものではない。実施例に用いた原料及び入手は下記の通りであり、他の試薬については断りのない限り市販品を用いた。
ジシクロペンタジエン:和光純薬 試薬一級
トリシクロデカンビニルエーテル:丸善石油化学製TCD−VE
ヒドロキノン:和光純薬 試薬一級
実施例に示す諸物性は、以下の方法により測定した。
〜重量平均分子量〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製 HLC−802A)を用い、ポリスチレン換算により求めた。
H−NMR測定〜
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−GSX270型)を用い、60℃重トルエン中にてH−NMRを測定することにより、組成、水素化率を算出した。
〜ガラス転移温度〜
示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、商品名DSC200)を用い、昇温速度10℃/分で測定した。
〜全光線透過率〜
ASTM D1003に従い測定した。
〜位相差〜
エリプソメータ(日本分光製 MEL−30S)を用いてフィルムの中心部の位相差を測定した。
〜位相差のむら〜
フィルムの中心部およびフィルムの端部から15mm中心側に位置する部分の位相差を測定し、2点間の位相差の差を位相差のむらとした。
〜180度折曲げ試験〜
実施例により得られたフィルムを25℃の環境下、フィルムを180度に1度手で折り曲げ、その破壊、非破壊により判定した。
合成例1(重合性モノマーの合成)
300mlのガラス製蒸留装置に100mlのジシクロペンタジエンを仕込み、マントルヒータ−で220℃に加熱して、熱分解により生成したシクロペンタジエンの沸点39.5℃の留分をドライアイスメタノール浴で冷却した受器中に液化させる手法で分離した。
次に、シクロペンタジエン16.26グラム(0.247モル)、トリシクロデカンビニルエーテル76g(0.37モル)、及びヒドロキノン0.1グラム(1ミリモル)を300mlのステンレス製オートクレーブに仕込み、窒素置換した後、220℃に加熱し、加熱状態で5時間反応させた。その後、反応器を冷却し、内容物から原料であるトリシクロデカンビニルエーテルを減圧蒸留により分離し、更にシクロペンタジエンが付加したトリシクロデカンビニルエーテル(トリシクロデカニル−トリシクロデセニルエーテル)(モノマー1)を主成分として含むモノマー1を分離した。収量は8グラムであった。
なお、得られたモノマー1は、一般式(2)で表されるシクロペンタジエン1モルが付加したもの(成分I)に加えて、一般式(3)で表される成分Iに更にシクロペンタジエンが付加したもの(成分II)を含んでおり、これら成分の存在比は成分I:成分II=90:10(重量比)であった。生成物の存在比はH−NMRによる二重結合部分、メチン、及びメチレン部の水素の強度比から計算したものと一致した。
Figure 2006321903
合成例2(環状オレフィン重合体の合成)
窒素置換した300mlの反応器に、シクロヘキサン100ml、合成例1で得られたモノマー1 8グラム、触媒として六塩化タングステンの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液2ml及びジエチルアルミニウムクロライドの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液0.2mlを仕込み、窒素気流下、60℃で、攪拌速度100rpmにて攪拌下、5時間反応させた。得られた反応溶液をメタノールに注ぎ単離し、メタノールで数回洗浄を行った後、40℃で一昼夜減圧乾燥を行い、7.9gの未水素添加重合体を得た。GPC測定により、得られた未水素添加重合体の重量平均分子量は120000であった。
得られた未水素添加重合体7グラム、トルエン30グラム、ルテニウムハイドライドトリフェニルホスフィン錯体0.1mgを100ccのステンレスオートクレーブに仕込み攪拌して、均一溶液を得た。引き続き、水素ガス圧10MPa、温度160℃において、4時間攪拌下、水素化反応を行った。反応溶液を冷却後、過剰な水素を放出、脱圧後、反応溶液を大量の塩酸−メタノール溶液に注ぎ、単離し、50℃で一昼夜減圧乾燥して7gの環状オレフィン重合体を得た。この環状オレフィン重合体の重量平均分子量は150000、ガラス転移温度は171℃であった。また、水素化率は99.5%であった。
合成例3(環状オレフィン重合体の合成)
窒素置換した500mlの反応器に、シクロヘキサン180ml、合成例1で得られたモノマー1 20グラム、触媒として六塩化タングステンの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液4ml及びジエチルアルミニウムクロライドの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液0.4mlを仕込み、窒素気流下、60℃で、攪拌速度100rpmにて攪拌下、5時間反応させ、続いて、ルテニウムハイドライドトリフェニルホスフィン錯体0.2mgを仕込み、更に水素ガス圧10MPa、温度160℃において、5時間攪拌下、水素化反応を行った。反応溶液を冷却後、過剰な水素を放出、脱圧後、反応溶液を大量の塩酸−メタノール溶液に注ぎ、単離し、50℃で一昼夜減圧乾燥して14gの環状オレフィン重合体を得た。この環状オレフィン重合体の重量平均分子量は120000、ガラス転移温度は171℃であった。また、水素化率は99.4%であった。
合成例4(環状オレフィン重合体の合成)
窒素置換した500mlの反応器に、シクロヘキサン180ml、合成例1で得られたモノマー1 20グラム、1−ヘキセン0.015g、六塩化タングステンの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液4ml及びジエチルアルミニウムクロライドの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液0.4mlを仕込み、窒素気流下、60℃で、攪拌速度100rpmにて攪拌下、5時間反応させ、続いてルテニウムハイドライドトリフェニルホスフィン錯体0.2mgを仕込み、更に水素ガス圧10MPa、温度160℃において、5時間攪拌下、水素化反応を行った。反応溶液を冷却後、過剰な水素を放出、脱圧後、反応溶液を大量の塩酸−メタノール溶液に注ぎ、単離し、50℃で一昼夜減圧乾燥して14gの環状オレフィン重合体を得た。この環状オレフィン重合体の重量平均分子量は60000、ガラス転移温度は170℃であった。また、水素化率は99.8%であった。
参考例1
合成例2により得られた環状オレフィン重合体を、Tダイ法により幅500mm、厚み100μmのフィルムとした。その際のフィルム化条件は、Tダイ部の温度265℃、引取り速度10m/分、第一冷却ロール表面温度135℃とした。
参考例2
合成例3により得られた環状オレフィン重合体を、Tダイ法により幅500mm、厚み100μmのフィルムとした。その際のフィルム化条件は、Tダイ部の温度270℃、引取り速度30m/分、第一冷却ロール表面温度135℃とした。
参考例3
合成例4により得られた環状オレフィン重合体を、Tダイ法により幅500mm、厚み100μmのフィルムとした。その際のフィルム化条件は、Tダイ部の温度275℃、引取り速度50m/分、第一冷却ロール表面温度135℃とした。
実施例1
参考例1で得られたフィルムを15cm四方角に裁断して延伸試験装置(株式会社東洋精機製作所製)に設置し、延伸方向と直交するフィルム幅方向の長さが延伸前の長さに対して、延伸途中に変化しないよう幅拘束を行いつつ、温度178℃にて1軸方向に延伸速度15mm/分にて1.5倍に延伸した。得られたフィルムの物性を表1に示す。得られたフィルムは透明性に優れる透明延伸フィルムであった。
実施例2
参考例2で得られたフィルムを、実施例1と同様に幅拘束を行いつつ、温度176℃にて1軸方向に延伸速度15mm/分にて1.8倍に延伸した。得られたフィルムの物性を表1に示す。得られたフィルムは透明性に優れる透明延伸フィルムであった。
実施例3
参考例3で得られたフィルムを、実施例1と同様に幅拘束を行いつつ、温度175℃にて1軸方向に延伸速度15mm/分にて2倍に延伸した。得られたフィルムの物性を表1に示す。得られたフィルムは透明性に優れる透明延伸フィルムであった。
比較例1
参考例1で得られたフィルムを、延伸を行わず(延伸倍率は1)実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。得られたフィルムは位相差の小さいフィルムであった。
比較例2
参考例2で得られたフィルムを、実施例1と同様に幅拘束を行いつつ、温度176℃にて1軸方向に延伸速度15mm/分にて3.3倍に延伸しようと試みたが、フィルムが破断しフィルムを得ることができなかった。
Figure 2006321903

Claims (4)

  1. 下記の一般式(1)
    Figure 2006321903
    (ここで、X及びYは独立にメチレン基、酸素原子、硫黄原子又はテルル原子を表わし、nは0または正の整数を表わす。)
    で表わされる繰り返し単位からなる環状オレフィン重合体よりなるフィルムを、延伸倍率1.1〜3倍の範囲に延伸することを特徴とする透明延伸フィルムの製造方法。
  2. 示差走査熱量計を用いて測定した環状オレフィン重合体のガラス転移温度に対して1〜40℃高い延伸温度条件のもとで延伸することを特徴とする請求項1に記載の透明延伸フィルムの製造方法。
  3. フィルム平面方向の位相差が20〜500nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明延伸フィルムの製造方法。
  4. 透明延伸フィルムの厚みが10〜300μmであることを特徴とする請求項1〜3に記載の透明延伸フィルムの製造方法。
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