JP2006321405A - ドアインパクトビーム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】焼入れ可能な鋼板から、両端部に係合孔13をそれぞれ有するビーム本体部用のブランク材11を形成する。また、防錆鋼板から、前記係合孔13に嵌入可能な円筒フランジ状のバーリング部23を有するブラケット部用の打抜き材21を形成する。前記ブランク材11を850℃以上の温度に加熱する。そして、高温状態にあるブランク材11の係合孔13に非加熱の打抜き材21のバーリング部23を嵌入させた状態で低温のプレス型を用いてプレス加工を施すことにより、ビーム本体部10の付形及び焼入れ、並びに、ビーム本体部10とブラケット部20とのカシメ結合を同時に行う。
【選択図】 図6
Description
請求項1〜3によれば、車輌衝突時に耐荷重性が要求されるビーム本体部については焼入れ処理がなされる一方、ドアへの取り付け介在部となるブラケット部は防錆材で構成されているため、ドアインパクトビームは、ビーム本体部における高強度と、ブラケット部における優れた耐食性とを併せ持つことができる。また、焼入れ処理により高強度化されたビーム本体部と防錆材で構成されたブラケット部とはカシメにより結合されるため、溶接による結合時にありがちな技術的問題を生じない。特に請求項2によれば、ビーム本体部に設けられた係合孔に対して、ブラケット部に設けられた円筒フランジ状のバーリング部を嵌入させた状態でバーリング部を折り曲げる又は圧潰することによるカシメを行うため、ビーム本体部とブラケット部との間の相対位置決めが正確になる。更に請求項3によれば、前記バーリング部におけるカシメの他に、ブラケット部の一対の折り曲げ片間にビーム本体部の端部を配置した状態で各折り曲げ片をビーム本体部上に重なるように折り曲げる又は圧潰することによるカシメが加わるため、ビーム本体部とブラケット部との間のカシメ結合が更に強固になる。
請求項4及び5は、それぞれ請求項2及び3のドアインパクトビームの製造方法に対応する。これらの方法によれば、850℃以上の高温状態にあるビーム本体部用部材の係合孔に非加熱の前記ブラケット部用部材のバーリング部を嵌入させた状態(請求項5にあっては更に、ブラケット部用部材の一対の折り曲げ片間にビーム本体部用部材の端部を配置した状態)で相対的に低温のプレス型を用いてプレス加工を施すことにより、ビーム本体部の付形及び焼入れ、並びに、前記バーリング部の折り曲げ又は圧潰による(請求項5にあっては更に、各折り曲げ片をビーム本体部上に重なるように折り曲げる又は圧潰することによる)ビーム本体部とブラケット部とのカシメ結合が一回のプレスで同時に達成される。このため、製造工程数の短縮による製造コストの低減が図られる。また、プレス工程でプレス型にビーム本体部用部材及びブラケット部用部材をセットする際には、ビーム本体部用部材の係合孔にブラケット部用部材のバーリング部を嵌入させることで、両部材間の相対位置決めが正確になる。このため、形状精度に優れたドアインパクトビームが成形される。
請求項4又は5において、前記焼入れ可能な鋼板は、引張強度が500〜800MPaの範囲内にある高張力鋼板であって、0.18〜0.25wt%の炭素、0.15〜0.35wt%の珪素、1.15〜1.40wt%のマンガン、0.15〜0.25wt%のクロム、0.01〜0.03wt%のチタン及び0.0005〜0.0025wt%のホウ素を少なくとも含有してなる鉄系鋼板であること。
焼入れ可能な材料鋼板をビーム本体部形成用の打抜きプレス型を用いてトリム加工することにより、図4に示すように、ビーム本体部10の元となる比較的長尺なブランク材11を形成すると共に、そのブランク材11の両端部12のそれぞれに二つの係合孔13を形成した。ブランク材11の外形状のトリム加工と、係合孔13の形成(ピアス加工)とは、打抜きプレス型による材料鋼板のプレス加工時に同時に行うことが好ましい。尚、このブランク材11の各端部12における幅方向両側縁部12a間の距離が、ブランク材端部12の幅Wに相当する。ブランク材端部12の幅方向両側縁部12a及び係合孔13はいずれも、ブラケット部20との係合部として位置付けられる。
典型的な防錆鋼板である亜鉛メッキ鋼板(GA材)をブラケット部形成用の打抜きプレス型を用いてトリム加工することにより、図2に示すように、各ブラケット部20の元となる平面的で多角形状(あたかも魚の尾ひれのような形状)のブラケット用打抜き材21を形成すると共に、そのブラケット用打抜き材21の一端部に二つのバーリング用孔22を形成した。次に、この平面的なブラケット用打抜き材21をブラケット部形成用の曲げ加工型に移送し、この曲げ加工型を用いて、当該ブラケット用打抜き材21の各バーリング用孔22にバーリング加工を施すと共に、ブラケット用打抜き材21の一端部の幅方向両側縁部21aに対して図2に破線で示す折り目線に沿って折り曲げ加工を施した(冷間プレスによる曲げ加工)。こうして図3に示すように、前記各バーリング用孔22の周縁部分に円筒フランジ状のバーリング部23を形成すると共に、前記幅方向両側縁部21aにおいて一対の折り曲げ片24を形成した。バーリング部23及び折り曲げ片24はともに、ブラケット用打抜き材21の同一面(上面)側において、当該ブラケット用打抜き材21の本体表面に対して直交するように起立している。
ビーム本体部用のブランク材11と、それに結合されるべき二つのブラケット用打抜き材21とを準備できたら、ブランク材11を加熱装置に移し、所定の目標温度(本実施形態では900℃)にまで加熱する。但し、ブランク材11の両端部12については、できれば積極的に加熱しないようにすることが好ましい。なお、本実施形態では、加熱装置として電気加熱炉を用いると共に、電気加熱炉内を不活性ガス雰囲気(例えば窒素ガス雰囲気)とし、常温から徐々に温度を上げて目標温度に到達させ、若干時間その目標温度を保持した。
このプレス加工工程で用いる熱間プレス兼カシメ加工用のプレス型(図示略)は、固定型たる下型及び可動型たる上型からなると共に、これらの型内に強制冷却機構(例えば冷却水の循環路)を備えたものである。
本実施形態によれば、熱間プレス兼カシメ加工用のプレス型を用いたプレス加工によって、ビーム本体部10の付形及び焼入れ、並びに、バーリング部23及び折り曲げ片24をビーム本体部10上に重なるように折り曲げることによるビーム本体部10とブラケット部20とのカシメ結合が一回のプレスで同時達成される。つまり、熱間プレスによる付形及び焼入れ処理(ダイクエンチ成形)とカシメ加工とを1回の押圧操作で同時達成することができる。このため、従来例のような溶接工程を余分に必要とせず、従来よりも工程数の削減及び製造コストの低減を図ることができる。
Claims (6)
- 焼入れ処理されたビーム本体部及びその両端部に設けられたブラケット部を備えてなるドアインパクトビームにおいて、
前記ビーム本体部の各端部には前記ブラケット部との係合部が設けられており、
前記ブラケット部は防錆材で構成されると共に、当該ブラケット部には前記ビーム本体部の係合部に対応する係合部が設けられており、
前記ビーム本体部の係合部と前記ブラケット部の係合部とを係合させた状態で両係合部のうちの少なくとも一方を折り曲げる又は圧潰することにより、ビーム本体部とブラケット部とがカシメ結合されていることを特徴とするドアインパクトビーム。 - 焼入れ処理されたビーム本体部及びその両端部に設けられたブラケット部を備えてなるドアインパクトビームにおいて、
前記ビーム本体部の各端部には前記ブラケット部との係合孔が設けられており、
前記ブラケット部は防錆材で構成されると共に、当該ブラケット部には前記ビーム本体部の係合孔に嵌入可能な円筒フランジ状のバーリング部が設けられており、
前記ビーム本体部の係合孔に前記ブラケット部のバーリング部を嵌入させた状態で当該バーリング部を折り曲げる又は圧潰することにより、ビーム本体部に対してブラケット部がカシメ結合されていることを特徴とするドアインパクトビーム。 - 前記ブラケット部には更に、前記ビーム本体部の端部の幅(W)に対応する距離だけ離れた一対の折り曲げ片が設けられており、このブラケット部の一対の折り曲げ片間にビーム本体部の端部を配置した状態で各折り曲げ片をビーム本体部上に重なるように折り曲げる又は圧潰することにより、ビーム本体部に対してブラケット部がカシメ結合されていることを特徴とする請求項2に記載のドアインパクトビーム。
- ビーム本体部及びその両端部に設けられたブラケット部を備えてなるドアインパクトビームを製造する方法であって、
焼入れ可能な鋼板から、両端部に係合孔をそれぞれ有するビーム本体部用部材を形成するビーム本体部準備工程と、
防錆鋼板から、前記ビーム本体部用部材の係合孔に嵌入可能な円筒フランジ状のバーリング部を有するブラケット部用部材を形成するブラケット部準備工程と、
前記ビーム本体部用部材を850℃以上の温度に加熱する加熱工程と、
850℃以上の高温状態にある前記ビーム本体部用部材の係合孔に非加熱の前記ブラケット部用部材のバーリング部を嵌入させた状態で相対的に低温のプレス型を用いてプレス加工を施すことにより、ビーム本体部の付形及び焼入れ、並びに、前記バーリング部の折り曲げ又は圧潰によるビーム本体部とブラケット部とのカシメ結合を同時に行うプレス工程と
を備えてなることを特徴とするドアインパクトビームの製造方法。 - ビーム本体部及びその両端部に設けられたブラケット部を備えてなるドアインパクトビームを製造する方法であって、
焼入れ可能な鋼板から、両端部に係合孔をそれぞれ有するビーム本体部用部材を形成するビーム本体部準備工程と、
防錆鋼板から、前記ビーム本体部用部材の係合孔に嵌入可能な円筒フランジ状のバーリング部及び前記ビーム本体部用部材の端部の幅(W)に対応する距離だけ離れた一対の折り曲げ片を有するブラケット部用部材を形成するブラケット部準備工程と、
前記ビーム本体部用部材を850℃以上の温度に加熱する加熱工程と、
850℃以上の高温状態にある前記ビーム本体部用部材の係合孔に非加熱の前記ブラケット部用部材のバーリング部を嵌入させると共に、このブラケット部用部材の一対の折り曲げ片間にビーム本体部用部材の端部を配置した状態で相対的に低温のプレス型を用いてプレス加工を施すことにより、ビーム本体部の付形及び焼入れ、並びに、前記バーリング部及び各折り曲げ片をビーム本体部上に重なるように折り曲げる又は圧潰することによるビーム本体部とブラケット部とのカシメ結合を同時に行うプレス工程と
を備えてなることを特徴とするドアインパクトビームの製造方法。 - 前記防錆鋼板は亜鉛メッキ鋼板であることを特徴とする請求項4又は5に記載のドアインパクトビームの製造方法。
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