第1の発明は、少なくとも負荷として、吸引風を発生する電動送風機を有し、前記電動送風機の供給電力を制御する制御手段と、前記吸引風の風量を検出する風量検出手段と、記憶指示信号により所定の空気抵抗状態とした時の前記風量検出手段の検出した検出風量を記憶しておく不揮発性の記憶手段と、前記記憶手段に前記検出風量を記憶するよう記憶指示信号を出力する記憶指示手段と、前記記憶手段の記憶する風量で前記負荷の制御状態を切換える制御切換手段とを有し、前記制御切換手段は、前記記憶手段に記憶された所望の風量に対応した所定の空気抵抗状態で記憶した前記風量検出手段の検出風量で、前記負荷の制御状態を切り換えるので、切り換え風量は、前記風量検出手段のバラツキ、前記電動送風機のバラツキ等、ユニットととして含有される様々なバラツキを意識することなく設定でき、高精度な負荷の切り換え制御を行う事ができる。
第2の発明は、少なくとも負荷として、吸引風を発生する電動送風機を有し、前記吸引風の風量を検出する風量検出手段と、少なくとも2つ以上の各々異なる複数の供給電力を有して前記電動送風機の供給電力を制御する制御手段と、前記風量検出手段の検出する風量により前記複数の供給電力毎に設定された所定の風量で前記負荷の制御状態を切換える制御切換手段と、記憶指示信号により所定の供給電力で所定の空気抵抗状態とした時の前記風量検出手段の検出した検出風量を記憶しておく不揮発性の記憶手段と、前記記憶手段に前記風量を記憶するよう記憶指示信号を出力する記憶指示手段とを有し、前記記憶手段の記憶した風量を可変することにより、前記複数の供給電力毎に設定された前記所定の風量も連動して可変する構成とし、前記制御切換手段は、予め、前記記憶手段に記憶された風量と前記複数の供給電力毎に設定された所定の風量との相対的な関係を有して、前記記憶手段に記憶された風量により全ての風量の絶対値を決定して、前記負荷の状態を切り換える制御を行うので、例えば1回という、最小限の調整操作により、前記全ての風量の設定をユニットととして含有される様々なバラツキを意識することなく設定でき、また、風量の狙いそのものを容易に変更する事ができる。
第3の発明は、特に第1または第2の発明に対し、記憶手段の記憶する風量を補正する補正手段を有し、制御切換手段は前記補正手段の補正した風量で負荷の制御状態を切り換えるので、所望の風量に対して、風量−風量検出手段出力特性の略直線性が損なわれない範囲であれば、その近傍で、調整操作を行う事が可能となる。
第4の発明は、第1から第3の発明のうち、いずれか1つの発明に対して、少なくとも負荷として、所定の風量であることを報知する報知手段を有し、制御切換手段は、記憶手段の記憶した風量にて前記報知手段の非報知状態を含む複数の報知状態となる風量を切換えるようにしたので、吸引して蓄積している塵埃の量やお手入れの時期等、風量で検出できる情報の報知風量の精度を向上する事ができる。
第5の発明は、特に第1または第2の発明に対し、制御手段は、記憶指示手段の指示により記憶手段が風量検出手段の検出する検出風量を記憶する前と後とで異なった第1の供給電力と第2の供給電力で電動送風機を制御するようにしたので、前記記憶手段に所望の風量を記憶させる調整操作時に、操作者が聴感で調整操作が完了した事を認識でき、また、自動認識する場合も、機器の消費電力を監視する事で調整操作の完了を認識できるので、簡単な設備で実現する事ができる。
第6の発明は、第1または第2の発明において、記憶手段に記憶された風量が風量検出手段で検出された風量であることを確認する記憶値検査手段を有し、前記記憶値検査手段の確認結果が異常であった時は、制御手段は、記憶手段が風量検出手段の検出する検出風量を記憶する前と後とで異なった第1の供給電力と第3の供給電力で電動送風機を制御するようにしたので、前記記憶手段に所望の風量を記憶させる調整操作時に、操作者が聴感で調整操作が正常に完了したか異常であったかを認識でき、また、自動認識する場合も、機器の消費電力を監視する事で調整操作の正常な完了を認識できるので、簡単な設備で実現する事ができる。
第7の発明は、風量検出手段を電流検出手段で構成したので、風量検出手段を簡単な構成で安価に実現する事ができる。
第8の発明は、特に第7の発明において、電流検出手段の出力を増幅倍率に対応した数の出力を有して増幅する増幅手段を有し、制御切換手段は、電動送風機の供給電力に応じた所定の前記増幅手段の出力により、制御状態の切換を行うようにしたので、前記電動送風機の供給電力に応じて、最適で高精度な風量に対する切り換え制御を行う事ができる。
面に接していないという情報を前記判断手段に出力し、前記判断手段においては、前記第1の状態検出手段の検出する前記吸込具が被清掃面に接しているという情報を優先して、前記吸込具の状態を判断することにより、前記回転ブラシの回転停止時の起電力の影響を受けることなく、前記吸込具の状態を検出することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における回路ブロック図を示すものである。
図1において、2は電動送風機であり、12は電動送風機2を駆動する双方向性サイリスタであり、12は、13は電動送風機2に流れる電流を検出し、信号レベル電圧へ変換して出力する電流検出手段であり、14は電流検出手段13の出力する信号を増幅する増幅手段である。
ここで、図2に電動送風機2に流れる電流と風量の関係(風量−電流特性)を示すが、電動送風機2の特性が決まれば、電動送風機2に流れる電流と風量の関係は、1対1で決まり、風量と電流値の関係を予め設定してやれば、電流検出手段13により、風量の検出が可能となる。従って、本実施例では、風量検出手段を電流検出手段13にて構成し、風量を判断する。
15は、マイクロコンピュータであり、電動送風機2への供給電力を制御する制御手段と、後述の不揮発性の記憶手段の記憶した風量と増幅手段14の出力により電動送風機2への供給電力の切り換えを行う制御切換手段、不揮発性の記憶手段への風量検出手段としての電流検出手段13の検出する電流値を記憶するよう指示する記憶指示手段は、このマイクロコンピュータで実現される。従って、制御手段、制御切換手段、記憶指示手段に関しては、以降は、マイクロコンピュータ15として記述する。
17は風量を記憶しておく不揮発性の記憶手段であるEEPROMであり、マイクロコンピュータ15を介して、増幅手段14の増幅1出力の電流値を風量として記憶する。
11はAC100Vの商用電源であり、16は、マイクロコンピュータ15とEEPROM17用の電源Vdd(5V)を作る電源回路である。
マイクロコンピュータ15は、図3に示すような、「強」、「中」、「弱」の3つのモードを各々のモードにおける風量−電力特性となる設定を有しており、モードの切換えは、操作手段4によって行われる。図3中の入力ライン1〜入力ライン5は、各々電動送風機2への供給電力を制御することによって実現され、供給電力は、マイクロコンピュータ15が双方向性サイリスタ12のトリガタイミング(トリガ位相)を商用電源11のAC周期の1/2の範囲内で可変して、電動送風機2へ印加される電圧を可変する位相制御により制御されている。上記周期は、商用電源11の周波数が50Hzであれば20msとなり、60Hzであれば16.66msとなる。入力ライン1〜入力ライン5は、各々固定されたトリガ位相であり、電動送風機2への印加電圧が同じでるので、図2に示す風量が低下すると電流値も低下する風量−電流特性の傾向が、風量−電力特性として現れている。図5に位相制御の説明図を示すが、ゼロクロスを基準にして、トリガタイミングが遅くなれば、電動送風機2への印加電圧が低くなり、供給電力も低下し、トリガタイミングが早くなれば、電動送風機2への印加電圧が高くなり、供給電力が上昇する。ゼロクロスでトリガすれば、双方向性サイリスタ12はフル導通状態となり、電動送風機2が有する特性が現れる。この特性が、位相制御で実現可能な特性の上限となり、図3中における入力ライン2がこの特性である。
ここで、電気掃除機は図6に示すように、電動送風機2を内蔵した本体1と、操作手段4を有したホース3、延長管5、吸引した塵埃を蓄積しておく集塵室6、床用吸込具8で構成されており、ホース3と集塵室6は、本体1に設けた吸気口7を介して着脱自在であり、ホース3と延長管5、延長管5と床用吸込具8も各々着脱自在な構成となっている。
また、本体1には、集塵室6に蓄積された塵埃が満杯になると塵埃が満杯である事を報知する報知手段9を有しており、LEDで構成され、このLEDの点滅、点灯の表示パターンは本体1に内蔵されたマイクロコンピュータ15により制御される。図1において、1点鎖線で囲んだ部分が本体1の内部に配置されたものである。
上記のように構成された電気掃除機は、使用者が操作手段4を操作してマイクロコンピュータ15が双方向性サイリスタ12を位相制御して電動送風機2に電力を供給し、停止から「強」、「中」、「弱」のいずれかの動作モードへ移行すると、吸込具8から吸引された塵埃が、延長管5、ホース3を経由して集塵室6に蓄積される。
図3は、集塵室6に塵埃が蓄積されていき、風量が低下していく時の動作を示したものであり、マイクロコンピュータ15は、「強」モード、「中」モード共に、電流検出手段13で検出される風量が低下していくに従って、図3中の矢印で示す、(1)、(2)、(3)の順に、電動送風機2の制御状態である入力ラインを切り換えていく。「弱」モードは、入力ライン5のみの固定されたトリガ位相で運転を行う。
この時、「強」モードにおいては、集塵室6に塵埃がなければ、入力ライン1で運転するよう双方向性サイリスタ12のトリガ位相を制御し、塵埃が蓄積していき、風量がQ1まで低下すると、入力ライン2に切り換え、塵埃の蓄積により低下した吸込み力を復活させるよう電力を上昇させる。更に塵埃が蓄積していき、風量がQ3まで低下すると、Q3はこの風量以下では、かつ、入力ライン2で運転される電動送風機2の発熱に対し十分な冷却風量が得られない領域として設定しており、発熱を抑えるために、電動送風機2の電力を低下させ、入力ライン5での運転を行う。この時の入力ラインは、「弱」モードの時と同じ入力ラインで運転されている。
図3中、風量Q1で入力ライン1から切換わった後の入力ライン2の風量がQ1に一致していないのは、電動送風機2への供給電力が上昇し、吸込み力が上がったため、同じ塵埃の蓄積量、つまり同じ空気抵抗状態においても風量は上昇するからである。同様に風量Q3で入力ラインが切換わった時は、電動送風機2への供給電力が下降し、吸込み力が下がるため、Q3より風量が低下する。この傾向のことを以下、空気抵抗特性という。
また、「中」モードにおいても、入力ライン3、入力ライン4、入力ライン5について、「強」モードと同様の動作となる。
上述の風量低下時の説明は、集塵室6に塵埃が蓄積されていくことを前提としたものであるが、例えば、使用者が誤って、カーテンや吸引風の遮蔽物となるような吸引しきれず、詰まってしまうようなものを床用吸込具8に吸着させてしまったときも、風量は低下し、上述の動作となってしまう。このような異物を吸着した場合、使用者は速やかにこの異物を除去するものであり、除去をすれば、風量は、吸着前の風量に復活する。マイクロコンピュータ15は、電流検出手段13の検出する風量により、一旦、入力ライン5まで制御状態が移行していても、図4の点線で示す軌跡で、矢印で示す(4)、(5)、(6)の順に入力ラインを戻していくよう制御している。
風量低下時と上昇時で同じ軌跡となるよう制御すると、入力ラインが切換わった直後の電流検出手段12の出力の不安定動作により、元の入力ラインに戻ったりすることを繰り返す可能性があるため、図3の(1)、(2)、(3)と、図4の(4)、(5)、(6)とでことなる軌跡とし、風量に対してヒステリシスをもった動作特性としている。
また、図3、図4に示す風量Q1〜Q7は、図7に示す増幅手段14の出力の風量−増幅出力特性より、各入力ラインでの、各風量における増幅手段14の出力電圧として予め設定されている。
操作手段4にて設定されたモードの信号は、吸気口7を経由してマイクロコンピュータ15の入力ポートPinに入力され、マイクロコンピュータ15は設定されたモードを認識することができる。
また、マイクロコンピュータ15は、出力ポートPledに報知手段9の表示パターン信号を出力することにより報知手段9の表示を制御する。マイクロコンピュータ15は、「強」モードにおいて、図3に示す入力ライン2における風量Q0より高風量では、報知手段9を消灯、Q0以下では、1秒オン/1秒オフの点滅表示を行い、集塵室6に塵埃が蓄積されていることを報知する。
また、マイクロコンピュータ15は、アナログ信号をデジタル信号へ変換するADポートである、AD1とAD2を有しており、本実施例においては、増幅手段14は、2本の増幅出力、増幅1と増幅2を出力しているので、AD1は増幅1のDCレベルのアナログ信号を入力して、デジタル値変換している。このマイクロコンピュータ15は、AD変換の基準電圧をVddと共用しており、8ビットのデジタル値であれば、5Vを0〜255までの段階に分割した分解能を有することになる。同様に、AD2は増幅2を入力し、デジタル化している。
増幅手段14の増幅出力、増幅1は1倍増幅、つまり、電流検出手段13の出力する信号レベルをそのまま出力しており、AD1には電流検出手段13の出力信号が入力されている。また、増幅手段14の増幅2は、電流検出手段13の出力する信号レベルを増幅(増幅率>1倍)して出力されている。
前述したように、マイクロコンピュータ15は、操作手段4により、設定される3つのモード「強」、「中」、「弱」の各々において、図3に示すような、風量−電力特性となる制御を行い、入力ライン1〜4までの風量判断は増幅1を、入力ライン5を増幅2で判断するよう予め割り当てている。図7に各々の入力ラインに対する、風量−増幅出力特性を示すが、増幅出力は、所望の風量域において、単位風量あたりの増幅出力の変化量が大きく、かつ、商用電源11の電圧の変動等のバラツキを考慮しても0〜5Vの範囲内で収まるようにレベルシフトと増幅を行っている。
また、マイクロコンピュータ15は、EEPROM17と通信するポートMoutとMinを有しており、Moutからは、書込時のEEPROMへの書込データ、つまり、AD1より入力されて変換された、増幅手段14の出力増幅1のデジタル値と、記憶(書込み)の指示を、読出し時には、読み出しの指示を出力する。Minからは、読み出し時に、記憶した(書込んだ)データを入力する。MoutとMinでの通信は、実際のEEPROMの通信とは異なるが、データの流れを説明するため、以下も、データの流れで説明する。
図1において、20は電気掃除機の外部に設けた調整手段であり、本体1の吸気口7に、操作手段4を有したホース3とは排他的に接続される。また、操作手段4と調整手段20とでは、吸気口7への接続時にマイクロコンピュータ15の入力ポートPinに現れる波形が、各々図8に示すように、調整手段20の接続時に、ホース3接続時には発生し得ない特殊な波形を発生させるような調整手段20の構成とし、電気掃除機の使用者による調整操作は不可能にしている。
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
図2に電動送風機2が吸引する風量と、電流、真空圧、回転数各々との関係を直線で示したが、厳密には、1次特性ではなく、2次以上の近似式で表される特性となる。特に真空圧は、その検出手段を配置する部位によって出力特性が大きく影響を受ける。また、これらの特性は、電動送風機2、本体1の吸気口7、ホース3、延長管5、床用吸込具8の各々の部位では、それぞれの連結部での流量漏れや、圧力損失により、厳密にいうと異なったものとなり、また、それぞれの個体や組み合わせによって、特性のバラツキも発生する。
ここで、バラツキを発生させる要素を詳細に見ていくと、電動送風機2の特性、電流検出手段13と増幅手段14の電気回路特性、本体1の流量漏れと圧力損失の機構的特性があげられる。
今、電流検出手段13の出力特性が、図9に示すように非線形の出力特性になっており、調整工程で、風量がQs1となる空気抵抗状態とした時に電動送風機2に流れる電流を電流検出手段13に流し、そのとき記憶した電流値を基準として、実際に電動送風機2のトリガ位相を切換える風量をQaとすると、Qs1という1点での基準設定で検出風量に一定の補正をかけ、かつ、実際に判断を必要とする風量が、基準を設定した時の風量と等しくなければ、基準設定しているにも関わらず、風量QaはΔV1という誤差を含んでしまう。また、補正の精度を上げようとすると、Qs1のみではなく、電流検出手段13に流す電流値を可変し、風量−電流検出手段出力特性を近似できる複数の電流値での調整が必要となる。
また、増幅手段14は、電流検出手段13の検出誤差を増幅してしまうとともに、その出力には増幅手段14そのもののバラツキも含まれてしまう。更に、近年では高い吸込み力を得るために、電動送風機2の性能が、急速に上がってきており、高入力のものが多いためその特性のバラツキも大きくなってきている。図10に電動送風機2の特性バラツキの電流検出手段の説明図を記載するが、図10中において、基準となる電動送風機2の風量−電流検出手段特性を実線で示し、基準から外れて電力(電流)が高めの電動送風機2の風量−電流検出手段特性を点線で示す。電動送風機2の風量に対する電流が高ければ、同じように、電流検出手段13の出力に現れてくる。図10において、基準の電動送風機2で、Q0という風量を設定しようとすると、電流検出手段13によるQ0の出力値は、v0となるが、電流が高めの電動送風機2では、電流検出手段2の出力v0は風量Q01と、Q0より低い風量となってしまい、電流が高めの電動送風機2では、v0より高いv01が風量Q0に対応した電流検出手段13の出力となる。
また、上記の電動送風機2の特性、電流検出手段13と増幅手段14の電気回路特性、本体1の流量漏れと圧力損失の機構的特性の3つは、ホース3から床用吸込具8にかけてのバラツキ要因と比較してはるかに大きく、また、これらは全て、本体1内で発生するものであるので、本体1の吸気口7で風量の検出に関係する全てのバラツキを吸収できれば、機器として高精度な風量検出が実現できる事になる。
今、例えば、報知手段9の状態を消灯から点滅へ切換える風量Q0(図3中に示す)のバラツキによる誤差を吸収して、動作を切り換える風量の精度を上げようとすると、EEPROM17に記憶した電流値をマイクロコンピュータ15がMinポートより読み出し、電動送風機2を入力ライン2で運転している時に、増幅手段14の増幅1出力、つまり、AD1ポートより入力されるAD変換された値とEEPROM17より読み出された値を比較して、AD変換した値が読み出した値より小さければ、報知手段9を点滅させ、大きければ消灯するように制御するが、EEPROM17に記憶させる電流値を、図10に示すように、基準の電動送風機2であればv0を、電流の高めの電動送風機2であればv01を記憶するというように、電動送風機2の特性に応じて風量がQ0となるような電流値を記憶させることにより、電動送風機2のバラツキのみならず、電流検出手段13と増幅手段14のバラツキも吸収して、報知手段9の表示動作切換え風量の精度を向上する事ができる。また、このEEPROM17への記憶を本体1の状態でおこなうことにより、上記のバラツキのみならず、本体1の機構的特性を含む、本体1としての個体別の設定、調整ができ、精度を向上する事ができる。
この、本体1の状態でのEEPROM17への記憶操作、つまり、調整操作を以下に説明する。
使用者が機器を使用する状態では、マイクロコンピュータ15の入力ポートPinは、操作手段4が接続されており、図8に示すような波形が印加されている。Pinは、AD1、AD2と同じAD変換機能を備えたポートである。マイクロコンピュータ15は、Pinから入力される信号のパターンを監視しており、図8に示すように、一定のレベルである「操作なしレベル」が継続すれば、ホース3が、吸気口7に接続されているが、操作手段4は操作されていないと判断し、信号のレベルが変化し、一定のレベルである「操作ありレベル」が継続すれば、使用者が、操作手段4を操作したと判断する。「操作ありレベル」は、「強」、「中」、「弱」と、機器の動作を停止させる「停止」のモードに対応した異なるレベルとなるよう、操作手段4、マイクロコンピュータ15共に設定されている。
いま、操作手段4を配置したホース3を本体1から外し、調整手段20を接続したとする。調整手段20の出力は電気的にマイクロコンピュータ15のPinに接続され、Pinには、調整手段20により、図8に示すようなレベルの異なるパターンの信号(調整手段接続信号)が入力される。マイクロコンピュータ15は、レベルが交互に異なり、かつ各々のレベルが同じ状態が、規則性を持って所定時間継続すると、調整工程用のモードへの移行信号であると判断して、電動送風機2を入力ライン2(フル通電)で駆動するよう双方向性サイリスタ12をトリガする。調整者は、本体1の吸気口7で、本体1に流入する風量を、報知手段9の表示を点滅へ切換えたい風量であるQ0となるよう空気抵抗を操作し、この状態で、マイクロコンピュータ15は、現在の電流検出手段14の出力である増幅手段14の増幅1出力、つまりマイクロコンピュータ15のAD1ポートに入力さてAD変換されたデジタル値をEEPROM17へ記憶するよう出力する。これは、使用者の操作により、調整手段20の出力が、図8に示すように、「調整手段接続信号」から「調整指示出力信号」切換わり、交互の信号パターンのレベルが変化した事によりマイクロコンピュータ15が認識する。Pinから、この信号パターンを入力して、マイクロコンピュータ15は、記憶指示手段の動作として、Moutポートから、AD1から入力されたデジタル値と、記憶指示信号をEEPROM17に出力する。この情報を受け取り、EEPROM17は、風量Q0での電流検出手段13の出力を記憶する。図11と図12にマイクロコンピュータ15における調整動作のフローチャートを示す。
そして、マイクロコンピュータ15は、Minポートより、EEPROM17の記憶したばかりの記憶値を読込み、Moutポートから出力した値と比較する。比較した値が、一致していれば調整が正常に終了したと判断して、報知手段9を約1秒間点灯させると共に、電動送風機2の駆動状態をフル導通(入力ライン2)から入力ライン3へ切換える。また、一致していなければ、何らかの原因により、EEPROM17に異常があるか、通信が正常に行われていないと判断して、電動送風機2の駆動状態を停止へと切り換える。
調整の監視システム、または作業者は、電動送風機2の電力を監視、もしくは聴感で、調整が終了していないのか、終了しているのか、また、調整の作業が正常に終了したのかを複雑な設備を設けることなく認識する事ができる。
調整手段20の出力する信号のパターンの周期は、操作手段4が接続されている状態で、使用者が操作しても、発生し得ないパターンとしている。
これにより、風量検出を簡単な構成で実現できると共に、機器の個体別に上記調整の操作を行う事により、制御状態を切換えるために必要となる風量を、機器を構成部品のバラツキ、や個体差に影響されない高精度な風量の設定が行える。
また、上記説明において、機器の個体別に毎回、空気抵抗を風量がQ0となる状態に合わせて調整を行うと、個体に関わらず全ての機器が風量Q0で動作切換えを行えるようになり、また、空気抵抗状態を固定して、調整を行う事により、動作切換えを行う風量は、機器の個体によって異なるが、個体に関わらず、集塵室6内の塵埃の蓄積量が同じ蓄積量で動作切換えを行え、高精度な風量設定を行う事ができる。例えば、電動送風機2の冷却風の低下による電動送風機2の発熱・温度上昇を抑えるために入力ラインを入力ライン2から入力ライン5に切り換える風量Q4(図3中に示す)は、風量の精度が優先であるので、前者の設定で調整操作を行い、集塵室6内に蓄積された塵埃の量を報知する報知手段9の動作に対する風量は、塵埃の量を報知する事が優先されるので後者の設定で、低下した吸込み力を復帰させるために入力ラインを上昇させる風量Q1、Q2も塵埃の量に対して上昇させる方が最適な吸い込み性能を得る事ができるので後者の設定で、と言うように目的に応じて設定の仕方を変えてもよく、非常に高精度な風量に対する制御が可能となる。
上記で、各々の風量を目的に応じて個別に設定してもよいと述べたが、マイクロコンピュータ15は、図3、図4における風量Q0を基準にして、風量Q0とQ1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6、Q7のそれぞれとの相関関係を有している。風量の例えば、Q0と、Q0を参照する増幅手段14の増幅率と異なる増幅率の出力(増幅2)を参照して風量の判断を行うQ5について説明する。Q5は、Q0での増幅手段14の増幅1出力電圧v0に対し、風量Q5での増幅手段14の増幅2出力電圧v5を有している。
風量−電力特性を幅広いレンジで、かつ高精度に制御しようとすると、複数の増幅率で、信号の特性を拡大して制御を行う事は一般的であるが、マイクロコンピュータ15に、入力される信号の電圧は、0〜3V、0〜5V等、大きな電圧ではないので、前述した電圧幅(レンジ)ないで、どこまで必要な範囲の特性を引き伸ばすかによっても、制御の精度が変わってくる。従って、個々の必要な特性がレンジの中に入るようシフトを行うのも一般的である(図7参照)。
このため、複数の増幅率を有するものは、特に、風量の検出手段、ここでは電流検出手段13の特性を補正するための基準を設定する設定条件によっては、実際に判断に使用する増幅手段14の出力がレンジ外に外れてしまって、正確な基準設定ができない可能性がある。
基準Q0と基準Q0と各風量との関係は、標準特性となる電動送風機2や電流検出手段13や本体1の組み合わせで、予め設定しており、電動送風機2の電流値の高めの特性のものがくれば、図10に示すように、入力ライン2では、Q0がQ01となり、ΔQ0の誤差が発生してしまう。
マイクロコンピュータ15は、図13に示すように、風量Q0を判断する入力ライン2の増幅1出力の風量特性に対する変化率k0と、風量k5を判断する入力ライン5の増幅2出力の風量特性に対する変化率k5と、2つの変化率の比率k5/k0を有している。
風量がΔQ0ずれたとすると、マイクロコンピュータ15の判断する値としては、増幅手段14の増幅1出力であるから、AD1に入力される電圧の誤差として、
一方、入力ライン5においても、ずれる風量は同じであるので、AD2に入力される電圧の誤差として、
ΔQ0の風量のずれが発生し、Δv0が分かっていれば、上記(式1)、(式2)より
マイクロコンピュータ15は、基準風量Q0を予め設定しており、調整操作時に基準との差Δv0を算出し、上記(式3)にて算出した、Δv5を、予め設定した、Q5に対する増幅2出力電圧v5に足し込むことで、風量Q5を設定する事ができる。Q0と他の風量Q1、Q2、Q3、Q4、Q6、Q7に対しても同様の算出を行うことにより、風量を設定している。
つまり、風量Q0での増幅手段14の増幅1出力をデジタル値へ変換した値を、EEPROM17に記憶させるよう調整する事により、図13に示すように、全ての風量が部品のバラツキを吸収した状態で、高精度に設定することが、1回の調整操作のみで実現可能となる。また、図13を見ても明らかなように、各々の動作切換え風量の狙いを変更したい時も、EEPROM17に記憶する値を変更する事により、全ての風量が、連動して、風量に対して一律シフトするので、容易に狙いの変更を行う事ができる。
ところで、図9に示す1次近似できない風量−電流検出手段出力特性上の風量Qs1の近傍は、例えば、風量±0.2m3/min内が特性がカーブしていることによる風量検出への精度の影響が小さい範囲であれば、マイクロコンピュータ15は、補正手段としての機能も実現可能であり、EEPPROM17に記憶した値に対応する風量から、基準となる風量を算出事ができる。本実施例では、報知手段9の表示切り替え風量を基準の風量Q0としているが、例えば、風量Q0は、低風量であり電動送風機2の冷却風量が小さいため、調整の工程においてはそこまで低下させたくない時等、図14に示すように、Q0より大きい風量Qh1で調整操作を行う。図14において、実線の特性は、標準特性の電動送風機2の風量−電流検出手段出力特性であり、点線の特性は、電流値が高めの電動送風機2の特性である。この時、EEPROM17には、風量Qh1に対応した信号電圧vh0を記憶する事になる。マイクロコンピュータ15には、基準となる風量Q0に対応する電圧v0は、調整操作によってEEPROM17に記憶された電圧vh1より所定の電圧差Δvh1低くなる事が予め設定されており、マイクロコンピュータ15は、EEPROM17から読み出したvh1より、
で、基準風量Q0となる電流値v0を設定する。これにより、基準風量が、精度よく設定できると共に、実際の動作切換え風量よりも高い風量域でも、調整を行う事ができる。