JP2006320267A - 核酸中の特定塩基を測定する方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 次の手順を含むことを特徴とする核酸中の特定塩基の測定方法である。
核酸重合系Iで核酸重合反応を一回若しくは複数回行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し、測定値に基づいて、核酸中の特定塩基を測定する。
核酸重合系I:以下の成分を含む:(A)鋳型としての標的核酸、(B)(a)蛍光色素、(b)クエンチャー物質、及び(c)蛍光色素若しくはクエンチャー物質を含有する免疫関連物質、からなる群から選ばれた少なくとも一種の物質で標識された、少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマー、(C)一種若しくは一対のプライマー、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。
【選択図】なし
Description
同様に、ある領域に存在するCpGアイランドの、メチル化されたシトシンの数を調べる場合も、核酸をウラシル化処理後、配列を決定する必要がある。しかし、シークエンスには、精製及び分離等の操作が必須である。これらの操作は煩雑であり、結果を出すまでには、長時間(例えば、少なくとも3日以上の日数)を必要とする。
(1)メチル化感受性制限酵素を用いて標的核酸を切断する方法(非特許文献1)
ゲノムDNAをメチル化感受性制限酵素で消化した後、核酸増幅反応を行う。消化された核酸、すなわちメチル化されていない核酸は増幅しないが、消化されなかった核酸は増幅するため、電気泳動にてバンドの有無で判別する。しかしながら、この方法は、メチル化感受性制限酵素を用いるために解析できる塩基配列に制限がある。制限酵素処理で切断残りがあると擬陽性となる。単に、増幅の有無を検出するものである。操作は電気泳動分離が必要である。それで定量性及び操作性に問題があった。
当該方法において、測定可能な核酸は、3乃至30塩基対のものである。
ゲノムDNAを重亜硫酸で処理する。当該処理で、メチル化シトシンはシトシンのまま、非メチル化シトシンはすべてウラシルに変換される。プライマー配列中に数個のメチル化部位が入るように設計したプライマーを用いてPCRを行う。PCR産物は電気泳動にかけ、バンドの有無でメチル化シトシンを検出する。当該方法は、塩基配列の制限はないが、メチル化特異的プライマーの設計が難しい。又、当該方法は電気泳動による分離を必要とする。
当該方法においても、測定可能な核酸は、3乃至30塩基対のものに限定される。
ゲノムDNAを重亜硫酸処理した後、シークエンスする。当該方法では、数百塩基の長さの核酸を測定できるが、操作が複雑になる。サブクローニング及び電気泳動分離等の操作が必要で、簡便でない。
発明1は、次の手順を含むことを特徴とする核酸中の特定塩基の測定方法である。
1)下記の核酸重合系Iで核酸重合反応を一回若しくは複数回行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定(以下、測定系Iという。)し、得られた測定値に基づいて、核酸中の特定塩基を測定する。
核酸重合系I:以下の成分を含む:(A)鋳型としての標的核酸、(B)(a)蛍光色素、(b)クエンチャー物質、及び(c)蛍光色素若しくはクエンチャー物質を含有する免疫関連物質、からなる群から選ばれた少なくとも一種の物質で標識された、少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマー、(C)一種若しくは一対のプライマー、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。
本発明を詳細に説明する前に、特許請求の範囲を含む本明細書全体にわたって使用する用語の定義をする。本発明に用いている用語は、特別な定義がない場合、生物学、分子生物学、遺伝学若しくは遺伝子工学、微生物学若しくは微生物工学等で一般的に出願時に使用されている用語と同じ意味である。
プライマーとは、鋳型核酸に特異的に結合し、核酸重合体の前駆体になる1種のオリゴヌクレオチドのことをいう。核酸プライマーが、蛍光色素、クエンチャー物質、免疫関連物質で標識されたものを、順に、蛍光標識プライマー、クエンチャー標識プライマー、免疫関連物質標識プライマーという。又、総称して、標識プライマーという。
尚、本発明においては、特定塩基の一つであるメチル化シトシンを含有する核酸をメチル化核酸という。
本発明でいう蛍光色素(「蛍光物質」という場合もある。)とは、一般に核酸プローブを標識して、核酸の測定・検出に用いられている蛍光色素の類である。例えば、フルオレセイン(fluorescein)又はその誘導体類{例えば、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyanate)(FITC)若しくはその誘導体等}、Alexa 488、Alexa 532、cy3、cy5、6-joe、EDANS、ローダミン(rhodamine)6G(R6G)又はその誘導体{例えば、テトラメチルローダミン(teramethylrhodamine)(TMR)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(tetramethylrhodamine isothiocyanate)(TMRITC)、x−ローダミン(x-rhodamine)}、テキサスレッド(Texas red)、ボデピー(BODIPY)FL{ボデピー(BODIPY)は商標名、FLは商品名;モレキュラー・プローブ(Molecular Probes)社製、米国;以下同様}、ボデピー(BODIPY)FL/C3、ボデピー(BODIPY)FL/C6、ボデピー(BODIPY)5-FAM、ボデピー(BODIPY)TMR、又はその誘導体{例えば、ボデピー(BODIPY)TR}、ボデピー(BODIPY)R6G、ボデピー(BODIPY)564、ボデピー(BODIPY)581、ボデピー(BODIPY)493/503、Lissamine(商標名、Perkin Elmer社、USA)、等を挙げることができる。
免疫関連物質標識ヌクレオチドモノマーは、委託合成(パーキンエルマー社、米国(http://www.perkinelmer.com)を行って入手した方が便利である。
尚、現在、上記の標識ヌクレオチドモノマーはパーキンエルマー社(米国)、アマシャムバイオサイエンス社(英国)等から市販されている。又、委託合成を行って入手するのが実験時間の節約になる。
オリゴヌクレオチドに蛍光色素、クエンチャー物質を標識するには、前記の標識ヌクレオチドモノマーの場合と同様にすればよい。当該オリゴヌクレオチドの合成、当該標識核酸プライマーの合成は、委託合成を行うのが最も簡便な方法である。
<発明1>
次の手順を含むことを特徴とする標的核酸中の特定塩基の測定方法である。
1)下記の核酸重合系Iで核酸重合反応を一回若しくは複数回(例えば、2〜2000回、好ましくは2〜200回、より好ましくは2〜100回)行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(測定系I)、得られた測定値に基づいて、核酸中の特定塩基を測定する。
核酸重合系I:以下の成分を含む:(A)鋳型としての標的核酸、(B)(a)蛍光色素、(b)クエンチャー物質、及び(c)蛍光色素若しくはクエンチャー物質を含有する免疫関連物質、からなる群から選ばれた少なくとも一種の物質で標識された、少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマー、(C)プライマー、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。
核酸中の特定塩基がメチル化シトシンであり、発明1に記載の手順1)の代わりに、以下の手順1及び2に代えたものである発明1に記載の核酸中の特定塩基の測定方法である。
1)鋳型としての核酸に含まれる非メチル化シトシンをウラシル化処理する。
2)以下の核酸重合系IIで核酸重合反応を一回若しくは複数回(例えば、2〜2000回、好ましくは2〜200回、より好ましくは2〜100回)行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(測定系II)、得られた測定値に基づいて核酸中のメチル化シトシンを測定する。
核酸重合系II:以下の成分を含む:(A)鋳型としてのウラシル化核酸、(B)少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマーとして標識グアニンヌクレオチドモノマー、(C)フォーワードプライマー(forward primer)及びリバースプライマー(reverse primer)のどちらか一方、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。
発明2において、プライマーとしてフォーワード及びリバースの一対のプライマー、及び少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマーとして標識シトシン又はグアニンヌクレオチドモノマーを使用し、核酸重合反応をPCR方法で行う方法である。核酸中のメチル化シトシンを測定する方法である。本発明においては、標識シトシン又はグアニンヌクレオチドモノマーが特異的に取り込まれる。
下記の核酸重合系IIaで核酸重合反応を一回若しくは複数回(例えば、2〜2000回、好ましくは2〜200回、より好ましくは2〜50回)行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(測定系IIa)、測定系IIと測定系IIaの測定値の差及びその比又はそれらの単独ものに基づいて、特定塩基を測定する。特定塩基がメチル化シトシン及びシトシン又はそれらの単独のものの場合は、メチル化シトシン及び非メチル化シトシンを測定するか、若しくはメチル化シトシンと非メチル化シトシンの比を求めるか、又はそれらの双方を求める。
核酸重合系IIa:核酸重合系IIにおいて、(A)鋳型核酸としてウラシル化核酸の代わりにウラシル化処理されていない標的核酸、又は塩基配列は同じであるが、メチル化されていないシトシン若しくは全シトシンがメチル化されたものを有する標的核酸を使用する以外は核酸重合系IIと同じ成分を含む。
次の手順を含むことを特徴とする核酸中の特定塩基の測定方法。
1)次の核酸重合系IIIで核酸重合反応を一回若しくは複数回(例えば、2〜2000回、好ましくは2〜200回、より好ましくは2〜100回)行う。
核酸重合系III:以下の成分を含む:(A)鋳型として標的核酸、(B)少なくとも一種の非標識ヌクレオチドモノマー、(C)フォーワードプライマー(forward primer)及びリバースプライマー(reverse primer)うちのどちらか一方、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。
2)未反応のプライマー、非標識ヌクレオチドモノマーの核酸重合系外への除去。
3)次の核酸重合系IVで核酸重合反応を一回若しくは複数(例えば、2〜2000回、好ましくは2〜200回、2〜100回)回行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(測定系IV)、得られた測定値に基づいて核酸中の特定塩基を測定する。
核酸重合系IV:前記の3)の操作を受けた核酸重合系に以下の成分を加える:(B)一種の標識ヌクレオチドモノマー、(C)フォーワードプライマー(forward primer)及びリバースプライマー(reverse primer)うちの核酸重合系IIIで使用しない方。
前記の核酸重合系III及びIVを、各々下記の核酸重合系IIIa及びIVaに代えること以外は前記と同様にして、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定して得た測定値の双方若しくは各々の単独のものと前記発明4に記載の測定値の差及びそれらの比、又はそれらのどちらか一方に基づいて、特定塩基の量比を求める。特定塩基がメチル化シトシン及びシトシン又はそれらのどちらか一方である場合、メチル化シトシン、非メチル化シトシン及び
メチル化シトシンと非メチル化シトシンの比、又はそれらのどちらか一方を求めることが出来る。
核酸重合系IVa:核酸重合系IVにおいて、(A)鋳型核酸としてウラシル化核酸に替えてウラシル化処理されていない標的核酸、又は塩基配列は同じであるが、メチル化されていないシトシン若しくは全シトシンがメチル化されているものを有する標的核酸を使用する以外は核酸重合系IVと同じ成分を含む。
本発明の"少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマー"とは、前記した本発明の標識物質の少なくとも一種で標識された一種の標識ヌクレオチドモノマーである。本発明においては、少なくとも一種を用いる。一種でも構わないが、各種の標識ヌクレオチドモノマーを組み合わせて用いることが出来る。更に、核酸特異的蛍光色素と組み合わせて用いるとより効果的である。標識ヌクレオチドモノマーの使用の仕方は、公知の方法が好適に採用できる(国際公開第03/102179号パンフレット)が、具体的には後記に例示した。尚、標識又は非標識ヌクレオチドモノマーが、標識及び非標識ジデオキシヌクレオチドモノマー、又は、どちらか一方であってもよい。標識及び非標識ヌクレオチドモノマーが、3リン酸体であるのが好適であることは前記した通りである。
核酸合成酵素については、前記した通りである。
メチル化核酸(全シトシンがメチル化されたものを含む。)、非メチル化核酸ともに、市販されている(CHEMICON INTERNATIONAL、USA)ので、メチル化核酸の対照としてウラシル化核酸の使用は容易である。
5'末端部の一つの部位からメチル化シトシン部位の一塩基手前まで、鋳型核酸に相補的であってもよい。又、プライマーの3'末端、又は3'末端から2番目の塩基がメチル化部位の塩基(シトシン(C)又はウラシル(U))に相補的であってもよい。
尚、本発明においては、当該ビオチン化プライマーを用いる方法とフィルター処理方法とを適当に組み合わせる方法も好適に用いることができる。例えば、次のような組み合わせである。
(1)先ず、フィルター処理により未反応のビオチン化プライマーと未反応の標識若しくは非標識ヌクレオチドモノマーを核酸重合系外へ除く。
(2)次に、核酸重合系の上記ビーズを添加し、重合合成された核酸を当該ビーズに結合させる。そして、元の鋳型核酸としての標的核酸と重合合成された核酸とを分離する。
発明4においては、前記したように、当該核酸について、発明4の手順3)を行うことが出来る。
尚、発明4において、このような操作を行うのが好適な場合は、プライマーの塩基配列にシトシン(C)及びグアニン(G)、又はC若しくはGを含まない場合である。含む場合は、このような操作を行わなくとも、発明4を好適に実施出来る場合がある。ただ、前記したフィルターろ過処理だけで、未反応の非標識ヌクレオチドモノマー及びプライマーを除去出来る。
よって、ビオチン化プライマーとアビジンコートビーズを含有する、核酸中の特定塩基を測定するためのキットも本発明の一つである。
ビオチン化プライマーは、委託合成により入手する(例えば、つくばオリゴサース等)のが便利である。アビジンコートビーズは市販のものを入手すればよい。
上記オリゴヌクレオチドにおいて、塩基数が、プライマーと同じか、又はそれより1〜50塩基、好適には1〜30塩基、より好適には1〜10塩基多いものが好適に使用され得る。また、プライマーより1〜10塩基、好適には1〜5塩基少ないものも好適に使用され得る。
(1)標的核酸の5'末端側にプライマー同一のオリゴヌクレオチドを結合させておく。
(2)標的核酸に相応するプライマーを用いて、発明4の手順1)の核酸重合反応を行う。
(3)未反応プライマー及び非標識ヌクレオチドモノマーをフィルターろ過処理により核酸重合系外へ除去する。
このようにすることにより、上記(2)において重合合成された核酸を、特異的に鋳型として核酸重合反応を行うことが出来る。
上記のような適用は、発明4に限定されずに、発明1〜3にも好適に適用できる。
上記の特定配列のオリゴヌクレオチド又はプライマー同一のオリゴヌクレオチドの合成、及びそれを標的核酸に結合させる合成、又、特定配列のプライマーの合成は、前記したように委託合成を行うのが便利である。
片方だけで行った場合、一本鎖の鋳型核酸から、一サイクルの重合反応で新たな重合核酸一本鎖の一本が生じる。nサイクルの重合反応から一本鎖の新たな重合核酸n本が生じる。そして、各々の核酸鎖に目的の標識ヌクレオチドモノマーが取り込まれる。この方は好適である。
一対のプライマーを用いた場合も同様である。
本発明における核酸重合系の主な成分の濃度については、従来公知の核酸重合反応のもの(例えば、国際公開第03/102179号パンフレット、国際公開第02/08414号パンフレット、非特許文献1〜3参照)、又は、試薬キットに添付されているものを使用すればよい。
鋳型核酸:1〜1020コピー、好ましくは10〜1015コピー;標識ヌクレオチドモノマー:(3リン酸体として)1pM〜1mM、好適には1nM〜200μM;非標識ヌクレオチドモノマー:dNTPとして1pM〜1mM、好適には1nM〜200μM;プライマー:1nM〜100μM、好適には10nM〜1μM;核酸合成酵素:0.001〜50単位、好適には0.01〜10単位;塩濃度:0〜2モル濃度、好ましくは0.1〜1.0モル濃度;緩衝液:0.1〜200mM、好適には5〜50mM;pH:6〜10、好ましくは6.5〜9.5である。
この場合、標識ヌクレオチドモノマーの塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミンのどちらでもよく特に限定されないが、好適にはシトシンかチミンである。より好適にはチミンである。標識物質は、前記の方法と同じでもよく、異なってもよい。
この補正値と標的核酸中の特定塩基の数とをグラフにプロットすると、補正値と標的核酸中の特定塩基の数とはより相対的な関係を示す。
本発明の"少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマー"とは、前記した本発明の標識物質の少なくとも一種で標識された一種の標識ヌクレオチドモノマーである。本発明においては、少なくとも一種を用いる。一種でも構わないが、各種の標識ヌクレオチドモノマーを組み合わせて用いることが出来る。更に、核酸特異的蛍光色素と組み合わせて用いるとより効果的である。標識ヌクレオチドモノマーの使用の仕方は、公知の方法が好適に採用できる(国際公開第02/08414号パンフレット及び国際公開第03/102179号パンフレットを参照)が、具体的には後記に例示した。尚、標識又は非標識ヌクレオチドモノマーが、標識又は非標識ジデオキシヌクレオチドモノマーであってもよい。標識及び非標識ヌクレオチドモノマーが、3燐酸体であるのが好適であることは前記した通りである。
核酸合成酵素については、前記した通りである。
5'末端部の一つの部位からメチル化シトシン部位の一塩基手前まで、鋳型核酸に相補的であってもよい。又、プライマーの3'末端、又は3'末端から2番目の塩基がメチル化部位の塩基(C又はU)に相補的であってもよい。
本発明において、一対(forward primer及びreverse primer)で行ってもよく、当該一対の片方のどちらかだけで行ってもよい。
(1)核酸特異的蛍光色素と蛍光色素間の相互作用(FRET(fluorescence resonance energy transfer)現象)。
(2)蛍光色素間の相互作用(FRET現象)。
(3)クエンチャー物質と蛍光色素間の相互作用(蛍光消光現象)。
(4)グアニン塩基と蛍光色素間の相互作用(蛍光消光現象)。
尚、本発明でいう相互作用とは、一方の励起エネルギーが他方へ移動する反応である。又、"蛍光消光現象"を単に"蛍光消光"と略称する場合がある。
(1)核酸重合反応の前後の核酸重合系の測定。
(2)核酸合成を行なわせない系(例えば、鋳型核酸又は核酸合成酵素を添加しない系)を対照としての核酸重合系の測定。
(3)核酸重合反応を中止したい時期(例えば、反応が平衡に達した時期)の核酸重合系の蛍光強度を先ず測定し、次いで、核酸重合系の核酸変性処理(例えば、90〜99℃での処理)後、測定する。
必要に応じて、前記反応物を電気泳動、HPLCで分析するのが好適である。
又、必要に応じて、ブランク反応を行うのが好適である。
1.発明1
本発明1は請求項1に該当する発明で、図1及び2に具体的に図示されている。
図1は、forward primer、標識dGTPを用いて、鋳型としての標的核酸中の特定塩基(シトシン)を測定した例を示している。
図2は、発明1における特定塩基(シトシン)の数と測定された蛍光キャラクター変化量(以下、蛍光変化量という。)の相関を説明する図である。
核酸重合系は、鋳型核酸A、鋳型核酸Aにハイブリダイズする一種のプライマー、標識グアニンヌクレオチドモノマー、非標識アデニン、シトシン、及びチミンヌクレオチドモノマー、核酸特異的蛍光色素、並びに核酸合成酵素を含んでいる。
2)ハイブリダゼーション温度を与えると、プライマーと鋳型核酸はハイブリダイズする。次に核酸合成温度を与えると核酸重合反応がプライマーの3'末端から鋳型核酸の5'末端側に進む。反応が当該5'末端に到達すると反応は終了する。そして標識グアニンヌクレオチドモノマーが、鋳型核酸中のシトシン塩基数に応じて取り込まれる。すなわち、取り込まれる標識グアニンヌクレオチドモノマーの数は、鋳型核酸中のシトシン塩基数に等しい。ここで、核酸重合系を核酸変性温度にすると、二重鎖を形成していた鋳型核酸と合成された一本鎖の核酸は、お互いに離れる。これが一サイクルである。
この重合反応をnサイクル繰り返すと、n本の一本鎖の核酸(同じ核酸)が合成される。
4)1)と3)の測定値の差(蛍光キャラクターの変化量)は、鋳型核酸A中のシトシンの数に比例する。当該変化量は、合成された一本鎖の核酸に結合した核酸特異的蛍光色素と取り込まれた標識グアニンヌクレオチドモノマーの標識物質とのFRET作用に基づくものである。
5)そこで、核酸中に含まれるメチル化シトシンの数が異なる鋳型核酸(一例として鋳型核酸Bを示す。)について、上記1)〜4)までの操作を行い、メチル化シトシン数と測定値を、一つのグラフにプロットすると図2のようになる。
上記の知見から、上記の操作を行うことにより核酸中の特定塩基の数を測定できる。
即ち、標識グアニンヌクレオチドモノマーの代わりに、標識シトシン、アデニン、チミンヌクレオチドモノマーを使用すると、各々の標識ヌクレオチドモノマーからグアニン、チミン、及びアデニンを測定できることになる。
図3は、発明2を具体例を以って説明する図で、二本鎖のメチル化核酸をbisulfate処理した後、標識dGTP及びforward primer又はreverse primerを用いて、当該処理核酸を鋳型として核酸重合反応を行った一つの例の手順を示している。
図4は、図3の実験の対照として、非メチル化核酸を鋳型として核酸重合反応を行った一つの例の手順を示している。
図5は、発明2におけるメチル化シトシンの数と測定された蛍光変化量の相関を説明する図である。この場合の蛍光変化量は、メチル化核酸の測定値から非メチル化核酸の測定値を差し引いたものとして表現している。
この発明は、請求項2に記載の一形態の発明で、プライマーとして、フォーワード及びリバースのプライマーのどちらか一方を使用する発明である。
発明1及び2においては、蛍光キャラクターの変化量は、核酸特異的蛍光色素と標識ヌクレオチドモノマーの標識物質との相互作用に基づいているが、本発明においては、この例示に限定さない。後記の例示を使用することが出来る。
図6、7及び8は発明3を説明する図である。
図6は、二本鎖のメチル化核酸をbisulfate処理した後、標識dCTP若しくは標識dGTP並びにforward primer及びreverse primerを用いて、当該処理核酸を鋳型として核酸重合反応(PCR)を行った例の手順を示している。但し、記号:(子)はウラシル化核酸を鋳型として重合合成された核酸であり、記号:(孫)は(子)を鋳型として重合合成された核酸である。
図7は、図6の実験の対照として、非メチル化核酸を鋳型核酸として核酸重合反応を行った例の手順を示している。記号:(子)及び(孫)は図6のものと同様な意味を有する。
図8は、発明3におけるメチル化シトシンの数と測定された蛍光変化量の相関を説明する図である。
対照実験は発明2と同様である。
図9、10及び11は発明4を説明している。
図9は、二本鎖のメチル化核酸をbisulfate処理した後、先ず、非標識dNTPs(アデニン、グアニン、シトシン及びチミンヌクレオチドモノマーの3リン酸体の混合物を表している。)並びにreverse primerを用いて、当該処理核酸を鋳型として核酸重合反応を行い鋳型核酸を増幅し、次に核酸重合系に残存する未反応のプライマー及びdNTPs(場合により元の鋳型核酸を含む。これらの分離については前記に詳しく説明した。)を分離(除去)操作を施した後、標識dCTP並びにforward primerを用いて、増幅鋳型核酸を鋳型として更に増幅した例の手順を示している。尚、図において、記号:NNN3'はプライマー1を鋳型として重合合成された核酸を示している。
図10は、図9の実験の対照として、非メチル化核酸を用いて図9と同様な核酸重合反応を行った例の手順を示している。尚、図において、記号:NNN3'は図9のものと同様な意味を有する。
図11は、発明4におけるメチル化シトシンの数と測定された蛍光変化量の相関を説明する図である。この場合の蛍光変化量は、メチル化核酸の測定値から非メチル化核酸の測定値を差し引いたものとして表現している。
尚、上記で説明した図9及び10中の記号:NNN3'のNは、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、及びウラシルの任意の一つであり、同じものでも互いに異なっていてもよい。
図面では、次の手順からなっている。
1)先ず、発明1の手順操作を行う。但し、この場合、標識グアニンヌクレオチドモノマーの代わりに、非標識ヌクレオチドモノマーを用いる。又、プライマーはフォーワードプライマーを用いた図になっている(しかし、本発明はこの例に限定されない。)。重合反応はnサイクルとする。鋳型核酸の二重鎖の3'→5'鎖が鋳型となり、n本の重合核酸が生まれる。
2)重合反応液について、未反応のプライマー、非標識ヌクレオチドモノマー類の除去を行う。除去の仕方は、前記したとおりである。
4)核酸重合反応前に核酸重合系の蛍光キャラクターを測定する。
5)前記1)と同様にして核酸重合反応をn回行う。この場合、鋳型核酸はn本の重合核酸と一本の元の二重鎖の5'→3'鎖である。それで、新しく合成され、標識シトシンヌクレオチドモノマーが取り込まれた核酸はn×n本になる。
6)核酸重合系の蛍光キャラクターを測定する。
7)4)と6)の測定値の差(蛍光キャラクターの変化量)を測定する。
8)発明1と同様にメチル化シトシン数と測定値を、一つのグラフにプロットすると図11のようになる。
発明4においては、図から分かるように、元の核酸中のシトシンの数と一本鎖の核酸に取り込まれた標識シトシンヌクレオチドモノマーの数と一致する。それで、測定感度は発明1に比較してn倍になっている。鋳型核酸の初期のコピー数が少ない場合に好適な方法である。
この方法は、メチル化シトシンの測定に限定されることなく、発明1と同様にすることにより核酸中の特定塩基を測定する一般的方法である。
この方法で、メチル化シトシン等を測定する場合は、発明2及び3と同様な対照実験を行うことが好適である。
蛍光色素標識核酸プライマーを用いて、当該プライマーの3'末端に続いて新たに核酸を重合合成させる発明である。その際、合成された重合核酸の、当該プライマーの3'末端近傍が、次のような構造になるように、当該プライマーが設計されている方法である。
1)非標識グアニンヌクレオチドモノマー又は非標識シトシンヌクレオチドモノマーがくる。プライマーの標識物質がシトシン又はグアニンと相互作用して、標識物質の蛍光キャラクターの変化量をもたらす構造になっている。
2)標識ヌクレオチドモノマーがくる。この場合、プライマーの標識物質と標識ヌクレオチドモノマーの標識物質と組み合わせが、相互作用して蛍光キャラクターの変化をもたらす構造になっている。
本発明は、標的核酸の特定部位の塩基、特に、メチル化シトシンを、短時間且つ簡便に測定(判断、認識、検出)する方法である。
標識ヌクレオチドモノマーとして蛍光色素で標識した標識ジデオキシヌクレオチドモノマーを用いる前記発明1〜4の発明である。この発明は、短時間且つ簡単にメチル化核酸を測定できる。核酸重合を行っている核酸重合系の蛍光キャラクターの変化をモニタリングして、変化が飽和した時点で、核酸重合系の蛍光キャラクターの強度を測定する方法である。反応開始前若しくは開始時の蛍光キャラクターの強度の測定値、又は対応する非メチル化核酸若しくは非ウラシル化核酸のものと比較することにより、メチル化核酸を短時間に測定出来る。即ち、核酸重合反応時間が短い。
固体表面上に固定化された1種以上の核酸プライマーから鋳型核酸の重合を行うことを特徴とする前述の本発明1〜6の何れかに記載の方法である。
前記核酸重合系I、Ia、II、IIa、III、IIIa、IV、及びIVaのうちの、少なくとも一つの核酸重合系の成分を含んでなることを特徴とする核酸中の特定塩基の測定キットである。
9.発明9
前記1〜7の発明の測定方法において、calibration curveを使用する手順を含む測定方法である。
10.発明10
ビオチン化プライマーとアビジンコートビーズを含んでなることを特徴とする核酸中の特定塩基の測定キットである。
1)核酸特異的蛍光色素と蛍光色素間の相互作用
核酸特異的蛍光色素は、核酸重合体、2重鎖の核酸重合体、核酸重合体・鋳型核酸複合体、核酸プライマー・鋳型核酸複合体に結合する。
核酸特異的蛍光色素の存在下で、蛍光色素標識ヌクレオチドモノマーを核酸重合体に取り込ませる反応を行う過程で、核酸特異的蛍光色素が合成された核酸重合体に結合し、取り込まれた蛍光標識ヌクレオチドの蛍光色素との距離が著しく接近する。そして核酸重合体に取り込まれた蛍光標識ヌクレオチドを標識している蛍光色素と核酸特異的蛍光色素間の相互作用が発生する。そして、蛍光キャラクター強度(以下、簡便化のために蛍光強度という。)の変化をもたらす。本発明においてはこの変化量を測定するか、又はモニタリングすることで本発明の特定塩基の測定が出来る。具体的には、核酸特異的蛍光色素の蛍光強度の減少、又は蛍光色素の蛍光強度の増加を測定する。
少なくとも2種の蛍光標識ヌクレオチドを核酸重合体に取り込ませた場合、取り込まれた蛍光標識ヌクレオチドに標識された蛍光色素(A、B)間の距離が著しく接近し、溶液中に分散した状態では発生しなかった蛍光色素間の相互作用が発生する。そして、核酸重合系の蛍光強度の変化をもたらす。この蛍光強度の変化を測定するか、又はその変化を時間の関数としてモニタリングすることで本発明の特定塩基の測定が出来る。
蛍光色素標識ヌクレオチドモノマーが、重合核酸に取り込まれた場合、当該標識ヌクレオチドモノマーの蛍光色素が、近傍に存在する、非標識ヌクレオチドモノマーのグアニン塩基との相互作用が発生する。この場合、標識シトシンヌクレオチドモノマーを使用するのが好適である。当該標識ヌクレオチドモノマーが取り込まれた重合体核酸自身、又は自身の鎖と二重鎖を形成する核酸(鋳型核酸若しくは新しく重合合成された核酸)の鎖中に、標識ヌクレオチドの塩基から1乃至3塩基離れて(当該対応塩基を1と数える。)、非標識グアニンヌクレオチドモノマーが存在すればよい。
この場合、蛍光色素の蛍光強度の減少量を測定することにより、本発明の特定塩基を測定することになる。
上記2)の組み合わせにおいて、一方がクエンチャー物質の場合である。そしてクエンチャー物質はドナー色素の役割を、蛍光色素はアクセプターの役割を演じることになる。蛍光色素の蛍光強度の変化量(増加量)を測定して、本発明の特定核酸を測定することになる。
本方法で利用できるクエンチャー物質(別名として"蛍光消光物質"ともいう。)は、例えば、Dabcyl、QSY7(モルキュラー・プローブ社製)、QSY33(モルキュラー・プローブ社製)又はその誘導体、methyl viologen、N,N'-dimethyl-2,9-diazopyrenium等、好適にはDabcyl等を例示できる。
この場合は、核酸中の特定塩基を測定するというより、標的核酸の特定部位の塩基の測定(判断、認識、検出)する方法である。例示すると、核酸の特定部位のシトシンがメチル化されているかどうかなどを簡便に検出するのに利用出来る。この場合の標識核酸プライマーの標識部位は、3'末端若しくはその近傍が好適である。
標識物質間の相互関係は、上記1)、2)又は4)の何れかでよい。核酸重合系に蛍光強度の変化があれば、プライマーの3'末端近傍に取り込まれた標識ヌクレオチドモノマーの塩基と水素結合できる塩基が鋳型核酸に存在することになる。
本発明も上記5)と同じように、標的核酸の特定部位の塩基の判断、認識、検出する方法である。
蛍光色素と特定部位のグアニン又はシトシン間の相互関係は、上記3)と同じである。核酸重合系に蛍光強度の変化があれば、プライマーの3'末端に新たに合成された重合核酸であって、3'末端近傍にグアニン又は/及びシトシンが存在することになる。即ち、標的核酸にシトシン又は/及びシトシンが存在することになる。
本実施例において使用した、鋳型、プライマー、標識プライマー、は委託合成(つくばオリゴサービス(http://www.tos-bio.com)により入手した。
本実施例においては、標識ヌクレオチドモノマー、及び非標識ヌクレオチドモノマーのことを各々蛍光標識モノヌクレオチド、及び非標識モノヌクレオチドという。
又、本実施例では、蛍光キャラクター変化のことを、単に蛍光強度変化という。
配列番号1〜5に記載の合成オリゴヌクレオチドを鋳型とし、配列番号6をプライマーにして、プライマー伸長反応を行った。その際、dGTPをTexas Red(最大吸収波長/最大蛍光波長=593nm/612nm、Perkin Elmer、米国)で標識した、蛍光標識モノヌクレオチドを用いた。FRETの蛍光エネルギーのドナーとして、核酸結合色素であるYOYO-1(Molecular probes、米国)を用いた。又、DNAポリメラーゼは、修飾モノヌクレオチドの取り込み効率が高い、Vent (exo-) DNA Polymerase(New England Biolabs、米国)を用いた。以下の反応溶液を最終容量25μlになるよう調製し、94℃で15秒、60℃で15秒を1サイクルとし、15サイクル反応させた。
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・2μM dATP
・2μM dCTP
・2μM dTTP
・1μM dGTP
・1μM Texas Red-5-dGTP
・1×YOYO−1
・200nM プライマー6
・40nM 合成一本鎖鋳型DNA 1−5
・0.25U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
反応終了後に、鋳型中のシトシンの数と蛍光強度変化量をそれぞれX、Y軸にとりプロットした(図14)。鋳型1〜5の配列中に含まれるシトシンの数は、それぞれ0、1、3、6、11である。Texas Redの蛍光強度増加量は鋳型中のシトシンの数と相対的な関係があった。このように、核酸結合色素と蛍光標識モノヌクレオチド間のFRETを利用し、その蛍光強度変化量から、鋳型中のシトシンの数を定量可能なことが示された。
実施例1で使用した反応溶液中のTexas Red標識−dGTPを、ビオチン標識−dGTPに置き換えた実験系にてプライマー伸長反応を行った。反応終了後、ストレプトアビジン−Texas Red(Perkin Elmer米国)を添加し、室温で20分インキュベートした。その後、蛍光プレートリーダー(SpectraMax Genemi XS、モレキュラーデバイス、米国)で、励起波長495nmにおける、Texas Redの最大蛍光波長である612nmの蛍光強度値を測定した。鋳型中のシトシンの数と得られた蛍光強度値をそれぞれX、Y軸にとりプロットした(図15)。その結果、実施例1の結果と同様に、鋳型中のシトシンの数が増えるに従いTexas Redに相当する612nmの蛍光強度値が高い値を示した。このように、反応終了後の蛍光強度値から、鋳型中のシトシンの数を定量することが可能であることが明らかになった。
配列番号1〜5に記載の合成オリゴヌクレオチドを鋳型とし、配列番号6をプライマーに、プライマー伸長反応を行った。その際、チミンをTexas Redで標識した、蛍光標識ヌクレオチドを用いた。以下の反応溶液を最終容量25μlになるよう調製し、94℃で15秒、65℃で15秒を1サイクルとし、15サイクル反応させた。
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・2μM dATP
・2μM dCTP
・2μM dGTP
・1μM dTTP
・1μM Texas Red-5-dTTP
・1×YOYO−1
・200nM プライマー6
・40nM 合成一本鎖鋳型DNA 1−5
・0.25U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
それぞれの鋳型における、Ch4蛍光強度変化を図16に示す。すべての鋳型添加系でTexas Red-dTTP由来と考えられる蛍光強度が増加した。ここで、実施例1で得られた蛍光強度変化量を補正するため、実施例1で得られたCh4の蛍光強度変化量を、Texas Red-dTTPで得られた値で割った。得られた蛍光強度比と鋳型中のシトシンの数をプロットした(図17)。その結果、計算値と鋳型中のシトシンの数は相対的な関係を示した。鋳型間で同数含まれている塩基(ヌクレオチド)を利用して補正することで、より正確なシトシンの含量が測定できることが示された。
配列番号7〜10に記載の合成オリゴヌクレオチドを鋳型とし、配列番号6をプライマーに、プライマー伸長反応を行った。その際、dCTPをFluorescein Chlorotriazinyl(最大吸収波長/最大蛍光波長=492nm/514nm、Perkin Elmer米国)で標識した、蛍光標識モノヌクレオチドを用いた。以下の反応溶液を最終容量20μlになるよう調製し、94℃で15秒、60℃で15秒を1サイクルとし、15サイクル反応させた。
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・2μM dATP
・2μM Fluorescein Chlorotriazinyl-4-dCTP
・2μM dTTP
・2μM dGTP
・200nM プライマー 6
・40nM 合成一本鎖鋳型DNA 7−10
・0.25U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
反応終了後に、鋳型中のグアニンの数と蛍光強度変化量をそれぞれX、Y軸にとり、プロットした(図18)。F1の蛍光強度変化量は鋳型中のグアニンの数と相応的な関係にあった。このように、蛍光強度変化量から、鋳型中のグアニンの数を定量可能なことが示された。
配列番号11〜14に記載の合成オリゴヌクレオチドを鋳型とし、配列番号6に示したプライマーを用いて伸長反応を行った。以下の反応溶液を最終容量20μlになるよう調製し、95℃で15秒熱変性させた後、94℃で20秒、60℃で20秒を1サイクルとして50サイクルサーマルサイクリングを行った。
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・50μM dNTPs
・200nM プライマー6
・0.2nM 合成一本鎖鋳型DNA 11−14
・0.25U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・200nM プライマー15
・5μM dATP
・2μM dTTP
・2μM dGTP
・2μM Texas Red標識−dCTP
・1×YOYO−1
・0.25U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
ユニバーサルメチル化DNA、ユニバーサル非メチル化DNA(Chemicon International、米国)を、コントロールDNAとして、用いて本手法を検証した。
購入したゲノムDNAを10μg宛、CpGenomeTM kit(Chemicon International社、米国)を用いてウラシル化(亜硫酸水素ナトリウム変換)した。続いて付属の使用説明書に準じ精製した。このように処理した修飾DNAに、下記の最終濃度となるよう試薬を添加し全量100μLに調製した。95℃で30秒熱変性後94℃で30秒、65℃で60秒を1サイクルとし、80サイクル反応させた。
・20μM dATP
・20μM dGTP
・20μM dTTP
・20μM dCTP
・1.0μM プライマー 16(5'ビオチン化)
・1.0U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・20μM dATP
・20μM Fluorescein Chlorotriazinyl-4-dCTP
・20μM dTTP
・20μM dGTP
・1.0μM プライマー 17
・1.0U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GSTP1)のプロモーター領域のメチル化レベルは、前立腺がんの指標となることが知られている。そこで、前立腺癌組織試料から抽出したDNAとメチル化コントロールDNAを用いて、癌組織試料のメチル化度について測定した。
癌組織試料から標準的なプロトコール(プロテイナーゼK、フェノール、クロロホルム)でDNAを抽出した。抽出したDNA、市販のユニバーサルメチル化DNA、ユニバーサル非メチル化DNA各々10μgを亜硫酸水素ナトリウム変換した。精製後、修飾DNAに下記の最終濃度となるよう試薬を添加し全量100μLに調製した。95℃で15秒熱変性、94℃で20秒、65℃で60秒を1サイクルとして80サイクル反応させた。
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・20μM dATP
・20μM dGTP
・20μM dTTP
・20μM dCTP
・1.0μM プライマー 16
・1.0U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・10μM dATP
・5μM Texas Red-dGTP
・5μM dGTP
・10μM dTTP
・10μM dCTP
・1.0μM プライマー 17
・1.0U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
・1×YOYO-1
5'-atgtgtgtgtgtgtgtgtgtgtgtgagtgtgtgtgtgtgtgtgtgtacggtctacactgtcgag-3'
配列番号2
5'-atgtgtgtgtgtgtgtgtgtgtgtgagtgcgtgtgtgtgtgtgtgtacggtctacactgtcgag-3'
配列番号3
5'-atgtgtgtgtgtgcgtgtgtgtgtgagtgcgtgtgtgtgtgtgtgcacggtctacactgtcgag-3'
配列番号4
5'-atgtgcgtgtgtgcgtgtgtgcgtgagtgcgtgtgtgcgtgtgtgcacggtctacactgtcgag-3'
配列番号5
5'-atgcgtgcgtgcgtgcgtgcgtgcgagcgtgcgtgcgtgcgtgcgtacggtctacactgtcgag-3'
5'-ctcgacagtgtagaccg-3'
配列番号7
5'-gtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatcccggtctacactgtcgag-3'
配列番号8
5'-cacctccgcctccacctccgcctccacctccgcctccacctccgcctccacctccgcctccacctccgcctccacctccgcctccacctccgcctccccggtctacactgtcgag-3'
配列番号9
5'-ccctcccccgccccctcccccaccccctcccccgccccctcccccaccccctcccccgccccctcccccaccccctcccccgccccctcccccacccccggtctacactgtcgag-3'
配列番号10
5'-ccctcccccaccccctcccccaccccctcccccaccccctcccccaccccctcccccaccccctcccccaccccctcccccaccccctcccccacccccggtctacactgtcgag-3'
5'-tcagctgagtccatgtaaggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggcggtctacactgtcgag-3'
配列番号12
5'-tcagctgagtccatgtaaggggggggggggcggggggggggggggcggggggggggggggcggggggggggggggcggggggggggggggcggtctacactgtcgag-3'
配列番号13
5'-tcagctgagtccatgtaaggggcggggggggcggggggggcggggggggcggggggggcggggggggcggggggggcggggggggcggggcggtctacactgtcgag-3'
配列番号14
5'-tcagctgagtccatgtaacggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggtctacactgtcgag-3'
配列番号15
5'-tcagctgagtccatgtaa-3'
5'-tccctaccaaacacatactcctacct-3'
配列番号17
5'-tgttgtttgtttattttttaggttt-3'
Claims (15)
- 次の手順を含むことを特徴とする核酸中の特定塩基の測定方法。
1)下記の核酸重合系Iで核酸重合反応を一回若しくは複数回行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(以下、測定系Iという。)、得られた測定値に基づいて、核酸中の特定塩基を測定する。
核酸重合系I:以下の成分を含む:(A)鋳型としての標的核酸、(B)(a)蛍光色素、(b)クエンチャー物質、及び(c)蛍光色素若しくはクエンチャー物質を含有する免疫関連物質、からなる群から選ばれた少なくとも一種の物質で標識された、少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマー、(C)一種若しくは一対のプライマー、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。 - 核酸中の特定塩基がメチル化シトシンであり、請求項1に記載の1)の代わりに、以下の手順1)及び2)に代えたものである請求項1に記載の核酸中の特定塩基の測定方法。
1)鋳型としての標的核酸中の非メチル化シトシンをウラシル化処理する。
2)以下の核酸重合系IIで核酸重合反応を一回若しくは複数回行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(以下、測定系IIという。)、得られた測定値に基づいて、核酸中のメチル化シトシンを測定する。
核酸重合系II:以下の成分を含む:(A)鋳型としてのウラシル化核酸、(B)少なくとも一種の標識グアニンヌクレオチドモノマー若しくは標識シトシンヌクレオチドモノマー、又はそれらの双方、(C)フォーワードプライマー(forward primer)及びリバースプライマー(reverse primer)のどちらか一方若しくは双方、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。 - 下記の核酸重合系IIaで核酸重合反応を一回若しくは複数回行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(以下、測定系IIaという。)、測定系IIと測定系IIaの測定値の差若しくはその比、又は双方に基づいて、メチル化シトシン及び非メチル化シトシンを測定するか、又はメチル化シトシンと非メチル化シトシンの比を求めるか、又はそれらの双方を求めるものである請求項2に記載の核酸中の特定塩基の測定方法。
核酸重合系IIa:核酸重合系IIにおいて、(A)鋳型核酸としてウラシル化核酸の代わりにウラシル化処理されていない標的核酸若しくは塩基配列は同じであるが、メチル化されていないシトシン若しくは全シトシンがメチル化されたものを有する標的核酸、又はそれらの双方を使用する以外は核酸重合系IIと同じ成分を含む。 - 次の手順を含むことを特徴とする核酸中の特定塩基の測定方法。
1)次の核酸重合系IIIで核酸重合反応を一回若しくは複数回行う。
核酸重合系III:以下の成分を含む:(A)鋳型として標的核酸、(B)少なくとも一種の非標識ヌクレオチドモノマー、(C)フォーワードプライマー(forward primer)及びリバースプライマー(reverse primer)うちのどちらか一方、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。
2)鋳型核酸としての標的核酸、又は、プライマーと非標識ヌクレオチドモノマーの核酸重合系外への除去。
3)次の核酸重合系IVで核酸重合反応を一回若しくは複数回行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(以下、測定系IVという。)、得られた測定値に基づいて、核酸中の特定塩基を測定する。
核酸重合系IV:前記の3)の操作を受けた核酸重合系に以下の成分を加える:(B)一種の標識ヌクレオチドモノマー、(C)フォーワードプライマー(forward primer)及びリバースプライマー(reverse primer)うちの核酸重合系IIIで使用しない方。 - プライマーとしてビオチン化プライマーを用いて、鋳型核酸としての標的核酸の核酸重合を行うものである請求項1又は4に記載の核酸中の特定塩基を測定する方法。
- 請求項5に記載の核酸重合反応が、請求項4に記載の手順1)のものである請求項5に記載の核酸中の特定塩基を測定する方法。
- 鋳型核酸としての標的核酸の核酸重合系外への除去が、重合合成された核酸をアビジンコートビーズに結合させた後、重合合成された核酸と非標識ヌクレオチドモノマー及び鋳型核酸としての標的核酸を分別する手順を含むものである請求項6に記載の核酸中の特定塩基を測定する方法。
- プライマー並びに標識及び非標識ヌクレオチドモノマーの核酸重合系外の除去が、分子篩フィルターで処理するものである請求項4に記載の核酸中の特定塩基を測定する方法。
- 特定塩基がメチル化シトシン若しくはシトシン、又はそれらの双方であり、核酸重合反応を行う手順の前に、鋳型としての核酸に含まれる非メチル化シトシンをウラシル化処理する手順を付け加える請求項4に記載の核酸中の特定塩基を測定する方法。
- 請求項4に記載の核酸重合系III及びIVを、各々下記の核酸重合系IIIa及びIVaに代えること以外は請求項4と同様にして、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定して得た測定値の双方若しくは各々の単独のものと請求項4に記載の測定値の差若しくはその比、又はそれらの双方に基づいて、特定塩基を測定する請求項6に記載の核酸中の特定塩基の測定方法。
核酸重合系IIIa:核酸重合系IIIにおいて、(A)鋳型核酸としてウラシル化核酸の代わりにウラシル化処理されていない標的核酸、又は塩基配列は同じであるが、メチル化されていないシトシン若しくは全シトシンがメチル化されたものを有する標的核酸を使用する以外は核酸重合系IIIと同じ成分を含む。
核酸重合系IVa:核酸重合系IVにおいて、(A)鋳型核酸としてウラシル化核酸の代わりにウラシル化処理されていない標的核酸、又は塩基配列は同じであるが、メチル化されていないシトシン若しくは全シトシンがメチル化されたものを有する標的核酸を使用する以外は核酸重合系IVと同じ成分を含む。 - 核酸重合系が、更に(B')非標識ヌクレオチドモノマーを含む請求項1又は4に記載の標的核酸中の特定塩基の測定方法。
- 核酸重合系が、更に(E)核酸に結合することで、蛍光を発する物質(以下、核酸特異的蛍光色素という。)を含む請求項1又は4に記載の標的核酸中の特定塩基の測定方法。
- 蛍光色素若しくはクエンチャー物質を含有する免疫関連物質からなる群から選ばれた少なくとも一種の物質で標識された、少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマーがハプテン類の一種で標識されたものであり、蛍光キャラクターの変化は、蛍光色素を有し、且つ当該ハプテンに親和性結合をする基を有する物質が当該ハプテンが親和性結合することに基づくものである請求項1又は4に記載の核酸中の特定塩基の測定方法。
- 固体表面上に固定化された1種以上の核酸プライマーに鋳型核酸をハイブリダイズさせて、核酸重合反応を行う請求項1又は4に記載の核酸中の特定塩基の測定方法。
- 請求項1又は4に記載の核酸中の特定塩基の測定方法において、一種の塩基からなる標識ヌクレオチドモノマーを使用して得たデータ(蛍光キャラクターの変化量の測定値)(T1)と、別種の塩基からなる標識ヌクレオチドモノマーを使用して得たデータ(蛍光キャラクターの変化量の測定値)(T2)との比(T1/T2)を求めることを特徴とする特定塩基の測定方法におけるデータ処理方法。
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