JP2006320267A - 核酸中の特定塩基を測定する方法 - Google Patents

核酸中の特定塩基を測定する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 標的核酸中の特定塩基(例えば、メチル化シトシン)の数を、簡便、短時間且つ容易に測定する方法を提供すること。
【解決手段】 次の手順を含むことを特徴とする核酸中の特定塩基の測定方法である。
核酸重合系Iで核酸重合反応を一回若しくは複数回行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し、測定値に基づいて、核酸中の特定塩基を測定する。
核酸重合系I:以下の成分を含む:(A)鋳型としての標的核酸、(B)(a)蛍光色素、(b)クエンチャー物質、及び(c)蛍光色素若しくはクエンチャー物質を含有する免疫関連物質、からなる群から選ばれた少なくとも一種の物質で標識された、少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマー、(C)一種若しくは一対のプライマー、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。
【選択図】なし

Description

本発明は、標識ヌクレオチドモノマーを用いて核酸中の特定塩基を測定する方法、特に、特定塩基が、メチル化シトシン、シトシン、又はメチル化シトシンと非メチル化シトシンの比である新概念の測定方法である。又、メチル化核酸を測定する方法でもある。
現在、核酸中のメチル化シトシンを測定する方法は、遺伝子発現の研究に多用されているが、数百塩基対の核酸中の任意の特定塩基を簡便且つ短時間に測定する一般的方法は知られていない。又、核酸中のメチル化シトシンを測定する方法は、未だ、簡便化されたものではない。
即ち、現在、ある長さ、例えば50〜1000塩基対程度の核酸中の領域に存在する特定塩基の数を調べるには、その領域のシークエンス(sequence)をすることが必要である。
同様に、ある領域に存在するCpGアイランドの、メチル化されたシトシンの数を調べる場合も、核酸をウラシル化処理後、配列を決定する必要がある。しかし、シークエンスには、精製及び分離等の操作が必須である。これらの操作は煩雑であり、結果を出すまでには、長時間(例えば、少なくとも3日以上の日数)を必要とする。
現在、メチル化シトシンを測定する代表的方法として以下の三つを挙げることが出来る。
(1)メチル化感受性制限酵素を用いて標的核酸を切断する方法(非特許文献1)
ゲノムDNAをメチル化感受性制限酵素で消化した後、核酸増幅反応を行う。消化された核酸、すなわちメチル化されていない核酸は増幅しないが、消化されなかった核酸は増幅するため、電気泳動にてバンドの有無で判別する。しかしながら、この方法は、メチル化感受性制限酵素を用いるために解析できる塩基配列に制限がある。制限酵素処理で切断残りがあると擬陽性となる。単に、増幅の有無を検出するものである。操作は電気泳動分離が必要である。それで定量性及び操作性に問題があった。
当該方法において、測定可能な核酸は、3乃至30塩基対のものである。
(2)メチル化特異的PCR(MSP:methylation specific PCR)(非特許文献2)
ゲノムDNAを重亜硫酸で処理する。当該処理で、メチル化シトシンはシトシンのまま、非メチル化シトシンはすべてウラシルに変換される。プライマー配列中に数個のメチル化部位が入るように設計したプライマーを用いてPCRを行う。PCR産物は電気泳動にかけ、バンドの有無でメチル化シトシンを検出する。当該方法は、塩基配列の制限はないが、メチル化特異的プライマーの設計が難しい。又、当該方法は電気泳動による分離を必要とする。
当該方法においても、測定可能な核酸は、3乃至30塩基対のものに限定される。
(3)Bisulfite genomic sequencing方法(非特許文献3)
ゲノムDNAを重亜硫酸処理した後、シークエンスする。当該方法では、数百塩基の長さの核酸を測定できるが、操作が複雑になる。サブクローニング及び電気泳動分離等の操作が必要で、簡便でない。
Singer-Sam, J. (1990) Mol. Cell. Biol. 10, 4987-4989 JAMESG. Herman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 9821-9826, 1996 Grunau, C. et al., Nucleic Acids Res., 29, 65, 2001
従って、本発明の目的は、前記の状況に鑑み、数百塩基対を有する核酸中の特定塩基、特に核酸中のメチル化シトシン若しくは非メチル化シトシン、又はそれらの双方を同一操作にて、短時間、簡便、且つ優れた感度で、特異的に正確に測定できる(定量性のある)新規方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を鋭意実験した結果、標的核酸を鋳型として、標識ヌクレオチドモノマーを含む核酸重合系で、核酸重合反応を行い、当該反応の前後で核酸重合系の核酸重合系の蛍光キャラクターの変化若しくは変化量を測定することにより、特定塩基を簡便且つ短時間に測定できることを知見した。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。
即ち、本発明は、主に、発明1、発明2、発明3、及び発明4を提供する。又、それらの関連発明を提供する。
発明1は、次の手順を含むことを特徴とする核酸中の特定塩基の測定方法である。
1)下記の核酸重合系Iで核酸重合反応を一回若しくは複数回行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定(以下、測定系Iという。)し、得られた測定値に基づいて、核酸中の特定塩基を測定する。
核酸重合系I:以下の成分を含む:(A)鋳型としての標的核酸、(B)(a)蛍光色素、(b)クエンチャー物質、及び(c)蛍光色素若しくはクエンチャー物質を含有する免疫関連物質、からなる群から選ばれた少なくとも一種の物質で標識された、少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマー、(C)一種若しくは一対のプライマー、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。
発明2〜4は、発明1を改良若しくは発展させたものであり、後記文中又は発明5〜10として後記した関連発明は、発明1〜4を好適に実施するためのものである。
本発明は、電気泳動、制限酵素分解、及び塩基配列決定(sequencing)等の少なくもいずれか一つの操作(従来の技術では必要とした)を必要としない方法で、数百塩基対からなる核酸中の特定塩基、例えば、メチル化シトシン及びシトシン等を測定することが可能になった。それで、数百塩基対からなる核酸中の特定塩基、特にメチル化シトシン及びシトシン等を、短時間、簡便、且つ優れた感度で、特異的に正確に測定することが可能になり、その結果として、発ガン機作の解明、制癌剤の開発を促進するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明を詳細に説明する前に、特許請求の範囲を含む本明細書全体にわたって使用する用語の定義をする。本発明に用いている用語は、特別な定義がない場合、生物学、分子生物学、遺伝学若しくは遺伝子工学、微生物学若しくは微生物工学等で一般的に出願時に使用されている用語と同じ意味である。
標識若しくは非標識ヌクレオチドモノマーとは、少なくとも1種の核酸合成酵素により核酸重合体に取り込まれ得るヌクレオチドのことをいう。好適にはオリゴヌクレオチドの核酸の構成成分のモノヌクレオチドであるが、本発明においては、モノヌクレオチドの他に、2〜30量体のオリゴヌクレオチドを含む。好適な例としては、ヌクレオチドモノリン酸体(NMP)、2リン酸体(NDP)及び3リン酸体(NTP)を挙げることができる。より好適な例としては、3リン酸体である。塩基として、核酸構成成分のもの、即ち、アデニン(A)、グアニン(G)、ウラシル(U)、シトシン(C)、チミン(T)、それらの誘導体、RNAに含まれる微量成分等を挙げることができる。糖はリボース、デオシキシリボース、ジデオシキシリボースなどである。前記のオリゴヌクレオチドは、鋳型核酸にハイブリダイズするものであるならば、エキソヌクレアーゼ活性を有さない核酸合成酵素(例えば、DNAポリメラーゼ)とリガーゼを用いることにより、核酸重合系で核酸重合体に取り込まれる。
標識ヌクレオチドモノマーとは、後記する蛍光色素、クエンチャー物質、免疫関連物質等のものからなる群から選ばれた少なくとも一種のもので標識されたヌクレオチドモノマーのことをいう。そして、蛍光色素、クエンチャー物質、又は免疫関連物質(以下、これらの物質を単に本発明の標識物質又は単に標識物質という場合がある。)で標識されたヌクレオチドモノマーを各々蛍光色素標識ヌクレオチド(この場合、蛍光標識ヌクレオチドという場合もある。)、クエンチャー標識ヌクレオチド、免疫関連物質標識ヌクレオチドという。更に蛍光標識ヌクレオチドのうち、ドナー蛍光色素、アクセプター蛍光色素で標識されたものを、各々、ドナー標識ヌクレオチド、アクセプター標識ヌクレオチドという。これらを総称して標識ヌクレオチドという。標識ヌクレオチドについては、更に、詳しく後記した。
非標識ヌクレオチドとは、前記のような標識物質で標識されないヌクレオチドモノマーのことをいう。
プライマーとは、鋳型核酸に特異的に結合し、核酸重合体の前駆体になる1種のオリゴヌクレオチドのことをいう。核酸プライマーが、蛍光色素、クエンチャー物質、免疫関連物質で標識されたものを、順に、蛍光標識プライマー、クエンチャー標識プライマー、免疫関連物質標識プライマーという。又、総称して、標識プライマーという。
鋳型核酸とは、核酸重合体の鋳型になり得るもので、特に限定されない。PCR方法等で増幅された核酸、核酸若しくは増幅核酸中のシトシン若しくはメチル化シトシン以外のシトシンを脱アミノ化してウラシルに変換して得られるウラシル化核酸、重亜硫酸で処理されたウラシル化核酸、methylaseでメチル化したメチル化核酸、又、それらをPCR方法で増幅した核酸をも意味する。メチル化核酸をPCR方法で増幅して得た核酸を、核酸特異的メチル化酵素(Sss I (CpG) Methylase, Dnmt1, Dnmt3a, Dnmt3b)で再びメチル化したメチル化核酸も意味する。核酸はDNA又はRNAである。勿論、遺伝子等を含む。又、濃度又は大きさの大小も問わない。
尚、本発明においては、特定塩基の一つであるメチル化シトシンを含有する核酸をメチル化核酸という。
核酸合成酵素とは、前記の鋳型核酸を鋳型として前記の非標識ヌクレオチド及び標識ヌクレオチド、又は、それらの単独を重合して、核酸重合体を合成する能力を有するものであればどのようなものでもよい。代表的な例として、DNAポリメラーゼ類、RNAポリメラーゼ類、逆転写酵素類(reverse transcriptase)、リガーゼ類、各種のキナーゼ類、ヌクレオチド3リン体生成系、及びそれらの遺伝子工学的に改変された改変蛋白質を有する酵素類を挙げることができる。DNAポリメラーゼ類、RNAポリメラーゼ類及び逆転写酵素類は、リガーゼ類、各種のキナーゼ類、ヌクレオチド3リン体生成系を含んでいる酵素類は、本発明においては、好適に利用され得る。本発明においては、これらのものが、単独若しくは併用で用いられる。
勿論、当該酵素は、これら酵素の活性を十分に発揮させる各種因子を含んでいても、いなくともよい。DNAポリメラーゼの場合は、エキソヌクレアーゼ活性を有していても、有さなくてもよい。精製された酵素若しくは粗酵素の状態のどちらでもよい。又、酵素の起源(微生物、動物、植物)については特に限定されない。好適には耐熱性を有するものがよい。好適な具体例として、3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を欠損させたVent(exo-)DNA Polymerase(サーモコッカス・リトラリス由来)、9°N DNA polymerase、Therminator DNA Polymerase(New England Biolabs、USA)、Tgo(exo-)DNA Polymerase、Thermo Sequenase DNA Polymerase(Armersham社製)、T7 Sequenase DNA Polymerase、ThemoSequenase II(Armersham Biosciences、USA)、AmpliTaq DNA Polymerase,FS(Applied Biosystems、USA)、Deep Vent(exo-)DNA Polymerase(New England Bioabs、USA)、Klenow Fragment等を挙げることができる。
本発明において「核酸中の特定塩基を測定する」、或いは「核酸中の特定塩基の濃度を測定する」なる用語は、核酸中の特定塩基の濃度を定量することは勿論のこと、定量的検出をすること、定性的検出をすること、核酸中の特定塩基の量比若しくは存在比を決めること、特定塩基を含有する核酸の定量(コピー数の定量等)、検出、判定(確認)若しくは存在比を決めること、本発明の核酸重合系の蛍光強度を単に測定すること等を意味するものとする。又、公知の方法(基礎生化学実験法、第4巻(核酸・遺伝子実験)、日本生化学会編、東京化学同人社)等により塩基配列を決める操作等も含めるものとする。
又、核酸の重合反応とは、単なる重合(合成、又は伸長反応)反応だけでなく、核酸の増幅反応、例えば、PCR方法、リアルタイム定量的PCR法、ICAN方法、LAMP方法、NASBA方法、TAMA方法、LCR方法、GenomiPhi法、それらの方法に伴う、ハイブリダイゼーション反応、伸長、変性等を含める。
「光学的キャラクター」なる用語は、ヌクレオチドを標識する蛍光色素、クエンチャー物質、核酸特異的蛍光色素等の各種の吸収スペクトル、若しくは蛍光発光スペクトル、及びそれらの吸収強度、偏光、蛍光発光、蛍光強度、蛍光寿命、蛍光偏光、蛍光異方性等の光学的特性等のこという(「蛍光強度」で総称する。)。又、標識ヌクレオチド等に標識されている少なくとも1つの蛍光色素等について少なくとも1種以上の測定波長で測定された測定値を総合的に評価して得た性質のこともいう。
本発明において、「蛍光強度の変化若しくは変化量から」なる用語は、本発明の核酸重合体に基づく蛍光強度の変化だけでなく、新たに合成された核酸重合体同士がハイブリダイズしたときの、又は鋳型核酸と新たに合成された核酸重合体とがハイブリダイズしたときのハイブリダイゼーション前後の蛍光キャラクターの変化若しくは変化量をも意味するものとする。これらの変化量は、例えば、ドナー蛍光色素とアクセプター蛍光色素の関係、蛍光色素と核酸を構成する塩基との関係、又は蛍光色素とクエンチャー物質との関係に基づいて発生する。
更に、鋳型核酸若しくは新たに合成された核酸重合体に入り込んだ核酸特異的蛍光色素と標識ヌクレオチドモノマーを標識している蛍光色素若しくは免疫関連物質を介する蛍光色素等の標識物質の関係で発生する、核酸特異的蛍光色素の発光キャラクターの変化量、又は標識ヌクレオチドモノマーの蛍光色素の発光キャラクターの変化量をも含めるものとする。
又、核酸重合系は、標識又は非標識ジデオキシヌクレオチドモノマーを、標識又は非標識ヌクレオチドモノマーと共に含むこともできる。この場合の核酸の重合は、当該ジデオキシヌクレオチドが反応に利用された場合は、利用された時点でストップする。1種の標的核酸が鋳型となっている場合は、それを鋳型とする鎖長の異なる核酸重合体が多数得られる。これらの核酸重合体を電気泳動方法、液体クロマト方法等で分析・解析することにより、標的核酸について重要な情報が得られる。このような分析・解析においても前記標識物質の蛍光キャラクターの変化が利用される。
本発明の標識物質(蛍光色素、クエンチャー物質、免疫関連物質)、当該物質で標識された標識ヌクレオチドモノマー及び核酸特異的蛍光色素について詳しく記載する。
本発明でいう蛍光色素(「蛍光物質」という場合もある。)とは、一般に核酸プローブを標識して、核酸の測定・検出に用いられている蛍光色素の類である。例えば、フルオレセイン(fluorescein)又はその誘導体類{例えば、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyanate)(FITC)若しくはその誘導体等}、Alexa 488、Alexa 532、cy3、cy5、6-joe、EDANS、ローダミン(rhodamine)6G(R6G)又はその誘導体{例えば、テトラメチルローダミン(teramethylrhodamine)(TMR)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(tetramethylrhodamine isothiocyanate)(TMRITC)、x−ローダミン(x-rhodamine)}、テキサスレッド(Texas red)、ボデピー(BODIPY)FL{ボデピー(BODIPY)は商標名、FLは商品名;モレキュラー・プローブ(Molecular Probes)社製、米国;以下同様}、ボデピー(BODIPY)FL/C3、ボデピー(BODIPY)FL/C6、ボデピー(BODIPY)5-FAM、ボデピー(BODIPY)TMR、又はその誘導体{例えば、ボデピー(BODIPY)TR}、ボデピー(BODIPY)R6G、ボデピー(BODIPY)564、ボデピー(BODIPY)581、ボデピー(BODIPY)493/503、Lissamine(商標名、Perkin Elmer社、USA)、等を挙げることができる。
上記の中でも、Lissamine、FITC、EDANS、6-joe、TMR、Alexa 488、Alexa 532、BODIPY FL/C3、BODIPY R6G、BODIPY FL、Alexa 532、BODIPY FL/C6、BODIPY TMR、5-FAM、BODIPY 493/503、BODIPY 564、BODIPY 581、Cy3、Cy5、Texas red、x-Rhodamine等を好適なものとして挙げることができる。
クエンチャー物質とは、前記蛍光色素に作用して、その発光を抑制若しくは消光する物質である。例えば、Dabcyl、QSY7(モルキュラー・プローブ社製)、QSY33(モルキュラー・プローブ社製)、Ferrocene又はその誘導体、methyl viologen、N,N'-dimethyl-2,9-diazopyrenium等、好適にはDabcyl等を挙げることができる。
本発明の免疫関連物質とは、免疫関連物質、即ち、抗原、抗体及び抗抗体、ハプテン関連物質からなる群から選ばれた少なくとも1種ものであり、お互いに対応関係を有するセットからなるものである。そして当該セットのどちらか一方がヌクレオチドモノマーを標識するのに用いられる。他の一方は蛍光色素又はクエンチャー物質で標識される。このようなセットのことを本発明の免疫関連物質という。
例示して説明すると、抗体には、蛍光色素又はクエンチャー物質が標識若しくは結合している前記の抗原、抗抗体が結合する。当該抗体で標識した標識ヌクレオチドモノマーを重合核酸に取り込ませる。当該取り込まれた標識ヌクレオチドモノマーの抗体に前記の蛍光色素等で標識若しくは結合させた(前記抗体に対応する)抗原又は抗抗体を反応させる。この場合の反応は親和性結合に基づいている。その結果、(後記の記載から理解されるように、)蛍光色素間、蛍光色素とクエンチャー物質間、核酸特異的蛍光色素と蛍光色素間などに相互作用が発生する。
この場合、ヌクレオチドモノマーを最初に標識するものは、抗原、抗体、抗抗体のいずれでもよい。そして、取り込まれた標識ヌクレオチドモノマーに反応する免疫関連物質を含有する物質を反応させればよい。そして当該物質に蛍光キャラクターの変化量をもたらす物質を標識しておけばよい。後記した実施例のビオチン標識ヌクレオチドモノマーと蛍光色素等で標識したストレプトアビジン等のハプテン類の関係でもよい。本発明は、免疫関連物質標識ヌクレオチドモノマーはハプテン類標識ヌクレオチドモノマーも含むものである。
免疫関連物質標識ヌクレオチドモノマーは、委託合成(パーキンエルマー社、米国(http://www.perkinelmer.com)を行って入手した方が便利である。
本発明の標識ヌクレオチドモノマーとは、上記の物質の少なくとも1種で標識されたヌクレオチドモノマーである。その標識部位は5'側の糖部位若しくはそのリン酸部位、3'側の糖部位及び/若しくはリン酸部位、並びに/又は塩基部位である。どちらの部位でもよい。そして、蛍光色素とは前記に例示されるような色素で、ドナー色素となり得る色素、アクセプター色素となり得る色素の双方を意味するものとする。又、同様に、クエンチャー標識ヌクレオチドとは前記に例示されるようなクエンチャー物質で標識されたヌクレオチドモノマーである。尚、蛍光標識ヌクレオチドモノマーとクエンチャー標識ヌクレオチドモノマーの双方を総称して、「標識ヌクレオチド」という場合がある。蛍光標識ジデオキシヌクレオチド及びクエンチャー標識ジデオキシヌクレオチドについても前記と同様である。この場合は、糖の3'位にOH基がないので、核酸重合に当該ヌクレオチドが反応に利用された場合は、利用された時点で、核酸重合反応がストップする。
標識ヌクレオチドにおいて糖の3'OH基に標識されている場合は、当該ヌクレオチドが重合反応に利用された時点で、核酸重合反応がストップする。1種の標的核酸が鋳型となっている場合は、それを鋳型とする鎖長の異なる核酸重合体が多数得られる。これらの核酸重合体を電気泳動方法、液体クロマト方法等で分析・解析することにより標的核酸について重要な情報が得られる。このような分析・解析においても標識物質の蛍光強度の変化が利用される。
ヌクレオチドモノマーに蛍光色素、クエンチャー物質を標識するには、従来公知の標識法のうちの所望のものを利用することができる。標識部位は、5'リン酸部のOH基、糖部の5'、3'、若しくは2'位のOH基、塩基のOH基、アミノ基である。アミノ基に標識する場合、キット試薬、例えば、Uni-link aminomodifier(CLONTECH社製、米国)、フルオ・リポターキット(FluoReporter Kit)F-6082、F-6083、F-6084、F-10220(いずれもモルキュラー・プローブ(Molecular Probes)社製、米国)を用いるのが便利である。そして、常法に従って当該ヌクレオチドモノマーに前記標識物質分子を結合させることができる。
OH基に標識する場合、5'Amino-Modifier C6キット(Glen Research社、米国)等を用いる。例えば、OH基に前記標識物質分子を結合させる場合は、先ず、常法に従ってOH基にスペーサーとして、例えば、−(CH2n−SHを導入する。この場合、nは3〜12である。このスペーサーにSH基反応性を有する前記標識物質又はそれらの誘導体を結合させることにより標識ヌクレオチドモノマーを合成できる。アミノ基に標識する場合も同様である。合成された各種の標識ヌクレオチドモノマーは、逆相等のクロマトグラフィー等で精製して、本発明の標識ヌクレオチドモノマーとすればよい。
尚、現在、上記の標識ヌクレオチドモノマーはパーキンエルマー社(米国)、アマシャムバイオサイエンス社(英国)等から市販されている。又、委託合成を行って入手するのが実験時間の節約になる。
本発明で用いる核酸プライマーとは、核酸重合体の前駆体、即ち、プレカーサー(precursor)と成り得るものであり、オリゴヌクレオチドからなるものである。デオキシリボース体、リボース体のどちらでもよい。そして鎖長は公知の核酸合成に利用できるものでよく、特に限定されないが、例示するならば、2〜50塩基、好適には、5〜40塩基、より好適には10〜30塩基である。鋳型核酸に特異的にハイブリダイズする塩基配列を有するものであればよい。
本発明の前記プライマーは、前記の蛍光色素、クエンチャー物質、免疫関連物質の少なくとも一種で標識されていても、いなくとも用いることができる。好ましい標識部位は5'末端のリン酸部、そのリン酸を脱リンして得られる糖の5'位のOH基若しくは塩基部又はそれらの双方、鎖中の塩基部、又は3'末端の塩基部若しくは糖部の2'位のOH基、又はそれらの双方である。糖部の3'位のOH基が標識されていないものが好ましい。勿論、3'末端の糖の3'OH基が標識されたものも用いることができる。しかし、この場合は単に核酸プローブとして利用される。
本発明の核酸プライマーのオリゴヌクレオチドは、通常の一般的オリゴヌクレオチドの製造方法で製造できる。例えば、化学合成法、プラスミドベクター、ファージベクター等を使用する微生物法等で製造できる。尚、現在、市販されている核酸合成機を使用するのが好適である。
オリゴヌクレオチドに蛍光色素、クエンチャー物質を標識するには、前記の標識ヌクレオチドモノマーの場合と同様にすればよい。当該オリゴヌクレオチドの合成、当該標識核酸プライマーの合成は、委託合成を行うのが最も簡便な方法である。
本発明において、核酸特異的蛍光色素とは、核酸に結合することで蛍光を発する物質のことである。結合する核酸種は、二本鎖核酸、一本鎖核酸などを挙げることができ、特に限定されない。核酸に結合することで蛍光を発する物質であればよい。例を挙げれば、Oligreen(登録商標、Molecular probes、USA)、エチジュウムブロミド、SYBR Green(登録商標、以下同じ)1(商品名)、Molecular probes、USA)、SYBR Green 1 Nucleic Acid Gel Stain(商品名、Molecular probes、USA)、SYBR Green 2(商品名、Molecular probes、USA)、YOYO-1(商品名、Molecular probes、USA)、YOYO(Molecular probes、USA)、TOTO(登録商標、以下同じ)(Molecular probes、USA)、YO-PRO-1(商品名、Molecular probes、USA)等である。これらの物質は市販のものがよい。
本発明は、次の4つの主発明、及びこれに関連する発明から構成される。具体的には図面をもって後記に説明した。関連発明も図面説明に続いて記した。
<発明1>
次の手順を含むことを特徴とする標的核酸中の特定塩基の測定方法である。
1)下記の核酸重合系Iで核酸重合反応を一回若しくは複数回(例えば、2〜2000回、好ましくは2〜200回、より好ましくは2〜100回)行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(測定系I)、得られた測定値に基づいて、核酸中の特定塩基を測定する。
核酸重合系I:以下の成分を含む:(A)鋳型としての標的核酸、(B)(a)蛍光色素、(b)クエンチャー物質、及び(c)蛍光色素若しくはクエンチャー物質を含有する免疫関連物質、からなる群から選ばれた少なくとも一種の物質で標識された、少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマー、(C)プライマー、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。
<発明2>
核酸中の特定塩基がメチル化シトシンであり、発明1に記載の手順1)の代わりに、以下の手順1及び2に代えたものである発明1に記載の核酸中の特定塩基の測定方法である。
1)鋳型としての核酸に含まれる非メチル化シトシンをウラシル化処理する。
2)以下の核酸重合系IIで核酸重合反応を一回若しくは複数回(例えば、2〜2000回、好ましくは2〜200回、より好ましくは2〜100回)行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(測定系II)、得られた測定値に基づいて核酸中のメチル化シトシンを測定する。
核酸重合系II:以下の成分を含む:(A)鋳型としてのウラシル化核酸、(B)少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマーとして標識グアニンヌクレオチドモノマー、(C)フォーワードプライマー(forward primer)及びリバースプライマー(reverse primer)のどちらか一方、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。
<発明3>
発明2において、プライマーとしてフォーワード及びリバースの一対のプライマー、及び少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマーとして標識シトシン又はグアニンヌクレオチドモノマーを使用し、核酸重合反応をPCR方法で行う方法である。核酸中のメチル化シトシンを測定する方法である。本発明においては、標識シトシン又はグアニンヌクレオチドモノマーが特異的に取り込まれる。
尚、発明1、2及び3において、以下の手順を含む発明が好適に実施され得る。
下記の核酸重合系IIaで核酸重合反応を一回若しくは複数回(例えば、2〜2000回、好ましくは2〜200回、より好ましくは2〜50回)行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(測定系IIa)、測定系IIと測定系IIaの測定値の差及びその比又はそれらの単独ものに基づいて、特定塩基を測定する。特定塩基がメチル化シトシン及びシトシン又はそれらの単独のものの場合は、メチル化シトシン及び非メチル化シトシンを測定するか、若しくはメチル化シトシンと非メチル化シトシンの比を求めるか、又はそれらの双方を求める。
核酸重合系IIa:核酸重合系IIにおいて、(A)鋳型核酸としてウラシル化核酸の代わりにウラシル化処理されていない標的核酸、又は塩基配列は同じであるが、メチル化されていないシトシン若しくは全シトシンがメチル化されたものを有する標的核酸を使用する以外は核酸重合系IIと同じ成分を含む。
<発明4>
次の手順を含むことを特徴とする核酸中の特定塩基の測定方法。
1)次の核酸重合系IIIで核酸重合反応を一回若しくは複数回(例えば、2〜2000回、好ましくは2〜200回、より好ましくは2〜100回)行う。
核酸重合系III:以下の成分を含む:(A)鋳型として標的核酸、(B)少なくとも一種の非標識ヌクレオチドモノマー、(C)フォーワードプライマー(forward primer)及びリバースプライマー(reverse primer)うちのどちらか一方、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。
2)未反応のプライマー、非標識ヌクレオチドモノマーの核酸重合系外への除去。
3)次の核酸重合系IVで核酸重合反応を一回若しくは複数(例えば、2〜2000回、好ましくは2〜200回、2〜100回)回行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(測定系IV)、得られた測定値に基づいて核酸中の特定塩基を測定する。
核酸重合系IV:前記の3)の操作を受けた核酸重合系に以下の成分を加える:(B)一種の標識ヌクレオチドモノマー、(C)フォーワードプライマー(forward primer)及びリバースプライマー(reverse primer)うちの核酸重合系IIIで使用しない方。
この発明において、特定塩基がメチル化シトシン及びシトシン、又はそれらのどちらか一方である場合は、上記1)の手順の前に、前記発明2の手順1)(鋳型としての核酸に含まれる非メチル化シトシンをウラシル化処理する。)を付け加える。それで、核酸重合系IIIの鋳型としての核酸はウラシル化核酸になる。
発明4においては、得られる測定値について、次の操作を加えるとより正確な測定値(データ)となる。
前記の核酸重合系III及びIVを、各々下記の核酸重合系IIIa及びIVaに代えること以外は前記と同様にして、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定して得た測定値の双方若しくは各々の単独のものと前記発明4に記載の測定値の差及びそれらの比、又はそれらのどちらか一方に基づいて、特定塩基の量比を求める。特定塩基がメチル化シトシン及びシトシン又はそれらのどちらか一方である場合、メチル化シトシン、非メチル化シトシン及び
メチル化シトシンと非メチル化シトシンの比、又はそれらのどちらか一方を求めることが出来る。
核酸重合系IIIa:核酸重合系IIIにおいて、(A)鋳型核酸としてウラシル化核酸に替えてウラシル化処理されていない標的核酸、又は塩基配列は同じであるが、メチル化されていないシトシン若しくは全シトシンがメチル化されているものを有する標的核酸を使用する以外は核酸重合系IIIと同じ成分を含む。
核酸重合系IVa:核酸重合系IVにおいて、(A)鋳型核酸としてウラシル化核酸に替えてウラシル化処理されていない標的核酸、又は塩基配列は同じであるが、メチル化されていないシトシン若しくは全シトシンがメチル化されているものを有する標的核酸を使用する以外は核酸重合系IVと同じ成分を含む。
上記発明4において、プライマー及び標識及び非標識ヌクレオチドモノマーの核酸重合系外への除去は、分子篩フィルター処理で達成される。すなわち、プライマー程度の分子量以下の分子をろ過できるフィルター(例えば、Microcon YM-10 10,000MW(ミリポア社、米国))で核酸重合系を濾過する。当該フィルターは遠心分離機に掛けることが出来るものが好適である。鋳型核酸としての標的核酸において、プライマーがハイブリダイズする部位の塩基配列にC若しくはG、又はC及びGが存在する場合に好適に利用される。存在しない場合は、後記するビオチン化プライマーを利用する方法が、又は標的核酸の5'末端に特定の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを結合させ、当該オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするプライマーを用いる方法が好適に利用され得る。
上記の核酸重合系において、更に、少なくとも一種の非標識ヌクレオチドモノマーを含んでいてもよい。又、更に(E)核酸特異的蛍光色素を含んでいてもよい。プライマーは、オリゴヌクレオチドからなり、本発明の標識物質で標識されていてもよく、されていなくともよい。
標的核酸については前記した通りである。
本発明の"少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマー"とは、前記した本発明の標識物質の少なくとも一種で標識された一種の標識ヌクレオチドモノマーである。本発明においては、少なくとも一種を用いる。一種でも構わないが、各種の標識ヌクレオチドモノマーを組み合わせて用いることが出来る。更に、核酸特異的蛍光色素と組み合わせて用いるとより効果的である。標識ヌクレオチドモノマーの使用の仕方は、公知の方法が好適に採用できる(国際公開第03/102179号パンフレット)が、具体的には後記に例示した。尚、標識又は非標識ヌクレオチドモノマーが、標識及び非標識ジデオキシヌクレオチドモノマー、又は、どちらか一方であってもよい。標識及び非標識ヌクレオチドモノマーが、3リン酸体であるのが好適であることは前記した通りである。
核酸合成酵素については、前記した通りである。
ウラシル化核酸の作成方法は、メチル化シトシン以外のシトシンを脱アミノ化して、ウラシルに変換できる方法であれば、どのようなものでもよい。従来公知の方法を採用することが出来る。好適には、重亜硫酸を用いる方法がよい。当該方法の具体的な条件は公知の方法(非特許文献3参照)で行えばよい。例えば、55℃で4〜18時間、又は95℃で1時間等の条件である。
メチル化核酸(全シトシンがメチル化されたものを含む。)、非メチル化核酸ともに、市販されている(CHEMICON INTERNATIONAL、USA)ので、メチル化核酸の対照としてウラシル化核酸の使用は容易である。
プライマーは、従来公知のもの(国際公開第03/102179号パンフレット、国際公開第02/08414号パンフレット参照)を便利に用いることができる。
5'末端部の一つの部位からメチル化シトシン部位の一塩基手前まで、鋳型核酸に相補的であってもよい。又、プライマーの3'末端、又は3'末端から2番目の塩基がメチル化部位の塩基(シトシン(C)又はウラシル(U))に相補的であってもよい。
又、本発明においては、プライマーの5'末端にビオチンを結合させたビオチン化プライマーを好適に用いることが出来る。当該プライマーを用いて核酸重合を行って得た重合核酸は、全て5'末端にビオチンが結合している。それで、核酸重合系にアビジンコートビーズを存在させておくと、当該ビーズに重合合成された核酸は当該ビーズに結合する。このことにより、重合合成された核酸と、元の鋳型核酸としての標的核酸、未反応の標識若しくは非標識ヌクレオチドモノマー、又はそれら双方のヌクレオチドモノマーとは分離(除去)可能な状態になる。それで、適等な条件、例えば、鋳型核酸と重合合成された核酸とが解離するような条件、又は適等な方法、例えば当該ビーズを適当な緩衝液(例えば、実施例に示した)等で洗浄することにより分離することが出来る。かくして、目的の重合合成された核酸を得る。
尚、本発明においては、当該ビオチン化プライマーを用いる方法とフィルター処理方法とを適当に組み合わせる方法も好適に用いることができる。例えば、次のような組み合わせである。
(1)先ず、フィルター処理により未反応のビオチン化プライマーと未反応の標識若しくは非標識ヌクレオチドモノマーを核酸重合系外へ除く。
(2)次に、核酸重合系の上記ビーズを添加し、重合合成された核酸を当該ビーズに結合させる。そして、元の鋳型核酸としての標的核酸と重合合成された核酸とを分離する。
発明1〜3においては、かくして得た当該核酸(標識ヌクレオチドモノマーを含む。)を含む系で、本発明の蛍光キャラクターの変化を起こさせる反応(後記した)を行うことにより、目的の核酸中の特定塩基を測定できる。この方法においては、測定系のバックグランドを小さくする効果を有する。
発明4においては、前記したように、当該核酸について、発明4の手順3)を行うことが出来る。
尚、発明4において、このような操作を行うのが好適な場合は、プライマーの塩基配列にシトシン(C)及びグアニン(G)、又はC若しくはGを含まない場合である。含む場合は、このような操作を行わなくとも、発明4を好適に実施出来る場合がある。ただ、前記したフィルターろ過処理だけで、未反応の非標識ヌクレオチドモノマー及びプライマーを除去出来る。
よって、ビオチン化プライマーとアビジンコートビーズを含有する、核酸中の特定塩基を測定するためのキットも本発明の一つである。
ビオチン化プライマーは、委託合成により入手する(例えば、つくばオリゴサース等)のが便利である。アビジンコートビーズは市販のものを入手すればよい。
又、特定の塩基配列のプライマーに設計することも出来る(以下、特定配列のプライマーという。)本発明においては、例えば、二本鎖の鋳型核酸を標的核酸とする場合、一方側に注目する。5'末端を有する鋳型核酸の5'末端側に当該特定配列のプライマーと同じ塩基配列か、又は当該同じ塩基配列を含むオリゴヌクレオチドを結合させる。しかし、当該塩基配列は、3'末端を有する鋳型核酸又はウラシル化核酸の3'末端側の塩基配列にはハイブリダイズしないものとする。当該オリゴヌクレオチドを結合した鋳型核酸が本発明の核酸合成系で複製された場合、その3'末端側に当該特定配列のプライマーが結合できるようになる。本発明の場合、例えば、CやGを含まない配列(例えば、ttttt・・・・・tt、又、aaaa・・・・・a、又、これら塩基の任意の配合のなる塩基配列等)を設計するのがより好適である。結合方法は、特別に限定されないが、リガーゼを用いる公知の方法等が利用できる。このようにすることにより、元の標的核酸に関係しない(相応しない)プライマーを設計出来る。
上記オリゴヌクレオチドにおいて、塩基数が、プライマーと同じか、又はそれより1〜50塩基、好適には1〜30塩基、より好適には1〜10塩基多いものが好適に使用され得る。また、プライマーより1〜10塩基、好適には1〜5塩基少ないものも好適に使用され得る。
発明4を以下のように実施する。
(1)標的核酸の5'末端側にプライマー同一のオリゴヌクレオチドを結合させておく。
(2)標的核酸に相応するプライマーを用いて、発明4の手順1)の核酸重合反応を行う。
(3)未反応プライマー及び非標識ヌクレオチドモノマーをフィルターろ過処理により核酸重合系外へ除去する。
(4)上記(2)において重合合成された核酸は、3'末端側は特定配列のオリゴヌクレオチドに相応する塩基配列になっている。当該塩基配列に相応する特定配列のプライマーを用いて、手順3)の核酸重合反応を行う。
このようにすることにより、上記(2)において重合合成された核酸を、特異的に鋳型として核酸重合反応を行うことが出来る。
上記のような適用は、発明4に限定されずに、発明1〜3にも好適に適用できる。
上記の特定配列のオリゴヌクレオチド又はプライマー同一のオリゴヌクレオチドの合成、及びそれを標的核酸に結合させる合成、又、特定配列のプライマーの合成は、前記したように委託合成を行うのが便利である。
本発明において、一対(forward primer及びreverse primer)で、核酸重合反応を行ってもよく、当該一対の片方のどちらかだけで行ってもよい。
片方だけで行った場合、一本鎖の鋳型核酸から、一サイクルの重合反応で新たな重合核酸一本鎖の一本が生じる。nサイクルの重合反応から一本鎖の新たな重合核酸n本が生じる。そして、各々の核酸鎖に目的の標識ヌクレオチドモノマーが取り込まれる。この方は好適である。
一対のプライマーを用いた場合も同様である。
核酸重合方法は、標的核酸を鋳型として、新たな核酸を重合できるものであればよく、特に限定されない。好適には、プライマーを用いる方法である。PCR方法も好適に用いることができる。
核酸重合系は上記に記載した成分の他に、適当な緩衝液、微量成分を含んでいてもよい。緩衝液としては、トリス緩衝液、グット(good)などを例示できるが、これに限定されるものではない。微量成分は、Mgイオン、Kイオン等を例示出来る。その他に、DTT、竈−メルカプトエタノール、EDTA、BSA、などを含んでいてもよい。これらの成分は、従来公知の濃度で使用出来る。核酸合成酵素等の試薬キットに添付されているものをそのまま使用するのが好適である。
反応条件は公知の核酸重合反応条件で行ってよい。具体的には実施例に示した。
本発明における核酸重合系の主な成分の濃度については、従来公知の核酸重合反応のもの(例えば、国際公開第03/102179号パンフレット、国際公開第02/08414号パンフレット、非特許文献1〜3参照)、又は、試薬キットに添付されているものを使用すればよい。
核酸重合反応の条件を例示するならば、温度10℃〜核酸変性温度未満、具体的には、核酸合成酵素の種類に依存する。例えば、DNAポリメラーゼを使用する場合は、温度10℃〜核酸変性温度未満、好適には、30〜95℃、より好適には30〜80℃である。RNAポリメラーゼを使用する場合は、30〜60℃、逆転写酵素を使う場合は、30〜70℃である。反応時間は核酸重合系の蛍光強度を時間の関数として、モニタリングした場合、反応が定常期に達する任意の時期(定常期を含む。)までである。例えば、1秒〜10時間、好適には10秒〜2時間、より好適には10秒〜1時間である。
核酸重合系の主な成分の濃度を例示すると、
鋳型核酸:1〜1020コピー、好ましくは10〜1015コピー;標識ヌクレオチドモノマー:(3リン酸体として)1pM〜1mM、好適には1nM〜200μM;非標識ヌクレオチドモノマー:dNTPとして1pM〜1mM、好適には1nM〜200μM;プライマー:1nM〜100μM、好適には10nM〜1μM;核酸合成酵素:0.001〜50単位、好適には0.01〜10単位;塩濃度:0〜2モル濃度、好ましくは0.1〜1.0モル濃度;緩衝液:0.1〜200mM、好適には5〜50mM;pH:6〜10、好ましくは6.5〜9.5である。
尚、前記記載の核酸中の特定塩基の測定方法において、一種の塩基からなる標識ヌクレオチドモノマーを使用して得たデータ(蛍光キャラクターの変化量の測定値)(T1)と、別種の塩基からなる標識ヌクレオチドモノマーを使用して得たデータ(蛍光キャラクターの変化量の測定値)(T2)との比(T1/T2)(補正値)を求めることにより正確なデータが得られる。
この場合、標識ヌクレオチドモノマーの塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミンのどちらでもよく特に限定されないが、好適にはシトシンかチミンである。より好適にはチミンである。標識物質は、前記の方法と同じでもよく、異なってもよい。
この補正値と標的核酸中の特定塩基の数とをグラフにプロットすると、補正値と標的核酸中の特定塩基の数とはより相対的な関係を示す。
この補正方法は、測定値を得るための重合反応と補正値を得るための重合反応とはパラレルに行ってもよく、又、測定値を得るための標識ヌクレオチドモノマーと補正値を得るための標識ヌクレオチドモノマーとを同一の重合反応系で重合反応させてもよい。ただし、後者の場合は、標識ヌクレオチドモノマーの標識物質は互いに異なるものにし、互いにドナー蛍光色素とアクセプター蛍光色素との関係、蛍光発光色素とクエンチャーとの関係にあるものでも使用出来るが、その関係にないものを使用するのが好適である。前者の場合、標識物質は同じでも異なっていてもよい。ただ、塩基が異なっておればよい。
上記の核酸重合系において、更に、少なくとも一種の非標識ヌクレオチドモノマーを含んでいてもよい。又、更に(E)核酸特異的蛍光色素を含んでいてもよい。プライマーは、オリゴヌクレオチドからなり、本発明の標識物質で標識されていてもよく、されていなくともよい。
標的核酸については前記した通りである。
本発明の"少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマー"とは、前記した本発明の標識物質の少なくとも一種で標識された一種の標識ヌクレオチドモノマーである。本発明においては、少なくとも一種を用いる。一種でも構わないが、各種の標識ヌクレオチドモノマーを組み合わせて用いることが出来る。更に、核酸特異的蛍光色素と組み合わせて用いるとより効果的である。標識ヌクレオチドモノマーの使用の仕方は、公知の方法が好適に採用できる(国際公開第02/08414号パンフレット及び国際公開第03/102179号パンフレットを参照)が、具体的には後記に例示した。尚、標識又は非標識ヌクレオチドモノマーが、標識又は非標識ジデオキシヌクレオチドモノマーであってもよい。標識及び非標識ヌクレオチドモノマーが、3燐酸体であるのが好適であることは前記した通りである。
核酸合成酵素については、前記した通りである。
プライマーは、従来公知のもの(国際公開第02/08414号パンフレット及び国際公開第03/102179号パンフレットを参照)をも便利に用いることができる。
5'末端部の一つの部位からメチル化シトシン部位の一塩基手前まで、鋳型核酸に相補的であってもよい。又、プライマーの3'末端、又は3'末端から2番目の塩基がメチル化部位の塩基(C又はU)に相補的であってもよい。
本発明において、一対(forward primer及びreverse primer)で行ってもよく、当該一対の片方のどちらかだけで行ってもよい。
本発明の核酸重合反応過程で、反応産物である核酸重合体に標識ヌクレオチドモノマーが取り込まれたり若しくは核酸特異的蛍光色素が結合したり、又はそれらが同時に起こったりするので、核酸重合系の蛍光キャラクターが変化する。本発明においてはその変化若しくは変化量を測定する。
上記の蛍光キャラクターの変化は、次の現象からなる群の少なくとも1種の現象によって引き起こされるものと推定されている。そして複雑にかみ合っているものである。
(1)核酸特異的蛍光色素と蛍光色素間の相互作用(FRET(fluorescence resonance energy transfer)現象)。
(2)蛍光色素間の相互作用(FRET現象)。
(3)クエンチャー物質と蛍光色素間の相互作用(蛍光消光現象)。
(4)グアニン塩基と蛍光色素間の相互作用(蛍光消光現象)。
尚、本発明でいう相互作用とは、一方の励起エネルギーが他方へ移動する反応である。又、"蛍光消光現象"を単に"蛍光消光"と略称する場合がある。
以下、蛍光強度の変化若しくは変化量を測定する好ましい実際的方法は、リアルタイムで核酸重合系の蛍光強度を測定し、測定値を求める方法である。この場合、少なくとも1種の入射光若しくは励起光を出し、且つ少なくとも1種のホトマル等の受光面をもつ、即ち、マルチチャンネルを有する市販装置を使用するのが望ましい。例えば、スマートサイクラー(タカラバイオ株式会社)、ABI PRISMTM 7700Sequence Detection System(SDS 7700)(PE Applied Biosystems)、LightCyclerTM System(Roche Diagnostics, Mannheim Germany)等を使用すればよい。又、反応前、反応終了後の蛍光強度を測定する場合は、マイクロプレートリーダーが好適に使用できる。例えば、Spectra Max Genimi XS(Molecular devices、米国)等である。
実際の測定値を求める場合は、以下の少なくとも何れか1つを実施する。
(1)核酸重合反応の前後の核酸重合系の測定。
(2)核酸合成を行なわせない系(例えば、鋳型核酸又は核酸合成酵素を添加しない系)を対照としての核酸重合系の測定。
(3)核酸重合反応を中止したい時期(例えば、反応が平衡に達した時期)の核酸重合系の蛍光強度を先ず測定し、次いで、核酸重合系の核酸変性処理(例えば、90〜99℃での処理)後、測定する。
必要に応じて、前記反応物を電気泳動、HPLCで分析するのが好適である。
又、必要に応じて、ブランク反応を行うのが好適である。
以下、図面を以って、本発明1〜4を一つの例示に基づいて説明した。又、併せて、関連発明5〜10をも説明した。
1.発明1
本発明1は請求項1に該当する発明で、図1及び2に具体的に図示されている。
図1は、forward primer、標識dGTPを用いて、鋳型としての標的核酸中の特定塩基(シトシン)を測定した例を示している。
図2は、発明1における特定塩基(シトシン)の数と測定された蛍光キャラクター変化量(以下、蛍光変化量という。)の相関を説明する図である。
核酸重合系は、鋳型核酸A、鋳型核酸Aにハイブリダイズする一種のプライマー、標識グアニンヌクレオチドモノマー、非標識アデニン、シトシン、及びチミンヌクレオチドモノマー、核酸特異的蛍光色素、並びに核酸合成酵素を含んでいる。
1)核酸重合系の蛍光キャラクターを先ず測定する。
2)ハイブリダゼーション温度を与えると、プライマーと鋳型核酸はハイブリダイズする。次に核酸合成温度を与えると核酸重合反応がプライマーの3'末端から鋳型核酸の5'末端側に進む。反応が当該5'末端に到達すると反応は終了する。そして標識グアニンヌクレオチドモノマーが、鋳型核酸中のシトシン塩基数に応じて取り込まれる。すなわち、取り込まれる標識グアニンヌクレオチドモノマーの数は、鋳型核酸中のシトシン塩基数に等しい。ここで、核酸重合系を核酸変性温度にすると、二重鎖を形成していた鋳型核酸と合成された一本鎖の核酸は、お互いに離れる。これが一サイクルである。
この重合反応をnサイクル繰り返すと、n本の一本鎖の核酸(同じ核酸)が合成される。
3)この時点で、再び核酸重合系の蛍光キャラクターを測定する。
4)1)と3)の測定値の差(蛍光キャラクターの変化量)は、鋳型核酸A中のシトシンの数に比例する。当該変化量は、合成された一本鎖の核酸に結合した核酸特異的蛍光色素と取り込まれた標識グアニンヌクレオチドモノマーの標識物質とのFRET作用に基づくものである。
5)そこで、核酸中に含まれるメチル化シトシンの数が異なる鋳型核酸(一例として鋳型核酸Bを示す。)について、上記1)〜4)までの操作を行い、メチル化シトシン数と測定値を、一つのグラフにプロットすると図2のようになる。
上記の知見から、上記の操作を行うことにより核酸中の特定塩基の数を測定できる。
即ち、標識グアニンヌクレオチドモノマーの代わりに、標識シトシン、アデニン、チミンヌクレオチドモノマーを使用すると、各々の標識ヌクレオチドモノマーからグアニン、チミン、及びアデニンを測定できることになる。
2.発明2
図3は、発明2を具体例を以って説明する図で、二本鎖のメチル化核酸をbisulfate処理した後、標識dGTP及びforward primer又はreverse primerを用いて、当該処理核酸を鋳型として核酸重合反応を行った一つの例の手順を示している。
図4は、図3の実験の対照として、非メチル化核酸を鋳型として核酸重合反応を行った一つの例の手順を示している。
図5は、発明2におけるメチル化シトシンの数と測定された蛍光変化量の相関を説明する図である。この場合の蛍光変化量は、メチル化核酸の測定値から非メチル化核酸の測定値を差し引いたものとして表現している。
図1の例では、鋳型核酸としてメチル化核酸又はウラシル化核酸を使用すると、各々の核酸中の全シトシン数、又はメチル化シトシンを測定できる。それで、メチル化シトシンと非メチル化シトシンの比も測定することが出来る。メチル化シトシンを含まない核酸から得られるウラシル化核酸にはシトシンを含まないので、メチル化核酸の測定(判定)も出来る。
この発明は、請求項2に記載の一形態の発明で、プライマーとして、フォーワード及びリバースのプライマーのどちらか一方を使用する発明である。
発明2においては、対照として、鋳型核酸としてウラシル化核酸の代わりにウラシル化処理されていない標的核酸、又は塩基配列は同じであるが、メチル化されていないシトシン若しくは全てのシトシンがメチル化されたものを有する標的核酸を使用する以外は前記の核酸重合系と同じ成分を含む、核酸重合系で核酸重合反応を一回若しくは複数回行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し、実験系の測定値と対照系の測定値の差及びそれらの比、又はそれらのどちらか一方に基づいて、メチル化シトシン及び非メチル化シトシンを測定するか、及びメチル化シトシンと非メチル化シトシンの比、又はそれらのどちらか一方を求めることが、正確な測定値がえられるので、好適である。
発明1及び2においては、好適に使用され得る核酸特異的蛍光色素は一本鎖の核酸に結合して、より蛍光強度の強い発光するものがよい。例えば、実施例に記載されているものを例示できる。
発明1及び2においては、蛍光キャラクターの変化量は、核酸特異的蛍光色素と標識ヌクレオチドモノマーの標識物質との相互作用に基づいているが、本発明においては、この例示に限定さない。後記の例示を使用することが出来る。
3.発明3
図6、7及び8は発明3を説明する図である。
図6は、二本鎖のメチル化核酸をbisulfate処理した後、標識dCTP若しくは標識dGTP並びにforward primer及びreverse primerを用いて、当該処理核酸を鋳型として核酸重合反応(PCR)を行った例の手順を示している。但し、記号:(子)はウラシル化核酸を鋳型として重合合成された核酸であり、記号:(孫)は(子)を鋳型として重合合成された核酸である。
図7は、図6の実験の対照として、非メチル化核酸を鋳型核酸として核酸重合反応を行った例の手順を示している。記号:(子)及び(孫)は図6のものと同様な意味を有する。
図8は、発明3におけるメチル化シトシンの数と測定された蛍光変化量の相関を説明する図である。
発明3は、請求項2に記載の一形態の発明であり、発明2において、プライマーとしてフォーワード及びリバースの一対のプライマー及び標識シトシン又はグアニンヌクレオチドモノマーを使用し、核酸重合反応をPCR方法で行い、核酸中のメチル化シトシンを測定する方法である。本発明においては、標識シトシン又はグアニンヌクレオチドモノマーが特異的に取り込まれる。
対照実験は発明2と同様である。
4.発明4
図9、10及び11は発明4を説明している。
図9は、二本鎖のメチル化核酸をbisulfate処理した後、先ず、非標識dNTPs(アデニン、グアニン、シトシン及びチミンヌクレオチドモノマーの3リン酸体の混合物を表している。)並びにreverse primerを用いて、当該処理核酸を鋳型として核酸重合反応を行い鋳型核酸を増幅し、次に核酸重合系に残存する未反応のプライマー及びdNTPs(場合により元の鋳型核酸を含む。これらの分離については前記に詳しく説明した。)を分離(除去)操作を施した後、標識dCTP並びにforward primerを用いて、増幅鋳型核酸を鋳型として更に増幅した例の手順を示している。尚、図において、記号:NNN3'はプライマー1を鋳型として重合合成された核酸を示している。
図10は、図9の実験の対照として、非メチル化核酸を用いて図9と同様な核酸重合反応を行った例の手順を示している。尚、図において、記号:NNN3'は図9のものと同様な意味を有する。
図11は、発明4におけるメチル化シトシンの数と測定された蛍光変化量の相関を説明する図である。この場合の蛍光変化量は、メチル化核酸の測定値から非メチル化核酸の測定値を差し引いたものとして表現している。
尚、上記で説明した図9及び10中の記号:NNN3'のNは、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、及びウラシルの任意の一つであり、同じものでも互いに異なっていてもよい。
本発明の核酸中の特定塩基の測定方法は、上記の例示に限定されるものではなく、種々の変法が可能である。その変法が発明4であり、請求項4に対応する。一つの例示として図9、10及び11に示す。図は、特定塩基としてのメチル化シトシンの測定する方法を示しているが、本発明はメチル化シトシンに限定されるものではない。
図面では、次の手順からなっている。
1)先ず、発明1の手順操作を行う。但し、この場合、標識グアニンヌクレオチドモノマーの代わりに、非標識ヌクレオチドモノマーを用いる。又、プライマーはフォーワードプライマーを用いた図になっている(しかし、本発明はこの例に限定されない。)。重合反応はnサイクルとする。鋳型核酸の二重鎖の3'→5'鎖が鋳型となり、n本の重合核酸が生まれる。
2)重合反応液について、未反応のプライマー、非標識ヌクレオチドモノマー類の除去を行う。除去の仕方は、前記したとおりである。
3)前記2)の処理液に、発明1の標識グアニンヌクレオチドモノマーの代わりに(図に従うと)標識シトシンヌクレオチドモノマー、リバースプライマーを添加する。
4)核酸重合反応前に核酸重合系の蛍光キャラクターを測定する。
5)前記1)と同様にして核酸重合反応をn回行う。この場合、鋳型核酸はn本の重合核酸と一本の元の二重鎖の5'→3'鎖である。それで、新しく合成され、標識シトシンヌクレオチドモノマーが取り込まれた核酸はn×n本になる。
6)核酸重合系の蛍光キャラクターを測定する。
7)4)と6)の測定値の差(蛍光キャラクターの変化量)を測定する。
8)発明1と同様にメチル化シトシン数と測定値を、一つのグラフにプロットすると図11のようになる。
尚、発明4は、2)及び3)の手順を挟んで、1)の手順と4)〜6)の手順を逆にしてもよい。但し、7)及び8)は最後に行う。
発明4においては、図から分かるように、元の核酸中のシトシンの数と一本鎖の核酸に取り込まれた標識シトシンヌクレオチドモノマーの数と一致する。それで、測定感度は発明1に比較してn倍になっている。鋳型核酸の初期のコピー数が少ない場合に好適な方法である。
又、1)で合成された重合核酸と5)で合成された重合核酸は二本鎖を形成することが出来る。そのことが、蛍光キャラクターの変化量を求める場合の標識物質、標識ヌクレオチドモノマー、及び核酸特異的蛍光色素についての組み合わせの範囲を広げる作用をする。後記を参照。
この方法は、メチル化シトシンの測定に限定されることなく、発明1と同様にすることにより核酸中の特定塩基を測定する一般的方法である。
この方法で、メチル化シトシン等を測定する場合は、発明2及び3と同様な対照実験を行うことが好適である。
5.発明5
蛍光色素標識核酸プライマーを用いて、当該プライマーの3'末端に続いて新たに核酸を重合合成させる発明である。その際、合成された重合核酸の、当該プライマーの3'末端近傍が、次のような構造になるように、当該プライマーが設計されている方法である。
1)非標識グアニンヌクレオチドモノマー又は非標識シトシンヌクレオチドモノマーがくる。プライマーの標識物質がシトシン又はグアニンと相互作用して、標識物質の蛍光キャラクターの変化量をもたらす構造になっている。
2)標識ヌクレオチドモノマーがくる。この場合、プライマーの標識物質と標識ヌクレオチドモノマーの標識物質と組み合わせが、相互作用して蛍光キャラクターの変化をもたらす構造になっている。
本発明は、標的核酸の特定部位の塩基、特に、メチル化シトシンを、短時間且つ簡便に測定(判断、認識、検出)する方法である。
6.発明6
標識ヌクレオチドモノマーとして蛍光色素で標識した標識ジデオキシヌクレオチドモノマーを用いる前記発明1〜4の発明である。この発明は、短時間且つ簡単にメチル化核酸を測定できる。核酸重合を行っている核酸重合系の蛍光キャラクターの変化をモニタリングして、変化が飽和した時点で、核酸重合系の蛍光キャラクターの強度を測定する方法である。反応開始前若しくは開始時の蛍光キャラクターの強度の測定値、又は対応する非メチル化核酸若しくは非ウラシル化核酸のものと比較することにより、メチル化核酸を短時間に測定出来る。即ち、核酸重合反応時間が短い。
7.発明7
固体表面上に固定化された1種以上の核酸プライマーから鋳型核酸の重合を行うことを特徴とする前述の本発明1〜6の何れかに記載の方法である。
8.発明8
前記核酸重合系I、Ia、II、IIa、III、IIIa、IV、及びIVaのうちの、少なくとも一つの核酸重合系の成分を含んでなることを特徴とする核酸中の特定塩基の測定キットである。
9.発明9
前記1〜7の発明の測定方法において、calibration curveを使用する手順を含む測定方法である。
10.発明10
ビオチン化プライマーとアビジンコートビーズを含んでなることを特徴とする核酸中の特定塩基の測定キットである。
核酸重合系の蛍光キャラクターの変化をもたらす、標識ヌクレオチドモノマーの標識物質等の組み合わせ、及びそれらの物質と核酸特異的蛍光色素の組み合わせは従来公知である(国際公開第03/102179号パンフレット)。本発明においては公知の組み合わせを好適に採用することが出来る。
以下、簡単に記す。
1)核酸特異的蛍光色素と蛍光色素間の相互作用
核酸特異的蛍光色素は、核酸重合体、2重鎖の核酸重合体、核酸重合体・鋳型核酸複合体、核酸プライマー・鋳型核酸複合体に結合する。
核酸特異的蛍光色素の存在下で、蛍光色素標識ヌクレオチドモノマーを核酸重合体に取り込ませる反応を行う過程で、核酸特異的蛍光色素が合成された核酸重合体に結合し、取り込まれた蛍光標識ヌクレオチドの蛍光色素との距離が著しく接近する。そして核酸重合体に取り込まれた蛍光標識ヌクレオチドを標識している蛍光色素と核酸特異的蛍光色素間の相互作用が発生する。そして、蛍光キャラクター強度(以下、簡便化のために蛍光強度という。)の変化をもたらす。本発明においてはこの変化量を測定するか、又はモニタリングすることで本発明の特定塩基の測定が出来る。具体的には、核酸特異的蛍光色素の蛍光強度の減少、又は蛍光色素の蛍光強度の増加を測定する。
この場合の前記の蛍光色素としては、前記の蛍光色素がすべて利用できるが、好ましいものはLissamine、FITC、EDANS、6-joe、TMR、Alexa 488、Alexa 532、BODIPY FL/C3、BODIPY R6G、BODIPY FL、Alexa 532、BODIPY FL/C6、BODIPY TMR、5-FAM、BODIPY 493/503、BODIPY 564、BODIPY 581、Cy3、Cy5、Texas red、x-Rhodamine等を例示できる。
又、核酸特異的蛍光色素の前記したものがすべて利用できるが、好ましいものは、Sybr green 1、Sybr green 1 Nucleic Acid Gel Staining、及びYO-PRO-1である。蛍光色素との好ましい組み合わせは、Syber green I又はYO-PRO-1とTexas red、Lissamine、6-joe、TMR、Alexa 532、BODIPY R6G、Alexa 532、BODIPY TMR、BODIPY 564、BODIPY 581、Cy3、Cy5、x-Rhodamine等を例示できる。
2)蛍光色素間の相互作用
少なくとも2種の蛍光標識ヌクレオチドを核酸重合体に取り込ませた場合、取り込まれた蛍光標識ヌクレオチドに標識された蛍光色素(A、B)間の距離が著しく接近し、溶液中に分散した状態では発生しなかった蛍光色素間の相互作用が発生する。そして、核酸重合系の蛍光強度の変化をもたらす。この蛍光強度の変化を測定するか、又はその変化を時間の関数としてモニタリングすることで本発明の特定塩基の測定が出来る。
この場合、相互作用し合う蛍光色素のうち、一方は、FRET現象の励起エネルギーを与える色素でドナー色素という。そして他方はエネルギーを受けて蛍光発光する色素でアクセプター色素という。
例えば、好適なドナー色素として、FITC、BODIPY FL、BODIPY FL系の前記色素、BODIPY 493/503、5-FAM、BODIPY 5-FAM、Tetramethylrhodamine、6-TAMRA等を、より好適なものとして、FITC、BODIPY FL、BODIPY 493/503、BODIPY 5-FAM、Tetramethylrhodamine、6-TAMRA等を挙げることができる。
好適なアクセプター色素は、対を形成するドナー色素の種類に依存する。例示するならば、Lissamine、BODIPY FL、BODIPY FL系の前記色素、BODIPY 493/503、5-FAM、BODIPY 5-FAM、Tetramethylrhodamine、6-TAMRA等をドナー色素とするならば、Texas Red、Cy5、Cy5.5、rhodamine X、BODIPY 581/591等をアクセプター色素とすることができる。本方法は、ドナー色素の蛍光強度を測定する場合は蛍光強度の減少、アクセプター色素の蛍光強度を測定する場合は蛍光強度の増加を測定することになる。
3)蛍光色素標識ヌクレオチドモノマーの蛍光色素とグアニン塩基との相互作用
蛍光色素標識ヌクレオチドモノマーが、重合核酸に取り込まれた場合、当該標識ヌクレオチドモノマーの蛍光色素が、近傍に存在する、非標識ヌクレオチドモノマーのグアニン塩基との相互作用が発生する。この場合、標識シトシンヌクレオチドモノマーを使用するのが好適である。当該標識ヌクレオチドモノマーが取り込まれた重合体核酸自身、又は自身の鎖と二重鎖を形成する核酸(鋳型核酸若しくは新しく重合合成された核酸)の鎖中に、標識ヌクレオチドの塩基から1乃至3塩基離れて(当該対応塩基を1と数える。)、非標識グアニンヌクレオチドモノマーが存在すればよい。
この場合、蛍光色素の蛍光強度の減少量を測定することにより、本発明の特定塩基を測定することになる。
この場合の標識される蛍光色素としては、前記の蛍光色素がすべて利用できるのであるが、好ましいものは、FITC、EDANS、6-joe、TMR、Alexa 488、Alexa 532、BODIPY FL/C3、BODIPY R6G、BODIPY FL、Alexa532、BODIPY FL/C6、BODIPY TMR、5-FAM、BODIPY 493/503、BODIPY 564、BODIPY 581、R6G、TAMRA、x-Rhodamine等である。
4)蛍光色素とクエンチャー物質間の相互作用
上記2)の組み合わせにおいて、一方がクエンチャー物質の場合である。そしてクエンチャー物質はドナー色素の役割を、蛍光色素はアクセプターの役割を演じることになる。蛍光色素の蛍光強度の変化量(増加量)を測定して、本発明の特定核酸を測定することになる。
本方法で利用できるクエンチャー物質(別名として"蛍光消光物質"ともいう。)は、例えば、Dabcyl、QSY7(モルキュラー・プローブ社製)、QSY33(モルキュラー・プローブ社製)又はその誘導体、methyl viologen、N,N'-dimethyl-2,9-diazopyrenium等、好適にはDabcyl等を例示できる。
5)標識核酸プライマーの標識物質と取り込まれた標識ヌクレオチドモノマーの標識物質との相互作用
この場合は、核酸中の特定塩基を測定するというより、標的核酸の特定部位の塩基の測定(判断、認識、検出)する方法である。例示すると、核酸の特定部位のシトシンがメチル化されているかどうかなどを簡便に検出するのに利用出来る。この場合の標識核酸プライマーの標識部位は、3'末端若しくはその近傍が好適である。
標識物質間の相互関係は、上記1)、2)又は4)の何れかでよい。核酸重合系に蛍光強度の変化があれば、プライマーの3'末端近傍に取り込まれた標識ヌクレオチドモノマーの塩基と水素結合できる塩基が鋳型核酸に存在することになる。
6)蛍光色素標識核酸プライマーの蛍光色素とプライマーの3'末端に新たに合成された重合核酸の、3'末端近傍に存在する非標識グアニン又は/及びシトシンの相互作用
本発明も上記5)と同じように、標的核酸の特定部位の塩基の判断、認識、検出する方法である。
蛍光色素と特定部位のグアニン又はシトシン間の相互関係は、上記3)と同じである。核酸重合系に蛍光強度の変化があれば、プライマーの3'末端に新たに合成された重合核酸であって、3'末端近傍にグアニン又は/及びシトシンが存在することになる。即ち、標的核酸にシトシン又は/及びシトシンが存在することになる。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例において使用した、鋳型、プライマー、標識プライマー、は委託合成(つくばオリゴサービス(http://www.tos-bio.com)により入手した。
本実施例においては、標識ヌクレオチドモノマー、及び非標識ヌクレオチドモノマーのことを各々蛍光標識モノヌクレオチド、及び非標識モノヌクレオチドという。
又、本実施例では、蛍光キャラクター変化のことを、単に蛍光強度変化という。
実施例1
配列番号1〜5に記載の合成オリゴヌクレオチドを鋳型とし、配列番号6をプライマーにして、プライマー伸長反応を行った。その際、dGTPをTexas Red(最大吸収波長/最大蛍光波長=593nm/612nm、Perkin Elmer、米国)で標識した、蛍光標識モノヌクレオチドを用いた。FRETの蛍光エネルギーのドナーとして、核酸結合色素であるYOYO-1(Molecular probes、米国)を用いた。又、DNAポリメラーゼは、修飾モノヌクレオチドの取り込み効率が高い、Vent (exo-) DNA Polymerase(New England Biolabs、米国)を用いた。以下の反応溶液を最終容量25μlになるよう調製し、94℃で15秒、60℃で15秒を1サイクルとし、15サイクル反応させた。
(反応溶液)
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・2μM dATP
・2μM dCTP
・2μM dTTP
・1μM dGTP
・1μM Texas Red-5-dGTP
・1×YOYO−1
・200nM プライマー6
・40nM 合成一本鎖鋳型DNA 1−5
・0.25U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
蛍光の検出にはスマートサイクラー(タカラバイオ株式会社、日本)を用いた。その際、FRETを検出するフィルターセットを用いた。すなわち、450−495nmで励起し、該システムにあるCh1(505−537nm)をYOYO-1の検出に、Ch4(605−800nm)をTexas Redの検出に用いた。
それぞれの鋳型における、Ch1蛍光強度変化を図12に、Ch4蛍光強度変化を図13に示す。鋳型1及び鋳型非添加のブランクでは蛍光強度は変化せず、鋳型中のシトシンの数が増えるに従い、Ch4のTexas Redに対応する蛍光強度が増大した。
反応終了後に、鋳型中のシトシンの数と蛍光強度変化量をそれぞれX、Y軸にとりプロットした(図14)。鋳型1〜5の配列中に含まれるシトシンの数は、それぞれ0、1、3、6、11である。Texas Redの蛍光強度増加量は鋳型中のシトシンの数と相対的な関係があった。このように、核酸結合色素と蛍光標識モノヌクレオチド間のFRETを利用し、その蛍光強度変化量から、鋳型中のシトシンの数を定量可能なことが示された。
実施例2
実施例1で使用した反応溶液中のTexas Red標識−dGTPを、ビオチン標識−dGTPに置き換えた実験系にてプライマー伸長反応を行った。反応終了後、ストレプトアビジン−Texas Red(Perkin Elmer米国)を添加し、室温で20分インキュベートした。その後、蛍光プレートリーダー(SpectraMax Genemi XS、モレキュラーデバイス、米国)で、励起波長495nmにおける、Texas Redの最大蛍光波長である612nmの蛍光強度値を測定した。鋳型中のシトシンの数と得られた蛍光強度値をそれぞれX、Y軸にとりプロットした(図15)。その結果、実施例1の結果と同様に、鋳型中のシトシンの数が増えるに従いTexas Redに相当する612nmの蛍光強度値が高い値を示した。このように、反応終了後の蛍光強度値から、鋳型中のシトシンの数を定量することが可能であることが明らかになった。
実施例3
配列番号1〜5に記載の合成オリゴヌクレオチドを鋳型とし、配列番号6をプライマーに、プライマー伸長反応を行った。その際、チミンをTexas Redで標識した、蛍光標識ヌクレオチドを用いた。以下の反応溶液を最終容量25μlになるよう調製し、94℃で15秒、65℃で15秒を1サイクルとし、15サイクル反応させた。
(反応溶液)
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・2μM dATP
・2μM dCTP
・2μM dGTP
・1μM dTTP
・1μM Texas Red-5-dTTP
・1×YOYO−1
・200nM プライマー6
・40nM 合成一本鎖鋳型DNA 1−5
・0.25U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
蛍光の検出にはスマートサイクラーを用いた。
それぞれの鋳型における、Ch4蛍光強度変化を図16に示す。すべての鋳型添加系でTexas Red-dTTP由来と考えられる蛍光強度が増加した。ここで、実施例1で得られた蛍光強度変化量を補正するため、実施例1で得られたCh4の蛍光強度変化量を、Texas Red-dTTPで得られた値で割った。得られた蛍光強度比と鋳型中のシトシンの数をプロットした(図17)。その結果、計算値と鋳型中のシトシンの数は相対的な関係を示した。鋳型間で同数含まれている塩基(ヌクレオチド)を利用して補正することで、より正確なシトシンの含量が測定できることが示された。
実施例4
配列番号7〜10に記載の合成オリゴヌクレオチドを鋳型とし、配列番号6をプライマーに、プライマー伸長反応を行った。その際、dCTPをFluorescein Chlorotriazinyl(最大吸収波長/最大蛍光波長=492nm/514nm、Perkin Elmer米国)で標識した、蛍光標識モノヌクレオチドを用いた。以下の反応溶液を最終容量20μlになるよう調製し、94℃で15秒、60℃で15秒を1サイクルとし、15サイクル反応させた。
(反応溶液)
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・2μM dATP
・2μM Fluorescein Chlorotriazinyl-4-dCTP
・2μM dTTP
・2μM dGTP
・200nM プライマー 6
・40nM 合成一本鎖鋳型DNA 7−10
・0.25U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
蛍光の検出にはライトサイクラーシステムを用いた。その際、該システムにあるF1を蛍光検出に用いた。又、励起強度は75%に固定した。
反応終了後に、鋳型中のグアニンの数と蛍光強度変化量をそれぞれX、Y軸にとり、プロットした(図18)。F1の蛍光強度変化量は鋳型中のグアニンの数と相応的な関係にあった。このように、蛍光強度変化量から、鋳型中のグアニンの数を定量可能なことが示された。
実施例5
配列番号11〜14に記載の合成オリゴヌクレオチドを鋳型とし、配列番号6に示したプライマーを用いて伸長反応を行った。以下の反応溶液を最終容量20μlになるよう調製し、95℃で15秒熱変性させた後、94℃で20秒、60℃で20秒を1サイクルとして50サイクルサーマルサイクリングを行った。
(反応溶液)
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・50μM dNTPs
・200nM プライマー6
・0.2nM 合成一本鎖鋳型DNA 11−14
・0.25U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
反応終了後、反応溶液中の未反応のdNTPsとプライマーを除去するため、Microcon YM-10 10,000MW(ミリポア社、米国)で遠心した。上清に、下記の最終濃度となるよう試薬を添加し全量25μLに調製した。
(反応溶液)
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・200nM プライマー15
・5μM dATP
・2μM dTTP
・2μM dGTP
・2μM Texas Red標識−dCTP
・1×YOYO−1
・0.25U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
調製した反応液を95℃で15秒熱変性させた後、94℃で20秒、60℃で20秒を1サイクルとして50サイクルサーマルサイクリングを行った。最終サイクルにおける蛍光強度値と鋳型中のシトシンの数を、各々、Y、X軸にとりプロットした(図19)。その結果、蛍光強度値から鋳型中のシトシンの量を予測可能であった。
実施例6
ユニバーサルメチル化DNA、ユニバーサル非メチル化DNA(Chemicon International、米国)を、コントロールDNAとして、用いて本手法を検証した。
購入したゲノムDNAを10μg宛、CpGenomeTM kit(Chemicon International社、米国)を用いてウラシル化(亜硫酸水素ナトリウム変換)した。続いて付属の使用説明書に準じ精製した。このように処理した修飾DNAに、下記の最終濃度となるよう試薬を添加し全量100μLに調製した。95℃で30秒熱変性後94℃で30秒、65℃で60秒を1サイクルとし、80サイクル反応させた。
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・20μM dATP
・20μM dGTP
・20μM dTTP
・20μM dCTP
・1.0μM プライマー 16(5'ビオチン化)
・1.0U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
ストレプトアビジンコートの磁気ビーズ(Dynabeads M-270 Streptavidin、Dynal)を洗浄バッファー(10mM Tris-HCl、pH7.5、1mM EDTA、2M NaCl)で洗浄し平衡化した。反応終了後の溶液にビーズを添加、混合し、室温で一時間反応させた。ビーズを洗浄バッファーで4回洗浄し、次に1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファーで4回平衡化後、この溶液に下記の最終濃度となるよう試薬を添加し全量100μLに調製した。95℃で15秒熱変性後、94℃で20秒、60℃で60秒を1サイクルとして80サイクル反応させた。
(反応溶液)
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・20μM dATP
・20μM Fluorescein Chlorotriazinyl-4-dCTP
・20μM dTTP
・20μM dGTP
・1.0μM プライマー 17
・1.0U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
蛍光の検出にはスマートサイクラーを用いた。ユニバーサルメチル化DNA添加系でCh1の蛍光強度が初期強度より30RFU減少した。一方、ユニバーサル非メチル化DNA添加系では蛍光強度はほとんど変化しなかった(3RFU)。このように、メチル化、非メチル化DNAを、蛍光強度の変化量により判別することが可能であった。当該変化量は、メチル化シトシンの数に対応するので、calibration curveからメチル化シトシンの数を測定出来る。
実施例7
グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GSTP1)のプロモーター領域のメチル化レベルは、前立腺がんの指標となることが知られている。そこで、前立腺癌組織試料から抽出したDNAとメチル化コントロールDNAを用いて、癌組織試料のメチル化度について測定した。
癌組織試料から標準的なプロトコール(プロテイナーゼK、フェノール、クロロホルム)でDNAを抽出した。抽出したDNA、市販のユニバーサルメチル化DNA、ユニバーサル非メチル化DNA各々10μgを亜硫酸水素ナトリウム変換した。精製後、修飾DNAに下記の最終濃度となるよう試薬を添加し全量100μLに調製した。95℃で15秒熱変性、94℃で20秒、65℃で60秒を1サイクルとして80サイクル反応させた。
(反応溶液)
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・20μM dATP
・20μM dGTP
・20μM dTTP
・20μM dCTP
・1.0μM プライマー 16
・1.0U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
反応終了後、反応溶液中の未反応のdNTPsとプライマーを除去するため、Microcon YM-10 10,000MWで遠心した。上清に、下記の最終濃度となるよう試薬を添加し全量100μLに調製した。95℃で15秒熱変性後、94℃で20秒、60℃で60秒を1サイクルとして80サイクル反応させた。
(反応溶液)
・1×Vent (exo-) DNA Polymerase付属バッファー
・10μM dATP
・5μM Texas Red-dGTP
・5μM dGTP
・10μM dTTP
・10μM dCTP
・1.0μM プライマー 17
・1.0U(単位) Vent (exo-) DNA Polymerase
・1×YOYO-1
2度目のプライマー伸長反応で使用したプライマー17は、その3'側にCpG配列以外のCで、U(T)に変換される領域が入るように設計してある(実際には3'側から1、2、3、8、9、10、12、19、23番目)。従って、1回目のプライマー伸長反応で増幅したプライマー伸長産物のみが鋳型となり、ゲノムDNAは鋳型とならないように設計してある。
蛍光の検出にはスマートサイクラーを用いた。ユニバーサルメチル化DNA添加系でTexas Red-dGTP由来と考えられるCh4の蛍光強度が初期強度から24RFU増加した。一方、ユニバーサル非メチル化DNA添加系は蛍光強度がほとんど変化しなかった。前立腺癌組織試料添加系では、初期強度と比較し20RFU増加した。このように、核酸中のメチル化シトシンの存在を、蛍光強度の変化量により判別することが可能であった。すべてのサンプルについて、既存のメチル化DNA測定法であるビスルファイトシーケンシング法でメチル化の割合を解析したところ、上記の結果を支持するデータを得た。すなわち、ユニバーサルメチル化DNA及び前立腺癌組織由来DNAのCpGのシトシンはそれぞれ約85%、80%がシトシンのままであり、ユニバーサル非メチル化DNAのシトシンはすべてチミンに変換されていた。このように、鋳型核酸中のメチル化シトシンの数を定量するためには、メチル化、非メチル化DNAをコントロールとして用い、比較することが有効であった。
配列番号1
5'-atgtgtgtgtgtgtgtgtgtgtgtgagtgtgtgtgtgtgtgtgtgtacggtctacactgtcgag-3'
配列番号2
5'-atgtgtgtgtgtgtgtgtgtgtgtgagtgcgtgtgtgtgtgtgtgtacggtctacactgtcgag-3'
配列番号3
5'-atgtgtgtgtgtgcgtgtgtgtgtgagtgcgtgtgtgtgtgtgtgcacggtctacactgtcgag-3'
配列番号4
5'-atgtgcgtgtgtgcgtgtgtgcgtgagtgcgtgtgtgcgtgtgtgcacggtctacactgtcgag-3'
配列番号5
5'-atgcgtgcgtgcgtgcgtgcgtgcgagcgtgcgtgcgtgcgtgcgtacggtctacactgtcgag-3'
配列番号6
5'-ctcgacagtgtagaccg-3'
配列番号7
5'-gtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatgtatcccggtctacactgtcgag-3'
配列番号8
5'-cacctccgcctccacctccgcctccacctccgcctccacctccgcctccacctccgcctccacctccgcctccacctccgcctccacctccgcctccccggtctacactgtcgag-3'
配列番号9
5'-ccctcccccgccccctcccccaccccctcccccgccccctcccccaccccctcccccgccccctcccccaccccctcccccgccccctcccccacccccggtctacactgtcgag-3'
配列番号10
5'-ccctcccccaccccctcccccaccccctcccccaccccctcccccaccccctcccccaccccctcccccaccccctcccccaccccctcccccacccccggtctacactgtcgag-3'
配列番号11
5'-tcagctgagtccatgtaaggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggcggtctacactgtcgag-3'
配列番号12
5'-tcagctgagtccatgtaaggggggggggggcggggggggggggggcggggggggggggggcggggggggggggggcggggggggggggggcggtctacactgtcgag-3'
配列番号13
5'-tcagctgagtccatgtaaggggcggggggggcggggggggcggggggggcggggggggcggggggggcggggggggcggggggggcggggcggtctacactgtcgag-3'
配列番号14
5'-tcagctgagtccatgtaacggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggcggtctacactgtcgag-3'
配列番号15
5'-tcagctgagtccatgtaa-3'
配列番号16
5'-tccctaccaaacacatactcctacct-3'
配列番号17
5'-tgttgtttgtttattttttaggttt-3'
本発明により、数百塩基対からなる核酸中の特定塩基、特にメチル化シトシン及びシトシン等を、短時間、簡便、且つ優れた感度で、特異的に正確に測定することが可能になり、発ガン機作の解明、制癌剤の開発を促進するものである。
発明1の手順を説明する図である。 発明1における特定塩基(シトシン)の数と測定された蛍光キャラクター変化量の相関を説明する図である。 発明2の手順を説明する図である。 発明2の対照実験の手順を説明する図である。 発明2におけるチル化シトシンの数と測定された蛍光変化量の相関を説明する図である。
発明3の手順を説明する図である。 発明3の対照実験の手順を説明する図である。 発明3におけるメチル化シトシンの数と測定された蛍光変化量の相関を説明する図である。 発明4の手順を説明する図である。 発明4の対照実験の手順を説明する図である。
発明4におけるメチル化シトシンの数と測定された蛍光変化量の相関を説明する図である。 種々の数のシトシンを含む核酸を鋳型として、本発明の核酸重合反応を行った場合における反応過程の蛍光強度をモニタリングした例を示す図である。 種々の数のシトシンを含む核酸を鋳型として、本発明の核酸重合反応を行った場合における反応過程の蛍光強度をモニタリングした例を示す図である。 鋳型核酸中のシトシン数と蛍光強度変化量の相関を示す図である。 鋳型核酸中のシトシン数と蛍光強度変化量の相関を示す図である。
種々の数のシトシンを含む核酸を鋳型として、本発明の核酸重合反応を行った場合における反応過程の蛍光強度をモニタリングした例を示す図である。 鋳型核酸中のシトシン数と蛍光強度変化量の相関を示す図である。 鋳型核酸中のグアニン数と蛍光強度変化量の相関を示す図である。 鋳型核酸中のシトシン数と蛍光強度変化量の相関を示す図である。

Claims (15)

  1. 次の手順を含むことを特徴とする核酸中の特定塩基の測定方法。
    1)下記の核酸重合系Iで核酸重合反応を一回若しくは複数回行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(以下、測定系Iという。)、得られた測定値に基づいて、核酸中の特定塩基を測定する。
    核酸重合系I:以下の成分を含む:(A)鋳型としての標的核酸、(B)(a)蛍光色素、(b)クエンチャー物質、及び(c)蛍光色素若しくはクエンチャー物質を含有する免疫関連物質、からなる群から選ばれた少なくとも一種の物質で標識された、少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマー、(C)一種若しくは一対のプライマー、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。
  2. 核酸中の特定塩基がメチル化シトシンであり、請求項1に記載の1)の代わりに、以下の手順1)及び2)に代えたものである請求項1に記載の核酸中の特定塩基の測定方法。
    1)鋳型としての標的核酸中の非メチル化シトシンをウラシル化処理する。
    2)以下の核酸重合系IIで核酸重合反応を一回若しくは複数回行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(以下、測定系IIという。)、得られた測定値に基づいて、核酸中のメチル化シトシンを測定する。
    核酸重合系II:以下の成分を含む:(A)鋳型としてのウラシル化核酸、(B)少なくとも一種の標識グアニンヌクレオチドモノマー若しくは標識シトシンヌクレオチドモノマー、又はそれらの双方、(C)フォーワードプライマー(forward primer)及びリバースプライマー(reverse primer)のどちらか一方若しくは双方、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。
  3. 下記の核酸重合系IIaで核酸重合反応を一回若しくは複数回行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(以下、測定系IIaという。)、測定系IIと測定系IIaの測定値の差若しくはその比、又は双方に基づいて、メチル化シトシン及び非メチル化シトシンを測定するか、又はメチル化シトシンと非メチル化シトシンの比を求めるか、又はそれらの双方を求めるものである請求項2に記載の核酸中の特定塩基の測定方法。
    核酸重合系IIa:核酸重合系IIにおいて、(A)鋳型核酸としてウラシル化核酸の代わりにウラシル化処理されていない標的核酸若しくは塩基配列は同じであるが、メチル化されていないシトシン若しくは全シトシンがメチル化されたものを有する標的核酸、又はそれらの双方を使用する以外は核酸重合系IIと同じ成分を含む。
  4. 次の手順を含むことを特徴とする核酸中の特定塩基の測定方法。
    1)次の核酸重合系IIIで核酸重合反応を一回若しくは複数回行う。
    核酸重合系III:以下の成分を含む:(A)鋳型として標的核酸、(B)少なくとも一種の非標識ヌクレオチドモノマー、(C)フォーワードプライマー(forward primer)及びリバースプライマー(reverse primer)うちのどちらか一方、及び(D)少なくとも一種の核酸合成酵素。
    2)鋳型核酸としての標的核酸、又は、プライマーと非標識ヌクレオチドモノマーの核酸重合系外への除去。
    3)次の核酸重合系IVで核酸重合反応を一回若しくは複数回行い、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定し(以下、測定系IVという。)、得られた測定値に基づいて、核酸中の特定塩基を測定する。
    核酸重合系IV:前記の3)の操作を受けた核酸重合系に以下の成分を加える:(B)一種の標識ヌクレオチドモノマー、(C)フォーワードプライマー(forward primer)及びリバースプライマー(reverse primer)うちの核酸重合系IIIで使用しない方。
  5. プライマーとしてビオチン化プライマーを用いて、鋳型核酸としての標的核酸の核酸重合を行うものである請求項1又は4に記載の核酸中の特定塩基を測定する方法。
  6. 請求項5に記載の核酸重合反応が、請求項4に記載の手順1)のものである請求項5に記載の核酸中の特定塩基を測定する方法。
  7. 鋳型核酸としての標的核酸の核酸重合系外への除去が、重合合成された核酸をアビジンコートビーズに結合させた後、重合合成された核酸と非標識ヌクレオチドモノマー及び鋳型核酸としての標的核酸を分別する手順を含むものである請求項6に記載の核酸中の特定塩基を測定する方法。
  8. プライマー並びに標識及び非標識ヌクレオチドモノマーの核酸重合系外の除去が、分子篩フィルターで処理するものである請求項4に記載の核酸中の特定塩基を測定する方法。
  9. 特定塩基がメチル化シトシン若しくはシトシン、又はそれらの双方であり、核酸重合反応を行う手順の前に、鋳型としての核酸に含まれる非メチル化シトシンをウラシル化処理する手順を付け加える請求項4に記載の核酸中の特定塩基を測定する方法。
  10. 請求項4に記載の核酸重合系III及びIVを、各々下記の核酸重合系IIIa及びIVaに代えること以外は請求項4と同様にして、核酸重合系の核酸重合反応前後の蛍光キャラクター変化又は変化量を測定して得た測定値の双方若しくは各々の単独のものと請求項4に記載の測定値の差若しくはその比、又はそれらの双方に基づいて、特定塩基を測定する請求項6に記載の核酸中の特定塩基の測定方法。
    核酸重合系IIIa:核酸重合系IIIにおいて、(A)鋳型核酸としてウラシル化核酸の代わりにウラシル化処理されていない標的核酸、又は塩基配列は同じであるが、メチル化されていないシトシン若しくは全シトシンがメチル化されたものを有する標的核酸を使用する以外は核酸重合系IIIと同じ成分を含む。
    核酸重合系IVa:核酸重合系IVにおいて、(A)鋳型核酸としてウラシル化核酸の代わりにウラシル化処理されていない標的核酸、又は塩基配列は同じであるが、メチル化されていないシトシン若しくは全シトシンがメチル化されたものを有する標的核酸を使用する以外は核酸重合系IVと同じ成分を含む。
  11. 核酸重合系が、更に(B')非標識ヌクレオチドモノマーを含む請求項1又は4に記載の標的核酸中の特定塩基の測定方法。
  12. 核酸重合系が、更に(E)核酸に結合することで、蛍光を発する物質(以下、核酸特異的蛍光色素という。)を含む請求項1又は4に記載の標的核酸中の特定塩基の測定方法。
  13. 蛍光色素若しくはクエンチャー物質を含有する免疫関連物質からなる群から選ばれた少なくとも一種の物質で標識された、少なくとも一種の標識ヌクレオチドモノマーがハプテン類の一種で標識されたものであり、蛍光キャラクターの変化は、蛍光色素を有し、且つ当該ハプテンに親和性結合をする基を有する物質が当該ハプテンが親和性結合することに基づくものである請求項1又は4に記載の核酸中の特定塩基の測定方法。
  14. 固体表面上に固定化された1種以上の核酸プライマーに鋳型核酸をハイブリダイズさせて、核酸重合反応を行う請求項1又は4に記載の核酸中の特定塩基の測定方法。
  15. 請求項1又は4に記載の核酸中の特定塩基の測定方法において、一種の塩基からなる標識ヌクレオチドモノマーを使用して得たデータ(蛍光キャラクターの変化量の測定値)(T1)と、別種の塩基からなる標識ヌクレオチドモノマーを使用して得たデータ(蛍光キャラクターの変化量の測定値)(T2)との比(T1/T2)を求めることを特徴とする特定塩基の測定方法におけるデータ処理方法。
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