JP2006320237A - 核酸増幅方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供するものである。
【解決手段】 核酸増幅方法は、第1配列と、第2配列と、第1配列と第2配列の間にある第3配列を有する標的核酸に対して、第1配列に相補的な第1のプライマーと、第2配列に相補的な第2のプライマーとが結合する第1工程と、第3配列及び所定配列を有する第1増幅二本鎖核酸を合成する第2工程と、第1増幅二本鎖核酸を、所定配列付一本鎖核酸に分離する第3工程と、所定配列付一本鎖核酸に対して、所定配列に相補的な第3のプライマーと、第3配列に相補的な第4のプライマーとが結合する第4工程と、第2増幅二本鎖核酸を合成する第5工程とを備える。さらに、第4工程が、第1配列に対して第1のプライマーと競合的に結合する競合核酸を加えて行われることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、核酸増幅方法に関し、特に、核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法に関する。
従来、PCR(polymerase chain reaction)法などの核酸増幅方法によって、HIV(Human immunodeficiency virus)などのウイルス量が定量されてきている。例えば、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化した装置を用いて、PCRでの増幅産物の生成過程をリアルタイムでモニタリングして解析するReal Time PCR法などによって、RNAをウイルスゲノムとし、RNAをDNAに転写する逆転写酵素を持つRNAウイルスの一種であるレトロウイルス(例えば、HIV(Human immunodeficiency virus)など)のウイルス量が定量されている。
また、宿主細胞内でウイルスのRNAがある程度存在している場合には、宿主細胞内のウイルスRNAを逆転写し、cDNAを合成し、このcDNAを増幅するRT−PCRを行うことによって、ウイルス量の定量が行われている。
しかし、近年、薬物治療によって一時的にRNAを合成しないHIVの存在が確認された。この一時的にRNAを合成しないHIVは、薬物に耐性があることが知られている(非特許文献1、非特許文献2)。このため、例えば、診断、治療方針の選定、研究などのために、このようなHIVのウイルス量を定量する必要性が高まってきている。
例えば、HIVなどの宿主細胞内にインテグレートしたウイルスDNAを定量するために、一方のプローブとしてウイルスのLTRに結合可能な核酸配列を用いた、PCR法が開発された。
しかし、宿主細胞内において、ウイルスによって逆転写されたDNAと、宿主細胞の染色体にインテグレートされたDNAとを、区別して核酸を増幅することは、非常に困難である。
このため、ウイルスによって逆転写されたがインテグレートされていないDNAと、宿主細胞の染色体にインテグレートされたDNAを区別するため、一方のプライマーとしてウイルスのLTRに結合可能な核酸配列を用い、他方のプライマーとして宿主細胞の染色体中に大量(一細胞あたり約100万個)にコードされているAlu配列に結合可能な核酸配列を用いる、Nested PCR法が開発された。
しかし、この核酸増幅方法であっても、第2段階のPCRでLTRに対するプライマーを使用しているために、インテグレートしていないウイルスのDNAが検出されてしまう(非特許文献3)。このため、この核酸増幅方法による増幅産物を診断や治療方針の選定、研究などに用いるのは困難である。
さらに、検出精度を上昇するための方法の一つとして、所定配列のタグ配列を有するプライマーを用いたNested PCR法が開発された(非特許文献3)。この方法は、一方のプライマーとしてタグ配列を有するプライマーを用いて、第一段階のPCRを行う。このため、第一段階のPCR産物には、タグ配列を有するプライマーの配列が導入される。第二段階のPCR時に、タグ付のプライマーに含まれている所定配列に対して相補的なプライマーを使用することによって、第一段階のPCR産物に特異的に核酸増幅が行われ得る。
Chun, T.-W., D. Finzi, J. Margolick, K. Chadwich, D. Schwartz, and R. F. Siliciano. 1995. Fate of HIV-1-infected T cells in vivo: rates of transition to stable latency. Nat. Med. 1:1284-1290. Chun, T. W., L. Stuyver, S. B. Mizell, L. A. Ehler, J. M. Mican, M. Baseler, A. L. Lloyd, M. A. Nowak, and A. S. Fauci. 1997. Presence of an inducible HIV-1 latent reservoir during highly active antiretroviral therapy. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:13193-13197. Brussel A, Sonigo P. 2003 Analysis of early human immunodeficiency virus type 1 DNA synthesis by use of a new sensitive assay for quantifying integrated provirus. J Virol. 77(18):10119-24.
しかし、上記の核酸増幅方法であっても、第一段階のPCRの残留物であるタグ配列を有するプライマーなどが第二段階のPCR時に意図せぬ反応し、不要な核酸配列が対数的に増幅され得る。このため、上記の核酸増幅方法による増幅産物を用いても、不要な核酸配列が大量に増幅され得るため、正確なウイルス量の定量は困難である。このため、不要な核酸配列が増幅されず、標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法の提供が望まれている。
本発明は、上述したような課題に鑑みてなされたものである。その目的は、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供するものである。
以上のような目的を達成するために、本発明は、以下のようなものを提供する。
(1) 第1配列と、第2配列と、第1配列と第2配列の間にある第3配列を有する標的核酸に対して、所定配列を有し前記標的核酸の前記第1配列に相補的な第1のプライマーと、前記標的核酸の前記第2配列に相補的な第2のプライマーとが結合する第1工程と、前記第1のプライマー又は前記第2のプライマーが結合した前記標的核酸を鋳型にして核酸を伸張し、前記第3配列及び前記所定配列を有する第1増幅二本鎖核酸を合成する第2工程と、前記第1増幅二本鎖核酸を、前記第3配列及び前記所定配列を有する所定配列付一本鎖核酸に分離する第3工程と、前記所定配列付一本鎖核酸に対して、前記所定配列付一本鎖核酸の前記所定配列に相補的な第3のプライマーと、前記所定配列付一本鎖核酸の前記第3配列に相補的な第4のプライマーとが結合する第4工程と、前記第3のプライマー又は前記第4のプライマーが結合した前記所定配列付一本鎖核酸を鋳型にして核酸を伸張し、第2増幅二本鎖核酸を合成する第5工程とを備える核酸増幅方法において、前記第4工程が、前記第1配列に対して第1のプライマーと競合的に結合する競合核酸を加えて行われることを特徴とする核酸増幅方法。
(1)に記載の発明によれば、第1工程において、第1配列と、第2配列と、第1配列と第2配列の間にある第3配列を有する標的核酸に対して、所定配列を有し標的核酸の第1配列に相補的な第1のプライマーと、標的核酸の前記第2配列に相補的な第2のプライマーとが結合する。第2工程において、第1のプライマー又は第2のプライマーが、結合した標的核酸を鋳型にして核酸を伸張し、第3配列及び所定配列を有する第1増幅二本鎖核酸を合成する。第3工程において、第1増幅二本鎖核酸を、前記第3配列及び前記所定配列を有する所定配列一本鎖核酸に分離する。第4工程において、所定配列付一本鎖核酸に対して、所定配列付一本鎖核酸の所定配列に相補的な第3のプライマーと、所定配列付一本鎖核酸の第3配列に相補的な第4のプライマーとが結合する。さらに、第4工程において、添加された第1の配列に対して第1のプライマーと競合的に結合する競合核酸が、第1の配列に対して結合するため、第3工程までに未反応の第1のプライマーが第1の配列に結合することを阻害する。第5工程において、第3のプライマー又は第4のプライマーが結合した所定配列付一本鎖核酸を鋳型にして核酸を伸張し、第2増幅二本鎖核酸を合成する。このように、第4工程において添加された競合核酸が、第1工程から第3工程までにおいて未反応の第1のプライマーの結合を阻害することによって、未反応の第1のプライマーによる意図しない核酸増幅反応を防止することが可能である。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供することが可能である。
(2) (1)に記載の核酸増幅方法であって、前記第1工程から前記第3工程を少なくとも1回反復することを特徴とする核酸増幅方法。
(2)の発明によれば、(1)の発明の効果に加えて、第1工程から第3工程を少なくとも1回反復することによって、第1のプライマーと第2のプライマーが使用され、所定配列付一本鎖核酸がさらに増幅される。このため、反応によって、第1のプライマーが使用され、未反応の第1のプライマーが減少するとともに、第4工程以降の増幅の対象である所定配列付一本鎖核酸が増幅され、第3のプライマーや第4のプライマーがより効率よく標的となる核酸配列を増幅することができる。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供することが可能である。
(3) (1)又は(2)に記載の核酸増幅方法であって、前記第5工程後に、前記第2増幅標的二本鎖核酸を増幅標的一本鎖核酸に分離する第6工程を備え、前記第4工程から前記第5工程を少なくとも1回反復することを特徴とする核酸増幅方法。
(3)の発明によれば、(1)又は(2)の発明の効果に加えて、第4工程から第6工程を少なくとも1回反復することによって、第2増幅標的二本鎖核酸がさらに増幅される。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供することが可能である。
(4) (1)乃至(3)いずれかに記載の核酸増幅方法において、前記第1の配列が、ウイルス由来の核酸配列であることを特徴とする核酸増幅方法。
(4)に記載の発明によれば、例えば、HIVなどのウイルス由来の核酸配列を標的にして、プライマーを設計している。このため、(1)乃至(3)いずれかの発明の効果に加えて、例えば、宿主細胞にウイルス由来の核酸配列がインテグレートされた場合に、ウイルス由来の核酸配列に第1のプライマーが結合することによって、標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅を行うことが可能となる。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供することが可能である。
(5) (4)に記載の核酸増幅方法において、前記ウイルス由来の核酸配列が、LTR配列であることを特徴とする核酸増幅方法。
(5)に記載の発明によれば、例えば、HIVに含まれているLTR配列を標的にして、プライマーを設計している。このため、(4)の発明の効果に加えて、例えば、どの部位にウイルス由来の核酸配列がインテグレートされたか不明であっても、LTR配列に第1のプライマーが結合することによって、標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅を行うことが可能となる。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供することが可能である。
(6) (4)に記載の核酸増幅方法において、前記ウイルス由来の核酸配列が、Gag配列である核酸増幅方法。
(6)に記載の発明によれば、例えば、HIVに含まれているGag配列を標的にして、プライマーを設計している。このため、(4)の発明の効果に加えて、例えば、どの部位にウイルス由来の核酸配列がインテグレートされたか不明であっても、Gag配列に第1のプライマーが結合することによって、標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅を行うことが可能となる。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供することが可能である。
(7) (1)乃至(6)いずれかに記載の核酸増幅方法において、前記第2の配列が、Alu配列である核酸増幅方法。
(7)に記載の発明によれば、例えば、ヒトやサルなどの宿主細胞に数多く含まれているAlu配列を標的にして、プライマーを設計している。このため、(1)乃至(6)いずれかの発明の効果に加えて、例えば、どの部位にウイルス由来の核酸配列がインテグレートされたか不明であっても、Alu配列に第2のプライマーが結合することによって、標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅を行うことが可能となる。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供することが可能である。
(8) (1)乃至(7)のいずれか記載の核酸増幅方法において、前記第5工程が、インターカレーター性蛍光物質を添加して行われる核酸増幅方法。
(8)の発明によれば、(1)乃至(7)のいずれかの発明の効果に加えて、第5工程において、核酸が伸張する際に、二本鎖DNAに結合することで蛍光を発する試薬であるインターカレーター性蛍光物質を添加して行われる。インターカレーター性蛍光物質は、合成された二本鎖DNAに結合し、励起光の照射により蛍光を発光する。この蛍光強度の検出により、増幅産物の生成量を定量することが可能である。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性の高い増幅産物の測定方法として利用できる核酸増幅方法を提供することが可能である。
(9) (1)乃至(7)のいずれか記載の核酸増幅方法において、前記第4工程が、一端に蛍光物質が結合している蛍光部と他端にクエンチャーが結合しているクエンチャー部と蛍光部及びクエンチャー部の間にあるRNA部を有する標識核酸、及びRNaseHを添加して行われる核酸増幅方法。
(9)の発明によれば、(1)乃至(7)のいずれかの発明の効果に加えて、第4工程が、一端に蛍光物質が結合している蛍光部と他端にクエンチャーが結合しているクエンチャー部を有する標識核酸、及びRNaseHを添加して行われる。第4工程において、所定配列付一本鎖核酸に標識核酸が結合する。第5工程において、核酸が伸張する際に、RNaseHが、標識核酸のRNA部を分解することによって、標識核酸の蛍光部とクエンチャー部が分離する。例えば、励起光の照射を受けることによって、分離した蛍光部が蛍光を発光する。この蛍光強度を検出することにより、増幅産物の生成量を定量することが可能である。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性の高い増幅産物の測定方法として利用できる核酸増幅方法を提供することが可能である。
(10) (1)乃至(7)のいずれか記載の核酸増幅方法において、前記第4工程が、TaqManプローブを添加して行われる核酸増幅方法。
(10)の発明によれば、(1)乃至(7)のいずれかの発明の効果に加えて、第4工程が、TaqManプローブ(登録商標)を添加して行われる。第4工程において、所定列付の一本鎖核酸にTaqManプローブ(登録商標)が特異的に結合する。第4工程において、TaqManプローブ(登録商標)上にクエンチャーが存在するため、励起光を照射しても蛍光の発生は抑制されている。第5工程において、核酸が伸張する際に、所定配列付一本鎖核酸に結合したTaqManプローブ(登録商標)が分解され、TaqManプローブ(登録商標)の蛍光色素がプローブから遊離する。励起光の照射によって、遊離した蛍光色素が蛍光を発光する。この蛍光強度を検出することにより、増幅産物の生成量を定量することが可能である。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性の高い増幅産物の測定方法として利用できる核酸増幅方法を提供することが可能である。
(11) (1)乃至(7)のいずれか記載の核酸増幅方法において、前記競合核酸が、TaqManプローブ(登録商標)であることを特徴とする核酸増幅方法。
(11)の発明によれば、(1)乃至(7)のいずれかの発明の効果に加えて、競合核酸がTaqManプローブ(登録商標)である。第4工程において、TaqManプローブ(登録商標)が、第1の配列に対して第1のプローブ(登録商標)と競合的に結合する。第4工程において、TaqManプローブ(登録商標)上にクエンチャーが存在するため、励起光を照射しても蛍光の発生は抑制されている。第5工程において、核酸が伸張する際に、所定配列付一本鎖核酸に結合したTaqManプローブ(登録商標)が分解され、TaqManプローブ(登録商標)の蛍光色素がプローブから遊離する。励起光の照射によって、遊離した蛍光色素が蛍光を発光する。この蛍光強度を検出することにより、増幅産物の生成量を定量することが可能である。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性の高い増幅産物の測定方法として利用できる核酸増幅方法を提供することが可能である。
(12) (1)乃至(11)のいずれか記載の核酸増幅方法を行うためのキット。
(12)の発明によれば、(1)乃至(11)のいずれかの核酸増幅方法を行うためのキットによって、(1)乃至(11)のいずれかの核酸増幅方法を行うことができる。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性の高い増幅産物の測定方法として利用できる核酸増幅方法を行うことができるキットを提供することが可能である。
本発明によれば、第4工程において添加された競合核酸が、第1工程から第3工程までにおいて未反応の第1のプライマーの結合を阻害することによって、未反応の第1のプライマーによる意図しない核酸増幅反応を防止することが可能である。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供することが可能である。
以下に、本発明に好適な実施形態について説明する。
図1は、従来のAlu−LTR PCR法を説明する概念図である。図1に示すように、ウイルス由来の核酸がインテグレートされた宿主細胞の核酸配列には、複数のAlu配列と、ウイルス由来のLTR(long terminal repeat)配列とが含まれている。Alu配列と相補的なプライマー及びLTR配列に相補的なプライマーを用いて第1段階のPCRを12サイクル行う。次に、第1段階のPCRにより増幅された増幅産物を一部取出し、それを鋳型にし、所望の配列に対するプライマーを用いて、第2段階のPCRを行う(所謂Nested PCR法)。
しかし、従来の方法においては、第2段階のPCRにおいて、第1段階のプライマーによって、ウイルス由来核酸配列がインテグレートされていない核酸配列も増幅され得るため、感度が低くなるという課題があった。
なお、ここで、Alu配列とは、ヒトやサルなどのゲノム中に散在する小型の反復配列であり、ヒトゲノムのマーカーとして、また遺伝子クローニングでの人DNA断片のプローブとしても利用される。LTR配列とは、レトロウイルスゲノムDNAの両端末で重複している長い末端反復配列の略であり、U3、R、U5の配列からなる。この配列がウイルスDNAの染色体へのランダムな部位への組込みに関与すると考えられている。
図2は、改良したNested PCR法を説明する概念図である。図2に示すように、Alu配列と相補的なプライマー及びLTR配列の少なくとも一部または近傍に相補的なプライマーを用いて第1段階のPCRを12サイクル行う。このとき、LTR配列の少なくとも一部または近傍に相補的なプライマーは、Tag配列を有している。次に、第1段階のPCRにより増幅された増幅産物を一部取出し、それを鋳型にし、LTR配列内のU5配列に対するプライマーとタグ配列に対して相補的なプライマーを用いて、第2段階のPCRを行う。
この方法は、理論的には、第1段階のPCRで増幅された核酸がTag配列を含む。このため、第2段階のPCRにおいて、Tag配列に対するプライマーを用いることによって、ウイルス由来の核酸がインテグレートした核酸配列を特異的に増幅することが可能となり得る。
しかしながら、この方法であっても、第1段階のPCRにおいて、未反応のTag配列付のプライマーが、第2段階のPCRで反応し得るため、意図しない核酸増幅を起こし得る。
図3は、本発明に係る核酸増幅法を説明する概念図である。図3の左側に示される方法1(Method 1)は、図2で説明した従来のPCR法である。図3の右側に示される方法2(Method 2)は、本発明に係る核酸増幅法である。
図3に示すように、方法1では、第1段階のPCR時にAlu配列とLTR配列を有する核酸が増幅される。しかしながら、第2段階のPCRにおいて、第1段階のPCRで未反応のであった、Alu配列を有さないがLTR配列を有する核酸が存在し得る。この核酸に対して、U5に対するプライマーと、LTR配列の少なくとも一部または近傍に相補的なプライマーとが結合し得る。これらのプライマーが結合した核酸も第2段階のPCR時に増幅され得る。このため、意図しない核酸増幅が行われる可能性がある。
方法2では、Gag配列(第1の配列)に相補的な第1のプライマーとAlu配列(第2の配列)と相補的な第2のプライマーを用いて第1段階のPCRを12サイクル行う。このとき、Gag配列に相補的な第1のプライマーは、Tag配列(所定の配列)を有している。次に、第1段階のPCRにより増幅された増幅産物を一部取出し、それを鋳型にし、LTR配列内のU5配列(第3の配列)に対する第3のプライマーとタグ配列に対して相補的な第4のプライマーを用いて、第2段階のPCRを行う。さらに、方法2では、Gag配列に対して競合的に結合する核酸を加えて行われる。
より具体的に方法2を説明すると、第1配列と、第2配列と、第1配列と第2配列の間にある第3配列を有する標的核酸に対して、タグ配列などの所定配列を有し標的核酸の第1配列に相補的な第1のプライマーと、この標的核酸の第2配列に相補的な第2のプライマーとが結合する第1工程が行われる。次に、第1のプライマー又は第2のプライマーが結合した標的核酸を鋳型にして核酸を伸張し、第3配列及び前記所定配列を有する第1増幅二本鎖核酸を合成する第2工程が行われる。次に、第1増幅二本鎖核酸を、第3配列及び所定配列を有する所定配列付一本鎖核酸に分離する第3工程が行われる。次に、所定配列付一本鎖核酸に対して、所定配列付一本鎖核酸の所定配列に相補的な第3のプライマーと、所定配列付一本鎖核酸の第3配列に相補的な第4のプライマーとが結合する第4工程が行われる。さらに、第3のプライマー又は第4のプライマーが結合した所定配列付一本鎖核酸を鋳型にして核酸を伸張し、第2増幅二本鎖核酸を合成する第5工程が行われる。さらに、第4工程が、第1配列に対して第1のプライマーと競合的に結合する競合核酸を加えて行われる。
これによって、第1工程において、第1配列と、第2配列と、第1配列と第2配列の間にある第3配列を有する標的核酸に対して、所定配列を有し標的核酸の第1配列に相補的な第1のプライマーと、標的核酸の前記第2配列に相補的な第2のプライマーとが結合する。第2工程において、第1のプライマー又は第2のプライマーが結合した標的核酸を鋳型にして核酸を伸張し、第3配列及び所定配列を有する第1増幅二本鎖核酸を合成する。第3工程において、第1増幅二本鎖核酸を、前記第3配列及び前記所定配列を有する所定配列付一本鎖核酸に分離する。第4工程において、所定配列付一本鎖核酸に対して、所定配列付一本鎖核酸の所定配列に相補的な第3のプライマーと、所定配列付一本鎖核酸の第3配列に相補的な第4のプライマーとが結合する。さらに、第4工程において、添加された第1の配列に対して第1のプライマーと競合的に結合する競合核酸が、第1の配列に対して結合するため、第3工程までに未反応の第1のプライマーが第1の配列に結合することを阻害する。第5工程において、第3のプライマー又は第4のプライマーが結合した所定配列付一本鎖核酸を鋳型にして核酸を伸張し、第2増幅二本鎖核酸を合成する。このように、第4工程において添加された競合核酸が、第1工程から第3工程までにおいて未反応の第1のプライマーの結合を阻害することによって、未反応の第1のプライマーによる意図しない核酸増幅反応を防止することが可能である。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供することが可能である。ここで競合的に結合するとは、第1配列を有する標的となる核酸に対して結合する部位を持つ第1のプライマーと、第1のプライマーが第1配列と結合する部位と少なくとも一部が重複して結合する部位を持つ非伸張性の競合核酸とが、競合して標的となる核酸の第1配列に結合することを言う。つまり、競合核酸が、標的となる核酸の第1の配列に結合すると第1のプライマーが結合できなくなる。また、競合核酸は、第1のプライマーよりも標的となる核酸に結合しやすいものならば、いかなるものでもよく、例えば、TaqManプローブ(登録商標)やENA(登録商標)であっても良い。
さらに、方法2は、第1工程から第3工程を少なくとも1回反復し、より好ましくは12回以上反復しても良い。これによって、第1工程から第3工程を少なくとも1回反復することによって、第1のプライマーと第2のプライマーが使用され、所定配列一本鎖核酸がさらに増幅される。このため、反応によって、第1のプライマーが使用され、未反応の第1のプライマーが減少するとともに、第4工程以降の増幅の対象である所定配列付一本鎖核酸が増幅され、第3のプライマーや第4のプライマーがより効率よく標的となる核酸配列を増幅することができる。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供することが可能である。なお、第1工程から第3工程の反復回数は、本実施例において、1回、3回、12回と例示されているが、本発明は、これに限定されない。第4の工程以降において、核酸を増幅するために十分な核酸を増幅するために必要ないかなる回数であっても良い。
さらに、方法2は、第5工程後に、増幅標的二本鎖核酸を増幅標的一本鎖核酸に分離する第6工程を備え、第4工程から第6工程を少なくとも1回反復し、より好ましくは12回以上反復しても良い。第4工程から第6工程を少なくとも1回反復することによって、第2増幅標的二本鎖核酸がさらに増幅される。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供することが可能である。
さらに、方法2は、第1の配列が、ウイルス由来の核酸配列であっても良い。この場合、例えば、HIVやなどのレトロウイルス由来の核酸配列を標的にして、プライマーを設計しても良い。このため、例えば、宿主細胞にウイルス由来の核酸配列がインテグレートされた場合に、ウイルス由来の核酸配列に第1のプライマーが結合することによって、標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅を行うことが可能となる。なお、本発明のレトロウイルスの例としては、哺乳類B型レトロウイルスグループ(Mammalian type B retroviruses)、哺乳類C型レトロウイルスグループ(Mammalian type C retroviruses)、鳥類C型レトロウイルスグループ(Avian type C retroviruses)、鳥類D型レトロウイルスグループ(Avian type D retroviruses)、ウシ白血病ウイルス‐ヒトリンパ球向性ウイルス(BLV-HTLV retroviruses)、HIVなどのレンチウイルス族(Lentivirus)、スプマウイルス族(Spumavirus)が含まれる。
さらに、方法2は、ウイルス由来の核酸配列が、LTR配列やGag配列であっても良い。例えば、HIVに含まれているLTR配列やGag配列を標的にして、プライマーを設計する。このため、例えば、どの部位にウイルス由来の核酸配列がインテグレートされたか不明であっても、LTR配列やGag配列に第1のプライマーが結合することによって、標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅を行うことが可能となる。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供することが可能である。なお、ウイルス由来の核酸配列の例として、LTR配列やGag配列記載されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、Pol配列やenv配列など他の外皮タンパクをコードする遺伝子や、転写促進に働くtat配列、m-RNAの輸送を促進するrev配列など、プロウイルスに含まれる他の遺伝子配列であっても良い。
さらに、方法2は、第2の配列が、Alu配列であっても良い。例えば、ヒトやサルなどの宿主細胞に数多く含まれているAlu配列を標的にして、プライマーを設計すると、どの部位にウイルス由来の核酸配列がインテグレートされたか不明であっても、Alu配列に第2のプライマーが結合することによって、標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅を行うことが可能となる。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供することが可能である。
さらに、方法2を使用して、核酸の量を定量する場合に、第5工程が、インターカレーター性蛍光物質を添加して行われても良い。つまり、第5工程において、核酸が伸張する際に、二本鎖DNAに結合することで蛍光を発する試薬であるインターカレーター性蛍光物質を添加して行われる。インターカレーター性蛍光物質は、合成された二本鎖DNAに結合し、励起光の照射により蛍光を発光する。この蛍光強度の検出により、増幅産物の生成量を定量することが可能である。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性の高い増幅産物の測定方法として利用できる核酸増幅方法を提供することが可能である。例えば、インターカレーター性蛍光物質として、タカラバイオ株式会社のインターカレーター(SYBR(R) Green I(登録商標))やアマシャム バイオサイエンシズ会社のインターカレーター(Vistra Green)などが知られている。
さらに、方法2を使用して、核酸の量を定量する場合に、第4工程が、蛍光物質(FAMなど)が結合している蛍光部とクエンチャー(TAMRA など)が結合しているクエンチャー部とを有する標識核酸、及びRNaseHを添加して行われても良い。つまり、第4工程が、一端に蛍光物質が結合している蛍光部と他端にクエンチャーが結合しているクエンチャー部を有する標識核酸、及びRNaseHを添加して行われる。第4工程において、所定配列付一本鎖核酸に標識核酸が結合する。第5工程において、核酸が伸張する際に、RNaseHが、標識核酸のRNA部を分解することによって、標識核酸の蛍光部とクエンチャー部が分離する。例えば、励起光の照射を受けることによって、分離した蛍光部が蛍光を発光する。この蛍光強度を検出することにより、増幅産物の生成量を定量することが可能である。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性の高い増幅産物の測定方法として利用できる核酸増幅方法を提供することが可能である。なお、蛍光物質の一例としてFAMを、クエンチャーの一例としてTAMRAを記載したが、蛍光物質は、特定の波長によって発光する物質であればどのような物質でもよく。また、クエンチャーは、その蛍光物質からの発光を吸収し、他の波長に変更する物質であればどのような物質でも良い。このような目的で使われる核酸には、Taqmanプローブ、Molecular Beaconプローブ、Hybridizationプローブ(Roche Diagnostics)がある。
さらに、方法2を使用して、核酸の量を定量する場合に、第4工程が、TaqManプローブ(登録商標)を添加して行われても良い。第4工程が、TaqManプローブ(登録商標)を添加して行われる。第4工程において、所定列付の一本鎖核酸にTaqManプローブ(登録商標)が特異的に結合する。第4工程において、TaqManプローブ(登録商標)上にクエンチャーが存在するため、励起光を照射しても蛍光の発生は抑制されている。第5工程において、核酸が伸張する際に、所定配列付一本鎖核酸に結合したTaqManプローブ(登録商標)が分解され、TaqManプローブ(登録商標)の蛍光色素がプローブから遊離する。励起光の照射によって、遊離した蛍光色素が蛍光を発光する。この蛍光強度を検出することにより、増幅産物の生成量を定量することが可能である。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性の高い増幅産物の測定方法として利用できる核酸増幅方法を提供することが可能である。Taqman プローブを用いたキットとしては、例えばTaqMan Gene Expression AssaysやPre-Developed TaqMan Assay Reagents がある。
さらに、方法2を使用して、核酸の量を定量する場合に、競合核酸として、TaqManプローブ(登録商標)を使用しても良い。第4工程において、TaqManプローブ(登録商標)が、第1の配列に対して第1のプローブと競合的に結合する。第4工程において、TaqManプローブ(登録商標)上にクエンチャーが存在するため、励起光を照射しても蛍光の発生は抑制されている。第5工程において、核酸が伸張する際に、所定配列付一本鎖核酸に結合したTaqManプローブ(登録商標)が分解され、TaqManプローブ(登録商標)の蛍光色素がプローブから遊離する。励起光の照射によって、遊離した蛍光色素が蛍光を発光する。この蛍光強度を検出することにより、増幅産物の生成量を定量することが可能である。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性の高い増幅産物の測定方法として利用できる核酸増幅方法を提供することが可能である。
[実験例1]
方法1による核酸増殖の特異性を調べた。方法1の第1のPCRでは、PCR用試薬としてABI社より販売されているAmpliTaq Goldを使用した。0.625ユニットのAmpliTaq Gold、2.5μlの10×PCR緩衝液(100mM トリス−HCl(pH 9.0)、500mM KCl、15mM MgCl、2mM dNTP)、各2.5μlのプライマー(フォワードプライマー 3μM及びリバースプライマー3μM)、ゲノムDNA 100ngを含む溶液を1μl、滅菌水を加えて25μlの溶液とした。
第1フォワードプライマー(以下、1stPCR/F)は、配列番号1のプライマーを使用した、第1リバースプライマー(以下、1stPCR/R)は、配列番号2の配列のプライマーを使用した。PCR反応にはサーマルサイクラー(Gene Amp 9600, パーキンエルマー社)を用いた。PCR反応条件は、初期変性を96℃で10分間行った後、合成反応サイクル(変性96℃で1分間、アニーリング58℃で1分間、伸長反応72℃で5分間)を12回行い、その後72℃で5分間置いた。
第2のPCRは、PCR用試薬としてABgene社から販売されているABsolute qPCR Rox mixを使用した。12.5μlのqPCR mix、各2.5μlのプライマー・プローブ(フォワードプライマー 3μM、リバースプライマー3μM、及びプローブ2μM)、第1PCR反応液2.5μl、水を5μl加え、27.5μlの溶液とした。プライマーとして、第2フォワードプライマー(以下、2ndPCR/F)は、配列番号3の配列のプライマーを使用した、第2リバースプライマー(以下、2ndPCR/R)は、配列番号4の配列のプライマーを使用した。また測定用のプローブとして、AluLTR probe1(配列番号5)を使用した。
PCR反応にはABI 7700 シークエンス ディテクター システムを用いた。PCR反応条件は、初期変性を96℃で15分間行った後、合成反応サイクル(変性96℃で15秒間、アニーリング及び伸長反応60℃で1分間)を45回行った。
図4は、方法1による実験の結果を示す説明図である。図中のPrimer+/polymerase+は、プライマーとして上記の1stPCR/Fと1stPCR/Rとを使用し、ポリメラーゼを加えて第1のPCRを行い、その増幅産物に対して、第2のPCRを行ったものである。図中のPrimer+/polymerase-は、プライマーとして上記の1stPCR/Fと1stPCR/Rとを使用し、ポリメラーゼを加えず第1のPCRを行い(上記の合成反応サイクルに応じた温度変化を12サイクル行った)、その増幅産物に対して、第2のPCRを行ったものである。図中のPrimer-/polymerase-は、プライマーも、ポリメラーゼも加えずに第1のPCRを行い(上記の合成反応サイクルに応じた温度変化を12サイクル行った)、その増幅産物に対して、第2のPCRを行ったものである。
図4に示されるように、Primer+/polymerase+は、24サイクルで蛍光強度の値が0.4を超えている。Primer+/polymerase-は、27サイクルで蛍光強度の値が0.4を超えている。Primer-/polymerase-は、44サイクルで蛍光強度の値が0.4を超えている。
Primer+/polymerase-は、第1のPCRでポリメラーゼが含まれていないため、第1のPCRでは、核酸の増幅が起こらないはずである。このため、理論的には、Primer-/polymerase-と同じような結果になるはずである。しかし、実際には、Primer+/polymerase-は、27サイクルで蛍光強度の値が0.4を超えている。Primer+/polymerase+の蛍光強度の値が0.4を超えたサイクル数とPrimer+/polymerase-の蛍光強度の値が0.4を超えたサイクル数とは、3サイクルしか異ならない。PCRは1回のサイクルで約2倍に核酸を増幅するため、標的となる核酸を増幅したPrimer+/polymerase+と、意図しない核酸を増幅したPrimer+/polymerase-との核酸の増幅量が近いため、方法1は、あまり特異性が高くない。
[実験例2]
図5は、方法2による実験の結果を示す説明図である。方法2は測定用のプローブとして、配列番号6のAluLTR probe2を使用した以外は、方法1と同様のプロトコルで行った。
図5は、方法2の結果を示している。図中のPrimer+/polymerase+は、プライマーとして上記の1stPCR/Fと1stPCR/Rとを使用し、ポリメラーゼを加えて第1のPCRを行い、その増幅産物に対して、第2のPCRを行ったものである。図中のPrimer+/polymerase-は、プライマーとして上記の1stPCR/Fと1stPCR/Rとを使用し、ポリメラーゼを加えず第1のPCRを行い(上記の合成反応サイクルに応じた温度変化を12サイクル行った)、その増幅産物に対して、第2のPCRを行ったものである。図中のPrimer-/polymerase-は、プライマーも、ポリメラーゼも加えずに第1のPCRを行い(上記の合成反応サイクルに応じた温度変化を12サイクル行った)、その増幅産物に対して、第2のPCRを行ったものである。
図5に示されるように、Primer+/polymerase+は、26サイクルで蛍光強度の値が0.4を超えた。Primer+/polymerase-は、44サイクルで蛍光強度の値が0.4を超えた。Primer-/polymerase-は、45サイクルでは蛍光強度の値が0.4を超えなかった。
この結果から示されるように、Primer+/polymerase+の蛍光強度の値が0.4を超えたサイクル数とPrimer+/polymerase-の蛍光強度の値が0.4を超えたサイクル数とが、約18サイクル異なっており、意図しない核酸の増幅が抑制されていることが示された。このように、第2のPCRにおいて添加された競合核酸(AluLTR probe2)が、第1のPCRにおいて未反応の第1のプライマー(1stPCR/R)の配列番号7の部分の標的核酸に対する結合を競合的に阻害することによって、未反応の第1のプライマーによる意図しない核酸増幅反応を防止することが可能である。このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を提供することが可能である。
[実験例3]
方法2により、第1のPCRにおいて添加するDNAコピー数を変更して、方法2の定量製を調べた。第1のPCRのゲノムDNAを含む溶液1μl中のコピー数を段階希釈し、244000コピー、24400コピー、2440コピー、244コピー、24コピー、2.4コピー含む6種類の溶液に対して方法2を行った。
図6は、サイクル数と蛍光強度との関係を示す説明図である。図6に示されるように、コピー数と蛍光強度に関係性が見られた。図7は、サイクル数と最初のコピー数を対数グラフに示す説明図である。図7に示されるように、線形性が示され、本発明の方法が、核酸量の定量に使用できることが示された。
[実験例3]
本発明の方法を使用して、Jurkat細胞内のウイルス(HIV)由来の核酸量と、宿主細胞のDNAにインテグレートされたウイルス由来の核酸量とを調べた。
図8は、Jurkat細胞内のウイルス由来の核酸量の動態を示す説明図である。ウイルス由来の核酸量の測定方法は以下の通りである。ウイルス溶液として、100ng DNAを含む液1μlを用い、水の量を調節して全体量を25μlに調整した。そして、PCR用試薬としてABgene社から販売されているABsolute qPCR Rox mixを使用した。12.5μlのqPCR mix、各2.5μlのプライマー・プローブ(フォワードプライマー 3μM、リバースプライマー3μM、及びプローブ2μM)、ウイルス溶液1μl、水を5μl加え、25μlの溶液とした。プライマーとして、フォワードプライマー(以下、total/F)は、配列番号8の配列のプライマーを使用した、第2リバースプライマー(以下、total/R)は、配列番号9の配列のプライマーを使用した。また測定用のプローブとして、配列番号10の配列のtotal/probeを使用した。
PCR反応にはABI 7700 シークエンス ディテクター システムを用いた。PCR反応条件は、初期変性を96℃で15分間行った後、合成反応サイクル(変性96℃で15秒間、アニーリング及び伸長反応60℃で1分間)を45回行った。
図8に示されるように、ウイルス感染後、5時間で1000細胞あたりのコピー数が約8000コピーとなった。時間が経過することによって、1000細胞あたりのコピー数が約1000コピーに減少した。HIVは、宿主細胞に感染後に核酸を増幅するが、宿主細胞のDNAにインテグレートされない核酸は、分解されていると考えられている。この結果より、インテグレートされた核酸は、1000細胞あたりのコピー数が約1000コピーであると分かった。
インテグレートされたウイルスの核酸量を、方法2で行った。図9は、Jurkat細胞内でインテグレートされたウイルス由来の核酸量の動態を示す説明図である。図9に示すように、ウイルス感染後、5時間で1000細胞あたりのコピー数が約1500コピーとなり、8時間で、1000細胞あたりのコピー数が約1000コピーとなった。
この結果は、図8の結果から導き出される結論と同じであり、方法2は、このため、新規の標的となる核酸配列に対する特異性を高めた核酸増幅方法を利用した核酸定量法として使用できることが分かった。
従来のAlu−LTR PCR法を説明する概念図である。 改良したNested PCR法を説明する概念図である。 本発明に係る核酸増幅法を説明する概念図である。 方法1による実験の結果を示す説明図である。 方法2による実験の結果を示す説明図である。 サイクル数と蛍光強度との関係を示す説明図である。 サイクル数と最初のコピー数を対数グラフに示す説明図である。 Jurkat細胞内のウイルス由来の核酸量の動態を示す説明図である。 Jurkat細胞内でインテグレートされたウイルス由来の核酸量の動態を示す説明図である。

Claims (12)

  1. 第1配列と、第2配列と、第1配列と第2配列の間にある第3配列を有する標的核酸に対して、所定配列を有し前記標的核酸の前記第1配列に相補的な第1のプライマーと、前記標的核酸の前記第2配列に相補的な第2のプライマーとが結合する第1工程と、
    前記第1のプライマー又は前記第2のプライマーが結合した前記標的核酸を鋳型にして核酸を伸張し、前記第3配列及び前記所定配列を有する第1増幅二本鎖核酸を合成する第2工程と、
    前記第1増幅二本鎖核酸を、前記第3配列及び前記所定配列を有する所定配列付一本鎖核酸に分離する第3工程と、
    前記所定配列付一本鎖核酸に対して、前記所定配列付一本鎖核酸の前記所定配列に相補的な第3のプライマーと、前記所定配列付一本鎖核酸の前記第3配列に相補的な第4のプライマーとが結合する第4工程と、
    前記第3のプライマー又は前記第4のプライマーが結合した前記所定配列付一本鎖核酸を鋳型にして核酸を伸張し、第2増幅二本鎖核酸を合成する第5工程とを備える核酸増幅方法において、
    前記第4工程が、前記第1配列に対して第1のプライマーと競合的に結合する競合核酸を加えて行われることを特徴とする核酸増幅方法。
  2. 前記第1工程から前記第3工程を少なくとも1回反復することを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅方法。
  3. 前記第5工程後に、前記第2増幅標的二本鎖核酸を増幅標的一本鎖核酸に分離する第6工程を備え、
    前記第4工程から前記第5工程を少なくとも1回反復することを特徴とする請求項1又は2に記載の核酸増幅方法。
  4. 前記第1の配列が、ウイルス由来の核酸配列であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の核酸増幅方法。
  5. 前記ウイルス由来の核酸配列が、LTR配列であることを特徴とする請求項4に記載の核酸増幅方法。
  6. 前記ウイルス由来の核酸配列が、Gag配列であることを特徴とする請求項4に記載の核酸増幅方法。
  7. 前記第2の配列が、Aluである請求項1乃至6いずれか記載の核酸増幅方法。
  8. 前記第5工程が、インターカレーター性蛍光物質を添加して行われる請求項1乃至7のいずれか記載の核酸増幅方法。
  9. 前記第4工程が、一端に蛍光物質が結合している蛍光部と他端にクエンチャーが結合しているクエンチャー部とを有する標識核酸、及びRNaseHを添加して行われる請求項1乃至7のいずれか記載の核酸増幅方法。
  10. 前記第4工程が、TaqManプローブを添加して行われる請求項1乃至7のいずれか記載の核酸増幅方法。
  11. 前記競合核酸が、TaqManプローブである請求項1乃至7のいずれか記載の核酸増幅方法。
  12. 請求項1乃至請求項11のいずれか記載の核酸増幅方法を行うためのキット。
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