JP2006317965A - 偏光変換素子及び投写型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】偏光分離膜の層数を少なくして製作に要する時間を短縮できる偏光分離素子又は偏光分離膜の層数をあまり多くせずに光利用効率を高めることを可能にした偏光分離素子を備えた偏光変換素子及び投写型表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】入射された光を二種類の偏光光に分離する偏光分離素子330と、該偏光分離素子からの二種類の偏光光の一方を他方の偏光光に変換する選択位相差板381とを備え、前記偏光分離素子330は、各々の断面が平行四辺形の柱状からなり、交互に貼り合わされたの第1の透明性基板と第2の透明性基板とを備え、且つ、前記第1の透明性基板と前記第2の透明性基板との間には偏光分離膜20と反射膜30とが交互に配置される。前記選択位相差板381は、光の出射面に配置される。
【選択図】図1
【解決手段】入射された光を二種類の偏光光に分離する偏光分離素子330と、該偏光分離素子からの二種類の偏光光の一方を他方の偏光光に変換する選択位相差板381とを備え、前記偏光分離素子330は、各々の断面が平行四辺形の柱状からなり、交互に貼り合わされたの第1の透明性基板と第2の透明性基板とを備え、且つ、前記第1の透明性基板と前記第2の透明性基板との間には偏光分離膜20と反射膜30とが交互に配置される。前記選択位相差板381は、光の出射面に配置される。
【選択図】図1
Description
本発明は入射された光を二種類の偏光光に分離するための偏光分離素子を備えた偏光変換素子及び投写型表示装置に関する。
投写型表示装置には、画像信号に応じて光を変調するために、ライトバルブと呼ばれる素子が用いられる。ライトバルブとしては、透過型液晶パネルや反射型液晶パネルのように、一種類の直線偏光光を利用する形式のものが使用されることが多い。一種類の直線偏光光を利用する投写型表示装置においては、光利用効率を向上させる観点から、光源から出射された無偏光の入射光を一種類の直線偏光光とするための偏光変換素子が設けられている場合がある。そして、この場合、この偏光変換素子は入射された光を二種類の偏光光に分離するための偏光分離素子及び二種類の偏光光の一方を他方の偏光光に変換するための選択位相差板を備えている。即ち、投写型表示装置においては、ランプの光(無偏光)をP偏光光とS偏光光とに分離して、その後、P偏光光をS偏光光に変換することによりランプからの光全てをS偏光光に揃える。ライトバルブ(液晶パネル)にはS偏光光を透過する偏光板が貼られているため、この偏光変換によりランプの出射光の利用効率を向上させている(偏光変換を行わないと、原理的には50%の光が偏光板で吸収されてしまう。)。
ところで、この投写型表示装置に用いる光の波長は可視光(400〜700μm)であることから、理想的な偏光分離素子とは可視光領域全域で、P波の透過率が100%、S波の透過率が0%(反射率が100%)である。従って、この偏光分離素子を設計する場合には以下のことが考慮されている。
(1)可視光全域で平均的に良い特性が得られる。ここで、良い特性とは消光比(P波透過率/S波透過率)が大きいことをいう。
(2)リップル(局所的なピーク)が小さい。
(3)帯域に余裕がある(400〜700μmよりも広い領域で特性が確保できる)。
(1)可視光全域で平均的に良い特性が得られる。ここで、良い特性とは消光比(P波透過率/S波透過率)が大きいことをいう。
(2)リップル(局所的なピーク)が小さい。
(3)帯域に余裕がある(400〜700μmよりも広い領域で特性が確保できる)。
上記の偏光分離素子は、複数の透光性基板と、この複数の透光性基板の間に交互に配置された偏光分離膜と反射膜とを備え、そして、偏光分離膜は例えばMgF2層とMgO層とが交互に積層されて形成されている。この偏光分離素子を上述の点を考慮して設計した場合には、偏光分離膜(MgF2層・MgO層)の層数が必然的に多くなり、製作に要する時間が長くなる、という課題があった。さらに、偏光分離膜の層数を従来並みに抑えながら光利用効率をさらに高めたい、という課題もあった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、偏光分離膜の層数を少なくして製作に要する時間を短縮できる偏光分離素子又は偏光分離膜の層数をあまり多くせずに光利用効率を高めることを可能にした偏光分離素子を備えた偏光変換素子及び投写型表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係る偏光変換素子は、入射した光を二種類の偏光光に分離する偏光分離素子と、該偏光分離素子からの二種類の偏光光の一方を他方の偏光光に変換する選択位相差板とを備え、前記偏光分離素子は、断面が平行四辺形の柱状からなり、第1の透明性基板と第2の透明性基板とを交互に貼り合わせてなり、且つ、前記第1の透明性基板と前記第2の透明性基板との間には偏光分離膜と反射膜とが交互に配置され、前記選択位相差板は、光の出射面に配置されてなるものである。
また、前記偏光分離膜は、前記透光性基板の屈折率に比較して、より小さい屈折率を有する第1の層と、より大きい屈折率を有する第2の層とを交互に複数積層させた多層構造を有し、そして、多層構造部は、特定の波長領域において、S偏光波の透過率が他の波長領域よりも低くなるように第1の層及び第2の層の厚さが規定される。
例えば実際に用いられる白色ランプ(高圧水銀灯)についてみると、400〜700μmの領域で同じ強度で発光しているのではなく、赤(R)、緑(G)及び青(B)の波長に対応した3本のピークがある。それぞれの波長(R,G,B)での発光強度は、他の波長に比べて10倍程度高く、ピーク波長での消光比はスクリーンの明るさに寄与する割合が高い。ところが、従来の偏光分離素子はそのようなランプの特性が反映されていないので、ランプ出力光の利用効率が充分とはいえなかった。しかし、本発明においては、上記のように、特定の波長領域においてS偏光波の透過率が他の波長領域よりも低くなるように第1の層及び第2の層の厚さを規定しているので、ランプ出力光の利用効率が著しく向上している。
例えば実際に用いられる白色ランプ(高圧水銀灯)についてみると、400〜700μmの領域で同じ強度で発光しているのではなく、赤(R)、緑(G)及び青(B)の波長に対応した3本のピークがある。それぞれの波長(R,G,B)での発光強度は、他の波長に比べて10倍程度高く、ピーク波長での消光比はスクリーンの明るさに寄与する割合が高い。ところが、従来の偏光分離素子はそのようなランプの特性が反映されていないので、ランプ出力光の利用効率が充分とはいえなかった。しかし、本発明においては、上記のように、特定の波長領域においてS偏光波の透過率が他の波長領域よりも低くなるように第1の層及び第2の層の厚さを規定しているので、ランプ出力光の利用効率が著しく向上している。
また、前記多層構造部は、特定の波長領域において、前記のS偏光波の透過率の条件に加えて、P偏光波の透過率が他の波長領域よりも高くなるように、第1の層及び第2の層の厚さが規定される。
また、前記特定の波長領域は、光源のピークに対応して設定されるものである。
また、前記特定の波長領域とは、青、緑及び赤の各波長成分を所定の波長幅でそれぞれ含む3個の波長領域である。
また、前記特定の波長領域は、光源のピークに対応して設定されるものである。
また、前記特定の波長領域とは、青、緑及び赤の各波長成分を所定の波長幅でそれぞれ含む3個の波長領域である。
また、本発明に係る投写型表示装置は、光源部と、光源部から出射された光をほぼ一種類の偏光光に変換する偏光変換素子と、偏光変換素子からの光を、与えられた画像信号に基づいて変調する変調手段と、該変調手段により変調された光を投射する投写光学手段とを備え、偏光変換素子は上記の偏光変換素子からなるものである。
以上のように本発明によれば、偏光分離素子の偏光分離膜を構成する多層構造部を、特定の波長領域において、S偏光波の透過率が他の波長領域よりも低くなるように、又はそれに加えて、P偏光波の透過率が他の波長領域よりも高くなるように、偏光分離膜及び反射膜の屈折率及び厚さを規定したので、光源の光の利用率を高めることができる。また、光の利用率を一定とした場合には多層構造部の薄膜の層数を軽減させることができることから、その偏光分離素子又はこの偏光分離素子を含む偏光変換素子の製造時間を短縮させることができる。更に、この偏光変換素子を用いた投写型表示装置においては、光源の光の利用率を高めることができるので、明るい画面が得られる。
実施形態1.
図1は本発明の一実施形態に係る偏光変換素子320を示す説明図である。図1(a)は、偏光変換素子320の平面図であり、図1(b)は、偏光変換素子320の斜視図である。この偏光変換素子320は、入射光をP偏光光とS偏光光とに分離して出射するための偏光分離素子330と、偏光分離素子330で分離された2種類の直線偏光光を1種類の直線偏光光とするためのλ/2位相差板381とを備えている。なお、λ/2位相差板381が本発明における選択位相差板に相当する。
図1は本発明の一実施形態に係る偏光変換素子320を示す説明図である。図1(a)は、偏光変換素子320の平面図であり、図1(b)は、偏光変換素子320の斜視図である。この偏光変換素子320は、入射光をP偏光光とS偏光光とに分離して出射するための偏光分離素子330と、偏光分離素子330で分離された2種類の直線偏光光を1種類の直線偏光光とするためのλ/2位相差板381とを備えている。なお、λ/2位相差板381が本発明における選択位相差板に相当する。
偏光分離素子330は、それぞれ断面が平行四辺形の柱状の第1と第2の透光性基板(以下、「基板」と呼ぶ)321,322が交互に貼り合わされた形状を有している。また、基板321と基板322との間には、偏光分離膜20と反射膜30とが交互に配置されている。
図1(a)に示す偏光変換素子320の偏光分離膜20に、S偏光成分とP偏光成分とを含むランダムな偏光方向を有する光が入射すると、この入射光は、まず、偏光分離膜20によってS偏光光とP偏光光に分離される。S偏光光は、偏光分離膜20によってほぼ垂直に反射され、反射膜30によってさらに垂直に反射されてから出射される。一方、P偏光光は、偏光分離膜20をそのまま透過する。偏光分離膜20を透過したP偏光光の出射面には、λ/2位相差板381が配置されており、このP偏光光がS偏光光に変換されて出射される。したがって、偏光変換素子320を通過した光は、そのほとんどがS偏光光となって出射される。また、偏光変換素子320から出射される光をP偏光光としたい場合には、λ/2位相差板381を反射膜30によって反射されたS偏光光が出射する出射面に配置するようにすればよい。
図2は偏光分離膜20の部分を拡大して示す断面図である。偏光分離膜20は、透光性の基板321上に積層された誘電体多層膜であり、2種類の材質が交互に計49層積層された多層構造部22と、多層構造部22の上に形成された被覆層24とで構成されている。この偏光分離膜20は、基板321の表面上に一層ずつ順次積層されて構成されている。偏光分離膜20が積層された基板321は、光学接着剤18を介して基板322と接着される。被覆層24は、偏光分離膜20と基板322との間の接着性を高める機能を有している。
この多層構造部22は、ほぼ1.5の屈折率を有する基板321上に、基板に対し比較的小さい屈折率を有する層(以下、L層と呼ぶ)と、比較的大きい屈折率を有する層(以下、H層と呼ぶ)とが積層して形成されている。図2の例では、L1,H2,L3,H4,…H48,L49の合計49層が形成され、その上には被覆層(M層)24が形成される。この被覆層(M層)はH層とL層の材質のほぼ中間の屈折率を有する。基板321,322の部材としては、その屈折率がほぼ1.48ないし1.58の種々の部材を用いることができ、屈折率がほぼ1.52の白板ガラスや、BK7−Sなどの光学ガラスを用いることができる。偏光分離膜20のL層の材質としては、MgF2 、H層の材質としてはMgO、被覆層(M層)の材質としてはSiO2 が用いられている。
次に、図2の偏光分離膜20及び被覆層24の各層の膜厚を求める方法について説明する。図2の偏光分離膜20及び被覆層24の各膜厚を求めるためには、例えばFilm*Star(メーカ名:FTG Software Associates社(P.O.Box 579 Princeton,NJ,08542))という名称で市販されているソフトウェアを用いるものとし、そのソフトウェアを使用する際の入力データ、及び出力データは次のとおりである。
1.入力データ
(1)膜特性のシミュレーションのために必要なデータ
a.基板の分散データ(分散データとは屈折率の波長特性である)
b.使用する蒸着薬品の分散データ
c.膜厚(初期値)
d.薄膜への入射角度
e.偏光方向(P波又はS波)
f.中心波長
(2)膜の最適化に必要なデータ
g.要求する膜特性(各波長毎の透過率又は反射率とその許容値)
h.最適化の際に変更しても良い層(例えば50層の内、1層目から49層
目は変化させてもよいが、50層目は変化させない等。)
なお、最適化は上記(1)で入力した膜厚(初期値)を要求特性を満足するように自動で変化させるものとする。
1.入力データ
(1)膜特性のシミュレーションのために必要なデータ
a.基板の分散データ(分散データとは屈折率の波長特性である)
b.使用する蒸着薬品の分散データ
c.膜厚(初期値)
d.薄膜への入射角度
e.偏光方向(P波又はS波)
f.中心波長
(2)膜の最適化に必要なデータ
g.要求する膜特性(各波長毎の透過率又は反射率とその許容値)
h.最適化の際に変更しても良い層(例えば50層の内、1層目から49層
目は変化させてもよいが、50層目は変化させない等。)
なお、最適化は上記(1)で入力した膜厚(初期値)を要求特性を満足するように自動で変化させるものとする。
2.出力データ
(1)膜厚データ
(2)分光データ(波長毎の透過率又は反射率(数値・グラフ))
(1)膜厚データ
(2)分光データ(波長毎の透過率又は反射率(数値・グラフ))
3.本実施形態の入力データ
a.基板材質:BK7の分散データ
b.蒸着薬品の分散データ
H:MgO(酸化マグネシュウム)
L:MgF2 (フッ化マグネシュウム)
M:SiO2 (二酸化ケイ素)
H,L,Mはそれぞれ高屈折率、低屈折率、中間屈折率を表す。
上記a,bの分散データは図3及び図4に示されるとおりの値である。
c.膜厚(初期値):過去の設計例を入力
d.薄膜への入射角:45度
e.偏光方法:P,Sについてそれぞれ計算
f.中心波長:600nm
g.要求する膜特性:
図5に示されるように、波長領域に応じた目標値及びその許容値を入力する。この例においては、目標値を全波長領域において等しくし(100%、0%)、許容値を波長領域431〜450μm(Bの波長領域)、541〜560μm(Gの波長領域)、及び571〜590μm(Rの波長領域)の各波長領域において、その許容値を他の波長領域に比べて厳しくして、その各領域において、P波の透過率が大となるようにし、且つ、S波の透過率が小さくなるように、その特性を規定している。 h.変化させても良い層:1〜49層(又は1〜45層)(50層目(又は46層目)は接着剤との接着性向上の為にあり、薄くなり過ぎると良くないので変化させない。)
a.基板材質:BK7の分散データ
b.蒸着薬品の分散データ
H:MgO(酸化マグネシュウム)
L:MgF2 (フッ化マグネシュウム)
M:SiO2 (二酸化ケイ素)
H,L,Mはそれぞれ高屈折率、低屈折率、中間屈折率を表す。
上記a,bの分散データは図3及び図4に示されるとおりの値である。
c.膜厚(初期値):過去の設計例を入力
d.薄膜への入射角:45度
e.偏光方法:P,Sについてそれぞれ計算
f.中心波長:600nm
g.要求する膜特性:
図5に示されるように、波長領域に応じた目標値及びその許容値を入力する。この例においては、目標値を全波長領域において等しくし(100%、0%)、許容値を波長領域431〜450μm(Bの波長領域)、541〜560μm(Gの波長領域)、及び571〜590μm(Rの波長領域)の各波長領域において、その許容値を他の波長領域に比べて厳しくして、その各領域において、P波の透過率が大となるようにし、且つ、S波の透過率が小さくなるように、その特性を規定している。 h.変化させても良い層:1〜49層(又は1〜45層)(50層目(又は46層目)は接着剤との接着性向上の為にあり、薄くなり過ぎると良くないので変化させない。)
4.本実施形態の出力データ
(1)膜厚データ:図6に示される薄膜データ(1〜50層又は1〜46層)が得られている。なお、図6のデータは各層の光学的厚さであり、実際の膜厚は、設計波長がλ(=600nm)であるから、この光学的厚さDにλ/4を乗じて、屈折率n(波長がλのときの屈折率)で割った値である(=D・λ/4n)。
(2)分光データ:図7は図6の膜厚データの光学特性のシミュレーション結果を示すグラフである。図8は図7のP波の透過率の拡大図であり、図9は図7のS波の透過率の拡大図である。
(1)膜厚データ:図6に示される薄膜データ(1〜50層又は1〜46層)が得られている。なお、図6のデータは各層の光学的厚さであり、実際の膜厚は、設計波長がλ(=600nm)であるから、この光学的厚さDにλ/4を乗じて、屈折率n(波長がλのときの屈折率)で割った値である(=D・λ/4n)。
(2)分光データ:図7は図6の膜厚データの光学特性のシミュレーション結果を示すグラフである。図8は図7のP波の透過率の拡大図であり、図9は図7のS波の透過率の拡大図である。
これらの図7〜図9から明らかなように、P波及びS波の透過率ともに優れた特性が得られていることが分かる。一般に、S波の透過率を低く抑えることは難しいが、図9からも分かるように、上記の各領域(B,G,R)におけるS波の透過率が低くなっており、このため、他の領域がそれに比べて高くなっていても、全体としてS波の透過が低く抑えられる(S波が効率よく反射する)。従って、この偏光分離膜20を用いれば、高効率で可視領域のP偏光光を透過しS偏光光を反射する偏光分離素子330を作製することが可能となる。このため、仮に、偏光分離膜20の薄膜の層数を一定にした場合には、従来のものに比べて明るい画面が得られる。また、このことは、従来のものと同じ明るさの画面を得ようとした場合には、本発明では偏光分離膜20の薄膜の層数を従来のものに比べて少なくすることができる。
実施形態2.
ところで、図2及び図3に示されるような誘電体多層膜は、通常、PVD(真空蒸着)や、プラズマCVDなどを用いた成膜装置で、各層毎に、順次積層して作製される。PVDを用いた成膜装置で成膜する場合には、MgF2 膜やSiO2 膜は、2.66×10-3Pa(2×10-3Torr)程度の真空度で成膜される。また、MgO膜は、蒸着する際に、酸素を補給しながら成膜され、3.99×10-2Pa(3×10-4Torr)程度の真空度で成膜される。また、成膜する際の基板温度は、約300℃に設定される。そして、この薄膜の生成に際しては平均8分〜10分必要であり、その膜数を減らすと大幅な製造時間(成膜時間)の短縮となる。
ところで、図2及び図3に示されるような誘電体多層膜は、通常、PVD(真空蒸着)や、プラズマCVDなどを用いた成膜装置で、各層毎に、順次積層して作製される。PVDを用いた成膜装置で成膜する場合には、MgF2 膜やSiO2 膜は、2.66×10-3Pa(2×10-3Torr)程度の真空度で成膜される。また、MgO膜は、蒸着する際に、酸素を補給しながら成膜され、3.99×10-2Pa(3×10-4Torr)程度の真空度で成膜される。また、成膜する際の基板温度は、約300℃に設定される。そして、この薄膜の生成に際しては平均8分〜10分必要であり、その膜数を減らすと大幅な製造時間(成膜時間)の短縮となる。
実施形態3.
次の表1は本実施形態の偏光変換素子の特性を示したものであり、50層及び46層(図6参照)と従来製品(後述の図15、図16参照)の変換効率と成膜時間を対比させたものである。ここでは、入射光は無偏光(P波とS波とが50%ずつ存在)の光である。そして、出射光はS波そのまま、P波はS波に変換されて出射している。本実施形態の46層の変換効率は従来製品(50層)と比べても良く、本発明の優位性が分かる。なお、本実施形態の50層の成膜時間が従来製品(50層)と比べて短いのは、本実施形態の各層の膜厚が若干薄いためである。
次の表1は本実施形態の偏光変換素子の特性を示したものであり、50層及び46層(図6参照)と従来製品(後述の図15、図16参照)の変換効率と成膜時間を対比させたものである。ここでは、入射光は無偏光(P波とS波とが50%ずつ存在)の光である。そして、出射光はS波そのまま、P波はS波に変換されて出射している。本実施形態の46層の変換効率は従来製品(50層)と比べても良く、本発明の優位性が分かる。なお、本実施形態の50層の成膜時間が従来製品(50層)と比べて短いのは、本実施形態の各層の膜厚が若干薄いためである。
実施形態4.
図10は図1に示す偏光変換素子を備えた投写型表示装置800の要部を示す概略構成図である。この投写型表示装置800は、偏光照明装置50と、ダイクロイックミラー801,804と、反射ミラー802,807,809と、リレーレンズ806,808,810と、3つの液晶ライトバルブ803,805,811と、クロスダイクロイックプリズム813と、投写レンズ814とを備えている。
図10は図1に示す偏光変換素子を備えた投写型表示装置800の要部を示す概略構成図である。この投写型表示装置800は、偏光照明装置50と、ダイクロイックミラー801,804と、反射ミラー802,807,809と、リレーレンズ806,808,810と、3つの液晶ライトバルブ803,805,811と、クロスダイクロイックプリズム813と、投写レンズ814とを備えている。
図11は図10の偏光照明装置50の要部を平面的にみた概略構成図である。この偏光照明装置50は、光源部60と、偏光発生装置70とを備えている。光源部60は、S偏光成分とP偏光成分とを含むランダムな偏光方向の光束を出射する。光源部60から出射された光束は、偏光発生装置70によって偏光方向がほぼ揃った一種類の直線偏光光(本実施形態では、S偏光光)に変換されて、照明領域80を照明する。なお、この照明領域80が図10の投写型表示装置における3つの液晶ライトバルブ803,805,811に相当する。
光源部60は、光源ランプ101と、放物面リフレクター102とを備えている。光源ランプ101から放射された光は、放物面リフレクター102によって一方向に反射され、略平行な光束となって偏光発生装置70に入射する。
偏光発生装置70は、第1の光学要素200と、第2の光学要素400とを備えている。図12は、第1の光学要素200の斜視図である。第1の光学要素200は、矩形状の輪郭を有する微小な光束分割レンズ201が、縦方向にM行、横方向に2N列のマトリクス状に配列された構成を有している。したがって、レンズ横方向の中心線CLからは、左方向にN列、右方向にN列存在する。この例では、M=10,N=4である。第1の光学要素200は、光軸が第1の光学要素200の中心に一致するように配置されている。各光束分割レンズ201をZ方向から見た外形形状は、照明領域80(図9の液晶ライトバルブ803,805,811)の形状と相似形をなすように設定されている。本実施形態では、照明領域80はx方向に長い横長の形状であるため、光束分割レンズ201のXY平面上における外形形状も横長である。
第2の光学要素400(図10)は、光学素子300と出射側レンズ390とを備えている。そして、光学素子300および出射側レンズ390は、その中心が光軸と一致するように配置されている。
光学素子300は、集光レンズアレイ310と、遮光板315と、2つの偏光変換素子320a,bとを備えている。集光レンズアレイ310は、第1の光学要素200と同じ構成のレンズアレイであり、第1の光学要素200と相対する向きに配置される。集光レンズアレイ310は、第1の光学要素200とともに、各光束分割レンズ201で分割された複数の分割光束を集光し、偏光変換素子320a,bの有効入射領域に導く。偏光変換素子320a,bは、図1に示されるような2つの偏光変換素子を、それぞれの偏光分離膜及び反射膜が向かい合うように配置したものである。なお、偏光変換素子320a,bは、前述したように、偏光分離素子330a,bの出射面に、λ/2位相差板381を選択的に配置したものである。遮光板315は、集光レンズアレイ310により偏光変換素子320a,bの偏光分離膜に集光しきれなかった光が反射膜に直接入射するのを防止するために配置される。この偏光変換素子320a,bには、前述した本発明による偏光分離膜および反射膜が備えられている。したがって、光源部60から出射された光束を高効率で一種類の直線偏光光(本実施形態では、S偏光光)に変換して出射することができる。
図10の出射側レンズ390は、光学素子300から出射される複数の分割光束(偏光変換素子320a,bによって変換された直線偏光光の分割光束)の各々を照明領域80上、すなわち図9の各液晶ライトバルブ803,805,811上に重畳させる。
図10のダイクロイックミラー801,804は、偏光照明装置50から出射された光束を赤、青、緑の3色の色光に分離する色光分離手段としての機能を有する。3つの液晶ライトバルブ803,805,811は、与えられた画像情報(画像信号)に従って、3色の色光をそれぞれ変調して画像を形成する変調手段としての機能を有する。クロスダイクロイックプリズム813は、3色の色光を合成してカラー画像を形成する色光合成手段としての機能を有する。投写レンズ814は、合成されたカラー画像を表す光をスクリーン815上に投写する投写光学手段としての機能を有する。
青光緑光反射ダイクロイックミラー801は、偏光照明装置50から出射された光束の赤色光成分を透過させるとともに、青色光成分と緑色光成分とを反射する。透過した赤色光は、反射ミラー802で反射されて、赤光用液晶ライトバルブ803に達する。一万、第1のダイクロイックミラー801で反射された青色光と緑色光のうち、緑色光は緑光反射ダイクロイックミラー804によって反射され、緑光用液晶ライトバルブ805に達する。一万、青色光は、第2のダイクロイックミラー804も透過する。
本実施形態では、青色光の光路の長さが3つの色光のうちで最も長くなる。そこで、青色光に対しては、ダイクロイックミラー804の後に、入射レンズ806と、中間レンズ808と、出射レンズ810とを備えた導光手段850が設けられている。すなわち、青色光は、緑光反射ダイクロイックミラー804を透過した後に、まず、入射レンズ806及び反射ミラー807を経て、中間レンズ808に導かれる。さらに、反射ミラー809によって反射されて出射レンズ810に導かれ、青光用液晶ライトバルブ811に達する。
3つの液晶ライトバルブ803、805、811は、図示しない外部の制御回路から与えられた画像信号(画像情報)に従って、それぞれの色光を変調し、それぞれの色成分の画像情報を含む色光を生成する。これらの液晶ライトバルブには、通常、入射側と出射側にそれぞれ偏光板(図示せず)が設けられている。したがって、所定の偏光光(本実施形態ではS偏光光)のみが液晶ライトバルブの入射側の偏光板を透過し、変調される。
変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム813に入射する。クロスダイクロイックプリズム813には、赤光を反射する誘電体多層膜と、青光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー映像を表す光が形成される。合成された光は、投写光学系である投写レンズ814によってスクリーン815上に投写され、映像が拡大されて表示される。
投写型表示装置800の偏光照明装置50には、前述のように本発明による偏光変換素子320a,bが用いられているので、偏光照明装置50に入射される光源部60からの光は、高効率で所望の直線偏光光(本実施形態では、S偏光光)に変換されて出射される。したがって、このような偏光変換素子320a,bを備える投写型表示装置においては、スクリーン815上に投写される画像の輝度を高めることが可能となる。
図13は上述のスクリーン815上の明るさの分布を実測した図である。同図のL1〜L9は、図14に示されるスクリーン上の位置L1〜L9を示している。図13の実施形態においては図6及び図7の50層の膜数のものを用いており、これは従来製品(50層)に比べて、全ての位置において明るくなっていることが分かる。なお、図13の従来製品は、図15(P波)及び図16(S波)に示されるとおりの特性のものを用いている。
20:偏光分離膜、22:多層構造部、24:被覆層(M層)、30:反射膜、320:偏光変換素子、321,322:基板、330:偏光分離素子、381:λ/2位相差板。
Claims (6)
- 入射した光を二種類の偏光光に分離する偏光分離素子と、
該偏光分離素子からの二種類の偏光光の一方を他方の偏光光に変換する選択位相差板とを備え、
前記偏光分離素子は、
断面が平行四辺形の柱状からなり、第1の透明性基板と第2の透明性基板とを交互に貼り合わせてなり、且つ、前記第1の透明性基板と前記第2の透明性基板との間には偏光分離膜と反射膜とが交互に配置され、
前記選択位相差板は、光の出射面に配置されてなることを特徴とする偏光変換素子。 - 前記偏光分離膜は、前記透光性基板の屈折率に比較して、より小さい屈折率を有する第1の層と、より大きい屈折率を有する第2の層とを交互に複数積層させた多層構造を有し、そして、多層構造部は、特定の波長領域において、S偏光波の透過率が他の波長領域よりも低くなるように第1の層及び第2の層の厚さを規定したものであることを特徴とする請求項1記載の偏光変換素子。
- 前記多層構造部は、特定の波長領域において、S偏光波の透過率の条件に加えて、P偏光波の透過率が他の波長領域よりも高くなるように、前記第1の層及び第2の層の厚さを規定したものであることを特徴とする請求項2記載の偏光変換素子。
- 前記特定の波長領域は、光源のピークに対応して設定されることを特徴とする請求項2又は3記載の偏光変換素子。
- 前記特定の波長領域は、青、緑及び赤の各波長成分をそれぞれ含む3個の波長領域であることを特徴とする請求項2又は3記載の偏光変換素子。
- 光源部と、該光源部から出射された光をほぼ一種類の偏光光に変換する偏光変換素子と、該偏光変換素子からの光を、与えられた画像信号に基づいて変調する変調手段と、該変調手段により変調された光を投射する投写光学手段とを備え、前記偏光変換素子は請求項1〜5のいずれかに記載の偏光変換素子からなることを特徴とする投写型表示装置。
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