JP2006317935A - プロジェクタ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光利用効率が高くて表示画面が明るく、小型・低消費電力で光源寿命の長いプロジェクタ装置を提供する。
【解決手段】 発光素子アレイ部2は、赤色LEDチップ,緑色LEDチップ,青色LEDチップからなる複数のLEDランプを備える。赤色LEDチップ,緑色LEDチップおよび青色LEDチップが時系列的に発光したR,G,Bの3原色光Lr,Lg,Lbは、整形光学系3によって平行光に整形され、ダイクロイックミラー4で反射した後、2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50に入射し、2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50によって各色の画像信号Sr,Sg,Sbに応じて時系列的に空間変調が施され、投影光学系7によってスクリーン6に拡大投影される。
【選択図】図1

Description

本発明は、単一の2次元の空間光変調器を用いて多階調の画像を投影するプロジェクタ装置に関し、特に、光利用効率が高くて表示画面が明るく、小型・低消費電力で光源寿命の長いプロジェクタ装置に関する。
昨今、高精細テレビ(HDTV)等の出現やパーソナルコンピュータの普及とそのマルチメディア化により、複数人で使用する数十インチから200インチの高精細・大画面の画像表示と小型・軽量化への要求が高まってきており、それに向けた各種方式の製品が開発されてきている。この要求に対応するものとして、従来より、液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ,発光ダイオードディスプレイ等の平面ディスプレイがある。
液晶ディスプレイは、近年、14インチの卓上型から大型化が進み、液晶空間光変調器を2枚張り合わせた25インチのものも発表されている。しかし、液晶ディスプレイの場合、液晶空間光変調器を作製するプロセスが複雑で長く、大型のものができない、高価格となる等の本質的な問題があり、数十インチ以上の大型化は難しく、なされたとしても数枚の液晶空間光変調器を張り合わせて作られるため、そのつなぎ目が問題となる外、高価格となることは否めない。
プラズマディスプレイは、上記液晶ディスプレイに対抗する大画面ディスプレイとして、最近出現し注目を集めている。それは、プラズマディスプレイは、構造が簡単で、作製プロセスが短く、大画面のものが作り易いこと、プラズマからの紫外光による励起に適した蛍光体の開発により、色再現性の良いディスプレイが可能になったこと等による。しかし、プラズマディスプレイの場合、発光効率が悪いため、40インチでも300W程度の大入力が必要である、放電電圧が200〜300Vと高いため、高耐圧の駆動回路が必要となる等の問題がある。また、平面ディスプレイといっても実際には筐体も含めて10センチ程度の厚さとなり、重量も40インチ程度で数十キログラムと重く、壁掛け型として使用するには特別の工事が必要となる。
発光ダイオードディスプレイは、近年開発された高輝度・高効率の緑色や青色の発光ダイオードと、既存の高効率の赤色発光ダイオードとを組み合わせて画素を構成したものが開発されている。この場合、1画素を3つの発光ダイオードで構成するため、通常のパソコン程度の画素数(480×600)でも約90万個の発光ダイオードが必要となる。従って、将来発光ダイオードの価格が1個10円程度に下がったとしても、発光ダイオードのコストだけでも1千万円程度と高価格になり、家庭や小会議室で用いるには不向きである。
上述した平面ディスプレイの有する問題を回避するものとして、プロジェクタ装置が知られている。このプロジェクタ装置は、従来より、光源や空間光変調器、3原色分離合成用光学系等の種類により種々のタイプのものが開発されており、空間光変調器としては、透過型あるいは反射型の液晶空間光変調器や、2次元マイクロ偏向ミラーアレイ等の各種のものがある。このプロジェクタ装置では、画像表示部として画像光を投影するスクリーンないし白色の壁があればよく、像表示部は軽量にできる、また、使用場所の広さに応じて画面サイズを自由に変えられる等の利点がある。また、空間光変調器で形成された画像光を投影レンズを用いて数十倍に拡大投影するため、空間光変調器自体は2〜3インチと通常のディスプレイに比べて非常に小型のものでよく、低価格化の可能性を内包した装置であると言える。
図7は、従来のプロジェクタ装置として空間光変調器に単一の2次元マイクロ偏向ミラーアレイを用いたものを示す(Projection DisplayII ,P.193,1996:Proceedings of SPIE,Vol.2650)。このプロジェクタ装置100は、白色光を発光するキセノンランプ,ハロゲンランプ,メタルハライドランプ等のランプ101、およびこのランプ101の出力光を一旦集光した後、所定の方向に反射する放物線状のリフレクタ102からなる光源部103と、光源部103の出力光から赤外成分を取り除くコールドミラー104と、コールドミラー104からの光を回転フィルター板105に取り付けられた赤,緑,青(R,G,Bと略す。)3色のフィルター105r,105g,105b上に集光する集光レンズ106と、フィルター105r,105g,105bによって色分離されたR,G,Bの3色光Lr,Lg,Lbを折り返しミラー108に導くリレイレンズ107と、折り返しミラー108からのR,G,Bの3色光Lr,Lg,Lbを偏向してR,G,B3色の画像信号光109r,109g,109bを出力する2次元マイクロ偏向ミラーアレイ109と、2次元マイクロ偏向ミラーアレイ109からの画像信号光109r,109g,109bと折り返しミラー108からのR,G,Bの3色光Lr,Lg,Lbとを分離する全反射プリズム110と、2次元マイクロ偏向ミラーアレイ109からの画像信号光109r,109g,109bを図示しないスクリーンに投影する投影レンズ111とを備えている。
このプロジェクタ装置100において、光源部103の出力光103aは、コールドミラー104で赤外成分が取り除かれた後、集光レンズ106によって集光され、回転フィルター板105のR,G,B3色のフィルター105r,105g,105bを透過する。回転フィルター板105の回転速度は、画像のフレーム表示速度に等しく、毎秒60回転である。その1回転の間に、回転フィルター板105の透過光(103a)は、フィルター105r,105g,105bによってR,G,Bの3色光Lr,Lg,Lbに時分割的に色分離され、折り返しミラー108および全反射プリズム110を介して2次元マイクロ偏向ミラーアレイ109に入射する。2次元マイクロ偏向ミラーアレイ109に入射したR,G,Bの3色光Lr,Lg,Lbは、各色の画像信号に基づいて偏向され、画像信号光109r,109g,109bとして形成される。この画像信号光109r,109g,109bは、投影レンズ111によって図示しないスクリーンに投影される。ところで、R,G,Bのフィルター105r,105g,105bの面積比率は、R,G,B光の強度により若干異なるが、R,G,B光それぞれの持続時間は平均5.6ミリ秒である。2次元マイクロ偏向ミラーアレイ109中の各マイクロ偏向ミラーの偏向時定数は、5マイクロ秒と上記の持続時間の1/1000であり、マイクロ偏向ミラーの偏向時間の調節により、R,G,Bそれぞれ8ビット以上の階調を付けることが可能である。このように単一の2次元マイクロ偏向ミラーアレイ109を用いることにより、部品点数が少なく、小型で、低価格化が望め、家庭用の表示装置として適したプロジェクタ装置を実現することができる。
しかし、従来のプロジェクタ装置100によると、以下の問題がある。
(1) 光利用効率が悪い。
光源としてキセノンランプやハロゲンランプ、メタルハライドランプが使用されているため、光源の寿命が短い上にオンオフ変調ができないので連続点灯をすることになる。また、上記のように時分割でR,G,B光の変調を行うため、R,G,B光は、それぞれ他の色光を変調している間はフィルター105r,105g,105bでカットされる。このため、光利用効率はその分低下し、3つのマイクロ偏向ミラーアレイを用いてR,G,B光を個別に変調する方式に比べて約1/3に減少する。一方、プロジェクタ装置に使用されるハロゲンランプやキセノンランプ等の光源は放電のための数センチ大のガラス球内に封じ込められており、リフレクタのサイズはそれに制限されてあまり小さくできないため、この出力光を10〜20mmサイズの平行光に整形した時の集光効率は低く、50%以下である。また、偏向ミラーにはアルミが使用でき、反射率は90%であるが、他の光学系でのけられや吸収を考慮すると、総合の光利用効率は10%と小さくなる。また、メタルハライドランンプの場合、R色のスペクトルの光強度は弱いため、カラーバランスを良くしようとすると、他のG色,B色のスペクトルの光強度を減じなければならず、さらに利用効率は低下する。現在開発されている単板型のマイクロ偏向ミラーアレイを用いたプロジェクタ装置の投影光束は、光源電気入力300Wとしてもせいぜい300lm程度であり、発光効率が悪い。
(2) 消費電力が大きく、装置が大型になる。
光利用効率が悪いことから、メタルハライドランンプのように高輝度の光源を使用しなければならず、そのために消費電力が300Wと大きくなり、電源部の大型化に伴い、プロジェクタ装置も大型になる。
(3) ランプの寿命が短く、頻繁なランプ交換が必要となる。
光源としてキセノンランプやハロゲンランプ、メタルハライドランプが使用されているため、光源の寿命が短い上にオンオフ変調ができないので連続点灯をすることになることから、頻繁なランプ交換が必要となる。例えば、メタルハライドランプの場合では、中心強度が50%低下するまでの時間で評価して1000時間である(照明学会誌、第77巻、第12号、P.748、平成5年)。これは8時間/日の使用頻度で4か月程度の寿命となり、頻繁なランプ交換が必要となる。しかし、ランプ表面は高温となるため、わずかでも汚れがあるとランプが爆発する危険がある、ランプに位置ずれがあると集光効率が下がったり、画質が低下する等の問題があり、素人によるランプ交換は難しく、専門の技術者が取り替えている状況である(たとえば1000万台普及したとすると、1日に10万件のランプ交換が発生し、1万人以上の技術者が必要となる)。
(4) その他
回転フィルター板105の透過光のうち表示に利用されない光はフィルター105r,105g,105bに吸収され、このときの熱でフィルター105r,105g,105bや装置100内が加熱され、装置の信頼性を低下させる、空冷用のファンが必要となる等の問題がある。
これらのことが、高価格であることの外に、プロジェクタ装置が家庭や小会議室等になかなか普及しないことの大きな原因である。
従って、本発明の目的は、光利用効率の向上を図り、表示画面の明るいプロジェクタ装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、低消費電力化を達成でき、小型化を図ったプロジェクタ装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、光源の長寿命化を図ったプロジェクタ装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、発光色の異なる複数の発光ダイオードからなる複数の発光体と、前記複数の発光ダイオードを前記発光色毎に順次発光させて複数の出力光を時系列的に出射させる第1の駆動手段と、前記複数の発光体から出射された前記複数の出力光を平行光に整形する整形光学系と、2次元光偏向ミラーアレイと、前記発光色に対応する画像信号に基づいて前記2次元光偏向ミラーアレイを駆動させ、前記整形光学系からの前記平行光を時系列的に偏向反射して出力する第2の駆動手段と、前記第1の駆動手段は、前記複数の発光体の前記複数の発光ダイオードを、前記発光ダイオードからの出力光を前記2次元光偏向ミラーアレイにより偏向反射する期間に点灯させ、発光色が次の発光色に切り替わる期間に消灯させることを特徴とするプロジェクタ装置を提供する。
本発明によれば、光源の出力光が指向性を有しているので、光利用効率の大幅な改善を図ることができ、明るい表示画面が得られる。また、光源に発光効率の高い半導体発光素子を用いているので、低消費電力化が達成できる。光利用効率が高くなり、低消費電力化が図れることから、光源の長寿命化が図れる。さらに、単一の発光体アレイと単一の空間光変調手段を用いているので、小型化が図れる。この結果、家庭や小会議室等への普及が可能になる。
図1は、本発明の実施の形態に係るプロジェクタ装置を示す。このプロジェクタ装置1は、R(赤),G(緑),B(青)の3原色光Lr,Lg,Lbを時系列的に発光する発光素子アレイ部2と、発光素子アレイ部2からの3原色光Lr,Lg,Lbを平行光に整形する整形光学系3と、平行光に整形された3原色光Lr,Lg,Lbを反射するダイクロイックミラー4と、ダイクロイックミラー4で反射した3原色光Lr,Lg,Lbに各色の画像信号Sr,Sg,Sbに応じて反射光量が変化する処理(空間変調)を時系列的に施してR,G,Bの画像信号光Sr,Sg,Sbとして出力する空間光変調部5と、空間光変調部5からのR,G,Bの画像信号光Sr,Sg,Sbを時系列的にスクリーン6に拡大投影する投影レンズの如き投影光学系7と、発光素子アレイ部2を駆動する発光素子アレイ部ドライバー8と、空間光変調部5を駆動する空間光変調部ドライバー9と、R,G,Bの画像信号Sr,Sg,Sbに基づいて発光素子アレイ部ドライバー8および空間光変調部ドライバー9を制御する制御部10とを具備している。
発光素子アレイ部2は、複数の発光体としての発光ダイオード(以下「LED」という。)ランプから構成され、赤色光Lr、緑色光Lgおよび青色光Lbを発光するLEDアレイ20と、LEDアレイ20の前面にそれぞれ配置されたマスク21とを備えている。
整形光学系3は、発光素子アレイ部2からの3原色光Lr,Lg,Lbを平行光に整形する2次元のマイクロレンズアレイ30と、マイクロレンズアレイ30によって整形された3原色光Lr,Lg,Lbを空間光変調部5の後述する2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50の画素範囲に対応して縮小する、凸レンズ31および凹レンズ32を組み合わせて構成された縮小光学器33とを備えている。なお、マイクロレンズアレイ30の代わりに、ガラス等の透明媒体からなる微小な凹凸面を有するホモジナイザ等を用いてもよい。この場合は、LEDアレイ20からの入射光が微小凹凸面により散乱され、この微小凹凸面が2次的な光源面として機能し、この散乱光は縮小光学器33によって平行光に整形される。
空間光変調部5は、ダイクロイックミラー4からの3原色光Lr,Lg,Lbに空間変調を画素毎に施す2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50と、2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50に入射したR,G,Bの3原色光Lr,Lg,Lbの無効反射光を受光するストッパー51とを備えている。
次に、発光素子アレイ部2および整形光学系3の詳細について図2および図3を参照して説明する。
図2(a) は、LEDランプの構成を示し、同図(b) はLEDランプの出力光の指向性を示し、図3は、発光素子アレイ部2と整形光学系3との関係を示す。LEDランプ22は、図2(a) に示すように、R,G,Bの各色の光をそれぞれ発光するサイズ350μm角の赤色LEDチップ220R,緑色LEDチップ220Gおよび青色LEDチップ220Bを金属基板221上に100μmの間隔で配置し、各LEDチップ220(220R,220G,220B)は金属基板221上にボンディングされている。なお、G色は比較的光量が必要なため、2つの緑色LEDチップ220Gを使用した。また、LEDランプ22は、LEDチップ220の保護と光出力の増大および指向性を増すために、これらを砲弾型のエポキシ樹脂222で覆っており、金属基板221の下側からLED基板に通電するための電極223を導出している。また、LEDアレイ20は、図2(b) に示すような出力光の光量分布22aを有したサイズ3mmφのLEDランプ22を図3に示すようにLED基板23上に配列ピッチ4mmで2次元に300(15×20)個配列し、アレイサイズを約60×80mmとし、LEDチップ220を行単位で直列に配線し、かつ、各行を並列に配線したものである。LEDランプ22を2次元に配列することにより、必要な光束を得ることができる。また、LEDアレイ20のサイズの縦横比を3:4とし、2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50の画素範囲と合わせることで、光利用効率をさらに高めることができる。LEDランプ22の出力光は、指向性が強く、発光部面積も小さいため、集光効率が高くなる。また、半導体発光素子のスペクトル幅が数十nm以下と比較的狭い単色光を出力するので、色合成効率が高くなる。
マスク21は、図3に示すように、開口部21aによって各LEDランプ22の出力光22aのうち周辺部をカットし、中心部の出力光22bのみを透過させるように構成されている。
マイクロレンズアレイ30は、図3に示すように、LEDアレイ20の各LEDランプ22の光軸と一致するように正方形の複数のマイクロレンズ30aを隙間なく2次元に配列し、各マイクロレンズ30aの焦点距離をLEDアレイ20とマイクロレンズアレイ30との距離D1 にほぼ等しくしている。また、マイクロレンズアレイ30の各マイクロレンズ30aの開口数WをLEDランプ22の中心部の出力光22bの広がり角(約30度)θに対応させている。これにより、LEDランプ22の出力光22bは、ほぼ均一な光強度分布を有する平行光30bとなる。
図4は、縮小光学器33の詳細を示す。縮小光学器33は、マイクロレンズアレイ30の各マイクロレンズ30aからの平行光30bを凸レンズ31と凹レンズ32によって縮小し、平行光33aとしてダイクロイックミラー4を介して2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50に入射するようになっている。縮小光学器33の縮小率は、2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50のサイズとLEDアレイ20のサイズの比率より若干小さい値(例えば、0.13/1)とする。これにより、マイクロレンズアレイ30からの平行光30bを再度平行光33aとして2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50にほぼ均一に照射することができる。
図5は、空間光変調部5の詳細を示す。2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50は、16μm程度の正方形状の複数のマイクロ偏向ミラー52を半導体基板53上にピボット54によって2次元アレイ状に配列して構成されている。ここでは、画素数(ミラー数)480×640ドット、画素範囲約7.7×10.2mmのものを用いる。各マイクロ偏光ミラー52は、空間光変調部ドライバー9の駆動によって半導体基板53にアレイ状に形成されたトランジスタ(図示省略)がオンして発生する静電力に基づいて偏向し、LEDアレイ20からの3原色光Lr,Lg,Lbを有効反射光とする場合は、マイクロ偏向ミラー52は図5の実線で示す状態に配置され、3原色光Lr,Lg,Lbを投影光学系7に順次反射し、無効反射光とする場合は、マイクロ偏向ミラー52は図5の破線で示す状態に配置され、3原色光Lr,Lg,Lbをストッパー51に順次反射するようになっている。また、各マイクロ偏向ミラー52は、制御部10の制御に基づく空間光変調部ドライバー9の駆動によってR,G,Bの画像信号Sr,Sg,Sbを構成する画素信号の大きさに応じて投影光学系7への反射時間(最大で4.5ミリ秒、最小で17.6マイクロ秒)が制御され、反射光量が256階調(8ビット)で変化するようになっている。
図6(a) は、本装置1各部の動作タイミング、同図(b) は、LEDチップ220の印加可能電流のパルスデュティ比に対する依存性を示し、同図(c) は、LEDチップ220の入力電流に対する出力特性を示す。制御部10は、同図(a) に示すように、R,G,Bの画像信号Sr,Sg,Sbが入力されると、その入力のタイミングに同期して1フレーム間に赤色LEDチップ220R,緑色LEDチップ220G,青色LEDチップ220Bが所定のデュディ比(約1/3)で時系列的に点灯するように発光素子アレイ部ドライバー8に対する点灯制御を行うとともに、2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50が時系列的に偏向を行うように空間光変調部ドライバー9に対する光量制御を行うものである。この光量制御により多階調(フルカラー)の画像表示が可能になる。また、制御部10は、2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50における水平および垂直ブランキング期間は、LEDチップ220を消灯するように発光素子アレイ部ドライバー8を制御するようになっている。
図6(b) から明らかなように、デュティ比を100%(連続入力(CW))から約1/3に下げることで、印加可能電流を2.5 倍に増加させることができ、出力もこれに比例して3倍あるいはそれ以上に増加させることができる。これは、LEDチップ220の印加電流および出力は、主に発熱量で制限されているため、印加可能電流を点灯時間に逆比例して増加させることができ、出力もこれに比例してあるいはそれ以上に増加させることができるからである。
また、図6(c) から明らかなように、入力電流に対する出力は、CWの場合(破線)入力電流の増加に連れて飽和傾向を示すのに対して、パルス入力の場合(デュティ比30%)には60mAまで入力電流に比例して増加する。LEDチップ220の定格電流値はCWの場合20mA程度である。従って、デュティ比を30%程度に下げることにより、出力は3倍以上に増加できる。言い換えると、時系列的にR,G,B光を分割しても総出力はCWの場合と同程度以上にできることが分かる。さらに、画像フレームの水平および垂直のブランキング期間の間に全LEDチップ220を消灯することにより、さらにパルス光出力の増加が可能となる。NTSC信号の場合、ブランキング期間は全体の20%であるが、この間は全LEDチップ220の消灯が可能なので、それぞれのLEDチップ220R,220G,220Bのデュティ比は27%まで下げられ、この結果、パルス電気入力はCWの場合の約3倍、出力は約3.5倍にでき、光利用効率をさらに高めることができる。
次に、上記構成の第1の実施の形態に係るプロジェクタ装置1の動作を説明する。制御部10は、各色の画像信号Sr,Sg,Sbに同期して発光素子アレイ部ドライバー8を制御し、LEDアレイ20の赤色LEDチップ220R,緑色LEDチップ220G,青色LEDチップ220Bを時系列的に点灯させる。すなわち、制御部10は、図6(a) に示すように、Rの画像信号Srが入力されると、LEDアレイ20の赤色LEDチップ220Rを点灯させ、Gの画像信号Sgが入力されると、緑色LEDチップ220Gを点灯させ、Bの画像信号Sbが入力されると、青色LEDチップ220Bを点灯させる。LEDアレイ20で発光した赤色光Lr,緑色光Lgおよび青色光Lbは、マスク21によって周辺部がカットされた後、整形光学系3のマイクロレンズアレイ30を構成するマイクロレンズ30aによって平行光に整形され、縮小光学器33によって縮小され、ダイクロイックミラー4で反射し、空間光変調部5の2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50にそれぞれ入射する。
一方、制御部10は、各色の画像信号Sr,Sg,Sbに同期して空間光変調部ドライバー9を制御し、空間光変調部5の2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50にてR,G,Bの3色光Lr,Lg,Lbを時系列的に空間変調させる。すなわち、LEDアレイ20からの3原色光Lr,Lg,Lbを有効反射光とする場合は、制御部10は、Rの画像信号Srが入力されると、赤色光Lrに画像信号Srを構成する画素信号に応じて反射光量が変化する空間変調を2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50にて画素毎に施し、Gの画像信号Sgが入力されると、緑色光Lgに画像信号Sgを構成する画素信号に応じて反射光量が変化する空間変調を2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50にて画素毎に施し、Bの画像信号Sbが入力されると、青色光Lbに画像信号Sbを構成する画素信号に応じて反射光量が変化する空間変調を2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50にて画素毎に施す。このとき、2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50は、LEDアレイ20からの3原色光Lr,Lg,Lbを有効反射光とする場合は、3原色光Lr,Lg,Lbを投影光学系7に反射し、無効反射光とする場合は、3原色光Lr,Lg,Lbをストッパー51に反射する。2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50によって有効反射光として空間変調されたR,G,Bの画像信号光5r,5g,5bは、投影光学系7によってスクリーン6に拡大投影される。このようにして、フルカラー画像がスクリーン6に大画面で表示される。
次に、上記第1の実施の形態に係るプロジェクタ装置1の効果を説明する。
(イ) 光利用効率が向上し、明るい表示画面が得られる。
R,G,Bの各色別の光源を用いているので、色分離が不要となり、色分離時の光損失を避けることができる。また、指向性良く集光できるため、投影光学系7の投影効率を85%以上に高くできる。この結果、この装置1の光学系における光透過効率は、発光素子アレイ部2および整形光学系3では90%、2次元マイクロ偏向ミラーアレイ50の反射率は90%、投影光学系7では85%であるので、総合の光利用効率は約70%と従来の約7倍に向上した。また、R,G,BのLEDチップ220R,220G,220Bの出力光の波長、色度座標、およびパルス光出力が、それぞれ650nm:(0.7、0.28):1.2lm、520nm:(0.17、0.7):5lm、450nm:(0.13、0.075):1lmであるので、合成白色光の色度座標は(0.34、0.35)でほぼ標準の白色となり、全LEDランプ22で約720lm、投影光束である画像信号光5r,5g,5bとして500lmの明るさが得られた。
(ロ) 低消費電力化を達成でき、小型化が図れる。
LEDチップ(220)1個当たりの消費電力は、R,G,Bそれぞれ120mW、165mW、210mW(電流は各60mA)、各LEDチップ220R,220G,220Bの点灯デュティ比を27%とすることにより、全消費電力は30W以下と従来の1/10になった。LEDチップ(220)1個当たりの動作電圧は2〜3.6Vであり、LEDアレイ20の動作電圧と電流を扱い易い値(<100V、<1A)に抑えるために、LEDアレイ20中のLEDチップ220を行単位を直列に配線し、かつ、各行を並列に配線しているので、LEDチップ220の動作電圧と電流は、それぞれ40〜80V、0.5Aとなった。また、各LEDチップ220は、水平ブランキング(NTSC信号では約13%)と垂直ブランキング(8%)の期間は消灯した。これにより、約2割の電力と発熱量の低減が図られ、LEDアレイ20の全消費電力を更に抑えることができる。また、単一のLEDアレイ20と単一の空間光変調器を用いているので、プロジェクタ装置の小型化が図れる。
(ハ) 光源の長寿命化が図れる。
光源であるLEDランプ22の寿命は1万時間以上と、ハロゲンランプ等の10倍以上であるため、光源の大幅な長寿命化が図れ、8時間/日程度の使用頻度で4年近く継続して使用可能になる。
(ニ) コスト低減が図れる。
LEDランプ22の価格は10〜数十円/個であり、LEDアレイ20全体では数千円〜1万円と若干従来の光源(千数百円)に比べて割高となるが、この間まったくランプの交換が要らないこと、消費電力が1/10であることや安全性などを考慮すれば、光源のコストが1桁高くても十分見合うものである。
なお、上記実施の形態では、空間光変調器として、単一の2次元マイクロ偏向ミラーアレイを使用したが、強誘電液晶を用いた反射型や透過型の空間光変調器を用いても同様の効果の得られることは言うまでもない。また、ネマチック液晶や分散型液晶を用いた反射型や透過型の空間光変調器においても、変調速度が数十ミリ秒と遅いため、画像のちらつきが生じるがやはり同様の効果を得ることができる。また、上記実施の形態では、発光素子アレイとして、R,G,Bの出力光を出射するものを用いたが、このうちの2色、あるいは他の2色以上の組合せでもよい。2色の出力光を用いた場合に、2色とその混色で画像信号光を時系列的に表示してもよい。
本発明の実施の形態に係るプロジェクタ装置の構成図である。 (a)は本実施の形態に係るLEDランプの構成図、(b)はその出力光の指向性を示す図である。 本実施の形態に係る発光素子アレイ部と整形光学系との関係を示す図である。 本実施の形態に係る縮小光学器の詳細を示す図である。 本実施の形態に係る空間光変調部の詳細を示す図である。 (a)は本装置各部の動作タイミングを示す図、(b)はLEDチップの印加可能電流のパルスデュティ比に対する依存性を示し、(c)はLEDチップの入力電流に対する出力特性を示す図である。 従来のプロジェクタ装置の構成図である。
符号の説明
1 プロジェクタ装置
2 発光素子アレイ部
3 整形光学系
4 ダイクロイックミラー
5 空間光変調部
5 r,5g,5b 画像信号光
6 スクリーン
7 投影光学系
8 発光素子アレイ部ドライバー
9 空間光変調部ドライバー
10 制御部
20 LEDアレイ
21 マスク
21a 開口部
22 LEDランプ
22a 光量分布
22b 出力光
23 基板
30 マイクロレンズアレイ
30a マイクロレンズ
30b,33a 平行光
31 凸レンズ
32 凹レンズ
33 縮小光学器
50 2次元マイクロ偏向ミラーアレイ
51 ストッパー
52 マイクロ偏向ミラー
53 半導体基板
54 ピボット
220R 赤色LEDチップ
220G 緑色LEDチップ
220B 青色LEDチップ
221 金属基板
222 エポキシ樹脂
223 電極
1 距離
Lr 赤色光
Lg 緑色光
Lb 青色光
Sr,Sg,Sb 画像信号
W 開口数
θ 広がり角

Claims (8)

  1. 発光色の異なる複数の発光ダイオードからなる複数の発光体と、
    前記複数の発光ダイオードを前記発光色毎に順次発光させて複数の出力光を時系列的に出射させる第1の駆動手段と、
    前記複数の発光体から出射された前記複数の出力光を平行光に整形する整形光学系と、
    2次元光偏向ミラーアレイと、
    前記発光色に対応する画像信号に基づいて前記2次元光偏向ミラーアレイを駆動させ、前記整形光学系からの前記平行光を時系列的に偏向反射して出力する第2の駆動手段と、
    前記第1の駆動手段は、前記複数の発光体の前記複数の発光ダイオードを、前記発光ダイオードからの出力光を前記2次元光偏向ミラーアレイにより偏向反射する期間に点灯させ、発光色が次の発光色に切り替わる期間に消灯させることを特徴とするプロジェクタ装置。
  2. 前記発光体は、前記発光色が赤色、緑色および青色の3つの前記半導体素子からなる構成の請求項1記載のプロジェクタ装置。
  3. 前記複数の発光体は、1次元あるいは2次元に配列された構成の請求項1記載のプロジェクタ装置。
  4. 2次元に配列された前記複数の発光体は、縦横比を前記スクリーンに投影される画面の縦横比と同程度とした構成の請求項3記載のプロジェクタ装置。
  5. 2次元に配列された前記複数の発光体の前記複数の半導体発光素子は、行単位で直列に接続され、かつ、各行が並列に接続された構成の請求項3記載のプロジェクタ装置。
  6. 前記整形光学系は、前記複数の発光体の前記出力光を均一な光強度分布を有する前記平行光に整形する構成の請求項1記載のプロジェクタ装置。
  7. 前記整形光学系は、前記複数の発光体の前面に前記複数の発光体に対向するように配置され、前記複数の発光体から出射された前記複数の出力光を前記平行光に整形する複数のマイクロレンズによって構成される請求項1記載のプロジェクタ装置。
  8. 前記整形光学系は、主として2つのレンズにより前記複数の発光体から出射された前記複数の出力光を拡大あるいは縮小して前記平行光に整形する構成の請求項1記載のプロジェクタ装置。
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