JP2006317371A - 発光分光分析方法及び発光分光分析装置 - Google Patents

発光分光分析方法及び発光分光分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 目的元素の半定量分析に使用する定性データベースを簡便に校正して精度を高めることにより、半定量分析の精度向上を図る。
【解決手段】 定性データベースに収録する全ての元素のスペクトル線について、プラズマ状態に変動に対する強度変動の傾向が類似した複数のグループに分類し、各グループ毎に代表スペクトル線を定めておく。校正時には、この複数の代表スペクトル線の測定が可能であるような組成の標準試料を測定し、代表スペクトル線の実測強度を取得する(S1〜S3)。その実測強度と定性データベースに格納されている基準強度とから各スペクトル線毎に校正係数を求め(S4)、各グループ毎に当該グループに属する代表スペクトル線から求めた校正係数を用いて全スペクトル線の基準強度を補正する(S5)。これによれば、測定すべき標準試料は1乃至2程度で済むので手間と時間をあまり掛けずに定性データベースを校正できる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma=ICP)発光分光分析装置やレーザ励起発光分光分析装置等の各種の発光分光分析装置、及び該装置を用いた発光分光分析方法に関し、更に詳しくは、そうした発光分光分析において定性データベースを利用して定性分析とともに半定量分析を行って半定量値(定性値)を算出する発光分光分析装置及び発光分光分析方法に関する。
ICP発光分光分析装置では、試料をICPトーチ中の高温のプラズマ内に導入して励起発光させ、その発光光を波長分散させて検出器で検出することにより発光スペクトルを取得し、その発光スペクトルに現れているスペクトル線(輝線スペクトル)の波長から試料に含まれる元素の定性分析(同定)を、スペクトル線の強度からその元素の定量分析を行う(例えば特許文献1など参照)。
通常、定量分析では、ユーザが予め既知の濃度の標準試料を分析することで作成した検量線を参照して正確な定量値(濃度)を算出するが、こうした検量線を作成するためには各元素毎に標準試料を分析して検量線を作成しておく必要がある。これに対し、定量分析ほどの精度を必要としないおおよその含有量を知りたい場合や、厳密な定量分析に先立って共存元素の妨害の可能性や妥当な定量濃度範囲等の推定を行いたい場合などには、装置メーカーから提供される定性データベースを用いた半定量分析が行われる。こうした半定量分析では、定性された元素の濃度や含有量が半定量値(定性値と呼ぶ場合もある)として算出される。
このような半定量分析では、もともと定量分析ほどの厳密な精度は要求されないことが多い。しかしながら、定性データベースを用いた半定量分析の精度が悪くなると、例えば共存元素の影響を判定して、目的元素の定量分析に使用するスペクトル線(又は波長)の選択を行う等、分析条件を決める際に不的確な分析条件を設定してしまい、それによって定量分析の精度を損なうおそれがある。また、そこまで至らなくても分析条件の設定が難しくなり、分析に未熟練な者では判断ができないような場合が生じる。
そこで、半定量値の算出精度を高めるために、定性データベースの情報を校正してその精度を高めることが理論的には考えられる。しかしながら、こうした校正は実際上殆ど行われていない。何故なら、定性データベースには膨大な数の元素のそれぞれについての1乃至複数のスペクトル線に関する情報が収録されており、こうした全ての元素について既知濃度の標準試料を用意するのはたいへんな手間とコストとが掛かるからである。また、仮にこうした標準試料を用意できたとしても、それを1つ1つ分析するのにも非常に長い時間が掛かる。また、多数の元素を含む混合溶液を標準試料とした場合には、元素間干渉の影響などにより一部の波長しか校正することができないことがある。そうした場合、校正できたスペクトル線と校正できないスペクトル線とが定性データベースに混在し、その定性データベースの信頼性が低いものとなる。
特開平10−253540号公報
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、面倒な手間と長い時間を掛けることなく、半定量分析に使用する定性データベースの精度を向上させることができる発光分光分析方法及び発光分光分析装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された第1発明は、試料を励起して該試料に含まれる元素に固有の波長を有する光を放出させ、その光を分光測定して発光スペクトルを取得し、定性データベースを参照して定性分析及び半定量分析を行う発光分光分析方法において、
前記定性データベースに含まれる多数の元素のスペクトル線を、装置起因の変動要因に対して類似した挙動を示す複数のグループに予め分類し、各グループ毎に代表的なスペクトル線を定めておき、
濃度が既知である所定の元素を含む標準試料を発光分光分析することにより前記複数の代表スペクトル線の強度情報を取得し、
前記実測による強度情報と前記定性データベースに格納されている基準となる強度情報とから前記代表スペクトル線毎に校正情報を算出し、
代表スペクトル線毎に求まった前記校正情報を用いて、各代表スペクトルが属するグループに含まれる各元素の半定量情報をそれぞれ補正し、補正後の半定量情報に基づいて目的元素の半定量分析を行うことを特徴としている。
また第2発明は上記第1発明に係る発光分光分析方法を具現化する装置であって、試料を励起して該試料に含まれる元素に固有の波長を有する光を放出させ、その光を分光測定して発光スペクトルを取得し、定性データベースを参照して定性分析及び半定量分析を行う発光分光分析装置において、前記定性データベースに含まれる多数の元素のスペクトル線を、装置起因の変動要因に対して類似した挙動を示す複数のグループに予め分類し、各グループ毎に代表的なスペクトル線を定めておき、
a)濃度が既知である所定の元素を含む標準試料を発光分光分析することにより得られた発光スペクトルから前記複数の代表スペクトル線の強度情報を取得する実測情報取得手段と、
b)前記実測情報取得手段により得られた各代表スペクトル線の実測による強度情報と前記定性データベースに格納されている基準となる強度情報とから、前記代表スペクトル線毎に校正情報を算出する校正情報算出手段と、
c)代表スペクトル線毎に求まった前記校正情報を用いて、各代表スペクトルが属するグループに含まれる各元素の半定量情報をそれぞれ補正する情報補正手段と、
を備え、補正後の半定量情報に基づいて目的元素の半定量分析を行うことを特徴としている。
第1発明に係る発光分光分析方法及び第2発明に係る発光分光分析装置において典型的な一態様としては、ICP発光分光分析方法及びICP発光分光分析装置とすることができる。
例えばICP発光分光分析装置では、装置起因の変動要因として最も支配的であるのは試料を原子化するプラズマの状態、具体的にはプラズマの温度や電子密度等である。このプラズマの状態によって原子化率や中性原子とイオンとの割合などが変化し、それによってスペクトル線の強度も変わってしまう。その変化の傾向はスペクトル線毎に異なるが、定性データベースに収録される多数のスペクトル線は、類似した変化の傾向を示す複数のグループに分類することができる。このように装置起因の変動要因に対して強度が類似した挙動を示す同一グループ内の複数のスペクトル線については、半定量分析を行うための定性データベースの情報を同じように補正すれば、補正を行わない場合に比べてその精度は格段に高まる筈である。
そこで、第1発明に係る発光分光分析方法では、定性データベースに収録される多数のスペクトル線を、装置起因の変動要因に対して強度が類似した挙動を示す複数のグループに予め分類して、各グループ毎に代表的なスペクトル線をそれぞれ1つずつ(必ずしも1つである必要はないが1つで十分である)定めておく。したがって、n(nは2以上の整数)個のグループに分類した場合には、たかだかn個の代表スペクトル線を選定すれば十分である。そして、このような例えばn個の代表スペクトル線を分析することが可能な標準試料を測定することにより、それら代表スペクトル線の強度情報を取得し、実測により得られた強度情報と定性データベースに格納されている基準となる強度情報とから、代表スペクトル線毎に校正情報を算出する。上記の例で言えばn個の校正情報が求まることになる。ここで、校正情報とは例えば校正係数とすることができる。
次に、代表スペクトル線毎に求まった校正情報を用いて、それぞれの代表スペクトル線が属するグループに含まれる各元素の定性データベース中の半定量情報をそれぞれ補正する。標準試料の発光分光分析を行った後に定性データベース中の全ての元素(スペクトル線)の半定量情報の補正を終了するまでの処理、即ち、第2発明に係る発光分光分析装置における実測情報取得手段、校正情報算出手段、及び情報補正手段で実行される処理は全て、例えばコンピュータ等により遂行される演算処理であるので短時間で終了させることができる。一方、標準試料については定性データベースに収録されている全元素を用意する必要はなく、その数よりも遙かに少ない数、通常、数個乃至10個程度の元素が含まれる1乃至2種程度の混合試料溶液でよい。
したがって、第1発明に係る発光分光分析方法及び第2発明に係る発光分光分析装置によれば、校正用の標準試料の準備に手間が掛からずコストも抑制することができ、標準試料を発光分光分析して定性データベース中の全元素に係る情報を校正するのも短時間で済ませることができる。そのため、例えば毎日の未知試料の分析前に確実に校正処理を行い、そのときの装置の状態に合わせて定性データベースの精度を向上させることができる。これにより、定性データベースを用いて未知試料に含まれる目的元素の半定量分析を正確に行い、その結果に基づいて定量分析の条件検討等が容易に且つ正確に行えるようになる。
なお、第2発明に係る発光分光分析装置では、好ましくは、予め定められた代表スペクトル線の半定量情報を補正するための前記標準試料をユーザが用意するための試料情報をユーザに提供する試料情報提供手段をさらに備える構成にするとよい。具体的には、標準試料に関わる組成、濃度、波長などの情報を予め記憶しておき、ユーザの操作に応じてその情報を表示する構成とするとよい。これにより、ユーザは提供された情報に基づいて標準試料を用意すればよいので、分析に未熟練な者でも間違いなく正確な半定量分析が行える。
以下、本発明の一実施例によるICP発光分光分析装置について図面を参照して説明する。図1は本実施例のICP発光分光分析装置の概略構成図である。
図1において、制御部21により制御されるオートサンプラ11から供給された試料溶液は、図示しないネブライザで霧化された後、発光部10に導入されプラズマ炎によって励起される。これにより発生した光は集光レンズ12により集光され、スリット13を通過して回折格子14に送られる。回折格子14で波長分散された光は、例えばリニアCCDセンサ等のマルチチャンネル型検出器15で一斉に検出される。具体的には、ここではマルチチャンネル型検出器15の受光面の両端部にそれぞれ到達する波長λ1〜λ2の間の光を多数の受光素子でほぼ同時に検出し、各受光素子で光電変換した検出信号をデータ処理部20へと送る。
データ処理部20は該検出信号をデジタルデータ(発光スペクトルデータ)に変換し、所定のアルゴリズムに従って演算処理することにより、試料の定性分析、半定量分析、定量分析を実行する。そのために、データ処理部20は定性分析や半定量分析に使用される定性データベース201とこの定性データベース201を校正するためのデータベース校正処理部202とを内蔵している。上記各部の動作は制御部21により統括的に制御されており、制御部21とデータ処理部20の機能の多くは汎用のパーソナルコンピュータ22上で所定のプログラムを実行することによって達成される。また、パーソナルコンピュータ22には、操作者が分析条件等を入力するためのキーボード等から成る入力部23と、測定結果等を表示するためのディスプレイ等から成る表示部24とが接続されている。
次に、本実施例のICP発光分光分析装置において主としてデータベース校正処理部202で実行される定性データベース201の校正処理について、まずその校正手法の原理を説明する。
ICP発光分光分析で使用するスペクトル線には、大別して中性原子による中性原子線とイオン原子によるイオン線との二種類がある。発光部10におけるプラズマが熱平衡状態にあるとき、理論的にはスペクトル線の強度は目的元素の単位体積中の原子数に比例するが、この原子数は中性原子線に対しては中性原子数、イオン線に対してはイオン原子数(厳密には該当する価数のイオン原子数)となる。プラズマ中で全原子数は一定であるが、プラズマ温度等のプラズマ状態が変わると中性原子数とイオン原子数との割合が変化する。例えばイオン原子が増加すればイオン線の強度は大きくなるが、その反面、中性原子は減少するため中性原子線の強度は低下する。即ち、プラズマ状態の変化に対して、二種類のスペクトル線の強度は全く反対の挙動を示すことになる。
また、スペクトル線の強度はプラズマ中での試料の原子化率にも依存する。即ち、プラズマ状態が変化すると原子化率も変化し、その結果、スペクトル線の強度も変化することになる。プラズマ状態の変化に対する原子化率の変化は元素毎に異なるため、この原子化率の変化量の相違もスペクトル線の強度の挙動を左右する要因となる。
図3は様々な波長を有するスペクトル線の強度の挙動に基づくグループ分けの概念を示す図である。即ち、全てのスペクトル線はイオン線か中性原子線からのいずれかに分けることができ、さらにイオン線、中性原子線の中で、原子化率の変動量に応じて適宜に(この例では4つずつに)分けることができる。その結果、この例では全体を8個のグループG1〜G8に分類しており、各グループ内ではプラズマ状態の変化に対するスペクトル線の強度の挙動(変動の方向及び変動量)が類似しているとみなせる。グループ分けの数はこの例に限定されず任意に定めることができるが、実際にはあまりに細分化すると校正時に分析しなければならない元素の数が増え、標準試料の用意や分析に手間が掛かり、実質的にグループ分けした意味がなくなる。一方、グループの数を少なくすることは、同一グループに属するスペクトル線の強度の挙動の類似性が乏しくなることを意味するから、後述の校正の正確性が劣化することになる。したがって、試料の準備や分析の手間と、必要な校正の精度との両方を勘案して、通常、4〜12個程度のグループに分けるようにするとよい。
実際には、上述したような全元素のスペクトル線のグループ分けは、定性データベース201の作成に伴って行われる。即ち、この装置を提供する製造メーカー側において、濃度が既知である標準試料を分析することで各元素のスペクトル線の強度を取得し、その波長等の情報とともに強度情報を定性データベース201に登録する。その際に、プラズマ状態の変動の条件を定め、その条件の下で各スペクトル線の強度の変動量を求め、その変動量に基づいて上記のようなグループ分けを実行する。即ち、原理的には前述のような原子化率の変動量の大小によりスペクトル線の強度の変動が生じるわけであるが、理論計算に基づいてグループ分けを行うことは非常に困難であるので、実測によるスペクトル線の強度の変動量から直接的にグループ分けするのが実用的である。
なお、スペクトル線の波長でみると、中性原子線では相対的に短波長の範囲と長波長の範囲とに多くが集中して分布することが経験的に分かっている。一方、イオン線しか持たない元素では、波長方向に或る範囲に集中することなく全体にほぼ均等に分散している。プラズマ状態の変動に対する原子化率の変動は波長に関係するため、特にイオン線では実測の結果に基づくスペクトル線のグループ分けが重要であると考えられる。
上記のように定性データベース201に収録する全ての元素のスペクトル線についてグループ分けを行ったならば、各グループ毎に代表スペクトル線を定めておく。一例を挙げると、中性原子線の短波長のグループの代表スペクトル線としてはリン(P:波長213.618nm)、中性原子線の長波長のグループの代表スペクトル線としてはナトリウム(Na:波長588.995nm)などが考えられる。また、イオン線と中性原子線の両方のスペクトル線を有し、しかも原子化率も異なるスペクトル線を有するような元素もある。こうした元素としては銅(Cu)、マグネシウム(Mg)などがあり、この元素を用いれば複数のグループの代表スペクトル線を同時に得るようにすることができる。通常、これら元素でほぼ全てのグループをカバーすることができるが、不足する長波長のイオン線として、希土類元素、例えばイットリウム(Y:波長371.030nm)などを追加してもよい。但し、これら代表スペクトル線についても、上記記載に限らず適宜に定めることができる。
ここでは説明を簡単にするために、一例として全元素のスペクトル線を図3に示したようなG1〜G8の8つにグループ分けするものとし、各グループの代表スペクトル線をそれぞれg1〜g8で表すものとする。このグループ分けに関する情報、及び各グループの代表スペクトル線に関する情報も、定性データベース201に格納しておく。1つのグループに属する複数のスペクトル線の強度は装置起因の変動要因、具体的にはプラズマ状態に対して類似した挙動、つまり変動の傾向を示す。したがって、装置が或る状態であるときに代表スペクトル線の強度を実測してその値と定性データベース201に格納してある基準となる強度値とから、その時点でのプラズマ状態における強度値の変動の傾向を把握すれば、同一グループに属する他のスペクトル線の強度の変動も同様であると推測できる。そこで、上記のように製造メーカーから提供された定性データベース201をユーザの側で校正する場合には、各グループの代表スペクトル線g1〜g8の強度を実測して、それに基づいて各グループ毎に強度の変動を補正できるような校正情報を算出し、それを利用して全スペクトル線の強度の補正を行う。
この校正の際に分析する校正用標準試料の組成は、上述したように必要とされる代表スペクトル線に応じて一義的に決まるものである。したがって、製造メーカー側では、グループ分けや代表スペクトルが定まると、校正用標準試料の組成を決定し、校正用標準試料の組成(元素の種類)や各元素の濃度等の参照情報を定性データベースやそれ以外の記憶部に格納しておく。この参照情報はユーザが入力部23で所定の操作を行うことで表示部24に表示されるようになっている。もちろん、標準試料自体を製造メーカーが提供するようにしてもよいし、この装置の取扱説明書などの冊子にそうした情報を記載しておいてもよい。
本実施例のICP発光分光分析装置における定性データベース201の校正作業はユーザ(使用者)の指示によって実行される。例えば、毎朝、ICP発光分光分析装置を起動させてその日中、多数の試料を順番に測定するような分析現場では、装置の起動後、未知試料の測定前に定性データベース201の校正作業を行うようにするとよい。次に、図2のフローチャートに沿って、この校正作業の手順と動作について説明する。
ユーザは上記のように組成等が指定された校正用標準試料を準備し(ステップS1)、この校正用標準試料に対しICP発光分光分析を実行する。その結果、データ処理部20ではλ1〜λ2の波長範囲の発光スペクトルが取得される(ステップS2)。上述したように本装置では多波長同時測定が行われるから、シーケンシャル型の装置に比べて格段に短時間で発光スペクトルを得ることができる。データベース校正処理部202は、得られた発光スペクトルの中で予め決められた代表スペクトル線g1〜g8の波長のスペクトルデータを読み取り、各代表スペクトル線g1〜g8の強度値を求める(ステップS3)。例えば、いま代表スペクトル線g1の実測強度がI1bであったとする。
次に、データベース校正処理部202は、定性データベース201に格納されている各代表スペクトル線g1〜g8の基準強度をそれぞれ読み出し、この基準強度と上記実測強度とから各代表スペクトル線毎に校正係数を求める(ステップS4)。ここで言う基準強度とは、必ずしも初期的に定性データベース201に収録されている各スペクトル線の強度値とは限らない。校正処理を行う毎に定性データベース201中のデータを書き換えるような構成の場合には初期値はデータベースに残らず、常に最新の情報のみが定性データベース中に保持されるため、この最新の情報が上記基準強度となる。一方、定性データベース201中の初期値は書き換えず、校正処理が実行されたときに後述したような補正後の強度情報を初期値とは別の領域に格納するような構成の場合には、上記基準強度とは初期値と最新の情報との両方が考えられる。
例えばいま代表スペクトル線g1の基準強度がI1aであったとすると、次のようにして代表スペクトル線g1の校正係数K1を求める。
K1=I1b/I1a
例えば、基準強度の相対値が1、実測強度の相対値が1.2であったならば、K1=1.2/1=1.2と求まる。実測強度と基準強度とは代表スペクトル毎に相違するから、校正係数も代表スペクトル毎に異なるものとなる(もちろん、偶然に同じ値になる場合もある)。
上記のようにして代表スペクトル線g1〜g8毎にそれぞれ校正係数K1〜K8が求まったならば、それら代表スペクトル線g1〜g8が属するグループG1〜G8毎に、定性データベース201に格納されている1つのグループに属する全てのスペクトル線の基準強度を補正する(ステップS5)。具体的には、例えばグループG1に属するスペクトル線については、定性データベース201に格納されている強度値Iを次式により補正する。
I’=K1・I
この補正後の強度値I’が半定量分析の際の半定量情報となる。なお、この式はブランク試料の強度をゼロとしたときの1点校正であるが、2点校正とすることもできる。
上記校正処理により、プラズマ温度や電子密度などのばらつきに対し強度が同様の傾向で以て変動する複数のスペクトル線の半定量分析用の基準強度は、同一の校正係数を用いて全て補正される。したがって、各グループ毎にそのグループ特有の強度変動の傾向が補正され、プラズマ状態のばらつきの影響が軽減された基準強度が定性データベース201に格納される。このとき、補正前の強度値自体が書き換えられる場合と、補正前の値は残り別の記憶領域に補正後の強度値が書き込まれる場合とがあることは前述の通りである。
いずれもしても、校正処理の結果、定性データベース201の精度が高まり、この定性データベース201を参照して未知試料に含まれる元素の半定量分析を行う際にその分析精度が向上する。
それによって、例えば共存元素の影響の有無などの分析条件の検討を正確に行うことができ、引き続いて定量分析を実行する際の精度の向上につながる。また、半定量分析の精度が上がるため、厳密な検量線に基づく定量分析ほどの精度を必要としないような目的に対して、定量分析結果の代わりに半定量分析結果を用いることができるようになる。
なお、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜に変更や修正、追加を行っても本願発明に包含されることは当然である。例えば上記実施例ではマルチチャンネル型の発光分光分析装置を示したが、本発明はシーケンシャル型の発光分光分析装置にも適用可能である。但し、分析時間の点から前者が好ましいのは言うまでもない。
また、本発明は上記のようなICP発光分光分析装置のみに適用されるものではなく、それ以外のレーザ励起プラズマ発光分光分析装置や固体発光分光分析装置、グロー放電発光分光分析装置等の種々の発光分光分析装置に適用することができる。
本発明の一実施例であるICP発光分光分析装置の概略構成図。 本実施例のICP発光分光分析装置における定性データベースの校正処理の手順及び動作を示すフローチャート。 様々な波長を有するスペクトル線の強度の挙動に基づくグループ分けの概念を示す図。
符号の説明
10…発光部
11…オートサンプラ
12…集光レンズ
13…スリット
14…回折格子
15…マルチチャンネル型検出器
20…データ処理部
201…定性データベース
202…データベース校正処理部
21…制御部
22…パーソナルコンピュータ
23…入力部
24…表示部

Claims (3)

  1. 試料を励起して該試料に含まれる元素に固有の波長を有する光を放出させ、その光を分光測定して発光スペクトルを取得し、定性データベースを参照して定性分析及び半定量分析を行う発光分光分析方法において、
    前記定性データベースに含まれる多数の元素のスペクトル線を、装置起因の変動要因に対して類似した挙動を示す複数のグループに予め分類し、各グループ毎に代表的なスペクトル線を定めておき、
    濃度が既知である所定の元素を含む標準試料を発光分光分析することにより前記複数の代表スペクトル線の強度情報を取得し、
    前記実測による強度情報と前記定性データベースに格納されている基準となる強度情報とから前記代表スペクトル線毎に校正情報を算出し、
    代表スペクトル線毎に求まった前記校正情報を用いて、各代表スペクトルが属するグループに含まれる各元素の半定量情報をそれぞれ補正し、補正後の半定量情報に基づいて目的元素の半定量分析を行うことを特徴とする発光分光分析方法。
  2. 試料を励起して該試料に含まれる元素に固有の波長を有する光を放出させ、その光を分光測定して発光スペクトルを取得し、定性データベースを参照して定性分析及び半定量分析を行う発光分光分析装置において、前記定性データベースに含まれる多数の元素のスペクトル線を、装置起因の変動要因に対して類似した挙動を示す複数のグループに予め分類し、各グループ毎に代表的なスペクトル線を定めておき、
    a)濃度が既知である所定の元素を含む標準試料を発光分光分析することにより得られた発光スペクトルから前記複数の代表スペクトル線の強度情報を取得する実測情報取得手段と、
    b)前記実測情報取得手段により得られた各代表スペクトル線の実測による強度情報と前記定性データベースに格納されている基準となる強度情報とから、前記代表スペクトル線毎に校正情報を算出する校正情報算出手段と、
    c)代表スペクトル線毎に求まった前記校正情報を用いて、各代表スペクトルが属するグループに含まれる各元素の半定量情報をそれぞれ補正する情報補正手段と、
    を備え、補正後の半定量情報に基づいて目的元素の半定量分析を行うことを特徴とする発光分光分析装置。
  3. 予め定められた代表スペクトル線の半定量情報を補正するための前記標準試料をユーザが用意するための試料情報をユーザに提供する試料情報提供手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の発光分光分析装置。
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