JP2006315240A - 意匠性に優れた被覆成形品の金型内被膜成形方法 - Google Patents

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Gakuji Tokutomi
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Abstract

【課題】 金型内被覆成形方法により、意匠性及びソフトタッチ感に優れた被覆成形品を提供する。
【解決手段】金型内で成形した樹脂成形品の表面と、金型の内表面との間に被膜形成塗料を注入した後、金型内において、被膜形成塗料を樹脂成形品の表面上で硬化させて、樹脂成形品の表面に被膜が密着した一体成形品を製造する際に、金型の内表面に、複数の直線状又は曲線状の突出部又は溝部を設け、樹脂成形品を被覆する被膜表面に、対応する直線状又は曲線状の突出部又は溝部を設ける。
【選択図】図4

Description

本発明は、立体模様等の意匠性に優れた被膜を、樹脂成形品に付与できる、金型内被覆成形方法、及び意匠性を有する被覆成形品に関するものである。
樹脂成形品は、加工や取り扱い性に優れているので、様々な用途で用いられている。樹脂成形品を着色する方法としては、成形する樹脂そのものに対して、顔料や染料を練り込むことで着色することが可能であるが、高光沢や、光輝性等の高い意匠性を求められる場合には不向きであり、高級な意匠性を求められる分野においては、主に塗装が採用されている。例えば、家具等の製品に、天然皮革様の外観や感触を付与する技術が開示されている(特許文献1)。
特開平6−330472号公報
この文献では、皮革様表面を付与するのに使用される表面形成剤は、主に、スプレー塗装によって塗装されている。しかしながら、スプレー塗装で形成される被膜では、平坦で単純なものとなり勝ちである。また、スプレー塗装で立体的な意匠を表現するために、ガラスビーズ等の粒の大きい粒子を配合することも考えられる。しかしながら、スプレー塗料に、粒の大きい粒子を配合すると、スプレー塗装が困難となるだけではなく、ソフトタッチ感が低下するという問題が生じる。更に、スプレー塗装では、オーバースプレーミストの発生により、塗装環境等が悪くなるという問題も有していた。
本発明者は、上記従来技術の有する問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、以下の構成により、上記問題点を解決できることを見出し、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、
金型内で成形した樹脂成形品の表面を被覆する被膜に立体模様を形成する金型内被覆成形方法であって、
金型内で成形した樹脂成形品の表面と、前記金型の内表面との間に被膜形成塗料を注入した後、金型内において、前記被膜形成塗料を前記樹脂成形品の表面上で硬化させて、前記樹脂成形品の表面に被膜が密着した一体成形品を製造する際に、
前記金型の内表面に、複数の直線状又は曲線状の溝部又は突出部を設け、前記樹脂成形品を被覆する被膜表面に、前記溝部又は突出部に対応する直線状又は曲線状の突出部又は溝部を設けることを特徴とする、金型内被覆成形方法に関するものである。
本発明は、金型内で樹脂成形品を成型すると同時に塗装を施すことができる。また、本発明にて形成された被膜はソフトタッチ感等の触感的な機能、人工皮革様模のような立体的意匠性等の外観的な意匠性を両立させ、更に塗装環境等も優れているという効果を有する。
以下、本発明について、必要に応じて、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明の範囲は、図面に記載れた形態等に限定されるものでないことはいうまでもない。
使用する金型の形状
被覆成形に用いる金型の形状に関しては、樹脂成形品に求められる形状に基づき、適宜選択することが可能である。これらは、従来から用いられているいずれの金型を用いることが可能である。
金型内表面には、所定に断面形状を有する突出部が規則的又はランダムに設けられている。なお、以下においては、金型内表面に突出部を形成した場合について具体的に説明するが、突出部に代えて、溝部を形成した場合においても、同様に意匠性を有する成形品が得られることは言うまでもない。従って、以下においては、突出部を形成した場合について、例示的に説明する。
金型内表面に突出部を設けることで、樹脂成形品の表面に、立体的な意匠を付与することができる。また、意匠を規則的に表現したいときには、突出部を規則的に設けることにより達成することができる。例えば、図1は、平面図であり、図1において、菱形の平面断面形状を有する突出部が、図において、前後左右に等間隔で配置されている。このような一定の菱形断面形状の突出部を金型内表面に形成することにより、成形品の表面に、この突出部に対応する複数の菱形の溝部が規則的に配置された立体的な意匠が表現される。
一方、自然感に富み、例えば、人工皮革のような立体的な意匠(「人工皮革様意匠」)を表現したい場合には、平面断面において、幅が狭く、長さの大きい突出部をランダムに複数設けることにより容易に達成することができる。例えば、図2には、金型内表面に、平面断面が、鋸歯状の端部で形成されたほぼ直線上の突出部が、ランダムに、即ち、特定の方向に対して、図において、縦方向や、横方向、斜め方向等の所定の方向において、規則的に配列されていない配置で設けられている。従って、成形品の表面には、この形状に対応する溝部がランダムに形成された、人工皮革様意匠を有する成形品が得られる。
また、金型内表面に形成される突出部の形状自体は、図1や図2に示されるように、形状や大きさが一定のものに限定されるものではなく、図3に示されるように、個々の突出部の断面形状や大きさを変動させることにより、当業者であれば、自由に、しかも、本発明の目的や課題に応じて、成形品の表面に付与する立体的意匠に応じて、任意に設計変更することが可能である。
更に、成形品の表面全体にソフトタッチ感を持たせたいときには、金型内表面の全体に突出部を設け、部分的にソフトタッチ感を持たせたいときには、部分的に突出部を設けることができる。また、成形品の表面に被覆する塗料の成分として、被膜が柔らかい樹脂を使用することによって、特徴付けることが可能である。
金型内表面に設ける突出部は、金型内表面の算術平均粗さ(又は中心線平均粗さ)(Ra)が、0.5〜20μm、好ましくは、1.0〜18μm、更には、1.5〜15μmであることが好ましい。算術平均粗さが、0.5μm未満では、得られる意匠に立体感が乏しくなり易く、ソフトタッチ感も低下する傾向にある。また、算術平均粗さ(Ra)が、20μmを超えると、意匠の立体感は増すが、被膜表面がざらつき易く、ソフトタッチ感が低下する傾向にある。
なお、算術的平均粗(Ra)さは、JIS B 0601−1982表面粗さ規格(41頁3−1中心線平均粗さ)に準じて、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さd(上記基準では、アルファベットのエルの小文字で表現される)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸とし、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次の式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものを言う。
Ra=(1/d)∫1 0|f(x)|dx
算術的平均粗さは、例えば、表面形状粗さ形状測定機サーフコム554A(東京精密製)等の機器を用いて測定することが可能である。
突出部の最大高さは、1〜200μm、好ましくは、5〜150μm、更には10〜100μmの範囲であることが好ましい。最大高さが、1μm未満では得られる意匠の立体性が乏しくなり、またソフトタッチ感も低下する傾向にある。また、最大高さが、200μmを超えると、塗料の流動性を阻害し易く、型内で塗料が均一に流れないことによる塗りむらが発生する傾向にある。更に、被膜表面がざらつき、ソフトタッチ感が低下し易く、また金型から樹脂成形品を取り外す際に、被膜の欠けや、剥離等が生じる傾向にある。なお、最大高さは、あくまでも金型内表面に配置された突出部の内、一番高いものの値であり、従って、全ての突出部が必ずしも同じ高さである必要はなく、前記算術的平均粗さを満たす限り、最大高さが前記範囲内であればよく、突出部の高さ自体は、この条件を満たす限り、当業者には、任意に設定することができる。
使用する塗料
本発明において使用する被膜形成塗料は、結合剤や、必要に応じて配合される重合開始剤、充填剤、離型剤その他添加剤等からなる。また、実質的に揮発成分を含んでいないことが好ましい。揮発成分を含まれていると、被覆成形する際の加熱により、前記有機溶剤が蒸発することで、被膜が発泡する不具合が生じる傾向にある。
また、上記塗料は、平滑な面に塗装して成膜させた際に、被膜表面の静摩擦係数が0.2〜1.5、好ましくは、0.2〜1.4、更には0.2〜1.3の範囲となるものであることが好ましい。0.2未満では、被膜表面のソフトタッチ感が低下する傾向にあり、1.5を超えると、被膜が脆くなる傾向にある。
静摩擦係数は、JIS K 7125で規定される特性であり、例えば、DFテスタータイプS(日邦産業製)や、モバイル摩擦計SF−1(協和界面科学製)等といった機器を用いて測定することができる。
また、被膜のヤング率は、通常、1〜100N/mm2、好ましくは、1〜90N/mm2、更には1〜80N/mm2の範囲となるものであることが好ましい。ヤング率が、1N/mm2より低いと、被膜の引っかき強度がなくなり容易に傷がつく傾向にあり、一方、100N/mm2より高いと、被膜が硬くなることにより、ソフトタッチ感が低下する傾向にある。なお、ヤング率は、ASTMD882A法で規定される物性であり、例えば、オートグラフAG−1000A(島津製作所製)や、ストログラフVE5D(東洋精機製)等の機器で測定することができる。なお、測定に使用されるサンプルは、大きさが10mm×100mmで、厚さが200μmの短冊状のサンプルである。また、このサンプルは、以下に述べる方法にて調製した単離膜を、前記大きさにカットしたものを用いる。測定の際には、測定機の金属中子に、金属中子のつかみ部分を除く全長が、50mmとなるように挟み込む。
なお、静摩擦係数及びヤング率の測定は、200μmの単離膜で行うものである。前記単離膜の調製は、以下の方法により行う。即ち、予め、被膜形成塗料が乾燥する場合の収縮率又は膨張率を確認しておき、調べようとする被膜形成塗料に応じて、算術平均粗さ(Ra)が、0.45〜0.55μmである、1×100×300mmのテフロン(登録商標)板2枚の間に、乾燥膜厚が200μmとなるように所定の厚みを有するスペーサーを挟み、被膜形成塗料を2枚のテフロン(登録商標)板の間にできた空隙全体に注入し、直ちに90℃に設定したプレス機にて1.5MPaの圧力をかけ、2分間保持し、被膜形成塗料を硬化させた後、取り出し、室温まで冷却する。室温まで冷却した後に、テフロン(登録商標)板を取り外し、得られた被膜を用いて、静摩擦係数及びヤング率を測定する。なお、本発明にて表すヤング率及び静摩擦係数の数値は、ヤング率に関してはオートグラフAG−1000Aで、静摩擦係数に関してはDFテスタータイプSにて測定した際の値を指している。
被膜形成塗料に使用される結合剤は、特に限定されるものではなく、従来から金型内被覆成形の際に用いられている結合剤であれば、特に制限なく、各種の結合剤を任意に使用することができる。
結合剤としては、例えば、ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物が代表的なものとして挙げられる。また、特にポリオレフィン系樹脂を被覆成形する際においては、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリオレフィン系樹脂を配合したものを好適に使用することが可能である。
前記ポリオール化合物の代表的なものとしては、例えば、ポリエステルポリオールや、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が好適に挙げられる。これらポリオールを単独、又は2以上を組み合わせて使用することも可能である。これらポリオールは、例えば、水酸基価10〜600mgKOH/g、数平均分子量500〜5000の範囲にあるものが好適に使用可能である。水酸基価が、10mgKOH/gより低いと、反応性が低下し易く、被膜の化学的、物理的特性が悪くなる傾向にあり、600mgKOH/gより高いと、被膜が硬くなる傾向にある。また、数平均分子量が500より低いと、被膜が脆くなる傾向にあり、5000より高いと、塗料粘度が高くなり、流動性が低下する傾向にある。
ポリオール化合物としてのポリエステルポリオールとしては、例えば、フタル酸又はその酸無水物や、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸又はその酸無水物、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸等の多塩基酸成分と、エチレングリコールや、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等のポリオール成分とを常法に従い、縮合反応させることにより製造することができる。また、上記酸成分の一部として、例えば、ヤシ油脂肪酸や、ひまし油脂肪酸などの脂肪酸を使用し変性してもよい。
ポリオール化合物としてのポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキサイドや、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドに、エチレングリコールや、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ビスフェノールA等の低分子ポリオールを反応させることによって得られる2官能、3官能、4官能性のもの、更にはこれらにビニルモノマーをグラフト重合させたポリエーテルポリオールを好適に挙げることができる。
ポリオール化合物としてのアクリルポリオールとしては、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを常法に従い重合させることにより製造することができる。この場合、エチレン性不飽和結合を有するモノマーの一部又は全部として、水酸基を有するエチレン性不飽和結合を有するモノマーを使用することができる。このような水酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーとして、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等が好適に挙げられる。
ポリオール化合物としてのポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、カーボネート誘導体と、ポリオール類との反応生成物が好適に挙げられる。カーボネート誘導体としては、例えば、ジメチルカーボネートや、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等のジアリルカーボネート等が好適に挙げられる。ジオール類としては、例えば、ネオペンチルグリコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等が好適に挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネートや、脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートが好適に挙げられ、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)や、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート(LTI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、水素化キシレンジイソシアネート(H6XDI)等が好適に挙げられる。このようなポリイソシアネートは、単体で使用してもよく、又はこれらの混合物として使用してもよい。また、ポリイソシアネートは、プレポリマーとしてのビュレット型やアダクター型、イソシアヌレート型等の形態で使用してもよい。
前記ポリオレフィン系樹脂としては、金型内被覆成形品の製造に用いられているいずれの種類も用いることができる。特に本発明においてポリオレフィン系樹脂成形品を製造する場合には、塩素化ポリオレフィンを用いることが、付着性や密着性等の点からみて好ましい。前記塩素化ポリオレフィンとしては、例えば、ポリオレフィンを塩素化することによって得られる、例えば、塩素含有率5〜50質量%、数平均分子量3,000〜200,000のものが好ましい。塩素含有率が5質量%より低いと、前記ポリオール成分との相溶性が劣る傾向にある。一方、50質量%より高いと、ポリオレフィン成分との相溶性が劣る傾向にある。また、数平均分子量が、3000より低いと、ポリオレフィン系樹脂との付着力が低下する傾向にある。一方、200000より高いと、塗料の粘度が高くなり金型内での流動性が低下する傾向にある。
このような塩素化ポリオレフィンとしては、例えば、アイソタクチックポリプロピレンや、エチレン−プロピレンコポリマー、アタクチックポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマーなどの樹脂を塩素化したものが好適に挙げられる。塩素化ポリオレフィンは、更にポリオレフィンに、α,β−不飽和カルボン酸及び/又はその無水物をグラフト共重合した後塩素化することにより得られる、カルボキシル基含有塩素化ポリオレフィンであってもよい。ここで使用されるカルボン酸及び/又は酸無水物としては、例えば、マレイン酸や、フマル酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が好適に挙げられる。
更に塩素化ポリオレフィンとしては、アクリルモノマーを過酸化物の存在下でグラフト重合させて得られる、アクリル変性塩素化ポリオレフィンであってもよい。アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が好適に挙げられる。あるいは、塩素化ポリオレフィンは、水酸基含有ビニルモノマーを過酸化物の存在下でグラフト重合させて得られる、水酸基含有ビニル変性塩素化ポリオレフィンであってもよい。ここで使用される水酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートや、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が好適に挙げられる。更に、塩素化ポリオレフィンとして、カルボキシル基含有塩素化ポリオレフィンに、水酸基含有ビニルモノマーをグラフト重合して得られる、1分子内にカルボキシル基及び水酸基を含有する塩素化ポリオレフィンを使用することができる。
前記ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、及びポリオレフィン系樹脂の質量配合比率は、(ポリオール化合物+ポリイソシアネート化合物):ポリオレフィン系樹脂=95:5〜60:40、好ましくは、90:10〜70:30の比率で配合することが好ましい。上記範囲外で、ポリオレフィン系樹脂の配合比率が少なくなると、ポリオレフィン系樹脂成形品に対しての付着力が低下する傾向にあり、またポリオレフィン系樹脂の配合比率が多くなると、耐候性等被膜の諸性能が低下する傾向にある。
また、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との配合比率は、前者中のOH当量と後者中のNCO当量比とが、例えば、1.0/0.8〜0.8/1.0、好ましくは1.0/0.9〜0.9/1.0の比率となるように配合することが好ましい。上記範囲外でポリオール化合物の配合比率が多くなると、被膜の硬化性が低下し、結果として耐候性、耐水性等の被膜の諸性能が低下する傾向にあり、ポリオール化合物の配合比率が少なくなると、被膜表面にべたつき等の不具合が生じる傾向にある。
また、上記結合剤のその他の例として、(A)少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー、又は不飽和ポリエステル樹脂、(B)前記(A)成分と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(反応性希釈剤)を組み合わせたもの、特にポリオレフィン系樹脂を被覆成形する際においては、更に上記(A)及び(B)成分に、ポリイソシアネート化合物、及びポリオレフィン系樹脂を添加したものを結合剤とすることができる。なお、この場合においては、オリゴマー、モノマー等を重合し、高分子化させるために、重合開始剤を配合してもよい。
少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーとしては、通常用いられているもののいずれを使用することができ、これらの代表的なものとしては、例えば、エポキシアクリレートや、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、あるいはこれらの2種以上の混合物等が好適に挙げられる。不飽和ポリエステル樹脂としては、型内被覆成形で用いられる塗料において結合剤として通常使用されているものであれば、特に制限なく、任意に使用することができる。不飽和ポリエステル樹脂は、有機ポリオールと不飽和ポリカルボン酸とを公知の方法により反応させて調製することができ、更に必要に応じ飽和ポリカルボン酸を反応させることもできる。
(B)成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレートや、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、スチレン、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が代表的なものとして挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(A)と(B)の混合質量比率は、(A):(B)=80:20〜20:80、好ましくは、70:30〜30:70の範囲であることが好ましい。上記割合を超えて(A)が多くなると、塗料の粘度が高くなりすぎ、金型内での流動性が低下する傾向にあり、逆に少なくなると、塗料の粘度が低くなりすぎ、金型内流動時に気泡を巻き込みピンホールが発生しやすくなる傾向にある。
必要に応じて使用される重合開始剤は、フリーラジカルを発生し、前記結合剤(A)と(B)とを重合させ、被膜を硬化させるために配合される。このような重合開始剤としては、例えば、ターシャリーブチルパーベンゾエートや、ターシャリーブチルパーオクトエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ターシャリーベンジルペルベンゾエート、ジクミルペルオキサイド、クミルハイドロパーオキサイド、過酸化ジアセチル、過酸化カプリリル、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、ビス−(4−ターシャリーブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート等が代表的なものとして挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記重合開始剤は、結合剤100質量部に対し、例えば、0.2〜5質量部、好ましくは、0.3〜3質量部で配合することが好ましい。配合量が、5質量部より多いと、塗料のポットライフが短くなる傾向にあり、0.2質量部未満では十分な硬化反応が行われず、被膜が軟らかくなる傾向にある。
充填剤は、必要に応じて添加することが可能であり、充填剤としては、例えば、酸化チタンや、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、リトポン、カーボンブラック、油煙、紺青、フタロシアニンブルー、群青、カーミンFB、黄鉛、亜鉛黄、ハンザイエロー、オーカー、ベンガラ等の着色顔料:珪砂、珪酸塩、タルク、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、粉末状、フレーク状、もしくはファイバー状のガラス、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン等の樹脂粉末等の体質顔料:アルミフレーク、パール顔料等の光輝性顔料が代表的なものとして好適に挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これら配合量に関しては、被膜に対して求められる性能に応じて、適宜変更することが可能である。また、ソフトタッチ感を更に強調したいときには、被膜形成塗料に対してソフトタッチ感を付与できる充填剤を添加することが可能である。これら充填剤の代表的なものとしては、例えば、シルクパウダーや、ウレタン樹脂ビーズ等が好適に挙げられる。これらソフトタッチ感を出す充填剤は、被膜形成塗料の全質量を100質量部とした場合、例えば、1〜30質量部、好ましくは、5〜20質量部で添加することが好適である。1質量部未満では添加による効果を十分に望むことが難しい傾向にあり、30質量部を超えると、被膜形成塗料の粘度が上昇し、被膜形成塗料を金型に注入した際の流動性が低下する傾向にあり、また耐候性や、耐久性等の被膜諸性能が低下する傾向にある。
離型剤は、硬化被膜が金型からスムーズに離型できるようにするために添加するものであり、このような離型剤としては、例えば、亜鉛や、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムなどのステアリン酸塩や、レシチン、アルキルフォスフェート、中和性又は非中和性のリン酸塩アルコール等が代表的なものとして挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、離型剤は、被膜形成塗料の全質量を100質量部としたときに、0.1〜3質量部、好ましくは、0.3〜2質量部で添加することが好ましい。この量が、3質量部を超えると、被膜の剥離強さが低下する傾向にあり、0.1質量部未満では離型効果が発揮されない傾向にある。
その他の添加剤は、必要に応じて添加することが可能であり、このような添加剤としては、例えば、レベリング剤や、沈殿防止剤、消泡剤、増粘剤、抗菌剤等が挙げられ、その添加量は、結合剤や、充填剤の種類、被膜形成塗料に求められる性能等に応じて、適宜選択して使用することが可能である。
金型内被覆成形方法
本発明において、金型内で成形する樹脂材料は、従来から公知のものが特に制限無く利用することができる。具体的には、不飽和ポリエステル樹脂系や、エポキシアクリレート樹脂系、フェノール樹脂系、エポキシ樹脂系等の熱硬化性樹脂、或いはポリオレフィン樹脂系や、ポリスチレン樹脂系、ポリカーボネート樹脂系、ABS樹脂系等の熱可塑性樹脂等が代表的なものとして好適に挙げられるが、これらに限定されるものではない。
成形方法としては、金型内で成形する従来の方法が特に制限無く利用できるが、好適には、嵌合して、処理する成形物の形状を有するようにキャビティ(又は空間)を形成する、相互に嵌合する上型及び下型の二つの金型を使用し、金型内に形成されるキャビティ内に成形用の樹脂材料を装入し、上型及び下型を相対的に移動して嵌合させ、金型内で成形する。本発明で使用する金型は、予め、上型又は下型、若しくは、その両方の内表面上に、突出部を設けられている。
本発明の1実施例を示す図4を参照すれば、金型は、可動金型1と、固定金型2とからなり、これらの金型の間に形成されたキャビティ3中に、固定金型2に形成されたゲート部5を介して、成形用の樹脂材料を射出する。熱可塑性樹脂をマトリックスとして用いる場合には、熱可塑性樹脂が流動性を持つ程度まで加熱を行い、流動性をもった熱可塑性樹脂を、ゲート部5を通して射出する。
熱可塑性樹脂を射出する場合においては、予め、可動金型1及び固定金型2を、熱可塑性樹脂が再度流動性を持つことが無い温度に保持しておく。前記温度は、使用する熱可塑性樹脂の種類、及び被膜形成塗料の種類により変わり得るが、一般的には、60〜130℃、好ましくは、70〜120℃の温度範囲であることが適当である。熱可塑性樹脂の加熱温度は、使用する熱可塑性樹脂の溶融温度により変わり得るが、一般的には、230〜280℃の範囲にて加熱することで、熱可塑性樹脂を射出することが可能となる。金型を所定の型締め圧力で型締めした後、溶融した熱可塑性樹脂をゲート部5を介してキャビティ内に射出して成形が行われる。
成型時の型締め圧力は、成形品形状や、成形材料の種類等により任意に決定されるが、通常、30〜100MPaの範囲が適当である。なお、射出にかける時間は、成形品形状や大きさ、成形材料の種類等により任意に決定される。成形時間は、熱可塑性樹脂が冷却固化し、被膜形成塗料を射出した際に、次いで装入される被膜形成塗料の注入圧力、流動圧力に耐える程度に固化した段階で、上記型締め圧をそのまま、又は減圧或いは解放する。更に好ましくは、後に注入する被膜形成塗料の流動性を確保する観点から、被膜形成塗料の注入前に、可動金型1と固定金型2とを離間し、予め型と成形品表面との間に、間隙を設けておくことで、成形品表面に均一に被膜形成塗料を塗装することができ、意匠性に優れた被覆成形品を得ることが可能となる。前記間隙は、塗料の種類等により変わり得るが、一般的には0.5〜2mmの範囲が適当である。
次いで、被膜形成塗料は、注入部4を介してキャビティ内において、成形品の表面上に注入される。被膜形成塗料の注入圧力は、成形品の形状や、成形品材料の種類、被膜形成塗料の配合組成等により変動し得、任意に決定されるが、通常、7〜50MPa、好ましくは、8〜40MPaの範囲が適当である。注入にかける時間も、成形品の形状や、被膜形成塗料の配合組成等、目的とする膜厚等により変動し得るが、一般的には0.2〜10秒、好ましくは、0.5〜8秒の範囲が適当である。被膜形成塗料の注入が完了した後、型に圧力をかけ、注入した被膜形成塗料を樹脂成形品表面に押し広げると共に、被膜形成塗料を硬化させる。なお、被膜形成塗料は、型内に射出した熱可塑性樹脂の予熱と金型表面の熱により硬化する。この場合の型締め圧力も、成形品形状、塗料配合等により変わり得るが、一般的には1〜20MPaの範囲であることが適当である。
塗料を硬化させた後、型から成型品を取りだし、本発明に係る金型内被覆成形品を得ることができる。
なお、必要に応じて、成型品を形成するまでは、内表面に突出部又は溝部を有さない金型を使用し、成型品の表面を被覆する被膜を射出形成する際に、内表面に突出部又は溝部を有する金型を使用することにより、被膜のみに立体模様を形成することもできる。
なお、金型内被覆成形方法は、この方法に限定されるものではなく、例えば、特開平6−328504号公報や、特開平7−290504号公報、特開平8−258080号公報、特開平11−277577号公報、特開2000−334800号公報、特開2001−38737号公報、特開2001−38770号公報等に記載される各種金型内表面被覆方法が適用可能である。
本発明の方法により製造された被覆成形品は、ソフトタッチ感と、立体的模様による視覚的効果を兼ね備えたものとなる。
また、予め、立体的模様を施した成形品に対してスプレー塗装を行う方法により製造された被覆成形品では、成形品の表面に形成された溝部に塗料が溜まったり、突出部先端の膜厚が薄くなり、明確な立体的模様を表現することが困難である。これに対して、本発明によれば、成形品に施された溝部と、金型に施された突出部の間に塗料を注入することから、明確な立体模様を形成することが出来る。
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明する。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は、全て「質量部」及び「質量%」である。また、以下に示す実施例が、本発明の範囲を何ら限定するものでないことは言うまでもない。
使用する金型
金型1
使用した金型は、長さ200mm、幅200mm、高さ20mmの箱形状の被覆成形品を得るためのキャビティを有する上型と下型とからなり、上型の内表面は、全面に算術的平均粗さ5μm、最大高さ50μmの突出部を有している。前記突出部の形状及び配置は、図1に示す態様で配置されている。
金型2
使用した金型は、長さ200mm、幅200mm、高さ20mmの箱形状の被覆成形品を得るためのキャビティを有する上型と下型とからなり、上型の内表面は、全面に算術的平均粗さ7μm、最大高さ55μmの突出部を有している。前記突出部の形状及び配置は、図2に示す態様で配置されている。
金型3
使用した金型は、長さ200mm、幅200mm、高さ20mmの箱形状の被覆成形品を得るためのキャビティを有する上型と下型とからなり、上型の内表面は、全面に算術的平均粗さ0.01μm以下、最大高さ0.5μm以下の鏡面仕上げを施している。
金型4
使用した金型は、長さ200mm、幅200mm、高さ20mmの箱形状の被覆成形品を得るためのキャビティを有する上型と下型とからなり、上型の内表面は、全面に算術的平均粗さ30μm、最大高さ350μmの突出部を有している。前記突出部の配置は、図1に示す態様で配置されている。
製造例1〜12
使用する被膜形成塗料の調製
実施例では、以下の表1〜5に示す配合の被膜形成塗料を使用した。被膜形成塗料の製造方法としては、下記表中、有機過酸化物及びポリイソシアネート化合物を除いた各成分を、3本ロールミルにて練合分散し、塗料主剤を得た。次いで、この塗料主剤に有機過酸化物及びポリイソシアネート化合物を加え、十分混合し、実施例及び比較例で使用する塗料を得た。
なお、本実施例で使用した表に示す各原料は、以下の通りである。
ポリカプロラクトンジオール/プラクセルL208AL:ダイセル社製(数平均分子量:830、OH価:135mgKOH/g、酸価:1mgKOH/g以下、粘度:1,600mPa・s)
ポリカーボネートジオール/プラクセルCD208PL:ダイセル社製(数平均分子量:800、OH価:136mgKOH/g、酸価:0.1mgKOH/g以下、粘度:400〜600mPa・s)
ウレタンビーズ/アートパールP400T:根上工業社製
(平均粒子径12〜17μm、白色真球状微粉末)
離型剤1/ZELEC−NE:デュポン社製:中和性リン酸塩アルコール
HMDI系ポリイソシアネート/スミジュールN3200:住化バイエルウレタン社製(NCO含有量:23.5%、粘度:2200mPa・s)
塩素化ポリプロピレン/スーパークロン814HS:日本製紙ケミカル社製(塩素含有率:41%、固形分:100%、軟化温度:80〜90℃)
ウレタンアクリレート1/紫光UV−3000B:日本合成化学社製(数平均分子量:18,000、官能基数:2、粘度:45,000〜65,000mPa・s)
ウレタンアクリレート2/紫光UV−3200B:日本合成化学社製(数平均分子量:10,000、官能基数:2、粘度:30,000〜70,000mPa・s)
ウレタンアクリレート3/紫光UV−2010B:日本合成化学社製(数平均分子量:2,000、官能基数:6、粘度:2,000〜3,000mPa・s/60℃)
ウレタンアクリレート4/紫光UV−7000B:日本合成化学社製(数平均分子量:3,500、官能基数:2〜3、粘度:15,000〜25,000mPa・s/60℃)
離型剤2/ZELEC−UN:デュポン社製:リン酸塩アルコール
有機過酸化物/パーカドックス16:化薬アクゾ社製:ビス−(4−ターシャリーブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート
Figure 2006315240
Figure 2006315240
Figure 2006315240

Figure 2006315240
Figure 2006315240
各表におけるヤング率及び静摩擦係数は、各製造例に被膜形成塗料を、発明の詳細な説明中で記載した方法にて調製した、乾燥膜厚200μmの膜を用いて測定した値である。また、測定機器としては、オートグラフAG−1000A及びDFテスタータイプSを使用した。
実施例及び比較例
前記金型及び塗料を用いて、以下に示す方法にて実施例及び比較例の被覆成形品を調製した。調製した被覆成形物は、意匠性を目視観察で行い、ソフトタッチ感を触感で確認した。具体的な判断基準は、以下の通りである。
意匠性
◎:立体的な模様であると共に、人工皮革のごとき自然で、高い意匠性を有する。
○:立体的な模様が施されており、高い意匠性を有する。
△:被膜上の立体的な意匠性の程度は○とほぼ同程度であるが、塗りむら等が発生していることから、成形物全体としての意匠性の低下がみられる。
×:立体的な模様が施されておらず、全体として平坦な印象を受ける。
ソフトタッチ感
◎:非常に優れたソフトタッチ感を有する。
○:◎より若干低いものの、実用に耐えうるソフトタッチ感を有する。
△:○と比較するとソフトタッチ感の低下がみられる。
×:ソフトタッチ感が通常の被膜と何ら変わらない程度である。
実施例1〜3及び比較例1〜2
実施例1
金型1を用いて、成形品に対する型内被覆を実施した。金型温度を70℃に設定して、240℃の流動性ABS樹脂を、2,940kN(300トン:73.5MPa)の型締め圧力で型締めされた金型内に4秒かけて射出した。次いで、40秒冷却して、得られた成形品の表面を、被膜形成塗料の注入及び流動圧力に耐えうる程度に固化させた。次いで、可動型を約1mm離間し、製造例1に示す被膜形成塗料11cm3を金型表面と成型品表面との間に約1秒かけて注入した。注入完了後、型締め圧力を1秒かけて196kN(20トン:4.9MPa)まで加圧し、90秒間保持させて、塗料を硬化させた後、型から取り出し、金型内被覆成型品を得た。
実施例2
製造例2の塗料を用いる以外は、実施例1と同様の方法にて、金型内被覆成形品を得た。
実施例3
製造例3の塗料を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、金型内被覆成形品を得た。
実施例4
前記金型4を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、金型内被覆成形品を得た。
比較例1
前記金型3を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、金型内被覆成形品を得た。
比較例2
前記金型3を用いた以外は、実施例3と同様の方法にて、金型内被覆成形品を得た。
実施例1〜4と比較例1〜2の比較
実施例1〜4と比較例1〜2を確認した結果を、以下の表6に示している。
Figure 2006315240
実施例1〜4では、表面に規則的な立体模様を形成した被覆成形品を得ることができた。また、その表面はソフトタッチ感を有し、触感的な機能性を持ち合わせるものができている。また、実施例1と実施例3を比較すると、実施例3の方が、より高いソフトタッチ感を有していた。また、実施例4は、実施例1〜3と同程度のソフトタッチ感を有し、立体的な意匠性を有する被覆成形品を得ることができたが、一部に塗料の塗りむらが生じ、全体的な外観、及びソフトタッチ感は、実施例1〜3と比較すると若干劣るものとなっている。
一方、比較例1〜2では、表面が平滑且つ光沢を有する以外は、平坦な意匠を有するのみであり、また実施例1〜3にて実現されているほどのソフトタッチ感を有さず、触感的な機能性を持ち合わせていない。
実施例5
金型2を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、金型内被覆成形品を得た。
実施例1と実施例5の比較
実施例1と実施例5を比較した結果を、以下の表7に示している。
Figure 2006315240
両者ともに、表面に立体的な意匠が施されており、またソフトタッチ感も同程度の性能を有していた。但し、実施例4では、実施例1と比較して、人工皮革のごとき、より自然な意匠が実現できている点において異なる。
実施例6〜7
実施例6
成形用樹脂として、ポリプロピレン樹脂を用い、また製造例4の塗料を用いる以外は、実施例5と同様の方法にて、金型内被覆成形品を得た。
実施例7
製造例5の塗料を用いた以外は、実施例6と同様の方法にて、金型内被覆成形品を得た。
実施例6〜7の確認
実施例6〜7を確認した結果を、以下の表8に示している。
Figure 2006315240
実施例6及び7は、共に、人工皮革のごとき、より自然な立体的意匠性を有し、更にソフトタッチ感も良好である。また、JIS K5400 8.5.3(Xカットテープ法)による付着性を確認したところ、両者とも評価点数は、10であり、良好な付着性を示した。
実施例8〜14
実施例8
製造例6の塗料を用いた以外は、実施例5と同様の方法にて、金型内被覆成形品を得た。
実施例9
製造例7の塗料を用いた以外は、実施例5と同様の方法にて、金型内被覆成形品を得た。
実施例10
製造例8の塗料を用いた以外は、実施例5と同様の方法にて、金型内被覆成形品を得た。
実施例11
製造例9の塗料を用いた以外は、実施例6と同様の方法にて、金型内被覆成形品を得た。
実施例12
製造例10の塗料を用いた以外は、実施例6と同様の方法にて、金型内被覆成形品を得た。
実施例13
製造例11の塗料を用いた以外は、実施例5と同様の方法にて、金型内被覆成形品を得た。
実施例14
製造例12の塗料を用いた以外は、実施例5と同様の方法にて、金型内被覆成形品を得た。
実施例8〜14の確認
実施例8〜14を確認した結果を、以下の表9に示す。
実施例8〜14では、いずれも、優れた意匠性を有している。また、ソフトタッチ感に関しては、実施例10が特に高い性能を有していることが確認できる。但し、実施例13及び14は、意匠性には優れるものの、実施例8〜12と比較するとソフトタッチ感に若干の低下がみられる。
Figure 2006315240
本発明で用いる金型内表面に施された突出部の平面断面形状を表すものである。 本発明で用いる金型内表面に施された突出部の平面断面形状を表すものである。 本発明で用いる金型内表面に施された突出部の平面断面形状を表すものである。 金型内被覆成形方法を説明する模式図である。
符号の説明
1:下型(可動金型)
2:上型(固定金型)
3:キャビティ
4:塗料射出用注入部
5:樹脂射出用ゲート部

Claims (5)

  1. 金型内で成形した樹脂成形品の表面を被覆する被膜に立体模様を形成する金型内被覆成形方法であって、
    金型内で成形した樹脂成形品の表面と、前記金型の内表面との間に被膜形成塗料を注入した後、金型内において、前記被膜形成塗料を前記樹脂成形品の表面上で硬化させて、前記樹脂成形品の表面に被膜が密着した一体成形品を製造する際に、
    前記金型の内表面に、複数の直線状又は曲線状の突出部又は溝部を設け、前記樹脂成形品を被覆する被膜表面に、前記突出部又は溝部に対応する直線状又は曲線状の溝部又は突出部を設けることを特徴とする、金型内被覆成形方法。
  2. 前記突出部又は溝部が、前記金型の内表面に、規則的又はランダムに配置されている請求項1に記載の金型内被覆成形方法。
  3. 前記金型の内表面が、算術平均粗さ(Ra)0.5〜20μm、最大高さ1〜200μmの範囲である請求項1又は2に記載の金型内被覆成形方法。
  4. 前記塗料が、静摩擦係数が、0.2〜1.5であり、ヤング率が、1〜100N/mm2となる被膜を形成するものである、請求項1又は2のいずれかに記載の金型内被覆成形方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法により調製され得る被覆成形品。
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