JP2006314512A - ミシンの上糸保持装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】近接センサの応差による位置検出タイミングのずれをキャンセルする。
【解決手段】上糸の端部を保持部材(1)と挟持部材(23)との間で挟持するとともに挟持した上糸の端部を開放する挟持部(A)、及び保持部材と挟持部材とを相対的に移動させる駆動手段(B)を有する挟持手段と、挟持手段の動作位置を検出する検出手段(C)と、駆動手段を制御する制御手段(70)とを備えるミシン(100)の上糸保持装置(60)である。検出手段は、挟持手段またはミシン本体の一方に取り付けられた被検出部(20a,20b)と、他方に固定され被検出部を検出する近接センサ(21,22)とからなり、制御手段は、駆動手段を近接センサによる被検出部の検出位置から非検出位置に移動させる場合に、近接センサの応差分多く移動させたときに検出手段による位置検出を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、縫い始めに針に挿通されている上糸の端部を針板の下方で挟持するとともに、挟持した上糸の端部を針の上下動経路から離れた位置に移動させる、ミシンの上糸保持装置に関する。
従来、ミシンによる縫い始めの縫い目を確実に形成するとともに、縫い始めの針先に残る上糸の長さを安定させるために、その縫い始めにおける第一針目の針に挿通された上糸の端部を、針が針板の針通過孔(針穴)を上方に抜けたときに針板の下方で挟持し、針穴から離間した所定の位置で上糸を保持する上糸保持装置が知られている。
このような上糸保持装置において、発光素子と受光素子とが対向配置されたフォトインタラプタ等の光センサを用いて上糸の端部を挟持する挟持手段の位置制御を行う制御方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−167007号公報
しかし、光センサを用いて位置制御する制御方法では、縫製時に発生する埃等が受光素子の受光部に付着し、発光素子からの発光を検出できなくなる問題点があった。
埃等の影響を受けないセンサとして、高周波発振型や静電容量型などの近接センサがある。しかし、近接センサでは、被検出部を近づけたときに初めて動作する距離(最大動作距離)と、被検出部を遠ざけたときに初めて復帰する距離(復帰距離)とに距離差(応差、ヒステリシス)があり、オンからオフへの切り替わり位置がずれる。したがって、近接センサをそのまま用いるとエラーが生じるという問題があった。
本発明の課題は、近接センサの応差による位置検出タイミングのずれにより発生する移動停止位置のずれを補正することができる上糸保持装置を提供することである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、上糸の端部を保持部材(例えば、下板1)と挟持部材(例えば、上板23)との間で挟持するとともに前記挟持した上糸の端部を開放する挟持部(A)、及び前記保持部材と前記挟持部材とを相対的に移動させる駆動手段(B)を有する挟持手段と、前記挟持手段の動作位置を検出する検出手段(C)と、前記駆動手段を制御する制御手段(70)とを備えるミシン(100)の上糸保持装置(60)であって、前記検出手段は、前記挟持手段またはミシン本体の一方に取り付けられた被検出部(20a,20b)と、他方に固定され前記被検出部を検出する近接センサ(21,22)とからなり、前記制御手段は、前記駆動手段を前記近接センサによる前記被検出部の検出位置から非検出位置に移動させる場合に、前記検出位置から前記非検出位置までの移動距離よりも前記近接センサの応差分多く移動させたときに前記検出手段による位置検出を行うことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、近接センサによる被検出部の検出位置から非検出位置に駆動手段を移動させる場合に、前記検出位置から前記非検出位置までの移動距離よりも近接センサの応差分多く移動させたときに検出手段による位置検出を行うことにより、近接センサの応差による位置検出タイミングのずれにより発生する移動停止位置のずれを補正し、所定位置に確実に移動停止制御を行うことができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミシンの上糸保持装置であって、前記駆動手段はパルス状の駆動信号により制御されるステッピングモータ(4)により駆動され、前記制御手段は前記挟持手段を前記近接センサによる前記被検出部の検出位置から非検出位置に移動させるときに、前記駆動手段を検出位置から非検出位置まで移動させるのに必要なパルス数よりも前記近接センサの応差に対応するパルス数分多い駆動信号を前記ステッピングモータに出力することを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、駆動手段を近接センサによる被検出部の検出位置から非検出位置に移動させるときに、駆動手段を駆動するステッピングモータに対し、駆動手段を検出位置から非検出位置まで移動させるのに必要なパルス数よりも近接センサの応差に対応するパルス数分多い駆動信号を出力することで、近接センサの応差分多く移動させ、その後検出手段による位置検出を行うことにより、近接センサの応差による位置検出タイミングのずれをキャンセルし、確実に位置検出を行うことができ、エラーの発生を防ぐことができる。
本発明によれば、近接センサの応差による位置検出タイミングのずれにより発生する移動停止位置のずれを補正し、所定位置に確実に移動停止制御を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図1から図16に基づいて説明する。
なお、本発明の上糸保持装置を含むミシン本体の各部材の構成を説明するにあたって、本実施形態では、図中に示したXYZ軸によりそれぞれの方向を定める。Z軸方向は、針の上下動と平行な方向であって、X軸、Y軸方向は、Z軸方向に垂直な面上で互いに直交する2方向である。特に、X軸方向における+側を左、−側を右;Y軸方向における+側を前、−側を後;Z軸方向における+側を上、−側を下と表現する。
図1に示されるミシン100は、略水平なベッド面31aを有するベッド部31と、ベッド部31の後端部に立設された縦胴部32と、縦胴部32の上部からベッド部31と略平行になるように前方に延出するアーム部33と、による概観概略形状を有している。
ミシン100は、針棒駆動機構と、天秤駆動機構と、回転釜90を針棒35の下方であるベッド部31の内部において回動する回転釜駆動機構と、上糸保持装置60と、操作パネル80(図6参照)と、を備えている。
針棒駆動機構は、主軸モータ36と、主軸モータ36が回転駆動する図示しない主軸と、主軸の回転運動を上下の往復運動に変換して針棒35に伝動する図示しない伝動手段等により構成されている。そして、この針棒駆動機構により、針52が取り付けられた針棒35は、アーム部33の前端部の下部において主軸1回転に伴い1往復の上下動運動を行う(図2参照)。
なお、主軸モータ36の主軸(図示省略)には、エンコーダ36a(図7参照)が設けられている。エンコーダ36aは主軸モータ36の主軸の回転角度を検知するものであり、例えば、主軸モータ36の主軸が1°回転するごとにパルス信号を制御手段70(図7参照)に出力する。
針52の下端部分には、糸通し孔(針の目穴とも言う)が形成されており、上糸供給源から導き出された上糸は、後述する上糸調節機構39や天秤44を介し、針52に至って糸通し孔を通っている。針52は針棒35に連動して上下動する際、ベッド部31のベッド面31aに設けられた針板50に形成されている針穴51を通ってベッド部31内に挿入され、ベッド部31内の回転釜90側へ上糸を送り込む。
天秤駆動機構は、主軸の回転運動を利用して、当該主軸の回転運動を上下の往復運動に変換して天秤44に伝動する。そして、この天秤駆動機構により、天秤44は、アーム部33の前端部の側面部において主軸1回転に伴い1往復の上下動運動を行う(図2参照)。なお、針棒35が上死点に位置するタイミングと天秤44が上死点に位置するタイミングはずれており、針棒35が下死点に位置するタイミングと天秤44が下死点に位置するタイミングはずれている(図2参照)。
天秤44には、糸通し孔が形成されており、上糸供給源から導き出された上糸は、後述する上糸調節機構39を介し、天秤44に至ってその糸通し孔を通り、針52へ通じている。上下に移動する天秤44が下死点に位置した場合には、上糸の張力は低減され、回転釜90が上糸ループを広げる際に上糸を弛ませる余裕を与える。また、天秤44が上死点に位置した場合には、天秤44は上糸に張力を与え、上糸供給源から上糸を繰り出すとともに、後述する回転釜90の剣先から上糸が開放された後に広がった上糸ループを引いたりする。
上糸調節機構39は、上糸の経路を案内する糸案内部材41,43と、上糸に張力を付与する糸調子装置45と、上糸の張力により上糸の経路を調節する糸取りバネ42等により構成されており、上糸の張力を調整する。
回転釜駆動機構は、主軸の回転運動を往復回動に変換して釜軸91に伝達する。そして、釜軸91の往復回動に基づき、回転釜90は往復回動する。釜軸91はY軸方向と平行となるように支持されている。
回転釜90は、針52(針棒35)の直下に配置されている。回転釜90は、針板50の針穴51から下降した針52から上糸を捕捉する剣先92と、下糸が巻回されている図示しないボビンを具備している。そして、針52が上下に一回往復運動する間に回転釜90が回動運動を行い、針52が下降した際に回転釜90が剣先92で上糸を捕捉することによって上糸ループが形成され、回転釜90が回転することによって上糸ループを広げ、ボビンの下糸を上糸ループに通す。このような針52と回転釜90との協働によって針52が供給する上糸ループに下糸が挿通され、被縫製物に縫い目が形成される。
上糸保持装置60は、ベッド部31の内部において針52が供給する上糸の端部を挟持するとともに、挟持した上糸の端部を針の上下動経路から離れた位置に移動させる装置である。図1、図3〜図5に示されるように、上糸保持装置60は、挟持部A及び挟持部Aを動作させる駆動手段Bからなる挟持手段と、挟持手段の動作位置を検出する検出手段Cとにより構成されている。
挟持部Aは、保持面1fを有する保持部材としての下板1と、保持面1fに対向して配置される挟持面2eを備える挟持部材としての上板23とを備えている。
下板1は、図3に示されるように、一定方向に長い略平板状の部材であり、駆動手段Bに支持された状態でその長手方向がY軸方向と平行とされる。下板1の前端部1aには長方形状の貫通孔1bが下板1の長手方向に沿って形成され、貫通孔1bの四角形に相当する四つの内周面のうち、最も先端側となる内面が保持面1fとなる。かかる保持面1fは、下板1が駆動手段Bに支持された状態において、釜軸91に対して垂直な面となっている。さらに、下板1の後端側には下板1の長手方向に沿ったスリット状の孔部1cが形成されている。また、下板1には、その下面から下方に突出する前ピン1dと、前ピン1dのやや左後方で下方に突出する左ピン1eとがそれぞれ設けられている。
なお、保持面1fは、挟持面2eとの間に上糸を挟み込むための保持面として機能する。
上板23は、図3に示されるように、挟持面2eを有する先端部材2と、前端部3aに先端部材2を連結して保持する上板本体3とにより構成されている。
先端部材2は、先端部材本体2aの前端側において図3における下方に延出する挟持部2bと、挟持部2bの下端から図3における前方に突出する突起部2cとを有しており、先端部材本体2aの後端側には連結孔2dが形成されている。挟持部2bの前側の面は、保持面1fとの間に上糸を挟み込むための挟持面2eとして機能する。かかる挟持面2eは、先端部材2(上板23)が駆動手段Bに支持された状態において、釜軸91に対して垂直な面となる。
上板本体3は、下板1よりもやや短い略平板状の部材である。上板本体3の前端部3aの下部には下方に突出する連結突起3bが設けられている。また、上板23には、その下面から下方に突出する後ピン3cと、後ピン3cのやや右前方で下方に突出する右ピン3dとがそれぞれ設けられている。
そして、先端部材2の連結孔2dと、上板本体3の連結突起3bとを嵌合して連結することにより、先端部材2と上板本体3とが一体に組み付けられ、上板23となる。
挟持部Aにおいて、上板23における先端部材2の挟持部2b及び突起部2cが、下板1の貫通孔1bに挿通されるとともに、上板23の後ピン3cが下板の孔部1cに挿通されるように、上板23と下板1は重ねられ、上板23と下板1とはその長手方向に相対的に移動自在となっている。
そして、下板1の前ピン1dと、上板23の後ピン3cは、後述するガイド7の中孔部7bを挿通し、そのガイド7の下方で、コイルばね9を介し、接続されている。
このコイルばね9が最も縮んだ状態において、下板1の前ピン1dと上板23の後ピン3cとは最も接近するとともに、下板1の左ピン1eと、上板23の右ピン3dとも最も接近する。つまり、この状態において、左ピン1eと右ピン3dとは、下板1(上板23)をはさみ、下板1(上板23)の長手方向に垂直な方向に配置されている。
さらに、コイルばね9は引っ張りばねであり、常時前ピン1dと後ピン3cを互いに接近する方向に付勢しており、これにより下板1の保持面1fと、上板23の挟持面2eとは外力を加えない限り、常時当接した状態を維持する。
駆動手段Bは、上糸保持装置60の駆動源であるモータ4と、モータ4の回動軸4aに固定装備された揺動リンク10と、揺動リンク10の揺動端部10bにその一端部が接続され他端部が後述するカム板リンク6を介し挟持部Aに接続される連結部材5と、カム板リンク6に接続される挟持部Aを保持するとともに、その移動動作をガイドするガイド7と、ガイド7に保持される挟持部Aを覆うガイド蓋8とを備えている。
モータ4は、制御手段の動作指令信号に従って、所定の角度ずつ回転するステッピングモータであって、エンコーダ36aが出力した主軸(図示省略)の角度に基づく駆動信号に応じて回動する。
連結部材5は、図中Y方向に沿って配置され、その一端部には孔部5aが形成されており、また他端部には孔部5bが形成されている。連結部材5は、揺動リンク10の揺動端部10bにおけるY方向変位をカム板リンク6を介して挟持部Aに伝達する。
カム板リンク6は、下板1(上板23)に交差するように配置される、その長手方向を図中X方向に沿わせて配置される。カム板リンク6には、その下面から下方に突出するカム板ピン6aが設けられている。よって、カム板リンク6はカム板ピン6aを中心に揺動可能である。また、カム板リンク6は、その長手方向の一端部に左孔部6b、他端部に右孔部6cが形成されている。左孔部6b、右孔部6cにはそれぞれ下板1の左ピン1eと、上板23の右ピン3dとが連結されている。また、カム板リンク6の左端部には、後述するコロ12の外周面に対応するようにやや湾曲したカム形状部6dが設けられている。
ガイド7は、図示しないミシン100の本体フレームに固定されている。
ガイド7は、その中央部に所定幅を有する溝部7aが前後方向に沿って形成され、さらに溝部7aには、中孔部7bが前後方向に沿って形成されている。また、ガイド7の溝部7aの左右両側には、スリット状の左孔部7c及び右孔部7dが前後方向に沿ってそれぞれ形成されている。ここで、これら左孔部7c及び右孔部7dは、互いに平行に形成されているが、左孔部7c及び右孔部7dは互いに前後方向においてややずれた位置関係となっており、相対的に左孔部7cは前側に、右孔部7dは後側に形成されている。また、ガイド7の左縁の下部には、ねじ7eにより、コロ12が取り付けられている。
なお、溝部7aの幅は、下板1及び上板23の幅と略同じである。
ガイド蓋8は、略平板状の部材であって、四つのねじ8aにより前側及び後側のそれぞれ二箇所の位置でガイド7に固定されている。これにより、上述した下板1及び上板23は、ガイド7及びガイド蓋8との間に挟まれ、ガイド7の溝部7aに案内されて、下板1及び上板23のがたつきを防止する。
駆動手段Bにおいて、モータ4の回動軸4aには、揺動リンク10の一端部である軸部10aが固定されている。そして、連結部材5の一端部に形成された孔部5a内を摺動自在となるように挿通された段ねじ11により揺動リンク10の揺動端部10bに連結部材5が連結されている。また、連結部材5の他端部に形成された孔部5bには、カム板リンク6をカム板ピン6aにより軸支した状態で取り付けられる。このような構成により、モータ4の回動軸4aが所定の角度範囲で回動することに伴う揺動リンク10の揺動(図8、10、12、14中矢印L0〜L3参照)により、連結部材5は前後動する(図8、10、12、14中矢印M0〜M3参照)。そして、連結部材5の前後動は、カム板リンク6に伝動される。
また、ガイド7の左孔部7cと右孔部7dには、それぞれ下板1の左ピン1eと、上板23の右ピン3dとが挿通されており、左ピン1eと右ピン3dとはそれぞれカム板リンク6の左孔部6bと右孔部6cにおいて摺動可能にストッパ13,13により取り付けられている。
よって、モータ4の回動軸4aの回動に伴う駆動力は、カム板リンク6を介して左ピン1eと右ピン3dに伝動される。そして、左ピン1eと右ピン3dとはそれぞれ左孔部7cと右孔部7dとにより前後に移動自在に配置されているので、その駆動力は、下板1と上板23(挟持部A)を前後に相対的に移動するように伝動される。
検出手段Cは、連結部材5に固定された被検出板20と、図示しないミシン100の本体フレームに固定され、連結部材5とともに移動する被検出板20の有無を検出する第1のセンサ21と第2のセンサ22とを備えている。
被検出板20は、連結部材5に固定されており、連結部材5とともに前後動する部材である。被検出板20は、第1のセンサ21に対応した位置を出入し、第1のセンサ21によりその有無が検出される第1被検出部20aと、第2のセンサ22に対応した位置を出入し、第2のセンサ22によりその有無が検出される第2被検出部20bとを備えている。
第1のセンサ21及び第2のセンサ22としては、近接センサを用いることができる。ここで、近接センサとしては、被検出部が導体であれば電磁誘導を利用する高周波発振型の近接センサを用いることができる。高周波発振型の近接センサでは、先端に設けられた検出コイルより高周波磁界を発生させる。この磁界に被検出部(導体)が接近すると導体中に誘導電流が流れ、発振が減衰する。この状態の変化を検出することで、被検出部を検出することができる。
また、磁石を用いた磁気型の近接センサを用いてもよい。あるいは、静電容量の変化を検出する静電容量型の近接センサを用いてもよい。静電容量型の近接センサでは、被検出部が導体であるか誘電体であるかに依存せず検出することができる。
以下、近接センサが被検出板20を検出しない場合をオフ状態、近接センサが被検出板20を検出する場合をオン状態と定義して説明する。
近接センサには、光センサと異なり、埃等が付着しても被検出部を確実に検出することができるという利点がある。一方、磁界の変化や静電容量の変化を検出するのに検出範囲をある程度とる必要がある。
また、近接センサには、被検出部を近接センサに近づけたときに初めて動作する距離(最大動作距離)と、被検出部を遠ざけたときに初めて復帰する距離(復帰距離)とに距離差(応差、ヒステリシス)があるという性質もある。応差があることにより、被検出部の振動等により出力がオンオフを繰り返す接点振動(チャタリング)が発生することを防ぐことができる。一方、応差があることにより、オンからオフへの切り替わり位置がオフからオンへの切り替わり位置からずれることになる。このように、近接センサを用いる場合には、近接センサの応差に対応した制御を行う必要がある。
操作パネル80は、図6に示すように、操作面に準備キー81、リセットキー82、モードキー83、プラスキー84、マイナスキー85、項目選択キー86、ファンクションキー87、糸掴みキー88等の各種キーと、表示部89とを備える。各種キーは押下されると、そのキーに応じた操作信号を制御手段70の後述するCPUに出力する。
準備キー81はプラスキー84やマイナスキー85などにより変更されたデータや数値を確定する操作信号をCPUに出力する。リセットキー82は、各種キーにより変更されたデータや数値をリセットする操作信号をCPUに出力する。モードキー83は後述する「ヒステリシス値設定モード」に切り替える操作信号をCPUに出力する。プラスキー84及びマイナスキー85は、表示部89に表示される番号を一つずつ変更するためのキーである。プラスキー84が操作されると、表示部89に表示される番号は一つ繰り上がる。また、マイナスキー85が操作されると、表示部89に表示される番号は一つ繰り下がる。項目選択キー86は、ミシンの縫製パターン等を切り替える操作信号をCPUに出力する。ファンクションキー87は、作業者があらかじめ設定した所望の機能を行わせる操作信号をCPUに出力する。糸掴みキー88は糸掴みを実行するか否かの選択を切り替える操作信号をCPUに出力する。
表示部89は、「ヒステリシス値設定モード」において、近接センサの応差(ヒステリシス)に対応するパルス数(以下、ヒステリシス値nという)を表示する。このヒステリシス値nは、プラスキー84及びマイナスキー85を操作することにより変更し、リセットキー82を操作することにより変更を確定することが可能である。
次に、ミシン100の制御系について説明する。
図7に示すように、制御手段70は、詳細には図示しないが、各種演算処理を行うCPUと、各種プログラム、データが記憶、格納されたROMと、各種処理におけるワークメモリとして使用されるRAMとで概略構成されている。そして、制御手段70には、システムバス及び駆動回路等を介して主軸モータ36、駆動手段B(上糸保持装置60)のモータ4、検出手段Cの第1のセンサ21、第2のセンサ22、ミシン100のスタートスイッチSWが接続されている。
制御手段70は、主軸モータ36の主軸に設けられているエンコーダ36aから入力されるパルス信号に基づき、主軸モータ36の回転角度を認識することができる。
また、制御手段70は、検出手段Cの第1のセンサ21、第2のセンサ22から入力される検出信号に基づき、挟持部Aの動作位置を確認することができる。
また、制御手段70は、スタートスイッチSWから縫製開始信号が入力されると、確認、認識した主軸モータ36の回転角度や、挟持部Aの動作位置に応じて、駆動手段Bのモータ4の駆動を制御する。
制御手段70のROMには、CPUによる制御、判断等各種処理用の各種プログラムが記憶、格納されている。また、ROMには、後述するように、挟持部Aを「原点位置」から「初期位置」まで移動させるためのモータ4の回転方向及び必要なモータ4のパルス数a1、「初期位置」から「中間保持位置」まで移動させるためのモータ4の回転方向及び必要なモータ4のパルス数a2、「中間位置」から「上糸保持位置」まで移動させるためのモータ4の回転方向及び必要なモータ4のパルス数a3、「上糸保持位置」から「開放位置」まで移動させるためのモータ4の回転方向及び必要なモータ4のパルス数a4、並びに、ヒステリシス値の初期値n0が記憶されている。なお、「原点位置」は後述するように、検出手段Cにより検出される。
ここで、ヒステリシス値nの初期値n0は、あらかじめROMに記憶された値であり、CPUによりヒステリシス値n=n0としてRAMに読み出される。その後、「ヒステリシス値設定モード」において、作業者が操作パネル80を操作することによりRAMに記憶されたヒステリシス値nを変更することができる。ここで、ヒステリシス値nは整数であり、近接センサの応差(ヒステリシス)を、モータ4の1パルス当たりの挟持部Aの移動距離で除した商に近似する値であることが好ましい。
なお、第1のセンサ21と第2のセンサ22とで応差の異なる近接センサを用いる場合には、各近接センサに対応する2つのヒステリシス値n1,n2を設定可能としてもよい。
CPUは挟持部Aを所定の位置に駆動制御するときに、ROMに記憶されたパルス数を読み出してRAMに書き込む。そしてCPUは所定のタイミングでRAMに書き込まれたパルス数の駆動信号をモータ4に出力し、挟持部Aを所定の位置に駆動制御する。
具体的には、制御手段70は、スタートスイッチSWからの縫製開始信号に基づき、主軸モータ36を駆動させ、主軸モータ36のエンコーダ36aから、第一針目の針52が布から抜け出したことをエンコーダ信号の検出角度から認識し、モータ4に「初期位置」から「中間保持位置」へ挟持部Aを移動させるよう、モータ4に所定のパルス数の駆動信号を出力する。
また、制御手段70は、主軸モータ36のエンコーダ36aから、天秤44が天秤上死点の15°に達したこと(図2参照)をエンコーダ信号の検出角度から認識し、モータ4に「上糸保持位置」へ挟持部Aを移動させるよう、モータ4に所定のパルス数の駆動信号を出力する。
以下、ミシン100が縫製を行う際の上糸保持装置60の動作を説明する。
まず、図8を参照して、縫製開始前から縫製開始直後にかけての動作を説明する。
(O1)制御手段70からの初期位置信号に基づき、モータ4は回動軸4aを図中反時計回りに所定の角度に回動する。回動軸4aの回動に伴い、揺動リンク10は、軸部10aを支点として揺動する(図8(a)中矢印L0参照)。また、段ねじ11により揺動リンク10に摺動可能に取り付けられた連結部材5は、揺動リンク10の揺動に伴い、前側に移動(前移動)する(図8(a)中矢印M0参照)。
(O2)連結部材5に軸支されているカム板リンク6は、連結部材5の前移動に伴い全体として前移動する。
(O3)カム板リンク6の右孔部6cと結合している上板23の右ピン3dは、カム板リンク6の前移動に伴い、ガイド7の右孔部7dに沿って前移動して右孔部7dの前壁にぶつかり(当接し)、右ピン3dの前移動が規制された状態となる。この際、右ピン3dと一体の上板23も前移動し、上板23は最前位置に位置する。
(O4)同様に、カム板リンク6の左孔部6bと結合している下板1の左ピン1eは、カム板リンク6の前移動に伴い、ガイド7の左孔部7cに沿って前移動する。この際、ガイド7の左孔部7cと右孔部7dとでは、相対的に左孔部7cの方が右孔部7dよりやや前方に形成されているので、上板23の右ピン3dが右孔部7dの前壁にぶつかった(O3の状態)後も、下板1の左ピン1eは、上板23の右ピン3dを支点とするようにガイド7の左孔部7cに沿って前移動する。そして、左ピン1eの前移動、すなわち下板1の前移動は、下板1の貫通孔1bが針板50の針穴51直下の所定の最前位置に到達するまで続けられ、所定の最前位置に到達した時点で、制御手段70がモータ4を停止させることにより停止する。なお、ガイド7の左孔部7cの前方向の長さは、左ピン1eが前記最前位置到達した後も左孔部7cの前壁とぶつからないように余裕を持った長さに形成され、モータ4の脱調を防いでいる。
(O5)下板1及び上板23が最前位置に位置するとき、下板1の前ピン1dと上板23の後ピン3cは、互いにコイルばね9の付勢力に抗してY方向について離間した状態となる。なお、この場合、コイルばね9の付勢力により下板1の前ピン1dと上板23の後ピン3cとが前後方向に互いに近づくように付勢されているが、コイルばね9の付勢力よりもモータ4の駆動力のほうが大きいので、下板1は、コイルばね9の付勢力に抗して、最前位置に位置することができる。
(O6)また、下板1及び上板23が最前位置に位置するとき、下板1の貫通孔1bにおける保持面1fと、上板23の前端部3aに取り付けられた先端部材2の挟持面2e及び突起部2cとの前端とはY軸方向に離間しており、貫通孔1bが開いた状態となる。このとき、貫通孔1bと針板50の針穴51とが上下に重なった状態となっており、縫製開始後の第一針目の針52がこれら貫通孔1b及び針板50の針穴51を貫通して上下動できるようになる。このように、挟持部Aが針52の上下動経路上に位置する位置を、以下の説明では「初期位置」とする。
そして、この「初期位置」において、検出手段Cの被検出板20は、連結部材5の前移動とともに前移動しており、被検出板20の第1被検出部20a及び第2の被検出部20bは、それぞれ第1のセンサ21と第2のセンサ22においていずれも非検出位置にある。
(O7)そして、挟持部Aが「初期位置」に位置すると、上糸の端部が挿通されている第一針目の針52が、針穴51及び貫通孔1bを貫通するように上下動する。なお、上糸の端部は、針52が下降したとき回転釜90によって下方に引き出され、その後、針52が上昇したときには、図9に示されるように、貫通孔1bに上糸が挿通された状態で垂れ下がった状態となる。
次に、図10を参照して、縫製開始後(第一針目の針52の上下動後)における上糸保持装置60の動作を説明する。
(P1)制御手段70からの中間保持位置信号に基づき、モータ4は回動軸4aを図中時計回りに所定の角度に回動する。回動軸4aの回動に伴い、揺動リンク10は、軸部10aを支点として揺動する(図10(a)中矢印L1参照)。また、段ねじ11により揺動リンク10に摺動可能に固定された連結部材5は、揺動リンク10の揺動に伴い、後側に移動(後移動)する(図10(a)中矢印M1参照)。
(P2)連結部材5に軸支されているカム板リンク6は、連結部材5の後移動に伴い全体として後移動する。
(P3)カム板リンク6が後移動を始めると、まず、コイルばね9の付勢力によって、上板23の後ピン3cが下板1の前ピン1dの方向に引っ張られているので、上板23の右ピン3dがガイド7の右孔部7dの前壁と当接したままの状態で、下板1のみが後移動を開始する。そして、下板1が所定量の移動を行って停止すると、下板1の保持面1fが上板23の突起部2cの先端より後方に位置し、貫通孔1bが閉じられた「中間保持位置」となる。
なお、この「中間保持位置」は、下板1のみが後移動している状態であり、カム板リンク6のカム板ピン6aと、上板23の右ピン3dと、下板1の左ピン1eとが、挟持部A(下板1、上板23)の長手方向にほぼ垂直な向きに一列に配置されるまでの間の配置のことである。この間モータ4が「中間保持位置」に対応した所定の角度の回動を行っている。
そして、この「中間保持位置」において、検出手段Cの被検出板20は、連結部材5の後移動とともに後移動しており、被検出板20の第1被検出部20aは第1のセンサ21において検出位置にあり、オン状態である。また、第2の被検出部20bは第2のセンサ22において非検出位置にある。
この「初期位置」から「中間保持位置」への下板1の移動は、天秤44の上昇が開始されるまでに完了し、この「中間保持位置」においては、下板1の保持面1fと上板23の挟持面2eとは当接しておらず、上糸を挟持、保持していない。そして、この「中間保持位置」では前述の「初期位置」の(O7)において、貫通孔1bに挿通され垂れ下がった上糸を、突起部2cが回転釜90の釜軸91方向へ屈曲させている。つまり、図11(a)及び(b)に示されるように、挟持部Aは、突起部2cの上面2f(突起面)と、下板1の下面1gとを交差させて、これらの間に上糸を介在させるように、天秤44が上方へ引き上げる上糸に対し、その引き上げ方向と交差する方向に屈曲させ、その上糸の引き上げに対する抵抗を付与している。
このような抵抗を付与することによって、天秤44により引き上げられる上糸が慣性力によってたるんでしまうことを防ぐとともに、挟持部Aから抜けてしまうことを防ぐことができ、また、針52の目穴からの上糸の端部までの長さを一定に保つことができる。
また、特に、「中間保持位置」における上糸に、上糸の端部を引き抜く摺動を生じさせると、突起部2cの先端よりも先から垂れる上糸の端部は、突起部2cの突出方向に沿うように突起部2cの根元側に向かって引き込まれ、突起部2c先端から下方に湾曲した部分には遠心力が生じ、突起部2cに沿った方向に持ち上げられる(図11(a)矢印P参照)。よって、下方の回転釜90から上糸が離れることとなり、上糸が回転釜90に接触することによるトラブルを回避することができる。
次に、図12を参照して、「中間保持位置」後、挟持部Aが上糸を挟持、保持する前後の上糸保持装置60の動作を説明する。
(Q1)前述の「中間保持位置」の(P3)の後において、引き続きモータ4は図中時計回りの回動を行い揺動リンク10を揺動し、その揺動リンク10の揺動に伴う接続部材5の後移動により、カム板ピン6aと、右ピン3dと、左ピン1eとが、挟持部Aの長手方向に垂直な向きに一列に配置される。この状態においては、コイルばね9の付勢力により下板1の前ピン1dと上板23の後ピン3cとが前後方向に互いに最も近づくように付勢されている。それに伴い、下板1の保持面1fと上板23の挟持面2eとが当接し、図13に示されるように、挟持部Aが上糸を挟持する「上糸挟持位置」となる。
「上糸挟持位置」となった後、制御手段70からの上糸保持位置信号に基づき、モータ4は回動軸4aを図中時計回りに所定の角度に引き続き回動する。回動軸4aの回動に伴い、揺動リンク10は、軸部10aを支点として揺動する(図12(a)中矢印L2参照)。また、段ねじ11により揺動リンク10に摺動可能に固定された連結部材5は、揺動リンク10の揺動に伴い、後側に移動(後移動)する(図12(a)中矢印M2参照)。
(Q2)連結部材5に軸支されているカム板リンク6は、連結部材5の後移動に伴い全体として後移動する。
(Q3)この状態では、挟持面2eと保持面1fとが当接状態となるので、コイルばね9が付勢する上板23と下板1の相互近接方向への移動はそれ以上行われない。従って、カム板リンク6の後移動により、下板1、上板23とも同量ずつ後移動する、つまり、挟持部Aは上糸を挟持しつつ後移動する。
このように、挟持部Aは、上糸を挟持した状態で、「上糸挟持位置」よりやや後方の「上糸保持位置」に移動する。この「上糸保持位置」は、針板50の針穴51の後方側であり、挟持部Aが針52の上下動経路から退避する位置である。
そして、この「上糸保持位置」において、検出手段Cの被検出板20は、連結部材5の後移動とともに後移動しており、被検出板20の第1被検出部20a及び第2の被検出部20bは、それぞれ第1のセンサ21と第2のセンサ22において検出位置にあり、いずれもオン状態である。
そして、挟持部Aが、この「上糸保持位置」に退避した状態において、針52による所定針数(例えば、2〜3針)の針落ちが行われ、縫製が進む。
次に、図14を参照して、上糸の端部の挟持(保持)後における上糸保持装置60の動作を説明する。
(R1)制御手段70からの開放位置信号に基づき、モータ4は回動軸4aを図中時計回りに所定の角度に回動する。回動軸4aの回動に伴い、揺動リンク10は、軸部10aを支点として揺動する(図14(a)中矢印L3参照)。また、段ねじ11により揺動リンク10に摺動可能に取り付けられた連結部材5は、揺動リンク10の揺動に伴い、後側に移動(後移動)する(図14(a)中矢印M3参照)。
(R2)連結部材5に軸支されているカム板リンク6は、連結部材5の後移動に伴い後移動する。そして、所定の移動量を超えたところで、カム板リンク6のカム形状部6dがコロ12の外周面と接触し、カム板リンク6は、この接触部を支点として時計回り方向に揺動する。
(R3)そして、カム板リンク6の左孔部6bに連結されている下板1の左ピン1eは、カム板リンク6のカム形状部6dがコロ12に接触することにより、後移動が規制される。一方、カム板リンク6の右孔部6cに連結されている上板23の右ピン3dは、カム板リンク6の揺動に伴って、ガイド7の右孔部7dに沿って後移動する。その結果、下板1の後移動量よりも上板23の後移動量の方が大きくなる。このように、下板1及び上板23は最も後ろに位置する。
(R4)下板1の後移動が、カム板リンク6のカム形状部6dがコロ12に接触し規制された後、上板23が後ろに移動するとき、下板1の前ピン1dと上板23の後ピン3cは、互いにコイルばね9の付勢力に抗して離間する状態となる。なお、この場合、コイルばね9の付勢力により下板1の前ピン1dと上板23の後ピン3cとが前後方向に互いに近づくように付勢されているが、コイルばね9の付勢力よりもモータ4の駆動力のほうが大きいので、上板23は、コイルばね9の付勢力に抗して、最後位置に位置することができる。
(R5)また、下板1及び上板23が後移動するとき、下板1と上板23の後移動量の差により、下板1の貫通孔1bにおける保持面1fと、上板23の前端部3aに取り付けられた先端部材2の挟持面2eとが離間してゆき所定の移動量を越えると、貫通孔1bが開いた状態となる。つまり、「上糸挟持位置」、「上糸保持位置」であった状態から(R2)、(R3)のように、上板23が下板1に対して相対的に後方へ移動することにより、下板1の貫通孔1bにおける保持面1fと、上板23の前端部3aに取り付けられた先端部材2の挟持面2eとが離間する。そして、図15に示すように挟持部Aは、上糸を開放することができるようになる。このように、挟持部Aが挟持、保持した上糸を開放する位置を「開放位置」とする。
そして、この「開放位置」において、検出手段Cの被検出板20は、連結部材5の後移動とともに後移動しており、被検出板20の第1被検出部20aは第1のセンサ21において非検出位置にある。また、第2の被検出部20bは第2のセンサ22において検出位置にあり、オン状態である。
次に、図16に示すフローチャートに基づき、上糸保持装置60を備えるミシン100の動作について説明する。
図2に−は、主軸モータ36の主軸の一回転における針52の位置を示す曲線αと、天秤44の位置を示す曲線βとが表されている。また、図2中γは布位置を示すとともに、主軸の回転角度を示している。
まず、ミシン100における図示しない電源がオンされると、CPUによりROMに記録されたヒステリシス値nの初期値n0がRAMに読み込まれる。ここで、作業者が操作パネル80のモードキー83を操作して「ヒステリシス値設定モード」にし、プラスキー84及びマイナスキー85を操作してRAMに記憶されたヒステリシス値nを変更し、リセットキー82を操作して変更を確定することができる(ステップS1)。
次に、モータ4の原点検索動作が行われる。この原点検索動作は、制御手段70がモータ4を時計回りに回転させ、挟持部Aを前進させながら、第2のセンサ22から出力される信号がオフからオンに切り替わる点を検出することにより行われる(ステップS2)。この信号が切り替わる点を「原点位置」とする。
なお、「原点位置」の検索方法は任意であり、例えば第1のセンサ21から出力される信号がオフからオンに切り替わる点をもとに求めてもよいし、第1のセンサ21または第2のセンサ22から出力される信号がオンからオフに切り替わる点をもとに求めてもよい。
次に、制御手段70は、モータ4にa1のパルス数の駆動信号を出力し、挟持部Aを前進させ、「原点位置」から「初期位置」に移動させる(ステップS3)。このとき、第2のセンサ22の検出信号がオンからオフに切り替わる。
次いで、制御手段70は第1のセンサ21及び第2のセンサ22の検出信号に基づき、挟持部Aが「初期位置」に達したか否かの判断を行う(ステップS4)。
第1のセンサ21及び第2のセンサ22の検出信号がともにオフ状態を示すものである場合は(ステップS4;YES)、ステップS5へ進む。第1のセンサ21と第2のセンサ22の検出信号が前述の組み合わせでない場合は(ステップS4;NO)、ステップS20のエラー処理に進む。
ステップS5において、制御手段70は、スタートスイッチSWにより縫製開始信号が入力されたか否かの判断を行う。スタートスイッチSWがオンされた信号が入力されると(ステップS5;YES)ステップS6へ進み、主軸モータ36の駆動を行い、第一針目の針52が布に対して下降する(ステップS6)。
次いで、主軸モータ36のエンコーダ36aから、第一針目の針52が布に対して上昇したか否かを示すエンコーダ信号が、制御手段70に入力される。制御手段70は、そのエンコーダ信号に基づき、第一針目の針52が布から抜け出したか否かを判断する(ステップS7)。図2によれば、主軸モータ36の主軸が245°において、針52が布から抜け出した状態が示されている。つまり、制御手段70では、エンコーダ出力が245°を超えたか否かにより、針52が布から抜け出したか否かの判断を行っている。
制御手段70が、第一針目の針52が布から抜け出していないと判断した場合(ステップS7;NO)、主軸モータ36のエンコーダ36aから第一針目の針52が布から抜け出した旨のエンコーダ信号が入力されるまでステップS7の処理を繰り返す。
一方、制御手段70が、第一針目の針52が布から抜け出したと判断した場合(ステップS7;YES)、モータ4の回転方向を半時計回りに切り替え、モータ4にa2のパルス数の駆動信号を出力し、挟持部Aを後退させ、「初期位置」から「中間位置」に移動させる(ステップS8)。挟持部Aが正常に「中間位置」に達した場合には、第1被検出部20aが第1のセンサ21の最大動作距離内に入り、第1のセンサ21の検出信号がオフからオンに切り替わる。
次いで、制御手段70は、第1のセンサ21及び第2のセンサ22の検出信号に基づき、挟持部Aが「中間保持位置」にあるか否かの判断を、応差分のnパルスだけモータ4を回転させた位置で行う(ステップS9)。第2のセンサ22の検出信号がオフでかつ第1のセンサ21の検出信号がオン状態に切り替わった場合には(ステップS9;YES)、ステップS10へ進む。一方、ステップS9で否定判断されたときは(ステップS9;NO)、ステップS20のエラー処理に進む。
次いで、制御手段70は、主軸モータ36のエンコーダ36aからのエンコーダ信号に基づき、天秤44が天秤上死点の15°手前か否かの判断を行う(ステップS10)。図2では、主軸モータ36の主軸の角度が70°の場合に天秤44が上死点となることを示している。従って、エンコーダ出力が55°を超えるか否かにより天秤上死点手前15°を認識する。
制御手段70が、天秤44が天秤上死点手前15°に達していないと判断すると(ステップS10;NO)、天秤44が天秤上死点手前15°に達するまでステップS10の処理を繰り返す。一方、制御手段70が、主軸モータ36のエンコーダ36aからのエンコーダ信号に基づき、天秤44が天秤上死点手前15°に達したと判断すると(ステップS10;YES)、ステップS11へ進む。この判断により天秤44による上糸の引き上げが終了したことが判断される。
そして、制御手段70は、モータ4にa3のパルス数の駆動信号を出力し、挟持部Aを後退させ、「中間保持位置」から「上糸挟持位置」を経て「上糸保持位置」に移動させる(ステップS11)。挟持部Aが正常に「上糸保持位置」に達した場合には、第2被検出部20bが第2のセンサ22の最大動作距離内に入り、第2のセンサ22の検出信号がオフからオンに切り替わる。
なお、挟持部Aの保持面1fと挟持面2eとによる「上糸挟持位置」における上糸の挟持は、挟持部Aが「中間保持位置」から「上糸保持位置」に移動される間に行われ、天秤44による上糸の上昇が略終了(例えば、55°)してから針52が布を貫通するまで(例えば、115°)までの間の所定の角度(例えば、80°)に行われる。
次いで、制御手段70は、第1のセンサ21及び第2のセンサ22の検出信号に基づき、挟持部Aが「上糸保持位置」に達したか否かの判断を行う(ステップS12)。第1のセンサ21及び第2のセンサ22の検出信号がともにオン状態である場合には(ステップS12;YES)、ステップS13へ進む。一方、ステップS12で否定判断されたときは(ステップS12;NO)、ステップS20のエラー処理に進む。
そして、ミシン100は、第二針目以降の縫製を行う(ステップS13)。
次いで、制御手段70は、所定数の針落ち(例えば、2回の針落ち)が行われたか否かの判断を行う(ステップS14)。針落ちの回数は、例えば、エンコーダ36aによる180°を示す信号出力回数を計数することにより、所定数の針落ちとの認識することができる。制御手段70が、所定数の針落ちが行われていないと判断すると(ステップS14;NO)、所定数の針落ちが行われるまでステップS13の処理を繰り返す。一方、制御手段70が、所定数の針落ちが行われたと判断すると(ステップS14;YES)、ステップS15へ進む。
そして、制御手段70は、モータ4に(a4+n)のパルス数の駆動信号を出力し、挟持部Aを後退させ、「上糸保持位置」から「開放位置」よりも応差分後退した位置に移動させる(ステップS15)。第1のセンサ21の検出信号がオンからオフに切り替わるのは、第1被検出部20aが第1のセンサ21の復帰距離外に出た時点、すなわち、挟持部Aが「開放位置」よりも応差分後方に達した時点である。
次いで、制御手段70は、第1のセンサ21及び第2のセンサ22の検出信号に基づき、挟持部Aが「開放位置」よりも応差分後方に達したか否かの判断を行う(ステップS16)。第1のセンサ21の検出信号がオフ状態を示し、第2のセンサ22の検出信号がオン状態を示すものである場合は(ステップS16;YES)、ステップS17へ進む。一方、ステップS16で否定判断されたときは(ステップS16;NO)、ステップS20のエラー処理に進む。
次いで、制御手段70は、針52による縫製が終了したか否かの判断を行う(ステップS17)。制御手段70が、縫製は終了していないと判断すると(ステップS17;NO)、縫製が終了されるまでステップS17の処理を繰り返す。一方、制御手段70が、縫製は終了したと判断すると(ステップS17;YES)、ステップS18へ進む。
そして、制御手段70は、モータ4の回転方向を時計回りに切り替え、モータ4に(a2+a3+a4)のパルス数の駆動信号を出力し、挟持部Aを前進させ、「開放位置」から、「初期位置」に移動させる(ステップS18)。
次いで、制御手段70は、第1のセンサ21及び第2のセンサ22の検出信号に基づき、挟持部Aが「初期位置」に達したか否かの判断を行う(ステップS19)。第1、第2のセンサ21、22の検出信号がいずれもオフ状態を示すものである場合は(ステップS19;YES)、ミシン100の動作を終了する。一方、第1のセンサ21と第2のセンサ22の検出信号が前述の組み合わせでない場合は(ステップS19;NO)、ステップS20のエラー処理に進む。
ステップS20のエラー処理は、モータ4の脱調等の異常が発生したものとして、制御手段70がモータ4及び主軸モータ36を停止させる処理である。この場合、エラーの発生を示す表示手段(図示省略)を設け、モータ4等の脱調が生じたことを作業者に知らせるようにしてもよい。
以上のように、ミシン100の動作が行われる。
このように、近接センサをオンからオフに切り替えるときに、挟持部Aを移動させるのに必要なパルス数よりも、ヒステリシス数nだけ多いパルス数の駆動信号を出力することで、近接センサの応差による位置検出タイミングのずれをキャンセルすることができ、エラーの発生を防ぐことができる。したがって、近接センサの応差による位置検出タイミングのずれにより発生する移動停止位置のずれを補正し、所定位置に確実に移動停止制御を行うことができる。
なお、第1のセンサ21や第2のセンサ22として、近接センサの代わりに、発光素子と受光素子とが対向配置されたフォトインタラプタ等の光センサを用いてもよい。この場合、被検出板20の前後動に伴い、被検出部により発光素子の発光が遮蔽され、受光素子が発光を検出しないとき、センサは被検出部を検出しオン状態となり、遮蔽されないときセンサ21はオフ状態となる。この場合、操作パネル80を操作してヒステリシス値nを0に設定すればよい。
また、以上の実施の形態においては、挟持手段側に被検出部を設け、ミシン本体側にセンサを設けたが、挟持手段側にセンサを設け、ミシン本体側に被検出部を設けてもよい。その他、上糸保持装置の各部材等の具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
本実施の形態に係る上糸保持装置が設けられたミシンを示す一部透視側面図である。 本実施の形態に係るミシンの主軸の回転角度に対する針棒及び天秤の動きを示すタイミングチャートである。 本実施の形態に係る上糸保持装置を示す分解斜視図である。 本実施の形態に係る上糸保持装置を下から見た斜視図である。 本実施の形態に係る上糸保持装置を上から見た斜視図である。 本実施の形態に係る疎さパネル80の操作面を示す図である。 本実施の形態に係るミシンの制御系が示されたブロック図である。 本実施の形態に係る挟持手段、駆動手段、検出手段構成する各部材の「初期位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。 本実施の形態に係る挟持手段の「初期位置」を説明するための斜視図である。 本実施の形態に係る挟持手段、駆動手段、検出手段構成する各部材の「中間保持位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。 本実施の形態に係る挟持手段の「中間保持位置」を説明するための(a)斜視図及び(b)側面図である。 本実施の形態に係る挟持手段、駆動手段、検出手段構成する各部材の「上糸保持位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。 本実施の形態に係る挟持手段の「上糸挟持位置」を説明するための斜視図である。 本実施の形態に係る挟持手段、駆動手段、検出手段構成する各部材の「開放位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。 本実施の形態に係る挟持手段の「開放位置」を説明するための斜視図である。 挟持手段の変形例を示す側面図である。
符号の説明
1 下板(保持部材)
23 上板(挟持部材)
4 モータ(ステッピングモータ)
5 連結部材
60 上糸保持装置
70 制御手段
20a 第1被検出部
20b 第2被検出部
21 第1のセンサ(近接センサ)
22 第2のセンサ(近接センサ)
100 ミシン本体
A 挟持手段
B 駆動手段
C 検出手段

Claims (2)

  1. 上糸の端部を保持部材と挟持部材との間で挟持するとともに前記挟持した上糸の端部を開放する挟持部、及び前記保持部材と前記挟持部材とを相対的に移動させる駆動手段を有する挟持手段と、
    前記挟持手段の動作位置を検出する検出手段と、前記駆動手段を制御する制御手段とを備えるミシンの上糸保持装置であって、
    前記検出手段は、前記挟持手段またはミシン本体の一方に取り付けられた被検出部と、他方に固定され前記被検出部を検出する近接センサとからなり、
    前記制御手段は、前記駆動手段を前記近接センサによる前記被検出部の検出位置から非検出位置に移動させる場合に、前記検出位置から前記非検出位置までの移動距離よりも前記近接センサの応差分多く移動させたときに前記検出手段による位置検出を行うことを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  2. 前記駆動手段はパルス状の駆動信号により制御されるステッピングモータにより駆動され、
    前記制御手段は前記挟持手段を前記近接センサによる前記被検出部の検出位置から非検出位置に移動させるときに、前記駆動手段を検出位置から非検出位置まで移動させるのに必要なパルス数よりも前記近接センサの応差に対応するパルス数分多い駆動信号を前記ステッピングモータに出力することを特徴とする請求項1に記載のミシンの上糸保持装置。
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JP2004167007A (ja) * 2002-11-20 2004-06-17 Juki Corp ミシンの上糸保持装置

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