JP2006308731A - 短波長光源および光学素子の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】短波長光源において、波長変換された高出力な高調波光を安定に出力する光源を提供する。
【解決手段】基本波と、第二高調波と、和周波を有する短波長光源において、MgO:LiNbO3基板100の基板表面に溝102を形成することで、高調波の結晶内部で発生する吸収熱を効率よく放熱し、出力安定な短波長光源を実現する。高出力時において安定な出力特性を維持し、高出力用短波長光源の応用展開が可能となる。
【選択図】図1
【解決手段】基本波と、第二高調波と、和周波を有する短波長光源において、MgO:LiNbO3基板100の基板表面に溝102を形成することで、高調波の結晶内部で発生する吸収熱を効率よく放熱し、出力安定な短波長光源を実現する。高出力時において安定な出力特性を維持し、高出力用短波長光源の応用展開が可能となる。
【選択図】図1
Description
本発明は、光情報処理機器、光応用計測制御機器、画像表示装置、加工装置等に使用される分極反転領域を有した光波長変換素子を用いた短波長光源ならびに光学素子の形成方法に関するものである。
強誘電体の分極を強制的に反転させる分極反転現象を利用すると、強誘電体の内部に周期的な分極反転領域(分極反転構造)を形成することができる。このようにして形成された分極反転領域は、表面弾性波を利用した光周波数変調器や、非線形分極の分極反転を利用した光波長変換素子、プリズム形状やレンズ形状の反転構造を利用した光偏光器などに利用される。特に、非線形光学物質の非線形分極を周期的に反転することで変換効率の高い光波長変換素子を作製することができる。これを用いて半導体レーザーなどの光を変換すれば、印刷、光情報処理、光応用計測制御分野などに応用できる小型の短波長光源を実現することができる。あるいはワット級の高出力レーザー(ファイバーレーザー、あるいは固体レーザーなど)の光を変換すれば、ワット級の短波長可視光(緑色、青色)、あるいは高出力な紫外レーザーが実現し、高輝度ディスプレイ、加工、露光などに応用できる高出力短波長光源を提供することができる。
基本波の単行(シングルパス)変換によりワット級の高出力CW可視光発生を実現する有望な手法として周期分極反転LiNbO3(Periodically Poled LiNbO3:PPLN)(以下、PPLNと略す)を用いた第二高調波発生がある。LiNbO3(以下、LNと略す)は大きな非線形光学定数を有しているために、シングルパスでCW、ワット級の短波長光発生が可能である。しかしながら、LNでは光損傷、緑色光により誘起される赤外吸収(Green Induced Infrared Absorption :以下、GRIIRAと略す)などによる影響のため、出力が不安定になる、高温動作が必要であるという課題があった。
上述した課題を解決するために、周期分極反転MgO:LiNbO3(Periodically Poled MgO:LiNbO3:PPMgLN)(以下、PPMgLNと略す)を用いたシングルパス構成による可視短波長光発生がある。MgO:LiNbO3(以下、MgLNと略す)はLNと比較して高い非線形光学定数、優れた耐光損傷性、短波長域への透過特性を有するため、シングルパス構成で室温CWのワット級出力が実現可能な高非線形材料として有望である。
ところで、周期分極反転の形成方法として、特許文献1に示されるような分極反転時の放電を防止するために基板表面に溝を形成しているものがある。あるいは、特許文献2、3、4においては、基板表面に溝を形成することで、分極反転形成時に横方向への分極反転広がりを抑制し、所望の周期、幅をもつ周期分極反転構造の形成が可能となることが示されている。
特開平5−323407号公報
特開2000−147584号公報
特開2003−57697号公報
特開平11−2848号公報
しかし、室温CWでワット級出力が実現可能な材料として期待されているMgLNにおいても高出力時に、光損傷やGRIIRAとは異なる別の現象が発生し、高調波出力が不安定になる、あるいは結晶が破損する、という新たな課題が発生した。我々はこの要因を検証することで、基本波と高調波の相互作用で発生した紫外光により誘起される高調波光吸収が原因で結晶内部に熱が発生し、高調波出力が不安定になる、ということを見出した。特に、高出力の高調波発生時において基本波と高調波の和周波が発生する光源では、高調波の吸収による熱の発生が顕著に問題となることが判明した。従来、このような高調波、和周波による熱の問題は認識されていない。また、特許文献1〜4にある基板表面に形成された溝は、すべて分極反転形成時のプロセス課題解決のために考案されたものであり、本課題を解決するものではない。
本発明の目的は、Mgをドープした結晶において、基本波から高調波へワットクラスの高出力波長変換を行う際に、高調波の吸収により発生する熱を抑制し、ワットクラスの出力時においても出力、およびビーム品質を長時間にわたり安定化する短波長光源を作製することである。
本発明に関わる短波長光源は、基本波と、第二高調波と、基本波と第二高調波の和周波と、基本波の一部を第二高調波に変換する光学素子を備え、基本波と第二高調波の一部は、光学素子により和周波に変換され、光学素子は、単一分極化された強誘電体基板と、強誘電体基板に形成された分極反転領域と、強誘電体基板の表面に形成された溝と、を有することを特徴とし、これによって上記目的が達成される。
さらに、本発明に関わる光学素子の形成方法は、強誘電体基板の表面に周期状の溝と周期電極を形成する第一の工程と、周期電極に電界を印加することで周期分極反転を形成する第二の工程と、強誘電体基板の表面に形成された分極反転構造の化学的エッチングレートの差により周期状の溝を形成する第三の工程により、形成されることを特徴とし、これによって機械加工による手法を用いることなく、微細かつ均一な周期状の溝を形成することができる。
以上説明したように、本発明の短波長光源は、基本波と、第二高調波と、基本波と第二高調波の和周波と、基本波の一部を第二高調波に変換する光学素子を備え、光学素子は、単一分極化された強誘電体基板と、前記強誘電体基板に形成された分極反転領域と、前記強誘電体基板の表面に形成された溝と、を有する構成により、結晶内部に入射した基本波と、波長変換された高調波との相互作用で発生した紫外光が原因で生じる高調波吸収熱を効率よく放熱することで、光出力、ビームプロファイルを安定に保持し、レーザー光源の信頼性を確保する、という効果を有する。
また、本発明の光学素子の形成方法は、機械加工による手法を用いることなく、微細な周期状の溝を形成することができるため、簡便かつ正確に微細な放熱溝を形成することが可能になる、という効果を有する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、周期分極反転構造を有し、基板表面に溝が形成された波長変換素子を用いた短波長光源について述べる。図1は本発明の短波長光源の断面図である。Z板MgドープLiNbO3基板100に、周期状の分極反転部101が形成されている。基板の厚みは1mm、分極反転の深さは基板表面から約0.5mm程度である。分極反転は基板結晶のY軸に沿って形成されている。分極反転部101は基板の+Z面から−Z面側に向かって形成されている。分極反転領域は電界印加法により作製した。また、周期状の分極反転部101の付近には、MgLNの+Z面表面に深さ0.5μmの溝102が形成されている。ここでの分極反転周期、分極反転領域長は、それぞれ7μm、10mmである。
本実施の形態では、周期分極反転構造を有し、基板表面に溝が形成された波長変換素子を用いた短波長光源について述べる。図1は本発明の短波長光源の断面図である。Z板MgドープLiNbO3基板100に、周期状の分極反転部101が形成されている。基板の厚みは1mm、分極反転の深さは基板表面から約0.5mm程度である。分極反転は基板結晶のY軸に沿って形成されている。分極反転部101は基板の+Z面から−Z面側に向かって形成されている。分極反転領域は電界印加法により作製した。また、周期状の分極反転部101の付近には、MgLNの+Z面表面に深さ0.5μmの溝102が形成されている。ここでの分極反転周期、分極反転領域長は、それぞれ7μm、10mmである。
図2は、図1に示した短波長光源の構成斜視図である。分極反転周期7μmを形成することで、波長1064nmの光(Nd:YAGレーザー)を波長532nmの光に波長変換することができる。
分極反転領域長10mmの部分に、集光レンズで集光し、波長1064nmの光を入射したところ、変換効率3%/Wで波長変換され、波長532nmの高調波が得られた。均一な分極反転領域を形成することで高効率の波長変換が可能となる。基本波である波長1064nmの赤外入力パワーを上昇させると、2乗特性に従い高調波出力が増大する。しかしながら、図10で示された従来の短波長光源では、高調波出力が3W以上になると二乗特性から外れ、出力が不安定になった(図3の点)。原因は、発生した高調波が高出力になると基本波と高調波の相互作用により和周波である355nmの紫外光が発生することで高調波が結晶内部で吸収され、熱が発生することによるものである。
一方、図1、2で示された短波長光源を用いて同様の実験をおこなった。形成された分極反転領域は図8で示された短波長光源と同等の分極反転特性(均一性、形成領域)が得られており、高調波出力が3W以下の時の変換効率は3%/Wと同じであった。図1、2で示された短波長光源を用いると高調波出力が3W以上になっても二乗特性の劣化、出力の不安定化および変換効率の低下は発生せず、安定な出力、高品質のビームプロファイルを得ることができた(図3の実線)。光学素子表面に形成された溝によって結晶内で発生した緑色光吸収熱を外部へ放熱させたからである。
なお、本実施の形態では、溝の深さを0.5μmとしたが、1μm以上にするとさらに放熱性が向上し、高出力時の出力の安定性がさらに高くなる。深い溝を形成することはより好ましい。
なお、本実施の形態では、表面に形成する溝の幅および周期をそれぞれ3.5μm、7μmとしたが、溝の幅および周期を狭くするとさらに高出力時の出力、ビーム品質の信頼性が保たれ、より効果的である。
つまり、外部(空気)と接触している表面積が増えるように、光学素子表面に溝を形成することで、放熱性が向上する。そのためには、溝幅を細くし溝本数を多数にする、あるいは溝の深さを深くするということが有効である。
また、図4に示すように光学素子表面に形成された溝、および光学素子表面に金属膜等の熱伝導率のよい材料(例えば銅スパッタ膜、銅蒸着膜)を成膜することで放熱性がさらに向上した。さらなる高出力時においても出力の安定性が得られ、より有効である。
本実施の形態の短波長光源では、基本波の入射位置も重要である。本実施の形態で使用した光学素子の分極反転は基板表面(+Z面)から500μmの深さにおいて均一に形成されている。基本波が高調波に効率よく変換するためには基板表面から深さ500μmの間に入射する必要がある。基本波は基板表面に近い位置に入射するほうがよい。高調波の吸収熱を外部へ逃がしやすいからである。一方、分極反転深さが1mmの光学素子を作製し、基板表面から500μm以上の深さの位置で高調波吸収熱の評価をおこなったが、基板表面から基本波、高調波の伝搬位置が遠ざかるほど、内部で発生した熱の放熱が悪くなり、出力は不安定になる。高効率かつ安定な出力を得るためには、基本波は基板表面から深さ500μm以内に入射すること、分極反転構造は基本波の入射位置において最適なデューティ比を持つ周期分極反転構造を形成することが必要となる。
ところで、本実施の形態の短波長光源は光学素子の分極反転形成においても効果がある。本実施の形態では、周期状の分極反転を形成するための電界印加前に、ドライエッチング工程により周期電極パターン以外のMgLN基板表面を削り、溝を形成した。基板表面に溝を形成することで、分極反転形成工程において、電極から発生する電気力線が隣の電極から発生する電気力線の影響を受けにくくなり、+Z面から−Z面へ真っ直ぐに向かい、短周期、均一かつ大面積の周期分極反転形成の作製が容易となるため、分極反転形成においても効果が大きい。
なお、以上の本実施の形態の説明では、強誘電体基板としてZ板のMgOドープLiNbO3基板を用いた。その他に、MgOドープLiTaO3基板、ストイキオ組成の同様の基板などであってもよい。
なお、本発明の構成における波長変換としては、位相整合波長として1200nm以下の基本波の場合に特に有効である。本発明で説明した現象は発生した紫外光で誘起される高調波吸収熱に起因するものであるから紫外光が発生する波長領域に対して顕著に現れる。つまり、基本波と高調波の和周波として400nm以下の波長が発生する1200nm以下の基本波に対して本発明の短波長光源は特に有効である。
また、基本波パワー10W以上、あるいは高調波パワー3W以上のときに紫外光発生による高調波吸収が顕著になることが確認されている。そのため、このような高いパワーの基本波、高調波発生時に本発明の短波長光源が特に有効である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、短波長光源に用いた光学素子のZ面およびY面の表面に溝が形成された波長変換素子について述べる。図5は本実施の形態の光学素子の構成斜視図である。Z板のMgOドープLiNbO3基板500に、周期状の分極反転部501が形成されている。基板の厚みは1mm、基板表面からの分極反転深さは約0.5mm程度である。分極反転は基板結晶のY軸に沿って形成されている。分極反転部501は基板の+Z面から−Z面側に向かって形成されている。分極反転部501は、電界印加方法により作製した。また、周期状の分極反転部501の付近には、MgLNの+Z面表面に深さ0.5μmの溝502が形成されている。さらに、MgLNのY面の表面にも深さ0.5μmの溝503が形成されている。ここでの分極反転周期、分極反転領域長は、それぞれ7μm、10mmである。
本実施の形態では、短波長光源に用いた光学素子のZ面およびY面の表面に溝が形成された波長変換素子について述べる。図5は本実施の形態の光学素子の構成斜視図である。Z板のMgOドープLiNbO3基板500に、周期状の分極反転部501が形成されている。基板の厚みは1mm、基板表面からの分極反転深さは約0.5mm程度である。分極反転は基板結晶のY軸に沿って形成されている。分極反転部501は基板の+Z面から−Z面側に向かって形成されている。分極反転部501は、電界印加方法により作製した。また、周期状の分極反転部501の付近には、MgLNの+Z面表面に深さ0.5μmの溝502が形成されている。さらに、MgLNのY面の表面にも深さ0.5μmの溝503が形成されている。ここでの分極反転周期、分極反転領域長は、それぞれ7μm、10mmである。
本実施の形態の短波長光源もMgLNへ分極反転周期7μmを形成し、その光学素子を用いて波長1064nmの光(Nd:YAGレーザー)を波長532nmの光に波長変換している。
分極反転領域長10mmの部分に、集光レンズで集光し、1064nmの光を入射したところ、変換効率3%/Wで波長変換され、532nmの高調波が得られた。均一な分極反転領域を形成することで高効率の波長変換が可能である。基本波である1064nmの入力パワーを上昇させると通常は2乗特性に従い高調波出力が増大する。
ところが、図1、2で示された短波長光源を用いた場合、高調波出力5W以上の高出力時には2乗特性が劣化し、出力が不安定となった。5W以上の高出力時には、+Z面表面に形成された溝だけでは十分な放熱がおこなわれなかったからと考えられる。そこで、本実施の形態の短波長光源で使用した光学素子は、+Z面表面だけでなく、Y面へも溝を形成した。これにより、5W以上の出力時においても安定な出力、高品質なビームプロファイルをもつ高調波(緑色光)を確認することができた(図6)。Z面、Y面の2次元に溝を形成することで、実施の形態1に比べて放熱性が増し、高出力時において高い出力信頼性が確保できた。
なお、本実施の形態では、+Z面、Y面ともに溝の幅および周期をそれぞれ3.5μm、7μmとしたが、溝の幅および周期は短いほうがさらに高出力時の出力、ビーム品質の信頼性が保たれる。光学素子表面に形成された溝により、外部と接触する表面積が増えるように溝を形成することで、さらに放熱性が向上する。溝幅を細くし溝本数を多数にする、あるいは溝の深さを深くするということが有効である。
また、Y面は表面を鏡面研磨後、HFとHNO3の60℃混合溶液において1時間エッチングした。これによって、分極反転した部分は分極反転していない部分に比べてエッチングレートが速いためにおよそ0.5μmの深さの溝を形成することができる。溝の形成はダイシングソーなどの機械的切削方法も可能であるが、ウエットエッチングのような化学的エッチング法を用いると、周期分極反転パターンに沿った形状で微細かつ容易に周期構造の溝を形成することができるために効果的である。
本実施の形態では、Y面における溝形成に化学的エッチングを用いたが、+Z面への溝形成も化学的エッチングを用いて形成することが可能である。
また、Y面への放熱性を向上させるために図7に示す構成の短波長光源も有効である。Y面に溝を形成することで図6に示された短波長光源と同様の効果が得られる。
さらに、図6、図7に示される短波長光源の表面(+Z面、Y面)へ金属膜をつけることで放熱性が向上し、その効果は大きくなる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、周期分極反転構造を強誘電体結晶内部に有した光学素子として、結晶の+Z面表面に溝が形成され、その溝の一部に紫外光が吸収される材料が埋め込まれている波長変換素子を用いた短波長光源について述べる。
本実施の形態では、周期分極反転構造を強誘電体結晶内部に有した光学素子として、結晶の+Z面表面に溝が形成され、その溝の一部に紫外光が吸収される材料が埋め込まれている波長変換素子を用いた短波長光源について述べる。
図8は本発明の短波長光源の構成斜視図である。Z板のMgOドープLiNbO3基板800に、周期状の分極反転部801が形成されている。基板の厚みは1mm、分極反転の深さは約0.5mm程度である。分極反転は基板結晶のY軸に沿って形成されている。分極反転部801は基板の+Z面から−Z面側に向かって形成されている。分極反転部801は、電界印加方法により作製された。また、周期状の分極反転部801の付近には、MgLNの+Z面表面に深さ0.5μmの溝802が形成されている。さらに、MgLNの+Z面表面に形成された溝の一部は幅3.5μm、深さ500μmの溝が形成されている。その溝の内部には波長400nm以下の紫外光を吸収するための材料(ここでは、TiO2)が埋め込まれている。分極反転周期、分極反転領域長は、それぞれ7μm、10mmである。
本実施の形態の短波長光源においても、波長1064nmの光(Nd:YAGレーザー)を波長532nmの光に波長変換しており、分極反転領域長10mmの部分に、集光レンズで集光し、1064nmの光を入射したところ、変換効率3%/Wで波長変換され、532nmの高調波が得られた。基本波である1064nmの入力パワーを上昇させると2乗特性に従い高調波出力が増大する。本実施の形態の短波長光源は、+Z面表面に形成された溝の一部を深く掘り込み、その部分にUV光を吸収する材料を埋め込んでいる。これによって、発生した紫外光を結晶内で吸収し、緑色光の吸収熱発生を抑制することで5W以上の高出力時においても二乗特性の劣化は観測されず、安定な出力、高品質なビームプロファイルを有する高調波(緑色光)を確認することができた(図9)。実施の形態1に比べるとさらに高出力時の出力の信頼性が確保できる。
なお、本実施の形態では紫外光吸収材料としてTiO2を用いたが、400nm以下の紫外光を吸収する材料であればどのようなものでもよい。
本発明にかかる短波長光源および光学素子の作製方法は、結晶内部に入射した基本波と、波長変換された高調波との相互作用で発生した紫外光が原因で生じる高調波吸収熱を効率よく放熱することで、光出力、ビームプロファイルを安定に保持し、レーザー光源の信頼性を確保する、という効果を有し、光情報処理機器、光応用計測制御機器、画像表示装置、加工装置等に使用される分極反転領域を有した光波長変換素子を用いた短波長光源ならびに光学素子の形成方法として有用である。
100,200,400,500,700,800,1000 MgO:LiNbO3基板
101,201,401,501,701,801,1001 分極反転部
102,202,402,502,702,802 溝
403 金属膜
803 紫外光吸収部
101,201,401,501,701,801,1001 分極反転部
102,202,402,502,702,802 溝
403 金属膜
803 紫外光吸収部
Claims (14)
- 基本波と、第二高調波と、前記基本波と前記第二高調波の和周波と、
前記基本波の一部を前記第二高調波に変換する光学素子を備え、
前記基本波と前記第二高調波の一部は、前記光学素子により前記和周波に変換され、
前記光学素子は、単一分極化された強誘電体基板と、
前記強誘電体基板に形成された分極反転領域と、
前記強誘電体基板の表面に形成された溝と、を有することを特徴とする短波長光源。 - 前記強誘電体基板の表面に金属膜が成膜されていることを特徴とする請求項1記載の短波長光源。
- 前記溝が光の入射面、出射面以外の面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の短波長光源。
- 前記溝の深さが1μm以上であることを特徴とする請求項1記載の短波長光源。
- 前記溝に波長400nm以下の光を吸収する材料が埋め込まれていることを特徴とする請求項1記載の短波長光源。
- 前記分極反転領域は、周期状の分極反転構造であることを特徴とする請求項1記載の短波長光源。
- 前記溝は、周期状の溝であることを特徴とする請求項1記載の短波長光源。
- 前記強誘電体基板の法線と前記強誘電体基板の自発分極のなす角度が30°以下であることを特徴とする請求項1記載の短波長光源。
- 前記強誘電体基板がMgドープのLiTa(1−x)NbxO3(0≦x≦1)であることを特徴とする請求項1記載の短波長光源。
- 前記基本波は、前記溝の底面から0―500μmの位置を伝搬することを特徴とする請求項1記載の短波長光源。
- 前記基本波の波長が1200nm以下であることを特徴とする請求項1記載の短波長光源。
- 前記基本波の出力パワーが10W以上であることを特徴とする請求項1記載の短波長光源。
- 前記高調波の出力パワーが3W以上であることを特徴とする請求項1記載の短波長光源。
- 強誘電体基板の表面に周期状の溝と周期電極を形成する第一の工程と、
前記周期電極に電界を印加することで周期分極反転を形成する第二の工程と、前記強誘電体基板の表面に形成された分極反転構造の化学的エッチングレートの差により周期状の溝を形成する第三の工程により、
形成されることを特徴とする光学素子の形成方法。
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