JP2006305854A - 炭素繊維束への樹脂含浸方法 - Google Patents

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Takashi Kondo
孝志 近藤
Masayoshi Washiyama
正芳 鷲山
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Abstract

【課題】
炭素繊維束の走行位置安定化、開繊性を向上させた後に樹脂含浸させて、毛羽の少ない品位の良い、特にFAW55g/m以下の薄肉プリプレグを安定して生産する。
【解決手段】
炭素繊維束パッケージから解舒された炭素繊維束を、糸道ガイドに接触させた後、開繊バーを経て樹脂含浸槽に導き、炭素繊維束に樹脂を含浸せしめるに際し、炭素繊維束パッケージから解舒された炭素繊維束を、炭素繊維束の走行位置を規定する位置規定ガイドに接触させた後、走行する炭素繊維束を、開繊バーとして、表面の最大高さRmaxが2〜20μmの範囲内であり、隣り合うバーの面間距離を10〜100mmの範囲内に保った複数本の固定梨地バーを用いて、固定梨地バーに対する炭素繊維束の接触角の合計を0.3π〜2.5πradの範囲内に保つことを特徴とする炭素繊維束への樹脂含浸方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、炭素繊維を補強用繊維として用いてなる複合材料を、ドラムワインド法(以下、DW法と略す)やフィラメントワインド法(以下、FW法と略す)で製造する際に好適に適用される、炭素繊維束への樹脂含浸方法の改良に関するものである。
炭素繊維束にウェット樹脂を含浸する加工法として、DW法やFW法が広く知られている。近年、製品をより軽量化させる検討がなされるに従い、プリプレグシート等の中間製品に関し、薄肉化の要求が高まっている。薄肉化するための方策として、できるだけ太い炭素繊維束を可能な限り開繊し、単位面積当たりの炭素繊維重量(FAW)を小さくすることがコスト面で有利であるが、太い炭素繊維束をより均一に扁平化することは非常に困難で様々な検討がなされてきた。例えば、炭素繊維の製造方法として扁平で糸幅を広く、更には糸幅の変動を少なくして巻き取る検討がなされてきたことにより、炭素繊維のパッケージとしては、広幅で均一化されたものが上市され、広く知られるようになってきた。一方で、一旦炭素繊維束パッケージとして巻き取られたボビンから炭素繊維束を引き出して加工する際に、糸道で該扁平糸に撚りが混入したり、扁平糸の一部分が折れ曲がったりしたまま樹脂含浸されることによって、巻き取られたプリプレグシート等の品質や表面外観品位を損ねるという問題があった。
このような問題を解決するために、炭素繊維束を拡幅させる方法として、炭素繊維束を複数本のガイドロールに接触させることが提案されている(特許文献1参照)。この場合、複数本のガイドロール間距離を長くとった場合に拡幅した炭素繊維束が狭まってしまったり、ガイドロール表面粗さが大きい、即ち凹凸の大きいざらざらしたガイドロールでは、炭素繊維束を傷めたり、十分な拡幅効果が得られないことがあった。
また、炭素繊維束に樹脂含浸させる前に、炭素繊維束を拡幅させる方法として、液状樹脂を付与した後、滑らかな曲面を有する擦過体に接触させつつ振動させて炭素繊維束に樹脂を含浸する方法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、低FAWの薄肉プリプレグを得ようとする場合、樹脂を含浸させた後では炭素繊維束の摩擦係数が上がり、擦過し開繊させることが実質できなくなるばかりでなく、毛羽発生し易くなるという問題点があった。
また、炭素繊維束をドラムに整列させるときに、走行する炭素繊維束が振動により反転したり、ねじれなどが発生して、炭素繊維束の糸幅変動が大きくなるとギャップが発生するなどして品位が悪化するという問題点があった。
一方、走行する炭素繊維束の走行安定性を改善させる方法として、炭素繊維束に樹脂を含浸した後に、炭素繊維を導く2本のロールを反対方向に傾斜した配置とすることが提案されている(特許文献3参照)。この提案により炭素繊維束の走行安定性が向上することができるが、回転するロールのため炭素繊維束を開繊することができず、低FAWの薄肉プリプレグを得ることができない。また、そのロールの回転を固定させても、傾斜した配置のため、逆に炭素繊維束が集束してしまい、ギャップが発生するという問題点があった。
特公昭60−9961号公報 特開昭63−135555号公報 特開平7−205311号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の背景に鑑み、炭素繊維束の樹脂含浸時に糸道を安定化させることだけでなく、拡幅させることにより品質・品位・コストに有利な繊維強化成形品を得ることに適した炭素繊維束への樹脂含浸方法を提供することにある。
本発明の炭素繊維束への樹脂含浸方法は、炭素繊維束パッケージから解舒された炭素繊維束を、糸道ガイドに接触させた後、開繊バーを経て樹脂含浸槽に導き、炭素繊維束に樹脂を含浸せしめるに際し、炭素繊維束パッケージから解舒された炭素繊維束を、炭素繊維束の走行位置を規定する位置規定ガイドに接触させた後、走行する炭素繊維束を、開繊バーとして、表面の最大高さRmaxが2〜20μmの範囲内であり、隣り合うバーの面間距離を10〜100mmの範囲内に保った複数本の固定梨地バーを用いて、固定梨地バーに対する炭素繊維束の各接触角の合計を0.3π〜2.5πradの範囲内に保つことを特徴とする炭素繊維束への樹脂含浸方法である。
本発明の炭素繊維束への樹脂含浸方法の好ましい態様によれば、前記の位置規定ガイドは、ガイドロールと該ガイドロールを支持する支持部材とからなり、該支持部材は、前記ガイドロールの回転軸に対し直角にねじれた位置に回転軸を有するものであり、炭素繊維束の糸道の変動に対応して、該支持部材の回転軸を回転中心とする回転により該ガイドロールが走行糸道に対して傾けられることにより、炭素繊維束が固定梨地バー上で軸方向に振れることを抑制するように構成されてなることである。
本発明の炭素繊維束への樹脂含浸方法の好ましい態様によれば、前記の位置規定ガイドが、少なくとも2本の回転ガイドロールからなり、該ガイドロールの回転軸は炭素繊維束が続いて接触する固定梨地バーに対してほぼ直角に配置されており、かつ、炭素繊維束との接触角が0.1π〜0.5πradの範囲内に保たれていることである。
本発明の炭素繊維束への樹脂含浸方法の好ましい態様によれば、前記の固定梨地バーは、断面が直径が5〜100mmの範囲内にある円形状であり、そして、前記の炭素繊維束の走行方向に関して最も下流側に位置する固定梨地バーと樹脂含浸槽との間の距離を500mm以内に保つことである。
本発明の炭素繊維束への樹脂含浸方法の好ましい態様によれば、前記の炭素繊維束パッケージから解舒された炭素繊維束にかかる張力を0.1〜2.5g/texの範囲内に保つことである。
本発明によれば、DW法やFW法により繊維強化成形品を製造するにあたり、炭素繊維束の開繊性を向上、安定させ、かつ毛羽発生を抑制して、品位の良い、薄肉成形品を製造することができる樹脂含浸炭素繊維束を得ることができる。
さらに詳細に、本発明の炭素繊維束への樹脂含浸方法について、DW法を例に図面に基づいて説明する。
従来のDW法は、炭素繊維パッケージから炭素繊維束を引き出し、回転ガイド等により糸道をあわせ、含浸樹脂槽に供給、その後固定含浸バーで炭素繊維束を開繊し、樹脂を含浸させ、ドラムに整列させて一方向(UD)プリプレグシートを作成している。
図1は、位置規定ガイドおよび固定梨地バーを用いた本発明で用いられるドラムワインド装置を例示説明するための概略側面図である。
本発明において、位置規定ガイド3および開繊バー(固定梨地バー1)は、樹脂含浸槽2の炭素繊維束4の入側に設置することが必須である。これは、樹脂含浸する前に走行する炭素繊維束4の位置を安定化し、開繊させるためであり、樹脂含浸後では炭素繊維束4に毛羽が発生するため適用できない。炭素繊維束パッケージ5から解舒された炭素繊維束4に位置規定ガイド3が接触していない場合、ボビンから糸を引き出す際のトラバースによって生じる張力変動や、各回転ロールの平行度のズレ等の影響を受けて、炭素繊維束4が固定梨地バー1を走行する際に、固定梨地バー1の軸方向上で1〜3mm程度の走行位置変動が発生する。これが巻き取りドラム7まで波及していくことで、巻取り時の糸幅が、計算上プリプレグシートのギャップが発生しない拡がり幅であったとしても、位置ズレによりシートにギャップが発生したり、反対に重なり部分斑が大きくなったりする場合があり、高品位シートを作成する上では好ましくない。本発明において、上記ギャップとは、プリプレグシート上の炭素繊維束間に発生した0.2mm以上の隙間を指す。
固定梨地バー1は、表面粗度変化を最小限に抑え、寿命を長くするため、クロムメッキなどの通常法に従い金属コーティングされた固定梨地バーが好適であり、JIS−B−0601(2001年)により得られる表面最大凸凹差(Rz)が好ましくは2〜20μmの粗度のものであり、より好ましくは3〜15μmの粗度のものである。Rzが2μm未満では、使用する炭素繊維束の種類により摩擦係数が大幅にアップして毛羽発生することがあり、また、Rzが20μmを超えると、炭素繊維束を構成する単糸が固定梨地バー1表面凸凹との物理的な擦過損傷により糸切れ、毛羽発生することがある。
固定梨地バー1は複数本から成り、隣り合う固定梨地バー1の面間距離は、好ましくは10〜100mmであり、より好ましくは10〜50mmである。固定梨地バー1の面間距離は短いほど良いが、糸かけが困難となるため10mm以上であることが好ましい。また、固定梨地バー1の面間距離が100mmを超えると、開繊させた炭素繊維束4が張力により集束して再び細くなり、本発明の効果を得ることが難しくなる。
上述した固定梨地バー1の面間距離を保ち、さらに炭素繊維束4と固定梨地バー1との各接触角θの合計を0.3π〜2.5πradの範囲内とすることが必要である。この接触角θの合計が0.3π未満であると、固定梨地バー1との摩擦係数が高い炭素繊維束4でも、必要となる十分な開繊ができなくなり、また後述する張力を高くする必要があるため、毛羽発生し易くなるためである。一方、接触角が2.5πradを超えると、毛羽が発生し品位の良いプリプレグを得ることが出来ない場合がある。接触角のさらに好ましい範囲は、1.0〜2.0πradである。
図5は、本発明で用いられる固定梨地バーの配置例を示す概略側面図であり、ここでは、固定梨地バー1が2本(R1とR2)配置されている。また図6は、本発明で用いられる固定梨地バーの他の配置例を示す概略側面図であり、ここでは、固定梨地バー1が3本(R1とR2とR3)配置されている。
すなわち、前記のこれら固定梨地バー1の面間距離Lおよび接触角θの配置例として、図5および図6があり、本発明ではいずれの配置であっても必要とする効果を得ることができる。
糸道ガイド6は、図1で示すように炭素繊維束4の扁平糸を引き出した後、炭素繊維束4の走行位置を一定位置とする目的で、リングガイドや鼓ガイドロール、平ロール等を組み合わせ、ジグザグ配置とすることが通例であるが、それだけでは薄物を品位良く作成することは困難である。原因としては、炭素繊維パッケージ5から糸が高速で引き出されるときにトラバースすることで生じる張力変動により糸が振れることが挙げられる。
本発明者らは、この問題を解決する方法として、位置規定ガイド3を固定梨地バー1の入側に設置することが有効であることを鋭意検討の末見出した。
図2は、本発明で用いられる糸道ガイドを例示説明するための拡大斜視図である。
すなわち、炭素繊維束パッケージ5から解舒された炭素繊維束4の走行位置を一定範囲に規定するために糸道ガイド6を経た後、更に高精度に規定する目的で位置規定ガイド3−1が用いられる。図2に示すように、該位置規定ガイドは、ガイドロール9と該ガイドロール9を支持する支持部材10とからなり、該支持部材10は、上記ガイドロール9の回転軸11に対し直角にねじれた位置に回転軸11を有するものであり、糸道の変動に対応して、該支持部材10の回転軸11を回転中心とする回転により該ガイドロール9が走行糸道に対して傾けられることにより、炭素繊維束4の横振れを抑制するように構成されてなることを特徴とするガイドロールである。
図3(a)、(b)、(c)は、位置規定ガイドを用いた際に、糸道が変動しても、炭素繊維束が本来の糸道方向に自動的に案内されていくメカニズムを説明するための概略斜視図である。図3において、3本のガイドロールのうち、中央のガイドロール3−1が位置規定ガイド(すなわち、図2のガイドロール9)であり、該ガイドロールの前に上流側ガイドロール(糸道ガイド6に相当)、後に固定梨地バー1が配置されている状態を示している。一般に、炭素繊維束の搬送・案内にガイドロールを用いた場合、炭素繊維束はその経路長が最短となる糸道をとる。よって、ガイドロール上で炭素繊維束のすべりがないとすれば、炭素繊維束はガイドロールの回転軸に対し直角方向に入射する。
一方、平行な回転軸を持つロールで構成されたガイドロール群においては、本来の糸道(図3(a)の破線)と本来の糸道からずれた糸道(図3(a)の実線)で炭素繊維束の経路長に差はなく、どちらの糸道も取ることができる。そこで、図3の中央のガイドロール3−1を糸道のズレに合わせて傾ける(図3(b))と、炭素繊維束はガイドロール3−1に直角に入射するため、ずれた糸道は本来の糸道方向に案内される(図3(c))。このように、ガイドロール3−1が傾くことにより、炭素繊維束はガイドロールに直角になる方向、すなわち本来の糸道方向に案内される。また、この作用は糸道の変動に応じて糸自身の張力により自動的に行なわれ、糸道変動を効果的に抑制できるものとなる。
また、図2に示す支持部材10の回転軸11方向とガイドロール3−1に入る本来の糸道のなす角をαとし、該支持部材10の回転軸11方向とガイドロール3−1から出る本来の糸道のなす角をβとするとき、αとβとがα<βの関係であることが好ましい。この関係を満たすとき、ガイドロール9が傾動していない中立位置での経路長よりも、糸道を本来の糸道の方向に案内する方向にガイドロール3−1を傾けた糸道の方がトータルの経路長が短くなるため、より効果的・適切に糸を本来の糸道の方向に案内することができるからである。
また、αは45°以上であることが好ましい。αが45°より小さいと、ガイドロール3−1が傾いてもガイドロール入りの糸道とガイドロール3−1の稜線のなす角の変化が小さく、効果的に炭素繊維束を本来の糸道方向に案内することができないためである。反対に、αの上限値は、糸道規定の効果を得るために85°であることが好ましい。より十分な接触が得られるために、αの上限値はより好ましくは80°である。
該位置規定ガイドはできるだけ固定梨地バーと距離が短いほどよりよい効果を発揮するが糸掛けが困難となるため、できれば10mm以上距離を離した方が良い。
図4は、本発明で用いられる位置規定ガイドを例示説明する概略斜視図である。
これは、炭素繊維束パッケージ5から解舒された炭素繊維束4の走行位置を規定するガイドとして、図4の3−2に示されるように少なくとも2本の回転ガイドロールからなり、該ガイドロールの回転軸は炭素繊維束が続いて接触する固定梨地バー1に対してほぼ直角に配置されるものであり、かつ、炭素繊維束との接触角を0.1π〜0.5πradの範囲内に保つことを特徴とするものである。ほぼ直角とは、90°±2°であることを指し、この範囲に配置されていれば走行位置を規定するのに効果がある。
接触角が0.1πradより小さいと、走行位置を十分に規定することができなかったり、ガイドロールの回転不良となったりし、糸の一定位置走行ができない場合がある。また、接触角が0.5πradより大きい場合には、走行する炭素繊維束の集束性や粘着性の程度により、回転ガイドロールへの巻付きが発生する場合があるので、接触角は0.5πrad以下であることがよく、より好ましくは0.1π〜0.3πradである。
走行位置を規定するガイドとして図4の3−2に示されるガイドを選択する場合、糸の向きを90°反転することから炭素繊維束の扁平形態を安定して供給するためには、該回転ガイドロールと続いて接触する固定梨地バーの距離を400mm以上離すことが好ましい。これにより、いずれの位置規定ガイドロールを用いても同様の糸道規定効果が発現する。
固定梨地バーの要件を満足した樹脂含浸装置に、炭素繊維束を走行させるときに、固定梨地バー入側の炭素繊維束にかかる張力は、好ましくは0.1〜2.5g/texの範囲内であり、より好ましくは0.5〜2.0g/texの範囲内である。張力が0.1g/tex未満であると、接触角を大きくしても必要となる十分な開繊ができなくなり、張力が2.5g/texを超えると擦過による毛羽立ちが発生して品位の良いプリプレグを得ることが出来ないことがある。
かくして本発明の目的とする、炭素繊維の走行位置安定性と開繊性の付与により、樹脂含浸後の開繊性が向上して薄肉プリプレグの製造が可能となるが、さらに安定して生産できるように、下記の構成を織り込むことが好ましい。すなわち、固定梨地バーの断面が直径が10〜100mmの円形で、最も下流側に位置する固定梨地バーと樹脂含浸槽との間隔を500mm以内に保つことである。
固定梨地バー直径が100mmを超えると、糸道レイアウトが困難になり設備が高価となり、また、固定梨地バー直径が10mm以下では、炭素繊維束の屈曲率が大きくなり、毛羽が発生し易くなるためである。
また、最下流側の固定梨地バーと樹脂含浸槽との間隔が500mmを超えると、開繊させた炭素繊維束が張力により集束して再び細くなり薄物プリプレグ化できないためである。
本発明の炭素繊維束への樹脂含浸方法は、フィランメントワインディング法にも適用することができる。
以下、DW法を例にとり、実施例により本発明の炭素繊維束への樹脂含浸方法について、更に詳細に説明する。なお、実施例における各物性値は、次の方法により得られた結果である。
(1)DW法プリプレグ品位
炭素繊維束1本から、炭素繊維含有率65重量%、FAW50g/m、幅1.5mのエポキシ樹脂系のUDプリプレグを、糸速80m/分で直径750mmのドラムに巻き付けて面積4.7mのプリプレグシートを作成した。得られたプリプレグシートの表面を観察し、炭素繊維束引き揃え方向に長さ5mm以上、幅0.5mm以上のギャップ部分をワレ欠点とした。また、毛羽長さ10mm以上のものを毛羽欠点とした。製品として使用できる欠点数は、シート1枚当たり2ケまでである。含浸樹脂としては“エピコート”(登録商標)828と“エピコート”(登録商標)1001を、重量比で1:3に混合した樹脂をメチルエチルケトンと重量比で55:45で混合して調整した、室温25℃での粘度が10mPa・sの樹脂溶液を用いた。
(2)FW法成型性
炭素繊維束1本から、糸速約20m/minで、DW法プリプレグと同様に樹脂含浸槽にて樹脂含浸を行なった。幅1.5m直径80mmのマンドレルに、マンドレルの軸方向に15〜30°の角度で8層巻きつけ、室温12hrで硬化させマンドレルを抜きとって炭素繊維含有率55重量%の円筒状の成型品を得た。このときの樹脂含浸槽直前での糸の走行位置変動および拡がり幅、成型品中の直径5mm以上の持込み毛羽を毛羽欠点とし、目視判定した。
糸の走行位置および拡がり幅は、オムロン社製形Z4LC平行光ラインセンサを用いて丸棒位置測定モードおよび丸棒径測定モードを用いて測定間隔1sで5分間測定点数300点計測した結果を用いた。
(実施例1)
クリール張力調整機能付きのDW法プリプレグ製造装置に、本発明の位置規定ガイドおよび固定梨地バーを設置した。位置規定ガイドには、図2と図3の3−1に示したもので断面が直径20mmの円形で、長さ40mmのものを用いた。また、固定梨地バーには、表面をクロムメッキした表面最大凸凹差5μm、断面の直径20mmの円形の固定梨地バー2本を用い、面間距離を30mmとし、接触角を1.0πradとした。そして、最終固定梨地バーから、含浸樹脂に接するまでの距離を100mmとした。該DW法プリプレグ製造装置にフィラメント数12000本、エポキシ樹脂を主成分としたサイジング剤を付与した炭素繊維束、東レ(株)製”トレカ”(登録商標)T700SC−12K−50Cを、引き出し張力1.0g/Tex、糸速80m/分で炭素繊維含有率65重量%、FAW50g/m、幅1.5mのUDプリプレグを製造した。得られたプリプレグには欠点が無く、品位の良好なプリプレグを得ることができた。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1で使用した樹脂含浸装置および樹脂において、固定梨地バー2本の面間距離を95mmとして、実施例1と同様にプリプレグシートを作成した。得られたプリプレグの品位は、ワレ欠点が1カ所存在したが、品位は良好なプリプレグシートであった。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1で使用した位置規定ガイドおよび樹脂含浸装置および樹脂において、固定梨地バーの接触角を2.25πradとして、実施例1と同様にプリプレグシートを作成した。得られたプリプレグの品位は、毛羽欠点が1カ所存在したが、品位は良好なプリプレグシートであった。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1で使用した樹脂含浸規定ガイドおよび樹脂含浸装置および樹脂を用いて、実施例1と同様にFW管状物を作成した。計測した拡がり幅および走行位置は良好な安定性を示し、得られた成形品の品位は良好であった。結果を表1に示す。
(実施例5)
図4に示した位置規定ガイド3−2を使用したこと以外は、実施例1と同様にプリプレグシートを作成した。得られたプリプレグの品位は欠点がなく、品位の良好なプリプレグを得ることができた。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例5で使用した位置規定ガイド3−2および樹脂含浸装置および樹脂において、固定梨地バーの直径を4mmに変更して、実施例1と同様にプリプレグシートを作成した。得られたプリプレグの品位は、毛羽欠点が2ヵ所存在したが、ワレ欠点は無く品位は良好なプリプレグシートであった。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1と使用した樹脂含浸装置および樹脂において、固定梨地バーと樹脂含浸装置の距離を600mmとし、実施例1と同様にプリプレグシートを作成した。得られたプリプレグの品位は、ワレ欠点が2カ所発生したが毛羽欠点は無く品位は良好なプリプレグシートであった。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と使用した樹脂含浸装置および樹脂において、固定梨地バーの面間距離を200mmとして、実施例1と同様にプリプレグシートを作成した。得られたプリプレグの品位は、ワレ欠点が5カ所発生し、製品として使用できなかった。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1と使用した樹脂含浸装置および樹脂において、固定梨地バーの接触角を0.1πとして、実施例1と同様にプリプレグシートを作成した。得られたプリプレグの品位はワレ欠点が5カ所発生し、製品として使用できなかった。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1と使用した樹脂含浸装置および樹脂において、固定梨地バーの表面粗さRmaxを25として、実施例1と同様にプリプレグシートを作成した。得られたプリプレグの品位はワレ欠点が2カ所および毛羽欠点が3カ所発生し、製品として使用できなかった。結果を表1に示す。
Figure 2006305854
本発明は、炭素繊維を補強用繊維として用いてなる複合材料を、DW法やFW法で製造する際に好適に適用される。本発明によれば、DW法やFW法により繊維強化成形品を製造するにあたり、炭素繊維束の開繊性を向上、安定させ、かつ毛羽発生を抑制して、品位の良い、薄肉成形品を製造することができる樹脂含浸炭素繊維束を得ることができる。
図1は、位置規定ガイドおよび固定梨地バーを用いたドラムワインド装置を例示説明するための概略側面図である。 図2は、本発明で用いられる糸道規定ガイドを例示説明するための拡大斜視図である。 図3は、位置規定ガイドを用いた際に、糸道が変動した際に、炭素繊維束が本来の糸道方向に自動的に案内されていくメカニズムを説明するための概略斜視図である。 図4は、本発明で用いられる位置規定ガイドを例示説明する概略斜視図である。 図5は、本発明で用いられる固定梨地バーの配置例(2本配置)を示す概略側面図である。 図6は、本発明で用いられる固定梨地バーの他の配置例(3本配置)を示す概略側面図である。
符号の説明
1 固定梨地バー
2 樹脂含浸槽
3 位置規定ガイド
4 炭素繊維束
5 炭素繊維束パッケージ
6 糸道ガイド
7 巻き取りドラム
8 固定含浸ガイド
9 ガイドロール
10 支持部材
11 回転軸
α 支持部材の回転軸方向とガイドロールに入る本来の糸道のなす角
β 支持部材の回転軸方向とガイドロールから出る本来の糸道のなす角
θ 固定梨地バーに対する炭素繊維束の接触角

Claims (7)

  1. 炭素繊維束パッケージから解舒された炭素繊維束を、糸道ガイドに接触させた後、開繊バーを経て樹脂含浸槽に導き、炭素繊維束に樹脂を含浸せしめるに際し、炭素繊維束パッケージから解舒された炭素繊維束を、炭素繊維束の走行位置を規定する位置規定ガイドに接触させた後、走行する炭素繊維束を、開繊バーとして、表面の最大高さRmaxが2〜20μmの範囲内であり、隣り合うバーの面間距離を10〜100mmの範囲内に保った複数本の固定梨地バーを用いて、固定梨地バーに対する炭素繊維束の各接触角の合計を0.3π〜2.5πradの範囲内に保つことを特徴とする炭素繊維束への樹脂含浸方法。
  2. 位置規定ガイドは、ガイドロールと該ガイドロールを支持する支持部材とからなり、該支持部材は、前記ガイドロールの回転軸に対し直角にねじれた位置に回転軸を有するものであり、炭素繊維束の糸道の変動に対応して、該支持部材の回転軸を回転中心とする回転により該ガイドロールが走行糸道に対して傾けられることにより、炭素繊維束が固定梨地バー上で軸方向に振れることを抑制するように構成されてなることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維束への樹脂含浸方法。
  3. 位置規定ガイドは、少なくとも2本の回転ガイドロールからなり、該ガイドロールの回転軸は炭素繊維束が続いて接触する固定梨地バーに対してほぼ直角に配置されており、かつ、炭素繊維束との接触角は0.1π〜0.5πradの範囲内に保たれていることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維束への樹脂含浸方法。
  4. 断面が直径が5〜100mmの範囲内にある円形である固定梨地バーを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維束への樹脂含浸方法。
  5. 炭素繊維束の走行方向に関して最も下流側に位置する固定梨地バーと樹脂含浸槽との間の距離を500mm以内に保つことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維束への樹脂含浸方法。
  6. 炭素繊維束パッケージから解舒された炭素繊維束にかかる張力を0.1〜2.5g/texの範囲内に保つことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維束への樹脂含浸方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維束への樹脂含浸方法を用いて、炭素繊維束に樹脂を含浸させることを特徴とする樹脂含浸炭素繊維束の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022203046A1 (ja) * 2021-03-26 2022-09-29 三菱ケミカル株式会社 炭素繊維束

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