JP2006305547A - 多孔質体複合材及びそれを用いたフィルタ - Google Patents

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健吾 岡本
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Abstract

【課題】優れた光触媒活性を有する多孔質体複合材を提供する。比表面積が大きく、ガスや流体の内部通過が容易な多孔質体複合材を提供する。
【解決手段】本発明の多孔質体複合材1は、表面から裏面に連通する複数の気孔2aを有する多孔質体2と、気孔2aの内面を含む多孔質体2の全表面の95〜100%に成膜された二酸化チタン含有膜3とを備える。多孔質体2の全表面には孔径が1μm以下の気孔2aの内面が含まれ、多孔質体の気孔率が50%〜98%であり、多孔質体2の通気度は0.2sec/100ml以下であり、その坪量が0.1〜10mg/cm2である。二酸化チタン含有膜3は大気開放型化学気相析出法によって成膜され、二酸化チタン含有膜3は二酸化チタンを95%以上含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、環境浄化、抗菌作用、防汚作用、超親水性作用、水素生成等の優れた特性を有する光触媒やフィルタに好適な多孔質体複合材及びそれを用いたフィルタに関するものである。
二酸化チタンに対して光を照射すると、表面に接触する物質の分解が促進されることが知られており、このような性質を有する二酸化チタンは、有害化学物質の分解及び除去、超親水性、水素生成等の優れた機能を有するため、環境浄化、省エネルギーや新エネルギー等への用途が期待され、環境、エネルギー及び経済においてバランスの取れた持続可能な社会構築に貢献する素材であると目されている。そして、基材表面に二酸化チタン膜を形成する方法としては、コーティング法が主として用いられている。
このコーティング法に関しては、例えば、チタンを含む水溶液と塩基性物質から作製した水酸化チタンゲルに過酸化水素水を作用させた後に80〜200℃にて加熱処理或いはオートクレープ中において加熱処理することによって得られたアナターゼからなる酸化チタン微粒子を分散した液体を、繊維加工品である紙、布、不織布等の通気性がありかつ可撓性がある薄板状基体に塗布或いは含浸させた後に、乾燥或いは気体の耐熱温度範囲で加熱処理してチタニア膜を担持してなる薄板状の光触媒フィルタを得ることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
他のコーティング法に関する例としては、光触媒機能を有する無機物質層を有する金属繊維が呈示されている(例えば、特許文献2参照。)。この実施例には塩化チタンをアンモニア水で中和しオルトチタン酸とした後、過酸化水素と反応させて過酸化チタンゾルとし、これを金属繊維加工品にどぶ付けし加熱乾燥してなる二酸化チタンを担持した金属繊維が提案されている。このような液体コーティング法による市販の二酸化チタン光触媒膜は可視光領域の吸収がほとんどないため、ガラス等の透明部分へのコーティングに有効であるとされている。
特開2003−322370号公報 特開2000−199174号公報
しかし、液体コーティング法では、透明性を維持するため二酸化チタンの含有量が少ない塗料樹脂により二酸化チタンが被覆される等により光触媒活性の低減が否めなかった。従って、厚塗りする必要があり、これをフィルタとして用いる場合、圧力損失が大きく通気性を確保できない問題点があった。
また、従来の液体コーティング法では、主として二酸化チタンを含む液体に浸漬する液体ディップコーティングであるため、気孔率が50〜98%という多孔質体の気孔の内面、特に断面における直径が1μm以下の気孔の内部にまで厚さが50〜500nmの薄膜コーティングをすることは非常に困難であった。
更に、二酸化チタンからなる微粒子を分散した液体を塗布等した後に乾燥等することにより得られる二酸化チタンは、80〜200℃の加熱処理であることから低結晶性であり、粒子形態を制御できず、膜厚が不均一という欠点があった。
本発明の目的は、優れた光触媒活性を有する多孔質体複合材及びそれを用いたフィルタを提供することにある。
本発明の別の目的は、比表面積が大きく、ガスや流体の内部通過が容易な多孔質体複合材及びそれを用いたフィルタを提供することにある。
請求項1に係る発明は、図1に示すように、表面から裏面に連通する複数の気孔2aを有する多孔質体2と、気孔2aの内面を含む多孔質体2の全表面の95〜100%に成膜された二酸化チタン含有膜3とを備えた多孔質体複合材である。
請求項1に係る発明では、多孔質体2における表層だけでなく気孔2aの内部の二酸化チタン含有膜3も光触媒として機能するため、優れた光触媒活性が得られる。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、多孔質体2の全表面には、孔径が1μm以下の気孔2aの内面を含むことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、多孔質体の気孔率が50%〜98%であることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれか1項に係る発明であって、多孔質体2の通気度が0.2sec/100ml以下であることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれか1項に係る発明であって、多孔質体2が、発泡体又は繊維集合体のいずれかであることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5いずれか1項に係る発明であって、多孔質体2に成膜された二酸化チタン含有膜の坪量が0.1〜10mg/cm2であることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれか1項に係る発明であって、多孔質体2がセラミック、ガラス、金属、プラスチック、有機繊維、不織布又は紙からなることを特徴とする。
この請求項2ないし請求項7に係る発明では、比表面積が大きく、ガスや流体の内部通過等を容易にすることができる。
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7いずれか1項に係る発明であって、二酸化チタン含有膜3が大気開放型化学気相析出法によって成膜されたことを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項1ないし8いずれか1項に係る発明であって、二酸化チタン含有膜3は二酸化チタンを93重量%以上含むことを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項1ないし8いずれか1項に係る発明であって、二酸化チタン含有膜3は3〜7重量%の炭素を含むことを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項1ないし10いずれか1項に係る発明であって、二酸化チタン含有膜3の膜厚が50〜500nmであることを特徴とする。
請求項12に係る発明は、請求項1ないし11いずれか1項に係る発明であって、二酸化チタン含有膜3の比表面積が10〜100m2/gであることを特徴とする。
請求項13に係る発明は、請求項1ないし12いずれか1項に係る発明であって、二酸化チタン含有膜3の剥離強度が鉛筆硬度B〜6Hであることを特徴とする。
この請求項8ないし請求項13に係る発明では、更に優れた光触媒活性が得られる。
請求項14に係る発明は、請求項1ないし13いずれか1項に記載の多孔質体複合材を用いたフィルタである。
本発明の多孔質体複合材では、表面から裏面に連通する複数の気孔を有する多孔質体と、気孔の内面を含む多孔質体の全表面の95〜100%に成膜された二酸化チタン含有膜とを備えるので、多孔質体における表層だけでなく気孔の内部の二酸化チタン含有膜も光触媒として機能するため、優れた光触媒活性が得られる。ここで、多孔質体の気孔率を50%〜98%にし、その通気度を0.2sec/100ml以下にし、その坪量を0.1〜10mg/cm2にすれば、比表面積が大きく、ガスや流体の内部通過等を容易にすることができる。また、二酸化チタン含有膜を大気開放型化学気相析出法によって成膜し、その二酸化チタン含有膜に二酸化チタンを93重量%以上含ませるか或いは3〜7重量%の炭素を含ませ、その膜厚を50〜500nmにし、その比表面積を10〜100m2/gにすれば、更に優れた光触媒活性が得られる。
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の多孔質体複合材1は、図1に示すように、表面から裏面に連通する複数の気孔2aを有する多孔質体2と、その気孔2aの内面を含む多孔質体2の全表面の95〜100%に成膜された二酸化チタン含有膜3とを備える。多孔質体複合材1では、その表層だけでなく気孔2aの内面を含む多孔質体2の全表面の95〜100%、好ましくは98〜100%に二酸化チタン含有膜3が成膜され、気孔2aの内面における二酸化チタン含有膜3も光触媒として機能するため、優れた光触媒活性が得られる。このため、光触媒フィルタとして用いる際に小面積で優れた光触媒活性効果が発揮でき、除臭、除菌、防汚、耐シックハウス症効果などを期待できる。二酸化チタン含有膜3が多孔質体2の全表面の95%未満であると光触媒反応に有効な二酸化チタン量が少なくなり光触媒活性が不十分となるため不適切である。また、多孔質体2の表面にバインダーを使用することなく二酸化チタン含有膜3を成膜することによりその触媒活性を向上させることができる。バインダーを使用すると二酸化チタンがバインダーに被覆され光触媒活性が低下するからである。また、表面から裏面に連通する複数の気孔2aを有する多孔質体2に二酸化チタン含有膜3を成膜することにより比表面積が大きく、ガスや流体の内部通過が容易なフィルタを得ることができる。
ここで、多孔質体2の気孔率は50%〜98%であることが好ましい。上記範囲内であると、多孔質体2の表層に多くの連続気孔2aを有する構造をとり、表面に露出する光触媒活性点が多いため、十分な光触媒活性が得られるためであり、特に比表面積が大きく、ガスや流体の内部通過が容易であり、優れた諸特性を有する。このうち特に好ましい気孔率は70%〜95%である。気孔率50%未満では比表面積が小さくなるため、十分な光触媒活性が得られない。また、空気清浄機又はエアコン用フィルタとして使用する場合、通気性に欠ける。気孔率98%を越えると機械的強度が弱くなり、フィルタ基材としての発泡形状又は繊維形状の骨格を強度的に維持できない。
また、多孔質体2の通気度は0.2sec/100ml以下であることが好ましく、0.1sec/100ml以下であることが更に好ましい。多孔質体2の通気度が0.2sec/100mlを越えると通気性が不十分のため空気清浄機又はエアコン用光触媒フィルタとして使用できない。
また、多孔質体2は、発泡体又は繊維集合体のいずれかであり、そしてセラミック、ガラス、金属、プラスチック、有機繊維、不織布又は紙からなることが好ましい。多孔質体2が発泡体である場合には、その発泡体はセラミック、ガラス、金属又はプラスチックからなるものが好ましい。セラミック発泡体としては発泡アルミナ、発泡マグネシア、発泡ジルコニアが例示され、ガラス発泡体としては泡ガラスや半融ガラスが例示される。また、金属発泡体としては発泡ニッケル、発泡銅、発泡ステンレスが例示され、プラスチック発泡体としては発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレンが例示される。
多孔質体2が繊維集合体である場合、その繊維集合体はセラミックウール、グラスウール、有機繊維、不織布、紙であることが好ましい。そして、繊維集合体を構成する繊維は金属繊維よりも他繊維(セラミックウール、グラスウール、有機繊維、不織布、紙)の方が錆びにくく耐腐食性に優れ、耐久性が良いので好ましい。また、繊維状のものであれば金属よりガラス又は有機系の方が比較的安価であるので好ましい。
多孔質体2が繊維集合体であればその繊維集合体の坪量は0.1〜10mg/cm2であることが好ましい。繊維集合体に成膜された二酸化チタンの坪量が0.1mg/cm2未満であると二酸化チタンの担持量が少な過ぎ十分な光触媒活性が得られない。二酸化チタンの坪量が10mg/cm2を越えると光触媒活性は十分であるが、膜の剥離強度が弱くなり膜が剥がれ落ちるという不具合が生じ、また、目詰まりを起こし通気性が十分確保できなくなる。繊維集合体の坪量の更に好ましい範囲は1〜5mg/cm2である。
一方、二酸化チタン含有膜3は、大気開放型化学気相析出法によって成膜されることが好ましい。大気開放型化学気相析出法とは、大気開放下にて原料ガスを成膜対象基材表面に吹付けて、化学気相析出(Chemical Vapor Deposition)法により対象基材表面上に金属酸化物等の薄膜を成膜する方法である。この大気開放型化学気相析出法では、その成膜速度が非常に速く、厚膜のみならず厚さが1μm未満の薄膜も作製可能であり、更に大面積や複雑形状表面への成膜が容易である。従って、多孔質体2の全表面には、孔径が1μm以下の気孔2aの内面が含まれる。そして、この大気開放型化学気相析出法では、装置自体が比較的安価で、保守管理も簡単である等の様々な特徴を有する。このため、二酸化チタン含有膜3を大気開放型化学気相析出法によって成膜することにより、多孔質体2の断面が直径1μm以下の気孔2a内部まで全面に均一に成膜可能である。また、粒子形態制御ができ、かつ従来の液体コーティング法では均一成膜が難しかった膜厚50〜500nm成膜の極薄膜まで均一成膜が可能になる。
この二酸化チタン含有膜3は二酸化チタンを93重量%以上含むことが好ましく、更に98重量%以上含むことが好ましい。特に、大気開放型化学気相析出法による二酸化チタン含有膜3は100%の二酸化チタンからなるために好ましい。この二酸化チタンを93重量%以上含む二酸化チタン含有膜3では、塗料樹脂を含まないため二酸化チタン含有膜3の表面が被覆されずに、かつ加熱成膜のため結晶性に優れる等の特長により、著しい光触媒活性を示すことになる。ここで、二酸化チタン含有膜3に含まれる二酸化チタンが93重量%未満であると、十分な紫外光下における光触媒活性を得ることが困難になる。
また、この二酸化チタン含有膜3は3〜7重量%の炭素を含むものであっても良い。二酸化チタン含有膜3が3〜7重量%の炭素を含むと、紫外光下のみならず、可視光下における光触媒活性も十分に発揮される。従って、炭素を含む二酸化チタン含有膜3を備えた多孔質体複合材は、室内用途にも適応可能である。ここで二酸化チタン含有膜3の炭素ドープ量を3〜7重量%に規定したのは、3重量%未満では炭素ドープ量不足で、二酸化チタンの紫外可視吸収スペクトルにおける可視光吸収帯の広がりが不十分となって、満足する可視光下での光触媒活性が得られないためであり、7重量%を越えると炭素ドープ量が過剰で、可視光下での光触媒活性は得られるものの、過剰な炭素ドープによる二酸化チタンの結晶性の低下が著しく、光触媒活性における全体の量子効率等が却って低減してしまう問題が生じるためである。
その二酸化チタン含有膜3の膜厚は50〜500nmであることが好ましい。二酸化チタン含有膜3の膜厚を上記範囲内に規定したのは、二酸化チタン含有膜3の膜厚が50nm未満では十分な光触媒活性が得られない。二酸化チタン含有膜3の膜厚が500nmを越えると十分な光触媒活性が得られるが、膜の剥離強度が弱くなるからである。また、不必要に厚塗りすることは生産効率及びコスト的にも不利である。光触媒は表面反応であるため、一定膜厚以上があれば表面反応は維持されるため、膜厚にどこまでも比例して光触媒活性が向上するものではない。だから一定膜厚が保持されれば十分だからである。二酸化チタン含有膜3の更に好ましい膜厚は70〜100nmである。
また、二酸化チタン含有膜3の比表面積は10〜100m2/gであることが好ましい。二酸化チタン含有膜3の比表面積が10m 2/g未満であると光触媒反応に有効な活性サイトを有する膜表面積が少なすぎて十分な光触媒活性が得られない。二酸化チタン含有膜3の比表面積が100m 2/gを越えると十分な光触媒活性が得られるが、多孔性が増すため膜の剥離強度が弱くなる。このうち特に好ましい比表面積は、50〜80m2/gの範囲内である。
更に、二酸化チタン含有膜3の剥離強度は鉛筆硬度B〜6Hであることが好ましい。二酸化チタン含有膜3の剥離強度が鉛筆硬度Bより柔らかいと膜の剥離強度が弱すぎて膜の傷や剥離が起こりやすくなるからである。
次に本発明の多孔質体複合材1の製造方法について説明する。
本発明の多孔質体複合材1は、表面から裏面に連通する複数の気孔2aを有する多孔質体2を準備し、この多孔質体2の全表面の95〜100%に二酸化チタン含有膜3を成膜することにより得られる。その成膜方法は特に限定されず、例えば図2に示すような大気開放型化学気相析出法による大気開放型化学気相析出装置を用いることができる。大気開放型化学気相析出法とは、大気開放下にて原料ガスを成膜対象基材表面に吹付けて、化学気相析出(Chemical Vapor Deposition)法により対象基材表面上に金属酸化物等の薄膜を成膜する方法である。
図2に示すように、大気開放型化学気相析出装置10は、内部にチタン含有原料を載せる試料ボード11aが設置可能な原料気化器11と、原料気化ガスを多孔質体2に向かって噴出する噴出ノズル13と、一方が気化器11の側部に接続され他方が噴出ノズル13頂部に接続された配管14と、気化器11で気化した原料気化ガスを配管14を介して噴出ノズル13へと運ぶキャリアガスの流量調節器16と、多孔質体2を保持し、かつ水平方向に可動可能な加熱台17とをそれぞれ備える。加熱台17の内部にはヒータ17aが設けられ、加熱台17に保持した多孔質体2を加熱する。また、多孔質体2の内表面へ原料気化ガスを供給し易くするため、加熱台17と多孔質体2との間にはスペーサ17b等を配置してもよい。
大気開放型化学気相析出法で用いるチタン含有原料としては、原料を気化させ大気に放出した際に、大気中の酸素或いは水分等と反応して二酸化チタン或いは炭素ドープ二酸化チタンを形成するものであれば特に限定されない。具体的には、チタンテトライソプロポキシド(Ti(i-C37O)4;以下、TTIPという。)、チタンDPM(dipivaloylmethane)錯体、チタンDMHD(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン)錯体等が挙げられる。このうちTTIPは炭素ドープ二酸化チタンの炭素ドープ量を制御し易い。炭素ドープ二酸化チタンの炭素ドープ量を制御するために、TTIPやチタンDPM錯体のチタン含有原料が70重量%以上の割合で含むように有機溶媒に溶解して溶液原料を調製し、この溶液原料を用いて成膜しても良い。溶液原料に使用する有機溶媒としてはイソプロピルアルコール、ヘキサン、シクロヘキサンが挙げられる。
多孔質体2としては前述した通りであり、その多孔質体2として使用される代表的な形状としては平板状が挙げられるが、凹凸を有する形状や波形状、円筒状などの複雑な形状についても使用することができる。また、円柱状なども使用することができる。キャリアガスとしては、加熱下で使用するチタン含有原料と反応しない媒体であれば特に限定されない。具体的には、N2ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガス、乾燥空気等が挙げられる。なお、図2において符号18はキャリアガス供給源、符号19は原料気化器11、噴出ノズル13、加熱台17等を覆う防護チャンバ、符号21は開閉可能なチャンバ扉、符号22はチャンバ扉21の開閉を担うインターロックスイッチをそれぞれ示す。
この装置10では、先ず、チャンバ19内の加熱台17上にスペーサ17bを介して気孔率が50%〜98%の多孔質体2を配置する。続いて所定量に量り取ったチタン含有原料を載せた試料ボード11aを原料気化器11内に設置する。次いで、原料気化器11内部、配管14、噴出ノズル13及び加熱台17をそれぞれ所望の温度に加熱し、原料気化器11内部のチタン含有原料を気化させる。次に、流量調節器16により流量を調節しながらキャリアガス供給源18からキャリアガスを原料気化器11に導入する。原料気化ガスは原料気化器11から配管14を介して噴出ノズル13に搬送される。原料気化ガスは、噴出ノズル13底部に設けられた開口部から多孔質体2表面に向かって噴出され、多孔質体2表面近傍の大気中に含まれる水分と反応して二酸化チタン或いは炭素ドープ二酸化チタンが多孔質体2の内表面も含めた全面に成膜される。
ここで、原料気化ガスの濃度を2×10-6〜1.6×10-5mol/L、供給量を1〜8L/minとすることで炭素ドープ二酸化チタンの炭素ドープ量を所望のドープ量に制御することができる。また、加熱台17の温度を制御することで多孔質体2の表面温度を350〜700℃とすることによっても炭素ドープ二酸化チタンの炭素ドープ量を所望のドープ量に制御することができる。多孔質体2の表面温度が350℃未満では加熱が不十分となって7重量%を越える炭素が含有された炭素ドープ二酸化チタンが形成され、過剰な炭素ドープによって二酸化チタンの結晶性が著しく低下し、実用に耐えられる光触媒活性が得られなくなる。また多孔質体2の表面温度が700℃を越えるとアナターゼ型二酸化チタンの含有量が低下する。
加熱台17を所定の速度で水平方向に駆動させることにより、噴出ノズル13から噴出された原料気化ガスが多孔質体2表面に均一に吹き付けられ、二酸化チタン或いは炭素ドープ二酸化チタンが均一に成膜される。二酸化チタン或いは炭素ドープ二酸化チタンの成膜時間等は多孔質体2の形状によって異なるが、例えば、多孔質体2の形状が30mm×30mm×1.5mm程度であれば、3μm/hr程度の成膜速度で10分以内成膜することにより、本発明の多孔質光触媒に好適な二酸化チタン含有膜3が得られる。このようにして大気開放型化学気相析出装置により成膜される二酸化チタン或いは炭素ドープ二酸化チタンの結晶構造はその大部分又は全部がアナターゼ型となる。
このようにして得られた本発明の多孔質体複合材1は、多孔質体2の表層だけでなく気孔2aの内部の二酸化チタン或いは炭素ドープ二酸化チタンも光触媒として機能するため、優れた光触媒活性が得られる。多孔質体2の気孔率を変動させることによって多孔質体2の気孔率制御を容易に行うことができる。また、多孔質体2の有する気孔2aに入り込んで二酸化チタン含有膜3を形成するため、得られる多孔質体複合材1はガスや流体の内部通過が容易な構造をとる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
大気開放型化学気相析出装置10の気化器11にチタンテトライソプロピレート12gを充填し、気化温度80℃にて加熱し原料揮発ガス体とした。この原料揮発ガス体を窒素キャリアガスにて4L/minの流速にて噴出ノズル13に供給した。
他方、厚さ0.5mm、一辺30mmの正方形で、かつ直径1μm以下の細孔を含めた気孔率が96%のNi発泡体を多孔質体2として加熱台17にて400℃にて加熱した。加熱台17を左右に6cmの振幅で40mm/minの速度にて往復運動させた。この状態で加熱台17の上部に設置したノズル13から4L/minの流速にてチタンテトライソプロピレート原料揮発ガスを6min噴霧し、熱分解により多孔質体2であるNi発泡体の全表面に膜厚300nm、純度99.9%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜して多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例1とした。
この実施例1における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ90m2/gであり、通気度は0.05sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は6.2g/cm2であった。Ni発泡体と同じ材質のNi板に上記と同条件で二酸化チタンを成膜し、剥離強度を測定したところ、鉛筆硬度でHBであった。
<実施例2>
多孔質体2であるNi発泡体の全表面積の5%にシリコンウェーハ片からなるマスキングを施した後、実施例1と同一の条件及び手順でそのNi発泡体に二酸化チタン含有膜3を成膜し、多孔質体の全表面の95%に二酸化チタン含有膜が成膜された多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例2とした。
この実施例2における多孔質体複合材1の比表面積、通気度、二酸化チタンの坪量及びその剥離強度を測定したところ、その坪量が5.6g/cm2であったことを除き、その他は実施例1と同一であった。
<比較例1>
多孔質体2であるNi発泡体の全表面積の10%にシリコンウェーハ片からなるマスキングを施した後、実施例1と同一の条件及び手順でそのNi発泡体に二酸化チタン含有膜3を成膜し、多孔質体の全表面の90%に二酸化チタン含有膜が成膜された多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を比較例1とした。
この比較例1における多孔質体複合材1の比表面積、通気度、二酸化チタンの坪量及びその剥離強度を測定したところ、その坪量が5.1g/cm2であったことを除き、その他は、実施例1と同一であった。
<実施例3>
多孔質体2として、厚さ0.5mm、一辺30mmの正方形で、かつ直径1μm以下の細孔を含めた気孔率が95%のNi発泡体を用いたことを除き、実施例1と同一の条件及び手順でそのNi発泡体の全表面に膜厚300nm、純度99.9%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜し、多孔質体の全表面に二酸化チタン含有膜が成膜された多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例3とした。
この実施例3における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ80m2/gであり、通気度は0.06sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は5.4g/cm2であり、その剥離強度を測定したところ、鉛筆硬度でHBであった。
<実施例4>
多孔質体2として、厚さ0.5mm、一辺30mmの正方形で、かつ直径1μm以下の細孔を含めた気孔率が70%のNi発泡体を用いたことを除き、実施例1と同一の条件及び手順でそのNi発泡体の全表面に膜厚300nm、純度99.9%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜し、多孔質体の全表面に二酸化チタン含有膜が成膜された多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例4とした。
この実施例4における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ50m2/gであり、通気度は0.12sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は3.7g/cm2であり、その剥離強度を測定したところ、鉛筆硬度でHBであった。
<実施例5>
多孔質体2として、厚さ0.5mm、一辺30mmの正方形で、かつ直径1μm以下の細孔を含めた気孔率が50%のNi発泡体を用いたことを除き、実施例1と同一の条件及び手順でそのNi発泡体の全表面に膜厚300nm、純度99.9%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜し、多孔質体の全表面に二酸化チタン含有膜が成膜された多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例5とした。
この実施例5における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ20m2/gであり、通気度は0.20sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は0.5g/cm2であり、その剥離強度を測定したところ、鉛筆硬度でHBであった。
<比較例2>
多孔質体2として、厚さ0.5mm、一辺30mmの正方形で、かつ直径1μm以下の細孔を含めた気孔率が45%のNi発泡体を用いたことを除き、実施例1と同一の条件及び手順でそのNi発泡体の全表面に膜厚300nm、純度99.9%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜し、多孔質体の全表面に二酸化チタン含有膜が成膜された多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を比較例2とした。
この比較例2における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ5m2/gであり、通気度は0.26sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は0.05g/cm2であり、その剥離強度を測定したところ、鉛筆硬度でHBであった。
<実施例6>
大気開放型化学気相析出装置10の気化器11にチタンテトライソプロピレートを12gを充填し、気化温度80℃にて原料揮発ガス体とし、多孔質体2であるNi発泡体を加熱台にて350℃にて加熱し、全表面に純度95.8%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜したことを除き、実施例1と同一の条件及び手順により多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例6とした。
この実施例6における多孔質体複合材1の比表面積、通気度、二酸化チタンの坪量及びその剥離強度を測定したところ、その比表面積が25m2/gであり、坪量が6.1g/cm2であったことを除き、その他は、実施例1と同一であった。
<比較例3>
大気開放型化学気相析出装置10の気化器11にチタンテトライソプロピレートを12gを充填し、気化温度80℃にて原料揮発ガス体とし、多孔質体2であるNi発泡体を加熱台にて300℃にて加熱し、全表面に純度90.3%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜したことを除き、実施例1と同一の条件及び手順により多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を比較例3とした。
この比較例3における多孔質体複合材1の比表面積、通気度、二酸化チタンの坪量及びその剥離強度を測定したところ、その比表面積が25m2/gであり、坪量が6.0g/cm2であったことを除き、その他は、実施例1と同一であった。
<実施例7>
加熱台17の上部に設置したノズル13から4L/minの流速にてチタンテトライソプロピレート原料揮発ガスを10min噴霧したことを除き、実施例1と同一の条件及び手順により多孔質体2であるNi発泡体の全表面に膜厚500nm、純度99.9%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜して多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例7とした。
この実施例7における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ95m2/gであり、通気度は0.06sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は9.8g/cm2であった。Ni発泡体と同じ材質のNi板に上記と同条件で二酸化チタンを成膜し、剥離強度を測定したところ、鉛筆硬度でBであった。
<実施例8>
加熱台17の上部に設置したノズル13から4L/minの流速にてチタンテトライソプロピレート原料揮発ガスを1min噴霧したことを除き、実施例1と同一の条件及び手順により多孔質体2であるNi発泡体の全表面に膜厚50nm、純度99.9%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜して多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例8とした。
この実施例8における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ15m2/gであり、通気度は0.04sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は0.2g/cm2であった。Ni発泡体と同じ材質のNi板に上記と同条件で二酸化チタンを成膜し、剥離強度を測定したところ、鉛筆硬度で6Hであった。
<比較例4>
加熱台17の上部に設置したノズル13から4L/minの流速にてチタンテトライソプロピレート原料揮発ガスを0.8min噴霧したことを除き、実施例1と同一の条件及び手順により多孔質体2であるNi発泡体の全表面に膜厚40nm、純度99.9%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜して多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を比較例4とした。
この比較例4における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ5m2/gであり、通気度は0.03sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は0.05g/cm2であった。Ni発泡体と同じ材質のNi板に上記と同条件で二酸化チタンを成膜し、剥離強度を測定したところ、鉛筆硬度で6Hであった。
<比較例5>
加熱台17の上部に設置したノズル13から4L/minの流速にてチタンテトライソプロピレート原料揮発ガスを12min噴霧したことを除き、実施例1と同一の条件及び手順により多孔質体2であるNi発泡体の全表面に膜厚600nm、純度99.9%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜して多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を比較例5とした。
この比較例5における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ120m2/gであり、通気度は0.07sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は18g/cm2であった。Ni発泡体と同じ材質のNi板に上記と同条件で二酸化チタンを成膜し、剥離強度を測定したところ、鉛筆硬度で3Bであった。
<実施例9>
大気開放型化学気相析出装置10の気化器11にチタンテトライソプロピレート12gを充填し、気化温度80℃にて加熱し原料揮発ガス体とした。この原料揮発ガス体を窒素キャリアガスにて4L/minの流速にて噴出ノズル13に供給した。
平均繊維径が100μmで、直径1μm以下の細孔を含めた気孔率が97%のグラスウール0.2gを量り取り、多孔質体2として加熱台17にて400℃にて加熱した。加熱台17を左右に6cmの振幅で40mm/minの速度にて往復運動させた。この状態で加熱台17の上部に設置したノズルから4L/minの流速にてチタンテトライソプロピレート原料揮発ガスを3min噴霧した。熱分解によりグラスウール表面に膜厚150nmの二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜して多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例9とした。
この実施例9における多孔質体複合材1の二酸化チタンの純度を測定したところ99.8%であった。また、この光触媒フィルター材の比表面積を測定したところ45m2/gであり、通気度は0.07sec/100mlであった。そして二酸化チタンの坪量は3.0g/cm2であった。
<実施例10>
多孔質体2であるグラスウールの全表面積の5%にシリコンウェーハ片からなるマスキングを施した後、実施例9と同一の条件及び手順でそのグラスウールに二酸化チタン含有膜3を成膜し、多孔質体の全表面の95%に二酸化チタン含有膜が成膜された多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例10とした。
この実施例10における多孔質体複合材1の純度、比表面積、通気度及び二酸化チタンの坪量を測定したところ、その坪量が2.9g/cm2であったことを除き、その他は、実施例9と同一であった。
<比較例6>
多孔質体2であるグラスウールの全表面積の10%にシリコンウェーハ片からなるマスキングを施した後、実施例1と同一の条件及び手順でそのグラスウールに二酸化チタン含有膜3を成膜し、多孔質体の全表面の90%に二酸化チタン含有膜が成膜された多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を比較例6とした。
この比較例6における多孔質体複合材1の純度、比表面積、通気度及び二酸化チタンの坪量を測定したところ、その坪量が2.7g/cm2であったことを除き、その他は、実施例9と同一であった。
<実施例11>
多孔質体2として、平均繊維径が100μmで、直径1μm以下の細孔を含めた気孔率が95%のグラスウール0.2gを用いたことを除き、実施例9と同一の条件及び手順でそのグラスウールの全表面に膜厚150nm、純度99.8%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜し、多孔質体の全表面に二酸化チタン含有膜が成膜された多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例11とした。
この実施例11における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ40m2/gであり、通気度は0.08sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は2.8g/cm2であった。
<実施例12>
多孔質体2として、平均繊維径が100μmで、直径1μm以下の細孔を含めた気孔率が70%のグラスウール0.2gを用いたことを除き、実施例9と同一の条件及び手順でそのグラスウールの全表面に膜厚150nm、純度99.8%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜し、多孔質体の全表面に二酸化チタン含有膜が成膜された多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例12とした。
この実施例12における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ25m2/gであり、通気度は0.04sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は1.5g/cm2であった。
<実施例13>
多孔質体2として、平均繊維径が100μmで、直径1μm以下の細孔を含めた気孔率が50%のグラスウール0.2gを用いたことを除き、実施例9と同一の条件及び手順でそのグラスウールの全表面に膜厚150nm、純度99.8%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜し、多孔質体の全表面に二酸化チタン含有膜が成膜された多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例13とした。
この実施例13における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ10m2/gであり、通気度は0.19sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は0.3g/cm2であった。
<比較例7>
多孔質体2として、平均繊維径が100μmで、直径1μm以下の細孔を含めた気孔率が45%のグラスウール0.2gを用いたことを除き、実施例9と同一の条件及び手順でそのグラスウールの全表面に膜厚150nm、純度99.8%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜し、多孔質体の全表面に二酸化チタン含有膜が成膜された多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を比較例7とした。
この比較例7における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ5m2/gであり、通気度は0.35sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は0.05g/cm2であった。
<実施例14>
大気開放型化学気相析出装置10の気化器11にチタンテトライソプロピレートを12gを充填し、気化温度80℃にて原料揮発ガス体とし、多孔質体2であるグラスウールを加熱台にて350℃にて加熱し、全表面に純度95.4%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜したことを除き、実施例9と同一の条件及び手順により多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例14とした。
この実施例14における多孔質体複合材1の比表面積、通気度及び二酸化チタンの坪量を測定したところ、その坪量が2.9g/cm2であったことを除き、その他は、実施例9と同一であった。
<比較例8>
大気開放型化学気相析出装置10の気化器11にチタンテトライソプロピレートを12gを充填し、気化温度80℃にて原料揮発ガス体とし、多孔質体2であるグラスウールを加熱台にて300℃にて加熱し、全表面に純度90.6%の二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜したことを除き、実施例9と同一の条件及び手順により多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を比較例8とした。
この比較例8における多孔質体複合材1の比表面積、通気度及び二酸化チタンの坪量を測定したところ、その坪量が2.8g/cm2であったことを除き、その他は、実施例9と同一であった。
<実施例15>
加熱台17の上部に設置したノズル13から4L/minの流速にてチタンテトライソプロピレート原料揮発ガスを10min噴霧したことを除き、実施例9と同一の条件及び手順により多孔質体2であるグラスウールの全表面に膜厚500nmの二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜して多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例15とした。
この実施例15における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ90m2/gであり、通気度は0.08sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は9.7g/cm2であった。
<実施例16>
加熱台17の上部に設置したノズル13から4L/minの流速にてチタンテトライソプロピレート原料揮発ガスを1min噴霧したことを除き、実施例9と同一の条件及び手順により多孔質体2であるグラスウールの全表面に膜厚50nmの二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜して多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例17とした。
この実施例17における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ10m2/gであり、通気度は0.05sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は0.1g/cm2であった。
<比較例9>
加熱台17の上部に設置したノズル13から4L/minの流速にてチタンテトライソプロピレート原料揮発ガスを0.8min噴霧したことを除き、実施例9と同一の条件及び手順により多孔質体2であるグラスウールの全表面に膜厚40nmの二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜して多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を比較例9とした。
この比較例9における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ5m2/gであり、通気度は0.04sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は0.03g/cm2であった。
<比較例10>
加熱台17の上部に設置したノズル13から4L/minの流速にてチタンテトライソプロピレート原料揮発ガスを12min噴霧したことを除き、実施例1と同一の条件及び手順により多孔質体2であるグラスウールの全表面に膜厚600nmの二酸化チタンを含む二酸化チタン含有膜3を成膜して多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を比較例10とした。
この比較例10における多孔質体複合材1の比表面積を測定したところ110m2/gであり、通気度は0.09sec/100mlであった。また、二酸化チタンの坪量は18g/cm2であった。
<実施例17>
チタンテトライソプロピレートが90重量%、イソプロピルアルコールが10重量%の割合になるように、チタンテトライソプロピレートをイソプロピルアルコールに熔解した溶液原料を原料揮発ガスとして、加熱台17の上部に設置したノズル13から4L/minの流速にて1min噴霧したことを除き、実施例9と同一の条件及び手順により二酸化チタン含有膜3が3重量%の炭素を含む多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例17とした。
<実施例18>
チタンテトライソプロピレートが80重量%、イソプロピルアルコールが20重量%の割合になるように、チタンテトライソプロピレートをイソプロピルアルコールに熔解した溶液原料を原料揮発ガスとして、加熱台17の上部に設置したノズル13から4L/minの流速にて1min噴霧したことを除き、実施例9と同一の条件及び手順により、二酸化チタン含有膜3が7重量%の炭素を含む多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を実施例18とした。
<比較例11>
チタンテトライソプロピレートが95重量%、イソプロピルアルコールが5重量%の割合になるように、チタンテトライソプロピレートをイソプロピルアルコールに熔解した溶液原料を原料揮発ガスとして、加熱台17の上部に設置したノズル13から4L/minの流速にて1min噴霧し、かつ多孔質体2の加熱台17による加熱温度を750℃としたことを除き、実施例9と同一の条件及び手順により、二酸化チタン含有膜3が2.5重量%の炭素を含む多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を比較例11とした。
<比較例12>
チタンテトライソプロピレートが65重量%、イソプロピルアルコールが35重量%の割合になるように、チタンテトライソプロピレートをイソプロピルアルコールに熔解した溶液原料を原料揮発ガスとして、加熱台17の上部に設置したノズル13から4L/minの流速にて1min噴霧し、かつ多孔質体2の加熱台17による加熱温度を350℃としたことを除き、実施例9と同一の条件及び手順により、二酸化チタン含有膜3が7.5重量%の炭素を含む多孔質体複合材1を得た。この多孔質体複合材1を比較例12とした。
<比較試験及び評価>
実施例1〜8並びに比較例1〜5における多孔質体複合材1を直径14mmφの形状にそれぞれ切断し、直径が同じで長さ80mmのガラス円筒容器にそれぞれ6枚ずつ充填した。また、実施例9〜18並びに比較例6〜12における多孔質体複合材1をそれぞれ0.1g量り取り、直径14mmφで長さ80mmのガラス円筒容器に別々に15mmの厚さでそれぞれ充填した。
その後、それらを各々ガラス円筒容器に充填したものに付き、アセトアルデヒドを指標として光触媒活性を測定比較した。即ち、紫外線ランプ(365nm、1.2mW/cm2)を照射しながら、これらのガラス円筒容器に0.3L/minの流速で濃度20ppmのアセトアルデヒドガス1Lを流通した。流通後のアセトアルデヒド濃度を検出し、アセトアルデヒド残存率として光触媒活性を測定比較した。
実施例1〜8並びに比較例1〜5におけるそれぞれの条件及び結果を表1に示し、実施例9〜16並びに比較例6〜10におけるそれぞれの条件及び結果を表2に示し、実施例17及び18並びに比較例11及び12におけるそれぞれの条件及び結果を表3に示す。
Figure 2006305547
Figure 2006305547
Figure 2006305547
表1及び表2の結果から明らかなように、それぞれの実施例の方がそれぞれの比較例に比較して光触媒活性により優れていることが判る。これは実施例1,2,9及び10にあっては、多孔質体2の全表面に対する二酸化チタン含有膜3が占める割合が、比較例1及び6のものに比較して高いことに起因するものと考えられる。また、その他の実施例にあっては、二酸化チタン含有膜3の純度、二酸化チタン含有膜3における比表面積、二酸化チタン含有膜3における坪量、それらの剥離強度に関して、その他の比較例に比較してそれぞれ高いことも起因していると考えられ、二酸化チタン含有膜3の膜厚及びそれらの通気度に関してはその他の実施例の方がその他の比較例に比較してそれぞれ低いことも起因していると考えられる。
表3から明らかなように、実施例17及び18の方が比較例11及び12に比較して光活性により優れていることが判る。これは実施例17及び18にあっては、二酸化チタン含有膜3が適度に炭素を含むため、光触媒膜として可視光応答性を示すことに起因するものと考えられる。
本発明の多孔質体複合材の部分を拡大した図。 大気開放型化学気相析出装置の構成図。
符号の説明
1 多孔質体複合材
2 多孔質体
2a 気孔
3 二酸化チタン含有膜

Claims (14)

  1. 表面から裏面に連通する複数の気孔(2a)を有する多孔質体(2)と、前記気孔(2a)の内面を含む前記多孔質体(2)の全表面の95〜100%に成膜された二酸化チタン含有膜(3)とを備えた多孔質体複合材。
  2. 多孔質体(2)の全表面には、孔径が1μm以下の気孔(2a)の内面を含む請求項1記載の多孔質体複合材。
  3. 多孔質体(2)の気孔率が50%〜98%である請求項1又は2記載の多孔質複合材。
  4. 多孔質体(2)の通気度が0.2sec/100ml以下である請求項1ないし3いずれか1項に記載の多孔質体複合材。
  5. 多孔質体(2)が、発泡体又は繊維集合体のいずれかである請求項1ないし4いずれか1項に記載の多孔質体複合材。
  6. 多孔質体(2)に成膜された二酸化チタン含有膜の坪量が0.1〜10mg/cm2である請求項1ないし5いずれか1項に記載の多孔質体複合材。
  7. 多孔質体(2)がセラミック、ガラス、金属、プラスチック、有機繊維、不織布又は紙からなる請求項1ないし6いずれか1項に記載の多孔質体複合材。
  8. 二酸化チタン含有膜(3)が大気開放型化学気相析出法によって成膜された請求項1ないし7いずれか1項に記載の多孔質体複合材。
  9. 二酸化チタン含有膜(3)は二酸化チタンを93重量%以上含む請求項1ないし8いずれか1項に記載の多孔質体複合材。
  10. 二酸化チタン含有膜(3)は3〜7重量%の炭素を含む請求項1ないし8いずれか1項に記載の多孔質体複合材。
  11. 二酸化チタン含有膜(3)の膜厚が50〜500nmである請求項1ないし10いずれか1項に記載の多孔質体複合材。
  12. 二酸化チタン含有膜(3)の比表面積が10〜100m2/gである請求項1ないし11いずれか1項に記載の多孔質体複合材。
  13. 二酸化チタン含有膜(3)の剥離強度が鉛筆硬度B〜6Hである請求項1ないし12いずれか1項に記載の多孔質体複合材。
  14. 請求項1ないし13いずれか1項に記載の多孔質体複合材を用いたフィルタ。
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