JP2006305534A - 汚水浸潤処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚水浸潤処理装置の汚水処理能力を向上させると共に、硝酸性窒素、環境ホルモン、トリハロメタン前駆物質などの有害物質が土壌内へ残留したり、地下水へ混入したりするのを防止する。
【解決手段】吸水性シートからなる管状体内に剛毛状繊維を充填し、その中央部に透水性パイプを配設すると共に、該管状体の側面に、吸水性シートからなる複数個の翼片を突出形成せしめた汚水浸潤処理装置において、該翼片が該管状体から突出形成される位置に、長さ0.5〜6cmの吸水性シートからなる突片を上方へ立設せしめたことを特徴とする汚水浸潤処理装置。
【選択図】 図1
【解決手段】吸水性シートからなる管状体内に剛毛状繊維を充填し、その中央部に透水性パイプを配設すると共に、該管状体の側面に、吸水性シートからなる複数個の翼片を突出形成せしめた汚水浸潤処理装置において、該翼片が該管状体から突出形成される位置に、長さ0.5〜6cmの吸水性シートからなる突片を上方へ立設せしめたことを特徴とする汚水浸潤処理装置。
【選択図】 図1
Description
本発明は、汚水を通気性土壌内に浸潤させて処理する装置に関し、特に生活汚水、畜産排水などの一次処理水を通気性土壌内に浸潤させて処理する装置の改良に関するものである。
水洗便所の汚水や厨房雑排水などの生活汚水、畜産排水などの汚水を、腐敗(消化)槽で微生物の作用により処理し、次いで濾過槽で浮遊物を濾過した一次処理水を、通気性土壌内に埋設した汚水浸潤処理装置から通気性土壌内へ毛管上昇により浸潤させて、土壌中に含まれる微生物の作用により汚水中の有機物を分解して汚水を浄化する方法が広く実用化されるようになってきている。
このように、一次処理水を通気性土壌内へ毛管上昇により浸潤させる汚水浸潤処理装置として、本発明者は、吸水性シートからなる管状体内に剛毛状繊維を充填し、その中央部に透水性パイプを配設すると共に、該管状体の側面に、吸水性シートからなる複数個の翼片を突出形成せしめたものを提案し(例えば、特許文献1〜6)、各地で広く実用に供している。
この装置は、維持管理が容易で、汚水流入量の変動を受け難く、低コストで設置できるという利点を有しているが、汚水の通気性土壌内への毛管上昇力を高め、汚水処理能力を更に向上させることが望まれている。
また、汚水中には、各種窒素酸化物が含まれており、特に硝酸性窒素は、人体への悪影響があるほか、さまざまな環境汚染の原因となるため、土壌内への残留、地下水への混入を極力阻止しなければならない。更には、環境ホルモンやトリハロメタン前駆物質などの有害物質も土壌中の微生物で分解し、土壌内へ残留したり、地下水へ混入したりするのを防がなければならない。
また、汚水中には、各種窒素酸化物が含まれており、特に硝酸性窒素は、人体への悪影響があるほか、さまざまな環境汚染の原因となるため、土壌内への残留、地下水への混入を極力阻止しなければならない。更には、環境ホルモンやトリハロメタン前駆物質などの有害物質も土壌中の微生物で分解し、土壌内へ残留したり、地下水へ混入したりするのを防がなければならない。
従って、本発明は、従来の汚水浸潤処理装置の汚水処理能力を向上させると共に、硝酸性窒素などの有害物質が土壌内へ残留したり、地下水へ混入したりするのを防止することを課題とするものである。
本発明者は、かかる浸潤処理装置における汚水の処理能力を高める検討を行うに際し、先ず、浸潤処理装置から通気性土壌内へ、汚水がどのようにして浸潤、浸透していくかを調べてみた。即ち、図3に示すように、吸水性シートからなる管状体1内に剛毛状繊維2を充填し、その中央部に透水性パイプ3を配設すると共に、該管状体の側面に、吸水性シートからなる複数個の翼片4,4’を突出形成せしめた汚水浸潤処理装置を、通気性土壌S内に埋設し、透水性パイプ3から汚水を供給した。なお、6は、管状体1の下面を覆う不透水性シートである。汚水供給直後は管状体1内の水位が高く、多量の汚水が管状体1の吸水性シートを通り、主として、翼片4、4’が管状体1から突出形成されている部分a、a’近辺から上方へ流出して、通気性土壌S内へ毛管上昇して浸潤した。次いで、通気性土壌S内の負圧差を駆動力にして、汚水は横方向b、b’へ移動し、土壌表面がかなり湿ってきた段階で降下浸潤c、c’が始まった。残りの汚水の一部は、翼片から下方へ重力浸透d、d’し、横方向への移動は認められなかった。
この知見から,本発明者は、翼片4、4’が管状体1から突出形成されている部分a、a’近辺からの汚水の上方への流出を促進すれば、汚水の通気性土壌S内への毛管上昇量が増大し、汚水処理能力が向上すると共に、下方へ下降浸潤する汚水量も減少し、硝酸性窒素などの有害物質が土壌内へ残留したり、地下水へ混入したりするのを防止できると考え、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、(1)吸水性シートからなる管状体内に剛毛状繊維を充填し、その中央部に透水性パイプを配設すると共に、該管状体の側面に、吸水性シートからなる複数個の翼片を突出形成せしめた汚水浸潤処理装置において、該翼片が該管状体から突出形成される位置に、高さ0.5〜6cmの吸水性シートからなる突片を上方へ立設せしめたことを特徴とする汚水浸潤処理装置、(2)前記管状体の下面と前記複数個の翼片とを構成する吸水性シートに、前記管状体の上面を構成する吸水性シートを、その両端部から0.5〜6cmの折代を残して固着し、該折代を上方へ立設せしめて突片とした前記(1)記載の汚水浸潤処理装置、及び(3)前記突片が、厚さ3〜10mm、目付200〜500g/cm3のポリエステル不織布で構成された吸水性シートからなる前記(1)又は(2)記載の汚水浸潤処理装置が提供される。
本発明においては、主として汚水が通気性土壌へ流出し毛管上昇する、翼片が管状体から突出形成されている部分、即ち、図3のa、a’部分に、高さ0.5〜6cmの吸水性シートからなる突片を上方へ立設せしめたので、この部分からの汚水の上方への流出が促進され、流出に要する時間が約半分に短縮される。その結果、通気性土壌内を毛管上昇しながら、微生物により有機物が分解される汚水の量が増大し、汚水処理能力がほぼ2倍に向上する。
また、大部分の汚水が通気性土壌内を毛管上昇しながら微生物で処理され、硝酸性窒素などの有機物は分解されて、土壌表面から蒸発散される。一方、下方へ重力浸透(図3のd、d’)する汚水の量は大幅に低減し、土壌内へ残留したり、地下水へ混入したりする硝酸性窒素などの有害物質の量は、問題のないレベルまで大幅に減少する。
以下、図面により本発明の装置を詳細に説明する。
図1は、本発明の汚水浸潤処理装置の一例を示す斜視図であり、吸水性シートからなる管状体1内に剛毛状繊維2を充填し、その中央部に透水性パイプ3を配設すると共に、該管状体1の側面に、吸水性シートからなる複数個の翼片4、4’を突出形成せしめた汚水浸潤処理装置において、該翼片4、4’が該管状体1から突出形成される位置(図3のa、a’に該当する位置)に、高さ0.5〜6cmの吸水性シートからなる突片5、5’を上方へ立設せしめている。管状体1の下面外側は、不透水性シート6で覆われている。
図1は、本発明の汚水浸潤処理装置の一例を示す斜視図であり、吸水性シートからなる管状体1内に剛毛状繊維2を充填し、その中央部に透水性パイプ3を配設すると共に、該管状体1の側面に、吸水性シートからなる複数個の翼片4、4’を突出形成せしめた汚水浸潤処理装置において、該翼片4、4’が該管状体1から突出形成される位置(図3のa、a’に該当する位置)に、高さ0.5〜6cmの吸水性シートからなる突片5、5’を上方へ立設せしめている。管状体1の下面外側は、不透水性シート6で覆われている。
管状体1及び翼片4、4’を構成する吸水性シートとしては、任意の吸水性シートを用いることができるが、合成繊維不織布が好ましく、特に、厚さ1〜10mm程度のポリエステル不織布が好適に用いられる。
剛毛状繊維2としては、合成繊維からなる剛毛状繊維が好ましく用いられ、特に、500〜3000デニールのポリエステル剛毛繊維が好適に用いられる。
透水性パイプ3としては、適当数の通水孔を穿設した合成樹脂製パイプや合成樹脂製モノフィラメントを筒状に編組したパイプなどを挙げることができる。
剛毛状繊維2としては、合成繊維からなる剛毛状繊維が好ましく用いられ、特に、500〜3000デニールのポリエステル剛毛繊維が好適に用いられる。
透水性パイプ3としては、適当数の通水孔を穿設した合成樹脂製パイプや合成樹脂製モノフィラメントを筒状に編組したパイプなどを挙げることができる。
突片5、5’を構成する吸水性シートとしては、吸水性を有するシート状物であれば特に限定されないが、厚さ3〜10mm、目付200〜500g/cm3のポリエステル不織布で構成すると、汚水の流出が特に促進されるので好ましい。
突片5、5’の高さは、0.5〜6cmであることが必要であり、特に、1〜5cmであることが好ましい。0.5cm未満では、汚水の流出を促進し、毛管上昇による汚水処理能力を高めるという本発明の効果が得られない。一方、6cmを越えると、汚水浸潤処理装置を通気性土壌内に敷設する際に、突片5、5’が倒れ易くなり、立設状態での施工が煩雑になり、しかも、それ以上高くしても、それに見合うだけの効果は得られない。
突片5、5’は、翼片4、4’が管状体1から突出形成される位置(即ち、図3のa、a’部分)に立設することが必要であり、他の場所では、本発明の効果は得られない。なお、ここで“立設”とは、上方に向けて設けることを意味し、必ずしも直角に上を向けて設ける必要はないが、倒れた状態では本発明の効果は得られない。また、突片5、5’の所定位置への取り付けは、縫着、接着剤による接着等、任意の手段で行うことができる。
図2は、本発明の他の実施態様を示す断面図であり、管状体の下面1’と複数個の翼片4、4’とを一体に構成する吸水性シートAに、管状体の上面1”を構成する吸水性シートBを、その両端部から0.5〜6cmの折代5、5’を残してa、a’の位置で固着(縫着)し、該折代5、5’を上方へ立設せしめて突片5、5’とする。なお、2は剛毛状繊維、3は透水性パイプ、6は不透水性シートである。
この実施態様によれば、管状体と翼片を組み立てる際に、突片5、5’を同時に取り付けることができるので、突片5、5’を別途取り付ける工程が不要となり、汚水浸潤処理装置組み立ての合理化をはかることができる。この場合、突片5、5’は、管状体の上面1”を構成する吸水性シートBで構成されることになる。
この実施態様によれば、管状体と翼片を組み立てる際に、突片5、5’を同時に取り付けることができるので、突片5、5’を別途取り付ける工程が不要となり、汚水浸潤処理装置組み立ての合理化をはかることができる。この場合、突片5、5’は、管状体の上面1”を構成する吸水性シートBで構成されることになる。
長さ10m、幅1m、深さ0.6mの通気性土壌内に、図1に示すような本発明の汚水浸潤処理装置を埋設し、し尿と洗浄水及び雑排水を含む家庭生活排水を消化、濾過した一次処理水(汚水)を、この汚水浸潤処理装置から通気性土壌内に毛管上昇させて、微生物による処理を行った。
ここで使用した汚水浸潤処理装置としては、大成工業株式会社製タフガードL(登録商標)を用い、その翼片が管状体から突出形成される位置に、突片として、厚さ5mm、高さ5cm、目付350g/cm3のポリエステル不織布を縫着、立設させたものを使用した。
汚水処理量は20m3/日、1ヶ月運転後に通気性土壌底部から採取した処理水中の硝酸性窒素の量は7.8mg/Lであった。
一方、比較のために、突片を設けない従来の大成工業株式会社製タフガードL(登録商標)を用いて、上記と同様な処理を行ったところ、汚水処理量は11m3/日、1ヶ月運転後に通気性土壌底部から採取した処理水中の硝酸性窒素の量は21.7mg/Lであった。
この結果からも明らかなように、本発明の汚水浸潤処理装置を用いた場合は、汚水の流出が促進され、毛管上昇による汚水処理能力が約2倍になり、下方へ下降浸潤する汚水の量も大幅に低減し、通気性土壌底部の硝酸性窒素の量も約1/3に低減する。
本発明の汚水浸潤処理装置は、従来の汚水浸潤処理装置を改良し、汚水処理能力を向上させると共に、硝酸性窒素などの有害物質が土壌内へ残留したり、地下水へ混入したりするのを防止することに成功したもので、水洗便所の汚水や厨房雑排水などの生活汚水、畜産排水などの汚水を微生物の作用により浄化処理するのに極めて有用である。
1 管状体
1’ 管状体下面
1” 管状体上面
2 剛毛状繊維
3 透水性パイプ
4、4’ 翼片
5、5’ 突片
6 不透水性シート
1’ 管状体下面
1” 管状体上面
2 剛毛状繊維
3 透水性パイプ
4、4’ 翼片
5、5’ 突片
6 不透水性シート
Claims (3)
- 吸水性シートからなる管状体内に剛毛状繊維を充填し、その中央部に透水性パイプを配設すると共に、該管状体の側面に、吸水性シートからなる複数個の翼片を突出形成せしめた汚水浸潤処理装置において、該翼片が該管状体から突出形成される位置に、長さ0.5〜6cmの吸水性シートからなる突片を上方へ立設せしめたことを特徴とする汚水浸潤処理装置。
- 前記管状体の下面と前記複数個の翼片とを構成する吸水性シートに、前記管状体の上面を構成する吸水性シートを、その両端部から0.5〜6cmの折代を残して固着し、該折代を上方へ立設せしめて突片としたことを特徴とする請求項1記載の汚水浸潤処理装置。
- 前記突片が、厚さ3〜10mm、目付200〜500g/cm3のポリエステル不織布で構成された吸水性シートからなることを特徴とする請求項1又は2記載の汚水浸潤処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005156336A JP2006305534A (ja) | 2005-04-25 | 2005-04-25 | 汚水浸潤処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005156336A JP2006305534A (ja) | 2005-04-25 | 2005-04-25 | 汚水浸潤処理装置 |
Publications (1)
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ID=37473039
Family Applications (1)
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Country Status (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010116748A1 (ja) * | 2009-04-08 | 2010-10-14 | 株式会社オーイケ | 汚水処理装置 |
JP2012081396A (ja) * | 2010-10-08 | 2012-04-26 | Ooike Co Ltd | 処理装置 |
-
2005
- 2005-04-25 JP JP2005156336A patent/JP2006305534A/ja active Pending
Cited By (3)
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WO2010116748A1 (ja) * | 2009-04-08 | 2010-10-14 | 株式会社オーイケ | 汚水処理装置 |
JP5595929B2 (ja) * | 2009-04-08 | 2014-09-24 | 株式会社オーイケ | 汚水処理装置 |
JP2012081396A (ja) * | 2010-10-08 | 2012-04-26 | Ooike Co Ltd | 処理装置 |
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