JP2006304733A - 細胞培養器 - Google Patents

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博章 兼子
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    • C12M23/00Constructional details, e.g. recesses, hinges
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Abstract

【課題】細胞増殖能に富み、優れた操作性を有し、播種した細胞を余すことなく3次元培養の評価に用いることができる細胞培養器を提供する。
【解決手段】円筒状の外筒1、内腔を有し該外筒部に嵌合または螺合可能な円筒状の内筒2、該外筒の内腔部に底板4、外筒と該底板との間にパッキンまたはクッション部3、該内筒底部と底板4の間に細胞培養担体5を設置した細胞培養器であって、該細胞培養担体5が繊維構造体からなることを特徴とする培養器。
【選択図】図1

Description

本発明はシート状あるいは不織布状の細胞培養担体(Scaffold)を用いて細胞を培養するための装置に関するものであり、細胞増殖能に富み、優れた操作性を有し、播種した細胞を余すことなく3次元培養の評価に用いることができる細胞培養器に関するものである。
近年の再生医療技術に関する技術革新が進むに伴い、細胞が増殖、分化、組織化するための足場となる細胞培養用担体を用いた培養が重要になってきている。ここでいう細胞培養担体とは、生体適合性ポリマーの溶液を凍結乾燥した多孔体や、繊維構造体など3次元状の構造体が多く用いられる傾向にある。細胞培養担体に細胞を固定あるいは内包させる技術としては、コラーゲンやアルギン酸などのゲルを用いて細胞培養担体に内包させる方法や、細胞を含む培地を毛管現象で吸収させて、その過程で細胞を固定化させる方法、また単純に、細胞培養のための容器の底に置く方法、適当なおもりで固定化する方法が知られている。
細胞が成育し、分化・組織化を行うことで、上記の培養方法では、播種あるいは増殖した細胞が培養担体の外部へ漏れたり、あるいは培養担体の裏側に入り込んだりするため、培養した細胞を効率良く取り出すことが難しかった。
また、細胞が培養担体上あるいは担体中で増殖、分化していく各々の過程に関して、細胞の成育状態や、細胞が産生する細胞外マトリクスの種類や量、組織化の様子などを詳細に観察あるいは評価する必要性が高まってきている。フィルム状のマテリアルの上で細胞を培養する容器については、たとえば気体透過性のフィルムが底にぴんと張られた培養容器について記載されている(特許文献1)。このフィルムとしては、気体は透過するが液体は透過しない極めて薄いフィルムしか用いることが出来ず、例えば凍結乾燥スポンジなど凹凸の多い成型体や不織布状の細胞培養担体で液体を透過するような細胞培養担体を用いる培養には用いることが出来ない。
細胞のin vitro侵襲性増殖特性を研究する装置として、第1チェンバーを輪郭付ける上方体部と、第2チェンバーを輪郭付けるベースと、前記第1および第2チェンバーを分離する基質界面と、上方体部をベースのほうにバイアスし、前記基質を上方体部とベースとの間に保持する手段とを含んでなり、基質界面には温血脊椎動物の粘膜組織を含んでなる装置が開示されている(特許文献2)。
ニューロプローブ社(Neuroprobe, Inc. Cabin John, Maryland)から市販されているブラインドウエル(Blind Well)チャンバーは、円筒状の挿入部と、嵌合可能な透明樹脂性のチャンバーとからなる商品である。
特許文献2あるいはニューロプローブ社の製品のいずれにしても、円筒状の内筒と外筒を有し、それらを螺合あるいは嵌合することで細胞培養担体や内筒、外筒を相互に固定している。
然しながら、細胞培養容器は雑菌などの繁殖の危険性を避けるため滅菌された環境下で操作されることが多く、また同じ理由から素手による操作が制限される場合が多い。
そのような状況下で上記の細胞培養器を螺合あるいは嵌合し、細胞培養担体を確実に固定することは極めて困難である。
細胞培養担体の固定が確実に行われない場合は、播種されあるいは増殖した細胞が培養中に容器の該具外部に洩れたり、細胞培養担体の裏面に回りこんだりして、播種した細胞を余すことなく細胞培養担体の表面あるいは内部に固定することができない。
特開昭52−38082号公報 特表平10−513363号公報
本発明が解決しようとする課題は、細胞増殖能に富み、かつ優れた操作性を有し、播種した細胞を余すことなく3次元培養の評価に用いることができる細胞培養器を開示することである。
本発明は、円筒状の外筒(1)、内腔を有し該外筒部に嵌合または螺合可能な円筒状の内筒(2)、該外筒の内腔部に底板(4)、外筒と該底板との間にパッキンまたはクッション部(3)、該内筒底部と底板(4)の間に細胞培養担体(5)を設置した細胞培養器であって、該細胞培養担体(5)が繊維構造体からなることを特徴とする培養器である。
本発明の細胞培養器は細胞増殖能に富み、かつ優れた操作性を有する。本発明の細胞培養器は播種した細胞を余すことなく細胞培養担体の表面あるいは内部に固定することができ、さらには三次元状の培養担体が細胞の足場材としてどれくらい優れているかについての定量的な評価が容易に実施できるように、培養担体に生着した細胞が生育していく過程をそのまま観察することが容易である。
以下の実施例により、本発明の詳細をより具体的に説明する。しかし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下、本発明について詳述する。なお、これらの実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
本発明の好ましい構成を、図を用いて説明する。
図1において、円筒状の外筒(1)および内筒(2)は、樹脂製であっても金属製であってもガラス製であってもよく、中央部に観測用の内腔(6)および液体培地を保持するための内腔(7)が開いている。外筒は液体培地が漏洩するのを防ぐためのパッキン(3)を置く段部を有し、外筒(1)と内筒(2)はねじ溝を有することで、内筒を外筒にねじ込むことができ、内筒の端部が細胞培養担体(5)および底板(4)を圧着し、固定することができる。
また外筒(1)と底板(4)の間にはパッキンまたはクッション部(3)が設置されている。これは外筒(1)と底板(4)の間の液漏れ防止機能および内筒を嵌合または螺合させ圧着させる際にクッション機能を提供するものである。本目的を満たせば、パッキンとして挿入するようにしても、クッション部として外筒に一体化されていても構わない。パッキンまたはクッション部(3)の素材はある程度の弾力を有していれば良く、素材としては例えばゴムが挙げられるが、好ましくは細胞毒性の少ないシリコン製あるいはフッ素ゴム製が用いられる。
液体培地の底部となる平板すなわち底板(4)は透明であるものがよく、ガラス製あるいは透明樹脂製の平板が好ましく用いられる。この底板(4)の上に、細胞培養担体(5)を設置し、内筒(2)を用いて上から圧着する。内筒(2)は液体培地を保持するための内腔を有しており、この内腔から細胞観察することも可能である。
細胞培養担体(5)はその円周部の端を上部から圧着させることで、上から細胞を播種したときに生じる担体横側からの細胞の漏れを防ぐことができ、さらには上部より均等にその端部が押えられるため、内腔(7)に面した細胞培養担体表面は水平状に近似することが可能で、特に凹凸の多い繊維構造体の表面を水平に保つことが可能である。
外筒(1)および内筒(2)の材質は、樹脂製であっても金属製であってもガラス製であってもよいが、入手・加工のしやすさや滅菌の容易さから、ステンレス製やテフロン(登録商標)樹脂が好ましい。その中でオーステナイト系ステンレスは、研究開発業務で多用されるオートクレーブ(蒸気加熱)滅菌に適しているため、好ましい。ステンレスの具体例としてはSUS304やSUS316製のステンレスが好ましく用いられる。
外筒(1)および内筒(2)の材質が樹脂製であることもハンドリングのしやすさから好ましい。樹脂の種類としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル系樹脂等が挙げられる。耐ガンマ線剤などの添加剤などを適宜添加した樹脂を用いることも好ましい。
ステンレス成型体を用いて細胞を培養する際は、ステンレスの表面を不動体化処理するのが好ましい。不動体化処理は、公知のいかなる方法を用いても良いが、好ましくは、0.01〜1N程度の酸水溶液で洗浄するのがよく、更に好ましくはリン酸や亜リン酸を含む酸性水溶液を洗浄剤として用いるのがよい。
外筒の内腔は窓穴として、細胞の生育状況を観察するものであり、倒立型の顕微鏡を用いて細胞の成育を観察することができる。
図2で本願発明の培養容器のもう一つの態様を説明する。円筒状の外筒(11)および内筒(12)は、樹脂製であっても金属製であってもガラス製であってもよく、中央部に液体培地を保持するための内腔(16)が開いている。外筒(11)は増殖した細胞が底板の裏面に回りこむのを防ぐためのパッキン(13)を置く底部を有し、外筒(11)と内筒(12)はねじ溝を有することで、内筒を外筒にねじ込むことができ、内筒の端部が細胞培養担体(15)および底板(14)を圧着し、固定することができる。
また外筒と底板の間には液体培地の漏洩防止のためにパッキン(13)が挿入されている。該液漏れ防止のためのパッキン(13)は、ゴム製のものならいずれのものを用いてもかまわないが、好ましくは細胞毒性の少ないシリコン製あるいはフッ素ゴム製のパッキンが用いられる。
液体培地の底部となる平板すなわち底板(14)は透明であるものがよく、ガラス製あるいは透明樹脂製の平板が好ましく用いられる。この底板(14)の上に、細胞培養担体を設置し、内筒(12)を用いて上から圧着する。内筒(12)は液体培地を保持するための内腔を有しており、この内腔から細胞観察することも可能である。
細胞培養担体(15)はその円周部の端を上部から圧着されることで、上から細胞を播種したときに生じる担体横側からの細胞の漏れを防ぐことができ、さらには上部より均等にその端部が押えられるため、内腔(16)に面した細胞培養担体表面は水平状に近似することが可能で、特に凹凸の多い繊維構造体の表面を水平に保つことが可能である。
外筒(11)および内筒(12)の材質は、樹脂製であっても金属製であってもガラス製であってもよいが、外側からの観察とりわけ外筒の底部から観察することを可能にするためには透明な樹脂あるいはガラスが望ましい。入手・加工のしやすさや滅菌の容易さからは、ステンレス製やテフロン(登録商標)樹脂が好ましい。その中でオーステナイト系ステンレスは、研究開発業務で多用されるオートクレーブ(蒸気加熱)滅菌に適しているため、好ましい。ステンレスの具体例としてはSUS304やSUS316製のステンレスが好ましく用いられる。
ステンレス製の培養容器を用いて細胞を培養する際は、ステンレスの表面を不動体化処理するのが好ましい。不動体化処理は、公知のいかなる方法を用いても良いが、好ましくは、0.01〜1N程度の酸水溶液で洗浄するのがよく、更に好ましくはリン酸や亜リン酸を含む酸性水溶液を洗浄剤として用いるのがよい。
培養容器が透明な樹脂あるいはガラス製である場合は、倒立型の顕微鏡を用いて細胞の成育を観察することができ、ステンレス製の培養容器である場合は内筒の内腔から観察することができる。
外筒(1)あるいは内筒(2)のいずれか、あるいは外筒(1)と内筒(2)の両方に、同様に外筒(11)あるいは内筒(12)のいずれか、あるいは外筒(11)あるいは内筒(12)のそれぞれに、穴、溝、切り込み等凹部を設けることも好ましい。凹部は穴、溝、切り込みのいずれか一つでもあるいは組み合わせであっても良い。
図1には外筒(1)と内筒(2)にある穴の場合が例示されている。外筒の周囲に有する穴(8)は、側面に、外筒(1)の中心に向かって同心円状に掘られていて、内筒の上部にある穴(9)は、垂直方向に穴が掘られている。これらの穴には通常のピンセット、歯科用のピンセットやつる首型のピンセットなど、実際の実験に良く用いられる先のとがったピンセット類の先を2箇所入れて、外筒と内筒を嵌合する際に、内筒を回転させたり固定したりするのに都合が良い。
また内筒の上部に穴(9)を設けて通常のピンセット、歯科用のピンセットやつる首型のピンセットなど、実際の実験に良く用いられる先のとがったピンセット類の先を2箇所入れて、外筒と内筒を嵌合することも好ましい。
内筒の上部にある穴の2個所にはめ込むことが可能であり、これを用いることで、内筒を外筒に嵌めこむことが容易に行える。さらに(10)の中央部に穴を設けて、ピンセットなど先の尖った道具を入れることで、直接手を触れることなく嵌合できるようにすることも好ましい。
図1、図2何れの場合も内筒の上部は塞がっていても構わないし、あるいは蓋によって塞がれても良い。
本発明の細胞培養器は、細胞培養担体を取り替えて洗浄〜滅菌等の処理をすることにより、繰り返し使用することが可能である。
細胞培養担体(5)は繊維構造体からなり、繊維の原料となる高分子は、公知のいずれの高分子を用いることができ、生体適合性ポリマーであることが好ましい。具体的にはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートなどの生分解性ポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルイソシアネート、ポリブチルイソシアネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリノルマルプロピルメタクリレート、ポリノルマルブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルノルマルプロピルエーテル、ポリビニルイソプロピルエーテル、ポリビニルノルマルブチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリビニルターシャリーブチルエーテル、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(N−ビニルカルバゾル)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリビニルメチルケトン、ポリメチルイソプロペニルケトン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリシクロペンテンオキシド、ポリスチレンサルホン並びにこれらの共重合体などの合成ポリマー、再生セルロース、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、メチルセルロース、プロピルセルロース、ベンジルセルロース、フィブロイン、天然ゴムなどの生体高分子とその誘導体が挙げられる。
これらのうち、生分解性ポリマーが好ましく、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートおよびポリエチレンサクシネート並びにこれらの共重合体などの脂肪族ポリエステル、ポリブチレンカーボネート、ポリエチレンカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートを好ましい例として挙げることができ、更に好ましくはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトンが挙げられる。なかでもポリ乳酸が特に好ましい。
本発明においては、その目的を損なわない範囲で、他のポリマーや他の化合物を併用(例えば、ポリマー共重合体、ポリマーブレンド、化合物の混合等)しても良い。
繊維構造体中にはリン脂質を含有していてもよい。リン脂質としては、動物組織から抽出したものでも、また人工的に合成して製造したものでもその起源を問うことなく使用できる。リン脂質としてはホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロールおよびそれらの誘導体からなる群から選択されてなる少なくとも一種であることが好ましい。より好ましくはホスファチジルエタノールアミン類であり、さらに好ましくはL−α−ホスファチジルエタノールアミン−ジオレオイルである。
繊維構造体は、100重量部の生体適合性ポリマーおよび0.01〜10重量部のリン脂質からなることが好ましい。すなわちポリマー成分とリン脂質の組成比は、重量比で10:1から10000:1であることが好ましい。より好ましくは20:1〜1000:1であり、さらに好ましくは50:1〜500:1である。またフィルムには本発明の目的を損なわない範囲で、例えば柔軟剤や薬剤などの他の成分を含んでいても良い。
本発明で用いられる細胞培養担体は、ポリマーの繊維構造体の集合体である。繊維構造体の平均繊維径は0.05〜50μmであることが好ましい。平均繊維径が、0.05μmよりも低いと該繊維構造体の強度が保てないことがある。また平均繊維径が50μmよりも高いと繊維の比表面積が小さく生着する細胞数が少なくなるため好ましくない。さらに好ましくは平均繊維径が0.1〜10μm、より好ましくは平均繊維径が0.2〜5μmである。
細胞培養担体は平面状あるいはシート状、スポンジ状であるのが好ましく、より具体的には厚みが10〜1000μmのものが好ましく、さらに好ましくは500μm以下のものが用いられる。これよりも細胞培養担体が厚いと、圧着による気密性を維持するのが難しいため好ましくない。また、圧着をより確実なものにするために、シリコンゴムなどのシーリング材やパッキンは適宜使用することができる。
細胞培養担体は、平均見かけ密度が10〜300kg/mであることが好ましく、さらに好ましくは40〜120kg/mである。平均見かけ密度は得られた不織布の体積(面積×厚み)と質量とを測定し、ポリマー固有密度より算出することができる。
繊維構造体の任意の横断面が異形形状を有することが好ましい。ここで異形とは繊維表面の微細な凹部、繊維表面の微細な凸部、繊維表面の繊維軸方向に筋状に形成された凹部、繊維表面の繊維軸方向に筋状に形成された凸部及び、繊維表面の微細孔部からなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。異形形状を有する繊維構造体を得る目的で、上述のようにポリマー中にリン脂質を含有させることが好ましい。
本発明における生体適合性ポリマーの繊維構造体を製造する方法としては、例えば溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法により繊維を得た後、得られた繊維をスパンボンド法により製造する方法、メルトブロー法により製造する方法若しくは静電紡糸法により製造する方法が挙げられる。なかでも静電紡糸法によって製造するのが好ましく挙げられる。静電紡糸法による製造方法では、熱可塑性ポリマーを揮発性良溶媒と揮発性貧溶媒との混合溶媒に溶解した溶液を電極間で形成された静電場中に吐出して、溶液を電極に向けて曳糸して形成される繊維状物質の集合体として得ることができる。
以下、静電紡糸法により製造する方法について詳細に説明する。静電紡糸法とは、生体適合性のポリマー、または生体適合性のポリマーと分散補助剤とを揮発性溶媒に溶解した溶液を電極間で形成された静電場中に吐出し、溶液を電極に向けて曵糸することにより、繊維状物質を製造する方法である。用いられる電極は、金属、無機物、または有機物のいかなるものでも導電性を示すものであれば良い。また、絶縁物上に導電性を示す金属、無機物、または有機物の薄膜を持つものであっても良い。本発明における静電場は一対又は複数の電極間で形成されており、いずれの電極に高電圧を印加しても良い。これは例えば電圧値が異なる高電圧の電極が2つ(例えば15kVと10kV)と、アースに繋がった電極の合計3つの電極を用いる場合も含み、または3本を超える数の電極を使う場合も含むものとする。
本発明における生体適合性のポリマー溶液中の生体適合性のポリマーの濃度は、1〜30重量%であることが好ましい。生体適合性のポリマーの濃度が1重量%より低いと、濃度が低すぎるため繊維状物質を形成することが困難となり好ましくない。また、30重量%より高いと得られる繊維状物質の繊維径が大きくなり好ましくない。より好ましい生体適合性のポリマーの濃度は2〜20重量%である。
該溶液を静電場中に吐出するには、任意の方法を用いることが出来る。例えば、一例として図3を用いて以下説明する。溶液21をノズルに供給することによって、溶液を静電場中の適切な位置に置き、そのノズルから溶液を電解によって曵糸して繊維化させる。このためには適宜な装置を用いることができ、例えば注射器の筒状の溶液保持槽22の先端部に適宜の手段、例えば高電圧発生器25にて電圧をかけた注射針状の溶液噴出ノズル20を設置して、溶液をその先端まで導く。接地した繊維状物質捕集電極24から適切な距離に該噴出ノズル20の先端を配置し、溶液21が該噴出ノズル20の先端を出るときにこの先端と繊維状物質捕集電極5の間にて繊維状物質を形成させる。
該溶液をノズルから静電場中に供給する場合、数個のノズルを用いて繊維状物質の生産速度を上げることもできる。電極間の距離は、帯電量、ノズル寸法、紡糸液流量、紡糸液濃度等に依存するが、10kV程度のときには5〜20cmの距離が適当であった。また、印加される静電気電位は一般に3〜100kV、好ましくは5〜50kV、一層好ましくは5〜30kVである。所望の電位は任意の適切な方法で作れば良い。
上記説明は、電極がコレクタを兼ねる場合であるが、電極間にコレクタとなりうる物を設置することで、電極と別にコレクタを設けることが出来る。またコレクタの形状を選択することで、シート、チューブなどが得られる。さらに、例えばベルト状物質を電極間に設置してコレクタすることで、連続的な生産も可能となる。本発明においては、該溶液をコレクタに向けて曵糸する間に、条件に応じて溶媒が蒸発して繊維状物質が形成される。通常の室温であればコレクタ上に捕集されるまでの間に溶媒は完全に蒸発するが、もし溶媒蒸発が不十分な場合は減圧条件下で曵糸しても良い。また、曵糸する温度は溶媒の蒸発挙動や紡糸液の粘度に依存するが、通常は0〜50℃である。
[実施例1]
[細胞培養担体の作成]
ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体0.9g、ホスファチジルエタノールアミンジオレオイル0.1g、塩化メチレン/エタノール=7/2(重量部/重量部)9gを室温(25℃)で混合し10重量%のドープ溶液を調整した。噴出ノズル7の内径は0.8mm、電圧は14kV、噴出ノズル7から繊維状物質捕集電極までの距離は10cmである図3に示す装置を用いて、繊維状物質捕集電極11に5分間吐出し、繊維構造体の集合体である不織布を得た。繊維構造体の平均繊維径は2μmであり、繊維径10μm以上の繊維は観察されなかった。不織布厚みは300μmであり、平均見掛け密度は68kg/mであった。これから直径26mmのシートを切り出した。
図1に示すごとく、観察用の窓穴としての内腔(6)を有する円筒状のSUS304製外筒(1)の段部上に、フッ素ゴム製のパッキン(3)、ガラス板製の底板(4)を置き、さらに上記により製造した細胞培養担体(5)を置いた。観察用の窓穴すなわち内腔(7)を有し、外周部にネジ溝を有する円筒状のSUS304製内筒(2)を挿入し、細胞培養担体であるポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体よりなる繊維構造体を上から圧着した。円筒状の内筒(2)の内径は24mmであった。
ウサギ軟骨より採集した初代軟骨細胞と、液体培地を内腔(7)に5分目となるように入れ軟骨細胞を培養した。培養に用いた細胞数は、約2×10個であった。培養は5%二酸化炭素濃度、37℃での条件で実施し、液体培地は適宜交換した。2週間後、細胞数の増殖および細胞外マトリクスの産出を観察することができた。細胞培養担体を取り出して観察したところ、細胞は細胞培養担体に生着し、3次元状に培養されていることを確認した。底板(4)に面した側には細胞は多くは認められず、細胞がもれなく細胞培養担体である繊維構造体に固定されたことを確認した。
本発明で開示した培養器は、シート状あるいは不織布状の細胞培養担体の評価や、細胞培養担体中での細胞の生育状況を確認する上で有益な培養器であり、細胞の定量的な評価や細胞が算出する細胞外マトリックスについて定量的に評価することが可能である。本培養器は再生医療分野において、細胞培養のための培養担体(Scaffold)の評価や、Scaffold中での細胞の生育状況、生育過程を評価する上で重要なツールとなり得る。
実施例1の培養容器の断面図。 実施例1の培養容器とは別態様の培養容器の断面図。 紡糸液を静電場中に吐出する静電紡糸法で用いる装置の一例である。
符号の説明
1 外筒
2 内筒
3 パッキン
4 底板
5 細胞培養担体
6 外筒の内腔
7 内筒の内腔
8 外筒に施した穴
9 内筒に施した穴
10 内筒を旋回するための道具
11 外筒
12 内筒
13 パッキン
14 底板
15 細胞培養担体
16 内筒の内腔
17 外筒に施した穴
18 内筒に施した穴
19 内筒を旋回するための道具
20 溶液噴出ノズル
21 溶液
22 溶液保持層
23 電極
24 繊維状物質捕集電極
25 高電圧発生器

Claims (9)

  1. 円筒状の外筒(1)、内腔を有し該外筒部に嵌合または螺合可能な円筒状の内筒(2)、該外筒の内腔部に底板(4)、外筒と該底板との間にパッキンまたはクッション部(3)、該内筒底部と底板(4)の間に細胞培養担体(5)を設置した細胞培養器であって、該細胞培養担体(5)が繊維構造体からなることを特徴とする培養器。
  2. 繊維構造体が生体適合性ポリマーからなることを特徴とする請求項1に記載の培養器。
  3. 生体適合性ポリマーが脂肪族ポリエステルである請求項2に記載の培養器。
  4. 繊維構造体は、100重量部の生体適合性ポリマーおよび0.01〜10重量部のリン脂質からなる請求項2〜3のいずれかに記載の培養器。
  5. 繊維構造体の平均繊維径が0.2〜5μmである請求項1〜4のいずれかに記載の培養器。
  6. 細胞培養担体(5)が、平均見かけ密度が10〜300kg/mであり、厚みが10〜1000μmの不織布である請求項1〜5のいずれかに記載の培養器。
  7. 繊維構造体の任意の横断面が異形形状を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の培養器。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の培養器を用いて、該細胞培養担体の評価を実施する評価方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の培養器に用いられるポリマーの繊維構造体からなる細胞培養担体。
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