〔第1実施形態〕
図1〜図10は、既製杭の埋込み工法の一種であるプレボーリング工法において、根固め球根部を形成するための拡大掘削を行う掘削装置及びそれを用いた掘削方法を示し、スクリューオーガAのスクリューロッド1の下端部に脱着可能に固定連結される掘削ヘッド本体Bは、筒軸状の掘削ロッド3の外周面に、スクリューオーガAの二条のスクリュー羽根2と一連となる二条のスクリュー羽根4を連設するとともに、このスクリュー羽根4の下端部には、直径方向に所定ピッチを置いて複数の掘削刃物(掘削ビット)5を取付け、更に、掘削ロッド3の上側部には、スクリューオーガAのスクリューロッド1の下端部に形成された連結孔1aに対して一体回転状態で嵌合連結される断面非円形状(当該実施形態では断面六角形)の連結軸部6を形成して構成されている。
前記掘削ヘッド本体Bのスクリュー羽根4の外周側の周方向二箇所で、掘削刃物5の取付け位置よりも少し基端側(上方側)に偏倚した部位の各々には、先端側に拡大掘削用刃部(拡大掘削ビット)8A,9Aを備え、かつ、掘削ヘッド本体Bの掘削刃物5による掘削径D1よりも大となる二種類の掘削径の異なる拡大翼8,9が、掘削ヘッド本体Bの回転軸芯Xと平行な同一円周上の第1・第2揺動軸芯X1,X2周りで夫々拡径揺動自在に枢着されているとともに、大径の拡大翼9の拡径作動を拘束する拘束手段Cと、この拘束手段Cによる大径側拡大翼9の拘束を解除する解除手段Eと、前記拘束手段Cが解除された際、拡径作動した小径側拡大翼8が大径側拡大翼9を係止して、該大径側拡大翼9の拡径作動を拘束する第2の拘束手段Fが設けられている。
前記スクリュー羽根4の各翼取付け部4Aは、図2〜図4に示すように、掘削ヘッド本体Bの回転軸芯Xに対して直交する平面に沿った平板状に形成されていて、この翼取付け部4Aの各々には、小径側拡大翼8の二股状の基端部8Bを第1枢支ボルト10・ナット11にて揺動自在に枢着するための第1取付け孔4aと、大径側拡大翼9の二股状の基端部9Bを第2枢支ボルト12・ナット13にて揺動自在に枢着するための第2取付け孔4bと、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9をスクリュー羽根4の回転軌跡内に入り込む閉縮位置に縮径揺動させるための格納凹部14,15が形成されている。
前記小径側拡大翼8が入り込む格納凹部14は、掘削ヘッド本体Bの正転方向(図3、図9の矢印(イ)方向参照)で揺動軸芯X1の上手側脇に形成されているとともに、大径側拡大翼9が入り込む格納凹部15は、第1揺動軸芯X1と第2揺動軸芯X2との間に形成されていて、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9の各々が、掘削ヘッド本体Bの正転時(図3、図9の矢印(イ)方向参照)に受ける土圧(土砂抵抗)により閉縮位置に縮径揺動し、掘削ヘッド本体Bの逆転時(図7、図10の矢印(ロ)方向参照)に受ける土圧(土砂抵抗)により径方向外方に突出する開拡位置に拡径揺動するように構成されている。
前記スクリュー羽根4の各翼取付け部4Aには、図2、図3に示すように、開拡位置に拡径揺動する小径側拡大翼8の側面8aと揺動方向から当接して該小径側拡大翼8を径方向外方への突出代が設定最大突出代となる開拡位置に保持する第1ストッパー面16と、開拡位置に拡径揺動する大径側拡大翼9の側面9aに揺動方向から当接して該大径側拡大翼9を径方向外方への突出代が設定最大突出代となる開拡位置に保持する第2ストッパー面17が形成されている。
前記小径側拡大翼8が第1ストッパー面16に当接した開拡位置では、小径側拡大翼8の拡大掘削用刃部8Aの先端回転軌跡が、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1よりも大となる中間拡大掘削径D2に構成されているとともに、前記大径側拡大翼9が第2ストッパー面17に当接した開拡位置では、大径側拡大翼9の拡大掘削用刃部9Aの先端回転軌跡が、小径側拡大翼8の中間拡大掘削径D2よりも大となる最大拡大掘削径D3に構成されている。
次に、前記拘束手段Cについて説明する。
図3〜図8に示すように、前記スクリュー羽根4の翼取付け部4Aのうち、格納凹部15内に入り込んだ閉縮位置にある大径側拡大翼9の先端部と重合する部位に、両揺動軸芯X1,X2と平行な係止孔20が貫通形成されているとともに、前記大径側拡大翼9の先端部には、これが閉縮位置にあるとき、翼取付け部4Aの係止孔20と両揺動軸芯X1,X2と平行な方向から連通する第1装着孔21が貫通形成されている。
前記第1装着孔21内には、翼取付け部4Aの係止孔20に対して一方側(当該実施形態では上方側)の開口を通して嵌入することにより、大径側拡大翼9を閉縮位置で係止固定する嵌入子の一例であるロックピン22と、このロックピン22を嵌入側(下方側)に移動付勢するコイルスプリング23が挿入されているとともに、第1装着孔21の挿入用開口(当該実施形態では上方側開口)には脱着自在な閉止栓24が装着されている。
次に、前記解除手段Eについて説明する。
図3〜図8に示すように、前記小径側拡大翼8を枢支する第1枢支ボルト10には、格納凹部15内に入り込んだ閉縮位置にある大径側拡大翼9の先端部と重合可能な先端部を備えた媒介子25が、大径側拡大翼9の先端部と重合する範囲内で揺動自在に枢着され、その揺動範囲のうち、大径側拡大翼9側から最も離れる一端が待機位置に、最も近接する他端が解除位置に構成されている。前記小径側拡大翼8において、前記小径側拡大翼8と媒介子25との揺動方向で相対向する部位には、小径側拡大翼8の閉縮位置から開拡位置への拡径揺動時に揺動方向から媒介子25の受圧面25aに当接して、待機位置にある媒介子25を解除位置にまで強制的に押圧揺動させるための押圧面8bが形成されている。
前記媒介子25の先端部には、図8に示すように、該媒介子25が解除位置にあるとき、スクリュー羽根4の翼取付け部4Aに形成されている係止孔20と両揺動軸芯X1,X2と平行な方向から連通する第2装着孔26が貫通形成され、この第2装着孔26内には、翼取付け部4Aの係止孔20に対して他方側(当該実施形態では下方側)の開口を通して嵌入することにより、翼取付け部4Aの係止孔20に嵌入しているロックピン22を外部、つまりロック解除位置に押出し可能な嵌入子の一例であるロック解除ピン27と、このロック解除ピン27をロックピン22の嵌入付勢力よりも大なる弾性付勢力で嵌入付勢するロック解除用のコイルスプリング28が挿入されている。
また、前記第2装着孔26の挿入用開口(当該実施形態では下方側開口)には脱着自在な閉止栓29が装着されているとともに、図6に示すように、スクリュー羽根4の翼取付け部4Aの他方側(当該実施形態では下方側)の側面には、ロック解除ピン27の先端部が係合することにより、媒介子25を解除位置に揺動可能な程度のゆるやかな状態で待機位置に位置保持するための円錐状の係止穴4cが形成されている。
前記小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9が閉縮位置にある初期状態において、媒介子25は図5及び図6に示すように待機位置に設定されている。
そして、根固め球根部の形成領域において、掘削ヘッド本体Bが正転駆動から逆転駆動に切り替えられると、この掘削ヘッド本体Bの逆転時に受ける土圧(土砂抵抗)により、閉縮位置にあった小径側拡大翼8が開拡位置に拡径揺動し、その拡径揺動途中で小径側拡大翼8の押圧面8bが待機位置にある媒介子25の受圧面25aを押圧し、媒介子25が解除位置に達するまで強制的に押圧揺動される。
このとき、媒介子25の第2装着孔26内に挿入されているロック解除ピン27の先端は、スクリュー羽根4の翼取付け部4Aの他方側(当該実施形態では下方側)の側面に沿って摺動していく。しかし、この状態では、まだスクリュー羽根4の翼取付け部4Aに形成されている係止孔20内には、大径側拡大翼9のロックピン22が嵌入して、大径側拡大翼9が閉縮位置に拘束されている。
前記媒介子25が解除位置に到達した時点で、媒介子25の第2装着孔26と翼取付け部4Aの係止孔20とが連通し、媒介子25のロック解除ピン27が翼取付け部4Aの係止孔20内に嵌入して、大径側拡大翼9のロックピン22が係止孔20外のロック解除位置に押し出されるため、大径側拡大翼9の拘束が解除される。
次に、前記第2の拘束手段Fについて説明する。
図3、図7に示すように、前記大径側拡大翼9の先端部に直角な被係止部30を形成するとともに、小径側拡大翼8には、これが開拡位置に拡径揺動し、かつ、大径側拡大翼9が閉縮位置にあるとき、大径側拡大翼9の先端揺動軌跡と交差する状態で径方向外方から被係止部30に係合する直角な係止部31が形成されている。
そのため、前記拘束手段Cが解除された状態で掘削ヘッド本体Bが逆転駆動されても、小径側拡大翼8が開拡位置にある状態では、小径側拡大翼8の係止部31が大径側拡大翼9の被係止部30に係合しているため、大径側拡大翼9の拡径揺動が阻止されている。
この状態で掘削ヘッド本体Bが正転駆動されると、小径側拡大翼8が掘削ヘッド本体Bの正転時に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動し、その揺動途中で小径側拡大翼8の係止部31と大径側拡大翼9の被係止部30との係合が解除される。
この第2の拘束手段Fによる拘束が解除されても、大径側拡大翼9は、掘削ヘッド本体Bの正転時に受ける土圧により閉縮位置に維持され、次に、掘削ヘッド本体Bが逆転駆動されたとき、大径側拡大翼9が掘削ヘッド本体Bの逆転時に受ける土圧により初めて開拡位置に拡径揺動することになる。
尚、図2中の符号32は、掘削ヘッド本体Bの掘削ロッド3に形成されたセメントミルクの噴射口であり、この噴射口32から噴射されるセメントミルクにより根固め球根部が形成される。
次に、上述の如く構成された掘削装置を用いた掘削方法について説明する。
図1に示すように、スクリューオーガAのスクリューロッド1の下端部に掘削ヘッド本体Bを固定連結し、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9の各々を閉縮位置に維持する。
この状態においては、図3に示すように、掘削ヘッド本体Bに装備されている小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9の各々は閉縮位置に、小径側拡大翼8と同じ第1揺動軸芯X1周りで揺動自在な媒介子25は待機位置に夫々設定されているとともに、大径側拡大翼9は、拘束手段Cによって閉縮位置に拘束されている、つまり、大径側拡大翼9に装備されているロックピン22をスクリュー羽根4の翼取付け部4Aに形成されている係止孔20に嵌入させておく。
この状態でスクリューオーガAを正転駆動(図3の矢印(イ)方向)させて、掘削ヘッド本体Bの掘削刃物5により地盤を掘削し、所定の深度に到達して掘削穴の下端を拡大掘りするときには、スクリューオーガAを逆転駆動させる。
このとき、前記小径側拡大翼8は、図6、図7に示すように、スクリュー羽根4の翼取付け部4Aに対して第1揺動軸芯X1周りで拡径揺動自在に構成されているため、掘削ヘッド本体Bの逆転時(図7の矢印(ロ)方向)に受ける土圧(土砂抵抗)により径方向外方に突出する開拡位置に拡径揺動するが、大径側拡大翼9は拘束手段Cによって閉縮位置に拘束されているため、掘削ヘッド本体Bの逆転時に土圧を受けても、大径側拡大翼9が拡径揺動することはない。
図5、図7に示すように、前記小径側拡大翼8の拡径揺動途中で該小径側拡大翼8の押圧面8bが待機位置にある媒介子25の受圧面25aを押圧して、媒介子25が解除位置にまで強制的に押圧揺動させられる。
そして、図8に示すように、媒介子25が解除位置に到達した時点で、媒介子25の第2装着孔26と翼取付け部4Aの係止孔20とが連通し、媒介子25に装備されているロック解除ピン27が翼取付け部4Aの係止孔20内に嵌入して、大径側拡大翼9のロックピン22が孔外のロック解除位置に押し出されるため、大径側拡大翼9の拘束が解除される。
前記大径側拡大翼9の拘束が解除されても、図7に示すように、小径側拡大翼8が第1ストッパー面16に当接した開拡位置にある状態では、小径側拡大翼8の係止部31が大径側拡大翼9の被係止部30に係合しているため、大径側拡大翼9の拡径揺動が阻止されている。
前記小径側拡大翼8が開拡位置に拡径揺動した状態では、小径側拡大翼8の拡大掘削用刃部8Aの先端回転軌跡が、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1よりも大となる中間拡大掘削径D2に構成されているため、掘削ヘッド本体Bを逆転駆動(図7の矢印(ロ)方向)しながら上昇又は下降することにより、地盤の根固め球根部の形成箇所が中間拡大掘削径D2で拡大掘削される。
前記中間拡大掘削径D2は、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1と比較して、極端に大きな径ではないため、掘削ヘッド本体Bは土圧により大きな負荷を受けることなく掘削することができる。
次に、前記小径側拡大翼8による拡大掘削工程が終了して、図9に示すように、掘削ヘッド本体Bが正転駆動(矢印(イ)方向)されると、小径側拡大翼8が掘削ヘッド本体Bの正転時に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動し、その揺動途中で小径側拡大翼8の係止部31と大径側拡大翼9の被係止部30との係合が解除される。
しかし、この第2の拘束手段Fによる拘束が解除されても、大径側拡大翼9は、掘削ヘッド本体Bの正転時に受ける土圧により閉縮位置に維持される。
次に、図10に示すように、前記掘削ヘッド本体Bが再度逆転駆動(矢印(ロ)方向)されると、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9が掘削ヘッド本体Bの逆転時に受ける土圧により拡径揺動されるが、小径側拡大翼8の係止部31と大径側拡大翼9の被係止部30とは係合することがなく、小径側拡大翼8が第1ストッパー面16に当接した開拡位置に、かつ、大径側拡大翼9も第2ストッパー面17に当接した開拡位置に夫々拡径揺動される。
前記大径側拡大翼9が開拡位置に拡径揺動した状態では、大径側拡大翼9の拡大掘削用刃部9Aの先端回転軌跡が、小径側拡大翼8の中間拡大掘削径D2よりも大となる最大拡大掘削径D3に構成されているため、掘削ヘッド本体Bを逆転駆動しながら上昇又は下降することにより、地盤の根固め球根部形成箇所が最大拡大掘削径D3で拡大掘削される。
前記最大拡大掘削径D3は中間拡大掘削径D2と比較して極端に大きな径ではないので、大きな負荷を受けることなく拡大掘削が完了される。
前記大径側拡大翼9による拡大掘削工程が終了すると、掘削ヘッド本体Bを正転駆動させ、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9を掘削ヘッド本体Bの正転時に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動させたのち、掘削ヘッド本体Bを地上まで引き上げる。
(1)上述の第1実施形態の掘削装置において、小径側拡大翼8と大径側拡大翼9は、形状が同一のものを拡開角度を変えることによって掘削径を変えるようにしたものであってもよい。
(2)上述の第1実施形態の掘削装置を中掘り工法で実施してもよい。
(3)上述の第1実施形態の掘削装置では、拡大翼8,9をスクリュー羽根4の下部に取付けているが、スクリュー羽根4の上部又は掘削ロッド3に取付けてもよい。
〔第2実施形態〕
図11〜図17は掘削装置の別実施形態を示し、前記掘削ヘッド本体Bのスクリュー羽根4の周方向二箇所に形成された翼取付け部4Aの各々には、先端側に拡大掘削用刃部(拡大掘削ビット)8A,9Aを備え、かつ、掘削ヘッド本体Bの掘削刃物5による掘削径D1よりも大となる二種類の掘削径の異なる拡大翼8,9が、掘削ヘッド本体Bの回転軸芯Xと平行な第1・第2揺動軸芯X1,X2周りで夫々拡径揺動自在に枢着されているとともに、大径の拡大翼9の拡径作動を拘束する拘束手段Cと、この拘束手段Cによる大径側拡大翼9の拘束を解除する解除手段Eが設けられている。
前記スクリュー羽根4の各翼取付け部4Aは、図11、図12に示すように、掘削ヘッド本体Bの回転軸芯に対して直交する平面に沿った平板状に形成されていて、この翼取付け部4Aの各々には、小径側拡大翼8の二股状の基端部8Bを第1枢支ボルト10・ナット11にて揺動自在に枢着するための第1取付け孔4aと、大径側拡大翼9の二股状の基端部9Bを第2枢支ボルト12・ナット13にて揺動自在に枢着するための第2取付け孔4bと、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9をスクリュー羽根4の回転軌跡内に入り込む閉縮位置に縮径揺動させるための格納凹部14,15が形成されている。
前記小径側拡大翼8には、板片状の第1媒介子35が一体形成されており、この第1媒介子35は、該小径側拡大翼8の開拡位置への拡径揺動に連れて解除手段Eと拘束手段Cとの間に介在可能で、かつ、その介在位置では解除手段Eによる解除作用を遮断する。小径側拡大翼8の閉縮位置への縮径揺動に伴う第1媒介子35の介在位置からの離脱移動によって解除手段Eによる拘束手段Cの解除作用が可能に構成されている。
前記スクリュー羽根4の各翼取付け部4Aには、小径側拡大翼8が開拡位置に拡径揺動したとき、該小径側拡大翼8の側面8aと揺動方向から当接して径方向外方への突出代が設定最大突出代となる開拡位置に保持する第1ストッパー面16と、大径側拡大翼9が開拡位置に拡径揺動したとき、該大径側拡大翼9の側面9aに揺動方向から当接して径方向外方への突出代が設定最大突出代となる開拡位置に保持する第2ストッパー面17が形成されている。
前記小径側拡大翼8が第1ストッパー面16に当接した開拡位置では、小径側拡大翼8の拡大掘削用刃部8Aの先端回転軌跡が、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1よりも大となる中間拡大掘削径D2に構成されているとともに、前記大径側拡大翼9が第2ストッパー面17に当接した開拡位置では、大径側拡大翼9の拡大掘削用刃部9Aの先端回転軌跡が、小径側拡大翼8の中間拡大掘削径D2よりも大となる最大拡大掘削径D3に構成されている。
次に、前記拘束手段Cについて説明する。
図12〜図16に示すように、前記スクリュー羽根4の翼取付け部4Aのうち、格納凹部15内に入り込んだ閉縮位置にある大径側拡大翼9の先端部と重合する部位に、両揺動軸芯X1,X2と平行な係止孔36が貫通形成されているとともに、前記大径側拡大翼9の先端部には、これが閉縮位置にあるとき、翼取付け部4Aの係止孔36と両揺動軸芯X1,X2と平行な方向から連通する第1装着孔37が貫通形成されている。
前記第1装着孔37内には、翼取付け部4Aの係止孔36に対して一方側(当該実施形態では上方側)の開口を通して嵌入することにより、大径側拡大翼9を閉縮位置で係止固定する嵌入子の一例である第1ロックピン38が、自重で嵌入方向に移動付勢された状態で挿入されているとともに、第1装着孔21の挿入用開口(当該実施形態では上方側開口)には脱着自在な第1カバー39が装着されている。
前記翼取付け部4Aの係止孔36内には、これに嵌入している第1ロックピン38の先端部をロック位置で受止める段付きピン40と、これをロック受止め位置で抜止め支持する抜止めリング41が設けられているとともに、前記段付きピン40が、ロック受止め位置と第1ロックピン38の先端を係止孔36外のロック解除位置に打ち出し移動させた打出し位置とに摺動自在に構成されている。
次に、前記解除手段Eについて説明する。
図12〜図16に示すように、前記小径側拡大翼8を枢支する第1枢支ボルト10に、格納凹部15内に入り込んだ閉縮位置にある大径側拡大翼9の先端部と重合可能な先端部を備え、かつ、小径側拡大翼8の第1媒介子35と略同じ輪郭形状に形成された第2媒介子42が揺動自在に枢着され、その揺動方向の一端が閉縮位置にある小径側拡大翼8の第1媒介子35と重合する待機位置に、揺動方向の他端が開拡位置にある小径側拡大翼8の第1媒介子35と重合する解除位置に構成されている。
前記第2媒介子42の先端部には、図14に示すように、該第2媒介子42が解除位置に揺動したとき、スクリュー羽根4の翼取付け部4Aに形成されている係止孔36と両揺動軸芯X1,X2と平行な方向から連通する第2装着孔46が貫通形成され、この第2装着孔46内には、小径側拡大翼8の第1媒介子35の下面に形成された係合凹部43及び翼取付け部4Aの係止孔36に対して選択的に係入移動自在な嵌入子の一例であるロック解除ボール44と、ロック受止め位置にある段付きピン40を打出し位置に打出し可能な弾性付勢力でロック解除ボール44を付勢するコイルスプリング45が挿入されているとともに、第2装着孔46の挿入用開口(当該実施形態では下方側開口)には脱着自在な第1閉止栓47が装着されている。
前記第2媒介子42が待機位置にある状態(図12)では、これに装備されているロック解除ボール44が小径側拡大翼8側の第1媒介子35の係合凹部43に係合しているため、小径側拡大翼8の閉縮位置から開拡位置への拡径揺動に連動して第2媒介子42が待機位置から解除位置に一体的に揺動するように構成されている。
また、前記第2媒介子42が解除位置に揺動したとき、第2媒介子42をスクリュー羽根4の翼取付け部4Aに固定するロック機構50が設けられている。
このロック機構50は、スクリュー羽根4の翼取付け部4Aに揺動軸芯X1,X2と平行なロック孔51を形成するとともに、第2媒介子42には、これが解除位置にあるとき、翼取付け部4Aのロック孔51と両揺動軸芯X1,X2と平行な方向から連通する第3装着孔52を貫通形成し、この第3装着孔52内に、翼取付け部4Aのロック孔51に嵌入することにより第2媒介子42を解除位置で翼取付け部4Aに係止固定する第2ロックピン53と、この第2ロックピン53を嵌入付勢するコイルスプリング54を挿入して構成されている。
また、前記第3装着孔52の挿入用開口(当該実施形態では下方側開口)には脱着自在な第2閉止栓56が装着されている。
次に、上述の如く構成された掘削装置を用いた掘削方法について説明する。
第1実施形態の掘削方法と同様に、スクリューオーガAのスクリューロッド1の下端部に掘削ヘッド本体Bを固定連結し、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9の各々を閉縮位置に維持した状態にする(第1実施形態の図1参照)。
この状態においては、図11に示すように、掘削ヘッド本体Bに装備されている小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9の各々は閉縮位置に、小径側拡大翼8と同じ第1揺動軸芯X1周りで揺動自在な第2媒介子42は待機位置に夫々設定されているとともに、大径側拡大翼9は、拘束手段Cによって閉縮位置に拘束し、詳しくは、図12に示すように、大径側拡大翼9に装備されている第1ロックピン38をスクリュー羽根4の翼取付け部4Aに形成されている係止孔36に嵌入させ、更に、第2媒介子42に装備されているロック解除ボール44を、小径側拡大翼8の第1媒介子35の下面に形成された係合凹部43に係合させておく。
この状態でスクリューオーガAを正転駆動させて、掘削ヘッド本体Bの掘削刃物5により地盤を掘削し、所定の深度に到達して掘削穴の下端を拡大掘りするときには、図13に示すように、スクリューオーガAを逆転駆動(矢印(ロ)方向)させる。
このとき、前記小径側拡大翼8は、スクリュー羽根4の翼取付け部4Aに対して第1揺動軸芯X1周りで拡径揺動自在に構成されているため、掘削ヘッド本体Bの逆転時に受ける土圧(土砂抵抗)により径方向外方に突出する開拡位置に拡径揺動するが、大径側拡大翼9は拘束手段Cによって閉縮位置に拘束されているため、掘削ヘッド本体Bの逆転時に土圧を受けても、大径側拡大翼9が拡径揺動することはない。
また、図12に示すように、前記第2媒介子42のロック解除ボール44が小径側拡大翼8側の第1媒介子35の係合凹部43に係合しているため、小径側拡大翼8の閉縮位置から開拡位置への拡径揺動に連動して第2媒介子42が待機位置から解除位置に一体的に揺動し、この第2媒介子42が解除位置に到達した時点で、図14に示すように、第2媒介子42に装備されているロック機構50の第2ロックピン53が翼取付け部4Aに形成されているロック機構50のロック孔51に嵌入して、第2媒介子42を解除位置で翼取付け部4Aに係止固定する。
更に、図14に示すように、前記小径側拡大翼8が開拡位置に拡径揺動したとき、スクリュー羽根4の翼取付け部4Aに形成されている係止孔36と第2媒介子42の先端部に形成されている第2装着孔46とが合致するが、翼取付け部4Aと第2媒介子42との間に小径側拡大翼8の第1媒介子35が入り込んで、解除手段Eによる解除作用を遮断する、つまり、第2媒介子42のロック解除ボール44が翼取付け部4Aの係止孔36内に嵌入移動することを阻止しているため、大径側拡大翼9は拘束手段Cによって閉縮位置に拘束維持されることになる。
前記小径側拡大翼8が開拡位置に拡径揺動した状態では、図13に示すように、小径側拡大翼8の拡大掘削用刃部8Aの先端回転軌跡が、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1よりも大となる中間拡大掘削径D2に構成されているため、掘削ヘッド本体Bを逆転駆動しながら上昇又は下降することにより、地盤の根固め球根部の形成箇所が中間拡大掘削径D2で拡大掘削される。
図15に示すように、前記小径側拡大翼8による拡大掘削工程が終了して、掘削ヘッド本体Bが正転駆動(矢印(イ)方向)されると、小径側拡大翼8が掘削ヘッド本体Bの正転時に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動する。しかし、第2媒介子42の第2ロックピン53は翼取付け部4Aのロック孔51に嵌入していて、第2媒介子42が解除位置で翼取付け部4Aに完全に係止固定されているため、ロック解除ボール44による小径側拡大翼8への保持力を凌駕して、ロック解除ボール44は第2媒介子42内に退避されて、小径側拡大翼8のみが縮径揺動し、これに一体形成されている第1媒介子35が翼取付け部4Aと第2媒介子42との間から抜き出し揺動される。
図16に示すように、前記第1媒介子35が翼取付け部4Aの係止孔36と第2媒介子42の第2装着孔46から外れた瞬間、第2装着孔46内のロック解除ボール44がコイルスプリング45の弾性付勢力で係止孔36内に飛び込み移動し、この係止孔36内のロック受止め位置にある段付きピン40を打出し位置に打出し、係止孔36に嵌入していた第1ロックピン38の先端を孔外のロック解除位置に打ち出し移動させ、拘束手段Cによる大径側拡大翼9の拘束を解除する。このとき、前記第1装着孔37に装着されていた第1カバー39が第1ロックピン38との衝撃力で外部に弾き飛ばされる。
前記拘束手段Cによる拘束が解除されても、大径側拡大翼9は、掘削ヘッド本体Bの正転時(図15の矢印(イ)方向)に受ける土圧により閉縮位置に維持される。
次に、図17に示すように、前記掘削ヘッド本体Bが逆転駆動(矢印(ロ)方向)されると、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9が掘削ヘッド本体Bの逆転時に受ける土圧により拡径揺動され、小径側拡大翼8が第1ストッパー面16に当接した開拡位置に、かつ、大径側拡大翼9も第2ストッパー面17に当接した開拡位置に夫々拡径揺動される。
前記大径側拡大翼9が開拡位置に拡径揺動した状態では、大径側拡大翼9の拡大掘削用刃部9Aの先端回転軌跡が、小径側拡大翼8の中間拡大掘削径D2よりも大となる最大拡大掘削径D3に構成されているため、掘削ヘッド本体Bを逆転駆動しながら上昇又は下降することにより、地盤の根固め球根部形成箇所が最大拡大掘削径D3で拡大掘削される。
前記大径側拡大翼9による拡大掘削工程が終了すると、掘削ヘッド本体Bを正転駆動させ、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9を掘削ヘッド本体Bの正転時に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動させたのち、掘削ヘッド本体Bを地上まで引き上げる。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
(1)上述の第2実施形態の掘削装置において、小径側拡大翼8と大径側拡大翼9は、形状が同一のものを拡開角度を変えることによって掘削径を変えるようにしたものであってもよい。
(2)上述の第2実施形態の掘削装置を中掘り工法で実施してもよい。
(3)上述の第2実施形態の掘削装置では、拡大翼8,9をスクリュー羽根4の下部に取付けているが、スクリュー羽根4の上部又は掘削ロッド3に取付けてもよい。
(4)上述の第2実施形態の掘削装置は、三枚以上の拡大翼にも適用できる。
〔第3実施形態〕
図18〜図23は、上述の第1実施形態で説明した掘削装置の構成要素のうち、大径の拡大翼9の拡径作動を拘束する拘束手段Cと、この拘束手段Cによる大径側拡大翼9の拘束を解除する解除手段Eの別実施形態を示す。
この第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、前記スクリュー羽根4の翼取付け部4Aに、小径側拡大翼8の二股状の基端部8Bを第1枢支ボルト10・ナットにて揺動自在に枢着するための第1取付け孔4aと、大径側拡大翼9の二股状の基端部9Bを第2枢支ボルト12・ナットにて揺動自在に枢着するための第2取付け孔4bと、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9をスクリュー羽根4の回転軌跡内に入り込む閉縮位置に縮径揺動させるための格納凹部14,15が形成されているとともに、前記拘束手段Cが解除された際、拡径作動した小径側拡大翼8が大径側拡大翼9を係止して、大径側拡大翼9の拡径作動を拘束する第2の拘束手段Fが設けられている。
次に、前記拘束手段Cについて説明する。
図18〜図21に示すように、前記スクリュー羽根4の翼取付け部4Aのうち、小径側拡大翼8の二股状基端部8Bと格納凹部15内に入り込んだ閉縮位置にある大径側拡大翼9の先端部との間に位置する中間部位4Bに、小径側拡大翼8の二股状基端部8Bに形成された回転半径方向に沿う押圧面60に向かって開口する摺動ガイド溝61が、第1揺動軸芯X1を半径中心とする円弧状に形成され、この摺動ガイド溝61内には、小径側拡大翼8の押圧面60の移動経路内に突出可能な弧状の媒介子62が摺動自在に装着されている。
前記弧状媒介子62は、それの一端が小径側拡大翼8の押圧面60の移動経路内に突出する待機位置と、開拡位置に拡径揺動する小径側拡大翼8の押圧面60によって摺動ガイド溝61内に押し込まれた解除位置とに亘って摺動自在に構成されているとともに、前記弧状媒介子62を待機位置と解除位置とに選択的に係止保持する位置決め機構63が設けられている。
前記位置決め機構63を構成するに、図19、図21に示すように、前記翼取付け部4Aの中間部位4Bに、弧状媒介子62の摺動ガイド溝61に対して小径側拡大翼8の回転半径方向から連通する第1装着孔64が形成され、この第1装着孔64内には、位置決めボール65とこの位置決めボール65を弧状媒介子62側に移動付勢するコイルスプリング66を挿入するとともに、前記弧状媒介子62のうち、該弧状媒介子62が待機位置及び解除位置にあるときに第1装着孔64の開口と相対向する部位の各々には、位置決めボール65の一部が係入して弧状媒介子62を待機位置又は解除位置に保持するための円錐状の第1・第2位置決め用係止孔67,68が形成されている。
そして、前記弧状媒介子62が待機位置にあるときには、図19に示すように、中間部位4Bの第1装着孔64内の位置決めボール65がコイルスプリング66の弾性付勢力で弧状媒介子62の第1位置決め用係止孔67内に係入し、開拡位置に拡径揺動する小径側拡大翼8の押圧面60によって弧状媒介子62が押し込まれると、位置決めボール65がコイルスプリング66の弾性付勢力に抗して第1装着孔64内に退避し、更に、小径側拡大翼8が解除位置に到達して弧状媒介子62が解除位置に完全に押し込まれた状態では、図21に示すように、中間部位4Bの第1装着孔64と弧状媒介子62の第2位置決め用係止孔68が合致し、第1装着孔64内の位置決めボール65がコイルスプリング66の弾性付勢力で第2位置決め係止孔68内に係入する。
前記翼取付け部4Aの中間部位4Bには、図19、図21に示すように、弧状媒介子62の摺動ガイド溝61及び大径側拡大翼9の格納凹部15に対して小径側拡大翼8の回転半径方向から連通する第2装着孔69が貫通形成され、この第2装着孔69内には、嵌入子の一例である二個のロックボール70、71が、それの一部が第2装着孔69外に飛び出す状態で移動自在に装着するとともに、前記大径側拡大翼9の先端部のうち、該大径側拡大翼9が閉縮位置にあるときに第2装着孔69の開口と相対向する部位には、一方のロックボール70の一部が係入して大径側拡大翼9を閉縮位置に係止固定するための円錐状の係止孔72が形成されている。
次に、前記解除手段Eについて説明する。
図19、図21に示すように、前記弧状媒介子62のうち、該弧状媒介子62が解除位置にあるときに第2装着孔69の開口と相対向する部位には、他方のロックボール71の一部が移動可能な空間の一例である円錐状のロック解除孔73が形成されているとともに、他方のロックボール71の一部が弧状媒介子62のロック解除孔73に移入した状態では、一方のロックボール70が大径側拡大翼9の先端部の係止孔72から抜け出した状態、つまり、一方のロックボール70が第2装着孔69内に完全に移入した状態となり、拘束手段Cによる大径側拡大翼9の拘束が解除されるように構成されている。
前記開拡位置に拡径揺動する小径側拡大翼8の押圧面60によって弧状媒介子62が解除位置に押し込まれ、弧状媒介子62に形成されているロック解除孔73と翼取付け部4Aの中間部位4Bに形成されている第2装着孔69とが合致しても、第2装着孔69内の両ロックボール70、71にロック解除孔73側への移動力が作用していなければ、一方のロックボール70の一部が大径側拡大翼9の係止孔72に係入した状態にあるが、両ロックボール70、71にロック解除孔73側への移動力が付与されれば、一方のロックボール70は大径側拡大翼9の係止孔72から直ちに抜け出す実質的な解除状態にある。
尚、前記ロックボール70、71は3つ以上でもよい。
次に、上述の如く構成された掘削装置を用いた掘削方法について説明する。
第1実施形態の掘削方法と同様に、スクリューオーガAのスクリューロッド1の下端部に掘削ヘッド本体Bを固定連結し、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9の各々を閉縮位置に維持する(第1実施形態の図1参照)。
掘削前においては、図18に示すように、掘削ヘッド本体Bに装備されている小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9の各々は閉縮位置に、小径側拡大翼8と同じ第1揺動軸芯X1周りで摺動自在な弧状媒介子62は待機位置に夫々設定されているとともに、大径側拡大翼9は、拘束手段Cによって閉縮位置に拘束し、詳しくは、一方のロックボール70を大径側拡大翼9の係止孔72に嵌入させておく。
この状態でスクリューオーガAを正転駆動させて、掘削ヘッド本体Bの掘削刃物5により地盤を掘削し、所定の深度に到達して掘削穴の下端を拡大掘りするときには、スクリューオーガAを逆転駆動(矢印(ロ)方向)させる。
このとき、前記小径側拡大翼8は、スクリュー羽根4の翼取付け部4Aに対して第1揺動軸芯X1周りで拡径揺動自在に構成されているため、掘削ヘッド本体Bの逆転時に受ける土圧(土砂抵抗)により径方向外方に突出する開拡位置に拡径揺動するが、大径側拡大翼9は拘束手段Cによって閉縮位置に拘束されているため、掘削ヘッド本体Bの逆転時に土圧を受けても、大径側拡大翼9が拡径揺動することはない。
図19、図20に示すように、前記小径側拡大翼8の拡径揺動途中において、該小径側拡大翼8の押圧面60が待機位置にある弧状媒介子62の受圧面62aを押圧して、弧状媒介子62が押し込まれると、位置決めボール65がコイルスプリング66の弾性付勢力に抗して第1装着孔64内に退避し、更に、小径側拡大翼8が解除位置に到達して弧状媒介子62が解除位置に完全に押し込まれた状態では、中間部位4Bの第1装着孔64と弧状媒介子62の第2位置決め係止孔68が合致して、第1装着孔64内の位置決めボール65がコイルスプリング66の弾性付勢力で第2位置決め係止孔68内に係入する。
そして、図21に示すように、媒介子25が解除位置に到達した時点で、中間部位4Bの第2装着孔69と弧状媒介子62のロック解除孔73が合致し、第2装着孔69内の他方のロックボール71の一部が弧状媒介子62のロック解除孔73に移入可能となると同時に、一方のロックボール70が大径側拡大翼9の先端部の係止孔72から抜け出し可能となるため、大径側拡大翼9の拘束が解除される。
前記大径側拡大翼9の拘束が解除されても、小径側拡大翼8が開拡位置に維持されている状態では、第2の拘束手段Fとして小径側拡大翼8の係止部31が大径側拡大翼9の被係止部30に係合しているため、大径側拡大翼9の拡径揺動が阻止されている。
前記小径側拡大翼8が開拡位置に拡径揺動した状態では、小径側拡大翼8の拡大掘削用刃部8Aの先端回転軌跡が、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1よりも大となる中間拡大掘削径D2に構成されているため、掘削ヘッド本体Bを逆転駆動しながら上昇又は下降することにより、地盤の根固め球根部の形成箇所が中間拡大掘削径D2で拡大掘削される。
図22に示すように、前記小径側拡大翼8による拡大掘削工程が終了して、掘削ヘッド本体Bが正転駆動されると、小径側拡大翼8が掘削ヘッド本体Bの正転時(矢印(イ)方向)に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動し、その揺動途中で小径側拡大翼8の係止部31と大径側拡大翼9の被係止部30との係合が解除される。
しかし、この第2の拘束手段Fによる拘束が解除されても、大径側拡大翼9は、掘削ヘッド本体Bの正転時に受ける土圧により閉縮位置に維持される。
次に、図23に示すように、前記掘削ヘッド本体Bが逆転駆動されると、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9が掘削ヘッド本体Bの逆転時に受ける土圧により拡径揺動されるが、小径側拡大翼8の係止部31と大径側拡大翼9の被係止部30とは係合することがなく、小径側拡大翼8が第1ストッパー面16に当接した開拡位置に、かつ、大径側拡大翼9も第2ストッパー面17に当接した開拡位置に夫々拡径揺動される。
この状態では、一方のロックボール70が大径側拡大翼9の係止孔72から抜け出した拘束解除状態にある。
前記大径側拡大翼9が開拡位置に拡径揺動した状態では、大径側拡大翼9の拡大掘削用刃部9Aの先端回転軌跡が、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1及び小径側拡大翼8の中間拡大掘削径D2よりも大となる最大拡大掘削径D3に構成されているため、掘削ヘッド本体Bを逆転駆動しながら上昇又は下降することにより、地盤の根固め球根部形成箇所が最大拡大掘削径D3で拡大掘削される。
前記大径側拡大翼9による拡大掘削工程が終了すると、掘削ヘッド本体Bを正転駆動させ、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9を掘削ヘッド本体Bの正転時に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動させたのち、掘削ヘッド本体Bを地上まで引き上げる。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
(1)上述の第3実施形態の掘削装置において、小径側拡大翼8と大径側拡大翼9は、形状が同一のものを拡開角度を変えることによって掘削径を変えるようにしたものであってもよい。
(2)上述の第3実施形態の掘削装置を中掘り工法で実施してもよい。
(3)上述の第3実施形態の掘削装置では、拡大翼8,9をスクリュー羽根4の下部に取付けているが、スクリュー羽根4の上部又は掘削ロッド3に取付けてもよい。
(4)上述の第3実施形態の掘削装置は、三枚以上の拡大翼にも適用できる。
(5)上述の第3実施形態の掘削装置では、翼取付け部4Aの中間部位4Bに貫通形成された第2装着孔69内に、嵌入子の一例である二個のロックボール70、71を移動自在に装着してあるので、付勢用のスプリングが不要で部材点数を削減することができる。しかも、ロックボール70、71が移動する空間の配置だけで拘束、解除位置を設定でき、構造も極めて簡単である。
(6)上述の第3実施形態の掘削装置では、嵌入子の移動方向が水平なので、上下方向の土圧による部材の変形に伴う嵌入子の嵌入が妨げられ難く、拘束・解除動作が確実に作動する。
尚、嵌入子としてはボールに限らず、回転楕円体等を用いてもよい。
〔第4実施形態〕
上述の各実施形態では、前記掘削ヘッド本体Bに、先端側に拡大掘削用刃部8A,9Aを備えた掘削径の異なる二種類の拡大翼8,9を拡径揺動自在に枢着してある掘削装置について説明したが、図24〜図33に示すように、前記掘削ヘッド本体Bに、先端側に拡大掘削用刃部75A,76A,77Aを備えた拡径作動可能な掘削径の異なる三種類の拡大翼75,76,77を拡径揺動自在に設けて実施してもよい。
即ち、この第4実施形態の掘削装置では、前記掘削ヘッド本体Bのスクリュー羽根4の周方向二箇所に、先端側に拡大掘削用刃部75A,76A,77Aを備え、かつ、掘削ヘッド本体Bの下端部に設けられる掘削刃物5(第1実施形態の図1参照)による掘削径D1よりも大となる三種類の掘削径の異なる拡大翼75,76,77が、掘削ヘッド本体Bの回転軸芯Xと平行な同一円周上の第1・第2・第3揺動軸芯X1,X2,X3周りで夫々拡径揺動自在に枢着されているとともに、中径側拡大翼76の拡径作動を拘束する中径拘束手段C1と、大径側拡大翼77の拡径作動を拘束する大径拘束手段C2と、中径拘束手段C1による中径側拡大翼76の拘束を解除する中径解除手段E1と、大径拘束手段C2による大径側拡大翼77の拘束を解除する大径解除手段E2と、中径拘束手段C1が解除された際、拡径作動した小径側拡大翼75が中径側拡大翼76を係止して、中径側拡大翼76の拡径作動を拘束する第2の中径拘束手段F1と、大径拘束手段C2が解除された際、拡径作動した中径側拡大翼76が大径側拡大翼77を係止して、大径側拡大翼77の拡径作動を拘束する第2の大径拘束手段F2が設けられている。
前記スクリュー羽根4の翼取付け部4Aには、図24、図25に示すように、小径側拡大翼75の二股状の基端部75Bと中径側拡大翼76の二股状の基端部76B及び大径側拡大翼77の二股状の基端部77Bの各々が、枢支ボルト78・ナット79にて揺動自在に枢着されているとともに、小径側拡大翼75と中径側拡大翼76及び大径側拡大翼77の各々をスクリュー羽根4の回転軌跡内に入り込む閉縮位置に縮径揺動させるための格納凹部80,81、82が形成されている。
前記小径側拡大翼75が入り込む格納凹部80は、図24に示すように、掘削ヘッド本体Bの正転方向で揺動軸芯X1の上手側脇に形成されているとともに、中径側拡大翼76及び大径側拡大翼77が入り込む格納凹部81,82は、第1揺動軸芯X1と第2揺動軸芯X2との間及び第2揺動軸芯X2と第3揺動軸芯X3との間に形成されていて、小径側拡大翼75と中径側拡大翼76及び大径側拡大翼77の各々が、掘削ヘッド本体Bの正転時(矢印(イ)方向)に受ける土圧(土砂抵抗)により閉縮位置に縮径揺動し、掘削ヘッド本体Bの逆転時(矢印(ロ)方向)に受ける土圧(土砂抵抗)により径方向外方に突出する開拡位置に拡径揺動するように構成されている。
前記小径側拡大翼75が径方向外方に最大突出する開拡位置では、図26に示すように、小径側拡大翼75の拡大掘削用刃部75Aの先端回転軌跡が、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1よりも大となる最小拡大掘削径D4に構成されているとともに、前記中径側拡大翼76が径方向外方に最大突出する開拡位置では、図30に示すように、中径側拡大翼76の拡大掘削用刃部76Aの先端回転軌跡が、小径側拡大翼75の最小拡大掘削径D4よりも大となる中間拡大掘削径D5に構成され、更に、前記大径側拡大翼77が径方向外方に最大突出する開拡位置では、図33に示すように、大径側拡大翼77の拡大掘削用刃部77Aの先端回転軌跡が、中径側拡大翼76の中間拡大掘削径D5よりも大となる最大拡大掘削径D6に構成されている。
前記中径拘束手段C1と大径拘束手段C2は、第1実施形態で説明した拘束手段Cと同一構造に構成され、前記中径解除手段E1と大径解除手段E2は、第1実施形態で説明した解除手段Eと同一構造に構成され、更に、前記第2中径拘束手段F1と第2大径拘束手段F2は、第1実施形態で説明した第2の拘束手段Fと同一構造に構成されている。
そのため、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
次に、上述の如く構成された掘削装置を用いた掘削方法について説明する。
第1実施形態と同様に、スクリューオーガAのスクリューロッド1の下端部に掘削ヘッド本体Bを固定連結し、小径側拡大翼75と中径側拡大翼76及び大径側拡大翼77の各々を閉縮位置に維持する(第1実施形態の図1参照)。
掘削前においては、図24に示すように、前記中径側拡大翼76及び大径側拡大翼77の各々を中径拘束手段C1及び大径拘束手段C2によって閉縮位置に拘束する、つまり、中径側拡大翼76に装備されているロックピン22及び大径側拡大翼77に装備されているロックピン22の各々をスクリュー羽根4の翼取付け部4Aに形成されている係止孔20に嵌入させるとともに、前記小径側拡大翼75と同じ第1揺動軸芯X1周りで揺動自在な中径解除手段E1の媒介子25及び中径側拡大翼76と同じ第2揺動軸芯X2周りで揺動自在な大径解除手段E2の媒介子25は待機位置に夫々設定しておく。
この状態でスクリューオーガAを正転駆動(矢印(イ)方向)させて、掘削ヘッド本体Bの掘削刃物5により地盤を掘削し、所定の深度に到達して掘削穴の下端を拡大掘りするときには、スクリューオーガAを逆転駆動(矢印(ロ)方向)させる。
このとき、前記小径側拡大翼75は、図24、図25に示すように、スクリュー羽根4の翼取付け部4Aに対して第1揺動軸芯X1周りで拡径揺動自在に構成されているため、掘削ヘッド本体Bの逆転時(矢印(ロ)方向)に受ける土圧(土砂抵抗)により径方向外方に突出する開拡位置に拡径揺動するが、中径側拡大翼76及び大径側拡大翼77は中径拘束手段C1及び大径拘束手段C2によって閉縮位置に拘束されているため、掘削ヘッド本体Bの逆転時に土圧を受けても、中径側拡大翼76及び大径側拡大翼77が拡径揺動することはない。
図26、図27に示すように、前記小径側拡大翼75の拡径揺動途中で該小径側拡大翼75の押圧面75aが待機位置にある媒介子25の受圧面25aを押圧して、媒介子25が解除位置にまで強制的に押圧揺動させられ、この媒介子25が解除位置に到達した時点で、図28に示すように、媒介子25の第2装着孔26と翼取付け部4Aの係止孔20とが連通し、媒介子25に装備されているロック解除ピン27が翼取付け部4Aの係止孔20内に嵌入して、中径側拡大翼76のロックピン22が孔外のロック解除位置に押し出されるため、中径側拡大翼76の拘束が解除される。
前記中径側拡大翼76の拘束が解除されても、図26、図27に示すように、小径側拡大翼75が開拡位置にある状態では、第2中径拘束手段F1を構成する小径側拡大翼75の係止部31が中径側拡大翼76の被係止部30に係合しているため、中径側拡大翼76の拡径揺動が阻止されている。
前記小径側拡大翼75が開拡位置に拡径揺動した状態では、図26に示すように、小径側拡大翼75の拡大掘削用刃部75Aの先端回転軌跡が、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1よりも大となる最小拡大掘削径D4に構成されているため、掘削ヘッド本体Bを逆転駆動しながら上昇又は下降することにより、地盤の根固め球根部の形成箇所が最小拡大掘削径D4で拡大掘削される。
前記小径側拡大翼75による拡大掘削工程が終了して、図29に示すように、掘削ヘッド本体Bが正転駆動されると、小径側拡大翼75が掘削ヘッド本体Bの正転時(矢印(イ)方向)に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動し、その揺動途中で第2中径拘束手段F1による拘束が解除される、つまり、小径側拡大翼75の係止部31と中径側拡大翼76の被係止部30との係合が解除される。
しかし、この第2中径拘束手段F1による拘束が解除されても、中径側拡大翼76は、掘削ヘッド本体Bの正転時に受ける土圧により閉縮位置に維持される。
次に、図30に示すように、前記掘削ヘッド本体Bが逆転駆動されると、小径側拡大翼75及び中径側拡大翼76が掘削ヘッド本体Bの逆転時(矢印(ロ)方向)に受ける土圧により拡径揺動されるが、小径側拡大翼75の係止部31と中径側拡大翼76の被係止部30とは係合することがなく、小径側拡大翼75及び中径側拡大翼76が開拡位置に夫々拡径揺動される。
前記中径側拡大翼76の拡径揺動途中で該中径側拡大翼76の押圧面76aが待機位置にある媒介子25の受圧面25aを押圧して、媒介子25が解除位置にまで強制的に押圧揺動させられ、この媒介子25が解除位置に到達した時点で、図31に示すように、媒介子25の第2装着孔26と翼取付け部4Aの係止孔20とが連通し、媒介子25に装備されているロック解除ピン27が翼取付け部4Aの係止孔20内に嵌入して、大径側拡大翼77のロックピン22が孔外のロック解除位置に押し出されるため、大径側拡大翼77の拘束が解除される。
前記大径側拡大翼77の拘束が解除されても、図30に示すように、中径側拡大翼76が開拡位置にある状態では、第2大径拘束手段F2を構成する中径側拡大翼76の係止部31が大径側拡大翼77の被係止部30に係合しているため、大径側拡大翼77の拡径揺動が阻止されている。
前記中径側拡大翼76が開拡位置に拡径揺動した状態では、中径側拡大翼76の拡大掘削用刃部76Aの先端回転軌跡が、小径側拡大翼75の最小拡大掘削径D4よりも大となる中間拡大掘削径D5に構成されているため、掘削ヘッド本体Bを逆転駆動(矢印(ロ)方向)しながら上昇又は下降することにより、地盤の根固め球根部の形成箇所が中間拡大掘削径D5で拡大掘削される。
前記中径側拡大翼76による拡大掘削工程が終了して、図32に示すように、掘削ヘッド本体Bが正転駆動されると、小径側拡大翼75及び中径側拡大翼76が掘削ヘッド本体Bの正転時(矢印(イ)方向)に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動し、その揺動途中で第2大径拘束手段F2による拘束が解除される、つまり、中径側拡大翼76の係止部31と大径側拡大翼77の被係止部30との係合が解除される。
しかし、この第2大径拘束手段F2による拘束が解除されても、大径側拡大翼77は、掘削ヘッド本体Bの正転時に受ける土圧により閉縮位置に維持される。
次に、図33に示すように、前記掘削ヘッド本体Bが逆転駆動されると、小径側拡大翼75と中径側拡大翼76及び大径側拡大翼77が掘削ヘッド本体Bの逆転時(矢印(ロ)方向)に受ける土圧により拡径揺動されるが、小径側拡大翼75の係止部31と中径側拡大翼76の被係止部30及び、中径径側拡大翼76の係止部31と大径側拡大翼77の被係止部30とはそれぞれ係合することがなく、小径側拡大翼75と中径側拡大翼76及び大径側拡大翼77が開拡位置に夫々拡径揺動される。
前記大径側拡大翼77が開拡位置に拡径揺動した状態では、大径側拡大翼77の拡大掘削用刃部77Aの先端回転軌跡が、中径側拡大翼76の中間拡大掘削径D5よりも大となる最大拡大掘削径D6に構成されているため、掘削ヘッド本体Bを逆転駆動(矢印(ロ)方向)しながら上昇又は下降することにより、地盤の根固め球根部の形成箇所が最大拡大掘削径D6で拡大掘削される。
前記大径側拡大翼77による拡大掘削工程が終了すると、掘削ヘッド本体Bを正転駆動させ、小径側拡大翼75と中径側拡大翼76及び大径側拡大翼77を掘削ヘッド本体Bの正転時(矢印(イ)方向)に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動させたのち、掘削ヘッド本体Bを地上まで引き上げる。
(1)上述の第4実施形態の掘削装置において、小径側拡大翼8と大径側拡大翼9は、形状が同一のものを拡開角度を変えることによって掘削径を変えるようにしたものであってもよい。
(2)上述の第4実施形態の掘削装置を中掘り工法で実施してもよい。
(3)上述の第4実施形態の掘削装置では、拡大翼75,76,77をスクリュー羽根4の下部に取付けているが、スクリュー羽根4の上部又は掘削ロッド3に取付けてもよい。
(4)上述の第4実施形態の掘削装置は、四枚以上の拡大翼にも適用できる。
〔第5実施形態〕
上述の第1〜第3実施形態では、前記掘削ヘッド本体Bに、先端側に拡大掘削用刃部8A,9Aを備えた掘削径の異なる二種類の拡大翼8,9を、回転方向に所定間隔を置いて配設された第1・第2揺動軸芯X1,X2周りで各別に拡径揺動自在に枢着してある掘削装置について説明したが、図34〜図40に示すように、先端側に拡大掘削用刃部8A,9Aを備えた掘削径の異なる二種類の拡大翼8,9を、同一の揺動軸芯X4周りで各別に拡径揺動自在に枢着して実施してもよい。
即ち、この第5実施形態の掘削装置では、図34、図35に示すように、前記掘削ヘッド本体Bのスクリュー羽根4の翼取付け部4Aに、掘削ヘッド本体Bの掘削刃物5による掘削径D1よりも大なる二種類の掘削径に構成された拡大翼8,9が、小径側拡大翼8の下方に大径側拡大翼9が位置する状態で、かつ、掘削ヘッド本体Bの回転軸芯Xと平行な揺動軸芯X4周りで夫々拡径揺動自在に枢支ボルト84・ナット85にて枢着されているとともに、前記大径側拡大翼9の拡径作動を拘束する拘束手段Cと、この拘束手段Cによる大径側拡大翼9の拘束を解除する解除手段Eが設けられている。
前記小径側拡大翼8が径方向外方に突出した開拡位置では、図36に示すように、小径側拡大翼8の拡大掘削用刃部8Aの先端回転軌跡が、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1よりも大となる中間拡大掘削径D2に構成されているとともに、前記大径側拡大翼9が径方向外方に突出した開拡位置では、図40に示すように、大径側拡大翼9の拡大掘削用刃部9Aの先端回転軌跡が、小径側拡大翼8の中間拡大掘削径D2よりも大となる最大拡大掘削径D3に構成されている。
前記小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9の各々は、掘削ヘッド本体Bの正転時(図38の矢印(イ)方向)に受ける土圧(土砂抵抗)により揺動軸芯X4周りで閉縮位置に縮径揺動し、掘削ヘッド本体Bの逆転時(図36、図40の矢印(ロ)方向)に受ける土圧(土砂抵抗)により揺動軸芯X4周りで開拡位置に拡径揺動するように構成されている。
次に、前記拘束手段Cについて説明する。
図34、図35に示すように、前記スクリュー羽根4の翼取付け部4Aのうち、閉縮位置にある大径側拡大翼9の一部と重合する部位に、揺動軸芯X4と平行な係止孔86が貫通形成されているとともに、前記大径側拡大翼9の前記重合部位には、これが閉縮位置にあるとき、翼取付け部4Aの係止孔20と揺動軸芯X4と平行な方向から連通する第1装着孔87が貫通形成されている。
前記第1装着孔87内には、図35に示すように、翼取付け部4Aの係止孔86に対して下方側の開口を通して嵌入することにより、大径側拡大翼9を閉縮位置で係止固定する嵌入子の一例であるロックピン88と、このロックピン88を嵌入側(上方側)に移動付勢するコイルスプリング89が挿入されているとともに、第1装着孔87の下方側の挿入用開口には脱着自在な閉止栓90が装着されている。
次に、前記解除手段Eについて説明する。
図34〜図39に示すように、前記枢支ボルト84には、小径側拡大翼8と翼取付け部4Aの間を通して揺動軸芯X4周りで揺動自在な媒介子91が枢着され、その揺動範囲のうち、図36に示すように、開拡位置に拡径揺動した小径側拡大翼8と同じ向き姿勢で重合する一端側が待機位置に、図38に示すように、閉縮位置に縮径揺動した小径側拡大翼8と同じ向き姿勢で重合する他端側が解除位置に構成されている。
図38、図39に示すように、前記小径側拡大翼8において、これが閉縮位置にあるとき、翼取付け部4Aの係止孔86に対して揺動軸芯X4と平行な方向から相対向する部位には、媒介子91側に向かって開口する第2装着孔92が貫通形成され、この第2装着孔92内には、媒介子91に貫通形成された挿通孔93を通過して翼取付け部4Aの係止孔86に上方側から嵌入することにより、翼取付け部4Aの係止孔86に嵌入しているロックピン88を外部、つまりロック解除位置に押出し可能な嵌入子の一例であるロック解除ピン94と、このロック解除ピン94をロックピン88の嵌入付勢力よりも大なる弾性付勢力で嵌入付勢するロック解除用のコイルスプリング95が挿入されているとともに、前記第2装着孔92の上方側の挿入用開口には脱着自在な閉止栓96が装着されている。
図36、図37に示すように、前記小径側拡大翼8が開拡位置に拡径揺動したとき、この小径側拡大翼8の第2装着孔92と待機位置にある媒介子91の挿通孔93とが合致し、第2装着孔92内のロック解除ピン94の先端が媒介子91の挿通孔93内に嵌入するが、この挿通孔93を通過したロック解除ピン94の先端は翼取付け部4Aの上面に当接してそれ以上の移動は阻止され、小径側拡大翼8のロック解除ピン94と媒介子91の挿通孔93とが係合状態に維持されるように構成されている。
そして、図38、図39に示すように、前記小径側拡大翼8が閉縮位置に縮径揺動したとき、待機位置にある媒介子91が解除位置に一体的に揺動し、この媒介子91の挿通孔93と翼取付け部4Aの係止孔86とが合致するように構成されている。
次に、上述の如く構成された掘削装置を用いた掘削方法について説明する。
第1実施形態と同様に、スクリューオーガAのスクリューロッド1の下端部に掘削ヘッド本体Bを固定連結し、小径側拡大翼8と大径側拡大翼9の各々を閉縮位置に維持する(第1実施形態の図1参照)。
掘削前においては、図34、図35に示すように、掘削ヘッド本体Bに装備されている小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9の各々は閉縮位置に、両拡大翼8,9と同じ揺動軸芯X4周りで揺動自在な媒介子91は待機位置に夫々設定されているとともに、大径側拡大翼9は、拘束手段Cによって閉縮位置に拘束されている、つまり、大径側拡大翼9に装備されているロックピン88をスクリュー羽根4の翼取付け部4Aに形成されている係止孔86に嵌入させておく。
この状態でスクリューオーガAを正転駆動させて、掘削ヘッド本体Bの掘削刃物5により地盤を掘削し、所定の深度に到達して掘削穴の下端を拡大掘りするときには、スクリューオーガAを逆転駆動(矢印(ロ)方向)させる。
このとき、前記小径側拡大翼8は、図35、図36に示すように、スクリュー羽根4の翼取付け部4Aに対して揺動軸芯X4周りで拡径揺動自在に構成されているため、掘削ヘッド本体Bの逆転時に受ける土圧(土砂抵抗)により径方向外方に突出する開拡位置に拡径揺動するが、大径側拡大翼9は拘束手段Cによって閉縮位置に拘束されているため、掘削ヘッド本体Bの逆転時に土圧を受けても、大径側拡大翼9が拡径揺動することはない。
図36、図37に示すように、前記小径側拡大翼8が開拡位置に拡径揺動したとき、この小径側拡大翼8の第2装着孔92と待機位置にある媒介子91の挿通孔93とが合致し、第2装着孔92内のロック解除ピン94の先端が媒介子91の挿通孔93内に嵌入する。
前記小径側拡大翼8が開拡位置に拡径揺動した状態では、小径側拡大翼8の拡大掘削用刃部8Aの先端回転軌跡が、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1よりも大となる中間拡大掘削径D2に構成されているため、掘削ヘッド本体Bを逆転駆動しながら上昇又は下降することにより、地盤の根固め球根部の形成箇所が中間拡大掘削径D2で拡大掘削される。
前記小径側拡大翼8による拡大掘削工程が終了して、図38に示すように、掘削ヘッド本体Bが正転駆動されると、小径側拡大翼8が掘削ヘッド本体Bの正転時(矢印(イ)方向)に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動し、待機位置にある媒介子91が解除位置に小径側拡大翼8と一体的に揺動する。
そして、図39に示すように、媒介子91が解除位置に到達した時点で、媒介子91の挿通孔93と翼取付け部4Aの係止孔86とが合致するため、媒介子91の挿通孔93に嵌入していたロック解除ピン94が翼取付け部4Aの係止孔86内に嵌入して、この係止孔86内に嵌入していた大径側拡大翼9のロックピン88が孔外のロック解除位置に押し出されるため、大径側拡大翼9の拘束が解除される。
前記ロック解除ピン94とロックピン88はピン軸芯方向の中間位置に段差が形成されていて、嵌入深さが決定できる。
次に、図40に示すように、前記掘削ヘッド本体Bが逆転駆動されると、大径側拡大翼9が掘削ヘッド本体Bの逆転時(矢印(ロ)方向)に受ける土圧により拡径揺動され、大径側拡大翼9が開拡位置に維持されるが、前記小径側拡大翼8のロック解除ピン94が翼取付け部4Aの係止孔86内に嵌入しているため、小径側拡大翼8は閉縮位置に係止保持されている。
前記大径側拡大翼9が開拡位置に拡径揺動した状態では、大径側拡大翼9の拡大掘削用刃部9Aの先端回転軌跡が、小径側拡大翼8の中間拡大掘削径D2よりも大となる最大拡大掘削径D3に構成されているため、掘削ヘッド本体Bを逆転駆動しながら上昇又は下降することにより、地盤の根固め球根部形成箇所が最大拡大掘削径D3で拡大掘削される。
前記大径側拡大翼9による拡大掘削工程が終了すると、掘削ヘッド本体Bを正転駆動させ、大径側拡大翼9を掘削ヘッド本体Bの正転時に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動させたのち、掘削ヘッド本体Bを地上まで引き上げる。
(1)上述の第5実施形態の掘削装置において、小径側拡大翼8と大径側拡大翼9は、形状が同一のものを拡開角度を変えることによって掘削径を変えるようにしたものであってもよい。
(2)上述の第5実施形態の掘削装置を中掘り工法で実施してもよい。
(3)上述の第5実施形態の掘削装置では、拡大翼8,9をスクリュー羽根4の下部に取付けているが、スクリュー羽根4の上部又は掘削ロッド3に取付けてもよい。
(4)上述の第5実施形態の掘削装置は、三枚以上の拡大翼にも適用できる。
〔第6実施形態〕
上述各実施形態では、前記掘削ヘッド本体Bに、拡大掘削用刃部8A,9Bを備えた掘削径の異なる複数種類の拡大翼8,9を、掘削ヘッド本体Bの回転軸芯Xと平行な揺動軸芯X1,X2周りで各別に拡径揺動自在に枢着してある掘削装置について説明したが、図41〜図47に示すように、先端側に拡大掘削用刃部8A,9Aを備えた掘削径の異なる二種類の拡大翼8,9を、掘削ヘッド本体Bの回転軸芯Xに対して直交する第1・第2水平揺動軸芯Y1,Y2周りで各別に拡径揺動自在に枢支ボルト97・ナット98にて枢着して実施してもよい。
即ち、この第6実施形態の掘削装置では、図41、図42に示すように、前記掘削ヘッド本体Bの掘削ロッド3に固着された翼取付け部材99に、掘削ヘッド本体Bの掘削刃物5による掘削径D1よりも大なる二種類の掘削径に構成された拡大翼8,9の基端部8B,9Bが、大径側拡大翼9が小径側拡大翼8の下方に位置する状態で、かつ、掘削ヘッド本体Bの回転軸芯Xに対して直交する第1・第2水平揺動軸芯Y1,Y2周りで夫々拡径揺動自在に枢着されているとともに、前記大径の拡大翼9の拡径作動を拘束する拘束手段Cと、この拘束手段Cによる大径側拡大翼9の拘束を解除する解除手段Eと、前記拘束手段Cが解除された際、拡径作動した小径側拡大翼8が大径側拡大翼9を係止して、大径側拡大翼9の拡径作動を拘束する第2の拘束手段Fが設けられている。
図44に示すように、前記小径側拡大翼8が径方向外方に突出した開拡位置では、小径側拡大翼8の拡大掘削用刃部8Aの先端回転軌跡が、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1よりも大となる中間拡大掘削径D2に構成されているとともに、図47に示すように、前記大径側拡大翼9が径方向外方に突出した開拡位置では、大径側拡大翼9の拡大掘削用刃部9Aの先端回転軌跡が、小径側拡大翼8の中間拡大掘削径D2よりも大となる最大拡大掘削径D3に構成されている。
前記小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9の各々は、図46に示すように、掘削ヘッド本体Bの下降(下動)時に受ける土圧(土砂抵抗)により第1・第2水平揺動軸芯Y1,Y2周りで閉縮位置に縮径揺動し、図44、図47に示すように、掘削ヘッド本体Bの上昇(上動)時に受ける土圧(土砂抵抗)により第1・第2水平揺動軸芯Y1,Y2周りで開拡位置に拡径揺動するように構成されている。
次に、前記拘束手段Cについて説明する。
図41〜図45に示すように、前記掘削ロッド3に付設された翼取付け部材99のうち、閉縮位置にある大径側拡大翼9の先端部と重合する部位に、両水平揺動軸芯Y1,Y2と平行な係止孔100が貫通形成されているとともに、前記大径側拡大翼9の先端部には、これが閉縮位置にあるとき、翼取付け部材99の係止孔100と両水平揺動軸芯Y1,Y2と平行な方向から連通する第1装着孔101が貫通形成されている。
前記第1装着孔101内には、図42に示すように、翼取付け部材99の係止孔100に対して一方側の開口を通して嵌入することにより、大径側拡大翼9を閉縮位置で係止固定する嵌入子の一例であるロックピン102と、このロックピン102を嵌入側に移動付勢するコイルスプリング103が挿入されているとともに、第1装着孔101の挿入用開口には脱着自在な閉止栓104が装着されている。
次に、前記解除手段Eについて説明する。
図41〜図45に示すように、前記小径側拡大翼8を枢支する枢支ボルト97には、閉縮位置にある大径側拡大翼9の先端部と重合可能な先端部を備えた媒介子106が、大径側拡大翼9の先端部と重合する範囲内で揺動自在に枢着され、その揺動範囲のうち、大径側拡大翼9側から最も離れる一端が待機位置に、最も近接する他端が解除位置に構成されている。前記小径側拡大翼8において、前記小径側拡大翼8と媒介子106との揺動方向で相対向する部位には、小径側拡大翼8の閉縮位置から開拡位置への拡径揺動時に揺動方向から媒介子106の受圧面106aに当接して、待機位置にある媒介子106を解除位置にまで強制的に押圧揺動させるための押圧面8aが形成されている。
前記媒介子106の先端部には、図42、図45に示すように、該媒介子106が解除位置にあるとき、翼取付け部材99の係止孔100と両水平揺動軸芯Y1,Y2と平行な方向から連通する第2装着孔107が貫通形成され、この第2装着孔107内には、翼取付け部材99の係止孔100に対して他方側の開口を通して嵌入することにより、翼取付け部材99の係止孔100に嵌入しているロックピン102を外部、つまりロック解除位置に押出し可能な嵌入子の一例であるロック解除ピン108と、このロック解除ピン108をロックピン102の嵌入付勢力よりも大なる弾性付勢力で嵌入付勢するロック解除用のコイルスプリング109が挿入されているとともに、第2装着孔107の挿入用開口には脱着自在な閉止栓110が装着されている。
そして、根固め球根部の形成領域において、掘削ヘッド本体Bが上昇駆動されると、この掘削ヘッド本体Bの上昇時に受ける土圧(土砂抵抗)により、閉縮位置にあった小径側拡大翼8が開拡位置に拡径揺動し、その拡径揺動途中で小径側拡大翼8の押圧面8aが待機位置にある媒介子106の受圧面106aを押圧し、媒介子106が解除位置にまで強制的に押圧揺動される。
このとき、媒介子106の第2装着孔107内に挿入されているロック解除ピン108の先端は、翼取付け部材99の他方側の側面に沿って摺動するとともに、翼取付け部材99に形成されている係止孔100内には、大径側拡大翼9のロックピン102が嵌入して、大径側拡大翼9が閉縮位置に拘束されている。
前記媒介子106が解除位置に到達した時点で、図45に示すように、媒介子106の第2装着孔107と翼取付け部99の係止孔100とが連通し、媒介子106のロック解除ピン108が翼取付け部材99の係止孔100内に嵌入して、大径側拡大翼9のロックピン102が係止孔100外のロック解除位置に押し出されるため、大径側拡大翼9の拘束が解除される。
次に、前記第2の拘束手段Fについて説明する。
図41、図42に示すように、前記大径側拡大翼9の先端部に直角な被係止部111を形成するとともに、小径側拡大翼8には、これが開拡位置に拡径揺動し、かつ、大径側拡大翼9が閉縮位置にあるとき、大径側拡大翼9の先端揺動軌跡と交差する状態で径方向外方から被係止部111に係合する直角な係止部112が形成されている。
そのため、前記拘束手段Cが解除された状態で掘削ヘッド本体Bが上昇駆動されても、小径側拡大翼8が開拡位置にある状態では、小径側拡大翼8の係止部112が大径側拡大翼9の被係止部111に係合しているため、大径側拡大翼9の拡径揺動が阻止されている。
この状態で掘削ヘッド本体Bが下降駆動されると、小径側拡大翼8が掘削ヘッド本体Bの下降時に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動し、その揺動途中で小径側拡大翼8の係止部112と大径側拡大翼9の被係止部111との係合が解除される。
この第2の拘束手段Fによる拘束が解除されても、大径側拡大翼9は、掘削ヘッド本体Bの下降時に受ける土圧により閉縮位置に維持され、次に、掘削ヘッド本体Bが上昇駆動されたとき、大径側拡大翼9が掘削ヘッド本体Bの上昇時に受ける土圧により初めて開拡位置に拡径揺動することになる。
次に、上述の如く構成された掘削装置を用いた掘削方法について説明する。
本実施形態では中掘り工法に利用される。スクリューオーガAのスクリューロッド1の下端部に掘削ヘッド本体Bを固定連結し、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9の各々を閉縮位置に維持した状態で掘削ヘッド本体Bを中空杭33の中空部33aを挿通して該中空杭33の下端から突出させる。
この中空杭33への挿通前においては、図41、図42に示すように、掘削ヘッド本体Bに装備されている小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9の各々は閉縮位置に、小径側拡大翼8と同じ第1水平揺動軸芯Y1周りで揺動自在な媒介子106は待機位置に夫々設定されているとともに、大径側拡大翼9は、拘束手段Cによって閉縮位置に拘束されている、つまり、大径側拡大翼9に装備されているロックピン102を翼取付け部材99に形成されている係止孔100に嵌入させておく。
この状態でスクリューオーガAを正転駆動させて、掘削ヘッド本体Bの掘削刃物5により地盤を掘削し、所定の深度に到達して掘削穴の下端を拡大掘りするときには、スクリューオーガAを上昇駆動させる。
このとき、前記小径側拡大翼8は、掘削ヘッド本体Bの掘削ロッド3に付設された翼取付け部材99に対して第1水平揺動軸芯Y1周りで拡径揺動自在に構成されているため、図44に示すように、掘削ヘッド本体Bの上昇時に受ける土圧(土砂抵抗)により開拡位置に拡径揺動するが、大径側拡大翼9は拘束手段Cによって閉縮位置に拘束されているため、掘削ヘッド本体Bの上昇時に土圧を受けても、大径側拡大翼9が拡径揺動することはない。
図43、図44に示すように、前記小径側拡大翼8の拡径揺動途中で該小径側拡大翼8の押圧面8bが待機位置にある媒介子106の受圧面106aを押圧して、媒介子106が解除位置にまで強制的に押圧揺動させられる。
そして、図45に示すように、媒介子106が解除位置に到達した時点で、媒介子106の第2装着孔107と翼取付け部材99の係止孔100とが連通し、媒介子106に装備されているロック解除ピン108が翼取付け部材99の係止孔100内に嵌入して、大径側拡大翼9のロックピン102が孔外のロック解除位置に押し出されるため、大径側拡大翼9の拘束が解除される。
前記大径側拡大翼9の拘束が解除されても、小径側拡大翼8が開拡位置にある状態では、図44に示すように、小径側拡大翼8の係止部112が大径側拡大翼9の被係止部111に係合しているため、大径側拡大翼9の拡径揺動が阻止されている。
前記小径側拡大翼8が開拡位置に拡径揺動した状態では、小径側拡大翼8の拡大掘削用刃部8Aの先端回転軌跡が、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1よりも大となる中間拡大掘削径D2に構成されているため、掘削ヘッド本体Bの正転駆動と上昇により、地盤の根固め球根部の形成箇所が中間拡大掘削径D2で拡大掘削される。
前記小径側拡大翼8による拡大掘削工程が終了して、図46に示すように、掘削ヘッド本体Bが下降駆動されると、小径側拡大翼8が掘削ヘッド本体Bの下降時に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動し、その揺動途中で小径側拡大翼8の係止部112と大径側拡大翼9の被係止部111との係合が解除される。
しかし、この第2の拘束手段Fによる拘束が解除されても、大径側拡大翼9は、掘削ヘッド本体Bの下降時に受ける土圧により閉縮位置に維持される。
次に、図47に示すように、前記掘削ヘッド本体Bが上昇駆動されると、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9が掘削ヘッド本体Bの逆転時に受ける土圧により拡径揺動されるが、小径側拡大翼8の係止部112と大径側拡大翼9の被係止部111とは係合することがなく、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9が開拡位置に夫々拡径揺動される。
前記大径側拡大翼9が開拡位置に拡径揺動した状態では、大径側拡大翼9の拡大掘削用刃部9Aの先端回転軌跡が、小径側拡大翼8の中間拡大掘削径D2よりも大となる最大拡大掘削径D3に構成されているため、掘削ヘッド本体Bの正転駆動と上昇により、地盤の根固め球根部形成箇所が最大拡大掘削径D3で拡大掘削される。
前記拡大翼8,9が拡開を上下動で行い、掘削は正回転のみで行う。他の実施形態のように、逆転時にスクリュー羽根2に詰まった土砂が下がってこず、拡大掘削を確実に行うことができる。
前記掘削ヘッドを引き抜く際には、掘削ヘッド本体Bを下降させ、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9を閉縮させた後、中空杭33を下降させて小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9を覆い、それらの拡開を防止して中空杭33から引き抜く。
(1)上述の第6実施形態の掘削装置において、小径側拡大翼8と大径側拡大翼9は、形状が同一のものを拡開角度を変えることによって掘削径を変えるようにしたものであってもよい。
(2)上述の第6実施形態の掘削装置では、拡大翼8,9を掘削ロッド3に取付けているが、スクリュー羽根4に取付けてもよい。
(3)上述の第6実施形態の掘削装置は、三枚以上の拡大翼にも適用できる。
〔第7実施形態〕
図48は、上述の第3実施形態で説明した掘削装置の構成要素のうち、前記弧状媒介子62を待機位置と解除位置とに選択的に係止保持する位置決め機構63の改良を示し、翼取付け部4Aの中間部位4Bに形成される第1装着孔64と弧状媒介子62に形成される第1・第2位置決め用係止孔67,68を、弧状媒介子62が待機位置にある場合でも第2位置決め用係止孔68が摺動ガイド溝61に臨む中間部位4Bの摺動ガイド面4dで覆われる部位に配置したものである。
この実施形態の場合、前記弧状媒介子62が待機位置及び解除位置の何れにある場合でも、摺動ガイド溝61に開口する第1・第2位置決め用係止孔67,68が中間部位4Bの摺動ガイド面4dで覆われているので、第2位置決め用係止孔68に土砂等の異物が入り込むことに起因する作動不良を防止することができる。
尚、その他の構成は、第3実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
〔第8実施形態〕
上述の第3実施形態で説明した掘削装置の構成要素のうち、大径の拡大翼9の拡径作動を拘束する拘束手段Cと、この拘束手段Cによる大径側拡大翼9の拘束を解除する解除手段Eの別実施形態を示し、そのうち、前記拘束手段Cは次の如く構成されている。
図49、図50に示すように、前記スクリュー羽根4の翼取付け部4Aのうち、小径側拡大翼8の基端部8Bと格納凹部15内に入り込んだ閉縮位置にある大径側拡大翼9の先端部との間に位置する中間部位4Bに、小径側拡大翼8の基端部8Bに形成された回転半径方向に沿う押圧面60に向かって開口する摺動ガイド溝61が、第1揺動軸芯X1を半径中心とする円弧状に形成され、この摺動ガイド溝61内には、小径側拡大翼8の押圧面60の移動経路内に突出可能な弧状の媒介子62が摺動自在に装着されている。
前記弧状媒介子62は、それの一端が小径側拡大翼8の押圧面60の移動経路内に突出する待機位置と、開拡位置に拡径揺動する小径側拡大翼8の押圧面60によって摺動ガイド溝61内に押し込まれた解除位置とに亘って摺動自在に構成されているとともに、前記弧状媒介子62を待機位置と解除位置とに選択的に係止保持する位置決め機構63が設けられている。
前記位置決め機構63を構成するに、前記翼取付け部4Aの中間部位4Bに、弧状媒介子62の摺動ガイド溝61に対して小径側拡大翼8の回転半径方向から連通する第1装着孔64が形成され、この第1装着孔64内には、位置決めボール65とこの位置決めボール65を弧状媒介子62側に移動付勢するコイルスプリング66を挿入するとともに、前記弧状媒介子62のうち、該弧状媒介子62が待機位置及び解除位置にあるときに第1装着孔64の開口と相対向する部位の各々には、位置決めボール65の一部が係入して弧状媒介子62を待機位置又は解除位置に保持するための円錐状の第1・第2位置決め係止孔67,68が形成されている。
前記翼取付け部4Aの中間部位4Bには、弧状媒介子62の摺動ガイド溝61及び大径側拡大翼9の格納凹部15に対して小径側拡大翼8の回転半径方向から連通する係止孔115が貫通形成されているとともに、前記大径側拡大翼9の先端部には、該大径側拡大翼9が閉縮位置にあるとき、係止孔115に対して前記回転半径方向から連通する第2装着孔116が形成され、この第2装着孔116内には、中間部位4Bの係止孔115の一方側の開口を通して嵌入することにより大径側拡大翼9を閉縮位置で係止固定する嵌入子の一例であるロックピン117と、このロックピン117を嵌入側に移動付勢するコイルスプリング118が装着されている。
次に、前記解除手段Eについて説明する。
図49、図50に示すように、前記弧状媒介子62には、該弧状媒介子62が解除位置にあるときに係止孔115と前記回転半径方向から連通する第3装着孔119が貫通形成され、この第3装着孔119内には、翼取付け部4Aの係止孔115に対して他方側の開口を通して嵌入することにより、翼取付け部4Aの係止孔115に嵌入しているロックピン117を外部、つまり第2装着孔116内のロック解除位置に押出し可能な嵌入子の一例であるロック解除ピン120と、このロック解除ピン120をロックピン117の嵌入付勢力よりも大なる弾性付勢力で嵌入付勢するロック解除用のコイルスプリング121が挿入されている。
尚、その他の構成は、第3実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
〔第9実施形態〕
図51〜図59は、先端側に拡大掘削用刃部8A,9Aを備えた掘削径の異なる二種類の拡大翼8,9を、同一の揺動軸芯X4周りで各別に拡径揺動自在に枢着してある第5実施形態の掘削装置の改良を示す。
即ち、この第9実施形態の掘削装置では、図51〜図53に示すように、前記掘削ヘッド本体Bのスクリュー羽根4の翼取付け部4Aに、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1よりも大なる二種類の掘削径に構成された拡大翼8,9が、小径側拡大翼8の下方に大径側拡大翼9が位置する状態で、かつ、掘削ヘッド本体Bの回転軸芯Xと平行な揺動軸芯X4周りで夫々拡径揺動自在に枢支ボルト84・ナット85にて枢着されているとともに、前記大径側拡大翼9の拡径作動を拘束する拘束手段Cと、この拘束手段Cによる大径側拡大翼9の拘束を解除する解除手段Eが設けられている。
前記小径側拡大翼8が径方向外方に突出した開拡位置では、図54に示すように、小径側拡大翼8の拡大掘削用刃部8Aの先端回転軌跡が、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1よりも大となる中間拡大掘削径D2に構成されているとともに、前記大径側拡大翼9が径方向外方に突出した開拡位置では、図58に示すように、大径側拡大翼9の拡大掘削用刃部9Aの先端回転軌跡が、小径側拡大翼8の中間拡大掘削径D2よりも大となる最大拡大掘削径D3に構成されている。
前記小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9の各々は、掘削ヘッド本体Bの正転時(図56の矢印(イ)方向)に受ける土圧(土砂抵抗)により揺動軸芯X4周りで閉縮位置に縮径揺動し、掘削ヘッド本体Bの逆転時(図54、図58の矢印(ロ)方向)に受ける土圧(土砂抵抗)により揺動軸芯X4周りで開拡位置に拡径揺動するように構成されている。
また、図52、図53に示すように、前記掘削ヘッド本体Bの翼取付け部4Aに固定された枢支ボルト84には、大径側拡大翼9の基端側に形成された上向き開口の筒状基端部9D内に入り込む筒状ケース126が固着され、この筒状ケース126内には、小径側拡大翼8の基端側に形成された下向き開口の筒状基端部8Dが入り込み配置されているとともに、前記筒状ケース126には、大径側拡大翼9の筒状基端部9Dの開口周縁との間及び小径側拡大翼8の筒状基端部8Dの外周面との間を夫々相対回転可能な状態で密封するカバー127がボルト145で締め付け固定され、更に、前記筒状ケース126の円筒状壁部126Aの内周面と小径側拡大翼8の筒状基端部8Dにおける円筒状壁部8dの外周面との間の密封空間内には、揺動軸芯X4周りで相対回転自在な円環状の媒介子128が介装されている。
次に、前記拘束手段Cについて説明する。
図52、図53に示すように、前記筒状ケース126の円筒状壁部126Aには、大径側拡大翼9の筒状基端部9Dの内周面と円環状媒介子128の外周面に対して揺動軸芯X4を中心とする回転半径方向から開口する係止孔129が貫通形成されているとともに、前記大径側拡大翼9の筒状基端部9Dには、該大径側拡大翼9が閉縮位置にあるとき、筒状ケース126の係止孔129に対して揺動軸芯X4を中心とする回転半径方向から連通する第1装着孔130が貫通形成されている。
前記第1装着孔130内には、筒状ケース126の係止孔129に対して前記回転半径方向の外方側から嵌入することにより、大径側拡大翼9を閉縮位置で係止固定する嵌入子の一例であるロックピン131と、このロックピン131を嵌入側に移動付勢するコイルスプリング132が挿入されているとともに、第1装着孔130の回転半径方向外方側の挿入用開口には脱着自在な閉止栓133が装着されている。
次に、前記解除手段Eについて説明する。
図52、図53に示すように、前記円環状媒介子128の内周面には、小径側拡大翼8側の円筒状壁部8dの外周面に突設された連動突起134が係合して、小径側拡大翼8の開拡位置への拡径揺動に連動して円環状媒介子128を待機位置から解除位置に回動させ、かつ、円環状媒介子128が解除位置にあるとき、小径側拡大翼8の閉縮位置への縮径揺動を許容する係合長溝135が形成されているとともに、前記円環状媒介子128には、これが解除位置にあるとき、筒状ケース126の係止孔129に対して前記回転半径方向の内方側から連通する第2装着孔136が貫通形成されている。
この円環状媒介子128の第2装着孔136内には、筒状ケース126の係止孔129に対して回転半径方向の内方側から嵌入することにより、該係止孔129に嵌入しているロックピン131を外部、つまり第1装着孔130内のロック解除位置に押出し可能な嵌入子の一例であるロック解除ピン137と、このロック解除ピン137を回転半径方向内方側から押圧可能な押圧ピン138と、この押圧ピン138を介してロック解除ピン137をロックピン131の嵌入付勢力よりも大なる弾性付勢力で嵌入付勢するロック解除用のコイルスプリング139が挿入されているとともに、前記第2装着孔136の回転半径方向内方側の挿入用開口には脱着自在な閉止栓140が装着されている。
更に、前記小径側拡大翼8の筒状基端部8Dにおける円筒状壁部8dには、円環状媒介子128の外周面と筒状ケース126の円筒状壁部126Aの内周面との間を揺動軸芯X4周りで回動可能で、かつ、円環状媒介子128の第2装着孔136の回転半径方向外方側に位置して、第2装着孔136内のロック解除ピン137が突出移動することを接当阻止することが可能な媒介子の一例である牽制部材141が一体的に設けられている。
そして、前記小径側拡大翼8の開拡位置への拡径揺動に伴って牽制部材141が一体的に回動して、解除位置に回動された円環状媒介子128の第2装着孔136と筒状ケース126の係止孔129との間に位置することにより、ロック解除ピン137による解除作用を遮断するように構成されているとともに、前記小径側拡大翼8の閉縮位置への縮径揺動に伴う牽制部材141の回動によって、該牽制部材141が第2装着孔136と係止孔129との間を抜け出した瞬間にロック解除ピン137による解除作用が行われるように構成されている。
また、前記拘束手段Cが解除手段Eによって拘束解除された状態で掘削ヘッド本体Bが逆転駆動され、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9の各々が逆転時に受ける土圧(土砂抵抗)により揺動軸芯X4周りで開拡位置に拡径揺動されたとき、小径側拡大翼8と一体回動する牽制部材141が、ロック解除ピン137と押圧ピン138との間に移入して、ロック解除ピン137をロック解除位置に維持したまま押圧ピン138のみをコイルスプリング139の付勢力に抗して円環状媒介子128の第2装着孔136内に押し込み移動させるように構成されている。
更に、図52、図53に示すように、前記筒状ケース126の円筒状壁部126Aの内周面には、円環状媒介子128の外周面に突設された規制突起142が係合して、円環状媒介子128の回動範囲を待機位置と解除位置との間に規制する回動範囲規制溝143が形成されている。
また、図52に示すように、前記枢支ボルト84と小径側拡大翼8の筒状基端部8D及び大径側拡大翼9の筒状基端部9Dとの間、カバー127と小径側拡大翼8の筒状基端部8D及び大径側拡大翼9の筒状基端部9Dとの間の各々にシール材146が設けられている。
次に、上述の如く構成された掘削装置を用いた掘削方法について説明する。
第1実施形態と同様に、スクリューオーガAのスクリューロッド1の下端部に掘削ヘッド本体Bを固定連結し、小径側拡大翼8と大径側拡大翼9の各々を閉縮位置に維持する。
掘削前においては、図51〜図53に示すように、掘削ヘッド本体Bに装備されている小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9の各々は閉縮位置に、両拡大翼8,9と同じ揺動軸芯X4周りで揺動自在な円環状媒介子128は待機位置に夫々設定されているとともに、大径側拡大翼9は、拘束手段Cによって閉縮位置に拘束されている、つまり、大径側拡大翼9の筒状基端部9Dの第1装着孔130に装備されているロックピン131を翼取付け部4A側の筒状ケース126に形成されている係止孔129に嵌入させておく。
この状態でスクリューオーガAを正転駆動させて、掘削ヘッド本体Bの掘削刃物5により地盤を掘削し、所定の深度に到達して掘削穴の下端を拡大掘りするときには、スクリューオーガAを逆転駆動(矢印(ロ)方向)させる。
このとき、前記小径側拡大翼8は、図52〜図54に示すように、スクリュー羽根4の翼取付け部4Aに対して揺動軸芯X4周りで拡径揺動自在に構成されているため、掘削ヘッド本体Bの逆転時に受ける土圧(土砂抵抗)により径方向外方に突出する開拡位置に拡径揺動するが、大径側拡大翼9は拘束手段Cによって閉縮位置に拘束されているため、掘削ヘッド本体Bの逆転時に土圧を受けても、大径側拡大翼9が拡径揺動することはない。
図54、図55に示すように、前記小径側拡大翼8が開拡位置に拡径揺動したとき、この小径側拡大翼8の拡径揺動に連動して待機位置にある円環状媒介子128が解除位置に押圧回動され、この円環状媒介子128の第2装着孔136と筒状ケース126の係止孔129とが回転半径方向で合致するが、小径側拡大翼8と一体回転する牽制部材141が一体的に回動して、円環状媒介子128の第2装着孔136と筒状ケース126の係止孔129との間に位置することにより、ロック解除ピン137による解除作用を遮断している。
前記小径側拡大翼8が開拡位置に拡径揺動した状態では、小径側拡大翼8の拡大掘削用刃部8Aの先端回転軌跡が、掘削ヘッド本体Bの掘削径D1よりも大となる中間拡大掘削径D2に構成されているため、掘削ヘッド本体Bの逆転駆動と上昇又は下降により、地盤の根固め球根部の形成箇所が中間拡大掘削径D2で拡大掘削される。
前記小径側拡大翼8による拡大掘削工程が終了して、図56、図57に示すように、掘削ヘッド本体Bが正転駆動されると、小径側拡大翼8が掘削ヘッド本体Bの正転時(矢印(イ)方向)に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動し、円環状媒介子128の第2装着孔136と筒状ケース126の係止孔129との間に入り込んだ解除遮断位置にある牽制部材141が待機位置に小径側拡大翼8と一体的に揺動する。
そして、前記牽制部材141が第2装着孔136と係止孔129との間を抜け出した瞬間、円環状媒介子128の第2装着孔136内のロック解除ピン137が筒状ケース126の係止孔129内に嵌入して、この係止孔129内に嵌入していた大径側拡大翼9側のロックピン131が外部、つまり第1装着孔130内のロック解除位置に押し出されるため、大径側拡大翼9の拘束が解除される。
次に、図58、図59に示すように、前記掘削ヘッド本体Bが逆転駆動されると、前記小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9が掘削ヘッド本体Bの逆転時(矢印(ロ)方向)に受ける土圧によりそれぞれ拡径揺動され、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9が開拡位置に維持される。
前記大径側拡大翼9が開拡位置に拡径揺動した状態では、大径側拡大翼9の拡大掘削用刃部9Aの先端回転軌跡が、小径側拡大翼8の中間拡大掘削径D2よりも大となる最大拡大掘削径D3に構成されているため、掘削ヘッド本体Bの逆転駆動と上昇又は下降により、地盤の根固め球根部形成箇所が最大拡大掘削径D3で拡大掘削される。
前記大径側拡大翼9による拡大掘削工程が終了すると、掘削ヘッド本体Bを正転駆動させ、小径側拡大翼8及び大径側拡大翼9を掘削ヘッド本体Bの正転時に受ける土圧により閉縮位置に縮径揺動させたのち、掘削ヘッド本体Bを地上まで引き上げる。
この第9実施形態の掘削装置では、土砂が係止孔129、第1装着孔130、係合長溝135、第2装着孔136、回動範囲規制溝143内に入り込まないので、誤作動を防止することができる。
更に、部材間に図52に示すようなシール材146が設けられていれば、防水が可能となり、錆が発生し難くなり、耐久性が向上する。
(1)上述の第9実施形態の掘削装置において、小径側拡大翼8と大径側拡大翼9は、形状が同一のものを拡開角度を変えることによって掘削径を変えるようにしたものであってもよい。
(2)上述の第9実施形態の掘削装置では、拡大翼8,9をスクリュー羽根4の下部に取付けているが、スクリュー羽根4の上部又は掘削ロッド3に取付けてもよい。
(3)上述の第9実施形態の掘削装置は、三枚以上の拡大翼にも適用できる。
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、前記掘削ヘッド本体Bの所定動作である正転・逆転の組合せ又は上昇・下降の組合せにより、前記拘束手段Cによる大径側拡大翼9の拘束を解除するように解除手段Eを構成したが、遠隔操作可能なアクチュエータで拘束手段Cによる大径側拡大翼9の拘束を解除するように解除手段Eを構成してもよい。
(2)前記拘束手段Cとしては、大径側拡大翼の拡径作動を拘束することのできるものであれば如何なる構造のものを採用してもよく、更に、この拘束手段Cによる大径側拡大翼の拘束を解除することのできるものであれば如何なる構造のものを採用してもよい。