JP2006298790A - イソホロンウレタン(アルキル)アクリレート化合物類の貯蔵方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、耐熱性や耐薬品性などが向上した透明部材に適した架橋性メタクリル樹脂などに用いるイソホロンウレタン(アルキル)アクリレート化合物類の貯蔵方法に関する。
メタクリル樹脂(以下PMMAと略記)は、優れた透明性および耐候性を有し機械的物性とのバランスがとれていることからグレージングやカーポートなどの建材、自動販売機前面版、店舗用看板や大型水槽などのディスプレイ、液晶用導光板、ゲーム器周辺部材、照明カバーなどの照明器具部材、バスタブなどのサニタリー部材、自動車用透明部材、などとして用いられている。また、各種の光学レンズやプロジェクターのスクリーンなどの光学部材としても用いられるなどPMMAの用途は多様化している。
これに併せてPMMAに対する物性改善の要求も強く、PMMA本来の優れた透明性を損なうことなく、耐熱性、剛性、および耐薬品性などを向上させる添加剤が求められている。本発明者らはこのような添加剤としてイソホロンウレタン(アルキル)アクリレート化合物が有用であることを見出し、先に出願した(特許文献1を参照。)。
一般にアルキルアクリル基やアクリル基を有する化合物はラジカル重合を起こし易いことから、重合を抑制するため、これら化合物に重合禁止剤を添加して貯蔵する方法及びこれら化合物を25℃以下の低温に保持して貯蔵する方法などは公知である。
国際公開第2004/108778号パンフレット
本発明者等は、特定構造のイソホロンウレタン(アルキル)アクリレート化合物を添加してPMMAの物性改善を検討する過程で、該化合物を5℃付近で貯蔵していたところ、該化合物自体は重合しないが、5℃付近で1〜3ヶ月程度貯蔵した該化合物が結晶化を起こし白濁した塊状となること、更には、この結晶化したイソホロンウレタン(アルキル)アクリレート化合物はメタクリル酸メチルに添加する際の操作性が悪く、かつメタクリル酸メチルに均一に溶解し難いなどの問題があることを見出した。
したがって、本発明は特定構造のイソホロンウレタン(アルキル)アクリレート化合物の貯蔵方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決する為に鋭意検討した結果、特定構造のイソホロンウレタン(アルキル)アクリレート化合物は0℃を超え10℃未満の温度領域で結晶化を起こし易いこと、また、保存する温度を0℃以下あるいは10℃以上に設定することで前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、一般式(1)
(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で表される化合物を、−30℃〜0℃もしくは10℃〜60℃の温度範囲に保持する、一般式(1)で表される化合物の貯蔵方法に関するものである。
本発明によれば、一般式(1)で表される化合物を結晶化させず、かつ長期間安定に貯蔵する方法を提供することができる。
本発明の貯蔵方法は、一般式(1)
(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で表される化合物を、−30℃〜0℃もしくは10℃〜60℃の温度範囲に保持することを特徴とする。
一般式(1)中のR1、R2、R3及びR4はそれぞれ、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
一般式(1)で表される化合物としては、例えば、5,5−トリメチル1−[(1−メタクリルロイルオキシプロパン−2−イルカルバモイルメチル)]−3−(1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサン、1,5,5−トリメチル1−[(1−メタクリルロイルオキシエチル−2−イルカルバモイルメチル)]−3−(1−メタクリロイルオキシエチル−2−イル)カルバモイルシクロヘキサン、1,5,5−トリメチル1−[(1−アクリルロイルオキシプロパン−2−イルカルバモイルメチル)]−3−(1−アクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサン、1,5,5−トリメチル1−[(1−メタクリルロイルオキシプロパン−2−イルカルバモイルメチル)]−3−(1−アクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサンなどが挙げられる。
一般式(1)で表される化合物として、R1とR3が水素原子であり、かつR2とR4がメチル基である化合物及び、R1、R2、R3及びR4の全てがメチル基である化合物は好ましい化合物である。
一般式(1)で表される化合物の製造方法に制限はないが、例えば、特開昭51−19601号公報および国際公開第2004/108778号に記載された方法に準じて製造することができる。これらの製造方法に準じて製造することにより、一般式(1)で表される化合物が25℃で高粘稠な液体として得られる。特開昭51−19601号公報および国際公開第2004/108778号に記載された方法で一般式(1)で表される化合物を製造する場合は、その製造に重合禁止剤を使用するため、重合禁止剤を含有する最終製品(一般式(1)で表される化合物)が得られる。
一般式(1)で表される化合物は、−30℃〜0℃もしくは10℃〜60℃で貯蔵する。貯蔵温度は、好ましくは−20℃〜−5℃もしくは15℃〜30℃である。貯蔵温度が−30℃以上であると冷却能力の大きな設備が必要でなくなる点で好ましく、また60℃以下であると重合禁止剤を共存させなくても重合しない点で好ましい。
一般式(1)で表される化合物を貯蔵する際の貯蔵容器及び貯蔵容器内の雰囲気に特に制限はない。一般的なアクリレート化合物類やアルキルアクリレート化合物類を貯蔵するために使用されている貯蔵容器及び貯蔵雰囲気で貯蔵することができる。
貯蔵容器としては、例えば、褐色のガラス瓶、ポリ容器、ドラム缶などが挙げられる。
貯蔵容器内の雰囲気としては、例えば、空気雰囲気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンなどの不活性気体雰囲気などが挙げられる。
一般式(1)で表される化合物を貯蔵する際の貯蔵容器内の圧力は、何ら制限されることはないが貯蔵容器および貯蔵装置を考慮し、大気圧が好ましい。
一般式(1)で表される化合物を貯蔵するに際しては、一般式(1)で表される化合物と重合禁止剤とを混合した混合物として貯蔵することもできる。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−ベンゾキノン、3,5−ジ−tert−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、2,2´−ジメチル−5,5´−ジ−tert−ブチル−4,4´−ジヒドロキシフェニルチオエーテル(WXR)、p−メトキシフェノール(MEHQ)、tert−ブチルカテコール、6−tret−ブチル−2,4−キシレノール(TBX)、β−ナフトール、ピロガロール、ニトロベンゼンなどが挙げられる。これらの重合禁止剤は製造時に使用した場合の重合禁止剤と同一あるいは異なる重合禁止剤を用いてもよく、1種もしくは2種以上を混合して用いてもよい。
重合禁止剤の使用量は、一般式(1)で表される化合物に対して0.0001〜1重量%である。
前記のように重合禁止剤を一般式(1)で表される化合物を製造する際に使用する場合、最終的に得られる製品中の重合禁止剤の含有量が一般式(1)で表される化合物に対して0.0001〜1重量%であれば、あえて重合禁止剤を添加する必要はない。
一般式(1)で表される化合物と重合禁止剤との混合物の調製方法に制限はなく、例えば、一般式(1)で表される化合物に重合禁止剤を添加し、重合禁止剤が液状の一般式(1)で表される化合物に溶解した混合物を得る方法を好ましいものとして挙げることができる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
なお分析の対象とした化合物の純度および量の確認は液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」と略記する)分析に依った。
なお分析の対象とした化合物の純度および量の確認は液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」と略記する)分析に依った。
イソホロンジイソシアナート133.4gとジブチルチンジラウレート0.13gおよび3,5−ジ−tert−ブチルヒドロキシトルエン(以下BHTと略記する)0.08gをフラスコに仕込み、70℃に加温した後に、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート173.0gを同温度で4時間かけて滴下装入した。同温度で3時間熟成を行い、純度99.5%、BHT含有量260ppmの1,5,5−トリメチル1−[(1−メタクリルロイルオキシプロパン−2−イルカルバモイルメチル)]−3−(1−メタクリロイ−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサンを304.2g得た。
得られた1,5,5−トリメチル1−[(1−メタクリルロイルオキシプロパン−2−イルカルバモイルメチル)]−3−(1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサンを窒素雰囲気下、25℃で貯蔵したところ1年間経過しても結晶化は起きず、1,5,5−トリメチル1−[(1−メタクリルロイルオキシプロパン−2−イルカルバモイルメチル)]−3−(1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサンの純度およびBHT含有量も変化はなかった。
実施例1と同様に反応を行い、得られた1,5,5−トリメチル1−[(1−メタクリルロイルオキシプロパン−2−イルカルバモイルメチル)]−3−(1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサンを窒素雰囲気下、−20℃で貯蔵したところ10ヶ月間経過しても結晶化は起きず、1,5,5−トリメチル1−[(1−メタクリルロイルオキシプロパン−2−イルカルバモイルメチル)]−3−(1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサンの純度およびBHT含有量も変化はなかった。
実施例1と同様に反応を行い、得られた1,5,5−トリメチル1−[(1−メタクリルロイルオキシプロパン−2−イルカルバモイルメチル)]−3−(1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサンを空気雰囲気下、40℃で貯蔵したところ8ヶ月経過しても結晶化は起きず、1,5,5−トリメチル1−[(1−メタクリルロイルオキシプロパン−2−イルカルバモイルメチル)]−3−(1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサンの純度およびBHT含有量も変化はなかった。
〔比較例1〕
実施例1と同様に反応を行い、得られた1,5,5−トリメチル1−[(1−メタクリルロイルオキシプロパン−2−イルカルバモイルメチル)]−3−(1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサンを窒素雰囲気下、5℃で貯蔵したところ1,5,5−トリメチル1−[(1−メタクリルロイルオキシプロパン−2−イルカルバモイルメチル)]−3−(1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサンの純度およびBHT量に変化はないものの2.5ヶ月で白濁した塊状になり結晶化した。
実施例1と同様に反応を行い、得られた1,5,5−トリメチル1−[(1−メタクリルロイルオキシプロパン−2−イルカルバモイルメチル)]−3−(1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサンを窒素雰囲気下、5℃で貯蔵したところ1,5,5−トリメチル1−[(1−メタクリルロイルオキシプロパン−2−イルカルバモイルメチル)]−3−(1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサンの純度およびBHT量に変化はないものの2.5ヶ月で白濁した塊状になり結晶化した。
本発明の貯蔵方法は、一般式(1)で表される化合物を容易に結晶化を起こさせずに長期間安定に貯蔵するのに有用である。また、本発明の貯蔵方法で貯蔵された一般式(1)で表される化合物は重合に用いるモノマーに添加する際の操作性を向上させるのに有用である。
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JP2005119470A JP2006298790A (ja) | 2005-04-18 | 2005-04-18 | イソホロンウレタン(アルキル)アクリレート化合物類の貯蔵方法 |
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CN110831995A (zh) * | 2017-07-03 | 2020-02-21 | 喜利得股份公司 | 包含氨基甲酸酯甲基丙烯酸酯化合物的反应性树脂、反应性树脂组分以及反应性树脂体系及其用途 |
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