JP2006298777A - 蛍光希土類金属錯体及びその製造方法 - Google Patents

蛍光希土類金属錯体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 有機溶媒に可溶性である上に、溶媒等の所期の特性の阻害因子が取り込まれるのが抑制され、錯体本来の特性を維持しうる蛍光希土類金属錯体及びそれを容易に製造する方法を提供する。
【解決手段】 該錯体を、式
(RCO23LnL
(Rは、アルキル、アルケニル、及びある種の置換基を有していてもよい、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェニル基及びキノリル基の中から選ばれた少なくとも1種の基、Lnは希土類元素、Lは中性有機配位子)のものとし、その製法を、希土類金属塩とRCO2M(Rは前記と同じで、MはH、所定金属)とを中和反応させて得た希土類金属錯体を中性有機配位子と反応させるか、これらの原料を共に反応させるものとする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、蛍光希土類金属錯体及びその製造方法に関するものである。
希土類金属は、各種化学反応触媒の構成成分や、蛍光材料や、磁性材料として積極的に利用されている。また、他の金属化合物と反応させて複合材とするための原料としても利用されている。例えばイットリウムーアルミニウムーガーネット(YAG)の高密度焼結体はレーザ用NdドープYAG単結晶の代替品として注目されるなど、先端技術分野における重要な材料の一つとして位置付けられている。これらの材料分野では、主として金属材料により構成される化合物の状態で利用するものであるが、金属錯体などの研究が進むにつれて、有機構造体と金属イオンとの結合体及びその利用についても研究が進められており、その成果が注目されている。有機構造体と金属イオンが結合した構造体としては、外部磁場を増大させることなくNMR化学シフトを広げる目的で添加する常磁性金属イオン試薬であるシフト試薬が挙げられる。この試薬には主に希土類化合物が使用されており、希土類金属イオンと有機配位子からなる金属錯体が知られている(特許文献1参照)。また、希土類金属錯体は、蛍光プローブや蛍光ラベル剤としても役立っており、さらにRNAの開裂触媒としても使用されている。
しかし、従来の希土類金属錯体は、中心金属イオンが高い正電荷(3+)を持つために、水溶性の化合物が中心であり、水溶液にして利用されているが、有機溶媒には溶けにくいためにその利用が制限されるという問題を有していた。また、希土類金属錯体は高配位状態を取りやすいという特徴を有しており、配位させたい所望配位子以外の配位子、例えば溶媒等が配位することにより、期待される特性が阻害されたり、場合によっては加水分解が起こり、錯体が本来有している機能を十分に引き出すのは困難であった。
特開2002−20358号公報(特許請求の範囲その他)
本発明の課題は、このような事情の下、有機溶媒に可溶性である上に、溶媒等の所期の特性の阻害因子が取り込まれるのが抑制され、錯体本来の特性を維持しうる蛍光希土類金属錯体及びそれを容易に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記した有機溶媒可溶性の蛍光希土類金属錯体について鋭意研究を重ねた結果、特定の有機配位子と希土類金属イオンの正電荷を中和する特定の酸を配位させてなるものや、このものの簡易な製法として、希土類金属塩と特定のカルボン酸又はその誘導体のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを、希土類金属塩における希土類金属イオンの正電荷が中和されるように反応させて得られる電荷を持たない希土類金属錯体をさらに、中性有機配位子と反応させる方法等が課題解決に資することを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)一般式
(RCO23LnL
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、及びアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン、OH、SH、アルキルチオ基及びCF3の中から選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェニル基及びキノリル基の中から選ばれた少なくとも1種の基、Lnは希土類元素、Lは中性有機配位子を示す)
で表わされる蛍光希土類金属錯体。
(2)下記の一般式(1)及び一般式(2)で表わされる錯体の中から選ばれた少なくとも1種からなる蛍光希土類金属錯体。
Figure 2006298777
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、及びアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン、OH、SH、アルキルチオ基及びCF3の中から選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェニル基及びキノリル基の中から選ばれた少なくとも1種の基、Lnは希土類元素を示す)
(3)希土類金属塩と一般式
RCO2
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、及びアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン、OH、SH、アルキルチオ基及びCF3の中から選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェニル基及びキノリル基の中から選ばれた少なくとも1種の基、MはH、アルカリ金属又は化学当量相当のアルカリ土類金属を示す)
で表わされるカルボン酸塩とを、希土類金属イオンの正電荷が中和されるように反応させて希土類金属錯体を生成させ、次いで希土類金属錯体を中性有機配位子と反応させることを特徴とする、一般式
(RCO23LnL
(式中、Lnは希土類元素、Lは中性有機配位子を示し、Rは前記と同じ意味を有する)
で表わされる蛍光希土類金属錯体の製造方法。
(4)希土類金属塩と、その希土類金属イオンの正電荷を中和する当量比の一般式
RCO2
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、及びアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン、OH、SH、アルキルチオ基及びCF3の中から選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェニル基及びキノリル基の中から選ばれた少なくとも1種の基、MはH、アルカリ金属又は化学当量相当のアルカリ土類金属を示す)
で表わされるカルボン酸又はその塩と、中性有機配位子とを共に反応させることを特徴とする、一般式
(RCO23LnL
(式中、Lnは希土類元素、Lは中性有機配位子を示し、Rは前記と同じ意味を有する)
で表わされる蛍光希土類金属錯体の製造方法。
(5)希土類金属塩と一般式
RCO2
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、及びアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン、OH、SH、アルキルチオ基及びCF3の中から選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェニル基及びキノリル基の中から選ばれた少なくとも1種の基、MはH、アルカリ金属又は化学当量相当のアルカリ土類金属を示す)
で表わされるカルボン酸又はその塩とを、希土類金属イオンの正電荷が中和されるように反応させて希土類金属錯体を生成させ、次いで希土類金属錯体を2,2´−ビピリジル及び1,10−フェナントロリンの一方又は両方と反応させることを特徴とする、下記の一般式(1)及び一般式(2)で表わされる錯体の中から選ばれた少なくとも1種からなる蛍光希土類金属錯体の製造方法。
Figure 2006298777
(式中、Lnは希土類元素を示し、Rは前記と同じ意味を有する)
(6)希土類金属塩と、その希土類金属イオンの正電荷を中和する当量比の一般式
RCO2
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、及びアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン、OH、SH、アルキルチオ基及びCF3の中から選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェニル基及びキノリル基の中から選ばれた少なくとも1種の基、MはH、アルカリ金属又は化学当量相当のアルカリ土類金属を示す)
で表わされるカルボン酸又はその塩と、2,2´−ビピリジル及び1,10−フェナントロリンの一方又は両方とを共に反応させることを特徴とする、下記の一般式(1)及び一般式(2)で表わされる錯体の中から選ばれた少なくとも1種からなる蛍光希土類金属錯体の製造方法。
Figure 2006298777
(式中、Lnは希土類元素を示し、Rは前記と同じ意味を有する)
本発明の蛍光希土類金属錯体は、次の一般式(I)で表わされるものである。
(RCO23LnL (I)
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、及びアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン、OH、SH、アルキルチオ基及びCF3の中から選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェニル基及びキノリル基の中から選ばれた少なくとも1種の基、Lnは希土類元素、Lは中性有機配位子を示す)
この一般式(I)の希土類錯体において、その中心金属元素の希土類元素については特に制限されず、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等が挙げられ、好ましくは錯体が赤色の蛍光を示すユウロピウム、サマリウムや、錯体が緑色の蛍光を示すテルビウムが用いられる。
一般式(I)において、希土類金属には、RCO2Hで示されるカルボン酸の脱プロトン化物からなる配位子と中性有機配位子とが配位され、これら配位子の数は、希土類金属1個に対し、前者は希土類金属イオンの3+の正電荷を打ち消すように3個であり、後者は1個である。
一般に、希土類金属錯体は、高配位数のものが知られており、このようなものが正電荷を持つ場合、カウンター陰イオンの配位が起こりやすくなり、その影響を無視できなくなる。そこで、金属イオンの正電荷を打ち消すのに負電荷を持つ上記前者の配位子が有効なのである。
上記の、前者の配位子の説明におけるRCO2Hで示されるカルボン酸としては、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、安息香酸、キノリンカルボン酸、これらの置換誘導体、脂肪酸等が挙げられ、この置換誘導体としては、環構成員がアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン、OH、SH、アルキルチオ基及びCF3等の置換基、中でもアルキル基で置換されたものが挙げられる。
前者の配位子としては、炭素数の多いものが、本発明の蛍光希土類金属錯体を有機溶媒に可溶性にするので好ましく、さらには嵩高いものが、溶媒等の所望特性の阻害因子になる配位子が取り込まれるのを抑制するので好ましく、このようなものとしては、その相応する、RCO2Hで示されるカルボン酸が1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、これらの置換誘導体(例えば、4−メチル−1−ナフトエ酸等)、p−(t−ブチル)安息香酸、t−ブチル酢酸、高級脂肪酸等であるものが挙げられる。
後者の中性有機配位子については、それが吸収した光が中心金属イオンにエネルギー移動を起こし、希土類金属錯体に特徴的な赤色あるいは緑色の蛍光を生じさせるものであればよく、好ましくは、本発明の蛍光希土類金属錯体による蛍光の波長よりも低い波長の光を吸収するもの、中でも窒素を含有する有機配位子すなわち含窒素有機配位子が挙げられる。
含窒素有機配位子としては、アルキルアミン、アニリン等の芳香族アミン、含窒素芳香族複素環式化合物等が挙げられ、好ましくは含窒素芳香族複素環式化合物、例えばイミダゾール、トリアゾール、ピリミジン、ピラジン、アミノピリジン、ピリジン及びその誘導体、アデニン、チミン、グアニン、シトシン等核酸塩基及びその誘導体等も用いられるが、中でも2座配位子の1,10−フェナントロリン又はビピリジル等が推奨される。
これらの含窒素有機配位子は、1種用いてもよいし、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の蛍光希土類金属錯体は、次の反応式で示されるようにして容易に製造することができる。
Figure 2006298777
(反応式中、Ln、R、M及びLは前記したと同じ意味を有し、Xは陰イオンを示す)
すなわち、前記一般式(3)で示される希土類金属塩と前記一般式(4)で示されるカルボン酸又はその塩すなわち一般式RCO2Hのカルボン酸や、そのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを、希土類金属イオンの正電荷が中和されるように化学当量比或いはその近くで反応させ、前記一般式(5)で示される、電荷を持たない希土類金属錯体を生成させ、次いでこの錯体と中性配位子を化学当量比或いはその近くで反応させればよい。
このような反応に用いられるLnX3としては、サマリウムトリフラート、ユウロピウムトリフラート、テルビウムトリフラート等の希土類金属トリフラート、LnCl3で表わされる希土類金属塩化物等が挙げられる。
また、LnX3に代えて他の希土類金属塩、例えば硝酸塩、硫酸塩等を用いることができる。
本発明の蛍光希土類金属錯体は、上記反応式のように段階的に反応させる方法の他、これら反応原料を一緒に1段階で反応させる方法でも容易に製造することができる。
すなわち、この方法は、希土類金属塩と、その希土類金属イオンの正電荷を中和する当量比の一般式
RCO2
(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、及びアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン、OH、SH、アルキルチオ基及びCF3の中から選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェニル基及びキノリル基の中から選ばれた少なくとも1種の基、MはH、アルカリ金属又は化学当量相当のアルカリ土類金属を示す)
で表わされるカルボン酸又はその塩と、中性有機配位子とを共に反応させるものである。
また、この1段階反応方法において、希土類金属塩に代えて希土類酸化物を用い、RCO2Mをカルボン酸に限定して用いる、さらに別の方法によっても本発明の蛍光希土類金属錯体を容易に製造することができる。
これらの反応において、反応溶媒には、アルコール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(以下、DMFと表記する)、テトラヒドロフラン、アセトン、クロロホルム、メチレンクロライド、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド等の一般的な有機溶媒が用いられる。
本発明の蛍光希土類金属錯体は、有機溶媒に可溶性であり、従来の希土類金属錯体が水溶性で非極性有機溶媒には溶けにくいために、水溶液や極性溶媒に溶解させた溶液としての利用に止まり、その利用が制限されていたのを解消しうる上に、溶媒等の所期の特性の阻害因子が取り込まれるのが抑制され、錯体本来の特性を維持しうるという利点を有する。
本発明の蛍光希土類金属錯体としては、前記一般式(1)、(2)で示されるものが好ましい。
前記した、配位子の説明におけるRCO2Hで示されるカルボン酸としては1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、キノリンカルボン酸、これらの置換誘導体(例えば、4−メチル−1−ナフトエ酸等)、p−(t−ブチル)安息香酸、t−ブチル酢酸、高級脂肪酸等が好ましい。
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
t−ブチル酢酸68.9ミリモルをメタノール80mlに溶解した溶液に、室温で大気圧下1モル濃度の水酸化ナトリウム水溶液68.9mlを攪拌しながら加えた。その後10分間攪拌を続け溶媒を減圧留去し、残った固体を減圧乾燥することによりt−ブチル酢酸ナトリウムを得た。
得られたt−ブチル酢酸ナトリウム68.7ミリモルを脱水エタノール100mlに加え、室温で大気圧下1時間攪拌することにより溶解させ、そこへ脱水エタノール100mlに加熱溶解したユウロピウムトリフラート11.45ミリモルを加え、室温で大気圧下1時間攪拌し白色の析出物を得た。この析出物を減圧濾過した後、減圧乾燥することにより白色粉末を得た。
この白色粉末3ミリモルをDMF60mlに加熱溶解し、これを、1,10−フェナントロリン6ミリモルをエタノール75mlに溶解させたものに加え、160℃で加熱しながら30分間還流させ、溶液を熱時ろ過した後、5日間自然放置して所望のユウロピウム錯体を無色結晶として得た。収率は69%であった。
この錯体の元素分析値を測定した結果、C,53.42%(計算値53.17%)、H,6.07%(計算値6.10%)、N,3.79%(計算値4.13%)であった。
この錯体の赤外スペクトルを赤外分光計を用いて測定したところ、732cm-1、846cm-1、1415cm-1、1550cm-1、1600cm-1、2952cm-1、3061cm-1に強い吸収帯を観測した。
得られた錯体の粉末状態での蛍光特性を、蛍光分光光度計を用いて測定したところ、励起波長370nmに対して、593nm、617nm、696nmの波長にピークを有する発光スペクトルが観測された。
1−ナフトエ酸63ミリモルをメタノール100mlに加熱溶解し、これを室温で大気圧下1モル濃度の水酸化ナトリウム水溶液63mlに攪拌しながら加えた。その後10分間攪拌を続け溶媒を減圧留去した後、残った固体を減圧乾燥することにより1−ナフトエ酸ナトリウムを得た。
得られた1−ナフトエ酸ナトリウム63ミリモルを脱水エタノール100mlに加熱溶解し、そこへ脱水エタノール60mlに加熱溶解させたユウロピウムトリフラート10.5ミリモルを加え、室温で大気圧下3時間半攪拌することにより白色の析出物を得た。この析出物を減圧濾過した後、減圧乾燥し白色粉末を得た。
この白色粉末2.5ミリモルをDMF50mlに加熱溶解させ、この溶液を、1,10−フェナントロリン5ミリモルを脱水エタノール50mlに加熱溶解させたものに加え、160℃で加熱しながら5時間還流させ、熱時ろ過した後、3時間自然放置し白色の析出物を得た。この析出物をろ過した後、減圧乾燥することにより所望のユウロピウム錯体を白色粉末として得た。収率は88%であった。
この錯体の元素分析値を測定した結果、C,63.01%(計算値63.91%)、H,3.48%(計算値3.46%)、N,3.15%(計算値3.31%)であった。
この錯体の赤外スペクトルを赤外分光計を用いて測定したところ、789cm-1、1377cm-1、1424cm-1、1526cm-1、1579cm-1、1606cm-1、3053cm-1に強い吸収帯を観測した。
得られた錯体の粉末状態での蛍光特性を、蛍光分光光度計を用いて測定したところ、励起波長370nmに対して、593nm、618nm、698nmの波長にピークを有する発光スペクトルが観測された。
ステアリン酸14ミリモルをメタノール100ミリリットルに熱溶解し、これを室温大気圧下で1モル濃度の水酸化ナトリウム水溶液14ミリリットルに攪拌しながら加えた。その後30分間攪拌を続け溶媒を減圧留去した後、残った固体を減圧乾燥することによりステアリン酸のナトリウム塩を得た。
上述の操作を繰り返し、得られたステアリン酸のナトリウム塩19.6ミリモルをメタノール100ミリリットルに熱溶解し、そこへメタノール30ミリリットルに熱溶解したユウロピウムトリフラート3.2ミリモルを加え、室温大気圧下で13時間半攪拌することにより白色の析出物を得た。この析出物を減圧濾過した後、減圧乾燥し白色粉末を得た。
得られた白色粉末0.62ミリモルをトルエン20ミリリットルに熱溶解し、これを1,10−フェナントロリン1.24ミリモルをエタノール20ミリリットルに熱溶解したものに加え、110度で加熱しながら30分間還流し、この溶液を熱時ろ過した後、1昼夜自然放置し白色の析出物を得た。この析出物をろ過した後、減圧乾燥することにより目的物の白色粉末を得た。収率は73%であった。
この錯体の元素分析値を測定した結果、C,67.43%(計算値67.03%)、H,9.62%(計算値9.63%)、N,1.99%(計算値2.37%)であった。
この錯体の赤外スペクトルを赤外分光計を用いて測定したところ、721cm-1、731cm-1、845cm-1、1448cm-1、1546cm-1、1587cm-1、2850cm-1、2918cm-1に強い吸収帯を観測した。
得られた錯体の粉末状態での蛍光特性を、蛍光分光光度計を用いて測定したところ、励起波長370nmに対して、593nm、618nm、696nmの波長にピークを有する発光スペクトルが観測された。
2−ナフトエ酸20ミリモルをメタノール50mlに加熱溶解し、これを室温で大気圧下1モル濃度の水酸化ナトリウム水溶液20mlに攪拌しながら加えた。その後10分間攪拌を続け溶媒を減圧留去した後、残った固体を減圧乾燥することにより2−ナフトエ酸ナトリウムを得た。
得られた2−ナフトエ酸ナトリウム12ミリモルを脱水エタノール50mlに加熱溶解し、そこへ脱水エタノール30mlに加熱溶解させたユウロピウムトリフラート3.34ミリモルを加え、室温で大気圧下10分間攪拌することにより白色の析出物を得た。この析出物を減圧濾過した後、減圧乾燥し白色粉末を得た。
この白色粉末2.4ミリモルをDMF50mlに加熱溶解させ、この溶液を、1,10−フェナントロリン2.4ミリモルを脱水エタノール20mlに加熱溶解させたものに加え、160℃で加熱しながら5時間還流させ、熱時ろ過した後、1ヶ月間自然放置したが析出物を得られなかった。そこで、これに2−プロパノール150mlと水2mlを加え、5日間自然放置したところ、白色の析出物を得た。この析出物をろ過した後、減圧乾燥することにより所望のユウロピウム錯体を白色粉末として得た。収率は55%であった。
この錯体の元素分析値を測定した結果、C,63.79%(計算値63.91%)、H,3.34%(計算値3.46%)、N,2.85%(計算値3.31%)であった。
この錯体の赤外スペクトルを赤外分光計を用いて測定したところ、793cm-1、1406cm-1、1543cm-1、1609cm-1、3051cm-1に強い吸収帯を観測した。
得られた錯体の粉末状態での蛍光特性を、蛍光分光光度計を用いて測定したところ、励起波長370nmに対して、593nm、616nm、700nmの波長にピークを有する発光スペクトルが観測された。
4−メチル−1−ナフトエ酸20ミリモルをメタノール100mlに加熱溶解し、これを室温で大気圧下1モル濃度の水酸化ナトリウム水溶液20mlに攪拌しながら加えた。その後10分間攪拌を続け溶媒を減圧留去した後、残った固体を減圧乾燥することにより4−メチル−1−ナフトエ酸ナトリウムを得た。
得られた4−メチル−1−ナフトエ酸ナトリウム15ミリモルを脱水メタノール50mlに加熱溶解し、そこへ脱水メタノール20mlに加熱溶解させたユウロピウムトリフラート5ミリモルを加え、室温で大気圧下10分間攪拌することにより白色の析出物を得た。この析出物を減圧濾過した後、減圧乾燥し白色粉末を得た。
この白色粉末2.5ミリモルをDMF20mlに加熱溶解させ、この溶液を、1,10−フェナントロリン5ミリモルを脱水エタノール20mlに加熱溶解させたものに加え、160℃で加熱しながら2時間半還流させ、熱時ろ過した後自然放置し白色の析出物を得た。この析出物をろ過した後、減圧乾燥することにより所望のユウロピウム錯体を白色粉末として得た。収率は65%であった。
この錯体の元素分析値を測定した結果、C,65.01%(計算値64.94%)、H,3.69%(計算値3.97%)、N,2.70%(計算値3.16%)であった。
この錯体の赤外スペクトルを赤外分光計を用いて測定したところ、635cm-1、731cm-1、772cm-1、796cm-1、824cm-1、848cm-1、1265cm-1、1370cm-1、1415cm-1、1514cm-1、1566cm-1、1604cm-1、2923cm-1、3062cm-1に強い吸収帯を観測した。
得られた錯体の粉末状態での蛍光特性を、蛍光分光光度計を用いて測定したところ、励起波長370nmに対して、593nm、617nm、698nmの波長にピークを有する発光スペクトルが観測された。

Claims (6)

  1. 一般式
    (RCO23LnL
    (式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、及びアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン、OH、SH、アルキルチオ基及びCF3の中から選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェニル基及びキノリル基の中から選ばれた少なくとも1種の基、Lnは希土類元素、Lは中性有機配位子を示す)
    で表わされる蛍光希土類金属錯体。
  2. 下記の一般式(1)及び一般式(2)で表わされる錯体の中から選ばれた少なくとも1種からなる蛍光希土類金属錯体。
    Figure 2006298777
    (式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、及びアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン、OH、SH、アルキルチオ基及びCF3の中から選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェニル基及びキノリル基の中から選ばれた少なくとも1種の基、Lnは希土類元素を示す)
  3. 希土類金属塩と一般式
    RCO2
    (式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、及びアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン、OH、SH、アルキルチオ基及びCF3の中から選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェニル基及びキノリル基の中から選ばれた少なくとも1種の基、MはH、アルカリ金属又は化学当量相当のアルカリ土類金属を示す)
    で表わされるカルボン酸又はその塩とを、希土類金属イオンの正電荷が中和されるように反応させて希土類金属錯体を生成させ、次いで希土類金属錯体を中性有機配位子と反応させることを特徴とする、一般式
    (RCO23LnL
    (式中、Lnは希土類元素、Lは中性有機配位子を示し、Rは前記と同じ意味を有する)
    で表わされる蛍光希土類金属錯体の製造方法。
  4. 希土類金属塩と、その希土類金属イオンの正電荷を中和する当量比の一般式
    RCO2
    (式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、及びアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン、OH、SH、アルキルチオ基及びCF3の中から選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェニル基及びキノリル基の中から選ばれた少なくとも1種の基、MはH、アルカリ金属又は化学当量相当のアルカリ土類金属を示す)
    で表わされるカルボン酸又はその塩と、中性有機配位子とを共に反応させることを特徴とする、一般式
    (RCO23LnL
    (式中、Lnは希土類元素、Lは中性有機配位子を示し、Rは前記と同じ意味を有する)
    で表わされる蛍光希土類金属錯体の製造方法。
  5. 希土類金属塩と一般式
    RCO2
    (式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、及びアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン、OH、SH、アルキルチオ基及びCF3の中から選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェニル基及びキノリル基の中から選ばれた少なくとも1種の基、MはH、アルカリ金属又は化学当量相当のアルカリ土類金属を示す)
    で表わされるカルボン酸又はその塩とを、希土類金属イオンの正電荷が中和されるように反応させて希土類金属錯体を生成させ、次いで希土類金属錯体を2,2´−ビピリジル及び1,10−フェナントロリンの一方又は両方と反応させることを特徴とする、下記の一般式(1)及び一般式(2)で表わされる錯体の中から選ばれた少なくとも1種からなる蛍光希土類金属錯体の製造方法。
    Figure 2006298777
    (式中、Lnは希土類元素を示し、Rは前記と同じ意味を有する)
  6. 希土類金属塩と、その希土類金属イオンの正電荷を中和する当量比の一般式
    RCO2
    (式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、及びアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン、OH、SH、アルキルチオ基及びCF3の中から選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェニル基及びキノリル基の中から選ばれた少なくとも1種の基、MはH、アルカリ金属又は化学当量相当のアルカリ土類金属を示す)
    で表わされるカルボン酸又はその塩と、2,2´−ビピリジル及び1,10−フェナントロリンの一方又は両方とを共に反応させることを特徴とする、下記の一般式(1)及び一般式(2)で表わされる錯体の中から選ばれた少なくとも1種からなる蛍光希土類金属錯体の製造方法。
    Figure 2006298777
    (式中、Lnは希土類元素を示し、Rは前記と同じ意味を有する)
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