JP2006298695A - 遮熱コーティング材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 遮熱コーティング材料が、組成式(1):Ln3Nb1−xTaxO7(ただし、0≦x≦1、LnはSc、Y及びランタノイド元素からなる群より選ばれる1種類又は2種類以上の元素を表す)で表される組成物を主体として含む。遮熱コーティング材料は、前記組成物とジルコニア系材料とを複合化させた組成物を主体として含んでいてもよい。
【選択図】 なし
Description
〜1000℃ 2370℃
単斜晶 ←→ 正方晶 ←→ 立方晶
といった2つの相転移があって、そのまま単独では昇降温時に単斜晶、正方晶間の相転移に伴う急激な体積変化が生じ破壊してしまうため、高温構造材料として使用できない。そこで希土類酸化物等を数モル%添加し、使用温度域相である正方晶相を低温でも安定化させ、単斜晶相を生成させないようにする必要がある。安定化剤量を制御し、正方晶相を安定化させた部分安定化ジルコニアであっても、高温長時間使用ならびに昇降温を繰り返す熱サイクル時に次第に単斜晶相が析出するという報告もあり、ジルコニアを遮熱コーティングとして使用する際の重要な問題点となっている。
Ln3Nb1−xTaxO7
(ただし、0≦x≦1、LnはSc、Y、またはランタノイド元素を表す)
で表される組成物を主体として含む遮熱コーティング材料を提供する。
組成式(1)で表される組成物は、La2Zr2O7をはじめとする従来の立方晶パイロクロア型構造の組成物中の4価のZrの2個分が、3価のLnの1個分及び5価のNb及び/又はTaの1個分と置き換わった構造となっている。従って、組成式(1)で表される組成物においては、YbとNb及び/又はLnとがランダムに固溶化した状態であると考えられる。従って、組成式(1)の組成物中においては熱が散乱されやすく、従ってこの組成物は低熱伝導率となる。
さらに組成式(1)の組成物は、YbとNb及び/又はLnとが固溶化することにより、相転移がおきにくく、溶射を行っても、形成した膜に割れを生じにくい。
Ln3+aNb1−a−xTaxO7−a
(ただし、−0.5≦a≦0.5、0≦x≦1−a、LnはSc、Y、またはランタノイド元素を表す)
で表される組成物を主体として含むものであってもよい。
A3−yByNb1−xTaxO7(ただし、0≦x≦1、0<y<3、A及びBはSc、Y及びランタノイド元素からなる群より選ばれる互いに異なる種類の元素)
で表される組成物を主体として含む遮熱コーティング材料、または組成式(4):
A3+a−yByNb1−a−xTaxO7−a(ただし、−0.5≦a≦0.5、0≦x≦1−a、0<y<3+a、A及びBはSc、Y及びランタノイド元素からなる群より選ばれる互いに異なる種類の元素)
で表される組成物を主体として含む遮熱コーティング材料であってもよい。
また、本発明の遮熱コーティング材料は、それを現用の希土類安定化ジルコニアをはじめとするジルコニア系材料と共に多層構造として用いても、その低熱伝導性を損なわず、遮熱コーティング材料として適している。
材料の熱伝導性はその結晶構造に大きく依存し、複雑な構造をとることにより、より低熱伝導化することが一般に知られている。そこでYb3NbO7に他の元素を置換固溶させることによる結晶の複雑化を検討した。Yb3NbO7を構成するNbは5価の元素であり、周期表中の同じ5A族に属するTaを置換元素に選択した。これはTa5+のイオン半径が0.68ÅでありNb5+のそれ(0.69Å)とほぼ同じであるため、容易に固溶し得ると考えられるためである。
それらの試料を1600℃で焼成し、その焼結体から直径10mmφ、厚さ1mmの円盤状試料を切出し、レーザーフラッシュ法により、熱伝導率を測定した。室温における熱伝導率の値を表1に示す。なお比較材として3YSZの熱伝導率の値(1000℃、文献値)も表中に記載した。
本化合物を用いてAr+H2大気圧プラズマ溶射を行った結果、溶射皮膜としての熱伝導率は表1に示した値のさらに約3〜6割程度と小さくなり、遮熱効果が高い膜が得られた。
実施例1で示したYb3NbO7を構成するYbは3価の元素であるが、Ybを同じ希土類元素に属するEr等にかえて熱伝導率の測定を行った。Yb3+のイオン半径は1.01ÅでありEr3+のそれ(1.03Å)に近い。Er3NbO7、Er3Nb0.75Ta0.25O7、Er3Nb0.5Ta0.5O7、Er3Nb0.25Ta0.75O7、Er3TaO7について、1600℃で焼成し、その焼結体から直径10mmφ、厚さ1mmの円盤状試料を切出し、レーザーフラッシュ法により、熱伝導率を測定した。室温における熱伝導率の値を表2に示す。なお比較材として3YSZの熱伝導率の値(1000℃、文献値)も表中に記載した。
実施例1で示したYb3NbO7を構成するYbは3価の元素であるが、Ybを同じ3A族元素に属するY等にかえて熱伝導率の測定を行った。Yb3+のイオン半径は1.01ÅでありY3+のそれ(1.04Å)に近い。Y3NbO7、Y3Nb0.75Ta0.25O7、Y3Nb0.5Ta0.5O7、Y3Nb0.25Ta0.75O7、Y3TaO7について、1600℃で焼成し、その焼結体から直径10mmφ、厚さ1mmの円盤状試料を切出し、レーザーフラッシュ法により、熱伝導率を測定した。室温における熱伝導率の値を表3に示す。なお比較材として3YSZの熱伝導率の値(1000℃、文献値)も表中に記載した。
本化合物を用いてAr+H2大気圧プラズマ溶射を行った結果、溶射皮膜としての熱伝導率は表3に示した値のさらに約3〜6割程度と小さくなり、遮熱効果が高い膜が得られた。
実施例1で示したYb3NbO7を構成するYbは3価の元素であり、Ybに同じ3A族元素に属するNd等を混合させて、結晶構造を複雑化した。Yb3+のイオン半径は1.01ÅでありNd3+のそれ(1.23Å)に近い。Yb1.5Nd1.5NbO7、Yb1.5Nd1.5Nb0.75Ta0.25O7、Yb1.5Nd1.5Nb0.5Ta0.5O7、Yb1.5Nd1.5Nb0.25Ta0.75O7、Yb1.5Nd1.5TaO7について、1600℃で焼成し、その焼結体から直径10mmφ、厚さ1mmの円盤状試料を切出し、レーザーフラッシュ法により、熱伝導率を測定した。室温における熱伝導率の値を表4に示す。なお比較材として3YSZの熱伝導率の値(1000℃、文献値)も表中に記載した。
本化合物を用いてAr+H2大気圧プラズマ溶射を行った結果、溶射皮膜としての熱伝導率は表4に示した値のさらに約3〜6割程度と小さくなり、遮熱効果が高い膜が得られた。
図2は、Y2O3−Nb2O5系の状態図である。
この状態図から、本発明の範囲であるY/Nb=2.5〜3.5の範囲、すなわちNb2O5/(Y2O3+Nb2O5)が約22〜29モル%の領域では、低温域から高温域にわたって高温相への相転移がなく、低温相のままであることがわかる。
なお、Yに代えて他の希土類元素を用いた系およびNbの一部または全部をTaに置換した系についても、略同様の状態図が得ら、いずれの材料も低温域から高温域にわたって高温相への相転移がなく、低温相のままであることがわかる。
本発明による低熱伝導材料をジルコニアと複合化させることを検討した。
熱膨張係数に差のある2種類のセラミックスを複合化する際に、その複合材の熱膨張率(αc)はTurnerの式と呼ばれる以下の(1)式で表される。(1)式中、αは熱膨張率、Kは体積弾性率、Vは体積分率、添え字mはマトリクス、添え字pは添加する相である。
いま例えば3YSZとY3TaO7とを1:1で複合化する場合の熱伝導率について考える。仮に3YSZをマトリクス、Yb3NbO7を添加する相とすると、表1よりλm=2.2、λp=1.21、またVp=0.5であり、それらを(2)および(3)式に代入すればその複合熱伝導率(λc)は
λc=1.7
となる。これは遮熱コーティングとして好適な値である。
4 線状気孔 5 線状気孔
Claims (8)
- 組成式(1):
Ln3Nb1−xTaxO7
(ただし、0≦x≦1、LnはSc、Y及びランタノイド元素からなる群より選ばれる1種類又は2種類以上の元素を表す)
で表される組成物を主体として含む遮熱コーティング材料。 - 組成式(2):
Ln3+aNb1−a−xTaxO7−a
(ただし、−0.5≦a≦0.5、0≦x≦1−a、LnはSc、Y及びランタノイド元素からなる群より選ばれる1種又は2種以上の元素を表す)
で表される組成物を主体として含む遮熱コーティング材料。 - 前記LnがY、ErまたはYbである請求項1又は2に記載の遮熱コーティング材料。
- x=0である、請求項1から3のいずれか一項に記載の遮熱コーティング材料。
- 組成式(1)においてx=1である請求項1、3及び4のいずれか一項に記載の遮熱コーティング材料。
- 組成式(2)においてx=1−aである請求項2から4のいずれか一項に記載の遮熱コーティング材料。
- LnがYbである請求項5又は6に記載の遮熱コーティング材料。
- 請求項1から7に記載の組成物とジルコニア系材料とを複合化、または多層構造とした遮熱コーティング材料。
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