JP2006297078A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 吸収体の全域を液の吸収に用い得る吸収体を有する吸収性物品を提供すること。
【解決手段】 吸収性物品は、捲縮した長繊維が一方向に配向してなるウエブ2と、ウエブ2中に埋没担持されている高吸収性ポリマー3とを含む吸収体1を備えている。ウエブ2は、長繊維の配向方向にそれぞれ延びる高繊維量の領域2aと低繊維量の領域2bとを有している。これらの領域は、長繊維の配向方向と直交する方向に交互に並列している。高吸収性ポリマーの坪量は、前記長繊維の配向方向と直交する方向において、略均一になっていることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品に関する。
連続フィラメントの開繊トウを用いた吸収性物品の吸収体が知られている。例えば、捲縮性アセテート繊維のトウ層と、この層の片面に積層した粉砕パルプ層とからなる吸収体であって、該吸収体の厚さ方向に両層をプレスで一体化したものが知られている(特許文献1参照)。この吸収体によれば、体液の拡散性が向上するとされている。しかし、アセテート繊維はパルプよりも吸水能力が劣るので、この吸収体の吸収容量を高めるためには、多量の粉砕パルプを使用しなければならない。その結果、吸収体が厚くなってしまい、吸収性物品の着用感が低下してしまう。
また、吸水コアを上層、下層及び両層間に位置する吸収層から構成し、該吸収層として、高吸収性ポリマーの散布層上にアセテート繊維のトウからなる繊維層を配したものが知られている(特許文献2参照)。高吸収性ポリマーはその一部が接着剤によって下層に結合されており、また別の一部はトウの繊維層内に収容されている。この吸水コアでは、高吸収性ポリマーの一部がトウの繊維層内に収容されてはいるものの、大部分の高吸収性ポリマーは下層に結合された状態になっている。つまりトウの繊維層と高吸収性ポリマーの散布層とが別個に存在している。その結果、着用者の動作に起因して、吸収性物品の着用中に吸水コアが変形した場合、その構造が壊れやすい。
連続フィラメントのトウを有する吸収層として、トウが吸収層の厚み方向に延びているものも知られている(特許文献3参照)。特許文献3によれば、排泄物は、トウの繊維間間隙を通って上から下へ移動し、着用者の肌から遠く離せることができるので、むれやかぶれの原因になることがないとされている。この吸収層がこのような構造を有するためには、トウの長さがある程度長いことが必要である。そのために吸収層が厚くなってしまう。
特開昭57−160457号公報 特表2004−500165号公報 特開2001−276125号公報
従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
本発明は、捲縮した長繊維が一方向に配向してなるウエブと、該ウエブ中に埋没担持されている高吸収性ポリマーとを含む吸収体を備えた吸収性物品であって、
前記ウエブは、前記長繊維の配向方向にそれぞれ延びる高繊維量の領域と低繊維量の領域とを有し、これらの領域が該長繊維の配向方向と直交する方向に交互に並列している吸収性物品を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明においては吸収体を構成する長繊維のウエブが高繊維量の領域と低繊維量の領域とを有し、これらの領域が交互に並列しているので、吸収体の吸収性能を効率よく引き出すことができ、吸収体の全域を余すところなく液の吸収に用いることができる。また、高繊維量の領域と低繊維量の領域によって吸収体がストライプの模様を呈し、それによって視覚的にドライ感を与える。また、高繊維量の領域がクッション性を与え、身体へのフィット性や装着時の違和感を解消し、吸収性物品に良質な触感を与える。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明の吸収性物品は、主として尿や経血等の排泄体液を吸収保持するために用いられるものである。本発明の吸収性物品には例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。
本発明の吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。表面シート及び裏面シートとしては、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限無く用いることができる。例えば表面シートとしては、親水化処理が施された各種不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。裏面シートとしては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液不透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していてもよい。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
図1には本発明に係る吸収性物品における吸収体の一実施形態が模式的に示されている。本実施形態の吸収体1は、十分な吸収容量を有しながらも、薄型で低坪量であることによって特徴付けられる。そのような特徴を有する吸収体1は、高吸収性ポリマー3を含む長繊維のウエブ(以下、ウエブという)2を備えている。図1においては、上面が着用者の肌に対向する面(肌対向面)であり、下面が裏面シートに対向する面(肌非対向面)である。
ウエブ2を構成する長繊維は、親水性及び疎水性を有するもののどちらを用いても良い。親水性を有する長繊維として本発明において用いられるものには、本来的に親水性を有する長繊維、及び本来的には親水性を有さないが、親水化処理が施されることによって親水性が付与された長繊維の双方が包含される。本来的には親水性を有さないが、親水化処理が施されることによって親水性が付与された長繊維としては、各種合成繊維、すなわち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の単独維及びこれらの樹脂を2種以上含む複合繊維を界面活性剤で表面処理したものが用いられる。好ましい長繊維は湿潤しても嵩高性が保持される長繊維であり、特に上記合成繊維やナイロンやアクリル、アセテートやレーヨンの長繊維が好ましい。とりわけ水分率が10%未満の繊維であるアセテートは本来的に親水性を有するので特に好ましい。アセテートとしては、セルローストリアセテート及びセルロースジアセテートが好ましい。ここで、水分率は25℃、相対湿度65%の環境下で測定した値である。
本明細書において親水性ウエブとは、その配向方向について測定されたクレム吸水度が好ましくは20mm以上、更に好ましくは30mm以上であるものを言う。クレム吸水度の測定は、例えば以下のように行われる。吸収体1の高吸収性ポリマーが含まれている部分から、高吸収性ポリマーを取り除き、吸収体1中における長繊維の捲縮率を維持した状態で、長繊維のウエブを用いて、クレム吸水度の測定を行う。測定には、0.3%の赤色2号(外添)で着色したイオン交換水を用いる。セットしてから30秒後の水面からの高さをクレム吸水度とする。なお、クレム吸水度は、JISP8141(1996)「紙及び板紙のクレム法による吸水度試験方法」に準じて測定する。測定方向は、吸収体1の長手方向のみを計測している。試験片は幅15mmとする。3点の試験片の測定値の平均値をもってクレム吸水度とする。試験片によっては幅方向でクレム吸水度にばらつきが出るが、その場合は幅方向で略平均(目視)した値を測定値とする。
吸収体から高吸収性ポリマーを取り除く操作を行うと、吸収体中でのウエブの密度ρ1と、高吸収性ポリマーが取り除かれた後のウエブの密度ρ2とが相違するおそれがある。そこで、吸収体から高吸収性ポリマーを取り除く前に、吸収体中でのウエブの密度ρ1を予め測定しておき、高吸収性ポリマーが取り除かれた後のウエブの密度ρ2が、予め測定された密度ρ1と同じになるように、高吸収性ポリマーが取り除かれた後のウエブの状態を調整した後に、クレム吸水度を測定する。密度ρ2を密度ρ1に合わせるためには、例えば高吸収性ポリマーが取り除かれた後のウエブを圧縮すればよく、その状態下にクレム吸水度を測定する。密度ρ1は、例えば0.03〜0.05g/cm3であった。
吸収体中でのウエブの密度ρ1(g/cm3)は、ウエブの坪量(g/cm2)と、ウエブの厚み(cm)とから算出される。ウエブの坪量は、吸収体から高吸収性ポリマーを取り除いた後の重量(g)と、面積(cm2)とから算出される。一方、ウエブの厚みは次の方法で測定される。吸収性物品から取り出された吸収体に予め24.5kPaの荷重を12時間掛けて、しわを伸ばした状態としておく。次に、吸収体上に5cm×5cmの大きさのアクリル板に重りを載せ、0.245kPaの荷重が加わった状態下に厚みを測定する。具体的には、カミソリ刃で吸収体の断面を切り出し、ウエブが含まれる吸収体の範囲を10倍の実体顕微鏡で観察し、吸収体中のウエブの厚みを測定する。測定点数は5点とし、その平均値をもって厚みとする。20%以上測定値が振れた場合はそのデータを削除し、別の測定値を追加する。
長繊維としては捲縮しているものが用いられる。長繊維はその捲縮率(JIS L0208)が好ましくは10〜90%であり、更に好ましくは10〜60%、一層好ましくは10〜50%である。捲縮した長繊維からウエブを形成することで、該ウエブ中に高吸収性ポリマーを安定的に且つ多量に埋没担持することが容易となり、高吸収性ポリマーを多量に用いた場合であってもその極端な移動や脱落が起こりにくくなる。長繊維を捲縮させる手段に特に制限はない。また、捲縮は二次元的でもよく或いは三次元的でもよい。捲縮率は、長繊維を引き伸ばしたときの長さAと、元の長繊維の長さBとの差の、伸ばしたときの長さAに対する百分率で定義され、以下の式から算出される。
捲縮率(%)=((A−B)/A)×100
元の長繊維の長さとは、長繊維が自然状態において、長繊維の両端部を直線で結んだ長さをいう。自然状態とは、長繊維の一方の端部を水平な板に固定し、繊維の自重で下方に垂らした状態をいう。長繊維を引き伸ばした時の長さとは、長繊維の捲縮がなくなるまで伸ばした時の最小荷重時の長さをいう。
長繊維の捲縮率は前述の通りであり、捲縮数は1cm当たり2〜25個、特に4〜20個、とりわけ10〜20個であることが好ましい。
長繊維の繊維径に特に制限はない。一般に1〜10dtex、特に1.7〜7.8dtexの長繊維を用いることで満足すべき結果が得られる。本発明において長繊維とは、繊維長をJIS L1015の平均繊維長測定方法(C法)で測定した場合、好ましくは70mm以上、更に好ましくは80mm以上、一層好ましくは100mm以上である繊維のことをいう。ただし、測定対象とするウエブの全長が100mm未満である場合には、当該ウエブ中の繊維の好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上、一層好ましくは80%以上がウエブ全長にわたって延びている場合に、当該ウエブの繊維は長繊維であるとする。本発明で用いられる長繊維は一般に連続フィラメントと呼ばれるものである。また、連続フィラメントの束が一方向に配向したものは一般にトウと呼ばれている。従って、本発明における長繊維とは、連続フィラメントを含む概念のものである。また長繊維が配向したウエブとは、ウエブを形成する原料としての長繊維の束(いわゆるトウ)と、連続フィラメントのトウ層を含む概念のものである。また、該長繊維の一部が切断され繊維長が上記値を下回る繊維(切断された繊維)が、吸収体中に混合されても良い。
本実施形態に係る吸収体1においては、ウエブ2を構成する長繊維が、吸収体1の平面方向に一方向に配向している。長繊維が一方向に配向していることに起因して、吸収体1に液が吸収されると、該液は長繊維の配向方向へ優先的に拡散する。つまり吸収体の平面方向に優先的に拡散する。逆に、長繊維の配向方向と直交する方向への拡散は抑制される。長繊維が吸収性物品の長手方向に配向している場合には、吸収性物品の側部からの液漏れ(横漏れ)が効果的に防止される。
長繊維の配向は、長繊維の始点と終点を結んだベクトルが平面方向に向いていればよく、始点と終点の間がねじれやからみあいなど、長繊維の一部が垂直方向(吸収体の厚み方向)に向いてしまうものを含む。より具体的には、長繊維の配向の程度は、配向度で表して1.2以上、特に1.4以上であることが好ましい。本実施形態において配向度はKANZAKI社のMicrowave molecular orientation analyzer MOA-2001Aを用いて測定する。サンプルサイズは長手方向100mm、幅50mmとし、3点の平均値を配向度とする。サンプルサイズがこの大きさに満たない場合は、複数のサンプルを互いに重ならないように配して測定する。
長繊維が吸収性物品の長手方向に配向している場合には、吸収体は、長繊維の配向方向を横切るような線状の接着ラインを有していないことが好ましい。かかる接着ラインが存在していると、長繊維の配向方向への液の円滑な拡散が遮断されてしまい、それに起因して横漏れが生じる可能性がある。
長繊維が吸収性物品の幅方向に配向している場合には、吸収性物品の長手方向への拡散が抑制され、スポット吸収性が得られる。この場合、側部からの液漏れ(横漏れ)を防止するために、吸収体は、長繊維の配向方向を横切るような線状の接着ラインを有していることが好ましい。「線状」とは、液体の浸透を抑制する連続的な線を意味し、個々のシール線等が途切れなく連続するものである必要はない。例えば、間欠のシール線を幾重にも重ねて並べることで液の移動を阻止できれば、それは線状である。また、線状は、直線状の他、曲線状、折れ線状であっても良い。線の幅は0.2〜15mmが好ましい。
接着ラインは、ウエブ2内にのみ形成されていても良い。ウエブ2がティッシュペーパー等に包まれて吸収体1が構成されている場合、例えば後述する図7に示す実施形態の場合には、吸収体1の厚み方向全体にわたって接着ラインが形成されていても良い。更に、表面シートを含んで形成されていても良い。何れの場合においても、少なくとも吸収性物品の長手方向中央部に接着ラインが形成されていることが好ましい。また、接着ラインは、吸収体の幅方向の両側縁よりも外方に形成されていてもよい。このように接着ラインを設けることで、毛細管現象に起因して液がウエブ内を移動したとしても、接着ラインに突き当たってそれ以上の移動が阻止されるので、側部からの液漏れが生じにくくなる。
図1においては、長繊維は、紙面と直交する方向に延びて、該方向に配向している。長繊維は、吸収体の全長にわたって存在している。尤も、長繊維は吸収体の全長にわたって存在している必要はなく、先に述べた繊維長を満たすことを条件として、吸収体1における排泄部対向領域に長繊維が存在していれば足りる。
ウエブ2は、長繊維の配向方向にそれぞれ延びる高繊維量の領域(以下、高繊維量領域という)2aと低繊維量の領域(以下、低繊維量領域という)2bとを有している。これらの領域2a,2bは、長繊維の配向方向と直交する方向(図1中、Xで示す方向)に交互に並列している。高繊維量領域2aは、ウエブの厚み方向の断面でみたときに、単位面積当たりの繊維量が相対的に高い領域をいう。低繊維量領域2bは、ウエブの単位面積当たりの繊維量が相対的に低い領域をいう。
高繊維量領域2a及び低繊維量領域2bそれぞれの幅(図1中、X方向の幅)は、本実施形態において臨界的ではなく、それらの領域2a,2bの幅が同じでもよく、或いは異なっていても良い。両領域2a,2bの幅が異なる場合には、高繊維量領域2aの幅の方が、低繊維量領域2bの幅よりも大きくてもよく、或いは反対に、低繊維量領域2bの幅の方が、高繊維量領域2aの幅よりも大きくてもよい。ウエブ2の製造方法によっては、極端な場合、高繊維量領域2aの幅に比べて、低繊維量領域2bの幅の方が非常に小さいこともある。
各領域の幅がどのようなものであっても、これらの領域が交互に並列されているウエブ2を有する本実施形態の吸収体1は、それを表面シート越しに見ると、繊維量の違いに起因するストライプの模様を呈する。それによって視覚的にドライ感を使用者に与える。特に、各領域2a,2bが吸収性物品の長手方向に延びるように配されている場合には、その傾向が一層強くなる。
ウエブ2の製造方法にもよるが、高繊維量領域2a及び低繊維量領域2bは、それぞれの幅が0.5〜20mm、特に2〜10mmであることが、表面シート越しにストライプ模様を明確に視認し得る点、及び後述する吸収性の向上の点から好ましい。
高繊維量領域2aと低繊維量領域2bとは、それらの領域の繊維量がステップ状に変化していてもよく、或いは連続的に変化していてもよい。高繊維量領域2aにおける繊維量は10〜200g/m2であることが好ましく、20〜100g/m2であることが更に好ましい。一方、低繊維量領域2bにおける繊維量は20g/m2以下であることが好ましく、3〜10g/m2であることが更に好ましい。高繊維量領域2aにおける繊維量W1は、低繊維量領域2bにおける繊維量W2よりも大きく、好ましくは高繊維量領域2aにおける繊維量W1は、低繊維量領域2bにおける繊維量W2の2倍以上である。
繊維の量は、次のようにして求める。予め24.5kPaの荷重を12時間掛けて、厚みの回復、しわ等の影響を除いた状態の吸収体を用意する。はじめに、10cm×10cmに切断した吸収体の重量を測定して、吸収体全体の坪量を算出する。また、高吸収性ポリマーの量を定量し、吸収体全体の坪量から高吸収性ポリマーの坪量を差し引き、吸収体における繊維の平均坪量を算出する。吸収体中の高吸収性ポリマーの量は、吸収体全体の重量・面積を測定した後、吸収体をアスコルビン酸溶液に浸漬し、日光暴露させることで高吸収性ポリマーを溶解させ、水洗後の残存繊維量を求めることで算出することができる。次に、長繊維の配向方向と直交する方向にわたって吸収体を切り出し、切り出された断面内に占める繊維の面積比率により高繊維領域と低繊維領域を分離する。吸収体をカッターで切断し断面を切り出し、幅50mm分の領域を分割して撮像し画像データとして取り込む。個々の撮像範囲は5mm×5mmであり、これを25倍の拡大像にして各撮像範囲を連続で取り込む。得られた画像を、画像解析処理ソフト(Image−Pro plus,Media Cybernetics社)を用いて処理し、画像毎に繊維の占める面積(即ち、個々の繊維の断面積の総和)を算出する。測定は5点の平均とする。予め測定しておいた繊維の平均坪量及び繊維一本の断面積から、ウエブの厚みが一定であると仮定した場合の繊維の占める面積を算出しておく(この面積を平均面積という)。測定された繊維の占める面積が、平均面積以上である領域を高繊維量領域とし、平均面積未満である領域を低繊維量領域とする。
高繊維量領域2a及び低繊維量領域2bの数に特に制限はないが、各領域一つずつを一組とした繰り返し単位が、図1中、Xで示す方向に3〜50個、特に5〜30個並列されることが、表面シート越しにストライプ模様を明確に視認し得る点、及び後述する吸収性の向上の点から好ましい。
ウエブ2には、高繊維量領域2aと低繊維量領域2bとが存在するので、ウエブ2の坪量という場合には、これら双方の領域を含めたウエブ全体の平均の坪量を意味する。ウエブ2の坪量は、吸収体1を例えば乳幼児用の使い捨ておむつに用いる場合には、120〜400g/m2、特に150〜300g/m2とすることが好ましい。生理用ナプキンに用いる場合には、35〜200g/m2、特に50〜150g/m2とすることが好ましい。失禁パッドに用いる場合には、35〜500g/m2、特に50〜400g/m2とすることが好ましい。
ウエブ2中には、高吸収性ポリマーが埋没担持されている。高吸収性ポリマー3としては、一般に粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでも良い。粒子状の高吸収性ポリマーを用いる場合、その形状が不定形タイプ、塊状タイプ又は俵状タイプである場合には、ウエブ2に対して同量以上、10倍以下の坪量で埋没担持させることができる。また、球粒凝集タイプや球状タイプの場合には、ウエブに対して同量以上、5倍以下の坪量で埋没担持させることができる。これらの粒子形状は、特に高吸収量と薄型化を両立させたい場合は前者を、風合い(高吸収性ポリマーのしゃり感の低減)を重視する場合は後者を選択することが望ましい。
図1においては、高吸収性ポリマー3が、ウエブ2の厚み方向中央部から下部にわたる部位に偏倚して存在している状態が示されている。つまり高吸収性ポリマー3は、ウエブ2の肌非対向面側に偏倚して埋没担持されている。しかし、吸収体1の製造条件によっては高吸収性ポリマー3のほぼ全部がウエブ2中に均一に埋没担持される場合もある。「均一」とは、吸収体1の厚み方向あるいは幅方向において、高吸収性ポリマーが完全に一様に配されている場合、及び吸収体1の一部を取り出した時に、高吸収性ポリマーの存在量のばらつきが、坪量で2倍以内の分布を持つ場合をいう。このようなばらつきは、吸収性物品を製造する上で、まれに高吸収性ポリマーが過剰に供給され、部分的に散布量が極端に高い部分が生じることに起因して生ずるものである。つまり前記の「均一」は、不可避的にばらつきが生ずる場合を包含するものであり、意図的にばらつきが生じるように高吸収性ポリマーを分布させた場合は含まれない。
高吸収性ポリマー3が図1に示すような状態で偏倚して存在している場合、液の拡散性が高く、吸収体全体での液の吸収性が高いことから、使い捨ておむつの吸収体として好適である。図1とは反対に、高吸収性ポリマー3が、ウエブ2の厚み方向中央部から上部にわたる部位に偏倚して存在している場合、即ち、ウエブ2の肌対向面側に偏倚して埋没担持されている場合には、液のスポット吸収性が高いことから、軽失禁者用の失禁パッドや生理用ナプキンの吸収体として好適である。
長繊維は捲縮を有しているので、該長繊維は粒子を保持し得る多数の空間を有している。その空間内に高吸収性ポリマーが保持される。その結果、多量の高吸収性ポリマーを散布してもその極端な移動や脱落が起こりにくくなる。また着用者が激しい動作を行っても吸収体1の構造が破壊されにくくなる。使用する高吸収性ポリマーによって、捲縮率や使用する長繊維の量を適宜調節する。従来の吸収体においても繊維材料の量を多くすれば高吸収性ポリマーを多量に保持することは可能であったが、その場合には吸収体の坪量及び厚みが大きくなってしまう。これに対して本実施形態においては、繊維材料の量に対して高吸収性ポリマーの量を相対的に大きくすることが容易である。具体的には、吸収体全体で見たとき、好ましくは高吸収性ポリマーの坪量がウエブの坪量以上、更に好ましくは2倍以上、更に好ましくは3倍以上となっている。これによって吸収体1の薄型化及び低坪量化が図られている。ウエブの坪量に対する高吸収性ポリマーの坪量の比率の上限値は、高吸収性ポリマーの極端な移動や脱落防止の観点から決定される。長繊維の捲縮の程度にもよるが、該上限値が10倍程度であれば、着用者が激しい動作を行っても高吸収性ポリマーの極端な移動や脱落は起こりにくい。高吸収性ポリマーの具体的な坪量は、ウエブの坪量が先に述べた範囲を満たすことを条件として、上述したウエブの坪量との相対的な量比から決定される。
高吸収性ポリマーが埋没担持される程度の評価法として、次の方法を用いることができる。100mm×200mmに作製したウエブの長手方向中央部を切断し、100mm×100mmの試験片を得る。この切断面を真下にして、振幅5cmで1回/1秒の速度で左右に往復20回振動を与える。切断面からの落下したポリマーの重量を測定する。脱落した高吸収性ポリマーの重量が、試験片中に存在していた高吸収性ポリマーの全量に対して、25重量%以下、特に20重量%以下、とりわけ10重量%以下である場合、高吸収性ポリマーの極端な移動や脱落が起こり難くなっている状態であると言える。
高吸収性ポリマーが埋没担持される程度の評価として、前記の脱落評価試験に加えて次の方法によって測定される移動率も採用することができる。先ず、前記の脱落評価試験の測定に用いた100mm×100mmの測定サンプルの初期重量W0を予め測定しておく。脱落評価試験の測定が終わった後の測定サンプルを、長繊維の延びる方向と直交する方向にわたって切断し上下に二等分する。二等分された2つの分断片それぞれの重量を測定し、測定サンプルの初期重量W0の1/2から変化量の大きい方の分断片の重量を、移動率を算出するための重量W1として採用する。例えば2つの分断片の重量がW1’,W1”であるとすると、これらW1’,W1”が以下の式を満たす場合、W1=W1’とする。
|W1’−W0/2|>|W1”−W0/2|
このようにして決定されたW1の値と、測定サンプルの初期重量W0の値を用い、以下の式から移動率を算出する。
移動率(%)={1−W1/(W0/2)}×100
このようにして測定された移動率の値が40%以下、特に30%以下、とりわけ20%以下である場合、高吸収性ポリマーの移動が起こり難くなっている状態であると言える。
簡易的には、前記の脱落評価の試験を行った試験片に対して、次の評価法を行うこともできる。脱落評価の試験を行った試験片に対して、生理食塩水(0.9重量%NaCl)を50g均等に散布して、試験片の膨らみ方を目視観察する。試験片の厚みのばらつきが2倍以内の場合、高吸収性ポリマーの極端な移動や脱落が起こり難くなっている状態であると言える。
前記の各評価法においては、ウエブを水平方向で見たときに、高吸収ポリマーが同一坪量で散布してある領域から試験片をサンプリングする。ウエブ2には、高繊維量領域2aと低繊維量領域2bとが存在するので、高吸収性ポリマーの坪量はこれら双方の領域を含めたウエブ全体の平均の坪量を意味する。高吸収性ポリマーを吸収体の平面方向で偏倚させている場合は、偏倚している部分と偏倚していない部分をまたぐようにサンプリングするのを避ける。
ウエブ2への高吸収性ポリマー3の埋没担持性が十分でない時は、ホットメルト粘着剤、各種バインダー(例えばアクリル系エマルジョン粘着剤など)、カルボキシメチルセルロースやエチルセルロースなどの糖誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂等をウエブに適宜添加できる。さらに、凹凸加工や植毛を施したシートなどを併用しても良い。
図1に示すように、高吸収性ポリマーは、長繊維の配向方向と直交する方向、即ち図1中、Xで示す方向において、その坪量が略均一になっている。その結果、高繊維量領域2a及び低繊維量領域2bにおける繊維量との関係をみると、高吸収性ポリマーと繊維量との比率(前者/後者)は、高繊維量領域2aよりも低繊維量領域2bの方が高くなっている。このような関係が成り立つことは、液の吸収を効率良く行わせる観点から重要である。これについては以下に述べる。
図2(a)〜(c)には、本実施形態の吸収体1による液の吸収メカニズムが示されている。吸収体1上には表面シートTが配されている。吸収体1を構成するウエブ2には、高繊維量領域2aと低繊維量領域2bとが存在している。これらの領域のうち、繊維量が相対的に多いことから、高繊維量領域2aが、低繊維量領域2bよりも優先的に表面シートTに接触する。従って、表面シートTにおいては、図2(a)に示すように、該シートTが高繊維量領域2aに接触している領域(以下、この領域をウエブ接触領域T2という)と、接触していない領域(以下、この領域をウエブ非接触領域T1という)とで、液の引き込み性に差が生じる。つまり、表面シートTに押圧力が加わらないようなウエブ非接触領域T1と、ウエブ接触領域T2の両領域が存在する状態下に表面シートTへ液Lが排泄されると、液Lは、図2(b)に示すように、表面シートTと接触している高繊維量領域2a(ウエブ接触領域T2)を通じて吸収体1内に吸収される。次に、表面シートTにおいて、ウエブ非接触領域T1からウエブ接触領域T2に向かって、液の拡散力や浸透力等の液の移動力により、液が移動する。その後、再び高繊維量領域2aを通じて吸収体1へ吸収される。
また、図2(c)に示すように、表面シートTに押圧力が加わることで、前記ウエブ接触領域T2と前記ウエブ非接触領域T1との両領域がウエブ2に接触し、その状態下に表面シートTへ液Lが排泄されると、低繊維量領域2bよりも高繊維量領域2aの方がより圧縮されているので、液の引き込み力に勾配が生じる。
よって、前記の液の移動力や液の引き込み力の勾配が駆動力になって、図2(b)及び(c)に示すように、ウエブ非接触領域T1→ウエブ接触領域T2→高繊維量領域2aの順での液の移動が促進されるとともに、ウエブ非接触領域T1→低繊維量領域2bへの液の移動が起こり、表面シート2に液が残りにくくなる。その結果、表面シート2がドライな状態になりやすい。その上、高繊維量領域2a及び低繊維量領域2bによって生じるストライプ模様に起因する視覚的なドライ感の効果が加重される。
図2(a)ないし(c)の何れの場合においても、吸収体1に吸収された液は、先ず高繊維量領域2aに含まれる高吸収性ポリマー3によって吸収される。この場合、高繊維量領域2aにおいては、高吸収性ポリマー3の量に対して繊維量が相対的に多くなっているので、吸液により高吸収性ポリマー3が膨潤しても、高繊維量領域2aに含まれる長繊維が各高吸収性ポリマー3間に入り込む。その結果、高吸収性ポリマー3のゲルブロッキングが起こりにくくなる。さらに、長繊維自身が導液路となって、液の吸収を維持することができる。着用者の体位の変化等に起因して吸収体1に体圧が加わった場合には、図2(c)に示すように、高繊維量領域2aに保持されている液が、低繊維量領域2bに押し出され、該領域2bに含まれる高吸収性ポリマー3によって吸収される。また、長繊維が一方向に配向していることに起因して、液は配向方向へも拡散される。
このように、本実施形態の吸収体1によれば、液が排泄された領域だけでなく、その周囲の広い領域にわたって液が吸収される。その結果、吸収体1の全域を余すところなく液の吸収に用いることができる。つまり、効率的な液の吸収を行うことができる。
本実施形態に用いられる高吸収性ポリマーは、以下の方法で測定される液通過時間が20秒以下、特に2〜15秒であることが、とりわけ4〜10秒であることが好ましい。液通過時間の測定は以下の通りである。即ち、断面積4.91cm2(内径25mmφ)で底部に開閉自在のコック(内径4mmφ)が設けられた円筒管内に、該コックを閉鎖した状態で、該高吸収性ポリマー0.5gを生理食塩水とともに充填し、該生理食塩水により該高吸収性ポリマーを飽和状態に達するまで膨潤させる。膨潤した該高吸収性ポリマーが、沈降した後、該コックを開き、生理食塩水50mlを通過させる。該生理食塩水50mlが通過するのに要した時間を測定し、この時間を液通過時間とする。
液通過時間は、高吸収性ポリマーのゲル強度を反映する指標のひとつであり、液通過時間が短いものほどゲル強度は強くなる。
さらに、高吸収性ポリマーは、荷重下での通液速度が高いものを用いることがさらに好ましい。高吸収性ポリマーとしてその通液速度の値が30〜300ml/min、好ましくは32〜200ml/min、更に好ましくは35〜100ml/minのものを用いている。通液速度の値が30ml/min未満である場合、吸液によって飽和膨潤した高吸収性ポリマーどうしが荷重下に付着し合って、液の通過を妨げてしまいゲルブロッキング発生が起こりやすくなる。通液速度の値は大きければ大きいほどゲルブロッキングの発生を防止する観点から好ましい。通液速度が300ml/minを超える場合は、吸収体中の液の流れ性が高すぎて、特に一度に多量の排泄物が排泄された場合や、月齢の高い乳幼児或いは大人の例に見られるように排泄速度が速い場合、さらに吸収体の薄型化を図った場合に、液の固定が十分でなく、漏れを生じる可能性がある。また、一般に、通液速度を高めることは高吸収性ポリマーの架橋度を高くすることになり、高吸収性ポリマーの単位重量あたりの吸収容量が低くなり、多量の高吸収性ポリマーを使用しなければならない。これらの観点から通液速度の上限値は決定される。
高吸収性ポリマー21の通液速度の測定は、2.0kPa荷重下で行われる。この荷重は、吸収性物品を着用している間に吸収体に加わる体圧にほぼ相当する。通液速度の具体的な測定方法は、例えば特開2003−235889号公報の段落0005に記載されている。本発明においては、この公報に記載されている測定方法で用いられる試料の重量である0.200gを0.32gに変更して測定を行う。具体的には以下の手順で通液速度を測定する。
〔通液速度の測定方法〕
垂直に立てた円筒(内径25.4mm)の開口部の下端に、金網(目開き150μm)と、コック(内径2mm)付き細管(内径4mm、長さ8cm)とが備えられた濾過円筒管を用意する。コックを閉鎖した状態で、該円筒管内に、850〜150μmの粒度に調整した測定試料0.32gを投入する。次に該円筒管内に0.9重量%の生理食塩水50mlを注ぐ。生理食塩水を注ぎ始めてから30分間静置した後、目開きが150μmで、直径が25mmである金網を先端に備えた円柱棒(21.2g)を、濾過円筒管内に挿入し、該金網と測定試料が接するようにする。1分経過後に、77.0gのおもりを円柱棒に取り付けて測定試料に荷重を加える。更に1分間静置した後にコックを開く。生理食塩水の液面が40mlの目盛り線から20mlの目盛り線に達するまでの時間(T1)(秒)を計測する。計測された時間T1(秒)を用い、次式から通液時間を算出する。なお式中、T0は濾過円筒管内に測定試料を入れないで計測された時間である。
通液速度(ml/min)=20×60/(T1−T0)
通液速度の更に詳細な測定方法は特開2003−235889号公報の段落0008及び0009に記載されている。測定装置は同公報の図1及び図2に記載されている。
高吸水性ポリマーとしては、前記の特性を満足するものであれば特に制限されないが、具体的には例えば、ポリアクリル酸ソーダ、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、(デンプン−アクリル酸)グラフト重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられる。尚、前記の特性を満たすようにするためには、例えば、高吸水性ポリマーの粒子表面に架橋密度勾配を設けたり、高吸水性ポリマーの粒子を非球形状の不定形粒子とすればよく、具体的には特開平7−184956号公報の第7欄28行〜第9欄第6行に記載の方法を用いることができる。あるいは本出願人の先の出願に係る特許第2721658号公報に記載の陰イオン界面活性剤を分散剤として用いた逆相懸濁重合重合法を採用することで、所望の通液速度を有する高吸収性ポリマー21が得られる。
本実施形態に係る吸収体1が使い捨ておむつに用いられる場合には、吸収体1はその厚みが好ましくは1〜4mm、更に好ましくは1.5〜3mmという薄型のものである。生理用ナプキンに用いられる場合には、好ましくは0.5〜3mm、更に好ましくは1〜2mmである。失禁パッドとして用いられる場合には、好ましくは0.5〜4mm、更に好ましくは1〜3mmである。
吸収体1の厚みは、吸収体1上に5cm×5cmの大きさのアクリル板に重りを載せ、0.245kPaの荷重が加わった状態下に測定される。本実施形態においては、キーエンス社のLK080クラス2レーザー変位計を用いて厚みを測定した。測定点数は5点の平均とし、20%以上測定値が振れた場合はそのデータを削除し、別の測定値を追加した。試料には予め24.5kPaの荷重を12時間掛けて、しわを伸ばした状態としておいた。
吸収体1の厚みに関連して、ウエブ2及び高吸収性ポリマー3を含む吸収体1全体の坪量は、該吸収体1を例えば使い捨ておむつに用いる場合には、120〜400g/m2、特に150〜300g/m2であることが好ましい。生理用ナプキンに用いる場合には、35〜200g/m2、特に50〜150g/m2であることが好ましい。失禁パッドに用いる場合には、35〜500g/m2、特に50〜400g/m2であることが好ましい。
ウエブ2内には高吸収性ポリマー3のほかに、他の粒子、例えば、活性炭やシリカ、アルミナ、酸化チタン、各種粘度鉱物(ゼオライト、セピオライト、ベントナイト、カンクリナイト等)等の有機、無機粒子(消臭剤や抗菌剤)を共存させることができる。無機粒子は一部金属サイトを置換したものを用いることができる。或いは、各種有機、無機緩衝剤、即ち、酢酸、リン酸、クエン酸、コハク酸、アジピン酸、リンゴ酸、乳酸又はこれらの塩を単独あるいは組み合わせて用いたり、各種アミノ酸を用いることができる。これら成分の働きは、吸収体に吸収された排泄物のにおいや素材由来のにおいを抑制することである。また、各種有機、無機緩衝剤は、排泄物、例えば尿の分解による発生するアンモニアを中和し、おむつを中性〜弱酸性に保つ効果があり、それによって、万一おむつから肌への排泄物の液戻りがあっても、肌への影響を少なくすることができる。或いは、ウエブにアセテート繊維など、分子構造内にエステルを有する繊維を用いても繊維のアルカリによる損傷を防ぐ効果が期待できる。
また、液保持性と吸収速度の向上、ドライの向上を目的に、親水性の微粉又は短繊維をウエブ2中に共存させることができる。親水性の微粉又は短繊維としては、フィブリル化されているか又はフィブリル化されていないセルロースパウダー、カルボキシメチルセルロース及びその金属塩、カルボキシエチルセルロース及びその金属塩、ヒドロキシエチルセルロース及びその誘導体、シルクパウダー、ナイロンパウダー、レーヨン、コットン、羊毛などの短繊維が挙げられる。これらのうち、セルロースパウダーを用いると、前記の効果を最大限向上させ得るので好ましい。親水性の微粉又は短繊維は、高吸収性ポリマー3の散布前にウエブ2に散布してもよく、或いは高吸収ポリマー3と混合しておき、両者を同時にウエブ2に散布してもよい。
以上の構造を有する吸収体1は、薄型且つ低坪量で、高通気性のものとなる。吸収体1の通気性の程度は、高吸収性ポリマー100g/m2あたりの通気抵抗値で表して0.4kPa・s/m以下という低い値になる。通気抵抗値は、小さければ小さいほど通気性が高いことを意味する。このような通気抵抗値は、フラップパルプ及び高吸収性ポリマーの積繊体からなる従来の吸収体の通気抵抗値の約1/2という極めて低い値となる。通気抵抗値の下限に特に制限はなく、その値が小さければ小さいほど通気性は高くなる。通気抵抗値はカトーテック製の通気性試験機KES−F8(商品名)によって測定される。この装置によれば、一定流量の空気(4cc平方cm/sec)を通過させたときの圧力損失が測定される。
本発明に従う吸収体の中には、前記の通気抵抗値が、前記測定装置の測定限界以下、即ち約0.2kPa・s/m以下となるものもある。例えば、吸収体の構成材料としてパルプを用いずに、長繊維のウエブ中に高吸収性ポリマーを担持させ、ティッシュペーパーで包んだものが挙げられる。従って本発明においては、前記の通気抵抗値に下限値は存在しない。前記測定装置の測定限界以下となる他の材料の例としては、吸収性物品に用いられる通常のティッシュペーパーや表面シート、ガーゼの類などがある。
吸収体1は、その全体で、その厚さ方向のKES圧縮試験器による圧縮仕事量(WC値)が好ましくは0.98cN・cm/cm2以上であり、更に好ましくは1.47cN・cm/cm2以上である。この圧縮仕事量は、カトーテック社KES-G5ハンディー圧縮試験機を用いて測定する。測定方法は次の通りである。5cm×10cmの試験片を準備し、試験台に取り付ける。その試験片を面積2cm2の円形平面を持つ鋼板間で圧縮する。圧縮速度は20μm/secとする。圧縮最大荷重は4.9kPaとする。回復過程も同一速度で測定を行う。圧縮仕事量WCは次式で表される。
Figure 2006297078
吸収体1の圧縮仕事量(WC値)が前記の値以上であると、違和感がなく、また圧力解放後(例えば包装パックから取り出した後)の回復性に優れ、クッション性を有する吸収性物品を提供できるという利点がある。また包装パックから取り出した直後でも身体にフィットし、また液の素早い吸収性が発現するという利点もある。更に、圧縮により非常にコンパクトになるという利点もある。
本実施形態の吸収体1を具備する本発明の吸収性物品は、相対向する一対の立体ギャザーを2組以上有していてもよい。例えば図3に示すように、吸収体1の側縁から側方に延出したレッグフラッフ30の側縁部に、吸収性物品の長手方向に延びる弾性ストランド31を伸長状態で配してレッグギャザー32を形成し、更に、レッグギャザー32と吸収体1の側縁部との間に基端部を有する第1立体ギャザー33及び第2立体ギャザー34を配している。第1立体ギャザー33はレッグギャザー寄りに配されており、第2立体ギャザー34は吸収体寄りに配されている。
レッグフラップ32に位置するこれら3つのギャザーは、最も外方に位置するギャザーの収縮力が、それよりも内方に位置するギャザーの収縮力よりも大きくなるように各ギャザーの収縮力を調整することが好ましい。即ち、レッグギャザー32の収縮力をL1、第1立体ギャザー33の収縮力をL2、第2立体ギャザー34の収縮力をL3としたとき、L1>L2,L3となることが好ましい。特に、最も外方に位置するギャザーから内側に向かってギャザーの収縮力が次第に小さくなることが好ましい。つまりL1>L2>L3となることが好ましい。この理由は次の通りである。
従来の吸収性物品の設計手法は、吸収性物品を薄くして、しかも液漏れしにくくするために、ギャザーの収縮力を強くし、着用者の身体と吸収性物品との間に隙間を空けないようにするという考えに基づいていた。しかしながら、ギャザーの収縮力が強すぎると、その跡が肌につきやすくなる。また、本発明のように薄くて柔軟や吸収体を用いた場合には、ギャザーの収縮力によって吸収性物品が収縮してしまい装着しづらくなってしまう。また、ギャザーの収縮力が強すぎると、吸収性物品の装着中に、該収縮力に起因する下向きの力が吸収性物品に働き、ずれが生じやすくなる。これに対して、レッグギャザー及び相対向する一対の立体ギャザーを2組以上用い、その収縮力を前述した関係とすることで、従来の吸収性物品に生じる前述の不都合を回避することができる。
ギャザーの収縮力は次の方法で測定される。吸収性物品からギャザーを切り取り測定試料とする。テンシロンORIENTEC RTC−1150Aを用いて測定試料のヒステリシス曲線を描かせる。このヒステリシス曲線の戻り時の応力を収縮力とする。引っ張りと戻しの速度は300mm/minとする。試料の初期長は100mm、最大伸びは100mm(元の長さの2倍)とする。ヒステリシス曲線の戻り時の応力は、試料を最大伸びから50mm戻したときの測定値とする。測定は5点の平均値とする。最大伸びが100mmに満たない試料の場合は、伸びを50mmまでとし、そのときの値を測定値とする。
各ギャザーの収縮力を調整するためには、例えば弾性体の太さを変える、弾性体の伸長率を変える、弾性体の本数を変える等の方法を、単独で、或いは組み合わせる。また、レッグギャザー32の伸縮域は、吸収性物品の股下部のみとすることが好ましい。
図3に示す吸収性物品においては、レッグギャザー及び相対向する一対の立体ギャザーが2組用いられている。これに代えて、本実施形態の吸収体1を具備する本発明の吸収性物品では、レッグギャザーは用いずに、相対向する一対の立体ギャザーを2組以上用いてもよい。例えば図4では、第1立体ギャザー33及び第2立体ギャザー34の2組の立体ギャザーを用いている。この場合にも、吸収性物品の幅方向外方から内側に向かうに連れて立体ギャザーの収縮力を次第に小さくすることが、前述した理由と同様の理由により好ましい。
次に、本実施形態の吸収体1の製造方法について、図5を参照しながら説明する。図5には、吸収体1の製造に好適に用いられる装置が示されている。製造装置は、長繊維10をその搬送途中で順次開繊する開繊手段20を備えている。
開繊手段20は、搬送中の長繊維10を順次開繊する開繊機(バンディングジェット)21,22,23を備えている。また、開繊手段20は、開繊機21と22との間に長繊維10を一旦上方に送った後に降下させるためのガイド24を備えているとともに、開繊機22,23の間に繰り出しロール25及びブルミングロール26を備えている。
開繊機21,22,23は、エアーを吹き付けて搬送中の長繊維10を開繊させてその幅を拡げる装置である。繰り出しロール25は、開繊機22で開繊された長繊維10をニップして所定の速度で繰り出す一対のロールを備えている。ブルミングロール26は、多数の円盤が軸周りに所定間隔おきに組み込まれたロール260とアンビルロール261とを備えており、張力が加えられた状態の長繊維10を梳くものである。開繊機23の下流側の位置には、ポリマー供給手段27が備えられている。ポリマー供給手段27は、所定量の高吸収性ポリマー3を、ブルミングロール26で梳かれた後の長繊維上に均一に散布する装置である。
以上の構成を有する製造装置を用いた吸収体1の製造方法においては、長繊維10はこれに所定の張力が加えられた状態で搬送される。先に述べた通り、長繊維10は捲縮を有しているので、張力が加わることによって、該長繊維10はその長手方向に容易に引き伸ばされた状態となる。この状態下に、開繊手段20の開繊機21,22,23によって長繊維10をその幅を拡げるように開繊する。複数の開繊機を用いることで、長繊維10の幅を段階的に無理なく拡げることができる。
長繊維10は、開繊機22,23の間に位置するブルミングロール26によって梳かれ、それによって高繊維量領域と低繊維量領域とが形成される。高繊維量領域及び低繊維量領域の繊維量は、ロール260における円盤の厚み及び円盤間のピッチによって主として決定される。また、高繊維量領域及び低繊維量領域の幅は、ブルミングロール26の下流側に設置されている開繊機23による開繊の程度によって主として決定される。
高繊維量領域及び低繊維量領域が形成された状態の長繊維10には、その上から高吸収性ポリマー3が散布される。散布に際しては、長繊維10を搬送する張力を弱め、該長繊維10の引き延ばし状態を解除する。これによって長繊維10は捲縮した状態に復帰し、その状態下に高吸収性ポリマー3が散布される。捲縮状態となっている長繊維は、その繊維間に高吸収性ポリマー3を収容し得る空隙を有する。この空隙に高吸収性ポリマーが埋没担持される。これに対して、長繊維10に張力が加わって引き延ばされた状態では、高吸収性ポリマー3を収容するに足る十分な空隙が形成されないので、高吸収性ポリマー3を首尾良く埋没担持させることが容易でない。高吸収性ポリマー3の散布と同時に、長繊維10におけるポリマー3の散布面と反対側の面から吸引を行い、ポリマー3の埋没担持を促進させることが効果的である。吸引の程度を適宜調整することで、ウエブの厚み方向におけるポリマー3の分布を変えることができる。
次に、本発明の第2及び第3の実施形態について、図6及び図7を参照しながら説明する。これらの実施形態に関し特に説明しない点については、先に述べた実施形態に関する説明が適宜適用される。また図6及び図7において、図1ないし図5と同じ部材には同じ符号を付してある。
図6に示す実施形態に係る吸収体1においては、ウエブ2の下側に短繊維の積繊層4が積層されている。短繊維の積繊層4中には、高吸収性ポリマーが含まれていてもよく、或いは含まれていなくてもよい。ウエブ2の下側に短繊維の積繊層4を配することで、該積繊層4が、排泄された液の一次ストック層として作用するので、液の排泄速度が高い場合(例えば尿が排泄される場合)であっても、液漏れを効果的に防止できる。この効果を一層顕著なものとする観点から、ウエブ2中に埋没担持される高吸収性ポリマーは、図6に示すように、ウエブ2の裏面シート対向面側に偏倚して埋没担持されていることが好ましい。更に、ウエブ2中に高吸収性ポリマーを含有させることに加えて、パルプの積繊層4中に高吸収性ポリマーを含有させることで、液漏れ効果が一層顕著なものとなる。
短繊維の積繊層4に含まれる繊維としては、木材パルプ等の天然パルプやレーヨン、コットン等の親水性繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂を素材とする合成パルプを用いることができる。天然パルプと合成パルプとは、何れか一方を用いてもよく、或いは両方を用いてもよい。天然パルプは一般に吸液性及び拡散性が高い素材なので、これを用いることで、吸収体1の液吸収容量を高めることができる。一方、合成パルプは所定温度に加熱することで溶融する性質を有するので、これを含む積繊層4、或いは吸収体1全体を加熱して合成パルプを溶融させることで、吸収体全体としての強度を高めることができる。短繊維の積繊層4は、該短繊維を堆積させて得られたものであるか、又は不織布からなる。積繊層4が、不織布からなる場合、該不織布としては、例えばエアスルー不織布、ケミカルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、エアレイド不織布を用いることができる。短繊維として天然パルプを用いる場合には、短繊維の積繊層4は、主としてパルプ繊維を堆積させて得られたものからなる。一方、短繊維として合成パルプを用いる場合には、パルプの積繊層4は、主としてエアレイド不織布等の不織布からなる。
短繊維の積繊層4には、前述のパルプ繊維に加えて、レーヨンやコットン、リヨセル、テンセル、アセテート、ポリビニルアルコール繊維、アクリルなどの天然、又は(半)合成の親水性繊維が含まれていてもよい。
図7に示す実施形態に係る吸収体1においては、高吸収性ポリマー3を含むウエブ2が繊維シート5で被覆されている。本実施形態においては1枚の繊維シート5が用いられている。繊維シート5は、ウエブ2の上面及び左右両側面を被覆している。更に繊維シート5の左右両側部は、ウエブ2の下面側に巻き込まれ、ウエブ2の下面における幅方向中央部で重なり合っている。これによって、ウエブ2の下面も繊維シート5によって被覆されている。
高吸収性ポリマー3を含むウエブ2を繊維シート5によって被覆することで、該ウエブ2中に含まれている高吸収性ポリマー3の極端な移動や脱落が効果的に防止される。更に、吸収体1全体としてのハンドリング性が良好になるので、それ単独で容易に搬送させることができる。また、所望の形状に容易に裁断あるいはくり抜くことができるようになるので、吸収性物品の形状に応じた吸収体を容易に製造できる。
繊維シート5としては、高吸収性ポリマーの脱落を防止し得るに足る強度を有し、且つ排泄された液の透過を妨げない素材のものが適宜用いられる。例えばティッシュペーパーや液透過性を有する不織布等を用いることができる。不織布には、必要に応じて親水化処理や開孔処理を施してもよい。更にスリットを形成してもよい。或いは繊維シート5にエンボス加工を施して該シート5に柔軟加工を施してもよい。繊維シート5として不織布を用いる場合、該不織布としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を単独で用いた繊維、又はこれら複数の樹脂を用いた複合繊維等を原料とするものを用いることができる。例えばサーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布等が挙げられる。これらの不織布には、レーヨンやコットン、リヨセル、テンセル、アセテート、天然パルプ等の親水性繊維を共存させることもできる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば図6に示す実施形態に係る吸収体を、図7に示す実施形態に係る吸収体のように、繊維シートで被覆してもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
先ず、捲縮を有するアセテート長繊維のトウを用意した。この長繊維の繊維径は2.1dtex、トウの全繊維量は2.5万dtexであった。このトウを、伸長下に搬送し空気開繊装置を用いて開繊し開繊ウエブを得た。次いで、多数の円盤が軸周りに所定間隔おきに組み込まれたロールと、平滑な受けロールとの間に開繊ウエブを通して、該ウエブを梳いた。その後、ウエブを幅100mmに調節し、その搬送速度を減速した状態でバキュームコンベア上に転写し、当該バキュームコンベア上でのウエブの張力を緩めて捲縮を発現させた。この操作により、長繊維ウエブ中に高繊維量領域及び低繊維量領域が形成された。また、長繊維ウエブ中に高吸収ポリマーが担持されるための適切な長繊維−長繊維間距離とウエブの厚みが発現した。ウエブ中の長繊維の捲縮率は30%、1cm当たりの捲縮数は15個、平均坪量は26g/m2であった。ウエブ上に高吸収性ポリマーを散布し、該高吸収性ポリマーを開繊ウエブ中に埋没担持させた。高吸収性ポリマーの坪量は260g/m2であった。得られたウエブを、ホットメルト粘着剤5g/m2をスプレー塗工した坪量16g/m2のティッシュペーパーで包み、吸収体を得た。
表面シートとして坪量25g/m2のエアスルー不織布を用いた。エアスルー不織布は、芯がポリプロピレン、鞘が直鎖状低密度ポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維(太さ2.1dtex、界面活性剤で表面処理、液透過性を有する)から構成されていた。裏面シートとして坪量20g/m2の多孔質フィルムに、坪量20g/m2のポリプロピレン製スパンボンド不織布をホットメルト1.5g/m2で接着して複合化したものを用いた。多孔質フィルムは、密度0.925g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂100重量部に、炭酸カルシウム150重量部、及び第三成分としてエステル化合物4重量部を均一混合したものを、インフレーション成形した後、縦方向に2倍に一軸延伸したフィルムであった。それ以外は通常の使い捨ておむつの製造方法に従い、使い捨ておむつを得た。吸収体は、ウエブの配向方向が、おむつの長手方向に一致するように配した。
〔実施例2〕
実施例1において高吸収性ポリマーの散布量を110g/m2とした以外は実施例1と同様にして、高繊維量領域及び低繊維量領域を有し且つ高吸収性ポリマーの粒子が開繊ウエブ中に埋没担持されたウエブを得た。該ウエブに、フラッフパルプと高吸収性ポリマーの混合体を積層し積層体を得た。この混合体は、開繊したフラッフパルプ100重量部と高吸収性ポリマー100重量部を気流中で均一混合して得られた合計坪量300g/m2のものである。混合体におけるフラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ150g/m2であった。積層体を、親水化処理した坪量16g/m2のスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布(SMS)を用いて包み込み、吸収体を得た。それ以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
〔実施例3〕
実施例2において、長繊維の繊維径を6.7dtex、トウの全繊維量を1.7万dtex、ウエブ中の長繊維の捲縮率を24%、1cm当たりの捲縮数を10個、ウエブの平均坪量を30g/m2とした以外は実施例2と同様にして積層体を得た。それ以外は実施例2と同様にして使い捨ておむつを得た。
〔比較例1〕
開繊したフラッフパルプ100重量部と高吸収性ポリマー100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量520g/m2の混合体を得た。フラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ260g/m2であった。得られた混合体を坪量16g/m2のティッシュペーパーで包み吸収体を得た。混合体とティッシュペーパーの間は、ホットメルト粘着剤5g/m2をスプレー塗工し接着した。これら以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
〔比較例2〕
比較例1で作製したフラッフパルプ/高吸収性ポリマー混合体の肌側に、坪量30g/m2のエアスルー不織布(芯がポリプロピレン、鞘が直鎖状低密度ポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維、太さ5.6dtex、界面活性剤で親水化処理)を積層した以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られたおむつにおける吸収体について、以下の方法で吸収容量、構造安定性、柔軟性を評価した。また、おむつについて液吸収後のドライ感を評価した。それらの結果を以下の表1に示す。
〔吸収容量〕
得られた吸収体を45°の傾斜版に固定し、吸収体の上方側の端部から200mmの位置に生理食塩水を40gずつ、5分間隔ごとに繰り返し注入し、吸収体の下方側の端部からもれだすまでの注入量を比較した。比較例1の吸収容量を1.0とした時の相対値を以下の計算式を用いて算出した。
吸収容量(相対値)=(サンプルの吸収容量)/(比較例1の吸収容量)
〔構造安定性〕
(1)ドライ時
100×200mmに作製した吸収体の中央部を切断し、100×100mmの吸収体を得た。切断面を真下にして、振幅5cmで1回/1秒の速度で20回振動を与えたとき、切断面からの落下したポリマーの量を測定した。以下の判断基準に従って高吸収ポリマーの埋没担持性を評価した。
混合した高吸収ポリマーのうち、
○:脱落した高吸収ポリマーの割合が10%以下である。
△:脱落した高吸収ポリマーの量が10%を超え、25%以下である。
×:脱落した高吸収ポリマーの量が25%を超える。
(2)ウエット時
100×200mmに切断した吸収体全面に、生理食塩水200gをほぼ均等に吸収させた後、静かに吸収体を持ち上げたとき、吸収体が破壊しないかどうかを目視判定した。 また、脱落した高吸収性ポリマーの重量を測定し、別途測定しておいた脱落した高吸収性ポリマー単位重量あたりの遠心保持量で除することで脱落した高吸収性ポリマーのドライ時の重量を算出する。さらに、高吸収性ポリマーの配合量との関係から脱落した高吸収性ポリマーの割合を算出する。なお、高吸収性ポリマーの配合量は、あらかじめ重量を測定しておいた分析対象の吸収体をアスコルビン酸の水溶液に浸漬させ、十分な時間日光暴露をして、高吸収性ポリマーを完全に分解させる。水洗と分解を繰り返し、高吸収性ポリマーが完全に溶解した後乾燥させ、前記分解前の吸収体重量の差から高吸収性ポリマーの配合量を見積もることができる。
○:脱落した高吸収ポリマーの割合が10%以下であり、吸収体の破壊がない。
△:脱落した高吸収ポリマーの割合が10%を超え、25%以下であり、吸収体の破壊がない。
×:脱落した高吸収ポリマーの割合が25%を超える、あるいは吸収体が破壊する。
〔柔軟性〕
ハンドルオ・メーターを用いて吸収体の柔軟性を評価した。ハンドルオ・メーターの測定値は、その数値が小さい程、装着しやすさやフィット性が良好であることを示す。ハンドルオ・メーターによる測定方法は次の通りである。JIS L1096(剛軟性測定法)に準じて測定を行う。幅60mmの溝を刻んだ支持台上に、長手方向に150mm、幅方向に50mm切断した吸収体を、溝と直交する方向に配置する。吸収体の中央を厚み2mmのブレードで押した時に要する力を測定する。本発明で用いた装置は、大栄科学精機製作所製、風合い試験機(ハンドルオ・メーター法)、HOM−3型である。3点の平均値を測定値とする。得られた測定値に基づき、以下の基準に従って柔軟性を評価した。
○:ハンドルオ・メーターの測定値が2N以下である。
△:ハンドルオ・メーターの測定値が2Nを超え、4N以下である。
×:ハンドルオ・メーターの測定値が4Nを超える。
〔ドライ感〕
得られたおむつに、水平状態で着色生理食塩水(着色は赤色1号を0.05%濃度で溶解させて調整した。)40gを5分間隔で3回注入した。吸収後の表面状態を10名の母親に目視観察させ、その印象を聞き取った。ドライ感は実施例1を基準に判定させた。更に、表面シートに残った液の量を測定した。始めに、印象を聞き取ったおむつの表面シートを剥がし重量を測定した(W1)。その後、ティッシュペーパーで表面シートに残った液を完全にふき取り、乾燥した表面シートの重量を測定した(W2)。液残り量は次式に従い算出した。
液残り量(g)=W1−W2
母親の印象および液残り量をもとに、以下の基準に従っておむつのドライ感を判断した。
○:6名以上の母親が、ドライ感があると答え、且つ液残りが0.3g以下である。
△:ドライ感があると答えた母親が過半数に達しないか、又は液残りが0.3gを超える。
×:半数以上の母親が、ドライ感がないと答え、且つ液残りが0.3gを超える。
Figure 2006297078
表1に示す結果から明らかなように、各実施例の吸収体は、比較例の吸収体よりも薄いものでありながら、吸収容量及び構造安定性は比較例の吸収体と同レベルであることが判る。また、各実施例の吸収体は、比較例の吸収体よりも柔軟であることが判る。更に各実施例のおむつは、比較例のおむつより、ドライ感の高いものであることが判る。
〔実施例4〕
本実施例は、長繊維のウエブの捲縮率と高吸収性ポリマーの担持率との関係を調べたものである。この長繊維の繊維径は2.1dtexであった。この長繊維のトウを、伸長下に搬送し空気開繊装置を用いて開繊し開繊ウエブを得た。次いで、多数の円盤が軸周りに所定間隔おきに組み込まれたロールと、平滑な受けロールとの間に開繊ウエブを通して、該ウエブを梳いた。その後、ウエブを幅100mmに調節し、その搬送速度を減速した状態でバキュームコンベア上に転写し、当該バキュームコンベア上でのウエブの張力を緩めて捲縮を発現させた。ウエブの張力を制御し、種々の捲縮率を有するアセテート長繊維のウエブを調整した。これによって長繊維間の空間を広げ、高吸収性ポリマーを入り込ませ易くし、またウエブを厚くして高吸収性ポリマーの埋没担持性を向上させた。ウエブ上に高吸収性ポリマーを散布し、該高吸収性ポリマーを開繊ウエブ中に埋没担持させた。ウエブの坪量は26g/m2であった。ポリマーの散布坪量は260g/m2であった。ポリマーとしては平均粒径330μmの塊状タイプのものを用いた。このようにして得られた吸収体について、前述の構造安定性(ドライ時)試験を行った。試験後にウエブ中に担持されていた高吸収性ポリマーの重量を、試験前にウエブ内に配合されていた高吸収性ポリマーの重量で除して100を乗じ、得られた値を高吸収性ポリマーの担持率(%)とした。結果を表2に示す。
Figure 2006297078
本発明の吸収性物品における吸収体の一実施形態を示す模式図である。 図1に示す吸収体による液の吸収メカニズムを説明する図である。 本発明の吸収性物品の一実施形態における幅方向断面の構造を示す模式図である。 本発明の吸収性物品の他の実施形態における幅方向断面の構造を示す模式図(図3相当図)である。 図1に示す吸収体を製造するために好ましく用いられる装置を示す模式図である。 本発明の吸収性物品における吸収体の他の実施形態を示す模式図(図1相当図)である。 本発明の吸収性物品における吸収体の他の実施形態を示す模式図(図1相当図)である。
符号の説明
1 吸収体
2 ウエブ
2a 高繊維量領域
2b 低繊維量領域
3 高吸収性ポリマー
4 パルプの積繊層
5 繊維シート

Claims (6)

  1. 捲縮した長繊維が一方向に配向してなるウエブと、該ウエブ中に埋没担持されている高吸収性ポリマーとを含む吸収体を備えた吸収性物品であって、
    前記ウエブは、前記長繊維の配向方向にそれぞれ延びる高繊維量の領域と低繊維量の領域とを有し、これらの領域が該長繊維の配向方向と直交する方向に交互に並列している吸収性物品。
  2. 前記高吸収性ポリマーの坪量が、前記長繊維の配向方向と直交する方向において、略均一になっている請求項1記載の吸収性物品。
  3. 高吸収性ポリマーは、前記ウエブ中において、該ウエブの肌非対向面側に偏倚して埋没担持されている請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 前記長繊維はその捲縮率が10〜90%である請求項1ないし3の何れかに記載の吸収性物品。
  5. 前記吸収体が、高吸収性ポリマーを含むか又は含まないパルプの積繊層上に、前記ウエブを重ねた構造を有している請求項1ないし4の何れかに記載の吸収性物品。
  6. 前記ウエブが、繊維材料のシートで被覆されている請求項1ないし5の何れかに記載の吸収性物品。
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