JP2006296395A - 飲料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】イソフラボン誘導体のサイクロデキストリン包接物の経時的な溶解性の低下を抑え、経時安定性に良好で、嗜好的にも優れた飲料組成物を提供する。
【解決手段】イソフラボン誘導体のサイクロデキストリン包接物及び有機酸並びにその塩を配合した酸性飲料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、骨粗鬆症、歯周病などの骨吸収が関与する疾患の予防、症状の緩和に有効なイソフラボン誘導体(特にアグリコン)のサイクロデキストリン包接物を含む飲料に関する。詳細には、サイクロデキストリンで包接することによりイソフラボン誘導体の溶解性を改善させ、さらに有機酸またはその塩を添加することによりその溶解性をさらに向上、安定化させたイソフラボン誘導体の包接物を含む飲料組成物に関する。
イソフラボン誘導体はマメ科の植物に含まれるフラボノイドの1つである。イソフラボン誘導体の作用として、一般にエストロジェン作用、抗酸化作用、抗菌作用や、骨粗鬆症、高脂血症などの疾患に対する有効性が知られている。そのため、イソフラボン誘導体を多く含む可食性組成物を摂取することは、健康維持、増進において重要な役割を果たす。例えば、特開平11−024910号公報では歯周病進行予防食品について開示されている。
植物中のイソフラボン誘導体は、そのほとんどが配糖体として存在している。しかし、配糖体が体内へ吸収されるときには、腸内細菌のβ−グルコシダーゼの作用を受け、糖が解離したアグリコンの形となる。従って、配糖体の形ではなく、アグリコンとして摂取する方が、効率良く体内へ吸収され、生物学的活性が高いと考えられる。
しかし、イソフラボン誘導体は一般的に水に対し難溶解性を示し、特にアグリコンの溶解性は配糖体と比較しても極めて低い。アグリコンは、アルカリ性ではやや溶解するが、防腐性の面から一般的に多いpH4以下の酸性域では、さらにその溶解性が低下する。また、骨粗鬆症の予防などの健康維持が期待できる摂取量として1日当たり5〜40mgの摂取が必要であるので、食品への適用範囲を広めるためにもその溶解性を改善させる必要がある。
これまでにもイソフラボン誘導体の水溶性化あるいは可溶化について広く研究が行われている。例えば、イソフラボンをサイクロデキストリンで包接し可溶化する方法については、特開平09−309902号公報、特開平10−298175号公報では、サイクロデキストリンで包接したイソフラボン包接物を製造させる方法が開示されている。しかし、これらの方法によって得られるイソフラボン包接物を水に溶解した場合、経時的に沈殿物が生じたり、液が褐色に着色するなどの不具合がしばしば発生した。
特開平11−024910号公報 特開平09−309902号公報 特開平10−298175号公報
従って、本発明の目的には、pH4以下の条件下において、イソフラボン包接物の溶解性を向上、経時安定性に優れた飲料組成物を提供することにある。
本発明者は、この課題を解決するために鋭意検討を重ね、遂にpH4以下の飲料において、イソフラボン誘導体のサイクロデキストリン包接物の経時的な溶解性の低下を抑え、経時安定性に優れた飲料組成物を見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は、イソフラボン誘導体のサイクロデキストリン包接物および酸味料として有機酸を含有する飲料組成物であって、下記の飲料を提供するものである。
項1 イソフラボン誘導体のサイクロデキストリン包接物、および有機酸またはその塩を含有する飲料組成物。
項2 イソフラボン誘導体がイソフラボンアグリコンである請求項1に記載の飲料組成物。
項3 有機酸が乳酸、酒石酸とそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である請求項1、請求項2の何れか1項に記載の飲料組成物。
本発明の飲料組成物は乳酸あるいは酒石酸を含むことにより、イソフラボン包接物の経時的な溶解性低下が抑えられ、イソフラボンの推奨量を摂取できるともに、嗜好的にも優れた飲料として摂取することができる。
以下、本発明の飲料について詳細に説明する。
本発明に用いるイソフラボン誘導体の包接物は、特に限定されるものではないが、中でもゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインのアグリコンの包接物が好ましく、特にゲニステインとダイゼインの比が1:0.6〜1:1のアグリコン混合物の包接物が最も好ましい。この場合、前記ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインのアグリコンだけでなく大豆からの抽出物、その粗精製物を用いることができる。イソフラボン誘導体の包接物は、それぞれ1種あるいは2種以上を混合して用いることができ、商業的に入手できるソイアクト−T(キッコーマン製)などを用いてもよく、あるいは飲料組成物の製造工程の中で、イソフラボン誘導体とサイクロデキストリンとから製造することもできる。この場合、前記ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインのアグリコンだけでなく大豆からの抽出物、その粗精製物を用いることができる。サイクロデキストリンはα、β及びγ−サイクロデキストリンの何れであってもよいが、中でもβ−サイクロデキストリンが好ましい。
イソフラボンを包接する方法は常法で得られるが、例えば本発明の飲料組成物の製造工程において、予めβ−サイクロデキストリンに水を添加したペーストを作成し、イソフラボン誘導体1種あるいは2種以上を加えて充分に混練する方法や、熱水アルコール溶液やアルカリ溶液に溶解させ乾燥させる方法により包接物を得ることができる。
本発明の飲料組成物に使用するイソフラボン包接物のイソフラボン含量は包接物全量に対して3〜6重量%とすることができる。また、飲料組成物にはイソフラボン包接物を組成物全量に対して0.18〜1.5w/v%配合することができ、0.2〜1.2w/v%が好ましい。配合量が0.18w/v%に満たないと、骨粗鬆症や歯周病などの疾患の予防、改善が期待できるイソフラボン量摂取のために、多量の飲料組成物を摂取する必要性が生じ、1.5w/v%を超えて配合してもそれ以上の効果は期待できない。従って、イソフラボンの有効性が期待できる5〜40mgが適量な摂取量である。
本発明に用いる有機酸は、特に限定するものではないが、乳酸、酒石酸とそれらの塩が好ましい。有機酸およびその塩の配合量は組成物全量に対して0.2〜4.0w/v%、特に0.25〜2.5w/v%が好ましい。配合量が0.2w/v%に満たないとイソフラボン包接物の沈殿物の抑制効果が十分に発揮することができず、4.0w/v%を超えると香味的に好ましくない。
本発明の飲料組成物は、常法により製造でき、pH2.5〜4.0、特にpH3.0〜4.0を有する酸性の飲料で提供され、イソフラボン量として一日5〜40mgの摂取できるよう飲用するのが好ましい。
本発明の飲料組成物には、上記必須成分以外に、飲料に用いられる成分が本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。例えば酸味料としてクエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、フマール酸とその塩など、強化剤としてグルコン酸カルシウム、アスコルビン酸、ビタミンD、ビタミンKなど、甘味料としてエリスリトール、スクラロース、ステビア抽出物、還元水飴など、香味料としてエチルマルトールなど、保存料として安息香酸ナトリウムなど、着色料としてコチニール色素などが例示できる。
次に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また、特に断らない限り〔%〕は〔w/v%〕を示す。
1.試料の調製
試料の調製法について、表1、実施例1を用いて説明する。加温した精製水の一部に、秤取したイソフラボン包接物、乳酸(50%水溶液)、エリスリトールなどを順次加えて完全に溶解させた後、再び精製水を加え加熱殺菌した後に精製水で100mlとし試料を得た。
2.イソフラボン包接物の溶解性確認試験
1.2w/v%イソフラボン包接物(イソフラボン含量4.0%)を作成した。
この溶液に表1に示す各有機酸をpH3.5となるように添加し、完全に溶解させた。(試料1〜試料6)それら試料を5℃に1ヶ月間放置させた後のpHの測定、沈殿の有無、および上清中のイソフラボン量を高速液体クロマトグラフィー法を用い定量した。なお、比較対照として有機酸無配合の試料7、塩酸でpHを3.5に調整した試料8を調製して、同様に評価した。
評価方法を示す。
沈殿物評価は2名の観察にて行い、次の基準で評価した。
− : 沈殿物が観察できない。
+ : 細かい沈殿物が観察できる。
++: 細かい沈殿物が底に薄く観察できる。
+++: 沈殿物が底一面を覆う程度に観察できる。
イソフラボン量(ゲニステイン量とダイゼイン量の和)の定量は高速液体クロマトグラフィー法(カラム:J’sphre ODS−M80、移動相:アセトニトリル:水:酢酸=280:719:1、波長:254nm)で行い、試料7のイソフラボン量に対する比率で示した。溶解性評価は上清中のイソフラボン量および沈殿物観察結果で行い、次の基準で評価した。
○:イソフラボン量≧90%、および沈殿物観察(−)
△:90%<イソフラボン量≧70%および沈殿物観察(+、++)
×:イソフラボン量<70%、および/または沈殿物観察(+++)
Figure 2006296395
イソフラボン包接物の溶解性確認試験において、イソフラボン包接物の溶解性への各有機酸による影響を比較すると、乳酸および酒石酸の添加により沈殿物が抑えられていることが確認された。つまり、pH4以下において乳酸と酒石酸はイソフラボン包接物の溶解性低下を防ぎ、安定化に作用することが示された。
Figure 2006296395
さらに、実施例7、及び実施例8において、ドリンク処方でのイソフラボン包接物の溶解性を確認した。これらの処方では、沈殿物は認められず、イソフラボンの溶解性も保たれていた。
実施例7:飲料
成分 配合量
イソフラボン包接物(イソフラボン含量4%) 0.3
酒石酸ナトリウム 0.5
エリスリトール 7.0
クエン酸 0.4
還元水飴 3.0
香料 0.2
安息香酸ナトリウム 0.07
精製水 残量
合計 100.0
実施例8:飲料
成分 配合量
イソフラボン包接物(イソフラボン含量4%) 0.3
乳酸カルシウム/グルコン酸カルシウム非晶質体 5.0
酒石酸 1.5
クエン酸 0.4
エリスリトール 7.0
ステビア抽出物 0.02
還元水飴 3.0
香料 0.2
着色料 適量
安息香酸ナトリウム 0.07
精製水 残量
合計 100.0

Claims (3)

  1. イソフラボン誘導体のサイクロデキストリン包接物、および有機酸またはその塩を含有する飲料組成物。
  2. イソフラボン誘導体がイソフラボンアグリコンである請求項1に記載の飲料組成物。
  3. 有機酸が乳酸、酒石酸とそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である請求項1、請求項2の何れか1項に記載の飲料組成物。
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