JP2006295047A - 半導体装置および電子装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 螺旋状またはつづら折り形状の誘導素子を備えた半導体装置において、曲がり配線部における高周波電流の集中を抑制し、Q値が高く、特性の優れた誘導素子を有する半導体装置、及びこの半導体装置を備えてなる電子装置を提供する。
【解決手段】 本発明の半導体装置は、少なくとも一方の面に電極が設けられた基板と、該基板の一方の面を被覆する絶縁樹脂層と、該絶縁樹脂層上に配され、前記電極と電気的に接続された配線層とを備えた半導体装置であって、前記配線層は、略直線状の複数の主配線部と、該主配線部が直列をなすように、隣接する主配線部同士を接続する曲がり配線部とを有する螺旋形状またはつづら折形状の誘導素子を構成し、前記曲がり配線部は、R形状またはC形状であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シリコンウエハ等の半導体基材やポリイミド等の樹脂基材の上に誘導素子を備えた半導体装置、及びこの半導体装置を備えてなる電子装置に関する。
近年、高周波半導体素子を作製する際、インピーダンスマッチング用インダクタの実装面積低減のため、半導体基板上の配線を用いた螺旋形状のインダクタ(以下スパイラルインダクタ)が形成されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このようなインダクタを、シリコンのような抵抗値の低い半導体基板上に、アルミニウム配線を用いて形成すると、シリコン基板からの距離が近い位置に形成されるため、過電流損失が大きくなり、高いQ値を得ることができない。
そこで、ウエハレベルCSP(chip scale package)の銅めっき再配線プロセスと、厚膜樹脂を絶縁層として利用することで、インダクタと基板間の距離を大きくとり、かつ配線抵抗を小さくすることにより、高いQ値を実現したインダクタが開発されている(例えば、特許文献2参照)。
図7、図8は、スパイラルインダクタを有する従来の半導体装置の一例を示す図面であり、図7は平面図、図8(a)は部分切り欠き斜視図、図8(b)は図7のB−B線に沿う断面図である。
この半導体装置20においては、集積回路2が形成された半導体基板1の表面に集積回路(IC)の電極3およびパッシベーション膜4(絶縁膜)が形成されている。さらに、半導体基板1のパッシベーション膜4の上には、第一の絶縁樹脂層21が設けられ、この第一の絶縁樹脂層21の上には、電極3と電気的に接続された下部配線層22が形成されている。さらに半導体基板1および下部配線層22の上を覆うように第二の絶縁樹脂層23が形成されており、この第二の絶縁樹脂層23の上に、誘導素子としてスパイラルインダクタ25を有する上部配線層24が設けられている。スパイラルインダクタ25を形成する上部配線層24の少なくとも一端は、下部配線層22を介して集積回路2の電極3と電気的に接続されている。
特開2002−24657号公報 特開2002−57291号公報
このようなスパイラルインダクタには、通常、銅めっき配線を円形状もしくは角型形状に数回巻いたパターンが用いられるが、同一スペース内に円形と角型のインダクタを同じ配線幅、巻き数で形成した場合、円形よりも角型のほうが配線部分の面積が大きくとれるため(円形の場合、内接円になるため、四角のほうが面積は大きい)、電流が周回して流れる領域が広くなり、インダクタンス値は大きくなる。
例えば、従来の角型スパイラルインダクタでは、曲がり配線部は略直角に形成されている。図9は、略直角の曲がり配線部における電流を模式的に示す図である。図9から明らかなように、この曲がり配線部において、高周波領域では、電流(三角マークにて表示)は全長の短い内側に集中し、外側にはほとんど流れない傾向がある。このため、曲がり配線部においてインピーダンス値が不連続となり、反射が起こやすく、ひいては特性を劣化させる要因の一つとなっていた。そのため、略直角の曲がり配線部を数多く有する角型スパイラルインダクタでは、円形スパイラルインダクタと比較して高いQ値(Quality Factor)が得られにくいという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、螺旋状またはつづら折り形状の誘導素子を備えた半導体装置において、曲がり配線部における高周波電流の集中を抑制し、Q値が高く、特性の優れた誘導素子を有する半導体装置、及びこの半導体装置を備えてなる電子装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る半導体装置は、少なくとも一方の面に電極が設けられた基板と、該基板の一方の面を被覆する絶縁樹脂層と、該絶縁樹脂層上に配され、前記電極と電気的に接続された配線層とを備えた半導体装置であって、前記配線層は、略直線状の複数の主配線部と、該主配線部が直列をなすように、隣接する主配線部同士を接続する曲がり配線部とを有する螺旋形状またはつづら折形状の誘導素子を構成し、前記曲がり配線部は、R形状またはC形状であることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る半導体装置は、請求項1において、前記主配線部の線幅と前記曲がり配線部の線幅とが略等しいことを特徴とする。
本発明の請求項3に係る半導体装置は、請求項1または2において、前記曲がり配線部の内側を円弧として近似した際の半径が、使用周波数における表皮深さよりも大きいことを特徴とする。
本発明の請求項4に係る電子装置は、請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の半導体装置を備えたことを特徴とする。
本発明に係る半導体装置(請求項1)では、螺旋状またはつづら折り形状の誘導素子の曲がり配線部をR形状またはC形状とすることで、該曲がり配線部において内側への電流集中を軽減することができる。これにより、曲がり配線部におけるインピーダンスの変化を抑制し、電流損失の低減が図れるので、Q値が高く、特性の優れた誘導素子を有する半導体装置が得られる。
本発明に係る電子装置(請求項4)は、上述したQ値が高く、特性の優れた誘導素子を有する半導体装置を備えているので、通信信号の安定化や高品質化などを著しく図ることが可能となる。
以下、本発明に係る半導体装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、図2は、本発明の半導体装置の一例を示す図面であり、図1は平面図、図2(a)は部分切欠き斜視図、図2(b)は図1のA−A線に沿う断面図である。
この半導体装置10においては、集積回路2が形成された半導体基板1の表面に集積回路2(IC)の電極3およびパッシベーション膜4が形成されている。
さらにこの半導体装置10は、半導体基板1のパッシベーション膜4上に設けられた第一の絶縁樹脂層11と、この第一の絶縁樹脂層11の上に設けられた第一の配線層12と、第一の絶縁樹脂層11および第一の配線層12を覆うように設けられた第二の絶縁樹脂層13と、第二の絶縁樹脂層13上に設けられた第二の配線層14とを有する。
半導体基板1は、少なくとも表層が絶縁部(図示略)をなす基材1aの一面上に、例えば電極3としてAlパッドを設け、さらにその上にSiNまたはSiO等のパッシベーション膜4(不動態化による絶縁膜)を形成してなるものである。このパッシベーション膜4には、電極3と整合する位置に開口部5が設けられており、この開口部5を通して電極3が露出されている。パッシベーション膜4は、例えばLP−CVD法等により形成することができ、その膜厚は例えば0.1〜0.5μmである。
ここでは、スパイラルインダクタ15を有する配線層を、集積回路2と電気的に接続するための電極3が、半導体基板1の表面の2箇所に設けられている。
前記スパイラルインダクタ15は、略直線状の複数の主配線部15aと、該主配線部15aが直列をなすように、隣接する主配線部15a同士を接続する曲がり配線部15bとから構成される角型の螺旋形状を有している。
ここで上述したように、従来の曲がり配線部が直角形状の角型スパイラルインダクタでは、該曲がり配線部において、高周波電流は内側に集中し、外側ではほとんど流れない。これにより曲がり配線部においてインピーダンスが変化することで電流損失が起こり、Q値が低下してしまうという問題があった。
そこで本発明では、角型スパイラルインダクタ15において、曲がり配線部15bをR形状またはC形状としている。ここで、R形状とは、略円弧状のことを意味する。また、C形状とは、複数の角部を有する多角形状のことを意味する。
図1および図2では、曲がり配線部15bをR形状とした場合を示している。
スパイラルインダクタ15の曲がり配線部15bをR形状またはC形状にすることで、該曲がり配線部15bにおいて、内側への電流集中を抑制することができる。これにより、曲がり配線部15bにおけるインピーダンスの変化を抑制し、電流損失を低減させることができる。その結果、従来の誘導素子よりもQ値を向上させることができる。
また、スパイラルインダクタ15において、主配線部15aの配線幅Tと曲がり配線部15bの配線幅tとが略等しくなされていることが好ましい。主配線部15aの配線幅と曲がり配線部15bの配線幅とを略等しいものとすることで、主配線部15aと曲がり配線部15bとの間での抵抗変化をより少なくすることができる。
半導体基板1は、シリコンウエハ等の半導体ウエハでもよく、半導体ウエハをチップ寸法に切断(ダイシング)した半導体チップであっても構わない。半導体基板1が半導体チップである場合は、まず、半導体ウエハの上に、各種半導体素子やIC、誘導素子等を複数組、形成した後、チップ寸法に切断することで複数の半導体チップを得ることができる。
第一の絶縁樹脂層11は、各電極3と整合する位置に形成された第一の開口部1616を有する。第一の絶縁樹脂層11は、例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等からなり、その厚さは例えば1〜30μmである。
第一の絶縁樹脂層11は、例えば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などにより形成することができる。また第一の開口部16は、例えばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより形成することができる。
第二の絶縁樹脂層13は、半導体基板1の表面に沿う位置が第一の開口部16とは異なる位置に開口した第二の開口部17を有する。これら第二の開口部17は、それぞれ第二の配線層14の端部に整合する位置に形成されている。
第一の配線層12は、電極3とスパイラルインダクタ15とを電気的に接続する再配線層(アンダーパス)である。第一の配線層12の一端部は、第一の開口部16を介して第一の絶縁樹脂層11を貫通し、電極3と電気的に接続されている。また、第一の配線層12の他端部は、第二の開口部17と整合する位置まで延びている。
第一の配線層12の材料としては、例えばCu等が用いられ、その厚さは例えば1〜20μmである。これにより十分な導電性が得られる。第一の配線層12は、例えば、電解銅めっき法等のめっき法、スパッタリング法、蒸着法、または2つ以上の方法の組み合わせにより形成することができる。
第二の配線層14は、誘導素子としてのスパイラルインダクタ15を有する。第二の配線層14の端部は、第二の開口部17を介して第二の絶縁樹脂層13を貫通しており、それぞれ、第一の配線層12の他端部と接続されている。
第二の配線層14の材料としては、例えばCu等が用いられ、その厚さは例えば1〜20μmである。これにより十分な導電性が得られる。第一の配線層12は、例えば、電解銅めっき法等のめっき法、スパッタリング法、蒸着法、または2つ以上の方法の組み合わせにより形成することができる。
図3は、R形状を有する曲がり配線部15bを拡大して示す図である。
図3において、曲がり配線部15bの内側を円弧として近似した際の半径rが、使用周波数における表皮深さよりも大きいことが好ましい。
また、内側の半径rは、曲がり配線部15bの配線幅tの0.1倍以上であり、かつ、主配線部15aの内側で短辺の長さL(図1参照)の0.5倍よりも小さいことが好ましい。すなわち、0.1t≦r<0.5Lの範囲が好適である。rが0.1t倍より小さい場合には 略直角に近い形状となりQ値の向上が望めない。0.5Lの場合には略丸形と同一形状になり、配線部分の面積が小さくなるので芳しくない。
また、曲がり配線部15bの外側を円弧として近似した際の半径rは、内側の半径rに配線幅tを加えた値であることが好ましい。すなわち、r=(r+t)である。この条件を満たすことにより、曲がり配線部におけるインピーダンス不整合を低減することができる。
曲がり配線部15bにおいて、内側の半径rおよび外側の半径rを上記のように規定することで、曲がり配線部15bにおける内側への電流集中をより効果的に抑制することができるとともに、主配線部15aと曲がり配線部15bとの間での抵抗変化をより少なくすることができる。
図1、図2では、曲がり配線部15bがR形状を有する場合を示したが、C形状を有する曲がり配線部15bを拡大して図4に示す。図4においては、2段階で折り曲げた場合を例に挙げて示している。この場合、配線の曲がり角θ、θ、θの少なくとも一つが135°以上であることが好ましい。すなわち、この構成を満たすことにより、二段階以上(多段階)の折り曲げが実現するので望ましい。
図1、図2では、半導体基板上の誘導素子1つに対応する部分のみを図示したが、本発明は、複数の誘導素子を備えた半導体装置に適用することもできる。また、図示しないが、本発明の半導体装置10には、第二の絶縁樹脂層13および第二の配線層14の上に、必要に応じて、少なくとも第二の配線層14を封止する封止層、バンプ等の外部への出力端子等の構造物を付加することができる。
封止層(図示略)は、例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等からなり、その厚さは例えば10〜15μmである。封止層には、外部への端子を出力するための開口部が設けられる。
次に、図1.図2に示す半導体装置の製造方法について説明する。
まず、図5(a)に示すように、集積回路2、電極3およびパッシベーション膜4を有する半導体基板1を用意する。この半導体基板1は、上述したように、基材1aの一面上に電極3とパッシベーション膜4が形成されており、パッシベーション膜4には、電極3と整合する位置に開口部5が設けられた半導体ウエハである。
次いで、図5(b)に示すように、半導体基板1のパッシベーション膜4の上に、第一の開口部16を有する第一の絶縁樹脂層11を形成する。
このような第一の絶縁樹脂層11は、例えば上記樹脂からなる膜を例えば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などによってパッシベーション膜4の全面に成膜した後、例えばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより、電極3と整合する位置に第一の開口部16を形成することによって形成することができる。
次いで、図5(c)に示すように、第一の絶縁樹脂層11の上に第一の配線層12を形成する。この第一の配線層12を所定の領域に形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば国際公開第00/077844号公報に記載された方法を用いることができる。
ここで、第一の配線層12を形成する好適な方法の一例について説明する。
まず、スパッタリング法等により、電解めっき用の薄いシード層(図示略)を第一の絶縁樹脂層11上の全面または必要な領域に形成する。シード層は、例えばスパッタリング法により形成されたCu層およびCr層からなる積層体、またはCu層およびTi層からなる積層体である。また、無電解Cuめっき層でもよいし、蒸着法、塗布法または化学気相成長法(CVD)等により形成された金属薄膜層であってもよいし、上記の金属層形成方法を組み合わせてもよい。
次に、シード層の上に、電解めっき用のレジスト膜(図示略)を形成する。このレジスト膜には第一の配線層12の形成すべき領域に開口部を設け、該開口部において、前記シード層を露出させておく。レジスト膜は、例えば、フォトリソグラフィ技術によるパターニング、フィルムレジストをラミネートする方法、液体レジストを回転塗布する方法等により形成することができる。
そして、前記レジスト膜をマスクとして露出したシード層上に、電解めっき法等により、Cu等から構成された第一の配線層12を形成する。このように、所望の領域に第一の配線層12が形成された後、不要なレジスト膜およびシード層はエッチングにより除去し、第一の配線層12が形成された領域以外の部分では第一の絶縁樹脂層11が露出されるようにする(図5(c)参照)。
次いで、図5(d)に示すように、第一の絶縁樹脂層11および第一の配線層12の上を覆うように第二の絶縁樹脂層13を形成する。
このような第二の絶縁樹脂層13は、例えば上記樹脂からなる膜を例えば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などによって第一の絶縁樹脂層11および第一の配線層12の全面を覆うように成膜した後、例えばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより、第一の配線層12の他端部と整合する位置に第二の開口部17を形成することによって形成することができる。
次いで、図5(e)に示すように、第二の絶縁樹脂層13の上に、誘導素子としてスパイラルインダクタ15を有する第二の配線層14を形成する。
第二の配線層14を所定の領域に設ける方法は、第一の配線層12を設ける方法とほぼ同様に行うことができるので、詳しい説明は省略するが、スパイラルインダクタ15のレジストパターンをフォトリソグラフィ等により形成する工程で、曲がり配線部にR形状またはC形状を持たせたパターンを有するフォトマスクを用いることで、曲がり配線部にR形状またはC形状を有する形状のフォトレジストパターンが得られる。この後に電解銅めっきを行い、シード層を除去する。これにより、曲がり配線部15bがR形状またはC形状を有するスパイラルインダクタ15が得られる。
第二の配線層14上に封止層を設ける場合は、例えば、感光性ポリイミド樹脂等の感光性樹脂をフォトリソグラフィ技術によりパターニングすることによって、所望の位置に開口部を有する封止層を形成することができる。なお、封止層の形成方法は、この方法に限定されるものではない。
封止層の形成後、前記誘導素子などの各種構造物が形成された半導体ウエハを所定の寸法にダイシングすることにより、前記誘導素子がパッケージ化された半導体チップを得ることができる。
半導体装置10では、角型スパイラルインダクタ15において、曲がり配線部15bをR形状またはC形状としている。
このため、該曲がり配線部15bにおいて、内側への電流集中を抑制することができる。その結果、半導体装置10では、曲がり配線部15bにおけるインピーダンスの変化が抑制されて電流損失が減り、従来の誘導素子よりもQ値を向上させることができる。
特に、巻き数の多いインダクタでは、直角曲がり部の数が多くその損失が大きいため、直角曲がり部での損失低減の効果が大きく、従来の角型インダクタよりも高いQ値を得ることができる。
本発明によるスパイラルインダクタ15の形状は四角形状に近いため、同一の実装スペースにおいて円形よりもインダクタ部分の面積を広く取ることができるため、従来の円形スパイラルインダクタよりも高いインダクタンス値を得ることができる。
なお、上述した実施の形態では、誘導素子として、略螺旋形状のインダクタを備えた半導体装置を例に挙げて説明してきたが、本発明は、誘導素子としてつづら折れ形状のインダクタを備えた半導体装置についても適用することができる。
つづら折れ形状のインダクタにおいて、その曲がり配線部をR形状またはC形状とする。これにより、該曲がり配線部において、内側への電流集中を抑制することができる。その結果、この半導体装置では、曲がり配線部におけるインピーダンスの変化が抑制されて電流損失が減り、従来の誘導素子よりもQ値を向上させることができる。
次に、上記実施形態の半導体装置を備えた電子装置の例について説明する。
電子装置としては、例えば、アンテナ装置、該アンテナ装置を内蔵し無線通信を行う携帯電話端末、PDA、ノートブック型パソコン、非接触ICカード等が挙げられる。
前記アンテナ装置としては、例えば、コイルの電磁誘導を利用して受電する、磁界型のオンチップアンテナ装置が挙げられる。このアンテナ装置に、上記実施形態の半導体装置を搭載することで、Q値の高いアンテナとすることができる。アンテナのQ値が高いと、帯域幅は狭くなるが、受電効率が向上する。これにより優れた特性を有するアンテナ装置および電子装置を実現することができる。
(実施例)
図1、図2に示すように、シリコン基板である半導体基板1と、ポリイミド樹脂からなる第一の絶縁樹脂層11と、Cuからなる第一の配線層12と、ポリイミド樹脂からなる第二の絶縁樹脂層13と、誘導素子としてスパイラルインダクタ15を有するCuからなる第二の配線層14とを有する半導体装置10を作製した。
第一および第二の絶縁樹脂層11、13の厚さは10μmとした。第一の配線層12の幅は20μmとした。
第二の配線層14において、スパイラルインダクタ15は、曲がり配線部15bがR形状をなしており、当該Rの半径は、内側で20μm、外側で40μmとした。また、配線幅は、直線の主配線部15aとR部分とで等しく20μmとした。また、スパイラルインダクタ15は、配線間隔が10μmで、巻き数は3.5とした。
この半導体装置10における周波数とQ値の関係を測定した。
また、比較例として、スパイラルインダクタの曲がり配線部が略直角であること以外は実施例1と同様に半導体装置を作製し、その周波数とQ値の関係を測定した。結果を図6に示す。
図6において、実線は実施例、点線は比較例の結果である。両者を比較すると、同等のインダクタンス値で、曲がり配線部15bをR形状とした実施例のほうがより高いQ値であることがわかる。
本発明は、例えば誘導素子がアンテナコイルとして機能する非接触ICタグ用半導体装置など、誘導素子を有する各種半導体装置に適用できる。
本発明の半導体装置の一例を示す平面図である。 (a)図1に示す半導体装置の部分切欠斜視図であり、(b)図1に示す半導体装置の要部を示す断面図である。 R形状を有する曲がり配線部を拡大して示す平面図である。 C形状を有する曲がり配線部を拡大して示す平面図である。 (a)〜(e) 図1に示す半導体装置の製造方法の一例を工程順に示す模式的断面図である。 試験結果を示すグラフである。 従来の半導体装置の一例を示す平面図である。 (a)図7に示す半導体装置の部分切欠斜視図であり、(b)図7に示す半導体装置の要部を示す断面図である。 略直角の曲がり配線部における電流を模式的に示す図である。
符号の説明
1 半導体基板、3 電極、10 半導体装置、11 第一の絶縁樹脂層、12 第一の配線層、13 第二の絶縁樹脂層、14 第二の配線層、15 スパイラルインダクタ(誘導素子)、15a 主配線部、15b 曲がり配線部。

Claims (3)

  1. 少なくとも一方の面に電極が設けられた基板と、
    該基板の一方の面を被覆する絶縁樹脂層と、
    該絶縁樹脂層上に配され、前記電極と電気的に接続された配線層とを備えた半導体装置であって、
    前記配線層は、略直線状の複数の主配線部と、該主配線部が直列をなすように、隣接する主配線部同士を接続する曲がり配線部とを有する螺旋形状またはつづら折形状の誘導素子を構成し、
    前記曲がり配線部は、R形状またはC形状であることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記主配線部の線幅と前記曲がり配線部の線幅とが略等しいことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記曲がり配線部の内側を円弧として近似した際の半径が、使用周波数における表皮深さよりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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