JP2006294667A - 電界効果型トランジスタ - Google Patents
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Abstract
【課題】微細な有機電界効果型トランジスタを提供する。
【解決手段】絶縁層上にドレイン電極とソース電極を配置し、絶縁層下にゲート電極を配置し、絶縁層上に配置されたドレイン電極とソース電極の間に半導体活性層を有する電界効果型トランジスタであって、ドレイン電極および/またはソース電極が1本あるいは複数本のカーボンナノチューブからなり、かつ半導体活性層が有機半導体であることを特徴とする電界効果型トランジスタ。
【選択図】 なし
【解決手段】絶縁層上にドレイン電極とソース電極を配置し、絶縁層下にゲート電極を配置し、絶縁層上に配置されたドレイン電極とソース電極の間に半導体活性層を有する電界効果型トランジスタであって、ドレイン電極および/またはソース電極が1本あるいは複数本のカーボンナノチューブからなり、かつ半導体活性層が有機半導体であることを特徴とする電界効果型トランジスタ。
【選択図】 なし
Description
本発明は、カーボンナノチューブと有機半導体と用いた電界効果型トランジスタ素子に関する。
シリコンや化合物半導体に代わる半導体素材として有機物半導体が注目されている。無機材料からなる従来の半導体による半導体素子は、高真空下、高温下の製造プロセスが不可欠であるため、製造コストの低減が困難である。これに対し、有機物が半導体素材として使用できれば、半導体塗液の塗布によって半導体素子が形成可能となるので常圧下、常温下での製造プロセスが可能となり、大幅なコスト削減が期待される。さらに、素子の大面積化が容易となることも期待される。
一方で、有機半導体の素材としては、ペンタセンなどの低分子の縮合化合物を基板に蒸着させて半導体薄膜を得る方法や(特許文献1参照)、共役系高分子の溶液を基板に塗布して半導体薄膜を形成する方法が知られている(特許文献2参照)。これらの半導体素材を用いて電界効果型トランジスタ(以下FETという)の開発が現在活発に進められている。
特に共役系高分子を用いた半導体は常温、常圧でかつ塗布法による半導体素子の作製が可能なので、コスト的にも大面積化にもメリットがある。高分子半導体を半導体層としたFET素子の技術としては、主鎖が環状π共役系構造の共役系高分子からなるFET素子(特許文献3参照)や側鎖に液晶性置換基が導入された高分子からなるFET素子(特許文献4参照)などが開示されている。
他方、無機半導体をベースにしたFET素子では素子の微細化による高密度化が急速に進んでおり、その一つがナノメーターサイズのカーボンナノチューブ(以下CNTという)を半導体特性として利用したCNT−FETである。この方法では、ナノサイズのCNTをソース、ドレイン電極間に渡してFETを形成する(非特許文献1)。素子の微細化は素子の高密度化にとって好ましいだけではなく、高速駆動の上でも好ましい。
特開2001−94107号公報(0057段)
特開平5−326923号公報(0008段)
特開2003−119255号公報(特許請求の範囲)
特開平1−259563号公報(特許請求の範囲)
ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス誌(Japanese Journal of Applied Physics)誌、vol.42、No.2、p1288(2003年8月8日発行)
しかしながら、上記の無機半導体をベースにしたFETでは、半導体のCNTがナノサイズであってもソース電極やドレイン電極がフォトリソグラフィー法で作製されるため、CNTを使用しても従来と比べて大幅にFET素子の微細化を図ることはできない。さらに有機FETでは使用する有機半導体が一般に溶剤に溶解しやすいため、微細なスケールを形成するために使用されるフォトリソグラフィー法の適用が困難である。そこで本発明は、フォトリソグラフィー法を用いることなく微細化したミクロンサイズの有機FETの提供を目的とする。
すなわち本発明は上記目的を達成するため、以下の構成からなる。
(1)絶縁層上にドレイン電極とソース電極を配置し、絶縁層下にゲート電極を配置し、絶縁層上に配置されたドレイン電極とソース電極の間に半導体活性層を有する電界効果型トランジスタであって、ドレイン電極および/またはソース電極が1本のカーボンナノチューブからなり、かつ半導体活性層が有機半導体であることを特徴とする電界効果型トランジスタ。
(2)絶縁層上にドレイン電極とソース電極を配置し、絶縁層下にゲート電極を配置し、絶縁層上に配置されたドレイン電極とソース電極の間に半導体活性層を有する電界効果型トランジスタであって、ドレイン電極および/またはソース電極が2本以上のカーボンナノチューブからなり、かつ半導体活性層が有機半導体であることを特徴とする電界効果型トランジスタ。
(3)有機半導体が共役系高分子であり、共役系高分子がソース電極および/またはドレイン電極に電気的に接触していることを特徴とする上記(1)または(2)記載の電界効果型トランジスタ。
(4)共役系高分子がポリチオフェン系高分子である上記(3)記載の電界効果型トランジスタ。
(5)カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである上記(1)または(2)記載の電界効果型トランジスタ。
(1)絶縁層上にドレイン電極とソース電極を配置し、絶縁層下にゲート電極を配置し、絶縁層上に配置されたドレイン電極とソース電極の間に半導体活性層を有する電界効果型トランジスタであって、ドレイン電極および/またはソース電極が1本のカーボンナノチューブからなり、かつ半導体活性層が有機半導体であることを特徴とする電界効果型トランジスタ。
(2)絶縁層上にドレイン電極とソース電極を配置し、絶縁層下にゲート電極を配置し、絶縁層上に配置されたドレイン電極とソース電極の間に半導体活性層を有する電界効果型トランジスタであって、ドレイン電極および/またはソース電極が2本以上のカーボンナノチューブからなり、かつ半導体活性層が有機半導体であることを特徴とする電界効果型トランジスタ。
(3)有機半導体が共役系高分子であり、共役系高分子がソース電極および/またはドレイン電極に電気的に接触していることを特徴とする上記(1)または(2)記載の電界効果型トランジスタ。
(4)共役系高分子がポリチオフェン系高分子である上記(3)記載の電界効果型トランジスタ。
(5)カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである上記(1)または(2)記載の電界効果型トランジスタ。
本発明の電界効果型トランジスタ(FET)によれば、塗布法などの安価な方法によって格段に微細なFET素子が実現できる。また、本発明のFETはトランジスタ・アレイに適用でき、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置の駆動用に用いることができる。
本発明ではFETのソースおよび/またはドレイン電極に直径がナノサイズのCNTを用い、半導体活性層として有機半導体薄膜を用いる。本発明のFETは、絶縁層表面上に接して配置された1本のCNTまたは2本以上のCNTからなるソース電極およびドレイン電極と、これらの電極を覆ってCNTと電気的に接触し(以下これをCNT電極と呼ぶ)、かつCNT電極間の絶縁層表面上に非常に薄くかつ均一な厚みで形成された有機半導体を有している。この時の有機半導体の膜厚は数nmから数10nmの薄膜である。薄膜内の分子配向構造は薄膜の形成方法によって異なるが、どのような分子配向構造も本発明に使用される。分子配向構造が絶縁層面とほぼ平行なラメラ構造であることが、隣接する分子間での電子や正孔の移動がしやすく、移動度が向上するので好ましい。
本発明の有機FETでは、ソース電極および/またはドレイン電極に数nm幅のCNTが使用されるので、ナノサイズの電極幅とすることが可能となる。また、数ミクロン長のCNTを使用し、それらの電極間を数μmに設定することによって、ミクロンサイズのFETが可能となる。通常の有機FETでは電極幅はフォトリソグラフィー法によって作製されているので数十ミクロンのサイズであるが、本発明では従来の有機FETと比べて面積比で1/10から1/100程度のサイズにすることが可能となる。
本発明のFETにおいて、半導体活性層として用いる有機半導体は、共役系の発達した化合物であれば用いることができ、低分子量、あるいは高分子量のいずれも用いることができる。有機半導体の溶媒への溶解性や基板への塗布性の点から、より好ましくは共役系高分子が用いられる。ここでいう高分子とは、分子量800〜100000程度のものを指し、モノマーユニットが4〜20個並んだオリゴマー程度の分子量のものも含まれる。また、低分子量の共役系化合物とは、ペンタセンやペリレンなどの縮合環を有するものや、ポルフィリンやフタロシアニンなどの環状化合物を指す。分子量は200〜800程度が主であるが、大きな置換基を有する場合、分子量2000程度の化合物も含まれる。
さらに本発明で用いられる共役系高分子は、ソース電極および/またはドレイン電極に電気的に接触していることが好ましい。すなわち、半導体素子においては半導体層とソース電極および/またはドレイン電極との界面において、実用的な低電圧で電子又は正電荷を流せる状態にしておくことが好ましい。逆に、電極界面に電導率の低い界面活性剤が一面に付着している場合や、電極界面に絶縁性の酸化膜が形成されている場合、あるいは、半導体層の結晶性が高すぎて結晶界面と電極との抵抗が非常に大きくなっている場合や、半導体と電極とのショットキー障壁が著しく大きい場合には、半導体層と電極との電気的な接触が得られにくくなるので、好ましくはこれらの状態がないようにしておくことがよい。
本発明はCNTと有機半導体の溶液を絶縁層上に塗布することによって、有機半導体がCNTに絡んで電気的接触を保ちながらCNT電極間に薄膜を形成することができることに基づくものである。一般にCNTは繊維が数十本集まった束構造を取りやすく、さらにこの束構造は網目状に絡まっていることが多い。しかもCNTは溶媒への親和性が小さいので、CNTを溶液に分散しようとしても網目構造や束構造が解けず、分散が難しい。しかし、上記有機半導体の溶液中ではCNTは少なくとも網目構造はほぼ完全に解かれ、1本または数本の束構造状態にまでに解かれた状態で溶液中に分散できる。本発明のFETの電極として用いられるCNTは網目構造が解かれており、束構造は1本から数本、あるいは十数本の束の状態で用いることが好ましい。また、束構造の太さとしては100nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以下であることがよい。また、これらの1本、または2本以上の束構造のCNTの表面には有機半導体の分子鎖が絡まっており、隣接する1本、または2本以上からなる束構造のCNTは有機半導体分子で繋がっている。なお、ここでいう隣接とは、同一束内のCNTを指さず、有機半導体層を挟んで対向するCNTを指す。
絶縁層上に上記の溶液を塗布すると、CNTと有機半導体を有する複合体薄膜が得られる。CNTとCNTの間には、CNT間にまたがった有導半導体の薄膜が得られ、有機半導体はCNTと電気的に接触している。そこでこれらのCNTをそれぞれドレイン電極とソース電極とし、CNTのドレイン電極とソース電極間にある有機半導体薄膜を半導体活性層として用いることによってFET構造が作られる。ここでCNTは1本または2本以上の束からなるCNTのドレイン電極とソース電極として機能する。
本発明のFETを図1を用いて説明する。ゲート電極7上に絶縁層6が形成されたFET基板、絶縁層の表面には予めソース電極またはドレイン電極の取り出し電極5として用いる金属薄膜が電極パターン状に形成されている。ゲート電極上の絶縁層の上には、共役系高分子に分散しているCNT分散体薄膜があり、CNT電極とCNT電極の間には有機半導体の薄膜3がある。取り出し電極5上に乗ったCNT電極1がソース電極(またはドレイン電極)であり、CNT電極1と対向し、かつ取り出し電極に接していないCNT電極2がドレイン電極(またはソース電極)である。この対極電極(CNT電極1とCNT電極2)とその間に存在する有機半導体(例えば共役系高分子)薄膜、絶縁層6、ゲート電極7によってFETが形成される。
本発明のFETは、取り出し用電極にリード線を取りつけて接地したソース電極(またはドレイン電極)、すなわちCNT電極1を0電位とし、電圧を印加したスキャニングプローブ顕微鏡(SPM)のプローブをCNTに接触させることによってドレイン電極(またはソース電極)に電界Vsdを加え、FETとして機能させる。
次に、本発明のFETの作製について詳述する。本発明のFETを作製するには、先ず有機半導体として共役系高分子、例えばポリ−3−アルキルチオフェンなどを用い、その希薄な溶液中にCNTを分散してCNT分散液を作製する。次に、ゲート電極上に絶縁層が形成されたFET基板を作製する。具体例としては、アンチモンをドープしたシリコン基板(N++)をゲート電極としてその上にSiO2層を絶縁層とした基板や、プラスチック等の基板に金属膜を蒸着し、その上にSiO2などの絶縁層を設けたFET基板を用いる。絶縁層の表面には、予めソース電極またはドレイン電極の取り出し電極として用いる金属薄膜を、電極パターン状に形成しておく。金属薄膜は蒸着法やスパッタリング法によって行うことができ、例えば、まず薄いチタンの薄層を形成し、続いて金の膜を形成するなどの構成が用いられる。電極パターンの形成方法は、フォトレジストを用いたリフトオフ法や、あるいは、マスクを介してスパッタリングや真空蒸着を行って直接形成する方法などを用いることができる。
次にゲート電極上の絶縁層の上に前記分散液を塗布して、分散体薄膜を得る。分散体薄膜は、分散されたCNT電極と、CNT電極の間に形成される共役系高分子の薄膜で主に構成される。
走査型プローブ顕微鏡(SPM)で分散体薄膜を観察して、取り出し電極上に存在する電極1をソース電極(またはドレイン電極)とし、CNT電極1と対向しかつ取り出し電極に接していないCNT電極2をドレイン電極(またはソース電極)とする。
次に、ゲート電極に電圧Vgを印加させながらソース電極、ドレイン電極間の電流を測定することによって、FETの特性を評価することができる。
本発明で使用されるCNTはアーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等によって作製され、いずれの方法でもよい。カーボンナノチューブには1枚の炭素膜(グラッフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層カーボンナノチューブ(SCTN)、2層からなるカーボンナノチューブ(DWCNT)または3層以上の複数のグラッフェン・シートが同心円状に巻かれた複層カーボンナノチューブ(MWCNT)があるが、本発明にはSWCNT、DWCNT、MWCNTのいずれも使用することができる。上記の方法でCNTを作製する際には、同時にフラーレンやグラファイト、非晶性炭素が副生産物として生成され、またニッケル、鉄、コバルト、イットリウムなどの触媒金属も残存するので、これらの不純物を精製する必要がある。また、CNTは紐状に形成されるので、微細なFETを得るにはCNTを短繊維状にカットすることが好ましい。以上の不純物の精製や短繊維へのカットには、硝酸、硫酸などによる酸処理とともに超音波処理が有効であり、またフィルターによる分離を併用してCNTの長さを制御することも、使用するCNTの純度を向上させる上でさらに好ましい。本発明で用いられるCNTの直径は特に限定されないが、1nm以上、100nm以下、より好ましくは50nm以下が良好に使用される。
本発明ではカットしたCNTだけではなく、あらかじめ短繊維状に作製したCNTも好ましく使用できる。このような短繊維状CNTは例えば、基板上に鉄、コバルトなどの触媒金属を形成し、その表面にCVD法により700〜900℃で炭素化合物を熱分解し、CNTを気相成長させることによって基板表面に垂直方向に配向した形状で得られる。短繊維状CNTは基板から剥ぎ取るなどの方法で取り出すことができる。また、短繊維状CNTはポーラスシリコンのようなポーラスな支持体や、アルミナの陽極酸化膜上に触媒金属を担持させ、その表面にCNTをCVD法にて成長させることもできる。また触媒金属を分子内に含む鉄フタロシアニンのような分子を原料とし、アルゴン/水素のガス流中でCVDを行い、基板上にCNTを作製する方法でも、配向した短繊維状のCNTを作製することもできる。他には、SiC単結晶表面にエピタキシャル成長法によって配向した短繊維状CNTを得る方法や、破砕機を用いてCNTを破砕し、短繊維化することも可能である。特に液体窒素温度程度の低温下で凍結粉砕する方法は好ましく用いられる。
本発明で好ましく用いられる有機半導体としては、一般的な共役系高分子であるポリチオフェン系共役系高分子、ポリピロール系共役系高分子、ポリアニリン系共役系高分子、ポリフェニレンビニレン系共役系高分子などが使用される。好ましくはポリチオフェン系共役系高分子、さらに好ましくはポリ−3−アルキルチオフェンが使用される。ここでアルキル基は、その炭素数に特に制限はないが、好ましくは炭素数1〜12を有しているアルキル基が好ましい。具体例は、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルチオフェン等が挙げられる。中でもポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェンが特に好ましい。
用いられる上記ポリ−3−アルキルチオフェン(P3AT)のアルキル側鎖の結合様式は、レジオレギュラーな構造を有するものが好ましく、少なくとも80%以上のレジオレギュラリティーを有するものが好ましく用いられる。レジオレギュラリティーとは、チオフェン環における側鎖の位置がhead−to−tail構造でどの程度規則的に並んで連結しているかを表す指標である。レジオレギュラリティーは核磁気共鳴分光装置(NMR)によって定量することが可能であり、レジオレギュラリティーが大きいほど良好な半導体特性を得ることができる。
以上のように、分子内の不規則性が小さいポリマーを用いるとともに、ポリマーに含まれる不純物を除去することも半導体特性を向上させる上で好ましい。
不純物を除去する方法は特に限定されないが、基本的には合成過程で使用した原料や副生成物を除去する精製工程であり、再沈殿法、ソクスレー抽出法、濾過法、イオン交換法、キレート法等を用いることができる。中でも低分子量成分を除去する場合には再沈殿法やソクスレー抽出法が好ましく用いられ、金属成分の除去には再沈殿法やキレート法、イオン交換法が好ましく用いられる。特に再沈殿を行う場合には貧溶媒に塩酸/メタノールを用いることが好ましい。本発明では上記の方法の1種を単独で用いるか、あるいは複数を組み合わせても良く、特に限定されない。
CNTを有機半導体中に分散する方法は特に限定されないが、例えば共役系高分子にCNTを分散する方法として、(I)溶融した共役系高分子中にCNTを添加して混合させる方法、(II)共役系高分子を溶媒中に溶解させこの中にCNTを添加して混合させる方法、(III)CNTを溶媒中で予め超音波等で予備分散しておいたところに共役系高分子を添加し混合させる方法、(IV)溶媒中に共役系高分子とCNTを入れ、この混合系に超音波を照射して混合させる方法等が挙げられる。本発明では、上記の方法を単独で用いるか、あるいは複数の方法を組み合わせても良く、特に限定されない。
本発明では数ナノメーターの有機半導体層(CNT分散体薄膜)を形成するので、塗布用の分散液は、有機半導体およびCNTの濃度を薄くして用いることが好ましい。溶媒1L当たりの有機半導体の量は10mg以下、好ましくは1mg以下10μg以上が使用される。有機半導体に対するCNTの割合は特に限定されない。CNTの割合が多いほど、CNTの電極数が多くなるのでソース・ドレイン間の平均距離(チャンネル長)が短くなり、少ない場合には平均的なチャンネル長が長くなる。CNTは有機半導体に対して1〜100重量%が好ましく用いられる。
上記CNT分散液から薄膜およびFETの有機半導体層を形成するには、例えばFET基板にキャスト法、スピンコート法、ブレードコート法、バーコーター塗布法、浸漬引き上げ法などの方法を用いることができる。特に、2〜5nmの超薄膜を得る上ではキャスト法が好ましく用いられる。
有機半導体薄膜を構成する共役系高分子は非配向構造でも配向構造でもFET特性を示すが、好ましくは、配向構造を有する薄膜が良い。これはラメラ構造を構成する層を多く含むことにあり、FETの移動度をより高められるからである。またポリマー構造中に芳香環を有する共役系高分子に存在するラメラ構造は、芳香環が膜面に垂直に立っているので、当該共役系高分子のπ電子が膜面内方向に並び、膜面方向に電荷が移動しやすい。
有機半導体薄膜の構造はX線回折や原子間力顕微鏡(AFM)によって判定することができる。「ネイチャー(Nature)」誌(vol.401、p685(1999年10月14日発行))によれば、有機半導体薄膜の具体例としてポリ−3−アルキルチオフェンの場合では、X線回折スペクトルにおいて(010)面からの回折線は、チオフェン環が膜面に垂直に立ったラメラ構造に対応するものであり、この回折線の相対強度の強弱からラメラ構造が多く形成されているか否かを判定できる。
次に上記の方法で前述の電極基板にCNT分散体薄膜を作製した後、100℃前後で熱処理を行ってFETが作製される。なおこのFET素子の特性は、例えばヒューレット・パッカード社製ピコアンメータ/ボルテージソースを用い、ゲート電圧を変えながらソース、ドレイン間の電圧−電流特性を測定することによって評価することができる。
上述の電圧−電流特性の結果を用いてFETの移動度μは、下記の式(1)または(2)から求められる。
Isd=(CW/D)μ(Vg−Vth)Vsd (1)
Isat =(CW/2D)μ(Vg−Vth)2 (2)
ここで、Isdはソース電極とドレイン電極間に流れる電流、Isatはその飽和電流、Cはゲート/絶縁体での容量、D、Wはそれぞれチャンネルの長さと幅である。Vgはゲート電圧、Vthはゲートのしきい値電圧である。また、FETの重要な特性であるオンオフ比は、ゲート電極に所定のオフ電圧を印加した時の電流Isd(オフ)に対するゲート電極に所定のオン電圧を印加した時の電流Isd(オン)電流の比として求められる。
Isat =(CW/2D)μ(Vg−Vth)2 (2)
ここで、Isdはソース電極とドレイン電極間に流れる電流、Isatはその飽和電流、Cはゲート/絶縁体での容量、D、Wはそれぞれチャンネルの長さと幅である。Vgはゲート電圧、Vthはゲートのしきい値電圧である。また、FETの重要な特性であるオンオフ比は、ゲート電極に所定のオフ電圧を印加した時の電流Isd(オフ)に対するゲート電極に所定のオン電圧を印加した時の電流Isd(オン)電流の比として求められる。
本発明のトランジスタはアクティブ型フレキシブルディスプレイ用のTFTアレイやICタグ用の回路素子に利用される。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。ただし本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
0.6mgのCNT(単層カーボンナノチューブ:サイエンスラボラトリーズ社製、純度95%)と、共役系重合体のポリ−3−ヘキシルチオフェン(以下、P3HTと略す。アルドリッチ社製、レジオレギュラー、分子量:Mw20000)0.6mgと、クロロホルム3mLを10mLのサンプル管に入れ、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)を用いて3時間超音波照射し、CNTの均一分散液(CNT濃度0.2g/L)を得た。分散液をクロロホルムで300倍に希釈し、0.00067g/Lの希釈液を調製した。
0.6mgのCNT(単層カーボンナノチューブ:サイエンスラボラトリーズ社製、純度95%)と、共役系重合体のポリ−3−ヘキシルチオフェン(以下、P3HTと略す。アルドリッチ社製、レジオレギュラー、分子量:Mw20000)0.6mgと、クロロホルム3mLを10mLのサンプル管に入れ、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)を用いて3時間超音波照射し、CNTの均一分散液(CNT濃度0.2g/L)を得た。分散液をクロロホルムで300倍に希釈し、0.00067g/Lの希釈液を調製した。
本実施例で用いたシリコンウエハーは、表面にSiO2熱酸化膜(膜厚300nm)が形成されたアンチモンドープシリコンウエハー(抵抗率0.02Ωcm以下)であり、シリコンウエハーは基板であると同時に、ゲート電極となる。また、熱酸化膜は絶縁層となる。ソース電極取り出し用の金電極は、幅100μm、長さ10mmの長方形の形状をしたものをマスク蒸着法によって形成した。真空蒸着時には、シリコンウエハーの熱酸化膜側の表面に、電極パターンをくりぬいたステンレス製のマスクをあてがい、始めに厚み5nmになるようクロムを蒸着し、次いで金を厚み35nmになるように蒸着し、ソース電極取り出し用金電極5を形成した。(図1参照)
次に、前記希釈液0.1mLを、金電極を設けた2cm角のシリコンウエハー上に滴下し、約1分間静置して溶媒を除去し、P3HTとCNTを含む薄膜を形成した。薄膜をAFM(原子間力顕微鏡:ディジタルインスツルメンツ社製ナノスコープIIIa)を用いてタッピングモードで観察したところ、図1に示した形状の有機半導体の薄膜3が形成された。このときP3HT薄膜の厚みは4nmで、ソース電極1とドレイン電極2であるCNT電極はそれぞれ1本のCNTからなり、電極幅は約2nm、CNT電極1、2の長さ(すなわちチャネル幅)は約3μm、電極間の長さ、すなわちチャネル長は約1μmであり、ミクロンサイズのFETが形成された。
次いで、ソース電極の取り出し電極5とゲート電極7にリード線を取り付けてFETを作製した。FETを真空雰囲気下に制御できるSPM(走査型プローブ顕微鏡、セイコーインスツルメンツ社製SPI3800N、導電性プローブ使用)のチャンバー内に設置し、真空下で18時間静置した。次いで、金電極5と接しているCNT電極1に対向するCNT電極2に、SPMの導電性プローブを接触させることによりドレイン電圧を印加する。
次に、前記希釈液0.1mLを、金電極を設けた2cm角のシリコンウエハー上に滴下し、約1分間静置して溶媒を除去し、P3HTとCNTを含む薄膜を形成した。薄膜をAFM(原子間力顕微鏡:ディジタルインスツルメンツ社製ナノスコープIIIa)を用いてタッピングモードで観察したところ、図1に示した形状の有機半導体の薄膜3が形成された。このときP3HT薄膜の厚みは4nmで、ソース電極1とドレイン電極2であるCNT電極はそれぞれ1本のCNTからなり、電極幅は約2nm、CNT電極1、2の長さ(すなわちチャネル幅)は約3μm、電極間の長さ、すなわちチャネル長は約1μmであり、ミクロンサイズのFETが形成された。
次いで、ソース電極の取り出し電極5とゲート電極7にリード線を取り付けてFETを作製した。FETを真空雰囲気下に制御できるSPM(走査型プローブ顕微鏡、セイコーインスツルメンツ社製SPI3800N、導電性プローブ使用)のチャンバー内に設置し、真空下で18時間静置した。次いで、金電極5と接しているCNT電極1に対向するCNT電極2に、SPMの導電性プローブを接触させることによりドレイン電圧を印加する。
図2に示す測定回路により、このFET素子のゲート電圧(Vg)を変えながらCNT電極1とCNT電極2との間の電圧/電流特性、すなわち電界効果型トランジスタにおけるソース・ドレイン電圧(Vsd)/ソース・ドレイン電流(Isd)特性を測定した。測定にはヒューレット・パッカード社製ピコアンメータ/ボルテージソース4140Bを用い、減圧下(133Pa以下)で測定した。Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIsdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIsdの値の比からオンオフ比を求めたところ、1.7×105と高く、良好なFET特性が得られた。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIsdの値の変化から移動度を求めたところ、移動度は2.2×10−3cm2/V・secであった。
実施例2
CNT分散液を作製する際、超音波照射時間を3時間から1時間30分に変えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、CNT濃度0.00067g/Lの希釈液を調製した。次に、得られた希釈液0.1mLを、金電極を設けた2cm角のシリコンウエハー上に滴下し、約1分間静置して溶媒を除去し、P3HTとCNTを含む薄膜を形成した。薄膜をAFMを用いて観察したところ、P3HT薄膜の厚みは4nm、ソース電極1とドレイン電極2であるCNT電極はそれぞれ約10本のCNTからなり、電極幅は約10nm、CNT電極1、2の長さ(すなわちチャネル幅)は約3μm、電極間の長さ、すなわちチャネル長は約1μmであり、ミクロンサイズのFETが形成されていた。
CNT分散液を作製する際、超音波照射時間を3時間から1時間30分に変えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、CNT濃度0.00067g/Lの希釈液を調製した。次に、得られた希釈液0.1mLを、金電極を設けた2cm角のシリコンウエハー上に滴下し、約1分間静置して溶媒を除去し、P3HTとCNTを含む薄膜を形成した。薄膜をAFMを用いて観察したところ、P3HT薄膜の厚みは4nm、ソース電極1とドレイン電極2であるCNT電極はそれぞれ約10本のCNTからなり、電極幅は約10nm、CNT電極1、2の長さ(すなわちチャネル幅)は約3μm、電極間の長さ、すなわちチャネル長は約1μmであり、ミクロンサイズのFETが形成されていた。
次いで、ソース電極の取り出し電極5とゲート電極7にリード線を取り付けてFETを作製し、FETを実施例1と同様の条件で測定したところ、オンオフ比は1.0×105と高く、良好なFET特性が得られた。また、移動度は4.1×10−3cm2/V・secであった。
1 CNT電極(ソース電極)
2 CNT電極(ドレイン電極)
3 有機半導体の薄膜
4 SPMの探針(導電性プローブ)
5 取り出し電極
6 絶縁層
7 ゲート電極
2 CNT電極(ドレイン電極)
3 有機半導体の薄膜
4 SPMの探針(導電性プローブ)
5 取り出し電極
6 絶縁層
7 ゲート電極
Claims (5)
- 絶縁層上にドレイン電極とソース電極を配置し、絶縁層下にゲート電極を配置し、絶縁層上に配置されたドレイン電極とソース電極の間に半導体活性層を有する電界効果型トランジスタであって、ドレイン電極および/またはソース電極が1本のカーボンナノチューブからなり、かつ半導体活性層が有機半導体であることを特徴とする電界効果型トランジスタ。
- 絶縁層上にドレイン電極とソース電極を配置し、絶縁層下にゲート電極を配置し、絶縁層上に配置されたドレイン電極とソース電極の間に半導体活性層を有する電界効果型トランジスタであって、ドレイン電極および/またはソース電極が2本以上のカーボンナノチューブからなり、かつ半導体活性層が有機半導体であることを特徴とする電界効果型トランジスタ。
- 有機半導体が共役系高分子であり、共役系高分子がソース電極および/またはドレイン電極に電気的に接触していることを特徴とする請求項1または2記載の電界効果型トランジスタ。
- 共役系高分子がポリチオフェン系高分子である請求項3記載の電界効果型トランジスタ。
- カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである請求項1または2記載の電界効果型トランジスタ。
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JP2005109480A JP2006294667A (ja) | 2005-04-06 | 2005-04-06 | 電界効果型トランジスタ |
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-
2005
- 2005-04-06 JP JP2005109480A patent/JP2006294667A/ja active Pending
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