JP2006294658A - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Shinki Taguchi
真貴 田口
Eiichi Sato
栄一 佐藤
Hiroyuki Nakai
裕之 中井
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Abstract

【課題】 半導体基板の加工パラメータを安定にかつ変化量を最小に管理できるプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】 反応室1にガス導入ライン3によりプロセスガスを導入しつつ、高周波電源13により高周波電力を印加してプラズマを誘起し、反応室1内に設置した半導体基板Wを成膜もしくはエッチングするプラズマ処理装置に、反応室1に印加する高周波電力をインピーダンス整合器14でインピーダンス整合する際の電気容量の値をモニターする手段と、検出された電気容量の値を用いて反応室内のプロセスガスの分圧変動を判定する手段とを設ける。これは、反応室1内部へのガス吸着や反応生成物からの放出ガスによるガス分圧変動が要因となって起こるプラズマ特性の一つである電気的容量値の変化を、インピーダンス整合器14の整合容量値の変化、通常は特定ステップでの整合容量値の変化で検知するものであり、簡易にモニタリング可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明はプラズマ処理装置に関し、特に半導体基板を処理する際の加工パラメータを安定化するためのモニタリング技術に関する。
従来、半導体デバイスの加工にプラズマが用いられている。たとえばドライエッチング処理では、反応性のプロセスガスを減圧環境にした反応室内に導入し、高周波電力、磁場等を用いてプラズマを励起して、反応室内に設置した半導体基板上の対象物をエッチングしている。
図1に、高密度プラズマ方式の処理装置の一例として、ICP(Inductively Coupled Plasma)型ドライエッチング装置の構造を示す。
このドライエッチング装置では、反応室1外の搬送機(図示せず)により半導体基板Wを陰極電極9上に搬入し、反応室1内が所望の真空度になるまで排気ライン2で真空排気したうえで、エッチングに必要なプロセスガスをガス導入ライン3により所望の流量で導入して、陽極電極8に形成された噴出孔8aを通じて噴出させて反応室1内に拡散させる。その際には、プロセスガスが反応室1内で安定して所望の圧力になるように、真空計17でモニターしながらガス排気量調整機構5により調整する。
この状態で、アンテナコイル12に高周波電力を印加して反応室1内にプラズマを発生させるとともに、インピーダンス整合器14の可変容量で容量値を変化させることにより、高周波電力のインピーダンスを整合させ、電流,電圧の位相ズレを修正して、プラズマを安定させる。その後に、陰極電極9に高周波電力を印加してプラズマからイオンを引き込み、陰極電極9上の半導体基板Wの処理対象膜をエッチング加工する。その間はプラズマの発光強度の変化をエンドポイント検出器18でモニターして、エッチングの終点が検知された時点でプラズマ処理を終了するようにしており、それによって所望のエッチング特性を確保している。
このようなドライエッチング装置をはじめとするプラズマ処理装置では一般に、大量の半導体基板を順次に処理する間に、反応室内のプロセスガスの分圧が変動してプラズマ特性が変化する結果、加工パラメータ特に仕上がり寸法が変動し、デバイス特性の安定化が図れなくなる。加工パラメータの均一性を確保するためには、反応室内のプロセスガスの分圧を常に一定に維持することが非常に重要である。そのためにたとえば、反応室にガス質量分析器を接続してプロセスガスの分圧を監視する手法が提案されている(特許文献1)。
特開平7−50289号公報
しかしながら、ガス質量分析器を用いてガス分圧を監視する従来の手法では、短期間であればガス分圧を一定に維持することは可能であるが、長期間にわたってガス分圧を一定に保ち続けることはできない。たとえばドライエッチングのように反応生成物が発生するプロセスにこの手法を適用すると、反応室内はもちろん、ガス質量分析器内部にも反応生成物が付着してしまう。そのためガス質量分析器の保守、メンテナンス、およびガス分子の較正を頻繁に正確に施す必要があり、そうしなければ、ガス質量分析器のデータの信頼性が保証されず、反応室内のガス分圧を一定に維持することが出来なくなる。
反応室のメンテナンスとしては、運転を停止してウェットメンテナンスを実施している。そのタイミングは製品の加工パラメータの検査結果に基づいているのであるが、加工パラメータの一つである仕上がり寸法については抜き取り検査で測定することが多く、次第に寸法規格値を越えるようになっていても突然に検知される結果になることから、歩留まりを大きく低下させる原因となっている。
本発明は、上記問題に鑑み、半導体基板の加工パラメータの値を安定にかつ変化量を最小に管理できるプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のプラズマ処理装置は、反応室にプロセスガスを導入しつつ高周波電力を印加してプラズマを誘起し、反応室内に設置した半導体基板を成膜もしくはエッチングするプラズマ処理装置において、前記反応室に印加する高周波電力をインピーダンス整合する際の電気容量の値をモニターする手段と、検出された電気容量の値を用いて前記反応室内のプロセスガスの分圧変動を判定する手段とを設けたことを特徴とする。これは、反応室内部へのガス吸着や反応生成物からの放出ガスによるガス分圧変動が要因となって起こる、プラズマ特性の一つである電気的容量値の変化を、インピーダンス整合器の整合容量値の変化、通常は特定ステップでの整合容量値の変化で検知するもので、簡易にモニタリングすることが可能である。これにより、半導体基板の加工パラメータの値を安定にかつ変化量を最小に管理可能となる。
また、反応室にプロセスガスを導入しつつ高周波電力を印加してプラズマを誘起し、反応室内に設置した半導体基板を成膜もしくはエッチングするプラズマ処理装置において、前記プラズマの発光強度をモニターする手段と、検出された発光強度の値を用いて前記反応室内のプロセスガスの分圧変動を判定する手段とを設けたことを特徴とする。これは、反応室内部へのガス吸着や反応生成物からの放出ガスによるガス分圧変動を、プラズマの発光強度の変化で検知するもので、簡易にモニタリングすることが可能である。これにより、半導体基板の加工パラメータの値を安定にかつ変化量を最小に管理可能となる。
また、反応室にプロセスガスを導入しつつ高周波電力を印加してプラズマを誘起し、反応室内に設置した半導体基板を成膜もしくはエッチングするプラズマ処理装置において、前記反応室に印加する高周波電力をインピーダンス整合する際の電気容量の値をモニターする手段と、前記プラズマの発光強度をモニターする手段と、検出された電気容量の値と発光強度の値を用いて前記反応室内のプロセスガスの分圧変動を判定する手段とを設けたことを特徴とする。
プロセスガスの分圧変動を判定する手段は、検出された電気容量の値を予め設定した範囲の電気容量値と比較し、検出値が設定値から逸脱した時に前記反応室内のプロセスガスの分圧変動が大きいと判定することを特徴とする。
プロセスガスの分圧変動を判定する手段は、検出されたプラズマ発光強度の減衰曲線の微分値を予め設定した範囲の発光強度値と比較し、前記微分値が設定値から逸脱した時に前記反応室内のプロセスガスの分圧変動が大きいと判定することを特徴とする。
プロセスガスの分圧変動が大きいと判定された時にプラズマ処理を停止する手段と、プロセスガスの分圧変動が大きいと判定された時に警報を発する手段との内、少なくとも一方を有したことを特徴とする。これにより、プロセスガスの分圧変動を要因とするプラズマ特性の変化が検知された時に、自動的にあるいは人為的に処理を停止して、加工パラメータの変動、それによる半導体基板の品質異常の発生を未然に防止することが可能となる。
本発明のプラズマ処理装置は、インピーダンス整合器の容量値とプラズマの発光強度との内の少なくとも一方をモニタリングすることにより、プロセスガスの分圧変動が要因となって起こるプラズマ特性の変化を容易に知ることができ、それにより発生する加工パラメータの異常に対して速やかに処置することで、半導体デバイスの品質異常、ロスを防止することが可能となる。
本発明の実施の形態を図面を用いて具体的に説明する。
本発明のプラズマ処理装置は、先に図1を用いて説明した従来のものと基本的には同様の構造を有しているので図1を援用して詳細に説明する。
図1において、1はドライエッチングを行うための反応室、2は反応室を真空排気するための排気ライン、3はドライエッチングのためのプロセスガスを反応室1に導入するガス導入ラインである。排気ライン2は、真空ポンプなどの排気手段4と排気量調整機構5とを備えている。ガス導入ライン3は、ガス流量を調整するマスフローコントローラー6とバルブ7とを備えている。
8は反応室1内に配置された陽極電極、9は反応室1内に陽極電極8と対向配置された陰極電極、10は反応室1内に挿入されたインナーライナー、11は陰極電極9をその上面中央部を除いて覆うエッジリングである。陽極電極8はガス導入ライン3からのプロセスガスを内部に受け、多数に形成された噴出孔8aから噴出して反応室1内へ拡散させるようになっている(シャワーヘッド方式)。陰極電極9は前記上面中央部にワークとしての半導体基板Wが載置される。
12は陽極電極8上に配置されたアンテナコイル、13はアンテナコイル12に高周波電力を印加する高周波電源、14は高周波電源13により印加された高周波電力を整合するインピーダンス整合器で、代表的な容量結合型インピーダンス整合器である。
15は陰極電極9に高周波電力を印加する高周波電源、16は高周波電源15により印加された高周波電力を整合するインピーダンス整合器である。
17は反応室1のガス圧力を常にモニタリングする真空計、18はプラズマの発光強度をモニタリングしながらその変化でエッチングの終点を検出するエンドポイント検出器である。
上記構成により、反応室1外に設置された搬送機(図示せず)により半導体基板Wを陰極電極9上に搬入し、反応室1内が真空計17にて所望の真空度になるまで排気ライン2にて真空排気したうえで、エッチングに必要なプロセスガスをガス導入ライン3により所望の流量で導入して、陽極電極8に形成された噴出孔8aを通じて噴出させて反応室1内に拡散させる。その際には、プロセスガスが反応室1内で安定して所望の圧力になるように、真空計17でモニターしながらガス排気量調整機構5により調整する。
この状態で、高周波電源13よりアンテナコイル12に高周波電力を印加して反応室1内にプラズマを発生させるとともに、インピーダンス整合器14の可変容量で容量値を変化させることにより、高周波電力のインピーダンスを整合させ、電流,電圧の位相ズレを修正して、プラズマを安定させる。
その後に、陰極電極9に高周波電源15,インピーダンス整合器16により高周波電力を印加してプラズマからイオンを引き込み、陰極電極9上の半導体基板Wの処理対象膜をエッチング加工する。その間のプラズマの発光強度の変化をエンドポイント検出器18でモニターし、エッチングの終点が検知された時点でプラズマ処理を終了し、半導体基板Wを搬出する。
このようなプラズマ処理を複数枚の半導体基板Wについて順次に行う間に、陰極電極9,インナーライナー10,エッジリング11や、排気ライン2などの反応室部材の表面に反応生成物が付着したり、反応生成物の付着が弱い場合には反応室部材の表面に削れが発生する(表面粗れと言い、表面粗さはRaで定義される)。そしてこれらの表面にプロセスガス分子の吸着もしくは取り込みが起こり、また放出ガス(アウトガス)が発生する。
図2および図3は反応室部材の表面状態の模式図である。
図2は図1に示したインナーライナー10の丸印箇所Aの拡大図である。図2(a)に示す初期状態ではインナーライナー10の表面に比較的鋭い凹凸がある。半導体基板の累積処理枚数が増加するに従って、図2(b)に示すように表面の凹凸に反応生成物19が堆積する。これはプラズマからのイオン照射が弱い場合に起こる。その状態では、図2(c)に示すように反応生成物19へのプロセスガス分子20の吸着もしくは取り込みが起き易くなる。
図3は図1に示したエッジリング11の丸印箇所Bの拡大図である。図3(a)に示す初期状態ではエッジリング11の表面に緩やかな凹凸がある。このエッジリング11の表面には反応生成物の付着が弱く、半導体基板の累積処理枚数が増加するに従って、図3(b)に示すようにプラズマからのイオン照射による表面粗れが生じ、その凹凸の隙間に、図3(c)に示すようにプロセスガス分子20が吸着する。
プロセスガスの吸着のメカニズムは上述したものだけに限らず、また各メカニズムは複合的に作用するものと考えられる。いずれにせよ、表面状態の変化によって吸着因子が変化すると考えられる。プロセスガスの吸着が起こると、プロセスガスの分圧の変動が起こり、それに伴って加工パラメータの変動が起こる。
一例を挙げると、HBr,Cl,O系の反応性プロセスガスを用いてポリシリコンをドライエッチングする場合、メインエッチステップと呼ばれるステップでは、ポリシリコンのエッチング量が多くて大量のSixBryOz系の反応生成物19が発生し、その一部が反応室1内などに付着する。一方、最終形状を整えるオーバーエッチステップでは、ポリシリコンのエッチング量が少ないため反応生成物19の発生量も少なく、反応室1内などへの付着量はメインエッチステップに比べて少なくなる。この場合に反応生成物19からのアウトガス量が増大する。つまり、オーバーエッチステップで反応生成物19からのアウトガス量が膨大になり、プロセスガスの分圧の変動が顕著に出る。
図4に、ポリシリコンゲートをプラズマエッチングで形成する際のプロセスガスの分圧の影響を示す。
図4(a)は処理対象の半導体基板を示す。シリコン酸化膜21上にポリシリコン膜22が形成され、その上にゲートパターンのレジスト膜23が形成されている。エッチングの際のプロセスガスの分圧変動が小さいときには、図4(b)に正常時として示すように、形成されるポリシリコンゲート22aは、シリコン酸化膜21まで垂直に削られた形状になる。エッチングの際のプロセスガスの分圧変動がある閾値を超えるときには、図4(c)に異常時として示すように、形成されるポリシリコンゲート22aは、シリコン酸化膜21側が広いテーパー形状になる。
異常時には、プロセスガスの分圧変動は、デポガスの分圧比が大きくなるように変動していて、対レジスト選択比の悪化を来たしていると推測される。一方で、プラズマの物理特性が変動すると対レジスト選択比が変動することは周知である。したがって、プロセスガスの分圧変動を直接にあるいは間接的にモニタリング(監視)することによって、対レジスト選択比の変動などの異常を来たすプラズマの物理特性を検出可能であると推測される。
寸法異常発生に関わるプラズマ特性であるプラズマの電気容量に着目して、インピーダンス整合器の可変容量の整合時の容量値について検討した。
図1に示した高周波電源13よりアンテナコイル12に高周波電力を印加して反応室1内にプラズマを発生させるとき、プラズマのインピーダンス値は、高周波電源13の出力インピーダンスと大きくズレ、高周波電力の電流,電圧成分の位相差が発生し、高周波反射波電力が発生する。そこで高周波反射波電力を抑制するために、プラズマのインピーダンスを高周波電力のインピーダンスに合わせ(整合させ)、高周波電力の電流,電圧成分の位相ズレを修正する必要がある。つまり、プラズマのインピーダンスを高周波電力のインピーダンスに合わせるように、インピーダンス整合器14の可変容量により容量値を変化させる必要がある。プラズマのインピーダンスは常に一定しているわけではないので、インピーダンス整合器14の可変容量の容量値をプラズマの状態に合わせて変化させることになる。プラズマのインピーダンスが一定しない理由の一つはプロセスガスの分圧変動なので、インピーダンス整合器14の可変容量の容量値の変動はプロセスガスの分圧変動に対応することになる。
図5に、インピーダンス整合器の容量値と半導体基板の寸法変化との関係を示す。
インピーダンス整合器の容量値は、半導体基板1枚ごとのオーバーエッチステップでのデータの平均値である。具体的には、オーバーエッチステップ(半導体基板の処理開始後の、管理者が任意に設定した特定ステップである)について、可変容量の容量値(サンプリングデータ)を全て保存し、平均化処理を施して平均値を算出した。可変容量の容量値は、可変容量のギャップ間隔をポジションメーターにて計測し、その計測結果から変換した。
半導体基板の寸法変化は、半導体基板1枚ごとの前工程処理前後の寸法差である。具体的には、ポリシリコンゲートドライエッチング後の工程で仕上り寸法を計測し、前工程(ここではARC(Anti Refection Corting)ドライエッチ)後の仕上り寸法との寸法差を寸法変化とした。狙い値−8[nm]である。仕上り寸法は、予め半導体基板上に設置された、ポリシリコンゲート寸法測定用パターンを測定した。工程管理では通常、ポリシリコンゲート寸法でしか管理されておらず、この寸法は前工程からのインテグレーションで決定する要素が大きいため、ここで述べている半導体基板のポリシリコンドライエッチでのエッチング特性不良(ポリシリコンゲート寸法)を判断するには、ポリシリコンゲートエッチ前後の寸法変化で議論する必要がある。
図5において、インピーダンス整合器の容量値が22000[a.u.]の近傍であるときには寸法変化は−10[nm]程度であるが、寸法異常発生時、すなわち寸法変化が+25[nm]程度となって規格範囲より大きく逸脱したときは、インピーダンス整合器の容量値は27000[a.u.]程度となっている。なお規格範囲については、上述したように寸法変化には狙い値は存在しても、明確な規格範囲は存在していないので、ここでは寸法変化の傾向から判断している。つまり、ポリシリコンゲートエッチ前後の寸法変化は通常はマイナス側(ポリシリコンゲート寸法は細る方向)になるが、異常発生時にはプラス側(ポリシリコン寸法は太る方向)になるので、寸法変化がマイナス側にあるとき(図中の2直線間に相当する)は規格範囲内と判断し、0[nm]以上になったときに、ポリシリコンドライエッチの特性異常と判断するようにした。図5の結果から、インピーダンス整合器の可変容量の整合容量値をモニタリング(監視)することによって、寸法異常を来たすようなプラズマ特性の変化、したがってプロセスガスの分圧変動を迅速に検出可能であることがわかる。
他のプラズマ特性として、プラズマの発光強度に着目して、プラズマの発光強度および寸法変化と累積放電時間との相関を調べた。プロセスガスの分圧が変化すると、それに応じてプラズマの発光強度も変化する。結果を図6に示す。
発光強度は、図1に示した反応室1の石英製の窓を通して、特定波長光(ここでは検出波長405nm)の強度を検出する光センサを備えたエンドポイント検出器18によってモニタリングした。図中には半導体基板1枚ごとのオーバーエッチステップにおいて光センサーにより検出されたプラズマの発光強度のデータの平均値をプロットしている。各平均値は具体的には、オーバーエッチステップ(管理者が任意に設定した特定ステップである)について、光センサーから得られたプラズマ発光強度のデータ(サンプリングデータ)を全て保存し、平均化処理して算出した値である。半導体基板の寸法変化は、半導体基板1枚ごとの処理前後の寸法差である。
図6において、発光強度は、累積放電時間が長くなるにしたがって、石英窓に反応生成物が堆積することもあって、減衰し減衰曲線を描いている。累積放電時間が約70時間を超えると、発光強度のレベルが急激に低下し、またその時点より寸法変化が規格範囲(図5に関する説明参照)を大幅に超える寸法異常が発生している。このことより、プラズマの発光強度をモニタリング(監視)することによって、寸法異常を来たすようなプラズマ特性の変化、したがってプロセスガスの分圧変動を迅速に検出可能であることがわかる。
図7に上記したモニタリングを実施する半導体基板の処理フローを示す。
S21において半導体基板の処理を開始し、特定ステップS22(ここではオーバーエッチステップ)をトリガーとして、S23でデータの取得を開始する。データは、インピーダンス整合器の可変容量の容量値とプラズマ発光強度との内の少なくとも一方である。いずれも予め閾値Tを設定しておく。インピーダンス整合器の容量値については、代表的には、可変容量のセットポイント値に対して最大値,最小値の管理幅(監視幅)を加えるが、そのほかの手法で設定してもよい。プラズマ発光強度については、発光強度の減衰曲線の微分値に対し閾値を設定する。
S24において、取得されたデータを閾値Tと比較し、閾値内であるか判定する。判定結果がyesであれば、S25において処理を続行する。判定結果がnoであれば、S26において処理を停止し、アラーム(警報)を発報する。アラームはアラーム音あるいは装置への表示などとすることができる。
このようにすることにより、プラズマ処理装置でのプロセスガスの分圧変動に基づくプラズマ特性の変化を速やかに検知し、処理を停止して、加工パラメータの変動、それによる品質異常の発生、不良品発生を防止することができ、プロセスを安定化することが可能になる。
図8は上記したモニタリングに関わる制御システムの構成を示す。
制御システムは、インピーダンス整合器14およびエンドポイント検出器18に接続した一時記憶部24と、この一時記憶部24に直接あるいは間接的に接続した演算回路25と記憶部26と判定回路27と制御部28(設備インターロック28aと設備コマンド28b)とを備えている。
上記構成において、インピーダンス整合器14の可変容量の容量値のデータと、エンドポイント検出器18で検出される発光強度のデータとは一時記憶部24に常時保存される。
1枚の半導体基板の処理毎に、一時記憶部24に保存されたデータが演算回路25に送信され、そこで発光強度の減衰曲線の微分値が演算され、その演算結果が可変容量の容量値とともに記憶部26に保存される。記憶部26には発光強度と可変容量の容量値とについてそれぞれ閾値が記憶されている。この記憶部26のデータが判定回路27に読み出され、発光強度の減衰曲線の微分値と可変容量の容量値とがそれぞれ閾値と比較され、閾値内にあるか判定される。
判定回路27でどちらか一方でも閾値から逸脱している(異常)と判定された時には、判定結果が設備インターロック28aに送信され、設備コマンド28bによって半導体基板の処理が停止されるとともに、プラズマ処理装置に警報が発報される。
以上のような制御システムにより、プロセスガスの分圧変動に基づくプラズマ特性の変化に対して、半導体基板の寸法管理を行うことが可能になる。従来は既述したように寸法異常が後工程の検査で確認されるまで半導体基板の処理が続行されていたのに対し、この制御システムによれば、最適なPM(Preventive Maintenance)周期を判断して、反応室内のウェットメンテナンスを実施することが可能である。
なお上記実施形態においては、ドライエッチングを例に挙げて説明したが、これに限らず、CVD,スパッタ等、真空と高周波電力とを使用するプラズマ処理装置であれば、エッチングレート,選択比、成膜レート等のプロセス特性に対して、同様の効果が得られる。
本発明のプラズマ処理装置は、反応室内の状態の変動を容易に知ることができるので、
半導体基板の加工パラメータの値を安定にかつ変化量を最小に管理するのに有用である。
従来および本発明のプラズマ処理装置の概略構成図 図1のプラズマ処理装置の反応室部材の表面状態の模式図 図1のプラズマ処理装置の他の反応室部材の表面状態の模式図 ポリシリコンゲートをプラズマエッチングで形成する際のプロセスガスの分圧の影響を示す断面図 インピーダンス整合器の容量値と半導体基板の寸法変化との相関図 プラズマの発光強度および寸法変化と累積放電時間との相関図 本発明のプラズマ処理装置における半導体基板の処理フローを示すフローチャート 本発明のプラズマ処理装置の制御システムのブロック図
符号の説明
1 反応室
2 排気ライン
3 ガス導入ライン
13 高周波電力
14 インピーダンス整合器
18 エンドポイント検出器
W 半導体基板

Claims (6)

  1. 反応室にプロセスガスを導入しつつ高周波電力を印加してプラズマを誘起し、反応室内に設置した半導体基板を成膜もしくはエッチングするプラズマ処理装置において、
    前記反応室に印加する高周波電力をインピーダンス整合する際の電気容量の値をモニターする手段と、
    検出された電気容量の値を用いて前記反応室内のプロセスガスの分圧変動を判定する手段とを有したプラズマ処理装置。
  2. 反応室にプロセスガスを導入しつつ高周波電力を印加してプラズマを誘起し、反応室内に設置した半導体基板を成膜もしくはエッチングするプラズマ処理装置において、
    前記プラズマの発光強度をモニターする手段と、
    検出された発光強度の値を用いて前記反応室内のプロセスガスの分圧変動を判定する手段とを有したプラズマ処理装置。
  3. 反応室にプロセスガスを導入しつつ高周波電力を印加してプラズマを誘起し、反応室内に設置した半導体基板を成膜もしくはエッチングするプラズマ処理装置において、
    前記反応室に印加する高周波電力をインピーダンス整合する際の電気容量の値をモニターする手段と、
    前記プラズマの発光強度をモニターする手段と、
    検出された電気容量の値と発光強度の値を用いて前記反応室内のプロセスガスの分圧変動を判定する手段とを有したプラズマ処理装置。
  4. プロセスガスの分圧変動を判定する手段は、検出された電気容量の値を予め設定した範囲の電気容量値と比較し、検出値が設定値から逸脱した時に前記反応室内のプロセスガスの分圧変動が大きいと判定する請求項1または請求項3のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  5. プロセスガスの分圧変動を判定する手段は、検出されたプラズマ発光強度の減衰曲線の微分値を予め設定した範囲の発光強度値と比較し、前記微分値が設定値から逸脱した時に前記反応室内のプロセスガスの分圧変動が大きいと判定する請求項2または請求項3のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  6. プロセスガスの分圧変動が大きいと判定された時にプラズマ処理を停止する手段と、プロセスガスの分圧変動が大きいと判定された時に警報を発する手段との内、少なくとも一方を有した請求項1から請求項3のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
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