JP2006291389A - 生分解性不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械的強度および柔軟性に優れた生分解性不織布を提供する。
【解決手段】本発明は、脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドを0.1〜5.0wt%含有する生分解性長繊維からなる生分解性不織布である。
【選択図】なし

Description

本発明は、柔軟性に優れ、かつ良好な機械的特性を有する生分解性不織布に関するものである。
近年、環境意識の高まりから種々の生分解性樹脂からなる不織布が提案されている。生分解性不織布は、自然環境下で、日光、紫外線、熱、水、酵素、微生物等の作用により化学的に分解され、さらには形態的に崩壊するため、焼却処理の必要がなく、埋め立て処理や屋外への放置により処分が可能である。仮に焼却処理をした場合でも、生分解性樹脂は従来の不織布に使用されているポリエステルやポリプロピレン、ナイロン等の樹脂に比べ、一般的に燃焼熱量が低いため、焼却時に焼却炉を傷めないというメリットがある。
しかしながら、従来の生分解性長繊維不織布では、使用のために十分な機械的強度を有し、かつ柔軟性を兼ね備えたものはなかった。また一般的な生分解性樹脂は熱伝導性の高いものが多いため、熱処理により一体化されてなる不織布においては、熱処理時に樹脂が熱ロール等に貼り付き操業性が悪化するといった問題点もあった。
例えば特許文献1には、熱可塑性成分の溶融により一体化されてなり、摩耗性による抜け毛等の問題がない敷物として好適な短繊維不織布が提案されており、原料樹脂の一つとしてポリ乳酸が例示されている。しかし、当該技術は、特殊なスパイラル状に捲縮した短繊維からなる不織布に関するものであり、長繊維不織布に適用できる技術ではない。さらに当該技術では低融点成分の熱溶融により不織布を接着しているが、一般的な方法で不織布を熱接着させた場合、摩耗性には優れるものの、風合いが硬くなる傾向であり、柔軟性が必要とされる用途では好ましいものではない。
また特許文献2には、特定の熱伝導性を有する金属元素等を含有することによりポリマーの熱接着性を向上させ、強力、耐摩耗性に優れた生分解性脂肪族ポリエステルからなる長繊維不織布が提案されている。当該技術によれば不織布の熱接着性を向上させ、耐摩耗性を向上させることが可能であるが、風合いは硬くなる方向であり、柔軟性を併せ持つものではなかった。
さらに特許文献3、4には、生分解性を有する乳酸系ポリマーに離型剤あるいは成型安定剤として脂肪族アミドや脂肪酸等を添加してなる樹脂組成物やそれらの製造方法が提案されている。しかし、これらの技術は、射出成型等により得られる成型体に関するものであり、生分解性不織布の製造方法やその特性に関して何ら示唆を与えるものではなかった。
またさらに特許文献5には、特定の滑剤を含有することにより滑り性を向上させたポリ乳酸短繊維や、それからなる短繊維不織布が提案されているが、長繊維不織布の製造方法については何ら言及されておらず、また長繊維不織布の強度や柔軟性を向上させる方法については、何ら示唆を与えるものではなかった。
特開2002−317367号公報 特開2000−328421号公報 特開平6−299054号公報 特開平8−27363号公報 特開2004−204406号公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、機械的強度および柔軟性に優れた生分解性不織布を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
すなわち、脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドを0.1〜5.0wt%含有する生分解性長繊維からなることを特徴とする生分解性不織布である。
本発明によれば、機械的強度および柔軟性に優れた生分解性不織布を提供することができる。
本発明において、生分解性長繊維の原料として使用する生分解性樹脂としては何ら制限されるものではないが、ポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリヒドロキシブチレート系樹脂等が好適に用いられる。またこれらの樹脂を複数種類複合して用いてもよい。
また、かかる生分解性樹脂の複合の方法としては、溶融した複数種類の樹脂を混合する方法や、2種類の生分解性樹脂を芯鞘型、あるいはサイドバイサイド型に複合する方法が好ましい方法である。
前記生分解性を有する樹脂のうち、ポリ乳酸系樹脂は熱安定性や強度の面から最も好ましいものである。かかるポリ乳酸系樹脂としては、ポリ(D−乳酸)と、ポリ(L−乳酸)と、D−乳酸とL−乳酸の共重合体、あるいはこれらのブレンド体が好ましいものである。
かかるポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量は5万〜30万が好ましく、より好ましくは10万〜30万である。重量平均分子量が5万を下回る場合は、繊維の強力が低くなる傾向があり、また、重量平均分子量が30万を越える場合は、粘度が高いためノズルから押し出したポリマーの曳糸性が乏しく、高速延伸ができにくくなり、究極的には未延伸状態になり、十分な繊維強度を得ることができない傾向がでてくる。また、さらに前記生分解性樹脂に結晶核剤や艶消し剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
本発明の生分解性不織布は、かかる生分解性長繊維が、脂肪族ビスアミドまたはアルキル置換型の脂肪族モノアミドを0.1〜5.0wt%含有するものである。含有量が0.1wt%よりも少ない場合は、不織布の柔軟性が不十分となる場合があり、含有量が5.0wt%を超える場合は、紡糸性が不安定となる傾向がある。より好ましい含有量の範囲は0.3〜4.0wt%、最も好ましい範囲は0.5〜2.0wt%である。脂肪族ビスアミドまたはアルキル置換型の脂肪族モノアミドをそれぞれ単独で用いてもよいし、両者を併用して含有するものでもよい。
本発明では、脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドを繊維表面に存在させることにより、繊維表面の摩擦抵抗が小さくなり、これにより繊維同士の摩擦が小さくなる効果を奏するので、不織布の柔軟性が向上し、さらにまた熱処理を行う際には、熱ロール等からの離型性が向上し、操業性を安定させることもできるという効果も奏する。
また、脂肪族ビスアミド、アルキル置換型の脂肪族モノアミドは、繊維表面に存在することが必要であるから、芯鞘型繊維において鞘成分のみにそれを含有する形態も好ましいものである。本発明において芯鞘型繊維を採用し、鞘成分のみに脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドを含有させる形態は、芯成分にそれらを含有させる必要がないことから、生産安定性や製造コスト面から好ましい形態である。脂肪族ビスアミド、アルキル置換型の脂肪族アミドを鞘成分に含有する芯鞘型繊維は、鞘成分に前記量の脂肪族ビスアミド、アルキル置換型の脂肪族アミド、または両者を含有させて紡糸すればよい。
本発明における芯鞘型とは、芯成分の周りを鞘成分が同心円状に、あるいは偏心円状に被覆してなるもの、さらには芯成分の周りに鞘成分を多葉形状に配してなるものが最も好ましい形態である。また芯:鞘の重量比率は特に制限されるものではないが、30:70〜95:5の範囲が好ましく、40:60〜90:10の範囲がより好ましい。
本発明において用いられる脂肪族ビスアミドは特に制限されるものではないが、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、および芳香族系脂肪酸ビスアミド等であり、例えばメチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスバルミチン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等が挙げられ、これらを複数種類混合して使用してもよい。
本発明において用いられるアルキル置換型の脂肪族モノアミドとしては、飽和脂肪酸モノアミドや不飽和脂肪酸モノアミド等のアミド水素をアルキル基で置換した構造の化合物を示し、N−ラウリルラウリル酸アミド、N−パルミチルパルミチン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド等が挙げられ、これらを複数種類混合して使用してもよい。
脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドを、紡糸するための原料となる樹脂に添加する方法は何ら制限されるものではないが、予め原料樹脂と添加する物質を加熱溶融混合したマスターチップを作製し、これを紡糸の際に原料樹脂に必要量添加して、添加物質量を調整する方法が最も好ましい。
本発明における不織布は、生分解性長繊維が部分的に熱接着されて一体化された形態のものが好ましい。この熱接着部の不織布表面における面積割合は、不織布全面積の5〜50%の範囲であることが好ましい。8〜45%であることがより好ましく、10〜30%であることがさらに好ましい。熱接着部の面積が5%を下回る場合は、不織布の強度が弱くなり、さらに不織布表面のなめらかさが低下する傾向がある。熱接着部の面積が50%を超える場合は、不織布の機械的強度には優れるものの柔軟性が損なわれ、風合いが硬くなる傾向がある。
部分的に熱接着する方法は特に限定されるものではないが、一対の熱エンボスロールによる接着、あるいは超音波発振装置とエンボスロールによる接着があるが、不織布の強度を考慮すると一対の熱エンボスロールによる接着方法が好ましく採用される。熱エンボスロールによる熱接着の温度は、繊維表面に存在する樹脂の融点より5〜50℃低いことが好ましく、10〜40℃低いことがより好ましい。
熱エンボスロールによる熱接着の温度が、繊維表面に存在する樹脂の融点より5℃未満低い温度であった場合、樹脂の溶融が激しく、エンボスロールへのシート取られ、ロール汚れが発生、シートが硬くなるばかりかロール巻付きも頻発するなど安定生産も不可能となる。また、繊維表面に存在する樹脂の融点より50℃を超えて低い温度であった場合、樹脂の融着が不十分であり、物性的に弱いものとなる傾向がでてくる。
本発明における不織布は、目付Xa(g/m)、引張強力Ya(N/5cm)、5%伸長時応力Za(N/5cm)の関係が次式(1)〜(3)を満たすことが好ましい。
1.7Xa−10≦Ya≦1.7Xa+60・・・・・(1)
1.4Xa−11≦Za≦1.4Xa+45・・・・・(2)
10≦Xa≦50・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
前記式(1)において、1.7Xa−10≦Yaを満たさない場合は、不織布の強度が低くなる傾向がでてくる。またYa≦1.7Xa+60を満たさない場合は、不織布の強度は十分であるが、風合いが硬くなる傾向がある。式(1)は次の式(7)を満たす方がより好ましい。
1.7Xa≦Ya≦1.7Xa+50・・・・・・・・(7)
また前記式(2)において、1.4Xa−11≦Zaを満たさない場合には、不織布の強度が低くなる傾向がある。またZa≦1.4Xa+45を満たさない場合には、不織布の風合いが硬くなる傾向がでてくる。式(2)は次の式(8)を満たす方がより好ましい。
1.4Xa≦Za≦1.4Xa+33・・・・・・・・(8)
さらに前記式(3)に示した通り、前記不織布の目付範囲は10〜50g/mが好ましい範囲である。目付が10g/mを下回る場合は、不織布の強度が不足するため好ましくない。より好ましい目付の範囲は13〜50g/mである。
また本発明における不織布は、目付Xb(g/m)、引張強力Yb(N/5cm)、5%伸長時応力Zb(N/5cm)の関係が次式(4)〜(6)を満たすことが好ましい。
2.7Xb−65≦Yb≦2.7Xb+8・・・・・・(4)
2.4Xb−83≦Zb≦2.4Xb−10・・・・・(5)
50<Xb≦150・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
前記式(4)において、2.7Xb−65≦Ybを満たさない場合は、不織布の強度が弱いため好ましくない。またYb≦2.7Xb+8を満たさない場合は、不織布の強度は十分であるが、風合いが硬くなる傾向がある。式(4)は次の式(9)を満たす方が、より好ましい。
2.7Xb−50≦Yb≦2.7Xb・・・・・・・・(9)
また前記式(5)において、2.4Xb−83≦Zbを満たさない場合は、不織布の強度が不十分となる傾向がある。またZb≦2.4Xb−10を満たさない場合は、不織布の柔軟性が不十分となる傾向がでてくる。式(5)は次の式(10)を満たす方がより好ましい。
2.4Xb−73≦Zb≦2.4Xb−19・・・・・(10)
さらに前記式(6)に示した通り、不織布の目付Xbの好ましい範囲は、50<Xb≦150であるが、より好ましくは、50<Xb≦100の範囲である。目付が150g/mを超える場合には、不織布の柔軟性が失われる方向であり好ましくない。
本発明の不織布を構成する生分解性長繊維の単繊維繊度は0.8〜5.0デシテックス(dtex)の範囲であることが好ましい。単繊維繊度が0.8デシテックスを下回る場合は、不織布の強度が弱くなり過ぎる場合があるだけでなく、紡糸時に糸切れが発生しやすい傾向がでてくる。単繊維繊度が5.0デシテックスを超える場合は、不織布の風合いが硬くなり、さらには耐摩耗性も低下する傾向がでてくる。より好ましい単繊維繊度の範囲は、0.9〜4.0デシテックスであり、最も好ましくは1.0〜3.5デシテックスである。また該繊維の断面形状は何ら制限されるものではなく、丸形、中空丸形、あるいはX形、Y形、多葉形等の異形、等が好ましく使用されるが、製造の簡便な点から丸形形状が最も好ましいものである。
本発明の生分解性不織布の製造方法は特に限定されるものではないが、製造方法が簡便で、生産能力が高く、機械的強度に優れる点からスパンボンド不織布からなることが好ましい。ここでいうスパンボンド不織布は、特に規定されるものではないが、溶融したポリマーをノズルより押し出し、これを高速吸引ガスにより2500〜5000m/分の速度で吸引延伸した後、移動コンベア上に繊維を捕集してウェブとし、さらに連続的に熱接着、絡合等を施すことにより一体化されたシートとする、いわゆるスパンボンド法により製造されたものが好ましい。本発明において生分解性樹脂を溶融させる温度は、生分解性樹脂の融点(℃)より10〜130℃高い範囲が好ましく、生分解性樹脂の融点(℃)より30〜90℃高い範囲がより好ましい。生分解性樹脂を溶融させる温度が、生分解性樹脂の融点(℃)より10℃高い温度を下回る場合は、溶融した樹脂の粘度が高くなりすぎるため高速での紡糸が困難となる傾向がある。生分解性樹脂を溶融させる温度が、生分解性樹脂の融点(℃)より130℃高い温度を超える場合は、溶融時に生分解性樹脂や脂肪族ビスアミド、アルキル置換型の脂肪族モノアミドが分解しやすくなり、紡糸が困難となる傾向がある。
本発明にて得られる生分解性不織布の使用用途は、何ら制限されるものではないが、機械的強度や柔軟性、耐摩耗性に優れることから、衛生材料、土木資材、農業資材、生活資材、工業資材に好ましく用いられる。衛生材料の具体例としては保護着、下着等の1回程度の使用で使い捨てる使い捨て衣料が挙げられる。さらにサニタリーナプキン、パンティーシールド等の生理用品、あるいは成人用紙おむつ、ベビー用紙おむつ、失禁者パッド等の使い捨ておむつ類において、素肌に接する部分であるトップシートや、洩れを防ぐためのサイドギャザー、外側部分のバックシートが好ましい使用例である。またさらにシーツ、ベッドカバー、枕カバー等の寝具も好ましいものである。土木資材としては、ドレーン水排水用シート、盛土補強用シート、土砂の流出を防ぐためのセパレーションシート、土嚢袋、等が好ましい使用例である。農業資材としては、ベタガケシート、マルチシート、遮光シート、遮水シート、防風シート、植林した幼木の樹皮を保護するための保護シート、雑草の繁茂を防ぐための防草シート、植生シート、幼木を育てるためのポット、木の植え替え作業用の根巻きシート、根域を制限するための防根シート等が好ましい使用例である。また生活資材としては、家庭用のワイピングクロス、水切り袋、換気扇カバーフィルター、花のラッピング材、等が具体例として挙げられる。またさらに工業資材としては、工業用ワイピングクロス、ダスト捕集用フィルター材、等が好ましい使用例である。
以下、実施例に基づき本発明につき具体的に説明するが、本発明がこれら実施例によって限定されるものではない。なお、下記実施例における各特性値は、次の方法で測定したものである。
(1)重量平均分子量
試料のクロロホルム溶液にテトラヒドロフランを混合し測定溶液とし、これをWaters社製ゲルパーミテーションクロマトグラフ(GPC)Waters2690を用いて、25℃で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。各試料につき3回の測定を行い、平均値を算出し、千の位を四捨五入してそれぞれの重量平均分子量とした。
(2)融点(℃)
パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温温度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。各試料につき3回の測定を行い、その平均値をそれぞれの融点とした。
(3)繊度(dtex)
不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡で500〜3000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維直径を測定し、平均値から繊維径を算出、これをポリマーの密度で補正して計算、小数点第二位を四捨五入し繊度を算出した。
(4)目付(g/m
JIS L1906の4.2に準じて、縦方向50cm×横方向50cmの試料を3個採取して、各試料の重量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算、小数点第一位を四捨五入した。目付が10g/m以上50g/m以下の範囲にあるものはXaとし、50g/mを超えて150g/m以下の範囲にあるものはXbとした。
(5)引張強力、5%伸長時応力
JIS L1906の4.3.1に準じ、サンプルサイズ5×30cm、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/minの条件でシート縦方向、横方向とも3個のサンプルについて引張試験を行い、サンプルが破断するまで引っ張ったときの最大強力を引張強力、サンプルが1cm伸長したときの強力を5%伸長時応力とし、それぞれの平均値を小数点以下第一位を四捨五入して算出した。この時、縦方向、横方向の引張強力のうち、値の大きい方をその不織布の引張強力Ya、Ybとし、そのときの5%伸長時応力をZa、Zbとし、前記(4)で測定した目付:Xa、Xbとの関係を、前述の式(1)〜(6)に適合するものか検証した。
(6)柔軟性(風合い)
前記不織布の目付が50g/m以下のものについては、柔軟性について5名のモニターにより触感的な官能評価を行った。モニターは不織布の風合いの柔らかさ、骨立ちの有無について次の基準により評価し、12点以上を合格(○)、それ未満を不合格(×)とした。
3点:不織布の風合いが柔らかく、骨立ちも少ない。
2点:不織布の風合いは柔らかいが、骨立ちは多い。あるいは不織布の風合いはやや柔らかい程度であるが、骨立ちは少ない。
1点:不織布の風合いは柔らかくないが、骨立ちは少ない。あるいは不織布の風合いはやや柔らかい程度であるが、骨立ちが多い。
0点:不織布の風合いは柔らかくなく、骨立ちも多い。
実施例1
重量平均分子量が15万でQ値(Mw/Mn)が1.51、融点が168℃であるポリ乳酸(以下PLA)樹脂にエチレンビスステアリン酸アミド(以下EBA、日本油脂株式会社製アルフローH−50T)を0.5wt%添加したものを原料とし、230℃で溶融した後、口金温度235℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4700m/分で紡糸し、移動するネットコンベアー上に捕集し得られたウェブを、凸部の面積が16%のエンボスロールとフラットロールで、温度140℃、線圧50kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度1.5デシテックス(dtex)、目付20g/mのスパンボンド不織布を製造した。
実施例2
EBAの添加量を1.0wt%とした以外は実施例1と同様の方法で得たウェブを、凸部の面積が16%のエンボスロールとフラットロールで、温度140℃、線圧60kg/cm、の条件で熱圧着し、単繊維繊度1.5dtex、目付50g/mのスパンボンド不織布を製造した。
実施例3
実施例2と同様の方法で得たウェブを、凸部の面積が16%のエンボスロールとフラットロールで温度145℃、線圧60kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度1.5dtex、目付100g/mのスパンボンド不織布を製造した。
実施例4
実施例1記載のPLA樹脂を芯成分原料に、該樹脂に実施例1記載のEBAを1.0wt%添加したものを鞘成分原料として、230℃で溶融した後、口金温度235℃で細孔より芯:鞘の重量比率8:2の芯鞘繊維として紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4700m/分で紡糸し、移動するネットコンベアー上に捕集し得られたウェブを、凸部の面積が16%のエンボスロールとフラットロールで、温度140℃、線圧50kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度1.5dtex、目付20g/mのスパンボンド不織布を製造した。
実施例5
実施例4と同様の方法で得たウェブを、凸部の面積が16%のエンボスロールとフラットロールで、温度140℃、線圧60kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度1.5dtex、目付50g/mのスパンボンド不織布を製造した。
実施例6
実施例4と同様の方法で得たウェブを、凸部の面積が16%のエンボスロールとフラットロールで、温度145℃、線圧60kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度1.5dtexで、目付70g/mのスパンボンド不織布を製造した。
得られた不織布の特性は表1に示した通りであるが、実施例1、2、4、5の不織布はいずれも前記式(1)、(2)をともに満たしており、良好な引張強度を有し、かつ柔軟性にも優れており、さらには触感的な柔軟性についても優れたものであった。また実施例3、6の不織布はいずれも前記式(4)、(5)をともに満たしており、良好な引張強度を有し、かつ柔軟性にも優れたものであった。
比較例1
実施例1記載のPLA樹脂に、EBAを添加せずに、平均粒径2μm以下の二酸化チタン粉体を1.0wt%添加したものを原料とし、230℃で溶融した後、口金温度235℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4600m/分で紡糸し、移動するネットコンベアー上に捕集し得られたウェブを、凸部の面積が13%のエンボスロールとフラットロールで、温度145℃、線圧60kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度1.5dtex、目付50g/mのスパンボンド不織布を製造した。
比較例2
実施例1記載のPLA樹脂に、EBAを添加せずに、平均粒径2μm以下の二酸化チタン粉体を1.0wt%添加したものを原料とし、230℃で溶融した後、口金温度235℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度3500m/分で紡糸し、移動するネットコンベアー上に捕集し得られたウェブを、凸部の面積が16%のエンボスロールとフラットロールで、温度145℃、線圧60kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度6.0dtex、目付100g/mのスパンボンド不織布を製造した。
比較例3
実施例1記載のPLA樹脂に、EBAを添加せずに、平均粒径2μm以下の二酸化マグネシウム粉体を1.0wt%添加したものを原料とし、230℃で溶融した後、口金温度235℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度3500m/分で紡糸し、移動するネットコンベアー上に捕集し得られたウェブを、凸部の面積が16%のエンボスロールとフラットロールで、温度145℃、線圧60kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度3.0dtex、目付50g/mのスパンボンド不織布を製造した。
得られた不織布の特性は表1に示した通りであるが、比較例1、3の不織布は、いずれも引張強力には優れていたが、5%伸長時の応力が高いため柔軟性に劣るものであり、さらには触感的な柔軟性も不十分であった。また比較例2の不織布についても、引張強力は強いものの、5%伸長時の応力が高く柔軟性には劣るものであった。
Figure 2006291389
本発明の生分解性長繊維不織布は、強度に優れる上に、柔軟性にも優れていることから、衛生材料、土木資材、農業資材、生活資材、工業資材に好適に使用することができる。

Claims (8)

  1. 脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドを0.1〜5.0wt%含有する生分解性長繊維からなることを特徴とする生分解性不織布。
  2. 該生分解性長繊維が芯鞘型繊維であって、該鞘成分に脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドを0.1〜5.0wt%含有することを特徴とする請求項1記載の生分解性不織布。
  3. 該生分解性長繊維が部分的に熱接着されてなり、かつ、該熱接着部の不織布表面における面積割合が不織布全表面積に対して5〜50%の範囲内であり、さらに不織布の目付Xa、引張強力Yaおよび5%伸長時応力Zaの関係が、次式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の生分解性不織布。
    1.7Xa−10≦Ya≦1.7Xa+60・・・・・(1)
    1.4Xa−11≦Za≦1.4Xa+45・・・・・(2)
    10≦Xa≦50・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
  4. 該生分解性長繊維が部分的に熱接着されてなり、かつ、該熱接着部の不織布表面における面積割合が不織布全表面積に対して5〜50%の範囲内であり、さらに不織布の目付Xb、引張強力Ybおよび5%伸長時応力Zbの関係が、次式(4)〜(6)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の生分解性不織布。
    2.7Xb−65≦Yb≦2.7Xb+8・・・・・・(4)
    2.4Xb−83≦Zb≦2.4Xb−10・・・・・(5)
    50<Xb≦150・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
  5. 該生分解性長繊維の単繊維繊度が0.8〜5.0デシテックスの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の生分解性不織布。
  6. 該生分解性長繊維がポリ乳酸系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の生分解性不織布。
  7. スパンボンド不織布であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の生分解性不織布。
  8. 衛生材料用、土木資材用、農業資材用、生活資材用、工業資材用のいずれかであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の生分解性不織布。
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